JP3203392B2 - 蓄熱システム - Google Patents

蓄熱システム

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JP3203392B2
JP3203392B2 JP40255590A JP40255590A JP3203392B2 JP 3203392 B2 JP3203392 B2 JP 3203392B2 JP 40255590 A JP40255590 A JP 40255590A JP 40255590 A JP40255590 A JP 40255590A JP 3203392 B2 JP3203392 B2 JP 3203392B2
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征四郎 五十嵐
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業場の利用分野】本発明は、冷暖房熱源として用い
る熱源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】温度成層式蓄熱槽利用氷蓄熱システムで
は、4℃の蓄熱水の上層に4℃より高い蓄熱水及び4℃
より低い蓄熱水が層をなすようになる、4℃を境に蓄熱
水の比重の逆転現象があるため、非製氷熱源装置で0℃
近くまで冷却すると冷却チューブ内での氷着の恐れが生
じる。そこで従来は、昼間の利用で温度上昇した蓄熱水
の結氷温度までの冷却も製氷機を用いた製氷熱源装置で
行っていた。しかも、その製氷熱源装置は、温水製造時
には利用されていない。
【0003】また、蓄熱時間帯の熱供給温度は、夜間の
ため供給熱量が少なく、行き返りの温度差がつきにくい
こともあって、熱源機の運転効率を上げる目的で昼間よ
り高い温度で供給されている。さらに、従来技術では、
低温度の冷水(2℃内外)の製造が難しいこともあっ
て、蓄熱槽は、熱源機のある建物内に可能な範囲内で集
中設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら製氷熱源
装置は設置スペースが大きく、且つコストが著しく高い
という問題がある。
【0005】また、蓄熱槽容量においても、大規模な地
域熱供給施設等では集中式にすると導管も太いものが必
要となってコストも高くなり、熱源機にはスケールメリ
ットがある反面、蓄熱槽にはスケールメリットがないこ
ともあって、設置建物規模や構造上の制約から電力の夜
間シフト上必要な容量を確保することも難しくなる。
【0006】そこで、これらの問題を解決するために
は、供給用建物等、プラント建物外に蓄熱槽を設けて全
体の蓄熱容量を増量し、それらを蓄熱時間帯に高い蓄熱
密度で効率よく蓄熱をはかり、かつ熱源装置の設置スペ
ースやシステム全体のイニシャルコストを低減する必要
が生じる。
【0007】また、ヒーティングタワー利用のヒートポ
ンプ運転は、熱源側温度条件が悪く効率面で問題があ
り、また、開放型ヒーティングタワーの利用は、循環熱
媒の希釈対策が必要になる。
【0008】このため、氷蓄熱システムを使って、空気
熱源利用より有利であるが温度レベルから従来の水蓄熱
では熱回収が難しい低温度レベルの未利用エネルギーを
回収し、効率よく水熱源ヒートポンプを運転したり、利
用後の低温熱源水の潜熱を利用した製氷機運転で10℃
以上のコンデンサー熱を取り出し空気熱源ヒートポンプ
の循環熱媒の素早い濃縮を行うようにしている。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、製氷機の利用効率を高め容量を低減して分散蓄熱
を可能にし、電力の平準利用ができる大型熱供給を可能
にしてかつシステムの効率化を図った蓄熱システムを提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の蓄
熱システムは、断熱壁で槽内を分割して相互に連通する
連通管を有し蓄熱水に低濃度の軽金属と化合した臭素化
合物水溶液を使った温度成層式蓄熱槽、及び該温度成層
式蓄熱槽の分割したそれぞれの槽に組み込まれる0℃内
外の低温度冷水を製造できる非製氷熱源装置とシャーベ
ット状の氷が製造できる製氷熱源装置を備え、昼間の利
用で温度上昇した蓄熱水を非製氷熱源装置で結氷温度近
くまで一次冷却し、冷却された蓄熱水の一部をさらに製
氷熱源装置でシャーベット状の氷に変えて効率よく氷蓄
熱するように構成したことを特徴とする。
【0011】さらには、熱供給用に設けられた清水蓄熱
槽、熱源装置、熱交換器、及び分散設置された蓄熱槽を
備え、昼間の利用で温度上昇した蓄熱水を非製氷熱源装
置で結氷温度近くまで一次冷却し、冷却された蓄熱水の
一部をさらに製氷熱源装置でシャーベット状の氷に変え
て効率よく氷蓄熱し、清水蓄熱槽に導かれた蓄熱水を、
夜間の蓄熱時間帯に熱源装置で一次冷却した後温度成層
式蓄熱槽で製造された0℃以下の蓄熱水を使い熱交換器
を介して2℃内外まで冷却し、分散設置された蓄熱槽へ
搬送して分散低温度蓄熱を行うように構成したことを特
徴とする。
【0012】また、熱交換器を使用して排熱を回収し、
温度成層式蓄熱槽の氷融解熱や温水製造の低温水熱源装
置の熱源に利用し、ヒーティングタワー及び空気熱源装
置を備え、製氷熱源装置で氷化する時の排熱を利用して
ヒーティングタワー利用の熱媒を加熱し空気熱源装置の
効率改善や熱媒の強制濃縮を行うように構成したことを
特徴とする。
【0013】
【作用】本発明の蓄熱システムでは、蓄熱水に臭化溶液
を使って温度成層式蓄熱槽、非製氷熱源装置、製氷熱源
装置により製氷システムを構成し、蓄熱水の入出方向の
切り替えができる4方弁を組み込むことにより、昼間の
利用で12℃内外まで温度上昇した蓄熱水を0℃内外ま
で効率よく一次冷却し、製氷熱源装置により効率よい製
氷ができる。すなわち製氷機能を持たない非製氷熱源装
置で製氷前の顕熱冷却ができ、製氷機能付きの熱源装置
で蓄熱時間帯のほとんどを製氷運転することができるの
で、製氷熱源装置を最小限の容量にすることができる。
【0014】また、清水蓄熱槽に導かれた蓄熱水を、夜
間の蓄熱時間帯に熱源器装置で一次冷却した後温度成層
式蓄熱槽で製造された0℃以下の蓄熱水を使い熱交換器
を介して2℃内外まで冷却するので、分散設置された蓄
熱槽へ搬送して分散低温度蓄熱化を行うことができる。
【0015】温度成層式蓄熱槽の氷融解熱や温水製造の
低温水熱源装置の熱源は、低温熱源でよいので、熱交換
器を使用してすることによって生下水やビル排熱その他
の低温排熱を回収して当てることができる。
【0016】また、ヒーティングタワー及び空気熱源装
置を備え、製氷熱源装置で氷化する時の排熱を利用して
ヒーティングタワー利用の熱媒を加熱すると、製氷熱源
装置を空気熱源装置の効率改善に有効に活用することが
できる。さらには、熱媒の強制濃縮を行うことによっ
て、開放型ヒーティングタワーの場合には、湿度が高い
ときにおける不凍液の濃度の低下による運転不能を防い
だり、その時間を最少限にしたりすることができる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
図1は本発明の分散蓄熱式熱供給システムの1実施例を
示す図である。図において、低温熱源槽1と製氷機1
4、熱交換器15、低温熱交換器16、低温水熱源ヒー
トポンプ13との間は、低濃度の軽金属と化合した臭素
化物水溶液(以下、臭化溶液という)が蓄熱水として用
いられる。
【0018】製氷機14は、シャーベット状の氷を製造
したり、低温熱源水を氷化するときの排熱を利用してヒ
ーテングタワー利用の熱媒を加熱したりするものであ
る。
【0019】低温水熱源ヒートポンプ13は、結氷温度
近くまで蓄熱水を冷却する非製氷熱源装置として、ま
た、生下水や雑給水保有熱、ビル排熱の回収熱による温
水製造装置として用いるものである。
【0020】熱交換機15は、生下水や雑給水保有熱、
ビル排熱を回収するものであり、この回収熱が低温水熱
源ヒートポンプ13における温水製造の熱源や低温熱源
槽1の氷槽における氷解熱に利用される。
【0021】低温熱源槽1は、断熱壁で分離された前処
理槽と氷槽からなる温度成層型蓄熱槽であり、前処理槽
には製氷機14で製造されたシャーベット状の氷部分を
氷槽又は前処理槽内に切り替え投入する切り替え装置9
を有し、また、前処理槽と氷槽をつなぎ混入している溶
液部分を氷槽から前処理槽に導く連通管10を有するも
のである。
【0022】ヒーテングタワー兼クーリングタワー11
は、夏の冷房時にクーリングタワーとして、外気を利用
して冷却水を例えば37℃から32℃程度に冷却し、冬
の暖房時に不凍液を例えば−15℃から−10℃に加熱
するものである。
【0023】空気熱源ヒートポンプ12は、エバポレー
タ(図示○の下側)と2つのコンデンサ(図示○の上側
左右)をもつダブルコンデンサタイプの熱源装置であっ
て、夏の冷房時にエバポレータを冷水槽2側に接続して
図示上左側のコンデンサをヒーテングタワー兼クーリン
グタワー11側に接続し、冷水槽2側の蓄熱水を冷却す
るのに利用すると共に、冬の暖房時にエバポレータをヒ
ーテングタワー兼クーリングタワー11側に接続して図
示上右側のコンデンサから例えば40℃を50℃に加熱
した温水を取り出すものである。
【0024】冷水槽2は、空気熱源ヒートポンプ12、
低温熱交換器16により製造された2℃〜7℃の冷水を
蓄熱すると共に、各分散蓄熱槽4、5へ分配する清水蓄
熱槽である。
【0025】分散蓄熱槽5は、2〜3℃の冷水を蓄える
直接式の槽であり、分散蓄熱槽4は、2〜3℃の冷水を
使用し熱交換器17を介してつくられた4〜5℃の冷水
を蓄熱する間接式の槽であり、それぞれが需要に応じて
分散配置されて図示しない冷房設備に導管で接続され利
用される。温水槽3は、給湯及び暖房用の温水を蓄える
槽である。
【0026】次に、夏期の冷房時と冬季の暖房時の運転
動作について説明する。まず、夏期の冷房運転におい
て、分散蓄熱槽4、5の冷水が昼間の冷房に利用され、
分散蓄熱槽4、5及び冷水槽2の温度が例えば14℃程
度に上昇した状態から、夜間電力を利用して冷水蓄熱す
る場合について説明する。
【0027】冷水蓄熱では、冷房利用後の14℃内外ま
で上昇した蓄熱水を冷水槽2の上部分配器7及び分散蓄
熱槽5からポンプ21で3方弁31を通して汲み上げ、
空気熱源ヒートポンプ12で6℃内外に一次冷却する。
さらに一次冷却後の蓄熱水をポンプ22で3方弁32を
通して汲み上げ、低温熱交換器16で2℃内外に冷却
し、冷水槽2の下部分配器8に供給すると共に、ポンプ
23で分散蓄熱槽4、5へ搬送する。この蓄熱水の搬送
により蓄熱時間帯のみ低温度のまま冷水槽2及び分散蓄
熱槽4、5で直接又は間接に蓄熱がなされる。
【0028】一方、低温熱交換器16への0℃内外の臭
化溶液は、0℃製造用に温度コントロールされた低温水
熱源ヒートポンプ13で製造されて4方切換弁36、3
4、ポンプ24を通して供給される。低温水熱源ヒート
ポンプ13は、昼間の利用で12℃程度まで温度上昇し
た低温熱源槽1の冷却もできる容量をもたせ、ポンプ2
6によって蓄熱用臭化溶液を循環冷却させる。ポンプ2
6は、低温水熱源ヒートポンプ13の出口温度が0℃と
なるようにサクション側に3方弁を設け、低温水熱源ヒ
ートポンプ13の出口水と4方切換弁36からの戻り水
を混合して冷凍機への入口温度を制御するために必要な
ポンプである。ここで、氷槽に設けられた低温水熱源ヒ
ートポンプ13は、蓄熱時間帯に0℃取り出しで、氷槽
での氷蓄熱と分散蓄熱槽での蓄熱に必要な能力以上の能
力をもたせ、低温水熱源ヒートポンプ13の入口温度は
出口温度0℃を確保するために5℃以下になるように制
御される。すなわち、冷水槽2を14〜6℃まで冷却す
るのは空気熱源ヒートポンプ12が受け持ち、氷槽の氷
蓄熱及び各分散蓄熱槽4、5を4〜5℃及び2〜3℃に
蓄熱させるのは低温水熱源ヒートポンプ13が受け持つ
ので、低温水熱源ヒートポンプ13は、その必要冷却負
荷以上の能力を持たせる。
【0029】本発明の低温熱源槽1は、温度成槽型蓄熱
槽を使った氷製造とその蓄熱を特徴とするものである
が、氷製造とその蓄熱は以下のようにして行われる。
【0030】低温熱源槽1の氷槽内の臭化溶液は昼間の
利用により温度が上昇しているが、前処理槽内の臭化溶
液は、氷槽との間にある断熱壁のため、シャーベット状
の氷を含む低温状態に維持されている。したがって、蓄
熱開始時においても、製氷機14は、ポンプ25によっ
て前処理槽から汲み上げられるほぼ0℃の低温の臭化溶
液により直ちに製氷運転が可能であり、最小限の容量で
製氷効率を上げることができる。
【0031】また、低温水熱源ヒートポンプ13で0℃
内外に冷却された臭化溶液は、氷槽に供給されると、連
結管10を通して前処理槽に導かれてポンプ25で汲み
上げられ、製氷機14でその一部がシャーベット状の氷
にされ前処理槽に戻される。
【0032】このように製氷機14の運転開始時は、前
処理槽へ製造された氷が投入され、氷槽内において温度
が0℃近くになるか、前処理槽において氷が満杯になる
と、その条件により、前処理槽の水切り用開口のある切
り替え装置9を動作させ、製氷機14で製造されたシャ
ーベット状の氷のうち、氷のみを氷槽に投入し、溶液部
分は前処理槽に導く。この場合、製氷機14で氷槽に投
入された氷の分の氷槽の臭化溶液、或いは低温水熱源ヒ
ートポンプ13で0℃内外に冷却された臭化溶液が連通
管10を通して前処理槽に移動する。
【0033】なお、氷槽において、臭化溶液の温度が高
い間は上部分配器7から汲み出して冷却したものを下部
分配器8に戻すようにするが、先にも述べたように4℃
を境に比重の逆転現象が生じると、上の方がどんどん低
い温度になってしまうが、底の方に4℃の液が溜まって
対流しなくなる。そこで、図示しないが温度を検出し
て、このような逆転現象が生じた場合には、下部分配器
8から汲み出して上部分配器7に戻すように4方切換弁
34及び36を切り替える。
【0034】すなわち、低温熱源槽1は、主蓄熱槽を氷
槽とし、製氷機14の容量に合わせて最小限の低温度水
ストックチャンバーとして前処理槽を設けたものであ
り、さらに、4方切換弁の切り替えにより単槽又は数槽
の大型温度成槽式蓄熱槽に氷を蓄熱する過程で4℃を境
に起こる蓄熱水比重の逆転現象の影響を防止し、昼間の
利用で12℃内外まで温度上昇した蓄熱水を0℃内外ま
で効率よく一次冷却し、製氷熱源装置により効率よい製
氷ができる。つまり、製氷機能を持たない非製氷熱源装
置で製氷前の顕熱冷却ができ、製氷機能付きの熱源装置
で蓄熱時間帯のほとんどを製氷運転することができるよ
うにしている。このような構成により蓄熱槽の顕熱利用
時の利用効率が向上し氷の搬送を容易にしている。
【0035】以上のようにして夜間電力を利用して冷水
槽2、分散蓄熱槽4、5に冷水蓄熱が行われ、昼間の冷
房運転が開始されると、分散蓄熱槽4、5内の蓄熱水の
温度が冷房の利用に伴って上昇するので、ポンプ23に
より冷水槽2から低温の蓄熱水と置換を行う。
【0036】したがって、冷水槽2の蓄熱水の温度も同
様に上昇するので、昼間の冷水製造は蓄熱時と違い、効
率を考え供給温度に合わせた温度で運転される。すなわ
ち、低温熱交換器16による冷水製造は、3方切換弁3
2によりポンプ22の吸い込み側が冷水槽2の上部分配
器7からに切り替えられ、7℃内外まで冷却して下部分
配器8へ供給する経路で行われる。
【0037】また、低温水熱源ヒートポンプ13及び製
氷機14は、いずれも出口温度を5℃内外で運転され、
蓄熱水は、氷槽からと合流してポンプ24によって低温
熱交換器16に供給される。
【0038】次に、冬季の暖房運転の場合について説明
する。この時期には、先に述べたようにヒーテングタワ
ー兼クーリングタワー11、製氷機14、低温水熱源ヒ
ートポンプ13、空気熱源ヒートポンプ12との間に不
凍液が充填される。
【0039】暖房時の主な温水製造は、低温水熱源ヒー
トポンプ13と空気熱源ヒートポンプ12によって行わ
れるが、ヒートポンプの効率向上とヒーティングタワー
兼クーリングタワー11の循環水の濃縮のために製氷機
14が利用される。
【0040】低温水熱源ヒートポンプ13では10℃を
供給して5℃にし、空気熱源ヒートポンプ12では−1
0℃を供給して−15℃にすることによって40℃から
50℃に加熱した温水を温水槽3に供給する。この温水
は、給湯ポンプ29により冬季の暖房用として、或い
は、給湯用として汲み出されるものである。また、冷温
水ポンプ30は、バルブ切り替えにより適宜冷水ポンプ
又は温水ポンプとして使用されるものである。
【0041】熱収集では、低温熱交換器16によってビ
ル排熱を回収するが、下水等の汚れた水を対象とする場
合は、自掃式濾過槽6と熱交換機15、ポンプ27、ポ
ンプ28で回収する。この回収熱は、低温水熱源ヒート
ポンプ13の熱源や低温熱源槽1の氷槽の氷融解熱に利
用される。自掃式濾過槽6は、下水管に戻す熱回収後の
水を使って回転する濾過面を逆洗浄する濾過装置が組み
込まれた槽である。
【0042】また、低温熱源槽1の氷槽が0℃以下の条
件で、空気熱源ヒートポンプ12の出力を上げたり、ヒ
ーティングタワー兼クーリングタワー11の循環溶液を
濃縮したい場合には、コンデンサー側の温水槽3、ヒー
ティングタワー兼クーリングタワー11、空気熱源ヒー
トポンプ12、低温水熱源ヒートポンプ13の間を循環
している20℃内外の水(コンデンサー水)を、製氷機
14を運転して製氷運転によって供給し加熱用として利
用する。すなわち、低温熱源槽1の氷槽が0℃以下の条
件で、製氷機14を運転すると、氷を造ると同時に、そ
の排熱として20℃内外のコンデンサーにより加熱され
た循環水がヒーティングタワー系統の配管に供給され
る。この20℃内外の水は、空気熱源ヒートポンプ12
のコンデンサーに供給され、空気熱源ヒートポンプ12
のコンデンサー側の水温が上がることにより出力が向上
する。また、冬期にヒーティングタワー兼クーリングタ
ワー11の循環水を濃縮するには、循環水を加熱して水
分を蒸発させる必要があり、この加熱源として、製氷機
14を運転して氷を造るときに発生するコンデンサー側
の排熱を利用する。
【0043】なお、本発明は、上記の実施例に限定され
るものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記
の実施例では、生下水から熱回収する構成を示したが、
雑給水保有熱その他の未利用エネルギーも熱交換機を使
って間接収集するようにしてもよいことはいうまでもな
い。
【0044】
【発明の効果】製氷割合(IPF)を製氷や解氷を容易
にするためにあまり高くできないダイナミックシステム
において、大きな蓄熱槽では蓄熱水の顕熱利用を効率よ
く行うことが重要となる。本発明によれば、成層型蓄熱
でありなから4℃における比重の逆転現象をうまく処理
し、且つ一般に利用されている冷凍機で12℃内外の臭
化溶液を0℃近くまで効率よく前処理冷却された後に製
氷機で製氷を行うので、高価で面積効率の良くない製氷
機の出力のほとんどを製氷にのみ費やすことができ、そ
の容量を最小限にすることができる。
【0045】また、0℃内外の低温臭化溶液が効率よく
得られることから、蓄熱時間帯に効率よく低温度の冷水
(清水)が製造でき、氷蓄熱用のみの臭化溶液を使っ
て、容易に大容量で高密度な分散蓄熱を実現し、分散蓄
熱によって導管を細くすることができる。
【0046】しかも、蓄熱時間帯に非製氷熱源装置を使
って製氷のための事前冷却量以上に製造された0℃内外
の蓄熱水を用いることができるので、一般の冷凍機を使
った熱源装置で一次冷却した後の清水利用の熱供給蓄熱
水が、熱交換機を介した間接冷却で2℃内外まで2次冷
却することが容易にできる。このため供給先建物等プラ
ント建物外に設けられた蓄熱槽において、2℃内外の低
温で分散蓄熱ができ、全体として蓄熱容量を飛躍的に増
量することができる。
【0047】また、供給先やプラント側等の都合により
熱交換器を介した蓄熱を採用しても、蓄熱温度を5℃内
外とする比較的低い温度の蓄熱が容易になり、供給先で
使用する上で温度的問題も解消することができる。
【0048】さらには、温熱製造時でも潜熱蓄熱が有効
利用できるので、空気熱源ヒートポンプシステムの弱点
をカバーし、且つ低温度の未利用エネルギーを利用して
高効率によるヒートポンプ運転を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る分散蓄熱式熱供給システムの1
実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…低温熱源槽(温度成層式蓄熱槽)、2…冷水槽(清
水蓄熱槽)、3…温水槽、4、5…分散蓄熱槽、6…自
掃式濾過槽、7…上部分配器、8…下部分配器、11…
ヒーテングタワー兼クーリングタワー、12…空気熱源
ヒートポンプ(空気熱源装置)、13…低温水熱源ヒー
トポンプ(低温水熱源装置)、14…製氷機(製氷熱源
装置)、15…熱交換器、16…低温熱交換器、21〜
28…ポンプ、29…温水ポンプ、30…冷温水ポン
プ、31、32…3方切換弁、34、36…4方切換弁
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 5/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断熱壁で槽内を分割して相互に連通する
    管を有し蓄熱水に低濃度の軽金属と化合した臭素化物水
    溶液を使った温度成層式蓄熱槽(1)と、 該温度成層式蓄熱槽(1)の蓄熱水を循環させ分割した
    それぞれの槽に組み込まれる0℃内外の低温度冷水に製
    造できる非製氷熱源装置(13)と、 前記該温度成層式蓄熱槽(1)の蓄熱水を循環させシャ
    ーベット状の氷に製造できる製氷熱源装置(14)と、 熱供給用に設けられた清水蓄熱槽(2)と、 前記清水蓄熱槽(2)の蓄熱水を冷却する熱源装置(1
    2)と、 前記該温度成層式蓄熱槽(1)の蓄熱水を使って前記清
    水蓄熱槽(2)の蓄熱水を冷却する熱交換器(16)
    と、 分散設置された前記清水蓄熱槽(2)の蓄熱水の分散蓄
    熱槽(4)、(5)とを備え、温度成層式蓄熱槽(1)
    の蓄熱水を循環させ、非製氷熱源装置(13)で結氷温
    度近くまで一次冷却すると共に、蓄熱水の一部を製氷熱
    源装置(14)でシャーベット状の氷に変えて温度成層
    式蓄熱槽(1)に氷蓄熱し、清水蓄熱槽(2)の蓄熱水
    を、熱源装置(12)で一次冷却した後さらに温度成層
    式蓄熱槽(1)の蓄熱水を使い熱交換器(16)を介し
    て冷却し、分散設置された分散蓄熱槽(4)、(5)へ
    搬送して分散低温度蓄熱化を行うように構成したことを
    特徴とする蓄熱システム。
  2. 【請求項2】 熱交換器(16)を使用して排熱を回収
    し、温度成層式蓄熱槽(1)の氷融解熱や温水製造の低
    温水熱源装置(13)の熱源に利用するように構成した
    ことを特徴とする請求項1記載の蓄熱システム。
  3. 【請求項3】 生下水の排熱回収を自掃式濾過槽(6)
    と熱交換器(15)を用いて行うように構成したことを
    特徴とする請求項1記載の蓄熱システム。
  4. 【請求項4】 製氷熱源装置(14)の熱媒が循環する
    ヒーティングタワー(11)と空気熱源装置(12)と
    を備え、製氷熱源装置(14)で氷化する時の排熱を利
    用してヒーティングタワー(11)で利用する熱媒を加
    熱し空気熱源装置(12)の効率改善や熱媒の強制濃縮
    を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の
    蓄熱システム。
JP40255590A 1990-12-15 1990-12-15 蓄熱システム Expired - Lifetime JP3203392B2 (ja)

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