JP3202372B2 - 発熱体の冷却装置 - Google Patents

発熱体の冷却装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放熱効果を高めた発熱体
の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】IC等の発熱体のうち、特に集積度の高
いCPUやゲートアレイなどのLSIは消費電力が高
く、発熱が大きい。そのために、図4に示すような、強
制冷却を前提とした放熱フィン41がLSI42のパッ
ケージに取り付けられている。パッケージに取り付けら
れている放熱フィン(以下、既設放熱フィンという)を
もつLSI(以下、フィン付LSIという)は、特にシ
ビアな熱設計が要求される。ジャンクション温度が高い
と、寿命が短くなり信頼性が低下し、また信号のタイミ
ング等が大きくずれ特性に変動を生じるからである。し
たがって、動作補償温度範囲内の所望温度で動作させる
ことが必要となる。
【0003】フィン付LSI42では、常温空気の所定
風速値に対するジャンクション温度が規定されている。
従って、この規定値を参考にしてパッケージないしLS
Iが所望の温度になるように風速値が決められる。
【0004】しかし、決められた冷却風速は確保できる
ものの、冷却空気を常温に確保できない場合がある。プ
リント基板に沿って流れる冷却空気は、基板上に配列さ
れた発熱体から熱を奪いつつ昇温していくため、上流側
に配置された発熱体は常温の冷却空気を確保できるが、
下流側に配置された発熱体は常温の冷却空気を確保でき
ない。
【0005】このため、規定値を参考にして風速を決め
ても、プリント基板上にフィン付LSIが多数配列され
ている場合には、それらの温度分布にばらつきが生じる
ため、これら全てを所望の温度で動作させることが困難
となる。
【0006】例えば、図5(a)、(b)に示すよう
に、ゲートアレイ等のフィン付LSI42が、冷却空気
流Aに沿った配列、すなわち縦配列されてプリント基板
43上に実装された場合を考えて見よう。このような配
列のLSI42では、図5(c)に示すように、上流側
と下流側に配置されるLSI42間で大きな温度差が生
じ、その結果、動作特性に差が生じる。LSI42間で
特性が異なると、そのままでは信号のタイミングが乱れ
る等、これを組込んだ装置性能に問題が生じる。従来
は、この温度差による特性の差異を是正するため、設計
段階で、そのようなばらつきを前提としたタイミング調
整装置、例えばトリマを設け、特性が揃うようにトリマ
調整を行なっていた。しかし、このような調整は煩雑で
あり、しかも個別に要求され発熱体間で相関もあるた
め、作業性が低下するという問題があった。
【0007】この問題を解消するには、所望温度から外
れるLSIの既設放熱フィンを交換したり、新たにフィ
ンを段積み追加したりして、流れてくる冷却空気温度に
応じた放熱量を確保する必要がある。しかし、既設放熱
フィンはICパッケージと一体的に取り付けられている
ため、交換することができない。
【0008】また、例えば、表面がフラットな既設放熱
フィンにあっては、そこにタップ孔を開けて新たにフィ
ンを捩じ込む等して追加しようとしても、そのようにフ
ィン自体に加工を施すことは、製造メーカ側で保証して
おらず、また仮に加工ができたとしても、IC等を破損
するおそれがある。このように既設放熱フィンを変更す
ることは現状では困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】既設放熱フィン付きの
発熱体は、高密度実装上からプリント基板に複数個設け
られるのが普通である。この場合、既設放熱フィン付き
の発熱体のプリント基板上の配列は、冷却空気流の上流
側に位置し、かつ冷却空気流に対して交差する横配列が
理想的であるが、設計上あるいは機構上の制約により縦
配列など冷却空気に沿った配列にせざるを得ない場合が
ある。その場合、発熱体を所望温度で動作させるため
に、発熱体が所望温度となるように規定値から決定した
風速値を流すようにしても、流れる過程で冷却空気温度
が上昇していくため、各発熱体の温度分布を均一化でき
ない。これは風速を上げても不均一特性がシフトするだ
けなので、解決できない。
【0010】この問題を解決するには、発熱体の既設放
熱フィンに、さらにフィンを直接取り付けたり、交換し
たりすることができれば良いのであるが、機構上、既設
放熱フィンに追加フィンを直接取り付けたり、交換した
りすることはできない。なお、接着剤による固定方法
は、接着剤が昇温により剥がれてしまうため使用できな
い。
【0011】本発明の目的は、既設放熱フィンへの追加
放熱体の取付けを可能とするとともに、温度分布の均一
化を図ることが可能な発熱体の冷却装置を提供すること
にある。
【0012】また、本発明の目的は、複数の発熱体の既
設放熱フィンへの放熱体の取付けを可能かつ容易とし、
複数の発熱体の冷却効果を一度に高めることが可能な発
熱体の冷却装置を提供することにある。
【0013】また、本発明の目的は、既設放熱フィンへ
の放熱体の取付けを可能かつ容易とし、複数の発熱体の
冷却効果を一度に高めることが可能であり、しかも温度
分布の均一化を図ることが可能な発熱体の冷却装置を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の発熱体の冷却装
置は、放熱フィンが取り付けられている発熱体におい
て、プリント基板上に配列される発熱体の放熱フィン上
にさらに放熱体を圧接固定したものである。この場合に
おいて、予め冷却媒体によって冷却される発熱体の温度
分布特性をとっておき、その温度分布特性が均一化され
るような放熱能力をもつ放熱体を選択する。
【0015】また、本発明の発熱体の冷却装置は、放熱
フィンが取り付けられている発熱体において、プリント
基板上に配列される複数の発熱体の放熱フィン上に、さ
らに一体化した共通の放熱体を圧接固定したものであ
る。この場合において、一体化した共通の放熱体の表面
積を、プリント基板に沿って流れる冷却媒体の上流側か
ら下流側に向って増加させることが好ましい。
【0016】放熱フィンは、例えばICを例にとれば、
円柱型、側面にリング状の溝が形成されている円盤積層
型、多数のピンを立てたPGA型、無数のピンが植設さ
れたいわゆる剣山型などがあり、本発明はいずれにも適
用できるが、特に圧接固定面がフラットである放熱フィ
ンが好ましい。
【0017】発熱体は、既設放熱フィンを有しているも
のであれば、いずれにも適用できるが、特に発熱量の大
きいICとしてゲートアレイやCPUがあり、またIC
以外の発熱体としては電源ユニット等がある。
【0018】放熱体は、アルミニウムなど既設放熱フィ
ンと同一の材料を用いるか、それ以外の放熱性の良好な
金属がよい。また、放熱体は、接着固定するのではな
く、プリント基板などにビス止めするなどして既設放熱
フィンに圧接固定する。熱伝導を良好にするために、既
設放熱フィンとの間にシリコングリースや熱伝導性の良
好な伝熱シートを介在させることが好ましい。
【0019】冷却媒体は空気などの流体である。また、
一体化した共通の放熱体は、各放熱体の既設放熱フィン
間を接続するアルミニウムなどの金属板で構成する。冷
却媒体の流れ方向に沿ってプリント基板上に配列される
複数の発熱体は、必ずしも直線上に配列されている必要
はなく、斜めでも、千鳥状でもよい。また、放熱体の表
面積を、冷却媒体の上流側から下流側に向って増加させ
るためには、例えば、冷却媒体の流れ方向に沿って放熱
体を順次厚くしてやるとよい。
【0020】
【作用】プリント基板上に配列したフィン付発熱体を強
制冷却して、予め温度分布特性を取っておき、フィン付
き発熱体を所望温度とするために必要な放熱体を決定す
る。放熱体の端部をプリント基板にビス止め等して既設
放熱フィンに圧接固定する。この放熱体と既設放熱フィ
ンとの間を密着させて熱伝導を良好にするためシリコン
グリースまたは伝熱シートを介在させるとよい。
【0021】このようにして、放熱量の変更ができない
既設放熱フィン上に、さらに放熱体を圧接固定してやる
と、放熱量の変更が可能となるため、冷却仕様を満足し
ない条件下で使用する場合でも、発熱体に要求する温度
仕様を満足させることができる。その結果、発熱体の特
性をトリマ等で調整する必要がなくなるか、その調整が
容易となる。
【0022】複数の発熱体の既設放熱フィン上に、一体
化した共通の放熱体を圧接固定すると、各既設放熱フィ
ンは一つに連結されるので、放熱効果が高まる。また、
共通の放熱体を用いるので、既設放熱フィン毎に放熱体
を個別に取り付けるよりも取り付けが容易となる上、一
体の放熱体の伝熱効果により温度均一化にも寄与でき
る。
【0023】さらに、一体の放熱体を圧接固定する場合
において、冷却媒体の上流から下流に向う流れに沿った
温度分布に応じて放熱体の形状を変えて表面積を高めて
やると、各発熱体温度の均一化が図れる。
【0024】
【実施例】以下、フィン付放熱体をゲートアレイとした
本発明の実施例を説明する。
【0025】[実施例1]図1は、半導体測定装置の本
体内に組込まれるプリント基板11の一例を示したもの
である。このようなプリント基板11が測定装置の筐体
内に多数枚立設して格納される。基板11の下部側に配
設される冷却ファンユニット(図示せず)により、基板
11に沿って下方から上方に向って冷却空気Aを流すこ
とにより、基板11上のICなどの発熱体12が冷却さ
れる。
【0026】図示するように、プリント基板11上には
IC等の多数の発熱体12が実装される。発熱体12の
中でも、例えばゲートアレイ13のように特に消費電力
が大きいものには、図4に示したような既設放熱フィン
41と同様な既設放熱フィン15が取り付けられる。
【0027】冷却空気Aの流路を確保して冷却効果を高
めるためには、ゲートアレイ13は直線配列ではなく、
千鳥状配列とするのが好ましいとされている。しかし、
実際には図1(a)に示すように、冷却効果を優先して
配列が決められるのではなく、種々の制約から、列状配
列と、点状配列の2種類の配列となる場合が多い。ゲー
トアレイ13の列状配列は、下方から上方に上昇する冷
却空気流に沿って、縦一列に直線上に並べられた場合が
示してある。列状配列は、複数のゲートアレイ13が隣
接しているか、互に近接していて、1枚の放熱体14で
共通接続するのが合理的であるように配列されている2
個以上の配列を言う。したがって、広く千鳥状でも、斜
めでも、あるいは曲線上に並んでいても、横配列でも構
わない。また、塊状となって集められている塊状配列で
もよい。
【0028】点状配列は、これら列状配列に含まれず、
プリント基板上に孤立して点在している13a、13b
で示すようなゲートアレイ配列である。ここでは、これ
らの配列のうち列状配列の冷却装置を説明する。
【0029】図1に示すように、列状配列されたゲート
アレイ13は、それらの既設放熱フィン15上に、さら
に、一体化した共通の放熱体14が圧接固定される。放
熱体14は、例えば1枚の板で構成される。材質は既設
放熱フィン15と同じアルミニウムなどが好ましい。こ
の1枚の板状の放熱体14を、列状配列されているゲー
トアレイ13の各既設放熱フィン15上に、これを丁度
橋脚とするかのように、架け渡す。架け渡した放熱体1
4の余長両端部は、プリント基板11にビス16等で止
めて、放熱体14を既設放熱フィン15上に圧接固定す
る。放熱体14の表面積や厚さ、材質は、放熱体を付け
ないときの温度特性を予めとっておき、これから決定す
る。放熱体14は、単なるフラット板で構成してもよい
が、放熱面積を高めるために縦方向あるいは横方向等に
溝を設けたフィンとしてもよい。放熱体14と既設放熱
フィン15との間には、密着性を良くして熱伝導性を良
好とするためにシリコングリースなどの熱伝導性の良好
な介在物17を介在させる。シリコングリースの他に、
弾力性があり熱伝導性の良好なフィルム状の伝熱シート
(シリコーンゴムシート)を用いてもよい。
【0030】このように、既設放熱フィン15上に放熱
体14を重ねられるので、複数のゲートアレイ13の放
熱効果を一度に高めることができる。また、列状配列さ
れた各ゲートアレイ13に放熱体14を個別に取り付け
るのではなく、一括して取り付けることができるので、
取り付けが容易である。また、良好な熱伝導部材により
ゲートアレイ13間が連結されるので、基板配置により
生じる冷却温度差もある程度解消することができる。そ
れによりゲートアレイに要求される特性合わせのための
トリマ調整作業が不要となるか、楽になる。なお、可能
であれば、放熱体は放熱フィンの側面に圧接固定しても
よい。
【0031】[実施例2]図2は、実施例1をさらに改
善して、温度分布の均一化を図った例である。図1と異
なる点は、放熱体24の表面積を、冷却空気Aの上流側
から下流側に向って増加させたるようにした点である
(図2(a)、(b))。すなわち、冷却空気Aを流し
て発熱体を冷却するものでは、冷却空気が流れるプリン
ト基板上の距離にしたがって温度が上昇する(図2
(c))。このため、この温度上昇特性を是正して温度
分布が均一化するように、実施例1の1枚の放熱体24
の表面積を変えてやる。冷却空気流の上流側から下流側
に向けて、上記特性に合わせるように高さHを漸次高く
してやる。これによれば、冷却効果に加えて、温度の均
一化も図れる。
【0032】なお、この原理は冷却空気流に沿って多段
に配設される電源ユニットに適用することも可能であ
る。電源ユニットの裏側に取り付けられている放熱フィ
ン28は、上流側に比して下流側の方が熱いということ
は、経験するところである。したがって、図3(d)に
示すように、下段から上段に行くにしたがって、電源ユ
ニット20の放熱体29の高さHを高くしてやる。この
場合、1台のユニット内で面積を異ならせるようにして
もよい。これにより、電源の故障が減り、電源を組込ん
だ装置の信頼性を向上することができる。
【0033】[実施例3]ところで、プリント基板に搭
載されたゲートアレイの中には、列状配列に収らないも
のがある。これが既述した点状配列のゲートアレイ13
a、13b(図1)である。ここでは、この点状配列ゲ
ートアレイの冷却効果を個別に調整し、温度均一化を図
るようにした実施例を説明する。
【0034】図3に示すように、ゲートアレイ13の既
設放熱フィン15に放熱体34を圧接固定する。圧接固
定の方法は、図示例のように放熱体34の折り曲げた両
端をプリント基板11にビス16で固定する両端固定で
もよいが、片端のみをビス16で固定する片端固定でも
よい。また、既設放熱フィン15と放熱体34間にシリ
コングリースなどの介在物17を介在させる。これによ
り、プリント基板11上のそのゲートアレイ点での温度
分布に合せた温度調整を個別に行なうことができ、他の
ゲートアレイとの間で温度分布の均一化を図ることがで
きる。
【0035】
【発明の効果】(1)請求項1に記載の発熱体の冷却装
置によれば、既設放熱フィン上にさらに放熱体を取り付
けるので、既設放熱フィンだけでは仕様を満たさないよ
うな条件下でも、発熱体に要求される仕様を満たすこと
ができ、従来煩雑であった発熱体の温度特性を考慮した
調整が不要または容易になる。また、追加する放熱体の
取り付けは圧接固定であるので、接着剤固定のように剥
離することがなく信頼性が高い。
【0036】(2)また、冷却媒体の流れに沿って配列
される複数の発熱体の既設放熱フィン上に、一体化した
共通の放熱体を固定するようにしたので、複数の発熱体
が一度に冷却されて各発熱体の冷却効果を高めることが
でき、また、放熱体をまとめて固定できるので個別に固
定するよりも容易となる。
【0037】(3)請求項2に記載の発熱体の冷却装置
によれば、放熱体の表面積を冷却媒体の流れに沿って増
加させるようにしたので、複数の発熱体の温度分布の均
一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発熱体の冷却装置の実施例を示す実装
プリント基板の概略斜視図および要部断面図。
【図2】本実施例による複数のフィンに一括的に取り付
ける均一化を考慮にいれた発熱体の冷却装置の断面図、
斜視図、温度特性図および電源ユニットに適用した説明
図。
【図3】本実施例によるフィンに個別に取り付ける発熱
体の冷却装置の斜視図。
【図4】従来例の既設放熱フィンを取り付けたゲートア
レイの構成図。
【図5】従来例のプリント基板に実装されたフィン付L
SIの温度分布特性図。
【符号の説明】
11 プリント基板 12 発熱体 13 ゲートアレイ 14 放熱体 16 ビス 17 介在物 20 電源ユニット 24 放熱体 29 放熱体 34 放熱体
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 23/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放熱フィンが取り付けられている発熱体
    において、プリント基板上に配列される複数の発熱体の
    放熱フィン上に、さらに一体化した共通の放熱体を圧接
    固定したことを特徴とする発熱体の冷却装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発熱体の冷却装置にお
    いて、上記放熱体の表面積を、プリント基板に沿って流
    れる冷却媒体の上流側から下流側に向って増加させたこ
    とを特徴とする発熱体の冷却装置。
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