JP3201585B2 - 短パルス電子ビームの加速及び圧縮の方法とその装置 - Google Patents
短パルス電子ビームの加速及び圧縮の方法とその装置Info
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Description
ムの加速及び圧縮の方法と装置に関し、極短パルス電子
ビームの発生に適した方法と装置に関する。
V以上に加速するために、ライナックが使用されてい
た。ライナックは、電子ビームの進行方向に沿って高周
波電界を発生し電子を加速する。
る場合には、ライナックにより加速された電子ビームに
対して磁気的なパルス圧縮を行う。
かつパルス幅を圧縮するためには、ライナックと磁気圧
縮装置を配備する必要がある。
速とパルス幅の圧縮を行うことができるパルス状電子ビ
ームの加速圧縮技術を提供することである。
と、電子の周回軌道を画定し、該周回軌道の一部に電子
を加速するための高周波電界を発生する加速管が配置さ
れたマイクロトロンの該加速管にパルス状の電子ビーム
を入射する工程と、入射した電子ビームを前記電子軌道
に沿って周回させながら前記加速管で加速しつつ、該電
子ビームのパルス幅を圧縮する工程と、パルス幅の圧縮
された前記電子ビームを前記電子軌道の外に取り出す工
程とを有する電子ビームの加速圧縮方法が提供される。
道を画定し、該周回軌道の一部に電子を加速するための
高周波電界を発生する加速管が配置されたマイクロトロ
ンと、前記加速管内に高周波電界を発生するためのマイ
クロ波を出力するマイクロ波発生源と、前記加速管にパ
ルス状の電子ビームを入射する電子ビーム源とを有し、
前記加速管に入射するパルス状の電子ビームと、前記マ
イクロ波とが、相互に同期している電子ビーム加速圧縮
装置が提供される。
を加速する。この入射電子ビームがパルス状電子ビーム
である場合には、出射電子ビームのパルス幅が入射電子
ビームのパルス幅に比べて圧縮される。
ルス状電子ビームの加速圧縮装置の概略図を示す。この
パルス状電子ビーム加速圧縮装置は、主として一対の偏
向電磁石10と加速管11を含むマイクロトロン、電子
ビーム源13、マイクロ波発生源12、及び契機信号発
生源14を含んで構成される。
異なる複数のレーストラック型電子軌道1が画定されて
いる。各電子軌道1は、直線部分1a、1bと2つの半
円周部分1cにより構成される。直線部分1aは、すべ
ての電子軌道により共有される。他方の直線部分1b
は、半円周部分1cの曲率半径により、その位置が定ま
る。半円周部分1cの曲率半径は、偏向電磁石10の間
隙部に入射する電子の持つエネルギにより定まる。
ビーム加速管11が配置されている。マイクロ波発生源
12から出力されるマイクロ波が、導波管を経由して加
速管11に導入される。加速管11は、マイクロ波が発
生する高周波電界により、入射した電子ビームのエネル
ギを増加させる。電子のエネルギが増加すると、電子軌
道1の半円周部分1cの曲率半径が大きくなる。従っ
て、電子が加速管11を通過する毎に、その電子の描く
軌道の半円周部分1cの曲率半径が大きくなる。
から与えられる契機信号に基づいて、パルス状の電子ビ
ームを放出する。契機信号発生器14は、マイクロ波発
生源12から出力されるマイクロ波の位相が電子ビーム
の位相と同期するように契機信号を発生する。契機信号
とマイクロ波との好ましい位相関係については、後述す
る。
ソード付きRF電子銃を用いることができる。この場
合、契機信号に同期して、RF電子銃のフォトカソード
に短パルスレーザ光を照射する。
パルス状電子ビームは、加速管11の出射端から電子軌
道1aに沿って加速管11内に入射する。加速管11に
より加速された電子ビームは、入射端側の偏向電磁石1
0により折り返され、電子軌道1aに沿って加速管11
の入射端に戻る。加速管11の入射端に戻った電子ビー
ムは、再び加速管11により加速され、出射端から出射
する。出射端から出射した電子ビームは、レーストラッ
ク型の電子軌道1を描いて加速管11の入射端に戻って
くる。この周回運動を繰り返すことにより、電子ビーム
は徐々に加速され、電子軌道1が徐々に大きくなる。
子ビームを、加速管11の入射端から入射すると、初回
のレーストラック型電子軌道の半円周部分の曲率半径が
小さくなりすぎて戻ってきた電子ビームが加速管11の
外壁部分に衝突してしまう。これを回避するために、最
初の電子ビームを加速管11の出射端から入射させ、加
速された電子ビームを同一直線軌道上に折り返し、加速
管11の入射端から入射させている。入射端から入射す
る電子ビームは、既に加速管11で1回加速されている
ため、偏向電磁石10によりある程度大きな曲率半径を
確保できる。このため、レーストラック型電子軌道1に
沿って周回させても加速管11の外壁部に衝突すること
はない。
1の最外周軌道に対応する直線部分1b上に配置されて
いる電磁石15によってその進行方向を変えられ、周回
軌道1から離脱する。周回軌道1から離脱した電子ビー
ムは、取出管16内をその軸方向に進行し、外部に取り
出される。
で構成されるレーストラック型マイクロトロン自体は、
既に知られている。しかし、従来のレーストラック型マ
イクロトロンには、連続的若しくは脈流的な電子ビーム
が入射されていた。連続的な電子ビームを入射すると、
加速管11内に発生する高周波電界の位相との関係で一
定の位相条件を満たす時に入射したビームのみが加速さ
れて取り出され、それ以外のビームは軌道を周回するう
ちに消滅する。この位相条件は、カピッツァとメレキン
によって明らかにされている。
ルス状の電子ビームを入射すると、電子ビームが加速さ
れるのみならず、そのパルス幅も圧縮されることを新た
に発見した。以下、パルス状電子ビームの入射位相条件
とパルス幅の圧縮との関係について説明する。
す。電子軌道1aに沿って7つの半波長空洞50が配列
し、その両端に1つずつ1/4波長空洞51が配置され
ている。1/4波長空洞の開口部は、電子軌道1aに対
応する部分に貫通孔を有する金属板54で閉じられてい
る。相互に隣接する空洞50及び51は、連通空洞53
を介して相互に連通している。
しており、導波管55を経由してマイクロ波が導入され
る。導入されたマイクロ波は、両端の1/4波長空洞5
1に向かって半波長空洞50内を順番に伝搬する。この
とき、各半波長空洞50及び1/4波長空洞51内に電
子軌道1aに沿った高周波電界が発生する。相互に隣り
合う空洞50及び51内の高周波電界の向きは逆向きに
なる。即ち、一方が加速電界のとき、他方は減速電界に
なる。
1内の高周波電界は、余弦関数に従って変化する。位相
−90〜90°の期間に入射端側の1/4波長空洞51
内に発生する電界の向きが、電子に対する加速電界に相
当するように電界の向きを定義する。図1において、電
子ビーム源13から出射して加速管11に入射し、偏向
電磁石10によって1回折り返されて戻ってきた電子ビ
ームが、1/4波長空洞51内に入射する時点の高周波
電界の位相を入射電子ビームの初期位相と呼ぶこととす
る。
ち、外部に取り出される電子の個数のシミュレーション
結果を示す。図3(A)は、初期位相に関する入射電子
数の分布を表し、図3(B)は、加速管11の出射端か
ら入射した電子ビームが折り返して再度加速管11の入
射端に到達してから加速管11を25回通過した後の出
射電子数の位相分布を表す。
を表し、縦軸は、入射する電子数を表す。すなわち、位
相0°に対応する電子数は、1/4波長空洞51内の電
界が最大の加速電界になった時に入射した電子数に相当
する。シミュレーションに用いた加速管11の加速エネ
ルギは6MeV、高周波電界の周波数は2856MHz
である。加速管11を25回通過すると、電子ビームの
エネルギは、150MeVだけ増加する。なお、入射す
る電子の総個数は1000個とし、その位相分布及びそ
の電子の有するエミッタンスは乱数により設定した。
波電界の位相に対応し、縦軸は電子の個数を表す。入射
した1000個の電子のうち447個の電子が出射され
た。入射したすべての電子が出射されないのは、エミッ
タンスの悪い電子が加速途中に電子軌道から外れてしま
ったためである。
相0°から30°までほぼランダムに分布しているのに
対し、出射電子数は、ほぼ164°の位相を中心として
正規分布に近い分布を有することがわかる。この分布を
正規分布と仮定したとき、2σは約6°であり、出射電
子総数のうち68%の電子が、位相幅6°以内に納まっ
ていることになる。位相幅30°は時間約30psに相
当し、位相幅6°は時間約6psに相当する。すなわ
ち、パルス幅30psの電子ビームが、パルス幅6ps
まで圧縮されたことになる。
の幅を5°としたときの、各初期位相毎の出射電子数の
位相分布を示す。図4(A)〜4(F)は、それぞれ初
期位相が0〜5°、5〜10°、10〜15°、15〜
20°、20〜25°、及び25〜30°の場合に対応
する。初期位相φini が10〜15°、及び15〜20
°のときに、特に高い圧縮効果を得られることが分か
る。また、図4(A)〜4(F)からわかるように、安
定した圧縮効果を得るためには、マイクロ波と契機信号
との位相関係を、5ps程度の精度で制御することが好
ましく、1ps程度の精度で制御することがより好まし
い。
が10〜20°の範囲にある場合の出射電子数の位相分
布を示す。位相分布の2σは約1.4°であり、パルス
幅約10psのパルス状電子ビームを加速することによ
り、パルス幅約1.4psの電子ビームを得られること
がわかる。
が12〜17°の範囲にある場合の出射電子数の位相分
布を示す。位相分布の2σは1°以下であり、パルス幅
約5psのパルス状電子ビームを加速することにより、
パルス幅1ps以下の電子ビームを得られることがわか
る。
ムの加速圧縮装置を用いることにより、パルス状電子ビ
ームのエネルギを増加させつつ、同時にパルス幅を圧縮
することが可能になる。また、入射電子ビームのパルス
幅が数ps程度まで短くなっても、パルス幅圧縮効果を
得ることができる。なお、実施例によるパルス状電子ビ
ームの加速圧縮装置により得られた極短パルス電子ビー
ムを、さらに磁気圧縮装置により磁気的に圧縮してもよ
い。
クロトロンを用いた場合について説明したが、周回軌道
を描いて電子ビームを加速するものであれば、その他の
マイクロトロンを用いてもよい。
ンにも、パルス状の電子ビームが入射する。しかし、シ
ンクロトロンでは、入射した電子は何百万回となく同一
の軌道を周回し加速される。このため、電子自身が前に
通過した時に誘起した場(ウィークフィールド)や磁石
等による磁場のゆらぎの影響を常に受けつづける。この
影響により、電子はシンクロトロン内を周回することに
より、入射時の記憶(ミッタンス)を失ってしまう。こ
れに対しマイクロトロンでは、周回数が高々数十回であ
り、しかも周回毎に軌道が変わるため、入射電子の記憶
を保持したまま加速される。このように、マイクロトロ
ンとシンクロトロンとは、その入射時の記憶の保持状態
に関して全く異なる性質を有する。
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
マイクロトロンを用いて、パルス状電子ビームを加速
し、同時にそのパルス幅を圧縮することができる。ま
た、パルス状電子ビームが加速管に入射する時点におけ
る加速管内に発生する高周波電界の位相を制御すること
により、圧縮効果を高めることが可能になる。
速圧縮装置の概略図である。
布を示すグラフ、及び出射電子数の位相分布を示すグラ
フである。
ときの、出射電子数の位相分布を示すグラフである。
〜20°の範囲に限定したときの、出射電子数の位相分
布を示すグラフである。
〜17°の範囲に限定したときの、出射電子数の位相分
布を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 電子の周回軌道を画定し、該周回軌道の
一部に電子を加速するための高周波電界を発生する加速
管が配置されたマイクロトロンの該加速管にパルス状の
電子ビームを入射する工程と、 入射した電子ビームを前記電子軌道に沿って周回させな
がら前記加速管で加速しつつ、該電子ビームのパルス幅
を圧縮する工程と、 パルス幅の圧縮された前記電子ビームを前記電子軌道の
外に取り出す工程とを有する電子ビームの加速圧縮方
法。 - 【請求項2】 前記電子ビームを入射する工程におい
て、 前記加速管に余弦関数に従って変化する高周波電界を発
生させ、前記高周波電界の位相が10〜20度のときに
前記電子ビームを前記加速管に入射する請求項1に記載
の電子ビームの加速圧縮方法。 - 【請求項3】 電子の周回軌道を画定し、該周回軌道の
一部に電子を加速するための高周波電界を発生する加速
管が配置されたマイクロトロンと、 前記加速管内に高周波電界を発生するためのマイクロ波
を出力するマイクロ波発生源と、 前記加速管にパルス状の電子ビームを入射する電子ビー
ム源とを有し、 前記加速管に入射するパルス状の電子ビームと、前記マ
イクロ波とが、相互に同期している電子ビーム加速圧縮
装置。 - 【請求項4】 前記電子ビーム源が、外部から与えられ
る契機信号に同期してパルス状の電子ビームを放出し、 さらに、前記マイクロ波発生源から出力されるマイクロ
波の位相に同期して前記契機信号を出力する契機信号発
生源を有する請求項3に記載の電子ビーム加速圧縮装
置。 - 【請求項5】 前記加速管内に発生する高周波電界が余
弦関数に従って変化し、 前記契機信号発生源が、高周波電界の位相10°〜20
°のときに、前記パルス状の電子ビームが前記加速管に
入射するように前記契機信号を発生する請求項4に記載
の電子ビーム加速圧縮装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04652497A JP3201585B2 (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 短パルス電子ビームの加速及び圧縮の方法とその装置 |
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JP04652497A JP3201585B2 (ja) | 1997-02-28 | 1997-02-28 | 短パルス電子ビームの加速及び圧縮の方法とその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10241900A JPH10241900A (ja) | 1998-09-11 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|---|
CN111212512A (zh) * | 2020-03-06 | 2020-05-29 | 陕西利友百辉科技发展有限公司 | 加速装置、辐照系统和高能电子制造设备及其使用方法 |
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1997
- 1997-02-28 JP JP04652497A patent/JP3201585B2/ja not_active Expired - Fee Related
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