JP3200741B2 - 弦振動ピックアップ装置 - Google Patents
弦振動ピックアップ装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ギター等に張設さ
れた弦の振動を検出する弦振動ピックアップ装置に関す
る。
れた弦の振動を検出する弦振動ピックアップ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電子ギターのボディには弦の振動
を検出するピックアップ装置が取り付けられている。こ
のピックアップ装置としては、電圧素子を用いたピエゾ
型のピックアップ装置と、コイル及び永久磁石を備えた
電磁型のピックアップ装置等が存在し、前記ピエゾ型の
ピックアップ装置にあっては前記弦の一端を支持するブ
リッジにマウントされ、常時弦に接触した状態で該弦か
ら直接的に振動を検出する。また、前記電磁型のピック
アップ装置にあっては、前記ボディに弦と非接触状態に
て取り付けられ、弦の振動に伴ってコイルに発生する起
電力をピックアップ信号として出力する。
を検出するピックアップ装置が取り付けられている。こ
のピックアップ装置としては、電圧素子を用いたピエゾ
型のピックアップ装置と、コイル及び永久磁石を備えた
電磁型のピックアップ装置等が存在し、前記ピエゾ型の
ピックアップ装置にあっては前記弦の一端を支持するブ
リッジにマウントされ、常時弦に接触した状態で該弦か
ら直接的に振動を検出する。また、前記電磁型のピック
アップ装置にあっては、前記ボディに弦と非接触状態に
て取り付けられ、弦の振動に伴ってコイルに発生する起
電力をピックアップ信号として出力する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のピエゾ型のピックアップ装置や電磁型のピッ
クアップ装置にあっては、弦の振動を直接的に検出する
か間接的に検出するかの相違はあるにしても、自由振動
している弦の振動を検出しピックアップ信号に変換して
出力するに過ぎない。このため、該ピックアップ信号を
用いて音源を駆動しても、発生する楽音の音質特性は弦
の自由振動のみに依存するものとなり、発生する楽音の
音質が単純なものとなって、豊かな演奏表現を行うこと
ができない。
うな従来のピエゾ型のピックアップ装置や電磁型のピッ
クアップ装置にあっては、弦の振動を直接的に検出する
か間接的に検出するかの相違はあるにしても、自由振動
している弦の振動を検出しピックアップ信号に変換して
出力するに過ぎない。このため、該ピックアップ信号を
用いて音源を駆動しても、発生する楽音の音質特性は弦
の自由振動のみに依存するものとなり、発生する楽音の
音質が単純なものとなって、豊かな演奏表現を行うこと
ができない。
【0004】そこで、イコライザーを用いて特定周波数
を強調させあるいは減衰させることにより、音質を変化
させ、これにより音質の改善を図る手法も一般的に行わ
れている。しかし、例えば電子ギターにおいて発生楽音
に含まれる倍音の量は弦の特性や、ボディ、ネック、フ
レット、ブリッジ等のギター本体を構成する各部の振動
固有値やヤング率により決定されてしまう。よって、イ
コライザーを如何に駆使しても、特定周波数の強調及び
減衰によって音質を変化させ得るに止まり、多くの倍音
が含まれている楽音によって得られるような暖かみや自
然感のある豊かな演奏表現までも行い得るものではなか
った。
を強調させあるいは減衰させることにより、音質を変化
させ、これにより音質の改善を図る手法も一般的に行わ
れている。しかし、例えば電子ギターにおいて発生楽音
に含まれる倍音の量は弦の特性や、ボディ、ネック、フ
レット、ブリッジ等のギター本体を構成する各部の振動
固有値やヤング率により決定されてしまう。よって、イ
コライザーを如何に駆使しても、特定周波数の強調及び
減衰によって音質を変化させ得るに止まり、多くの倍音
が含まれている楽音によって得られるような暖かみや自
然感のある豊かな演奏表現までも行い得るものではなか
った。
【0005】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、強制的に倍音を発生させることに
より音質を向上させるとともに、演奏表現の自在性を向
上させた弦振動ピックアップ装置を提供することを目的
とするものである。
なされたものであり、強制的に倍音を発生させることに
より音質を向上させるとともに、演奏表現の自在性を向
上させた弦振動ピックアップ装置を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明にあっては、弦楽器に張設された弦の振動を検
出してピックアップ信号を出力するピックアップ装置本
体と、該ピックアップ装置本体に支持され常時は前記弦
と非接触状態を維持し、かつ、前記弦が振動した際に該
弦と接触可能な接触子と、該接触子の弦に対する位置を
調整するための調整手段とを備えている。また、前記接
触子は複数の弦に各々対応して複数個設けられ、前記調
整手段は各接触子を対応する弦に対して近接及び離間す
る方向に位置調整可能であることが好ましい。
に本発明にあっては、弦楽器に張設された弦の振動を検
出してピックアップ信号を出力するピックアップ装置本
体と、該ピックアップ装置本体に支持され常時は前記弦
と非接触状態を維持し、かつ、前記弦が振動した際に該
弦と接触可能な接触子と、該接触子の弦に対する位置を
調整するための調整手段とを備えている。また、前記接
触子は複数の弦に各々対応して複数個設けられ、前記調
整手段は各接触子を対応する弦に対して近接及び離間す
る方向に位置調整可能であることが好ましい。
【0007】
【作用】前記構成において、前記調整手段を操作して接
触子の位置を調整し、例えば弾弦を行ったときのみ、弦
と接触するように接触子を位置させる。この状態で弾弦
を行うと、振動開始時に弦が接触子と接触し、これによ
り振動を開始した弦に衝撃荷重が加わった状態となり、
該衝撃荷重が加わることにより弦は非線形の振動特性、
応力変化、変位を示す。このため、エンベロープのアタ
ック部分は単に弾弦を行った場合とは異なった形状とな
り、これにより音色が変化するとともに、弦の振動は単
に弾弦を行った場合のように単純な振動となることな
く、倍音成分を含む複雑な振動波形となる。
触子の位置を調整し、例えば弾弦を行ったときのみ、弦
と接触するように接触子を位置させる。この状態で弾弦
を行うと、振動開始時に弦が接触子と接触し、これによ
り振動を開始した弦に衝撃荷重が加わった状態となり、
該衝撃荷重が加わることにより弦は非線形の振動特性、
応力変化、変位を示す。このため、エンベロープのアタ
ック部分は単に弾弦を行った場合とは異なった形状とな
り、これにより音色が変化するとともに、弦の振動は単
に弾弦を行った場合のように単純な振動となることな
く、倍音成分を含む複雑な振動波形となる。
【0008】また、前記接触子が各弦ごとに設けられ、
この各弦ごとに設けられた各接触子の位置が調整可能で
あることにより、前記音色の変化や倍音成分の発生を各
弦ごとに調整することが可能となる。つまり、前記接触
子をより弦に近接させる方向に位置させると、弦が接触
子に接触した際の衝撃荷重が増大して、弦の振動波形は
より複雑化し、また、接触子の弦長手方向の位置を変化
させると、倍音成分の発生周波数帯域が変化する。
この各弦ごとに設けられた各接触子の位置が調整可能で
あることにより、前記音色の変化や倍音成分の発生を各
弦ごとに調整することが可能となる。つまり、前記接触
子をより弦に近接させる方向に位置させると、弦が接触
子に接触した際の衝撃荷重が増大して、弦の振動波形は
より複雑化し、また、接触子の弦長手方向の位置を変化
させると、倍音成分の発生周波数帯域が変化する。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面にした
がって説明する。すなわち、図2に示したギター本体1
には、ボディ2と該ボディ2に一端を支持されたネック
3、及び該ネック3の他端に設けられたヘッド4とが設
けられている。該ヘッド4には、6個の糸巻き装置5が
設けられており、各糸巻5には6本の弦6・・・の一端
が係止され、該弦6・・・の他端は前記ボディ2に設け
られたトレモロユニット7に係止されている。前記ボデ
ィ2には、前記ネック3の近傍に電磁型のピックアップ
装置23が配設されており、前記トレモロユニット7の
近傍には図1に示したように、組み付け穴8が形成さ
れ、該組み付け穴8の両側部には螺孔9,9が設けられ
ている。
がって説明する。すなわち、図2に示したギター本体1
には、ボディ2と該ボディ2に一端を支持されたネック
3、及び該ネック3の他端に設けられたヘッド4とが設
けられている。該ヘッド4には、6個の糸巻き装置5が
設けられており、各糸巻5には6本の弦6・・・の一端
が係止され、該弦6・・・の他端は前記ボディ2に設け
られたトレモロユニット7に係止されている。前記ボデ
ィ2には、前記ネック3の近傍に電磁型のピックアップ
装置23が配設されており、前記トレモロユニット7の
近傍には図1に示したように、組み付け穴8が形成さ
れ、該組み付け穴8の両側部には螺孔9,9が設けられ
ている。
【0010】前記組み付け穴8には、ケース10を有す
るピックアップ装置本体11が受容されており、前記ケ
ース10内には電磁ピックアップ12が収容配置されて
いる。このケース10の相対向する両側部には、フラン
ジ20が突設されており、該フランジ20にはビス1
3,13が挿通されている。該ビス13,13にはスプ
リング25が遊挿されており、このスプリング25が遊
挿されたビス13,13を前記螺孔9に螺合させること
によって、前記ピックアップ装置本体11は上下方向へ
位置調整可能な状態で前記ボディ2に固定されている。
また、前記フランジ20,20には、周面にローレット
が刻設された頭部14を有する取り付けねじ15が螺合
されており、該取り付けねじ15にはスプリング16が
嵌挿されている。
るピックアップ装置本体11が受容されており、前記ケ
ース10内には電磁ピックアップ12が収容配置されて
いる。このケース10の相対向する両側部には、フラン
ジ20が突設されており、該フランジ20にはビス1
3,13が挿通されている。該ビス13,13にはスプ
リング25が遊挿されており、このスプリング25が遊
挿されたビス13,13を前記螺孔9に螺合させること
によって、前記ピックアップ装置本体11は上下方向へ
位置調整可能な状態で前記ボディ2に固定されている。
また、前記フランジ20,20には、周面にローレット
が刻設された頭部14を有する取り付けねじ15が螺合
されており、該取り付けねじ15にはスプリング16が
嵌挿されている。
【0011】一方、接触子17は6本の弦6に直交し得
る長さを有する長尺部18と、該長尺部18の両端に設
けられた取付部19,19とから構成されており、C
u,Ni,Tiの合金にて鋳造後、切削して加工されて
いる。そして、前記取付部19,19を前記スプリング
16と頭部14間に弾持することにより、前記接触子1
7は、ピックアップ装置本体11の前記フランジ20に
支持され、これにより前記長尺部18は前記6本の弦6
の下部において、該弦6と直交する方向に配設されてい
る。また、前記長尺部18は、すべての弦6・・・から
等距離となるように上方に膨出する湾曲状(例えば、R
420)に形成されているとともに、その断面形状は図
3の(a)に示したように、1つの頂点21を弦6に向
けた正三角形に形成されている。
る長さを有する長尺部18と、該長尺部18の両端に設
けられた取付部19,19とから構成されており、C
u,Ni,Tiの合金にて鋳造後、切削して加工されて
いる。そして、前記取付部19,19を前記スプリング
16と頭部14間に弾持することにより、前記接触子1
7は、ピックアップ装置本体11の前記フランジ20に
支持され、これにより前記長尺部18は前記6本の弦6
の下部において、該弦6と直交する方向に配設されてい
る。また、前記長尺部18は、すべての弦6・・・から
等距離となるように上方に膨出する湾曲状(例えば、R
420)に形成されているとともに、その断面形状は図
3の(a)に示したように、1つの頂点21を弦6に向
けた正三角形に形成されている。
【0012】以上の構成にかかる本実施例において、演
奏を開始するに際しては予め取り付けねじ15をその頭
部14にて所定の方向に回転操作して、接触子17を最
下位置に下げておき、前記ビス13や図示しない弦高調
節ねじを操作することによりピックアップ装置本体11
の高さや弦6の高さを演奏者の好みの状態に設定する。
次に、再度前記取り付けねじ15をその頭部14にて、
前述とは逆の方向に回転操作し、弾弦したとき弦6が僅
かに前記長尺部18に接触する位置まで、接触子17を
上昇移動させる。これにより、図4に示したように接触
子17の長尺部18は、弦6との間にクリアランスCを
もってその下方に定位し、この状態が形成されることに
より演奏に先立ったセッティグが完了する。
奏を開始するに際しては予め取り付けねじ15をその頭
部14にて所定の方向に回転操作して、接触子17を最
下位置に下げておき、前記ビス13や図示しない弦高調
節ねじを操作することによりピックアップ装置本体11
の高さや弦6の高さを演奏者の好みの状態に設定する。
次に、再度前記取り付けねじ15をその頭部14にて、
前述とは逆の方向に回転操作し、弾弦したとき弦6が僅
かに前記長尺部18に接触する位置まで、接触子17を
上昇移動させる。これにより、図4に示したように接触
子17の長尺部18は、弦6との間にクリアランスCを
もってその下方に定位し、この状態が形成されることに
より演奏に先立ったセッティグが完了する。
【0013】そして、このセッティグが完了した状態か
ら演奏を開始して弾弦を行うと、図5に示したように、
振動開始時に弦6が前記長尺部18の頂点21と接触
し、これにより振動を開始した弦6には衝撃荷重が加わ
った状態となる。したがって、図6の(a)に示したよ
うに、弦6が接触子17と接触した時点である接触点P
以降においては、前記衝撃荷重が加わることにより弦6
は非線形の振動特性、応力変化、変位を示す。
ら演奏を開始して弾弦を行うと、図5に示したように、
振動開始時に弦6が前記長尺部18の頂点21と接触
し、これにより振動を開始した弦6には衝撃荷重が加わ
った状態となる。したがって、図6の(a)に示したよ
うに、弦6が接触子17と接触した時点である接触点P
以降においては、前記衝撃荷重が加わることにより弦6
は非線形の振動特性、応力変化、変位を示す。
【0014】つまり、仮に接触子17をその長尺部18
が常に弦6と接触しない位置にセットしたとすると、図
7の(a)に示したように、弦6の振動は乱れのない単
純な波形となり、よって音色を左右するエンベロープの
アタック部分の特性もボディ2やネック3等のギター本
体1を構成する各部の振動固有値やヤング率により決定
されてしまう。その結果、アタック部のf特性は図7の
(b)に示したように、基音が最も高く倍音に関しては
その周波数が高い成分ほどレベルは低下し、1KHz以
上の帯域の倍音は極端に低下した特性となる。そして、
一般的にエンベロープにおいてアタック部分の特性は音
質を大きく左右し、アタック部分により音質が決定され
ることから、図7の(b)に示したような倍音成分の少
ないf特性の音は、音質として単純となり、その評価と
して「暖かみにかける」「音が細すぎる」「低級な」
「人工的な」等の受聴感となる。
が常に弦6と接触しない位置にセットしたとすると、図
7の(a)に示したように、弦6の振動は乱れのない単
純な波形となり、よって音色を左右するエンベロープの
アタック部分の特性もボディ2やネック3等のギター本
体1を構成する各部の振動固有値やヤング率により決定
されてしまう。その結果、アタック部のf特性は図7の
(b)に示したように、基音が最も高く倍音に関しては
その周波数が高い成分ほどレベルは低下し、1KHz以
上の帯域の倍音は極端に低下した特性となる。そして、
一般的にエンベロープにおいてアタック部分の特性は音
質を大きく左右し、アタック部分により音質が決定され
ることから、図7の(b)に示したような倍音成分の少
ないf特性の音は、音質として単純となり、その評価と
して「暖かみにかける」「音が細すぎる」「低級な」
「人工的な」等の受聴感となる。
【0015】これに対し、前述のようなセッティングを
行うと図6の(a)に示しかつ前述したように、弦6が
接触子17と接触した時点である接触点P以降において
は、前記衝撃荷重が加わることにより弦6は非線形の振
動特性、応力変化、変位を示す。よって、弦6の振動は
乱れを多分に含んだ複雑な波形となり、その結果音色を
左右するエンベロープのアタック部分もボディ2やネッ
ク3等のギター本体1を構成する各部の振動固有値やヤ
ング率により決定されてしまうことなく、前記衝撃荷重
による非線形の振動特性等により極めて複雑な特性とな
る。
行うと図6の(a)に示しかつ前述したように、弦6が
接触子17と接触した時点である接触点P以降において
は、前記衝撃荷重が加わることにより弦6は非線形の振
動特性、応力変化、変位を示す。よって、弦6の振動は
乱れを多分に含んだ複雑な波形となり、その結果音色を
左右するエンベロープのアタック部分もボディ2やネッ
ク3等のギター本体1を構成する各部の振動固有値やヤ
ング率により決定されてしまうことなく、前記衝撃荷重
による非線形の振動特性等により極めて複雑な特性とな
る。
【0016】すなわち、前記セッティングを行った場合
には、アタック部のf特性は図6の(b)に示したよう
に基音が最も高いレベルとなり、この点に関しては図7
の(b)と同様であるが、1KHz付近以上の周波数帯
域は、前記衝撃荷重により弦6が振動する結果、強制的
に倍音が生成された領域αが生ずる。そして、前述のよ
うにエンベロープにおいてアタック部分の特性は音質を
大きく左右し、アタック部分により音質が決定されるこ
とから、図6の(b)に示したような倍音成分を多く含
むf特性の音は、その音質として一般的に「暖かい」
「音が太い」「高級な」「人工的でなく自然な」等の受
聴感となる。かかる評価は、本実施例が単にsin波合
成のように単純が波形合成による音作りやイコライザー
を用いた音作りとは根本的に異なり、前記衝撃荷重によ
る非線形の波形を発生させた音作りであることを鑑みれ
ば必然である。よって、従来の波形合成やイコライザー
を用いた音作りによっては得られない、多くの倍音が含
まれた暖かみや自然感のある楽音を発生させることがで
き、これにより豊かな演奏表現が可能となるのである。
には、アタック部のf特性は図6の(b)に示したよう
に基音が最も高いレベルとなり、この点に関しては図7
の(b)と同様であるが、1KHz付近以上の周波数帯
域は、前記衝撃荷重により弦6が振動する結果、強制的
に倍音が生成された領域αが生ずる。そして、前述のよ
うにエンベロープにおいてアタック部分の特性は音質を
大きく左右し、アタック部分により音質が決定されるこ
とから、図6の(b)に示したような倍音成分を多く含
むf特性の音は、その音質として一般的に「暖かい」
「音が太い」「高級な」「人工的でなく自然な」等の受
聴感となる。かかる評価は、本実施例が単にsin波合
成のように単純が波形合成による音作りやイコライザー
を用いた音作りとは根本的に異なり、前記衝撃荷重によ
る非線形の波形を発生させた音作りであることを鑑みれ
ば必然である。よって、従来の波形合成やイコライザー
を用いた音作りによっては得られない、多くの倍音が含
まれた暖かみや自然感のある楽音を発生させることがで
き、これにより豊かな演奏表現が可能となるのである。
【0017】なお、前述した実施例においては、断面略
正三角形の長尺部18を有する接触子17を用いたもの
を示したが、これに限ることなく図3の(b)に示した
断面円形の長尺部18を有する接触子17や、同図の
(c)に示したように2つの頂点21、22を有する接
触子17を用いてもよい。ここで、図3の(b)に示し
たものにあっては、接触子17の周面が円曲状であるこ
とから弦6が面的に接触する一方、同図(c)に示した
接触子17にあっては2点において弦6と接触し、各々
接触態様が相違することから、該接触態様の相違に応じ
て異なる音質の楽音を発生させることができる。
正三角形の長尺部18を有する接触子17を用いたもの
を示したが、これに限ることなく図3の(b)に示した
断面円形の長尺部18を有する接触子17や、同図の
(c)に示したように2つの頂点21、22を有する接
触子17を用いてもよい。ここで、図3の(b)に示し
たものにあっては、接触子17の周面が円曲状であるこ
とから弦6が面的に接触する一方、同図(c)に示した
接触子17にあっては2点において弦6と接触し、各々
接触態様が相違することから、該接触態様の相違に応じ
て異なる音質の楽音を発生させることができる。
【0018】また、前述した実施例においては、6本の
弦6・・・に対して単一の接触子17を設けた構造のも
のを示したが、例えば前記ピックアップ装置本体11の
ケース10上面に、6本の各弦6・・・に各々対応する
接触子を取り付けねじを介して支持し、該取り付けねじ
の螺進及び螺退により各接触子の上下位置を調節可能と
するとともに、ピックアップ装置本体11を弦6の長手
方向に沿った任意の位置にビス止めし得るようにしても
よい。かかる構造とすることにより、各弦6に対応して
設けられた接触子を該各弦6に対して近接及び離間する
方向と弦の長手方向とに位置調整することが可能とな
る。このとき、各弦6に対応して設けられた接触子をよ
り弦に近接させる方向に位置させると、弦が接触子に接
触した際の衝撃荷重が増大して、弦の振動波形はより複
雑化し、また、接触子の弦長手方向の位置が変化するこ
とにより、倍音成分の発生周波数帯域が変化する。した
がって、各弦に対応して設けられた接触子の前記各位置
を調整することにより、各弦ごとに音質の異なる楽音を
発生させることができ、これにより演奏表現の自在性を
一層向上させることが可能となる。
弦6・・・に対して単一の接触子17を設けた構造のも
のを示したが、例えば前記ピックアップ装置本体11の
ケース10上面に、6本の各弦6・・・に各々対応する
接触子を取り付けねじを介して支持し、該取り付けねじ
の螺進及び螺退により各接触子の上下位置を調節可能と
するとともに、ピックアップ装置本体11を弦6の長手
方向に沿った任意の位置にビス止めし得るようにしても
よい。かかる構造とすることにより、各弦6に対応して
設けられた接触子を該各弦6に対して近接及び離間する
方向と弦の長手方向とに位置調整することが可能とな
る。このとき、各弦6に対応して設けられた接触子をよ
り弦に近接させる方向に位置させると、弦が接触子に接
触した際の衝撃荷重が増大して、弦の振動波形はより複
雑化し、また、接触子の弦長手方向の位置が変化するこ
とにより、倍音成分の発生周波数帯域が変化する。した
がって、各弦に対応して設けられた接触子の前記各位置
を調整することにより、各弦ごとに音質の異なる楽音を
発生させることができ、これにより演奏表現の自在性を
一層向上させることが可能となる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、弦
が振動した際に該弦と接触可能な接触子をピックアップ
装置本体に設けるとともに、前記接触子の弦に対する位
置を調整し得るようにしたことから、弦が接触子に接触
した際の衝撃荷重によって非線形の波形を発生させ、該
非線形の波形による音作りが可能となる。その結果、従
来の波形合成やイコライザーを用いた音作りによっては
得られない、多くの倍音が含まれた暖かみや自然感のあ
る優れた楽音を発生させることができるとともに演奏表
現の自在性を向上させることができる。
が振動した際に該弦と接触可能な接触子をピックアップ
装置本体に設けるとともに、前記接触子の弦に対する位
置を調整し得るようにしたことから、弦が接触子に接触
した際の衝撃荷重によって非線形の波形を発生させ、該
非線形の波形による音作りが可能となる。その結果、従
来の波形合成やイコライザーを用いた音作りによっては
得られない、多くの倍音が含まれた暖かみや自然感のあ
る優れた楽音を発生させることができるとともに演奏表
現の自在性を向上させることができる。
【0020】また、接触子を複数の弦に各々対応して複
数個設けるとともに、各接触子を対応する弦に対して近
接及び離間する方向に位置調整可能としたことから、各
弦ごとに音質の異なる楽音を発生させることができ、こ
れにより演奏表現の自在性を一層向上させることが可能
となる。
数個設けるとともに、各接触子を対応する弦に対して近
接及び離間する方向に位置調整可能としたことから、各
弦ごとに音質の異なる楽音を発生させることができ、こ
れにより演奏表現の自在性を一層向上させることが可能
となる。
【図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】同実施例にかかる電子ギターの平面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図であって、(a)
は同実施例、(b)(c)は他の実施例である。
は同実施例、(b)(c)は他の実施例である。
【図4】弦が非振動状態にある場合における図1のA−
A線に沿う断面図である。
A線に沿う断面図である。
【図5】弾弦を行った場合における図1のA−A線に沿
う断面図である。
う断面図である。
【図6】(a)は同実施例の振動特性図、(b)は同実
施例のエンベロープのアタック部分におけるf特性図で
ある。
施例のエンベロープのアタック部分におけるf特性図で
ある。
【図7】(a)は接触子を常に弦と接触しない位置にセ
ットした場合における弦の振動特性図、(b)はそのエ
ンベロープのアタック部分におけるf特性図である。
ットした場合における弦の振動特性図、(b)はそのエ
ンベロープのアタック部分におけるf特性図である。
1 ギター本体 6 弦 10 ケース 11 ピックアップ装置本体 12 電磁ピックアップ 15 取り付けねじ 16 スプリング 17 接触子 18 長尺部 19 取付部 20 フランジ
Claims (2)
- 【請求項1】 弦楽器に張設された弦の振動を検出して
ピックアップ信号を出力するピックアップ装置本体と、 該ピックアップ装置本体に支持され常時は前記弦と非接
触状態を維持し、かつ、前記弦が振動した際に該弦と接
触可能な接触子と、 該接触子の弦に対する位置を調整するための調整手段
と、 を備えたことを特徴とする弦振動ピックアップ装置。 - 【請求項2】 前記接触子は複数の弦に各々対応して複
数個設けられ、前記調整手段は、各接触子を対応する弦
に対して近接及び離間する方向に位置調整可能であるこ
とを特徴とする請求項1記載の弦振動ピックアップ装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17304591A JP3200741B2 (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 弦振動ピックアップ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17304591A JP3200741B2 (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 弦振動ピックアップ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04368998A JPH04368998A (ja) | 1992-12-21 |
JP3200741B2 true JP3200741B2 (ja) | 2001-08-20 |
Family
ID=15953189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17304591A Expired - Fee Related JP3200741B2 (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 弦振動ピックアップ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3200741B2 (ja) |
-
1991
- 1991-06-18 JP JP17304591A patent/JP3200741B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04368998A (ja) | 1992-12-21 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |