JP3196955B2 - ドーム形貯蔵庫建設方法 - Google Patents

ドーム形貯蔵庫建設方法

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JP3196955B2 JP30542494A JP30542494A JP3196955B2 JP 3196955 B2 JP3196955 B2 JP 3196955B2 JP 30542494 A JP30542494 A JP 30542494A JP 30542494 A JP30542494 A JP 30542494A JP 3196955 B2 JP3196955 B2 JP 3196955B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭や石こう等の粉粒
状物を貯蔵するのに適したドーム形貯蔵庫の建設方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄筋コンクリート製の貯蔵庫を建
設する場合、鉄筋コンクリート壁の厚さに応じ予め木製
等の型枠を建てたり、同型枠の内部に鉄筋を配置したり
してから、同鉄筋を埋没させるように型枠内に生コンク
リートを充填し固化させることが行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
な従来の貯蔵庫建設方法では、木製型枠等を建てるため
に作業用の足場を組む必要があり、建設すべき貯蔵庫の
高さが高くなるにつれ、上記の型枠や足場も著しく大が
かりになって、これらの組立ておよび解体のために大幅
な建設コストの増加を招くという問題点がある。本発明
は、このような問題点の解消をはかろうとするもので、
木製等の型枠の枠組みや大がかりな足場の組立て解体を
必要とすることなく簡便な手段で鉄筋コンクリート壁を
ドーム形に形成できるようにしたドーム形貯蔵庫建設方
法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明のドーム形貯蔵庫建設方法は、ほぼ球形のド
ーム形貯蔵庫を建設するに際し、基礎構造に逆截頭円錐
形状の凹部内面としての傾斜壁部を形成してから、同傾
斜壁部の傾斜支持面に、ドーム形貯蔵庫の形状を規定す
るための可撓性シートの下部を沿わせるように配置する
とともに、同シートの裾部を上記基礎構造に気密に固着
し、ついで上記シートの内部の気密空間に空気を圧入し
て、同シートをドーム形に膨張させた後、上記傾斜支持
面の上縁部に沿い設置した鉄筋コンクリート製リング状
基礎から上方における上記シートの外面に沿って同リン
グ状基礎に接続された鉄筋網と鉄筋材とを配置し、これ
らの鉄筋網と鉄筋材とを埋没させるように生コンクリー
吹き付け作業を行なっ 鉄筋コンクリート壁を形成
し、同鉄筋コンクリート壁の固化後に上記気密空間を大
気圧に戻すことを特徴としている。
【0005】また本発明のドーム形貯蔵庫建設方法は、
上記生コンクリートの吹き付け作業を高所作業車の作業
台上から行なうことを特徴としている。
【0006】さらに本発明のドーム形貯蔵庫建設方法
は、上記鉄筋コンクリート壁の固化後に上記鉄筋材を引
張して同鉄筋材の端部を上記鉄筋コンクリート壁のコン
クリート材に係止することにより、同コンクリート材に
圧縮応力をかけることを特徴としている。
【0007】また本発明のドーム形貯蔵庫建設方法は、
上記生コンクリートの吹き付け作業を、上記リング状基
礎に接続する低層部分から順次高層部分へ向けて行な
い、30m径の貯蔵庫の完成後における壁部の厚さを、低
層部分で250〜300mm,中層部分で約150mm,最高層部分
で約70mmとすることを特徴とする、ドーム形貯蔵庫建設
方法。
【0008】
【作用】上述の本発明のドーム形貯蔵庫建設方法では、
可撓性シートで囲まれた気密空間へ高圧空気を導入して
立体形状に膨張させることにより貯蔵庫のドーム型が形
成され、同可撓性シートの外面に沿い配材された鉄筋網
を埋没させるように生コンクリートを吹き付けて、その
固化により鉄筋コンクリート壁が形成される。そして、
鉄筋コンクリート壁の固化後は、上記気密空間が大気圧
に戻され、必要に応じ上記可撓性シートは鉄筋コンクリ
ート壁から剥離される。
【0009】上記生コンクリートの吹き付け作業は、貯
蔵庫の低層部分から順次高層部分へ向けて行なわれる
が、その高所作業に際しては、高所作業車の作業台上か
ら生コンクリートの吹き付け作業が行なわれることによ
り、作業用足場を全く省略することができる。
【0010】また、鉄筋網と共に配置された所要の鉄筋
材を鉄筋コンクリート壁の固化後に引張して、その端部
を鉄筋コンクリート壁のコンクリート材に係止すれば、
同コンクリート材に圧縮応力が常時かかったプレストレ
ストコンクリート壁としての機能を保ち、その構造強度
が増すようになる。
【0011】上記可撓性シートは、貯蔵庫の底部に相当
する部分のシートを省略して、同シートの裾部予め基
礎構造に気密に固着されるので、可撓性シートの所要量
を大幅に節減できるようになる。
【0012】さらに、上記シートの裾部付近で外方へ傾
斜したシート外面、上記基礎構造の傾斜支持面支持
されるので、生コンクリートを吹き付けた後、コンクリ
ートが固化する前の状態でも、立体形状に膨張したシー
トの保持強度が高められるようになり、しかも上記傾斜
支持面の上縁部に沿うリング状基礎により、コンクリー
ト固化後の鉄筋コンクリート壁の支持が強固に行なわれ
るようになる。
【0013】
【実施例】以下図面により本発明の一実施例としての
ーム形貯蔵庫建設方法について説明すると、図1はその
建設方法により建設される貯蔵庫の縦断面図、図2は図
1のA部についての生コンクリート吹き付け状態を示す
拡大断面図である。
【0014】本実施例の建設方法では、図1に示すよう
に、ほぼ球形の鉄筋コンクリート壁1の下部に、逆截頭
円錘形状の傾斜壁部1aを結合させるようにしたドーム
形貯蔵庫が建設されるようになっている。この貯蔵庫の
ドーム形状を規定する型材として、可撓性シート2が用
いられ、同シート2で囲まれる気密空間に、図示しない
空気ポンプあるいは送風機を用い空気を圧入して、同シ
ート2を所要の立体形状に膨張させる操作が行なわれ
る。シート2としては、繊維強化プラスチック製の2〜
3mm厚程度のものが用いられ、同シート2の裾部2aは
予め基礎構造4に気密に固着しておかれる。この基礎構
造4は砂利あるいは砕石等を主材として構築され、同基
礎構造4に形成された逆截頭円錘形状の凹部の内面が、
コンクリートで固められることにより傾斜壁部1aを形
成している。
【0015】このようにして、傾斜壁部1aに対応する
外方へ傾斜したシート2の外面は、基礎構造4と一体の
傾斜壁部1aの傾斜支持面で支持されるようになってお
り、同傾斜支持面の上縁部に沿い、鉄筋コンクリート製
リング状基礎4aが設置される。なお、このリング状基
礎4aは、円周方向に配置した鉄筋材の緊張定着による
プレストレストコンクリートとされる。
【0016】シート2が所要の立体形状に膨張した状態
で、その気密空間を高圧状態に保ったまま、リング状基
礎4aから上方のシート2の外面に沿い、図2に示すご
とく鉄筋網13と所要の水平方向および上下方向の鉄筋材
11,12が配置されるが、その際、リング状基礎4aに鉄
筋材12および鉄筋網13が接続される。また、鉄筋網13と
シート2との間には、鉄筋網13を支持するためのコンク
リート製などの小片18が適宜介在するように配設され
る。
【0017】ついで、鉄筋材11,12および鉄筋網13を埋
没させるように生コンクリートを順次吹き付ける作業が
行なわれる。この吹き付け作業にはウエットコンクリー
ト噴射ノズル14が用いられ、同ノズル14には圧縮空気管
15および生コンクリート送入管16が接続されている。こ
の生コンクリートの吹き付け作業は、リング状基礎4a
に接続する低層部分から順次高層部分へ向けて行なわれ
るが、その完成後の壁部の厚さは、約30m径の貯蔵庫の
場合、層部分で250〜300mm,中層部分で約150mm,最
高層部分で約70mmとされる。
【0018】上述の壁部の厚さを得るために、生コンク
リートの吹き付け操作は2,3回に分けて行なわれる。
そして、中高層部分の生コンクリートの吹き付け作業
は、図示しない高所作業車の作業台上から行なわれる。
【0019】また、鉄筋コンクリート壁1の固化後に、
鉄筋材11,12を引張し、同鉄筋材の端部を鉄筋コンクリ
ート壁1のコンクリート材に係止して、同コンクリート
材に圧縮応力をかけ、プレストレストコンクリート壁と
する操作が行なわれる。この操作に際し、コンクリート
材との相対的な動きが許容されるように、鉄筋材11,12
には予め布などが巻かれたり、あるいは所要のコーティ
ングが施される。
【0020】さらに、鉄筋コンクリート壁1の固化後に
は、可撓性シート2の内部の気密空間が高圧状態から大
気圧に戻され、同シート2は剥離されて再使用に供され
るが、同シート2は必要に応じそのまま残存させてもよ
い。シート2を残存させる場合は、同シート2と鉄筋コ
ンクリート壁1との結合を強固にするため、シート2の
コンクリート壁側の面に予め先端の膨大した突起を多数
突設しておくことが望ましい。
【0021】なお、ほぼ球形の鉄筋コンクリート壁1の
頂部には、投入作業用の塔状部3が取り付けられるよう
になっており、コンベヤ台10上の投入用ベルトコンベヤ
6により送られてきた粉粒状物17は、塔状部3を経由し
てこの貯蔵庫内に投入され収容されるようになってい
る。そして、基礎構造4には、粉粒状物引出し用のゲー
ト8が設けられるほか、粉粒状物引出し作業用の旋回式
チューブフィーダー5が設けられる。このようにして引
き出された粉粒状物17は、トンネル9内の引出し用ベル
トコンベヤ7を介して取り出される。
【0022】上述のドーム形貯蔵庫建設方法では、可撓
性シート2で囲まれた気密空間へ高圧空気を導入して立
体形状に膨張させることにより貯蔵庫のドーム型が形成
され、同可撓性シート2の外面に沿い配置された鉄筋材
11,12および鉄筋網13を埋没させるように生コンクリー
トを吹き付けて、その固化により鉄筋コンクリート壁1
が形成されるので、従来のような木製等の型枠の組立て
解体が不要になる。
【0023】そして、鉄筋コンクリート壁1の固化後
は、上記気密空間が大気圧に戻され、必要に応じ可撓性
シート2は鉄筋コンクリート壁1から剥離される。また
生コンクリートの吹き付け作業は、貯蔵庫の底層部分か
ら順次高層部分へ向けて行なわれるが、その高所作業に
際しては、高所作業車の作業台上から生コンクリートの
吹き付け作業が行なわれるので、作業用足場を全く省略
することができる。
【0024】さらに、鉄筋コンクリート壁1の固化後
に、鉄筋網13と共に配置された鉄筋材11,12を引張し
て、その端部が鉄筋コンクリート壁1のコンクリート材
に係止されるので、同コンクリート材に圧縮応力が常時
かかったプレストレストコンクリート壁としての機能を
保ち、その構造強度が増すようになる。
【0025】可撓性シート2は、貯蔵庫の底部に相当す
る部分のシートを省略して、同シートの裾部2aが予め
基礎構造4に気密に固着されることにより、可撓性シー
ト2の所要量が大幅に節減されるようになる。
【0026】また、可撓性シート2の裾部2a付近で外
方へ傾斜したシート部分の外面が、基礎構造4と一体の
傾斜壁部1aの傾斜支持面で支持されるので、生コンク
リートを吹き付けた後、生コンクリートが固化する前の
状態でも、立体形状に膨張したシート2の保持強度が高
められるようになり、しかも生コンクリートの固化後は
上記傾斜支持面の上縁部に沿うリング状基礎4aにより
鉄筋コンクリート壁1の支持が強固に行なわれるように
なる。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のドーム形
貯蔵庫建設方法によれば次のような効果が得られる。 (1) 可撓性シートで囲まれた気密空間へ高圧空気を導入
して立体形状に膨張させることによりドーム形貯蔵庫の
型が形成され、同可撓性シートの外面に沿い配材された
鉄筋網を埋没させるように生コンクリートを吹き付け
て、その固化により鉄筋コンクリート壁が形成されるの
で、従来のような木製等の型枠の組立て解体が不要にな
る。 (2) 上記可撓性シートは、貯蔵庫の底部に相当する部分
のシートを省略して、同シートの裾部が予め基礎構造に
気密に固着されることにより、可撓性シートの所要量が
大幅に節減されるようになる。 (3) 上記可撓性シートの裾部付近で外方へ傾斜したシー
ト部分の外面が、基礎構造と一体の傾斜壁部の傾斜支持
面で支持されるので、生コンクリートを吹き付けた後、
生コンクリートが固化する前の状態でも、立体形状に膨
張したシートの保持強度が高められるようになり、しか
も生コンクリートの固化後は上記傾斜支持面の上縁部に
沿うリング状基礎により鉄筋コンクリート壁の支持が強
固に行なわれるようになる。 (4) 鉄筋コンクリート壁の固化後は、上記気密空間が大
気圧に戻され、必要に応じ上記可撓性シートは鉄筋コン
クリート壁から剥離され、再使用に供されることができ
る。 (5) 上記生コンクリートの吹き付け作業は、貯蔵庫の低
層部分から順次高層部分へ向けて行なわれるが、その高
所作業に際しては、高所作業車の作業台上から生コンク
リートの吹き付け作業が行なわれることにより、作業用
足場を全く省略することができる。 (6) 上記鉄筋コンクリート壁の固化後に、鉄筋網と共に
配材された所要の鉄筋材を引張して、その端部を鉄筋コ
ンクリート壁のコンクリート材に係止すれば、同コンク
リート材に圧縮応力が常時かかったプレストレストコン
クリート壁としての機能を保ち、その構造強度が増すよ
うになる。 (7) 上記可撓性シートは、貯蔵庫の底部に相当する部分
のシートを省略して、同シートの裾部予め基礎構造に
気密に固着されるので、可撓性シートの所要量を大幅に
節減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのドーム形貯蔵庫建設
方法により建設される貯蔵庫の縦断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【符号の説明】
1 鉄筋コンクリート壁 1a 傾斜壁部 2 可撓性シート 2a 可撓性シートの裾部 3 塔状部 4 基礎構造 4a リング状基礎 5 旋回式チューブフィーダー 6 積込み用ベルトコンベヤ 7 取出し用ベルトコンベヤ 8 排出用ゲート 9 トンネル 10 ベルトコンベヤ台 11,12 鉄筋材 13 鉄筋網 14 ウエットコンクリート噴射ノズル 15 圧縮空気管 16 生コンクリート送入管 17 粉粒状物 18 小片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 7/18 - 7/20 E04H 7/26 - 7/28 E04G 11/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼ球形のドーム形貯蔵庫を建設するに
    際し、基礎構造に逆截頭円錐形状の凹部内面としての傾
    斜壁部を形成してから、同傾斜壁部の傾斜支持面に、ド
    ーム形貯蔵庫の形状を規定するための可撓性シートの下
    部を沿わせるように配置するとともに、同シートの裾部
    を上記基礎構造に気密に固着し、ついで上記シートの内
    部の気密空間に空気を圧入して、同シートをドーム形に
    膨張させた後、上記傾斜支持面の上縁部に沿い設置した
    鉄筋コンクリート製リング状基礎から上方における上記
    シートの外面に沿って同リング状基礎に接続された鉄筋
    と鉄筋材とを配置し、これらの鉄筋網と鉄筋材とを埋
    没させるように生コンクリート吹き付け作業を行なっ
    鉄筋コンクリート壁を形成し、同鉄筋コンクリート壁
    の固化後に上記気密空間を大気圧に戻すことを特徴とす
    る、ドーム形貯蔵庫建設方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のドーム形貯蔵庫建設方
    法において、上記生コンクリートの吹き付け作業を高所
    作業車の作業台上から行なうことを特徴とする、ドーム
    貯蔵庫建設方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のドーム形貯蔵
    庫建設方法において、上記鉄筋コンクリート壁の固化後
    に上記鉄筋材を引張して同鉄筋材の端部を上記鉄筋コン
    クリート壁のコンクリート材に係止することにより、同
    コンクリート材に圧縮応力をかけることを特徴とする、
    ドーム形貯蔵庫建設方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つに記載の
    ーム形貯蔵庫建設方法において、上記生コンクリートの
    吹き付け作業を、上記リング状基礎に接続する低層部分
    から順次高層部分へ向けて行ない、30m径の貯蔵庫の完
    成後における壁部の厚さを、低層部分で250〜300mm,中
    層部分で約150mm,最高層部分で約70mmとすることを特
    徴とする、ドーム形貯蔵庫建設方法。
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