JP2002026214A - 電子部品冷却装置 - Google Patents

電子部品冷却装置

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JP2002026214A
JP2002026214A JP2000211547A JP2000211547A JP2002026214A JP 2002026214 A JP2002026214 A JP 2002026214A JP 2000211547 A JP2000211547 A JP 2000211547A JP 2000211547 A JP2000211547 A JP 2000211547A JP 2002026214 A JP2002026214 A JP 2002026214A
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electronic component
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Masahira Tasaka
誠均 田坂
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 LSIチップ等の発熱電子部品を効果的に冷
却でき、かつ従来より小型の電子部品冷却装置を提供す
る。 【解決手段】 電子部品の放熱面2上の温度境界層に臨
む通風孔12と、通風孔12に連通する圧力室18と、
圧力室18内の圧力を変動させる圧力変動手段17とを
備える電子部品冷却装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品の冷却装
置に関する。代表的な適用例としては、情報処理用電子
機器の中央演算処理装置として用いられるマイクロプロ
セッサ用LSIが形成されたシリコンチップまたはLS
Iパッケージの空冷冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロプロセッサ等の電子部品を構成
する大規模集積回路(LSI)はシリコン基板等の上に
薄膜を積層あるいは除去して形成される。このLSIは
熱に対して極めて弱く、約130〜150℃の温度で集
積回路を構成する多数の異種材料間の接合部が損なわ
れ、個々の回路素子が機能しなくなる。また、それ以下
の温度であっても、温度の上昇に伴いLSIの機能の信
頼性は著しく低下する。このため従来から、LSIを許
容温度以下に保つため、様々な冷却方式が採用されてき
た。
【0003】例えば、LSIが形成されたシリコンチッ
プ(以下、単に「チップ」と呼ぶ)を熱伝導率の比較的
大きい素材で作られたパッケージに収納し、このパッケ
ージの外表面と周囲の空気との熱伝達により熱交換を行
う自然空冷方式あるいは強制空冷方式は広く実用化され
ている。このパッケージに放熱フィンを有するヒートシ
ンクを搭載し放熱面積を増大させることにより放熱能力
を高める方法も広く用いられている。さらにこのヒート
シンクに軸流ファンを密着搭載し強制空冷する方法も用
いられている。
【0004】また他の例として、文献(Tuckerman, D.
B. and Pease, R. F., "High-Performance Heat Sinkin
g for VLSI", IEEE Electron Device Letters, Vol. ED
L-2,No.5, 198 1, pp.126-129 )には、LSIが形成さ
れたチップのLSIと反対側の基板面に、幅50μm×
深さ300μmの流路を100μmピッチで形成し、こ
の流路に冷却水を流すことによりLSIを強制水冷する
方法が開示されている。
【0005】しかし、これらの冷却方式では、次のよう
なことが問題となっている。 (A)LSIパッケージの場合、チップと冷却空気間に
パッケージ、接着剤等が介在することによる熱抵抗が生
じる。この熱抵抗は全熱抵抗(LSIと空気との間の熱
抵抗)の最大40%程度に達する。
【0006】(B)チップとパッケージとの間の熱膨張
率差に起因する熱応力を発生させることなく熱的に良好
な接続をする工夫が必要である。 (C)パッケージの小型化に伴い、放熱面積が減少し、
パッケージ自体の冷却能力が減少する。特に、今後のチ
ップ実装形態として有力な小型のチップサイズパッケー
ジ(または、チップスケールパッケージ。CSPと略称
される。)、あるいはベアチップ実装において冷却能力
の減少が顕著になる。
【0007】(D)パッケージまたはベアチップを空冷
する際、空気が冷却面と平行に流れる平行流冷却では、
冷却面の上流端下流端に向うにつれて冷却面上の空気温
度が上昇し、熱伝達低下の原因となる層(温度境界層)
が発達し冷却性能を悪化させる。この現象は、自然空冷
や冷却空気流速の遅い強制空冷の場合、特に顕著とな
る。
【0008】(E)上記(D)の平行流冷却における冷
却性能悪化を防ぐため、空気を冷却面へ垂直に吹き付け
る噴流冷却方法では、専用のノズル、配管等が必要とな
り、大きなスペースが必要となる。
【0009】(F)ヒートシンクを用いる方法あるいは
ヒートシンクをファンにより空冷する方法も、十分な性
能を持たせるためにヒートシンク単体あるいはヒートシ
ンクとファンを合わせた体積が大きくなりがちで、装置
の小型化を阻害する。
【0010】(G)前記文献に開示されたように、微細
な冷却流路を設けてLSIを強制水冷する方法は、LS
Iと流路とを完全に分離する必要があり、このためのシ
ール方式が複雑になることと、流路が微細なため圧力損
失が大きく、冷却水循環ポンプ、配管等の設備も大がか
りになる。
【0011】このように、従来の冷却方法ではチップの
高性能化、実装パッケージの小型化に応じた冷却装置の
小型・高性能化に限界があり、電子機器の小型・高性能
化を阻害する要因になりつつある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、マイ
クロプロセッサ等のLSIに代表される電子部品を効果
的に冷却でき、かつ従来より小型の電子部品冷却装置を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来品よ
り小型の電子部品冷却装置を開発すべく種々の実験検討
を行った結果、下記の知見を得た。
【0014】(a)電子部品の放熱面を流体の自然対流
もしくは強制対流により冷却する際、伝熱の律速となる
のは放熱面の表面近傍に形成される温度境界層である。 (b)温度境界層内の流体を攪拌することにより、温度
境界層の厚さが薄くなり、放熱面と冷却流体との間の熱
伝達率が増大し、電子部品の温度を効果的に低下させる
ことができる。
【0015】(c)温度境界層内へ空気を間欠的に吹き
出しあるいは間欠的に吸い込むことにより、温度境界層
の流体を攪拌できる。 (d)温度境界層内へ空気を間欠的に吹き出しあるいは
間欠的に吸い込む装置としては、温度境界層へ空気を吹
き出しあるいは間欠的に吸い込む孔を有し、この孔が空
気圧力を変動させることのできる圧力室と通じるよう形
成されているのがよい。
【0016】(e)前記圧力室の圧力変動は、圧力室を
構成する少なくとも一つの壁面を弾性変形させることに
より実現可能である。 (f)前記圧力室の壁面を弾性変形させるための駆動力
としては、静電気力を用いることが有効である。
【0017】(g)発熱体からの熱の一部が前記圧力室
の壁等を伝導し冷却空気へ放散されるようにすることに
より、前記装置自体に伝熱面積(放熱面積)を増加させ
る拡大伝熱面としての機能を兼備させることができる。
【0018】本発明は、これらの知見に基づきなされた
もので、その要旨は以下の(1)〜(4)にある。 (1)電子部品に取り付けたときに電子部品の放熱面上
の温度境界層に臨む通風孔と、該通風孔に連通する圧力
室と、該圧力室の内部の圧力を変動させる圧力変動手段
とを備えることを特徴とする電子部品冷却装置。
【0019】(2)前記圧力変動手段は、前記圧力室の
内部の少なくとも一の壁を構成する弾性変形板と、該弾
性変形板に変形を生じさせる駆動手段とからなることを
特徴とする上記(1)に記載の電子部品冷却装置。
【0020】(3)前記駆動手段は、前記弾性変形板を
静電気力により変形させる電極からなることを特徴とす
る上記(2)項に記載の電子部品冷却装置。 (4)前記電子部品冷却装置は、前記電子部品の放熱面
に固定され、電子部品冷却装置自体が拡大伝熱面をなす
ことを特徴とする上記(1)〜(3)項のいずれかに記
載の電子部品冷却装置。
【0021】なお、以下においては、電子部品冷却装置
を単に冷却装置とも表す。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。図1は、電子部品な
どの放熱面と平行に冷却空気が流入した場合の温度境界
層の形成を表す模式図である。同図に示すように、基板
3に取り付けられたチップ1(ベアチップ)からの熱Q
により空気の層が昇温され、放熱面2の上流端から下流
へ向かって、温度境界層4の厚さが増加する。温度境界
層4の厚さは冷却空気の流速が小さいほど厚くなり、温
度境界層4が厚いほど放熱面2での熱伝達率が低下す
る。この熱伝達率の低下を防ぐため温度境界層の厚さを
低減することが有効である。温度境界層の厚さを低減す
るには、放熱面に可及的に近接した位置で温度境界層を
破壊あるいは攪拌するのがよい。
【0023】図2は、本発明の冷却装置の原理を冷却装
置の一例に基づいて示す説明図であり、同図(a)は平
面図、同図(b)は側面図である。同図(a)に示すよ
うに、冷却装置11は、電子部品を構成するチップ1の
放熱面2上に一個あるいは複数個(図では複数個)が取
り付けられ、放熱面2の近傍に設けた通風孔12から空
気を間欠的に吹き出し若しくは間欠的に吸い込むことに
より、温度境界層4が発達する前に温度境界層4を攪拌
・破壊し、放熱面2の熱伝達率の低下を抑制することが
できる。なお、前記通風孔12は同図(b)に示す位置
と反対の面(紙面の裏側の面)にも設けることにより、
さらに放熱面2の熱伝達率の低下を抑制することができ
る。図2においては、発熱体であるチップ1は、マザー
ボード、ドーターボード等の一般に「基板」と称される
基板3に取り付けられており、その表面は冷却空気中へ
露出されている。なお、この他に、発熱体であるチップ
がパッケージと呼ばれる封止体に封止され、このパッケ
ージを通して冷却空気中へ放熱する場合もある。
【0024】図3は、本発明の冷却装置を被冷却体へ取
り付けた状態の例を示す斜視図である。同図において、
図2と同一要素は同一符号で示す。図3(a)は、チッ
プまたはパッケージ等の被冷却体23の放熱面2上に、
冷却装置11を取り付けた状態を示す図である。
【0025】同図に示すように、通風孔12から空気を
吹き出しあるいは吸い込むことにより、放熱面2上に形
成される温度境界層を攪拌・破壊し、放熱面2の熱伝達
率の低下を阻止することができる。冷却装置11の動力
源として例えば電力を用いる場合には、放熱面2の内部
に形成した図示しない配線を通じて冷却装置11へ電力
を供給することができる。また、冷却装置11の制御回
路は、例えば、底板13や冷却装置11の内部に集積回
路として形成することができる。
【0026】図3(b)は、被冷却体23の放熱面2上
に冷却装置11を取り付けた別の態様を示す図である。
図3(b)に示す冷却装置11は、図3(a)に示す底
板13よりも大きな底板13を備え、被冷却体23の放
熱面2上に取り付けられている。底板13の材質を熱伝
導率の高いものとすることにより、底板13が集熱板と
して機能し、底板の表面21から放熱すると同時に、冷
却装置11に熱を伝導し冷却装置11自体に拡大伝熱面
(放熱体)としての機能を具備させることができる。
【0027】図3(c)は、被冷却体23の放熱面2上
に高熱伝導板22を介して冷却装置11を取り付けた状
態を示す図である。図3(c)に示す冷却装置11は、
図3(b)の冷却装置11と同一構成であるが、底板1
3に高い熱伝導率を有する金属板やセラミックス板等の
高熱伝導板22を接合し、被冷却体23の放熱面2上に
取り付けられている。このような構成とすることによ
り、底板13として熱伝導率の良好でない材質を適用す
る場合であっても、高熱伝導板22が集熱板として機能
し、冷却装置11自体に拡大伝熱面(放熱体)としての
機能を具備させることができる。
【0028】図3(d)は、一枚の高熱伝導板22の上
に複数の冷却装置11を形成し、前記高熱伝導板22を
被冷却体23の放熱面2上に取り付けた状態を示す図で
ある。
【0029】図3(d)に示すように、一枚の高熱伝導
板22の上に複数の冷却装置11を形成したものを、チ
ップまたはパッケージ等の被冷却体23上に貼り付ける
構成とすることにより、冷却装置11の被冷却体23へ
の装着作業効率を高めることができる。
【0030】図4は、本発明の冷却装置の一例である、
図3(a)に示す冷却装置11の外観を示す拡大図であ
る。同図において、冷却装置11は、放熱面2に接する
底板13と、前記底板13に対向する天板14と、4枚
の側板(15a、15b、15c、15d)とからなる
直方体形状である(但し、15cは背面に当たるため図
示しない。15cについては図5を参照。)。また、側
板15aと図示しない側板15cの底板13近傍には通
風孔12が各々1個設けられており、前記通風孔12か
ら空気を間欠的に吹き出しあるいは吸い込むようになし
てある。
【0031】冷却ユニットの構成によっては、底板13
あるいは天板14あるいは側板15の一部を他の部材等
に兼備させることにより省略できる場合もあるが、その
場合にも同様の機能を発揮させることができる。
【0032】通風孔の位置としては、図4に示した側板
15a、15cに限定されるものではなく、温度境界層
の攪拌に寄与するならば、他の側板(15b、15
d)、天板14あるいは底板13であってもよい。さら
に、通風孔12の孔数は、図4に示すように対向する1
組の側板に1個づつ設ける場合に限らず、一の側板等に
複数個設けてもよい。
【0033】図5は、図4のA−A断面図である。同図
において、チップ1は、厚さ0.3〜0.5mmのシリ
コン基板31、前記シリコン基板31上に薄膜層として
形成したLSI層32、前記LSI層32を保護する保
護層33よりなる。前記LSI層32は、回路素子の高
集積化、スイッチングの高速化に応じて発熱密度、発熱
量が共に増加する性質をもった発熱体である。LSI層
32は前述したように熱に対して極めて弱い。保護層3
3はLSI層32を外部から電気的に絶縁すると同時
に、損傷等から保護するものである。配電層34は冷却
装置11へ電力を供給するための配線パターンが形成さ
れた層であり、絶縁層35は配電層34と外部とを電気
的に絶縁すると同時に冷却装置11の基礎構造をなして
いる。同図においては、絶縁層35の表面が放熱面2に
相当する。
【0034】図4および図5に示すように、冷却装置1
1の底板13、天板14、側板15a及び側板15cと
で囲まれた内部には、側板15a及び側板15cの内面
に夫々設けた電極19、19と、スペーサー16、1
6、16、16と、前記スペーサー16、16、16、
16により前記電極19、19と隔離して中央部に設け
た圧力変動手段である弾性変形板17と、前記電極1
9、19と前記弾性変形板17とスペーサー16、1
6、16、16と側板15b及び側板15dとで囲まれ
た圧力室18、18とを備える。また、側板15a及び
側板15cには、前記圧力室18、18と外気とを連通
する通風孔12、12を備える。そして、弾性変形板1
7を変形させることにより、圧力室内に圧力変動が生
じ、通風孔12、12を通じて空気を間欠的に吹き出し
若しくは間欠的に吸い込むことができる。
【0035】弾性変形板17に変形を生じさせる駆動手
段としては、側板15a及び側板15cの内面に設けた
電極19、19と弾性変形板17との間に配電層34か
ら電圧を印加することにより発生する静電気力(引力お
よび斥力)を用いることができる。電極19、19と弾
性変形板17との間に印加する電圧の制御は、底板13
もしくは側板15a等の冷却装置11内部、LSI層3
2または図示しない冷却装置以外の部位に制御回路を組
み込むことにより行うことができる。
【0036】弾性変形板17に変形を生じさせる駆動手
段としては、静電気力以外に電磁気力も利用することが
できる。図4および図5において発熱体であるLSI層
32から発生した熱の過半は、放熱面2において空気へ
の熱伝達により放散されるが、残りの一部は冷却装置1
1の底板13へ伝導し、また他の一部はチップ31を通
じて図示しないマザーボード等へ伝導する。冷却装置1
1の底板13へ伝導した熱は、側板15a、15b、1
5c、15dおよび天板14へ伝導し、それらの表面か
ら空気中への熱伝達により放散されるため、冷却装置は
放熱フィンの機能を果たす。底板13、側板15a、1
5b、15c、15dおよび天板14の熱伝導率が大き
い場合には、その効果が顕著になるので好ましい。
【0037】通風孔12の位置は、通風孔から吹き出さ
れる空気が放熱面2に発達する温度境界層へ届く範囲に
あるならどこでもよいが、好ましくは放熱面からの距離
が、自然対流冷却下または強制対流冷却下において、図
1に示すように冷却装置がない場合に発達する温度境界
層厚さと同程度かそれ以下とするのがよい。これは、本
発明の冷却装置の目的が温度境界層厚さの低減による熱
伝達の促進にあり、温度境界層の破壊にはその底層部の
攪拌が有効であるためである。
【0038】冷却空気の供給が自然対流、強制対流の何
れの場合であっても、本発明の冷却装置は冷却効果を奏
するが、温度境界層の発達が大きい自然対流や、冷却空
気流速の遅い強制対流の場合において、特に顕著な効果
を奏する。
【0039】通風孔から吹き出す空気速度は、通風孔の
直径d(m)を代表寸法とし、通風孔から吹き出される
空気平均速度を代表速度U(m/s)とし、これら代表
寸法と代表速度とから導出されるレイノルズ数Re(R
e=ρUd/η:但し、ρは冷却空気の密度、ηは冷却
空気の粘性率、長さの単位はm)が70以上となるよう
設定すれば温度境界層の攪拌効果が高まるので好まし
い。
【0040】次に、半導体製造プロセス技術を応用した
技術により、図4および図5に示す冷却装置11を製作
するプロセスの一例の概略を説明する。側板15aとし
て、結晶面方位が(100)である厚さ200μmの単
結晶Si基板を用いる。
【0041】先ず、単結晶Si基板の片側の表面にスペ
ーサー16、16と接する部分以外に電極19を形成す
る。電極としては、金/クロムの二層膜等を適用でき
る。次に、通風孔12の部分以外にレジスト膜を形成
し、通風孔12の部分の電極膜を除去する。この際、レ
ジスト膜の無い通風孔部分の直径、すなわち圧力室側の
通風孔の直径D(mm)は、単結晶Siのアルカリエッ
チング時に、その結晶面方位によりエッチング速度が異
なる、いわゆる異方性エッチングを利用して次のように
して決定する。
【0042】(100)面方位の単結晶Si基板では、
アルカリエッチングにおいて最もエッチング速度が小さ
い(111)面は、基板表面に対し約55°の角度をも
って交わっていることから、55°の傾斜面に囲まれた
空間形状をアルカリエッチングにより容易に形成するこ
とができる。求める直径Dは、単結晶Si基板の対抗す
る面の直径をd(mm)、単結晶Si基板の厚さをt
(mm)とすると、 D=d+1.4t として求めることができる。
【0043】図4および図5に示す冷却装置において、
外気側の通風孔の直径dを0.4mmとすると、圧力側
の通風孔の直径Dは0.68mmとなる。このようにし
て求めた直径分を露出した単結晶Si基板表面を、エッ
チング液としてイソプロピルアルコールを含む水酸化カ
リウム水溶液を用いてエッチング処理を施すことによ
り、圧力室側0.68mm、外気側0.4mmの直径を
有するノズル状の通風孔を形成することができる。
【0044】側板15cも上述した方法により同様に形
成することができる。底板13および天板14も厚さ2
00μmの単結晶Si基板を所要の寸法に切断して用い
る。
【0045】側板15b、側板15d、スペーサー1
6、16、16、16は単結晶Siと線膨張率の近い厚
さ100ミクロンのガラス基板を所要の寸法に切断し用
いる。弾性変形板17には厚さ80ミクロンの単結晶S
i基板を所要の寸法に切断し用いる。
【0046】上記手法により用意した、底板13、天板
14、側板15a、15b、15c、15d、スペーサ
ー16、16、16、16および弾性変形板17を製品
形状に組み合わせ、オーブン内で310℃に加熱しなが
ら、単結晶Si基板を正側、ガラス基板を負側として8
00Vの直流電圧を10分間印加することによりガラス
−Si−ガラスの接合体が得られる。
【0047】図3に示す冷却装置11は、チップ(ベア
チップ)等の冷却対象23に直接装着する構造を想定し
たものであるが、別に冷却装置専用の基板を用意し、そ
の上に冷却装置11を装着し、一体物の基板付き冷却装
置とし、基板をチップに貼り付けるようにしてもよい。
また、一体物の基板付き冷却装置をチップに貼り付ける
以外に、LSIパッケージの表面や放熱フィン表面等の
放熱面上に貼り付けるようにしてもよい。
【0048】図4に示す通風孔12の断面形状として
は、円形以外に、矩形、楕円形等とすることができる。
また、通風孔12中を流れる空気の流れと平行な中心軸
は、その通風孔12が設けられた壁面に垂直でなくても
差し支えない。
【0049】
【実施例】(実施例1)本発明に係る冷却装置を製作
し、LSIチップを模擬したシートヒータ表面に配置
し、自然対流冷却下で冷却性能を測定した。
【0050】製作した冷却装置を構成する冷却装置単体
の図5に示す寸法は以下の通りである。 W0=0.68mm w1=w7=0.2mm w2=w6=0.01mm w3=w5=0.09mm w4=0.08mm L0=5.0mm H0=5.0mm h1=h2=h4=h5=0.2mm h3=4.2mm h6=4.6mm h7=1.2mm 図6は、本発明の冷却装置の試験に用いたシートヒータ
上の冷却装置の配置を示す摸式図である。同図におい
て、シートヒータ23上に、上記製作した冷却装置11
が縦3行、横3列で配置されている。図6に示すシート
ヒータ23および冷却装置11の配列の寸法関係は以下
のとおりである。
【0051】 W=12.0mm(シートヒータ幅) W1=W4=1.66mm W2=W3=3.32mm L=20.0mm(シートヒータ長さ) L1=L2=2.5mm シートヒータの発熱量は熱流束一定条件で0.45Wと
した。
【0052】図6に示すシートヒータは、被冷却面(本
発明の冷却装置を設置する面)である上面が水平となる
ように設置すると共に、冷却面と反対の下面には図示し
ない厚さ5mmの断熱材を貼り付けた。
【0053】図6に示す冷却装置11を配置したシート
ヒータ23を、断面寸法が500mm×500mmの風
洞内中央部に水平に設置した。冷却装置11の電極1
9、19へ交互に電圧を印加し、弾性変形板17が変形
周波数1000Hz、最大変形振幅70μmで変形振動
するように制御したところ、各冷却装置の通風孔から間
欠的に空気の吹き出しおよび吸い込みが生じ、冷却装置
11は放熱面2の表面近傍の空気を攪拌した。この結
果、冷却空気と放熱面2の温度差は平均41℃となり、
上記温度差とヒータ表面積基準での熱伝達率は約45.
7W/(℃・m2)となった。
【0054】一方、比較例として、上記のシートヒータ
に本発明の冷却装置11を取り付けないで、その他は上
記と同一条件として風洞内中央部に設置したところ、冷
却空気と放熱面2との温度差は平均55℃となり、上記
温度差とヒータ表面積基準での熱伝達率は約34W/
(℃・m2)となった。
【0055】上記試験条件では、本発明の冷却装置を取
り付けることにより、冷却性能を1.34倍に向上でき
た。 (実施例2)本発明の冷却装置を製作し、半導体回路チ
ップを模擬したシートヒータ表面に配置し、強制対流冷
却下で冷却性能を測定した。
【0056】図4および図5の寸法記号に示す冷却装置
単体の寸法は実施例1における各寸法と同一とした。シ
ートヒータ23の被冷却面(本発明の冷却装置を設置す
る面)である上面が水平となるように設置すると共に、
冷却面と反対の下面には図示しない厚さ5mmの断熱材
を貼り付けた。シートヒータ上の冷却装置および冷却装
置の配置の寸法関係は実施例1と同一とした。
【0057】シートヒータ発熱量は熱流束一定条件で
2.0Wとした。上記の寸法の冷却装置を配置したシー
トヒータを、断面寸法が500mm×500mmの風洞
内中央部に設置した。風洞内部には冷却装置より十分下
流に設けられたブロワの吸込みによりシートヒータの発
熱面と平行に流速2m/sの冷却空気を流した。
【0058】実施例1と同様に本発明の冷却装置を駆動
してシートヒータ表面近傍の空気を攪拌した。この結
果、冷却空気温度と放熱面2との温度差は平均約98℃
となり、上記温度差とヒータ表面積基準での熱伝達率は
約85.0W/(℃・m2)となった。
【0059】一方、比較例としては、上記シートヒータ
に本発明の冷却装置11を取り付けないで、その他は上
記と同一条件として風洞内中央部に設置したところ、冷
却空気と放熱面2との温度差は平均125℃となり、上
記温度差とヒータ表面積基準での熱伝達率は約67W/
(℃・m2)となった。
【0060】上記試験条件では、本発明の冷却装置を取
り付けることにより、冷却性能を1.27倍に向上でき
た。
【0061】
【発明の効果】本発明の冷却装置によれば、LSIチッ
プ等の発熱電子部品を効果的に冷却でき、かつ従来より
小型の電子部品の冷却装置を得ることができる。
【0062】本発明をLSIチップ等の電子部品の冷却
に適用すれば、電子機器を小型かつ高性能化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放熱面と平行に冷却空気が流入した場合の温度
境界層の形成を表す模式図である。
【図2】本発明の冷却装置の原理を冷却装置の一例に基
づいて示す説明図であり、同図(a)は平面図、同図
(b)は側面図である。
【図3】本発明の冷却装置を被冷却体へ取り付けた状態
の例を示す斜視図である。
【図4】図3(a)に示す冷却装置11の外観を示す拡
大図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の冷却装置の試験に用いたシートヒータ
上の冷却装置の配置を示す摸式図である。
【符号の説明】
1:チップ 2 :放熱面 3:基板 11:冷却装置 12:通風孔 13:冷却装置底板 14:冷却装置天板 15:冷却装置側板 16:スペーサー 17:弾性変形板 18:圧力室 19:電極 21:底板の表面 22:高熱伝導板 23:被冷却体 31:シリコン基板 32:LSI層 33:保護層 34:配電層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子部品に取り付けたときに電子部品の
    放熱面上の温度境界層に臨む通風孔と、該通風孔に連通
    する圧力室と、該圧力室の内部の圧力を変動させる圧力
    変動手段とを備えることを特徴とする電子部品冷却装
    置。
  2. 【請求項2】 前記圧力変動手段は、前記圧力室の内部
    の少なくとも一の壁を構成する弾性変形板と、該弾性変
    形板に変形を生じさせる駆動手段とからなることを特徴
    とする請求項1に記載の電子部品冷却装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動手段は、前記弾性変形板を静電
    気力により変形させる電極からなることを特徴とする請
    求項2に記載の電子部品冷却装置。
  4. 【請求項4】 前記電子部品冷却装置は、前記電子部品
    の放熱面に固定され、電子部品冷却装置自体が拡大伝熱
    面をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の電子部品冷却装置。
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