以下、本考案の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る拡大読書器10の外観を示す斜視図であり、図2は、実施形態に係る拡大読書器10の外観を示す側面図であり、図3は、実施形態に係る拡大読書器10の外観を示す平面図である。これら図1〜図3を参照して実施形態に係る拡大読書器10の外観の構成について説明する。なお、実施形態に係る拡大読書器10は、書物などを読む(読書ともいう。)を行う場合に使用するだけでなく、用紙などに文字などを筆記する場合にも使用できるものであるため、この明細書においては、読書対象となる書物や筆記対象となる用紙など、当該拡大読書器10において拡大表示対象となるものを総称して「表示対象物」と呼ぶこととする。
実施形態1に係る拡大読書器10は、図1〜図3に示すように、x軸及び当該x軸に直交するy軸によって形成されるxy平面上においてx軸に沿った左右方向とy軸に沿った前後方向に移動可能な可動テーブル100と、当該可動テーブル100が載置されるベースフレーム200と、可動テーブル100上に載せた表示対象物(図示せず。)を撮像可能な撮像装置としてのカメラ300(図2参照。)と、当該カメラ300で撮像された画像を表示するディスプレイ400と、当該ディスプレイ400を支持する支柱機構部500と、可動テーブル100の前方側端部に設けられている操作パネル600と、支柱機構部500の背面側に設けられている背面パネル700(図5参照。)とを備えている。
可動テーブル100は、従来の拡大読書器900の可動テーブル910と同様の構成が採用されているものとする。このため、可動テーブル100は前後方向及び左右方向に移動可能となっている。すなわち、可動テーブル100は、前後方向に往復動可能なYテーブル(図示せず。)と、当該Yテーブル上に載置されて左右方向に往復動可能なXテーブル120とを有する。そして、可動テーブル100を前後方向に移動させる際は、Yテーブルを前後方向に移動させ、可動テーブル100を左右方向に移動させる際は、Xテーブル120をYテーブル上でX軸に沿った方向に移動させることにより、可動テーブル100を前後方向及び左右方向に移動させることができる。
なお、可動テーブル100は、当該可動テーブル100を左右方向及び前後方向にそれぞれ移動させない初期の位置(図1〜図3に示す位置)を「可動テーブル100の初期位置」とする。
また、このように構成されている可動テーブル100においても、可動テーブル100を前後方向及び左右方向に移動させる際に制動力を付与することができる可動テーブル制動機構を有している。この可動テーブル制動機構部については後述する。
支柱機構部500は、ベースフレーム200の後方側端部に立設され、中途部に屈曲部511を有するとともに当該屈曲部511から前方側にほぼ水平に延びたアッパーフレーム部512を有する支柱フレーム部510と、アッパーフレーム部512に対して上下方向(矢印a−a’方向)に所定の回転角度で回転自在となるように、当該アッパーフレーム部512の前方先端部に第1軸531により軸支されている可動アーム521,522とを有している。
そして、可動アーム521,522の前方側先端部には、ディスプレイ400が取り付けられている。具体的には、ディスプレイ400は、可動アーム521,522に対して前後方向(矢印b−b’方向)に所定の回転角度で回転自在となるように、可動アーム521,522の前方側先端部に第2軸532によって軸支されている。なお、可動アーム521,522は、アッパーフレーム部512を左右両側から挟み込むようにアッパーフレーム部512の先端部に設けられている。
また、アッパーフレーム部512の前方側先端部には、機器収納ボックス540が取り付けられている。機器収納ボックス540は、可動アーム521,522の動きを阻害しないようにアッパーフレーム部512に取り付けられている。そして、機器収納ボックス540の内部には、光軸CがY軸に沿った方向となるようにカメラ300が収納されているとともに、カメラ300の光軸Cを可動テーブル100に対して垂直となるように屈曲させるミラー550が収納されている。
また、機器収納ボックス540は、アッパーフレーム部512の左右両端部からそれぞれ突出する左右それぞれの突出部541,542を有しており、当該左右それぞれの突出部541,542には、LEDなどの照明用電灯(図示せず。)がそれぞれ収納されている。また、機器収納ボックス540の左右それぞれの突出部541,542の外壁面には、照明用電灯を点灯/消灯させるための照明スイッチ561,562が左右それぞれの照明用電灯に対応して設けられている。このため、左右両側に設けられている照明用電灯は、それぞれに対応する照明スイッチ561,562によって独立して点灯/消灯可能となっている。
ところで、機器収納ボックス540の内部に設けられているカメラ300の光軸Cは固定となっている。すなわち、可動テーブル100が初期位置となっているときにおける可動テーブル100上の光軸Cの位置を考えた場合、可動テーブル100の初期位置における左右方向の光軸Cの位置Px(図2参照。)は、可動テーブル100の左右方向の長さをLxとしたとき、当該左右方向の長さLxの中間位置(Lx/2の位置)となるように設定されている。
また、可動テーブル100の初期位置における前後方向の光軸Cの位置Py(図2参照。)は、ディスプレイ400をxy平面に対して垂直としたときの当該ディスプレイ400における前面側の下端辺から後方側に向かってDy(Dy=100mm〜130mmの範囲)の位置に設定されていることが好ましい。可動テーブル100上の初期位置におけるカメラ300の光軸Cの位置をこのように設定することで、例えば、ディスプレイ400の上端辺を後方側に30度程度傾けた場合でも、カメラ300の可動プレート上における光軸の位置は、ディスプレイ400の前面側の下端辺から後方側に160mm以内とすることができる。
これにより、例えば、当該拡大読書器10を使用して用紙などに文字を筆記するような場合、筆記具を持つ手をディスプレイ400の後方側の奥にまでに差し入れることなく、使用者の身体に近い位置で筆記することができる。このため、当該拡大読書器10を使用して用紙などに文字を筆記する場合であっても、使用者は、腕を伸ばした無理な姿勢をとることなく、机上でノートなどに筆記する場合と同様の自然な姿勢で筆記することができる。
ところで、上記したように、ディスプレイ400は、可動アーム521,522に対して前後方向に所定の回転角度で回転自在となるように、可動アーム521,522の前方側先端部に第2軸532によって軸支されている。
具体的には、ディスプレイ400の背面には、当該ディスプレイ400の背面から突出するように2枚の軸受け片411,412が固定されており、当該軸受け片411,412は、可動アーム521,522のそれぞれの前方側端部に対して第2軸532により軸支されている。これにより、ディスプレイ400は、可動アーム521,522に対して第2軸532を回転支点として前後方向(矢印b−b’方向)に所定の回転角度で回転自在となる。なお、軸受け片411,412、第2軸532及び可動アーム521,522の前方側先端部などはカバー420に覆われている。
ディスプレイ400の背面に固定されている2枚の軸受け片411,412は、ディスプレイ400の背面において、ディスプレイ400の上下方向高さをHとしたとき、当該ディスプレイ400の下端辺からH/3よりも下端辺400bの側に固定されている。これにより、ディスプレイ400は、当該ディスプレイ400の下端辺からH/3よりも下端辺の側の位置(実施形態に係る拡大読書器10においてはディスプレイ400の下端辺400bからH/4程度の位置とする。)において、可動アーム521,522に対して第2軸532を回転支点として前後方向(矢印b−b’方向)に所定の回転角度で回転自在となる。
ディスプレイ400が上記したように可動アーム521,522に対して軸支され、かつ、可動アーム521,522が上記したようにアッパーフレーム部512に対して軸支されていることにより、ディスプレイ400をz軸に沿って上下動させたり、ディスプレイ400の上端辺400aを、第2軸532を回転支点として前後方向(矢印b−b’方向)に所定角度だけ傾けたりすることができる。
なお、ディスプレイ400の上端辺400aを、第2軸532を回転支点として後方側(矢印b方向側)に所定角度だけ回転させてディスプレイ400を所定角度だけ傾けることを、以下では、「ディスプレイ400を後方側に傾ける」と表記し、ディスプレイ400の上端辺400aを、第2軸532を回転支点として前方側(矢印b’方向側)に所定角度だけ回転させてディスプレイ400を所定角度だけ傾けることを、以下では、「ディスプレイ400を前方側に傾ける」と表記する。
また、可動アーム521,522の第1軸531を回転支点とした矢印a−a’方向への回転角度は、第1軸531を通る水平面を基準として上下方向にそれぞれ30度程度の範囲に設定されている。このため、ディスプレイ400のz軸に沿った上下動は、可動アーム521,522の上下方向への回転角度の範囲で可能となる。なお、ディスプレイ400を下方側に最も下げるように移動させた場合であっても、ディスプレイ400の下端辺400bと可動テーブル100との間の間隔は、使用者の手の出し入れに支障のない程度の間隔となるように設定されている。
また、ディスプレイ400を例えば水平面(xy平面)に対して直立のまま、z軸に沿って上下動させた場合においては、可動アーム521,522の回転角度が第1軸531を通る平面に対して0度の場合と、上下にそれぞれ30度回転させた場合とにおけるディスプレイ400の前後方向の位置の変化ができるだけ小さくなるように設定されている。
また、ディスプレイ400を後方側又は前方側に傾ける際には、ディスプレイ400の高さ調整を行った状態で、高さを変えずにディスプレイ400を後方側又前方側に傾けることができる。このようにディスプレイ400を後方側又は前方側に傾ける際のそれぞれ傾き角度は、第2軸532を通る垂直面を基準として矢印b−b’方向に所定範囲の角度に設定されている。具体的には、ディスプレイ400の傾き角度は、後方(矢印b方向)側には例えば30度程度に設定され、前方(矢印b’方向)には例えば5度程度に設定されている。なお、ディスプレイ400を後方側又は前方側に傾けた状態で、さらに高さの調整を行うことは勿論可能である。
なお、使用者が設定したディスプレイ400の高さは、ディスプレイ400に所定以上の力を与えない限り、使用者が設定したディスプレイ400の高さを保持することできるような機構が採用されている。また、使用者が設定したディスプレイ400の傾き(後方側又は前方側への傾き)も、ディスプレイ400に所定以上の力を与えない限り、使用者が設定したディスプレイ400の傾きを保持することできるような機構が採用されている。
このように、ディスプレイ400に所定以上の力を与えない限り、使用者が設定したディスプレイ400の高さ及び傾きに保持することできるような機構は、公知の技術を採用することによって実現可能であるため、ここでは、その機構については説明を省略する。
また、ディスプレイ400は、上記したように、当該ディスプレイ400の下端辺からH/4程度の位置において、可動アーム521,522に対して第2軸532により前後方向(矢印b−b’方向)に所定の回転角度で回転自在となっている。このように、ディスプレイ400は、当該ディスプレイ400の下端辺400bに近い位置で可動アーム521.522に回転自在となっているため、ディスプレイ400を、第2軸532を回転支点として、例えば、後方側に傾けた際に、ディスプレイ400の下端辺400bが前方側に迫り出す量を可能な限り少なくすることができる。
すなわち、ディスプレイ400を後方側に傾けると、ディスプレイ400の下端辺400bは前方側(使用者の側)に迫り出すこととなるが、ディスプレイ400の回転支点が、下端辺400bからH/4程度の位置としているため、ディスプレイ400の下端辺400bが前方側(使用者側)に迫り出す「前方側迫り出し量」を少なくすることができる。これにより、使用者が例えば可動テーブル100上に用紙を載せて筆記を行う場合などにおいて、ディスプレイ400の存在が筆記の邪魔になることがなく、また、ディスプレイ400の下端辺400bが前方(使用者側)に迫り出すことによる圧迫感を使用者に与えることがなくなる。
また、ディスプレイ400を、第2軸532を回転支点として、例えば、前方側に傾けた際には、ディスプレイ400の下端辺400bが後方側(可動テーブル100側)に迫り出す「後方側迫り出し量」を可能な限り少なくすることができる。すなわち、ディスプレイ400を前方側に傾けると、ディスプレイ400の下端辺400bは後方側(可動テーブル100側)に迫り出すこととなるが、ディスプレイ400の回転支点が、下端辺400bからH/4程度の位置であるため、ディスプレイ400の下端辺400bの後方側迫り出し量を少なくすることができる。これにより、ディスプレイ400がカメラ300の撮像範囲に入ってしまうという不具合を生じにくくすることができる。
次に、可動テーブル100の前方側に設けられている操作パネル600について説明する。
図4は、操作パネル600を説明するために示す図である。図4(a)は操作パネル600をz軸に沿って上から見た場合の平面図であり、図4(b)は操作パネル600をy軸に沿って前方側から見た場合の前方側垂直端面を示す図である。以下、図4に加え図1を参照して操作パネル600について説明する。
操作パネル600は、可動テーブル100(Xテーブル120)の前方側先端部に設けられている。このため、可動テーブル100をx軸に沿った方向及びy軸に沿った方向に移動させることにより、操作パネル600も可動テーブル100とともにx軸に沿った方向及びy軸に沿った方向に移動する。
また、当該操作パネル600の上面600aは前当該操作パネル600も方側に向かってやや下り坂となるような緩やかな傾斜面となっている。そして、図1及び図4に示すように、当該上面600aには、拡大読書器10を起動/終了するための電源ボタン610と、各種の機能設定などを行う機能設定ボタン620,630と、可動テーブル100を左右方向又は前後方向にスライドさせるための可動テーブル操作部640L,640Rなどが設けられている。
機能設定ボタン620,630は、詳細な説明は省略するが、中央部に位置する押しボタン621、631と、当該押しボタン621,631を囲むように設けられている回転ボタン622,632とを有し、押しボタン621,631は、例えば、機能の切り替えを行い、回転ボタン622,632は、押しボタン621,631によって切り替えられた機能において各種の設定を行うものである。
また、これら電源ボタン610、機能設定ボタン620,630及び可動テーブル操作部640L,640Rは、操作パネル600の上面600aに凹部として設けられている。なお、電源ボタン610、機能設定ボタン620,630及び可動テーブル操作部640L,640Rを一括的に説明する場合には、これら電源ボタン610、機能設定ボタン620,630及び可動テーブル操作部640L,640Rを総称して「各操作部」と表記する。
このように、各操作部が操作パネル600の上面600aに凹部として設けられていることにより、操作パネル600の上面600aには出っ張りがなく、可動テーブル100と操作パネル600の上面600aとが出っ張りのない平面で連続的に滑らかに繋がることとなる。これにより、操作パネル600までを覆うような大きなサイズを有する表示対象物(例えば、新聞紙など)を可動テーブル100上に置いた状態でも、当該表示対象物が操作パネル600上の各操作部に直接的に接触することなく、表示対象物と各操作部との間に隙間が形成される。このため、各操作部を操作し易くすることができる。
また、このような大きなサイズを有する表示対象物を可動テーブル100上に置いたときに、ディスプレイ400上で表示される画像に歪みが生じたりすることなくなる。すなわち、各操作部が操作パネル600の上面600aから出っ張りを有して設けられていると、大きなサイズの表示対象物が各操作部によって部分的に持ち上げられて、カメラ300の撮像範囲内で表示対象物の平面度が損なわれてしまい、ディスプレイ400上で表示される画像に歪みが生じたりする場合があるが、可動テーブル100と操作パネル600の上面600aとが出っ張りのない平面で連続的に滑らかに繋がることにより、ディスプレイ400上で表示される画像に歪みが生じたりすることを防ぐことができる。
また、各操作部が操作パネル600の上面から出っ張ることなく凹部として設けられていることにより、可動テーブル100上で用紙に文字などを筆記する場合に、手を差し入れた状態としたときに、筆記がし易くなる。すなわち、各操作部が操作パネル600の上面600aから出っ張りを有して設けられていると、各操作部の出っ張りが腕に触れて腕を圧迫することとなるため、使用者が不快感を抱くこととなるが、可動テーブル100と操作パネル600の上面600aとが出っ張りのない平面で連続的に滑らかに繋がることにより、各操作部が腕に触れて腕を圧迫するということがなく、筆記がし易くなる。
また、操作パネル600の前方側垂直端面(図4(b)参照。)には、使用頻度の高い操作部が設けられている。使用頻度の高い操作部としては、例えば、カメラ300の拡大倍率を変更する倍率設定用スライドレバー650、カメラ300のフォーカスのロックを行うとともに、フォーカスロックを解除してオートフォーカスに設定するフォーカスロック/解除ボタン660、ディスプレイ400の画面の明るさを調整する明るさ調整ボタン670、可動テーブル100を左右方向に移動させる際に制動力の付与を可能とする左右方向制動操作レバー680などが設けられている。また、操作パネル600の前方側垂直端面の左側面に位置する垂直端面には、可動テーブル100を前後方向に移動させる際に制動力の付与を可能とする前後方向制動操作レバー690が挙げられる。
このように、使用頻度の高い各操作部を操作パネル600の前方側垂直端面に設けることにより、操作パネル600からさらに前方側にはみ出るような大きなサイズを有する表示対象物(例えば、新聞紙など)を可動テーブル100上に置いた状態でも、当該表示対象物が上記した使用頻度の高い各操作部に触れることがない。このため、使用頻度の高い各操作部の操作がし易くなる。
続いて、支柱フレーム部510の背面側に設けられている背面パネル700について説明する。
図5は、背面パネル700を説明するために示す図である。背面パネル700は、図5に示すように、AC100ボルト電源の供給/遮断を行う主電源スイッチ710、AC100ボルト用電源ケーブルが接続される電源ケーブルインレット720、当該拡大読書器10の回路保護用のヒューズを収納するヒューズ収納部730、パーソナルコンピューターなどの外部情報機器からの画像データを入力するための画像入力用コネクタ740、カメラ300で撮像した画像を外部の大型ディスプレイなどに表示させる際に画像データを出力する画像出力用コネクタ750、音声のオン/オフを切り替える音声オン/オフスイッチ760、ディスプレイ400で表示される画像のコントラストを「HIGH(高コントラスト)」/「LOW(低コントラスト)」に切り替えるコントラスト調整スイッチ770が設けられている。
次に、可動テーブル100を左右方向及び前後方向に移動させる際に可動テーブルに制動力を付与する可動テーブル制動機構について説明する。なお、可動テーブル制動機構は、Xテーブル120を左右方向に移動させる際に当該Xテーブル120に制動力を付与する「Xテーブル制動機構」と、Yテーブルを前後方向に移動させる際に当該Yテーブルに制動力を付与する「Yテーブル制動機構」とを有している。これらXテーブル制動機構及びYテーブル制動機構は、基本的には、同様の構造であるため、ここでは、Xテーブル制動機構について説明する。
図6は、Xテーブル制動機構800を説明するために示す図である。Xテーブル制動機構800は、図6に示すように、使用者が左右方向制動操作レバー680をスライド操作したときに、当該左右方向制動操作レバー680のスライド操作に連動して左右方向にスライドする左右方向スライドプレート810と、Xテーブル120(図1参照。)に対して押圧力を与えることが可能なXテーブル用ブレーキシュー820と、当該Xテーブル用ブレーキシュー820を前後方向(矢印y−y’方向)にスライドさせるためのXテーブル用ブレーキシュー駆動プレート830(以下、ブレーキシュー駆動プレート830と略記する場合もある。)と、左右方向スライドプレート810とブレーキシュー駆動プレート830との間に介在され、左右方向スライドプレート810の左右方向のスライド動作を、ブレーキシュー駆動プレート830の前後方向のスライド動作に変換するXテーブル用ギヤ輪列840とを有している。
Xテーブル用ギヤ輪列840は、左右方向スライドプレート810の左右方向(矢印x−x’方向)のスライドとともに左右方向にスライドする第1ラックギヤ841と、当該第1ラックギヤ841に歯合して第1ラックギヤ841のスライドによって回転するピニオンギヤ842と、当該ピニオンギヤ842の回転に連動して回転するウオームギヤ843及びウオームホイールギヤ844と、ウオームホイールギヤ844の回転に連動して回転する伝達ギヤ845と、伝達ギヤ845の回転に連動してY軸に沿った前方又は後方にスライドする第2ラックギヤ846とを有している。なお、第1ラックギヤ841は左右方向スライドプレート810に固定され、第2ラックギヤ846はブレーキシュー駆動プレート830に固定されている。
Xテーブル用ブレーキシュー820は、実施形態に係る拡大読書器10においては、Xテーブル120に固定されているスライダー121に対して押圧力を与えることが可能となるように、スライダー121に対して、接触/非接触可能に設けられている。なお、スライダー121は、Yテーブル(図示せず。)上に敷設されているXレール130に沿って左右方向にスライドし、スライダー121の左右方向のスライドとともにXテーブル120も左右方向にスライドする。
また、Xテーブル120に対する制動力の大きさは、Xテーブル用ブレーキシュー820のXテーブル120(スライダー121)に対する押圧力の大きさによって制御され、Xテーブル用ブレーキシュー820のXテーブル120(スライダー121)に対する押圧力の大きさは、左右方向制動操作レバー680の左方向のスライド量によって制御される。
すなわち、使用者が左右方向制動操作レバー680を左方向にスライドさせると、そのスライド量に応じた制動力がXテーブル120に働き、左右方向制動操作レバー680を左方向にスライドさせるほど強い制動力がXテーブル120に働く。具体的には、左右方向制動操作レバー680が最も右側に位置しているときには、Xテーブルには、制動力が付与されない。このため、Xテーブル120は制動力が付与されない状態で自由に左右方向に移動させることができる。
そして、左右方向制動操作レバー680を左方向に徐々にスライドさせて行くと、Xテーブル120には、左右方向制動操作レバー680のスライド量に応じた制動力が付与されて行き、Xテーブル120は徐々に移動させづらくなって行く。そして、左右方向制動操作レバー680をさらに左方向にスライドさせて行くと、強い制動力がXテーブル120に付与され、Xテーブル120は移動が阻止された状態(ロック状態)となる。
このように、Xテーブル制動機構800がXテーブル120に対して制動力を付与しない制動力の大きさを制動力ゼロとし、Xテーブル120の移動を阻止することができる制動力の大きさを最大制動力としたとき、Xテーブル制動機構800は、Xテーブル120に対して、制動力ゼロから最大制動力までの間で制動力を連続的に変化させることができる。これにより、制動力の微調整も可能となり、任意の制動力を付与した状態で可動テーブル100を移動させることができ、可動テーブル100の操作がし易くなる。
なお、図6は左右方向制動操作レバー680を最も左側にスライドさせた状態であり、Xテーブル120に対して最大制動力が付与されている状態である。この状態においては、Xテーブル用ブレーキシュー820はXテーブル120(スライダー121)に対して強い押圧力で押圧しており、Xテーブル120はロック状態である。
なお、左右方向制動操作レバー680を左方向にスライドさせたときには、当該左右方向制動操作レバー680をスライドさせた位置でそのときの制動力が保持される。これは、Xテーブル用ギヤ輪列840にウオームギヤ843が介在されているためである。すなわち、Xテーブル用ブレーキシュー820がスライダー121を矢印x方向に押圧しているときに、当該Xテーブル用ブレーキシュー820の押圧力に対する反発力がXテーブル用ブレーキシュー820に加わって、当該Xテーブル用ブレーキシュー820が押圧力を解除しようとする方向(矢印y’方向)に戻ろうとしても、ウオームギヤ843の存在によりXテーブル用ギヤ輪列840が逆転しないからである。
このように、左右方向制動操作レバー680を左方向にスライドさせた位置でそのときのブレーキ力が保持されることにより、Xテーブル120に所定の制動力を与えた状態で当該Xテーブル120を左右方向に移動させることができる。
図6においては、Xテーブル制動機構800について説明したが、Yテーブル制動機構(図示せず。)もほぼ同様の構造とすることができる。すなわち、Yテーブル制動機構は、図示は省略するが、前後方向制動操作レバー690(図4参照。)のスライド操作に連動して前後方向にスライドする前後方向スライドプレート(図6における左右方向スライドプレート810に相当する。)と、Yテーブルの前後方向の往復移動に直交する左右方向の押圧力を前記Yテーブルに与えるためのYテーブル用ブレーキシュー(図6におけるXテーブル用ブレーキシュー820に相当する。)と、当該Yテーブル用ブレーキシューが先端に取りつけられ、Yテーブルの前後方向の往復移動に直交する左右方向にスライド可能なYテーブル用ブレーキシュー駆動プレート(図6におけるXテーブル用ブレーキシュー駆動プレート830に相当する。)と、前後方向スライドプレートとYテーブル用ブレーキシュー駆動プレートとの間に介在され、前後方向スライドプレートが前後方向にスライドする動作を、Yテーブル用ブレーキシュー駆動プレートが左右方向にスライドする動作に変換するYテーブル用ギヤ輪列(図6におけるXテーブル用ギヤ輪列840に相当する。)と、を有している。
ただし、Yテーブル制動機構においては、前後方向制動操作レバー690が操作パネル600に設けられ、当該操作パネル600はXテーブル120の移動とともに移動する構成となっている。このため、Yテーブル制動機構においては、前後方向制動操作レバー690と、前後方向スライドプレート(図6における左右方向スライドプレート810に相当する。)との間に、前後方向制動操作レバー690を前後方向に操作させたときの動力を前後方向スライドプレート(図6における左右方向スライドプレート810に相当する。)に伝達するための動力伝達機構が設けられている。動力伝達機構は、図示は省略するが、第1伝達板と、当該第1伝達板に連結されている第2伝達板とを有している。
第1伝達板は、前後方向制動操作レバー690に連結されている。そして、Xテーブル120とともに左右方向(x軸に沿った方向)に移動し、前後方向制動操作レバー690が前後方向(y軸に沿った方向)に操作されると、前後方向に移動するようになっている。
一方、第2伝達板は、第1伝達板が左右方向(x軸に沿った方向)に移動したときには当該第1伝達板の移動に対応する動力は伝達されずに動作せず、第1伝達板が前後方向(y軸に沿った方向)の移動したときには当該第1伝達板の移動に対応する動力が伝達されて第1伝達板とともに前後方向(y軸に沿った方向)に移動する。この第2伝達板は前後方向スライドプレート(図6における左右方向スライドプレート810に相当する。)に連結されており、第2伝達板が前後方向に移動すると、前後方向スライドプレート(図6における左右方向スライドプレート810に相当する。)も前後方向に移動する。これによって、Yテーブル用ギヤ輪列(図6におけるXテーブル用ギヤ輪列840に相当する。)が動作して、Yテーブルに制動力が与えられる。
Yテーブル制動機構がこのような構造を有することにより、使用者が前後方向制動操作レバー690を前後方向にスライドさせると、そのスライド量に応じた制動力がYテーブルに働き、前後方向制動操作レバー690を後方側(奥側に)にスライドさせるほど強い制動力がYテーブルに働く。具体的には、前後方向制動操作レバー690が最も前方側(手前側)に位置しているときには、Yテーブルには、制動力が付与されない。このため、Yテーブルは制動力が付与されない状態で自由に前後方向に移動させることができる。
そして、前後方向制動操作レバー690を後方側に徐々にスライドさせて行くと、Yテーブルには、前後方向制動操作レバー690のスライド量に応じた制動力が付与されて行き、Yテーブルは徐々に移動させづらくなって行く。そして、前後方向制動操作レバー690をさらに後方側にスライドさせて行くと、強い制動力がYテーブルに付与され、Yテーブルは移動が阻止された状態(ロック状態)となる。
なお、前後方向制動操作レバー690を後方側にスライドさせたときには、Xテーブル制動機構と同様に、当該前後方向制動操作レバー690をスライドさせた位置でそのときの制動力が保持される。このように、前後方向制動操作レバー690を前後方向にスライドさせた位置でそのときの制動力が保持されることにより、Yテーブルに所定の制動力を与えた状態で当該Yテーブル120を左右方向に移動させることができる。
可動テーブル100を構成するXテーブル120及びYテーブル(図示せず。)のうちのXテーブル120が上記したようなXテーブル制動機構を有するとともに、可動テーブル100を構成するXテーブル120及びYテーブルのうちのYテーブルが上記したようなYテーブル制動機構を有することにより、可動テーブル100を左右方向及び前後方向に移動させる際に、所定の制動力を与えた状態で移動させることができる。
また、実施形態に係る拡大読書器10においては、詳細な説明及び図示は省略するが、音声ガイダンス機能を有している。この音声ガイダンス機能は、使用者が操作パネル600において操作した操作内容に対応する音声ガイダンスを行うもので、例えば、使用者がカメラ300の倍率を変更した場合には、「倍率は2倍です」というように、操作内容に対応する音声を発する。また、音声ガイダンスを行う際の音量調整が可能であり、当該音量調整は操作パネル600の機能設定ボタンにより可能となっている。
次に、上記のように構成された実施形態に係る拡大読書器10の使用方法について説明する。
図7は、実施形態に係る拡大読書器10の使用方法について説明するために示す図である。ここでは、図7に示すように、実施形態に係る拡大読書器10を例えば机20に置いた状態で使用するものとする。まず、背面パネル700の主電源スイッチ710をオンにする。その状態で操作パネル600の電源ボタン610を押す。これにより、ディスプレイ400の内部に設けられているバックライト(図示せず。)が点灯する。
そして、使用者30が椅子40に座ったときに、ディスプレイ400が当該使用者30にとって見易い位置となるように、ディスプレイ400の高さ調整を行うとともに、ディスプレイ400の傾き調整を行う。ディスプレイ400の高さ調整は、使用者30がディスプレイ400の例えば左右両端部を持って上方向又は下方向に昇降させる。なお、必要に応じて、椅子の高さも適宜調整する。
このとき、ディスプレイ400は、可動アーム521,522の前方側端部に回転自在に軸支され、可動アーム521,522の後端側端部は、アッパーフレーム部512に回転自在に軸支されているため、ディスプレイ400を直立のまま上下動させることができる。
そして、ディスプレイ400の高さ調整を行ったら、ディスプレイ400の傾き調整を行う。ディスプレイ400の傾き調整は、ディスプレイ400を後方側又は前方側に傾けることにより行う。また、傾き調整した後においても、傾き調整した状態のままでさらに高さの調整を行うことが可能である。ディスプレイ400は高さ調整及び傾き調整を行ったあとに手を離すと、高さ調整を行った高さ及び傾き調整を行った傾きが保持される。なお、机20の上に置いたディスプレイ400を使用者が椅子に座って使用する場合には、ディスプレイ400は使用者の目線がやや斜め下方となるように傾き調整することが好ましい。
図8は、ディスプレイ400が使用者の目線がやや斜め下方となるように傾きを調整した場合を示す図である。ディスプレイ400を後方側に傾けることにより、図8に示すように、使用者の目線がやや斜め下方となるようにディスプレイ400の傾きを調整することができる。
なお、ディスプレイ400を後方側に傾けると、ディスプレイ400の下端辺400bは前方側(使用者の側)に迫り出すこととなるが、実施形態に係る拡大読書器10においては、ディスプレイ400の回転支点が、下端辺400bからH/4程度の位置であるため、ディスプレイ400の下端辺400bの前方側迫り出す量を少なくすることができる。これにより、ディスプレイ400の下端辺400bが前方(使用者側)に迫り出すことによる圧迫感を使用者に与えることがなくなる。
このように、実施形態1に係る拡大読書器10の高さ調整及び傾き調整がなされたら、表示対象物(この場合、書物とする。)を載せる。このとき、ディスプレイ400に表示された画像をみながら、操作パネル600で必要に応じて各種の設定を行う。
例えば、倍率設定用スライドレバー650の操作により、カメラ300の倍率を適宜設定したり、フォーカスロック/解除ボタン660の操作により、フォーカスロックとオートフォーカスとの切り替えを行ったり、明るさ調整ボタン670の操作により、ディスプレイ400の画面の明るさの調整を行ったり、機能設定ボタン620,630によって、白黒表示/白黒反転表示/黄色黒表示/黄色黒反転表示/フルカラー表示のうちのいずれかを選択したり、音声ガイダンスを行う際の音量調整を行ったりする。
また、機能設定ボタン620,630によって、ディスプレイ400の画面にラインを表示したり、画面の所定の領域をマスクしたりすることもできる。このように、ディスプレイ400の画面にラインを表示することにより、読むべき行が分かり易くなる。また、ディスプレイ400の画面の所定の領域をマスしたりすることにより、読むべき領域に注目することができる効果が得られるとともに、ディスプレイ400の画面の眩しさを軽減することができる効果も得られる。
上記した各機を実行させるには、操作パネルに設けられている機能設定ボタン620,630を操作することによって行う。機能設定ボタン620,630は、それぞれにおいて、中央部に位置する押しボタンと、当該押しボタンを囲むように設けられている回転ボタンとを有し、例えば、押しボタンによって上記各機能の切り替えを行い、回転ボタンによって、押しボタンによって切り替えられた機能において各種の設定を行うことができる。
また、支柱フレーム部510の裏側に設けられている背面パネル700のコントラスト調整えスイッチ770によって、コントラストを高コントラストと低コントラストに切り替えることもできる。これにより、状況に応じて、高コントラスト又は低コントラストのいずれかを選択できる。例えば、高コントラストとすると、文字はくっきりと表示されるが、低倍率とした場合に文字潰れとなる場合があるため、低倍率の場合には、低コントラストにし、高倍率の場合には高コントラストにするといった使い方ができる。
このようにして、各種の設定を行ったら、可動テーブル100を左右方向又は前後方向に移動しながらディスプレイ400に拡大表示されている文字などを読んで行く。このとき、使用者は視点を動かさずに、可動テーブル100をゆっくり移動させながら文字を読むことが好ましい。
可動テーブル100の操作は、可動テーブル操作部640L,640Rによって行う。可動テーブル操作部640L,640Rは、操作パネル600の上面における左右両端付近に凹部として設けられている。これら可動テーブル操作部640L,640Rは、いずれか一方の操作部を使用することにより、可動テーブル100を左右方向及び前後方向に移動させることができ、また、可動テーブル操作部640L,640R両方を同時に同方向に操作することによっても、可動テーブル100を左右方向及び前後方向に移動させることができる。
可動テーブル100を移動させる際は、可動テーブル100のロックを解除した状態で操作すると、可動テーブル100のコントロールがしにくいため、所定の制動力を付与した状態、すなわち、可動テーブル100を左右方向及び前後方向に移動させる際に、所定の制動力を与えた状態で移動させると可動テーブル100のコントロールがし易くなる。
例えば、書物に記載されている文章が横書きである場合には、可動テーブル100に対する前後方向の制動力を左右方向の制動力よりも強めに設定することが好ましい。このようにすると、可動テーブル100が前後方向にずれにくくなり、横書きの文章が読みやすくなる。
具体的には、Yテーブル制動機構によるYテーブルに対する制動力をXテーブル制動機構によるXテーブルに対する制動力よりも強めに設定すると、横書きの各行の文書に沿って移動しやすくなり、また、次の行に移る際(行替えを行う際)に、可動テーブル100を移動し過ぎたりすることなく行替えを行い易くすることができる。
一方、書物に記載されている文章が縦書きである場合には、可動テーブル100に対する左右方向の制動力を前後方向の制動力よりも強めに設定することが好ましい。このようにすると、可動テーブル100が左右後方向にずれにくくなり、縦書きの文章が読みやすくなる。
具体的には、Xテーブル制動機構によるXテーブルに対する制動力をYテーブル制動機構によるYテーブルに対する制動力よりも強めに設定すると、縦書きの各行の文書に沿って移動しやすくなり、また、次の行に移る際(行替えを行う際)に、可動テーブル100を移動し過ぎたりすることなく行替えを行いやすくすることができる。
このようなXテーブル制動機構によるXテーブルの制動力の調整及びYテーブル制動機構によるYテーブルの制動力の調整は、操作パネル600の前方側垂直端面に設けられている左右方向制動操作レバー680又は操作パネル600の左側垂直端面に設けられている前後方向制動操作レバー690をそれぞれスライドさせることによって行う。
このように、実施形態に係る拡大読書器10においては、Xテーブル制動機構によるXテーブルの制動力の調整及びYテーブル制動機構によるYXテーブルの制動力の調整は、操作パネル600の前面側垂直端面に設けられている左右方向制動操作レバー680又は操作パネル600の左側垂直端面に設けられている前後方向制動操作レバー690によって行うものであるため、摘みを指で摘んで回転させるものに比べて操作がし易いとともに、各操作レバーの位置により操作レバーの操作量がわかり易いため、制動力の付与加減が直観的にわかり易いものとなる。
また、これら左右方向制動操作レバー680及び前後方向制動操作レバー690は、操作パネル600の前面側垂直端面及び左側垂直端面にそれぞれ設けられており、かつ、可動テーブル100とともに移動する構成となっている。このため、可動テーブル100を移動させたときに、これら左右方向制動操作レバー680及び前後方向制動操作レバー690が可動テーブル100の下に隠れて使用者から見えなくなってしまうといったことがなくなる。
ちなみに、前記した従来の拡大読書器900(図10参照。)においては、Yテーブル用制動摘み915は、Yテーブル912の右側垂直端面に設けられているため、Xテーブル914がYテーブル912上で図示の右方向に移動したときに、Yテーブル用制動摘み915はXテーブル914の下に隠れてしまい、操作しづらいものとなってしまうという問題が生じるが、実施形態に係る拡大読書器10においては、このような問題は生じない。
このようにして、可動テーブル100に書物を載せた状態で可動テーブル100を適宜操作しながらディスプレイ400に拡大表示されている文書を読んで行く。なお、ディスプレイ400に拡大表示されている文章を読む場合には、使用者の視点は動かさずに、可動テーブル100を移動させながら読むようにすることが好ましい。
このとき、可動テーブル100の前方側先端部に操作パネル600が設けられているため、操作パネル600は可動パネル100とともに移動する。このため、可動テーブル100の移動に追従して操作パネル600の各操作部を操作することができ、操作性に優れたものとなる。
例えば、可動テーブル100(Xテーブル120)上に表示対象物(例えば書物とする。)を置いたときは、使用者は手で書物を抑えた状態として当該書物を読むことが一般的である。この状態で、可動テーブル100を移動させる場合には、使用者は手で書物を抑えながら可動テーブル100を移動させることとなる。このような場合、使用者の手も可動テーブル100とともに移動することとなるが、実施形態に係る拡大読書器10においては、操作パネル600は可動テーブル100の前方側先端部に設けられており、操作パネル600は可動パネル100とともに移動するため、可動テーブル100を移動させながら操作パネル600の各操作部を操作することも可能となり、操作性に優れたものとなる。
なお、実施形態1に係る拡大読書器10は、書物に記載されている文章などを読むだけではなく、表示対象物(例えば用紙など)に文書などを筆記する場合にも使用することができる。
図9は、実施形態1に係る拡大読書器10を使用して表示対象物に文書などを筆記する場合を説明するために示す図である。実施形態1に係る拡大読書器10を使用して文書などを筆記する場合も、文書などを読む場合と同様に、ディスプレイ400の高さ及び傾きを使用者にとって適切となるように調整する。なお、この場合も、使用者の目線がやや斜め下方となるようにすることが好ましい。
ディスプレイ400の高さ及び傾きを使用者にとって適切となるように調整したら、用紙60を可動テーブル100上に載せて、図9に示すように、筆記用具70を持つ手31をディスプレイ400の下端辺400bの下方から差し入れて可動テーブル100上に載っている用紙60上に筆記を行う。
例えば、用紙60上において左から右への横書きの筆記を行う場合には、1文字を筆記したら可動テーブル100を左方向にずらして次の1文字を筆記するという動作を繰り返し、横書き1行分の筆記が終了したら、可動テーブル100を後方(奥側)にずらして次の行の筆記を開始する。なお、可動テーブル100の左右方向への移動は1文字ごとではなく、複数文字分ごとに行ってもよい。
また、筆記を行う場合における可動テーブル100の操作は、筆記する手とは異なる手で可動テーブル操作部640L,640Rのいずれかを操作することによって行う。例えば、右利きの使用者の場合においては、左手で可動テーブル操作部640Lを操作して、可動テーブル100を左右方向又は前後方向に移動させる。
このような横書きの筆記を行う場合も、横書きの文章を読む場合と同様に、可動テーブル100に対する前後方向の制動力を左右方向の制動力よりも強めに設定することが好ましい。このようにすると、可動テーブル100が前後方向にずれにくくなり、文書を用紙60に横書きする際に、文字が用紙60上で上下方向にずれにくく直線上に文字が並び易くなる。また、行替えを行う際に、可動テーブル100を移動し過ぎたりすることなく、行替えを行い易くすることができる。
一方、用紙60上において上から下への縦書きの筆記を行う場合にも横書きとほぼ同様に行うことができる。このような縦書きの筆記を行う場合には、縦書きの文章を読む場合と同様に、可動テーブル100に対する左右方向の制動力を前後方向の制動力よりも強めに設定することが好ましい。このようにすると、可動テーブル100が左右方向にずれにくくなり、文書を用紙60に縦書きする際に、文字が用紙60上で左右方向にずれにくく直線上に文字が並び易くなる。また、行替えを行う際に、可動テーブル100を移動し過ぎたりすることなく、行替えを行い易くすることができる。
なお、筆記する場合においても、ラインを表示させる機能を使用して、ディスプレイ400の画面上に左右方向又は上下方向のラインを表示させた状態で筆記を行うようにしてもよい。これにより、文章を筆記する際においては、ラインをガイドとして筆記すればよいため、文書が用紙60上で直線上に並び易くなる。
また、画面の所定領域をマスクする機能を用いて、筆記する領域以外の領域をマスクした状態で筆記するようにしてもよい。このようにすることにより、筆記する文章や文字に注目しながら筆記することができる効果が得られるとともに、ディスプレイ400の画面の眩しさを軽減することができる効果も得られる。
また、ラインを表示する機構及びマスクする機能以外にも、書物を読む場合と同様に、カメラ300の倍率、フォーカスロックとオートフォーカスとの切り替え、ディスプレイ400の画面の明るさなど各種の設定を行うことができる。
ところで、このような横書き又は縦書きのいずれの筆記を行う際においては、筆記用具70を持つ手31は、ディスプレイ400の下方から差し入れて可動テーブル100上に置くこととなるが、実施形態に係る拡大読書器10においては、カメラ300の光軸(y軸に沿った光軸)の位置Pyは、上記したように、可動テーブル100が初期位置(図1及び図2に示す位置)に存在する場合で考えた場合には、可動テーブル100の前方側端部e1(図1及び図2参照。)に近い位置となるように設定されている。また、ディスプレイ400は、下端辺400bに近い位置(下端辺400bからH/4程度の位置)が回転支点となっているため、ディスプレイ400を後方側に傾けた場合であっても、ディスプレイ400の下端辺400bが前方(使用者の側)に大きく迫り出すことがなくなる。
このため、実施形態に係る拡大読書器10を使用して文字などを筆記する場合、筆記用具70を持つ手31をディスプレイ400の下端辺400bから奥の方まで伸ばすというような無理な姿勢をとることなく、机の上で用紙に筆記するときとほぼ同様の自然な姿勢で筆記することができる。
なお、本考案は上述の実施形態に限られるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)上記実施形態においては、実施形態に係る拡大読書器10を、書物を読んだり文字や文章などを書いたりする用途として使用する場合を例示したが、実施形態に係る拡大読書器10は、これら以外にも様々な用途に使用することができる。例えば、絵画や写真を見たり、爪切りや縫い針に糸を通す場合のような細かい作業を行ったりする場合など、生活の様々な場面での使用が可能となる。
(2)上記各実施形態においては、操作パネル600によって設定可能な機能としては、例えば、カメラ300の倍率、フォーカスロックとオートフォーカスとの切り替え、ディスプレイ400の画面の明るさ、白黒表示/白黒反転表示/黄色黒表示/黄色黒反転表示/フルカラー表示のうちのいずれかの選択、音声ガイダンスを行う際の音量調整、ラインを表示する機構及びマスクする機能などを例示したが、これらは一例であって、これら以外にも様々な機能を搭載することが可能である。