JP3193204B2 - 磁気特性測定装置 - Google Patents

磁気特性測定装置

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JP3193204B2 JP21403693A JP21403693A JP3193204B2 JP 3193204 B2 JP3193204 B2 JP 3193204B2 JP 21403693 A JP21403693 A JP 21403693A JP 21403693 A JP21403693 A JP 21403693A JP 3193204 B2 JP3193204 B2 JP 3193204B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録ヘッド、イン
ダクタ、トランス等の磁気素子に供される軟磁性体の磁
気特性を測定するための軟磁性体の磁気特性測定装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、VTR(Video Tape
Recorder)やHDD(Hard Disk D
rive)などに代表される磁気記録システムにおける
情報記録密度の増大には目を見張るものがある。このよ
うな高密度磁気記録は、短波長記録がなされ、そのため
記録媒体は保磁力が大きいことが必要とされる。また、
さらに記録ヘッドには高い飽和磁束密度を有する軟磁性
材料を用いると共に記録周波数の増大に対応した優れた
周波数特性を有することが求められる。特に、最近のハ
イビジョン対応のVTR用磁気ヘッドや高密度HDD用
ヘッドには、数10MHz で動作することが求められて
いる。
【0003】一方、各種電子機器の小型軽量化の強い要
求から、電源部にも小型・薄型化が求められている。電
子機器用電源としては、スイッチング電源が用いられて
おり、スイッチング周波数の増大によって小形化が図ら
れてきた。このスイッチング電源の小型化は、高周波化
によるインダクタやトランスなどの磁気部品の小型化に
よって実現されてきたものの、最近では磁気部品の小型
化がボトルネックとなって、次第に電源の小型化が困難
になってきている。
【0004】上述した状況に鑑み、近年、軟磁性薄膜を
用いた薄膜磁気素子の開発が進められており、数MHz
から数10MHz で動作するスイッチング電源用として
期待されている。
【0005】また、上述した高周波磁気素子にはいずれ
も軟磁性体が用いられており、合金系、酸化物系、窒化
物系など種々の材料が開発されている。このような、軟
磁性体の高周波磁気特性測定手段として、バルク磁性材
料では図13に示すような20MHz まで測定可能な高
周波鉄損測定装置が開発されており、材料開発やシステ
ム開発の際の評価装置として実用に供されている。この
バルク磁性材料を用いた方法の特色は、軟磁性体試料T
を環状にすることで反磁界効果のない状態で材料固有の
特性を測定できることである。
【0006】しかしながら、この図13に示す測定法を
薄膜試料に直接適用するには多くの問題がある。例え
ば、通常、測定周波数は自己共振周波数で制約される
が、この測定法では軟磁性体試料に巻線が直接、巻かれ
るため自己共振周波数を高めることが困難である。ま
た、薄膜は何等かの基板上に形成されるのが普通である
ことから、巻線を基板と特性を測定しようとする薄膜と
を一緒にして巻くことになり、この基板の存在により本
来検出すべき薄膜による磁化検出に大きな誤差を伴うこ
とになる。
【0007】このような問題に対処するため、Calcagno
らは8の字コイルを用いた磁性薄膜測定法を提案してい
る(Rev.Sci.Instrum.,Vol.46,No.7,pp.904-908,1975)。
図14に、この磁性薄膜測定法の原理を示す。この8の
字コイルを用いた磁性薄膜測定法は、まず基板125上
に軟磁性体試料としての薄膜123を形成し、この基板
上125に形成された薄膜123を均一な高周波磁界中
に置き、8の字コイル121aの上側コイル(若しくは
下側コイル)内に薄膜を置き、測定を行うものである。
【0008】以下、具体的に説明する。ここでは、上側
コイル内を貫通するように軟磁性体試料が置かれている
ものとする。この上側コイル部を鎖交する磁束φo は、 φo =S・μo (H−Hd )+So ・I (1) であり、軟磁性体試料の置かれていないコイル部を鎖交
する磁束φは、 φ =S・μo (H−Hγ ) (2) となる。但し、Hd は試料内部の反磁界であり、Hγ
は試料外部の反磁界である。
【0009】8の字コイルでは2つのコイルが逆極性に
接続されるので、8の字コイルに誘起する電圧v8 は、
【数1】 となる。但し、Hは外部高周波磁界、μo は真空の透磁
率、Iは薄膜試料の磁化、Sは8の字コイルの上部コイ
ル及び下部コイルの磁束鎖交面積(コイルループの描く
面積)、So は薄膜試料の断面積である。8の字コイル
の上部コイル及び下部コイルが近接し、かつHd とHγ
が略等しいものとすると、薄膜試料の磁化Iは、
【数2】 で与えられる。また、通常の測定では、軟磁性体試料に
加わる外部高周波実効磁界を検出するための磁界検出用
コイル121bを試料に近接して別途設け、
【数3】 で求める。VH は磁界検出用コイル121bの誘起電
圧、Sはコイルループの描く面積である。
【0010】このようにして、外部磁界Hと薄膜試料の
磁化Iを知ることができるので、両者の振幅の比を求め
れば、高周波実効磁化率XEff.が得られることになる。
【0011】
【数4】 また、高周波実効透磁率μEff.は、 μEff.=XEff.+1 (7) で与えられる。
【0012】以上のように、8の字コイル法は高周波透
磁率の測定法として、その有用性が認められ盛んに利用
されているが、その測定は磁界振幅の小さい、例えば磁
界振幅Hm 0〜8A/m 程度に限られている。
【0013】さらに、現在8の字コイルは図15に示す
ように単に導線を8の字形状に巻いたものが用いられて
いる。この場合、8の字コイルの上部および下部のコイ
ルはそのループ面積が完全に一致しなければならない
が、導線を巻く方法では寸法を一致させるのが極めて難
しく、この寸法誤差が直接測定精度に影響する。
【0014】この問題を回避するため、図16に示すよ
うに、プリント配線技術を利用して8の字コイルを形成
する方法が提案されている。この方法は、コイルの寸法
精度を上げるには有効である。実際の測定では、8の字
コイルの寸法誤差を試料を挿入しない場合の検出電圧を
もとにして校正しているのが実状である。
【0015】さらに、8の字コイルには、図14に示す
ごとく、薄膜試料が置かれるが、この場合、8の字コイ
ル近傍の磁化変化のみ検出されることになり、薄膜試料
全体の磁化変化を検出することはできない。例えば、図
17のように、薄膜エッジ部に三角磁区が存在するよう
な場合、磁気素子の特性は三角磁区の磁化の影響も受け
るが、従来用いられてきた8の字コイルでは局所的な磁
化の検出ができるのみであり、測定される薄膜試料の特
性と磁気素子の特性との対応をとるのが困難となる。す
なわち、従来の方法では軟磁性体試料のオーバーオール
の磁化変化を検出することはできなかった。
【0016】また、高周波均一磁界を発生する手段とし
て、現在、図18に示すような平行平板の面状コイルを
用いることがある。しかしながら、この平行平板の面状
コイルは本願発明者らの解析によれば発生磁界の均一性
は必ずしも良好でない。図19は、この平行平板の面状
コイルにおける電流モデルを仮定した場合の磁界分布の
均一性を計算したものである。この図19を参照する
に、平行平板の中心部OからZ方向±7mmの範囲で磁界
は20%以上も変動していることが判る。これらの磁界
不均一性は測定精度に大きく影響することは言うまでも
ない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述してきたように、
高周波磁気素子は大信号で動作することが求められてお
り、そのため、これらに使用される軟磁性体に対して実
際の動作状態に近い大振幅高周波磁界のもとで特性評価
を行う必要に迫られている。また、さらに素子特性に与
える軟磁性体全体の磁気特性の影響を定量的に評価する
手段の確立が求められている。しかしながら、これらの
条件を満足する測定法は今だ確立されておらず、前述し
た磁気記録ヘッドや薄膜インダクタ、薄膜トランスの開
発に支障をきたしているのが現状である。
【0018】本発明は上記課題に鑑みなされたもので、
磁気記録ヘッドや薄膜インダクタ及び薄膜トランスに使
用される軟磁性体の高周波磁気特性の測定に際し、磁界
振幅を広範囲に設定でき、かつ軟磁性体のオーバーオー
ルな特性を評価できる磁気特性測定装置を提供すること
を目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願第1の発明の磁気特性測定装置は、平面状の導体の
相対向する両端面を閉じるようにして得られる該導体の
内部が第一の空洞となるように形成された面状コイルか
らなり、該第一の空洞内に被測定物を配置できるように
形成され、該被測定物内部に発生する磁化の強さを検出
する検出手段と、平面状の導体の相対向する両端面を閉
じるようにして得られる該導体の内部が第二の空洞とな
るように形成された面状コイルからなり、該第二の空洞
内に前記検出手段を配置できるように形成された磁界発
生手段と、前記磁界発生手段へ電流を供給する電源と、
前記検出手段から出力される検出信号を用いて前記被測
定物の磁気特性を検出する検出制御手段と、から構成さ
れることを特徴としている。
【0020】本願第2の発明の磁界発生装置は、平面状
の導体の相対向する両端面を閉じるようにして得られる
該導体の内部が空洞になるように形成された面状コイル
からなり、外部から供給される電流に基づいて磁界を発
生することを特徴としている。
【0021】本願第3の発明の磁気特性測定装置は、平
面状の導体の相対向する両端面を閉じるようにして得ら
れる該導体の内部が空洞になるように形成された面状コ
イルからなり、外部から磁界が与えられた時、該面状コ
イル内に配置された被測定物内に発生する磁化の強さを
検出することを特徴としている。
【0022】
【作用】本願第一の発明である磁気特性測定装置では、
磁界発生手段としての面状コイルに高周波電流を流すの
で均一な磁界を発生できまた該均一な磁界の中で、磁界
検出手段としての面状コイル内に被測定物である軟磁性
体試料を置くので、該試料の広範囲領域による磁化の強
さを正確に測定することができる。
【0023】本願第二の発明である磁界発生装置は、面
状コイルから構成されているので、高周波電流を流すと
均一な磁界を発生できる。
【0024】本願第三の発明である磁気特性測定装置
は、面状コイルから構成されているので、該面状コイル
内に被測定物である軟磁性体試料を置く時、該試料の広
範囲領域による磁化の強さを正確に検出することができ
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面を参照し
て説明する。まず、図1乃至図5を参照して、磁界発生
装置について説明する。図1の軟磁性体の磁気特性検出
装置の斜視図内に示す磁界発生装置1は、電源20から
高周波電流の供給を受け、軟磁性体としての軟磁性体薄
膜または軟磁性薄体の高周波特性、すなわち高周波透磁
率および高周波電力損失の測定を行う際の高周波均一磁
界を発生するためのものである。一例として、適当な面
状導体3を断面が略矩形状になるように多数回巻いた構
成を示す。各々の層は低誘電率の材料からなる絶縁層5
で絶縁されている。この絶縁層5は、理想的には空気が
一番良いが、空気の比誘電率(〜1)に近い材料なら大
きな制約はない。例えば、適当な絶縁性基板上(ガラ
ス、ポリイミドなど)に導体をメッキ、スパッタなどの
方法で密着させて設け、これを断面が略矩形状になるよ
うに多数回巻いて構成する。
【0026】図1において、磁界発生装置1内には、検
出手段としての磁気検出装置26が設置されている。こ
の磁気検出装置26は、セラミックス製の支持台28に
より磁界発生装置1内の空洞の中心部に配置される。
【0027】また、この磁気検出装置26内には、被測
定物である軟磁性体Tが配置される。磁気検出装置26
から出力された被測定物Tの磁化の強度や、被測定物を
配置しない場合の磁場の強度に関するデータが制御装置
30内の波形メモリ22内に送られ、その後CPU24
により演算が行われ被測定物の磁化の値が得られる。
【0028】また、磁気検出装置26は、後述するよう
に、1つの面状コイルより構成されるが、図6および図
7に示される磁気検出装置7では、2つの面状コイルを
合わせて形成されている。
【0029】図2は、幅50mmの面状導体3を10m
m×20mmの矩形状に1回のみ巻いて構成した磁界発
生装置1Aの発生磁界の均一性を調べたものである。ま
た、εは次の定義に従って算出したものである。
【0030】
【数5】 ただし、H(0,0,0)は矩形状面状コイル中心部O
の磁界強度、H(x,y,z)は任意の点(x,y,
z)における磁界強度を示す。
【0031】図2から明らかなように、(0,0,0)
の点を基準として(±7mm,±7mm,±10mm)
の範囲内で磁界均一性は1%以内に保たれており、図1
5に示した従来の平行平板コイルに比べて、本実施例の
磁界発生装置1が均一磁界発生手段として優れているこ
とがわかる。この磁界発生装置1において、均一な磁界
範囲を広く取りたい場合は、矩形状多巻き面状コイルの
幅を長くすれば良く、軟磁性体試料となる軟磁性体のサ
イズとの兼ね合いで決めるようにする。
【0032】すなわち、試料サイズが10mm程度なら
ば、コイルの中心部に対して少なくとも±5mmの範囲
で磁界の均一性が保たれれば良い。実際に構成する際に
は、試料サイズの1.5倍程度の領域で磁界均一性を維
持すれば問題ない。
【0033】図1に示した磁界発生装置1のように矩形
状面状コイルを多数回巻くことによって、コイル中心部
近傍の磁界を大きくすることができる。このとき、多層
の矩形状面状コイルを図3のように、直列になるように
接続すれば、単位電流当たり発生できる磁界を大きくで
きるが、コイルのインピーダンスが高くなる。一方、図
4のように各層の矩形状面状コイルを並列に接続する
と、単位電流当たりに発生できる磁界は小さくなり、イ
ンピーダンスも小さくなる。
【0034】いずれの場合も、後述する図10に示すよ
うに、高周波電流を発生する電源13と磁界発生手段を
構成する矩形多巻面状コイル17aとの間に整合回路1
5を設けるので、コイルインピーダンスの大小は上記の
いずれの方法でもとくに問題とはならない。例えば、電
源13の出力電流容量に余裕がある場合は、矩形多巻面
状コイル17aの各層を並列接続した方が良く、容量に
余裕が無い場合は各層を直列に接続すれば良い。
【0035】次に、図5を参照して、幅50mmの面状
導体3dを巻き始めの断面が10mm×20mmの矩形
状に5回だけ巻いて、巻き終りの断面が15mm×25
mmの矩形となるように構成した矩形多巻面状コイル1
7d(図5(a)参照)の特性について説明する。
【0036】まず、厚さ1mmのガラス基板にCrを数
100Å、例えば500Å程度蒸着の後、0.2mmの
厚さの銅を無電解めっきし、これを所定の寸法に切り出
して、巻き数5回の矩形多巻面状コイル17dを構成し
た。各層の銅の接続には銅ペーストを塗布した。
【0037】さらに、該多巻面状コイル17dに50M
Hzの高周波電流を流し、直径1mmのサーチコイルを
用いてコイル内部の磁界を測定した結果を図5(b)に
示す。1Aの電流振幅に対して高周波磁界の振幅の大き
さは80A/mに達し、また、同じ方法で調べたコイル
内の磁界分布はコイル中心部から±5mmの範囲で1%
以内、±10mmの範囲でも2%程度の均一性を有して
いた。
【0038】以上のような矩形多巻面状コイル17dに
よって構成される磁界発生手段をもってすれば、容易に
軟磁性体試料を均一な高周波大振幅磁界中に置くことが
できる。
【0039】本発明による磁界発生手段の断面形状は矩
形に限定されず、円形,だ円形でも良い。磁界均一性の
観点から断面形状は矩形または正方形が望ましい。
【0040】次に、図6及び図7を参照して、本発明に
係る磁気検出装置7について説明する。図6は、磁気検
出装置7の斜視図であり、供試軟磁性体の磁化を検出す
る8の字面状コイル(以下、単に8の字コイルともい
う)が面状導体によって構成されることを示す。この8
の字面状コイルの寸法は、試料サイズと磁界発生コイル
内の磁界均一性との関係から決定するが、少なくとも試
料サイズ以上に大きくすることが必要である。このよう
にすることで試料全体に渡る磁化の情報を検出できる。
【0041】実際の8の字面状コイルの構成法は、2通
り考えられる。
【0042】まず、第1の方法は、図7(a)に示すよ
うに、8の字面状コイルの上部矩形面状コイルと下部矩
形面状コイルとを接続することなく、独立して信号検出
を行なうようにしたものであって、計測器以降で前述の
(3)式に相当する演算を行う方法である。
【0043】また、第2の方法は、図7(b)に示すよ
うに、8の字面状コイルの上部矩形面状コイルと下部矩
形面状コイルとを逆極性に接続することで、検出される
電圧そのものが前述の(3)式に相当する値となるよう
にする方法である。
【0044】次に、第1の方法の場合について説明する
と、この第1の方法は上部矩形面状コイルと下部矩形面
状コイルのコイルループ面積が完全に一致しない場合で
も、適当な演算処理によってこの面積不一致の影響を除
くことができる。
【0045】すなわち、軟磁性体試料を挿入しない場合
の上部矩形面状コイルと下部矩形面状コイルの検出電圧
波形は完全に一致すべきであることから、一致しない場
合に、両者の検出電圧の振幅比を補正係数とすれば、両
コイルのサイズ効果をほぼ完全に補正することができ
る。
【0046】さらに詳細に説明すると、上部矩形面状コ
イルと下部矩形面状コイルのコイルループ面積をそれぞ
れS1 ,S2 とし、磁界をHとするとそれぞれのコイル
の誘起電圧v1 ,v2 は、
【数6】
【数7】
【数8】 となる。コイルループ面積S1 ,S2 が等しく無い場
合、誘起電圧v1 ,v2 の振幅比kを補正係数とするこ
とで、両コイルのサイズ効果を補正することができる。
この場合、計測器によって計測された電圧波形にはコイ
ルから計測器までの信号伝送特性の効果含まれるので、
この影響を極力少なくするか、伝送特性の補正を行う必
要がある。
【0047】また、本方法によれば、上部矩形面状コイ
ルと下部矩形面状コイルがそれぞれ独立しているので、
軟磁性体試料を挿入しない片方のコイルは軟磁性体試料
の外部磁界の検出用として使用できる。従って、外部磁
界検出用コイルを別途設ける必要はない。
【0048】一方、前述した第2の方法で適当な補正処
理を行うことは容易ではない。すなわち、上部矩形面状
コイルと下部矩形面状コイルのサイズが一致しない場合
に、検出される電圧v8 は、
【数9】 となり、両コイルのサイズの情報は含まれているもの
の、個別に分離することは不可能であるからである。
【0049】従って、8の字コイルを用いる際は、前述
した第1の方法を用いることが望ましいと言える。ま
た、第1の方法によれば、外部磁界検出用コイルを別途
設ける必要はない。
【0050】次に、図8を参照して8の字コイルの実際
の作成方法について説明する。まず、図8(a) に示すよ
うに矩形状の中空ガラス5fの外側全面にCrを蒸着し
た後に銅層3fをめっき、スパッタまたは真空蒸着によ
り形成する。次いで、上部表面に感光性樹脂9fを塗布
して、フォトリソグラフィによりパターンニングし(図
8(c) 参照)、この感光性樹脂9fによるパターンをマ
スクにして上部表面の銅をエッチングした後に、この感
光性樹脂9fを除去し(図8(d) 参照)、所定の銅パタ
ーンを形成する。さらに、同様の方法で同一サイズのも
のを2個作製して、図7に示すいずれかの結線を行う。
【0051】また、この8の字コイルを例えば図10に
示すように、波形観測用計測器25に信号伝送ケーブル
23を介して接続するために、図9に示すような、該8
の字コイルの一側端部に一対の端子Pが設けられる。こ
のとき、信号伝送線路の影響を極力少なくするために、
8の字コイルの端子Pに接続するプローブはなるべく高
インピーダンスのものを使用することが望ましく、例え
ばFETプローブを使用する。このFETプローブの使
用にも拘らず、これらの影響が無視できない場合、或い
はさらに信号伝送線路の影響を軽減する場合には、予め
当該信号伝送線路の伝送特性を測定しておき、測定後に
補正する方法も考えられる。
【0052】以上のような手段によって8の字コイルを
構成することで、測定試料全体にわたる磁気特性の把握
が可能になる。尚、8の字コイルの作製法はこの上述し
た方法に限定されないことは言うまでもない。
【0053】次に、磁化および磁界の検出方法の第3に
ついて説明する。本方法は、図8に示すような1個の面
状コイルのみを使用する方法であり、供試薄膜の磁化検
出と外部磁界の検出とをこの1個の面状コイルで兼用す
るものである。
【0054】予め、外部磁界を面状コイルによって少な
くとも1周期以上記憶しておき、その後試料の磁化変化
を計測する。この方法によれば、同一の面状コイルを用
いて磁化と磁界を検出するので、磁化および磁界を検出
する専用コイルを用いる場合に比べ、コイル間の結合や
寸法の不一致等の問題は基本的に存在しない。従って、
高精度の測定を行うことができる。
【0055】次に、図10に示すブロック図を参照し
て、上述した矩形多巻面状コイル17a、8の字コイル
17bを用いた磁気特性測定装置の概略の構成について
説明する。
【0056】高周波信号発生器11は高周波信号を発生
するもので、高周波電源13はこの高周波信号発生器1
1から出力される高周波信号をもとに矩形多巻面状コイ
ル17aに高周波電流を供給するものである。
【0057】整合回路15および終端抵抗器19は、電
源13と磁界発生用コイルとしての矩形多巻面状コイル
17aとの間のインピーダンス整合をとるためのもので
ある。すなわち、多巻面状コイル17aのインピーダン
スは周波数が高くなると大きくなるので、これを補償す
るために直列に高周波可変コンデンサを接続し、さら
に、電源13の出力インピーダンス(例えば50Ω)と
等しい終端抵抗器19を直列に接続している。
【0058】このような構成で、測定する周波数毎に整
合回路15の高周波可変コンデンサを多巻面状コイル1
7aと直列共振状態になるように同調させると、電源1
3に出力インピーダンスと等しい終端抵抗器19が接続
されることと等価になる。これにより電源13から有効
に電力を取り出すことができる。
【0059】8の字コイル17bは、上述したように断
面略矩形であるように導体を層状に、それぞれ絶縁層を
介して、複数回巻いて筒状に形成した2つの面状コイル
を8の字状に平行に並べてなる。具体的には、この8の
字コイル17bは1×15×20mmの矩形面状コイル
2つから成り、それぞれのコイルにFETプローブ21
の先端が接続され、プローブ終端は波形観測用計測器2
5としての帯域2GHzのディジタルオシロスコープに
接続されている。さらに、8の字コイル17bは矩形多
巻面状コイル17aの中心に置かれ、角度、位置の微調
整が行えるように、三次元精密ステージの上に配置され
ている。このとき矩形多巻面状コイル17aの巻き数
5、サイズ20×50×100mmである。
【0060】FETプローブ21は、前述したように矩
形多巻面状コイル17aと波形観測用計測器25とを信
号伝送ケーブル23を介して接続する際の、信号伝送線
路の影響を極力少なくするために用いられるものであ
る。波形観測用計測器25は、8の字コイル17bの誘
起電圧波形を取得・記憶するものである。コンピュータ
27は高周波信号発生器11、電源13および波形観測
用計測器25、例えばオシロスコープの動作を制御する
とともに必要なデータのやり取りおよびデータ処理を行
うものである。
【0061】なお、測定装置全体は、図示しない電磁波
シールド体によって覆うように置かれる。
【0062】また、本測定装置では、検出用コイルと波
形観測用計測器25との間の信号伝送特性の補正を行う
ため、予め、信号伝送特性Aを求めておき、コンピュー
タにデータ取得後、必要な補正計算を行う。手順を以下
に示す。
【0063】 V=Vo /A (12) ここで、Vはコイルの電圧、Vo はオシロスコープの測
定電圧である。
【0064】図11は、本測定装置を用いて測定した膜
厚2μmの一軸異方性(uniaxial aniso
tropy)のアモルファスCoZrNb軟磁性薄膜の
磁化困難軸における複素比透磁率の周波数特性を示すも
のである。この軟磁性体試料は、RFマグネトロンスパ
ッタ法によって作製され、800kA/mの直流磁界
中、400℃で熱処理されたもので、反磁界補正された
直流B−H曲線から見積もられる初透磁率は1500、
異方性磁界480A/mであり、180°磁区のみから
なるストライプ磁区が磁区観察から観測された。
【0065】図11中における黒点は本発明による磁界
振幅1A/mのときの測定値、実線はランダウ・リフシ
ッツの磁化の方程式およびうず電流の影響を考慮した計
算値であり、両者は概ね一致した。
【0066】また、図12は、軟磁性体試料の磁化の値
を0.1T一定として測定した単位体積当たり、1周期
当たりの鉄損を示したものである。黒点は測定値、実線
は前記と同様の手法を用いて計算したものであり、ほぼ
両者は一致する。この場合に、測定値と計算値が良く一
致するのは、軟磁性体試料の磁区構造が単純であり、こ
の場合の困難軸励磁がほぼ回転磁化で説明可能であるこ
とに対応する。
【0067】上述してきたように本実施例によれば、磁
気記録ヘッドや薄膜インダクタ及び薄膜トランスに使用
される軟磁性体の磁気特性の測定に際し、磁界振幅の小
さな初透磁率範囲の測定から磁界振幅の大きな鉄損測定
までをカバーすることができる。
【0068】具体的には、数MHz 〜数100MHz
範囲で軟磁性体の高周波磁気特性を評価可能で、磁界振
幅を小さくすることで透磁率の周波数特性を測定でき、
また磁界振幅を大きくすることで高周波鉄損を測定でき
る。また80A/mを越える磁界振幅と磁界の空間変動
を1%以下に押さえることができ、さらに供試軟磁性体
のオーバーオールな特性を評価することもできる。これ
により材料技術者にとって軟磁性体材料の開発に有益で
あり、また磁気記録システムやその他のシステム開発者
にとっては最適な軟磁性体材料を選択しうる方法を提供
することができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、軟磁性体
の磁気特性の測定に際し、磁界振幅を広範囲に設定で
き、かつ軟磁性体のオーバーオールな磁気特性を評価で
きるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気特性測定装置の概略の
構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した磁界発生手段による磁界均一性を
示す図である。
【図3】図1に示した磁界発生手段の矩形多巻き面状コ
イルの一例を示す斜視図である。
【図4】図1に示した磁界発生手段の矩形多巻き面状コ
イルの一例を示す斜視図である。
【図5】50MHz高周波電流の振幅と発生磁界振幅と
の関係を示す図である。
【図6】8の字面状コイルの構成を示す斜視図である。
【図7】8の字面状コイルの上下コイルで電圧検出する
場合のコイルの概略の構成を示す図である。
【図8】8の字面状コイルの作成手順を示す斜視図であ
る。
【図9】8の字面状コイルの測定端子の一例を示す図で
ある。
【図10】磁気特性測定装置の概要を示すブロック図で
ある。
【図11】図10に示した磁気特性測定装置による測定
結果の一例(複素比透磁率)を示す図である。
【図12】図10に示した磁気特性測定装置による測定
結果の一例(高周波鉄損)を示す図である。
【図13】従来の高周波鉄損測定装置の概略の構成を示
すブロック図である。
【図14】従来の8の字コイルによる磁性薄膜測定の方
法を説明するための図である。
【図15】従来の8の字コイルの構成を示す構成図であ
る。
【図16】従来の8の字コイルの他の構成を示す構成図
である。
【図17】測定試料の磁区パターンの一例を示す図であ
る。
【図18】従来の磁界発生手段の概略の構成を示す斜視
図である。
【図19】従来の平行平板電流モデル磁界発生手段によ
る磁界均一性を示すの概略の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 磁界発生装置 3 面状導体 5 絶縁体 7 磁気検出装置 9 感光性樹脂 11 高周波信号発生器 13 電源 15 整合回路 17 矩形多巻きコイル 19 終端抵抗器 20 電源 21 FETプローブ 22 メモリ 23 信号伝送ケーブル 24 CPU 25 波形観測用計測器 27 コンピュータ 28 セラミックス支持台 30 制御装置 T 軟磁性体 P 端子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面状の導体の相対向する両端面を閉じ
    るようにして得られる該導体の内部が第1の空洞となる
    ように形成された面状コイルからなり、該第1の空洞内
    に被測定物を配置できるように形成され、該被測定物内
    部に発生する磁化の強さを検出する検出手段と、 平面状の導体の相対向する両端面を閉じるようにして得
    られる該導体の内部が第2の空洞となるように形成され
    た面状コイルからなり、該第2の空洞内に前記検出手段
    を配置できるように形成された磁界発生手段と、 前記磁界発生手段へ電流を供給する電源と、 前記検出手段から出力される検出信号を用いて前記被測
    定物の磁気特性を検出する検出制御手段と、 から構成されることを特徴とする磁気特性測定装置。
  2. 【請求項2】 平面状の導体の相対向する両端面を閉じ
    るようにして得られる該導体の内部が空洞となるように
    形成された複数回巻いた構成の面状コイルからなり、外
    部から供給される電流に基づいて磁界を発生することを
    特徴とする磁界発生装置。
  3. 【請求項3】 平面状の導体の相対向する両端面を閉じ
    るようにして得られる該導体の内部が空洞となるように
    形成され、外部から磁界が与えられた時、該空洞内に配
    置された被測定物内に発生する磁化の強さを検出し誘起
    電圧を生じる面状コイルと、 前記面状コイルに接続され、前記誘起電圧の波形を取得
    する波形観測用計測器とを有することを特徴とする磁気
    特性測定装置。
  4. 【請求項4】 前記面状コイルが複数回巻かれた構成を
    有することを特徴とする請求項3に記載の磁気特性測定
    装置。
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