JP3194647U - 高湿度保持用冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却効果の高い冷却パネルにより、庫内を低温に維持し、高湿度に保って、生鮮品を鮮度良く保存する高湿度保持用冷蔵庫を提供する。【解決手段】ブラインが流通できる平板状の冷却槽1がある。この冷却槽1は、並行状態に配置した伝熱性の板状体2,3で形成され、該板状体に直径25〜50mmの椀状をした多数の凹状部5を対向する板状体に接するように分散状態に設けている。この凹状部5は対向する板状体と接する部分で溶接され全体を一体化している。この冷却槽1にはブラインの入口部8と出口部があり、入口部8から流入したブラインが出口部に向かって冷却槽内の全面に行き渡るように複数の隔壁13を設けて蛇行する流路を形成している。この冷却パネル20を冷却ボックスの内側に凹状部を内向きにして位置させ、上記冷却パネルにブラインを循環させて高湿度保持用冷蔵庫とする。【選択図】図5
Description
本考案は、冷却ボックス内を常時低温かつ高湿度に保っておくことができる高湿度保持用冷蔵庫に関する。
従来、冷蔵庫は圧縮機を駆動して冷媒を凝縮器に送り込んで液化させ、この液化冷媒を蒸発器で蒸発する際に周囲の熱を奪って自ら気化し、これによって冷蔵庫内を冷却するものである。この方式の冷蔵庫では蒸発器において冷却された冷風を庫内で循環させて冷やすのであるが、蒸発器部において結霜するために、庫内の水分が奪われて乾燥状態に置かれることから、収納・保管している品物から水分を奪ってしまうようになる。
特に、果実、野菜その他の生鮮品を庫内に貯蔵しておくと、生鮮品が次第に乾燥して萎びた状態になってしまうところから、従来、生鮮品を庫内に入れるに当ってはフィルム等で覆うことによって水分の蒸散を抑える必要があった。しかしながら、生鮮品を一つずつフィルムで覆って保存することは、手間が掛かるばかりか貯蔵コストの上昇に繋がり、その改善が求められていた。
こうしたことから、上記した従来の庫内での冷風の送風方式に替えて、冷蔵庫を形成するパネルにブライン(冷媒)を循環させることによって冷却を行う方式が提案され、これによって生鮮品の水分の蒸散を極力抑えながら冷却することができることから、無包装による貯蔵が可能になった。しかし、この壁内ブライン循環方式では、平板体で形成された冷却槽にブラインを送って循環させているものであり、更にその冷却効率を上げることが望まれていた。(特許文献1)
本考案は、冷却パネルにおける冷却効率を更に改善したものを簡便な構造によって、経済的に得られるようにし、また、既存の冷却ボックス内にも自由に設置することができ、これらによって効率的に低温を維持し、かつ庫内を高湿度に保って、生鮮品でもそのまま庫内に長期保存ができるようにしようとするものである。
本考案は、ブラインが流通できるような平板状の冷却槽を有している。この冷却槽は、並行状態に配置した伝熱性の板状体で形成され、該板状体の少なくとも一方に多数の凹状部を対向する板状体に向かって分散状態に設けており、この凹状部は対向する板状体に接するようになっている。そして、この凹状部は、対向する板状体と接する部分において溶接されて上記両板状体の全体を一体化している。この冷却槽にはブラインを流入させる入口部と流出させる出口部を設けており、上記両板状体間に上記入口部から流入したブラインが出口部に向かって冷却槽内の全面に行き渡るように複数の隔壁を設けて蛇行する流路を形成している。こうした冷却パネルは、上記凹状部を設けた面が内向きとなるように冷却ボックスの内側の側板及び天板の少なくとも1板面部に位置させ、上記冷却パネルにブラインを循環させるようにして高湿度保持用冷蔵庫としている。
本考案によれば、冷却パネルの冷却槽にブラインが満たされて循環されると、ブラインが冷却槽の全面に行き渡り、凹状部によって広くなった内表面からの輻射冷却によって冷却ボックス内を確実に冷却することができると共に、高湿度状態に保つことができるので、果実、野菜、花卉その他の生鮮品をそのまま収納しておいても、萎びることなく、鮮度を保持して保存することができる。そして、冷却槽を形成する並行する板状体は、分散状態に多数設けた凹状部によって一体化されているので、ブラインを循環させるために掛かっている圧力によっても、パネルが撓んで変形することもない。また、この冷却パネルは、既存の冷却ボックスに設置することができると共に、一面に丈夫な断熱材を設けたものではこの冷却パネルを使用して組立てることにより冷却ボックスにすることもできる。
本考案において、冷却槽1はパネル状をしており、適宜の大きさに形成されるが、図示のものでは、幅を90cm、高さ200cm程度の大きさに形成している。この冷却槽1は2枚の板状体2、3を並行状態に配置し、側縁部4を封止して密閉状の槽に形成している。上記板状体2、3には、伝熱性が良好で丈夫な材料が使用されるが、図示のものでは、厚さが約0.8〜1.2mm程度のステンレス鋼板や鋼板が使用されている。この板状体2、3が並行状態に配置されているときの両者間の間隔は、約7mm〜15mm程度にするとよいが、図示のものでは10mmにしている。
上記一方の板状体2には多数の凹状部5を設けており、この凹状部5の頂部6は並行状態に配置されている対向する板状体3に接している。この凹状部5は、板状体の全体に均一的な分散状態に形成するとよく、通常、1m2当たり約80〜120個程度、好ましくは約90〜110個程度設けるようにするとよい。図示のものでは、長手方向に18個とし、幅方向に7列に形成しており、各凹状部5の中心間の間隔は、縦横方向に約10cm間隔となるように設けられている。この凹状部5は、図示のように直径25〜50mm程度の椀状に形成するとよく、椀状であると板状体における厚みの変化も少なくて丈夫であるし、曲面であることからブラインの流れに対して適度の抵抗となる。この凹状部は、並行状態にある一方の板状体に設けるようにするが、幾つかは他方の板状体に設けることもできる。
上記一方の板状体2に設けた凹状部5の頂部6は、並行状態に配置してある他方の板状体3に接するようになっているが、この頂部6において両板状体2、3を溶接などにより一体化している。図示の椀状の凹状部5においては、凹状部の中心の頂部6において、対向する他方の板状体3にポイント溶接されている。
また、この並行状態に配置されている両板状体2、3の間には、冷却槽1の対向する両端縁から互い違いに延びる複数の隔壁13を設けており、図において板状体の長手方向における上端部に設けた入口部8から流入したブレインが出口部9に向かって冷却槽1の全領域に行き渡るように蛇行する流路10を形成している(図4)。図示の隔壁13は隔壁主板14の両縁から互いに逆方向に延びる側板15、16によって断面がZ形に形成されており、一方の側板15が一方の板状体2に溶接されて固定され、他方の側板16が他方の板状体3に溶接されて固定されて、上記流路10を形成すると共に更に両板状体2、3の一体化を図っている。
こうした冷却パネル20は、断熱材23を備えた既成の冷却ボックス21の内側の側板、天板などの少なくとも一面に、板状体に設けた凹状部5が内向きになるように冷却ボックス21の内壁面に接するように配置して、金具などの適宜の手段で確実に固定するようにする。この場合、冷却効率を挙げる為には、冷却パネル20を各側壁面、天井壁面に配置するとよく、通常、冷却ボックス21の入口用の扉22を設けた側板には配置しないことが多いが、場合に応じて配置することもできる。
冷却ボックス21内に複数の冷却パネル20を配置した場合には、各冷却パネル20に個別にブラインを送って循環させたり、並列状態に連結してブラインを循環させると安全であるが、各冷却パネル20の出口部9を隣接する冷却パネル20の入口部8と連結管19で連結して、各冷却パネル20を直列状に連結してブラインを循環させることもできる。
冷却ボックス21内に複数の冷却パネル20を配置した場合には、各冷却パネル20に個別にブラインを送って循環させたり、並列状態に連結してブラインを循環させると安全であるが、各冷却パネル20の出口部9を隣接する冷却パネル20の入口部8と連結管19で連結して、各冷却パネル20を直列状に連結してブラインを循環させることもできる。
これを使用する場合、冷却器(図示略)によって冷却されたブラインをパイプで冷却パネル20に送ってその入口部8から注入すると、ブラインは仕切り板13で仕切られた流路10を通り、蛇行しながら冷却パネル20の全面に行き渡るようになって、出口部9から出て行くが、上記流路10を流れている間に、冷却パネル20の板状体2、3は冷却され、これによって冷却ボックス21内は冷却される。そして、上記冷却パネル20を構成する内側の板状体2には、多数の凹状部5が設けてあるので、これによって冷却パネル20の表面積は広くなっているし、ブラインは凹状部5に当りつつ流れて行くようになるので、輻射冷却作用を効率的に行うことができて冷却効率を高めることができる。
上記冷却パネル20の冷却槽1には、ブラインが充填されているので、相当な重量となっていると共に、ブラインは流路10を通って循環させているので、冷却パネル20において並行状態に配置されている板状体2、3には、その並行状態を押し広げようとする圧力が大きく作用するようになるが、この両板状体2、3間には、上記した隔壁13及び多数の凹状部5が分散状態に設けてあって、これらが両板状体2、3を一体化しているので、板状体2、3が膨らんだり、流路が短絡するようなこともなく、確実かつ安全にブラインを保持、循環させることができて良好な冷却状態を維持することができる。
上記の如くして得られる冷却は、通風によらない輻射方式の冷却であるので0〜1℃の低温に保つことができると共に、冷却ボックス21内の水分を奪うことなく冷却することができるものであり、冷却に伴う低温化によって、その水分もほぼ飽和状態に保たれているようになるので湿度をほぼ100%、少なくとも95%以上に維持することができ、また従来の冷風方式と異なって霜が付くこともなく、冷却ボックス21内に果実、野菜、花卉その他の生鮮品を保存した場合に、これを萎びさせるようなこともなく、その鮮度を保って保存することができ、また、種子類の発芽時期の調整にも有効である。
上記冷却パネル20には、上記凹状部5のある面とは反対面に断熱材を一体的に取り付けたり、断熱材の中に嵌め込んだりすることができる。この場合、上記断熱材を断熱効果が高く、また強度的にも丈夫なものにしてボックス用パネルに形成すれば、このボックス用パネルを組立てることによって、高湿度保持用冷蔵庫を形成することができる。
(試験1)
収穫した梨(品種:幸水)を包装することなく裸状態で保存して経時的な重量の変化を測定した。
本考案区:本願実施例の高湿度保持用冷蔵庫に梨を収納し、温度を0〜1℃、湿度を95%に保持して36日間貯蔵し重量変化を見た。
比較区:従来の冷風式の冷蔵庫に、同様に梨を収納し保存した。庫内の温度は0〜3℃、湿度は65〜75%に設定し、本考案区と同様に貯蔵し重量変化を見た。
収穫した梨(品種:幸水)を包装することなく裸状態で保存して経時的な重量の変化を測定した。
本考案区:本願実施例の高湿度保持用冷蔵庫に梨を収納し、温度を0〜1℃、湿度を95%に保持して36日間貯蔵し重量変化を見た。
比較区:従来の冷風式の冷蔵庫に、同様に梨を収納し保存した。庫内の温度は0〜3℃、湿度は65〜75%に設定し、本考案区と同様に貯蔵し重量変化を見た。
試験1の結果を表1に示す。重量の減量率を重量%で示した。
比較例においては急速に重量が減少しているが、本考案区における減量率は比較区に対して大幅に低くなっており、鮮度が保たれていることが判る。
比較例においては急速に重量が減少しているが、本考案区における減量率は比較区に対して大幅に低くなっており、鮮度が保たれていることが判る。
(試験2)
収穫した梨(品種:南水)を包装することなく裸状態で経時的な重量変化と、最終的な
糖度、硬度を測定した。
糖度は、屈折糖度計示度ブリックス(Brix)%で示す。
硬度は、マグネステーラー式硬度計(11mmヘッド使用)示度ポンド(P)で示した。
本考案区:試験1と同様な条件で収納し90日間貯蔵した。
比較区:試験1と同様な条件で収納し90日間貯蔵した。
収穫した梨(品種:南水)を包装することなく裸状態で経時的な重量変化と、最終的な
糖度、硬度を測定した。
糖度は、屈折糖度計示度ブリックス(Brix)%で示す。
硬度は、マグネステーラー式硬度計(11mmヘッド使用)示度ポンド(P)で示した。
本考案区:試験1と同様な条件で収納し90日間貯蔵した。
比較区:試験1と同様な条件で収納し90日間貯蔵した。
試験2の結果について、表2には重量の減量率を重量%で示した。また、表3には90日経過後の糖度(%)と硬度(P)を示した。
表2に示すように、比較例においては時間の経過と共に急速に重量が減少しているが、本考案区における減量率は比較区に対して大幅に低くなっている。また、表3に示すように、比較例では硬度が低下しているが、本考案区においては硬度が高く維持されており、鮮度が保たれていることが判る。
糖度は、比較区が高くなっているが、これは表2に示したように重量の減少率が高いために、糖分が濃縮されて高くなったものと考えられる。
上記の如く本考案区では梨の鮮度が長期間高く保たれているので、正月頃に出荷することも可能となる。
表2に示すように、比較例においては時間の経過と共に急速に重量が減少しているが、本考案区における減量率は比較区に対して大幅に低くなっている。また、表3に示すように、比較例では硬度が低下しているが、本考案区においては硬度が高く維持されており、鮮度が保たれていることが判る。
糖度は、比較区が高くなっているが、これは表2に示したように重量の減少率が高いために、糖分が濃縮されて高くなったものと考えられる。
上記の如く本考案区では梨の鮮度が長期間高く保たれているので、正月頃に出荷することも可能となる。
(試験3)
収穫した野菜(品種:サニーレタス)を包装することなく裸状態で保存して経時的な重量の変化を測定した。
本考案区:試験1、2と同様にサニーレタスを収納し、10日間貯蔵し重量の減少率(%)の変化を見た。
比較区:試験1、2と同様にサニーレタスを収納し、10日間貯蔵し重量の減少率(%)の変化を見た。
収穫した野菜(品種:サニーレタス)を包装することなく裸状態で保存して経時的な重量の変化を測定した。
本考案区:試験1、2と同様にサニーレタスを収納し、10日間貯蔵し重量の減少率(%)の変化を見た。
比較区:試験1、2と同様にサニーレタスを収納し、10日間貯蔵し重量の減少率(%)の変化を見た。
試験3の結果を表4に示した。比較区では急速に減量しているが、本考案区における減量率は比較区に対して大幅に低くなっており、鮮度が保たれていることが判る。
1 冷却槽
2、3 板状体
5 凹状部
8 入口部
9 出口部
10 流路
13 隔壁
19 連結管
20 冷却パネル
21 冷却ボックス
2、3 板状体
5 凹状部
8 入口部
9 出口部
10 流路
13 隔壁
19 連結管
20 冷却パネル
21 冷却ボックス
Claims (4)
- ブラインが流通できるような平板状の冷却槽を有し、該冷却槽は並行状態に配置した伝熱性の板状体で形成され、該板状体の少なくとも一方に直径25〜50mmの椀状をした多数の凹状部を対向する板状体に向けてこれに接するように分散状態に設け、この凹状部を対向する板状体に溶接して両板状体を一体化し、該冷却槽にブラインを流入させる入口部と流出させる出口部を設け、上記両板状体間に上記入口部から流入したブラインが出口部に向かって冷却槽内の全面に行き渡るように複数の隔壁を設けて蛇行する流路を形成して冷却パネルとし、該冷却パネルの凹状部が内向きとなるように冷却ボックスの内側の側板及び天板の少なくとも1板面部に配置させ、上記冷却パネルにブラインを循環させるように形成した高湿度保持用冷蔵庫。
- 上記凹状部は、板状体に1m2当り80〜120個形成されている請求項1に記載の高湿度保持用冷蔵庫。
- 上記冷却パネルは冷却ボックスの内側に複数個存在し、各冷却パネルはその入口部と出口部を順次直列状態に連結している請求項1または2に記載の高湿度保持用冷蔵庫。
- 上記冷却パネルの一面に丈夫な断熱材層を形成し、これを上記冷却ボックスの壁板とするようにした請求項1または2に記載の高湿度保持用冷蔵庫。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014005008U JP3194647U (ja) | 2014-09-19 | 2014-09-19 | 高湿度保持用冷蔵庫 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014005008U JP3194647U (ja) | 2014-09-19 | 2014-09-19 | 高湿度保持用冷蔵庫 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011024826A Continuation JP2012163273A (ja) | 2011-02-08 | 2011-02-08 | 高湿度保持用冷蔵庫 |
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Family Applications (1)
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