JP3192783U - 輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機 - Google Patents

Abstract

【課題】輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機を提供する。【解決手段】機械本体１上方には、布地を通過させるとともに水平或いは略傾斜状を呈した染色管１２が設けられる。更に機械本体１上方には、ノズル５と布誘導歯車４が設けられ、布誘導歯車４下側には、遊び歯車４１が設けられる。機械本体１は、前端が後端よりも高い傾斜状に設けられるため、機械本体１底部と水平面の間が角度θを形成する。機械本体１後端の底部には、蓄液槽６が設けられ、蓄液槽６底部は管路によってノズル５と接続される。前記管路上には、ポンプ７及び熱交換器８が設けられ、更にポンプ７は管路によって助剤槽１１と接続される。機械本体１内における染色管１２下方には、前高後低を呈して上向きに傾斜した輸送用ベルト装置２が設けられ、輸送用ベルト装置２は使用時の需要に応じて単一ベルト式、或いは複数ベルト式に設けられる。また、蓄液槽６内には、濾過器６１が設けられることが望ましい。【選択図】図１

Description

本考案は、布地を染色するための染色機に関し、特に使用する水量を大幅に削減するとともに、蒸気・助剤・染料等の使用を減らすことにより、コストが経済的且つ環境にやさしい布染めを可能にすると同時に、布地が染色過程において過剰な張力を受けて損傷しないようにすることができる、輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機に関する。

従来の布地染色機は、機械本体内で布地が循環して染色される時、布地が染色機尾端から前へ移動するために、染液による浮力及び推力を必要とする。よって機械本体の構造は、尾端が比較的高く前端が比較的低い、前低後高の傾斜状に設計されている。このため、従来の染色機は、布地の輸送方法において少なくとも以下の諸欠陥がある。

一、染液によって布地を移動（前進）させる際、布地を染液に浸ける必要があるため、浴比が極めて大きく、大量の染液を用いなければ布地を循環させることができない。必要な水量が多い上に、布地が染液によって無秩序に動いてしまうため、循環の制御が難しく、絡まりやすい。布地の循環速度が速かったり遅かったりするため、一回毎の布地の循環時間に著しい差がある。
二、布地は、染液の浮力によって浮き上がるものの、大部分が機械本体の染め釜底面に沈んでしまうため、輸送時に布地と染め釜の底面や側面が摩擦して起毛したり傷が付いたりしやすく、且つ布地が引っ張られて生じた張力によって布地の組織や特性が損なわれやすい。
三、布地を染色した後の染液は、布染め管の尾端から染色機の機械本体内部に戻った後、機械本体後端から比較的低くなっている前端へと流れる。更に、染液は、ポンプによって抽出されてノズルへ送られて、布地を循環させる。機械本体の染め釜内で必要になる液量が大量であるため、染液の消費量が多くなる。
四、染液によって布地を輸送するため、消費水量が多くなることに加えて、染める布の量が標準よりも少ない場合、浴比の変動が極めて大きくなり、消費水量が増えるだけでなく、再現性の低下・ロットむらや色ズレ等の問題を生じやすい。

上記に加え、従来の染色機の機械本体は、尾端が前端よりも高く、機械本体内の布誘導歯車が高い位置に設けられているため、布地が布誘導歯車から大きな張力を受けることになり、布地組織及び特性が損なわれるという問題がある。

本考案は、従来の布地染色機に比べ、染液（即ち水量）を大幅に削減できるとともに、布地染色のコストを削減し、且つ環境にやさしい、輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機を提供することを目的とする。

また本考案は、更に布誘導歯車と輸送用ベルト装置の間の高さを縮めることにより、布誘導歯車と輸送用ベルト装置の連動の際に布地が受ける張力を小さくし、布地の組織及び特性が損なわれないようにする、輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機を提供することを目的とする。

上述の目的を達成するため、本考案の布地染色機は、機械本体内の尾端底部に蓄液槽が設けられることにより、機械本体内の染液がノズル及び染色管を経由して布地を染色した後、布地によって吸収された染液を除く染め釜内の全ての染液が前記蓄液槽に集中して蓄積される。またポンプは、蓄液槽から直接染液を抽取してから熱交換器を経由してノズルへと送って、染色のための循環を形成する。この時、ポンプが機械本体後端から直接染液を抽取することにより、染液を機械本体の後端から前端へ流す際に要する水量を削減できる。更に、蓄液槽に染液を集中させることにより、液体の水位が上昇して、ポンプによる抽出がしやすくなるため、空気を抽出してしまうことを防ぎ、循環に要する液量を削減できる。以上により、染液使用量の大幅な減少、布染めコストの削減、環境にやさしい、といった利点が得られる。

また本考案の染色機は、尾端底部が低く前端が高い傾斜状に設けられているため、機械本体内における布誘導歯車の高さを下げ、布誘導歯車と輸送用ベルト装置の間における距離を縮めることが可能である。よって、布誘導歯車と輸送用ベルト装置の連動によって布地が受ける張力を低減させることができる。

本考案における染色機の機械本体には、水平或いは略傾斜状の染色管と、前記機械本体と平行且つ前高後低の上向き傾斜状を呈した輸送用ベルト装置が設けられる。前記輸送用ベルト装置は、使用時の需要に応じて単一ベルト式或いは複数ベルト式に設けられる。更に、前記機械本体内の前端には、ノズルと布誘導歯車が設けられる。前記輸送用ベルト装置によって機械本体尾端から前端へと輸送された布地は、布誘導歯車を経由してノズル、染色管へと送られ、染液によって染色される。加えて、前記機械本体は、前端が後端より高く設けられた、上向き傾斜状を形成する。前記機械本体後端の底部には、蓄液槽が設けられ、前記蓄液槽の底部と前記ノズルの間には、管路とポンプと熱交換器が接続される。前記ポンプによって前記蓄液槽内から抽出された染液は、熱交換器を経由して、前記ノズルから出力する。布染め管尾端から出た染液は、直接蓄液槽中へと落下して、染液の循環を形成する。

本考案は、更に前記蓄液槽内に濾過器が設けられ、布地から染液内に落ちた繊維や不純物が濾過されることが望ましい。これにより、濾過槽を別途設けるために要する水量を削減できる。

本考案は、機械本体尾端に小容積ながらも機械本体の高さに対して液位差を有した蓄液槽が設けられ、前記蓄液槽が染液を集中して蓄積するための容器となることにより、大量の染液を消費するという問題を解消することができる。これに加えて、染色機が上向き傾斜状を呈して設けられており、上方に位置する布誘導歯車の高さを下げることができるため、上方の布誘導歯車と下方の輸送用ベルト装置の間の距離が縮まり、布誘導歯車と輸送用ベルト装置の連動によって布地が受ける張力を低減させることが可能である。

本考案の染色機構造の実施例１を示した概略図である。 本考案の染色機構造の実施例２を示した概略図である。

（実施例１）
図１を参照する。本考案の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機において、機械本体１上方には、布地を通過させるとともに水平或いは略傾斜状を呈した染色管１２が設けられる。更に機械本体１上方には、ノズル５と布誘導歯車４が設けられ、布誘導歯車４下側には、遊び歯車４１が設けられる。機械本体１は、前端が後端よりも高い傾斜状に設けられるため、機械本体１底部と水平面の間が角度θを形成する（角度θは、実際の需要に応じて大きさが定められる）。機械本体１後端の底部には、蓄液槽６が設けられ、蓄液槽６底部は管路によってノズル５と接続される。前記管路上には、ポンプ７及び熱交換器８が設けられ、更にポンプ７は管路によって助剤槽１１と接続される。機械本体１内における染色管１２下方には、前高後低を呈して上向きに傾斜した輸送用ベルト装置２が設けられ、輸送用ベルト装置２は使用時の需要に応じて単一ベルト式、或いは複数ベルト式に設けられる。また、蓄液槽６内には、濾過器６１が設けられることが望ましい。染色工程、及び染色機は、制御ボックス９によって制御される。

布地３は、機械本体１内に送られた後、機械本体１内の遊び歯車４１を経由してから布誘導歯車４によってノズル５へと送られ、更に染色管１２へ入ってから、輸送用ベルト装置２によって送り戻される、というように循環輸送される。布地３が循環輸送される過程において、ポンプ７は、蓄液槽６及び染色機内に蓄積した染液Ｌを抽出し、熱交換器８を通過させた後、ノズル５から出力させて、布地３を動かすための推力を補う。染液Ｌは、ノズル５及び染色管１２中において、布地３を染色する。染色管１２尾端から出た染液Ｌは、機械本体底部へ落ちるが、この際大部分の染液Ｌは、直接蓄液槽６内へ落ちる。蓄液槽６に染液Ｌが集中して、液体の水位が上昇するため、ポンプ７が抽出しやすくなる。循環に要する液量が少なくてすむため、大幅に染液Ｌの使用量を削減することができる。

輸送及び染色過程において布地３から剥がれ落ちた繊維は、染液Ｌが蓄液槽６へ流入する時に濾過器６１によって濾過される。

加えて本考案は、機械本体１が上向き傾斜型に設けられているため、布誘導歯車４の高さを下げて、布誘導歯車４と輸送用ベルト装置２の間の距離を縮めることができる。これにより、布誘導歯車４を周回する布地３の受ける張力が低下し、布地組織及び特性が損なわれるという潜在的な問題を回避することができる。

（実施例２）
図２は、本考案の上向き傾斜型染色機における実施例２を示している。実施例２における染色機は、前述した染色機の機械本体１と同様に、布誘導歯車４と、ノズル５と、輸送用ベルト装置２と、染色管１２と、ポンプ７と、熱交換器８と、蓄液槽６と、濾過器６１と、制御ボックス９と、助剤槽１１とからなる。両者の主な違いは、前述した上向き傾斜型染色機の染色管１２は輸送用ベルト装置２上方に設けられているのに対し、実施例２の染色管１２は輸送用ベルト装置２下方に設けられていることである。

上述した本考案の染色機は、少なくとも以下の長所を有する。
一、布地を機械内で輸送する時に染液（即ち水量）による推力を必要としないため、浴比が極めて低く、染料・助剤・エネルギー、及び廃水処理費用を大幅に削減することができる。
二、染色機の機械本体が上向き傾斜型の構造を備えており、機械本体尾部に集中した染液を直接ポンプが抽出するため、染液を機械本体尾部から機械本体前端へ流すための水量を必要としない。
三、機械本体が上向き傾斜型の構造であることにより、布誘導歯車の高さを下げ、布誘導歯車と輸送用ベルト装置の間における距離を縮めることが可能なため、布誘導歯車を周回する布地の受ける張力がより小さくなり、布地の組織及び特性が損なわれるという潜在的な問題を回避することができる。
四、布地が輸送用ベルト装置の輸送帶に支えられて輸送されるため、内槽表面との摩擦によって傷ついたり、起毛したりすることがなく、且つ布地が受けた張力によって布地組織が破壊されることがない。更に、布と水が分離しているため、布地が絡まらず、スムーズ且つ安定的に循環する。

１ 機械本体
１０ 布端検知センサー
１１ 助剤槽
１２ 染色管
２ 輸送用ベルト装置
３ 布地
４ 布誘導歯車
４１ 遊び歯車
５ ノズル
６ 蓄液槽
６１ 濾過器
７ ポンプ
８ 熱交換器
９ 制御ボックス
Ｌ 染液
θ 傾斜角度

Claims (7)

1. 機械本体内に輸送用ベルト装置が設けられてなる、輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機であって、
   前記機械本体は、前高後低の上向き傾斜状に設けられ、
   前記機械本体には、水平或いは略傾斜状を呈した染色管が設けられ、
   以上の構造により、
   前記機械本体が前高後低に設けられているため、布誘導歯車の輸送用ベルト装置に対する高さが下がり、布地にかかる張力が低下する、ことを特徴とする、輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。
2. 前記機械本体後端の底部には、蓄液槽が設けられ、
   前記蓄液槽の底部とノズルの間には、ポンプが接続され、
   前記ポンプは、前記蓄液槽内の染液を直接抽取するとともに、前記ノズル及び前記染色管へと送り、
   布地を染色した後の前記染液は、前記蓄液槽へ直接落下することを特徴とする、請求項１に記載の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。
3. 前記蓄液槽内には、濾過器が設けられることを特徴とする、請求項１に記載の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。
4. 前記輸送用ベルト装置は、前記機械本体の傾斜角度と対応するように設けられるとともに、単一ベルト式の輸送装置であることを特徴とする、請求項１に記載の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。
5. 前記輸送用ベルト装置は、前記機械本体の傾斜角度と対応するように設けられるとともに、複数ベルト式の輸送装置であることを特徴とする、請求項１に記載の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。
6. 前記染色管は、前記輸送用ベルト装置の上方に設けられることを特徴とする、請求項１に記載の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。
7. 前記染色管は、前記輸送用ベルト装置の下方に設けられることを特徴とする、請求項１に記載の輸送用ベルトを備えた上向き傾斜型布地染色機。