JP3204066U - スピーカー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バスレフ方式のスピーカーシステムにおいて、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音を発生しにくくし、中音域にあたる不快な付帯音の発生を抑止することができるスピーカー装置を提供する。【解決手段】本考案のスピーカー装置は、キャビネット1の前面バッフルにスピーカーユニット2とバスレフダクト3を配置したスピーカーシステムにおいて、バスレフダクト3の管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段として、上記バスレフダクト3の両端の開口部3aをホーン形状に形成する形態や、気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト3長手方向の中央付近に、外端部を閉じた逆共鳴管4を垂直に設置する構成を採用した。【選択図】図6

Description

本考案はバスレフ方式のスピーカーシステムに関する。
バスレフ方式のスピーカーシステムは、スピーカーユニットの仕様とキャビネット容積、そしてバスレフダクトの管径と長さに応じて、特有の周波数と共振強度にて共鳴現象を発生させて、バスレフダクトの開口よりその共嗚音を放射する事で、低音の増強を図る手法である。小型のスピーカーシステムでも豊かな低音再生が可能なため、この利便性により、多くのスピーカーシステムにおいて採用されている。ところがバスレフダクトは上記の目的のための低い周波数の共鳴現象以外に、ダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数において気柱共嗚、即ち両端開口管の共鳴現象が生じる。この気柱共嗚は、増強の必要の無い中音域で発生するため、この共嗚音がスピーカーの再生音声に付帯音として重畳して、音質を著しく劣化させる場合がある。しかし、この現象に対して従来有効な解決手段が存在しなかった。例えば図8に示されるように、付帯音の発生を抑制するのではなく、ダクト開口をスピーカーシステムの背面や底面に設置して、気柱共嗚昔が聞こえにくくなる手段を講じる事例が多く存在するが、通常の前面バッフルにダクト開口を設置するのに比ベて、バスレフ効果が低下したり、低音が遅れて聞こえる等のデメリットが生じていた。
また、特許文献1に示された「スピーカー装置」は、前面にスピーカー部を備える筐体と、前記筐体に設けられ、その外端側が当該筐体から突出して屈曲しているバスレフポートと、前記筐体に設けられ、前記バスレフポートをその基端側の管路の軸回りに回転できるように支持するための回転支持部材とを備えたものである。バスレフポートにおける共鳴周波数よりも高い音域では、バスレフポートから放出される音波がスピーカー部から放出される音波に悪影響を及ぼすが、上記構造によりバスレフポートの開口部を任意に変えることで悪影響を与える度合いが小さくなる方向に選択できるというものである。しかし、この技術はケースバイケースでバスレフポートを適宜回転させて調整を施さなくてはならないものである。
特開2005−311986号公報 「スピーカー装置」 平成17年11月4日公開
「スピーカ・システム(上)」 山本武夫著 ラジオ技術社 1977年7月発行
本考案は、バスレフ方式のスピーカーシステムにおいて、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音を発生しにくくし、中音域にあたる不快な付帯音の発生を抑止することを目的としたものである。
本考案のスピーカー装置は、キャビネットの前面バッフルにスピーカーユニットとバスレフダクトを配置したスピーカーシステムにおいて、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段を備えるものとした。
本考案の第一の態様は、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段として、上記バスレフダクトの両端の開口部をホーン形状に形成するようにした。
また、本考案の第二の態様は、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段として、気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト長手方向の中央付近に、外端部を閉じた逆共鳴管の他端部を接続設置するようにした。
また、本考案の第三の態様は、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段として、上記バスレフダクトの両端の開口部をホーン形状に形成すると共に、気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト長手方向の中央付近に、端部を閉じた逆共鳴管の他端部を接続設置するようにした。
本考案の第一の態様は、バスレフダクトの両端の開口部をホーン形状に形成するようにしたことにより、管の端効果を低減させてダクトの気柱共鳴を効率良く打ち消して低減する事を特徴とする。
また、本考案の第二の態様は、気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト長手方向の中央付近に、端部を閉じた逆共鳴管の他端部を接続設置するようにした事で、気柱共嗚を抑制すると共に、ダクト開口をスピーカーシステムの背面や底面に設置する必要が無くなり、バスレフ効果の低減や、低音が遅れて聞こえる等の問題を生じる事無く気柱共鳴による音質劣化を抑制することができる。
本考案の第一の態様のスピーカー装置を示す図である。 本考案の第二の態様のスピーカー装置を示す図である。 本考案の第二の態様のスピーカー装置の異なる形態例を示す図である。 本考案の第一の態様のスピーカー装置の1実施例を示す図である。 図4に示す実施例のダクト開口部での音圧の周波数特性を示す図である。 本考案の第二の態様のスピーカー装置の1実施例を示す図である。 図6に示す実施例のダクト開口部での音圧の周波数特性を示す図である。 従来のバスレフ方式のスピーカー装置の例を示す図である。
本考案は、前述した従来技術の問題点を解決するべく案出されたものであり、バスレフ方式のスピーカーシステムにおいて、バスレフダクトから発生する管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制するようにし、中音域にあたる不快な付帯音の発生を抑止することを目的としたものである。
バスレフダクトから発生する管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する本考案の第一の態様は、図1に示されるようにバスレフダクト両端の開口部をホーン形状にすることにより、開口部の音波反射を抑えて気柱共嗚を抑制するものとし、また、第二の手法は、図2に示すようにダクト長手方向の中央付近に逆共鳴管を設置する事で同様に気柱共嗚を抑制しようというものである。これらの構成を採用することにより、中音域にあたる不快な付帯音の発生を抑止することが可能となり、その結果、ダクト開口をスピーカーシステムの背面や底面に設置する必要が無くなり、バスレフ効果の低減や、低音が遅れて聞こえる等の問題を生じる事無く気柱共鳴による音質劣化を抑制する事が可能になる。
本考案の第一の態様は、バスレフダクト両端の開口部をホーン形状にすることで、共鳴管の端効果を低減させ、ダクトの気柱共鳴を低減させることを特徴とする。開口部をホーン形状にすることによる端効果の低減は、ダクト全長の概ね2倍の長さを1波長とする気柱共鳴の周波数と同等若しくはより低い周波数をカットオフとするホーン形状(ホーン開口径とホーン長さ)の時に顕著となる。したがって、本考案の課題である管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生の抑制が効果的に機能する。このホーン形状は、非特許文献1に示されるような一般的なホーンスピーカーの設計手法に基づき、ダクトの管長によって決まる気柱共鳴周波数と同等苦しくは、より低い周波数をカットオフとするホーンを設計し、ダクト開口部に設置すれば良い。特にダクト開口端直径は、当該気柱共鳴周波数において音波の無反射条件を満たす設計とする。この事により、ダクト開口部において、当該気柱共鳴周波数における音波の無反射条件が実現されて、気柱共鳴の発生を抑制することが出来る。
本考案の第二の態様は、バスレフ方式のスピーカーシステムにおいて、図2に示すように気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト長手方向の中央付近に、逆共鳴管を設置することで、ダクトの気柱共鳴を効率良く打ち消して低減することを特徴とする。この逆共嗚管は片閉管であり、開口側をバスレフダクトに接続する事で、ダクト本管の気柱共鳴を打ち消す働きをする。逆共鳴管(片閉管)は、その管長の概ね4倍を1波長とする周波数で気柱共鳴を発生する。即ち、逆共嗚管の長さはバスレフダクト本管の長さの概ね1/2とすることで、簡便に本管の気柱共嗚周波数と同調させる事が出来る。この設計手法により、本管の気柱共鳴に対して、逆共鳴管が反共振を起こして、本管の気柱共嗚を打ち消すことが出来る。逆共鳴管の取り付け位置は共鳴管であるバスレフダクト中央部、すなわち音圧の腹となる位置(バスレフダクト中央部)に取り付けることが効果的であるが、必ずしもそれに限定されず、この第二の態様の変形例として図3Aに示すように、例えばキャビネット内部側のバスレフ開口付近に任意の共振周波数に設定した逆共振管を設置することで、スピーカーシステムのキャビネット内部の定在波による共鳴音が、バスレフダクトを通過して外部に放射されないようにして低減することも可能である。更に、この逆共鳴管は低減させたい複数の共鳴音に対して、複数本設置しても良い。更なる変形例として、逆共鳴管はバスレフダクトに対して垂直に取り付けることは必須ではなく、図3Bに示すように取り付け位置は共鳴管であるバスレフダクトに曲部を介して平行に配設することも可能である。
また第三の態様は第一の態様と第二の態様を併用したもので、これによって更に効果を高めることも出来る。
第一の態様であるホーン形状のダクト開口の1実施例を図4に示す。容積19Lのキャビネット1の前面にスピーカーユニット2と共に取り付けられたバスレフダクト3は管径が3cm、全長が14cmであり、そのホーン開口形状は、ホーン長が2cmで開口径が7cmに形成されている。このスピーカー装置のダクト閉口部での音圧の周波数特性を示すグラフを図5に示す。特性グラフの灰色線はホーン形状無しの直管開口の場合で、黒色線はホーン形状開口の本実施例のものである。約1.2kHにおいて気柱共嗚ピークが発生しているが、バスレフ開口のホーン形状化により、気柱共鳴ピークを約5dB低減することが出来ていることが確認できた。
次に第二の形態である逆共鳴管の1実施例を図6に示す。第一の態様であるホーン形状のダクト開口の1実施例と同様に、容積19Lのキャビネット1の前面にスピーカーユニット2と共に取り付けられたバスレフダクト3は管径が3cm、全長が14cmであり、そのホーン開口形状は、ホーン長が2cmで開口径が7cmに形成されたものに、逆共鳴管4を付加した構成である。この逆共鳴管4は、解放端部が前記バスレフダクト3に取り付けられた片閉管であって、その寸法は管径が1cm、管長が6cmのものである。このスピーカー装置のダクト開口部での音圧の周波数特性を示すグラフを図7に示す。特性グラフの灰色線は逆共鳴管の無い直管開口、すなわち図4に示した実施例の場合で、黒色線はホーン形状開口と逆共鳴管を併用した本実施例のものである。約1.2kHに気柱共鳴ピークが発生しているが、ホーン形状と逆共嗚管の設置により、気柱共嗚のピ一クを約30dB減されていることが確認出来た。第一の形態と第二の形態を併用させることによって、再生音声の付帯音を大幅に低減し、音質改善できることが確認できた。
1 キャビネット 2 スピーカーユニット
3 バスレフダクト 3a ホーン開口部
4 逆共鳴管

Claims (4)

  1. キャビネットの前面バッフルにスピーカーユニットとバスレフダクトを配置したスピーカーシステムにおいて、バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段を備えることを特徴とするスピーカー装置。
  2. バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段は、上記バスレフダクトの両端の開口部をホーン形状に形成するようにしたものである請求項1に記載のスピーカー装置。
  3. バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段は、気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト長手方向の中央付近に、外端部を閉じた逆共鳴管の他端部が接続設置されるようにしたものである請求項1に記載のスピーカー装置。
  4. バスレフダクトの管長の2倍の長さを1波長とする周波数の気柱共鳴音発生を抑制する手段は、上記バスレフダクトの両端の開口部をホーン形状に形成すると共に、気柱共鳴の音圧の腹となるバスレフダクト長手方向の中央付近に、端部を閉じた逆共鳴管の他端部が接続設置されるようにしたものである請求項1に記載のスピーカー装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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