JP3190257U - 再溶解炉用スツール - Google Patents

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巧 錦織
英由季 金子
一郎 細田
哲男 西田
雄一 羽田野
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Abstract

【課題】VARやESR等に用いる再溶解炉におけるスツールの変形の問題およびスツール表面の摩耗の問題を解決し、さらにスツールの交換工数を削減できるという特性も具備した、新規の再溶解炉用のスツールを提供する。
【解決手段】上下対称で円板状の平面部を有し、外周側面または外周部上下面にボルト挿入穴2が複数個配設される再溶解溶解炉の底部に配設されるスツール1であり、外周部上下面または外周側面にフランジ部3が形成され、該フランジ部の外周側面または外周部上下面に前記ボルト挿入穴が複数個配置されることが好ましく、前記フランジ部の上下面には、それぞれシール溝8が形成されることがより好ましい。
【選択図】図2

Description

本考案は、真空アーク再溶解炉やエレクトロスラグ再溶解炉といった再溶解炉の底部に配設されるスツールに関するものである。
従来、真空アーク再溶解法(以下、「VAR」という。)やエレクトロスラグ再溶解法(以下、「ESR」という。)で用いる再溶解炉の底部に配設されるスツールは、一般的に銅で形成され、スツールベースに支持された状態でモールド底部に固定されている。そして、その固定は、スツールベース周縁部の複数の箇所をモールド底部の側壁にフックによって係止することにより行われている。
また、スツールの板厚方向の中心部は、循環する冷却水で冷却される。そのため、スツールの板厚方向の中心部には、冷却水を導入するための流路が形成されている。
このスツールは、溶解開始時に直接アークに曝されるため高温になる。また、スツールは、溶解が進行するにつれて電極の重力により荷重を受ける。上記で説明したように、スツールは、スツールベース周縁部の複数の箇所をモールド底部の側壁に支持されているため、加熱による熱応力と電極の荷重により、スツール全体に曲がりが生じる場合がある。
その結果、スツールとモールド側壁の間に隙間が生じ、その隙間に溶湯が侵入してしまい、得られる鋳塊にバリを発生させる虞がある。また、スツールとモールドとを密閉するために使用されるOリングを損傷するという問題もある。
このような課題に対し、たとえば特許文献1では、スツールベース上部にスツールを配置し、両者をボルト締結によって複数の箇所で固定し、スツールベースをモールドの側壁下部にフックおよびボルト締結によって固定するスツール保持装置の提案がなされている。この提案は、強制的にスツールを固定することで、スツールの変形を抑制するものであり、溶解開始時にスツールが直接アークに曝されても熱応力により曲がりを生じることなく、また、電極による荷重にも耐えることができるという点で優れたものである。
実開平4−13045号公報
本考案者は、上述した特許文献1に開示されたVAR炉のスツール保持装置は、溶解時のスツールの変形抑制という点では有利であるものの、大型の鋳塊を溶解鋳造しようとすると、スツールベースをモールドの側壁下部にフックおよびボルト締結によって固定することにより、スツールの変形を強制的に抑制するには、設備的に限界があることを確認した。
また、特許文献1に開示されるVAR炉のスツール保持装置は、スツールが溶解時に直接アークに曝されることによる、スツール表面の摩耗という問題があった。そして、特許文献1に開示されたスツールは、スツールベース下部側からスツールへ向かってボルトによって複数の箇所で締結するものであり、スツール表面の摩耗に伴い頻繁に新規スツールを作製する必要が生じ、新規スツールの作製費用の増大を招く。
また、特許文献1に開示されるVAR炉のスツール保持装置は、スツールベースとスツールとの固定を、スツールベース下部側からスツールへ向かってボルトによって複数の箇所で締結する必要があり、ボルトの締結作業が困難になり、スツールの交換工数の増大を招く。
本考案の目的は、VARやESRに用いる再溶解炉におけるスツールの変形の問題およびスツール表面の摩耗の問題を解決し、さらにスツールの交換工数を削減できるという特性も具備した、新規の再溶解炉用のスツールを提供することである。
本考案者は、再溶解炉におけるスツールの変形および表面の摩耗という問題と、スツールの交換工数の問題を検討し、スツールの平面および側面を特定の形状にする構成を採用することで、スツールの変形および表面の摩耗、さらにスツールの交換作業に伴う工数を大きく改善できることを見出し、本考案に到達した。
すなわち本考案は、再溶解炉の底部に配設されるスツールにおいて、該スツールは上下対称で円板状の平面部を有し、外周側面または外周部上下面にボルト挿入穴が複数個配設される再溶解炉用スツールの考案である。
本考案の再溶解炉用スツールは、外周側面にフランジ部が形成され、該フランジ部の外周側面または平面に前記ボルト挿入穴が複数個配置されることが好ましい。
また、前記フランジ部の上下面には、それぞれシール溝が形成されることが好ましい。
本考案によれば、VARやESR等に用いる再溶解炉におけるスツールの変形およびスツール表面の摩耗、さらに交換作業工数を飛躍的に改善することができ、たとえば高清浄鋼の製造にとって有用な技術となる。
本考案の再溶解炉用スツールの一例を示す模式図である。 本考案の再溶解炉用スツールをスツールベースに固定した一例を示す模式図である。 本考案の再溶解炉用スツールをスツールベースに固定した別の例を示す模式図である。
本考案の重要な特徴は、再溶解炉用のスツール形状として、上下対称で円板状の平面部を有し、外周側面または外周部上下面にボルト挿入穴を複数個配設する構成を採用したことにある。
本考案のスツール1は、図1の紙面左右方向で示すように、平面部が上下対称の形状を有し、この平面部が円板状である。本考案でスツール1の平面部を上下対称にした理由は、平面部の上下面の両方を操業に用いるためである。溶解作業終了後のスツール1は、溶解時に直接アークに曝されることにより、スツール1の平面部に摩耗やスプラッシュ等の不純物が付着する。本考案のスツール1は、上下対称の平面部を溶解作業毎に反転させて用いることにに加え、溶解作業終了後にスツール1の平面部に付着した不純物等を除去する手入れ作業を施して再利用することにより、従来のスツールに比べ、寿命を2倍以上に延長することが可能となる。
上記で説明したように、通常、スツールは、溶解によるアーク熱および得られる鋳塊の自重によって曲がりという変形が生じる場合がある。これに対し、本考案のスツール1は、初回の溶解作業で生じた凹状の曲りに対し、次の溶解作業でスツール1を反転させて凸状の曲がりがある状態に配置して使用することで、溶解作業時の曲げ力を反対方向に発生させることにより、スツール1に生じた曲がりを相殺させることができる。これにより、本考案のスツール1は、外力に頼る曲げ矯正をする必要がなくなるという効果を奏する。
また、本考案のスツール1は、平面部の形状が円板状でなる。これは、既存の再溶解炉で製造される鋳塊が円柱形状であり、汎用性を持たせ、種々の再溶解炉に適用させるためである。そして、本考案のスツール1は、平面部および外周側面の形状を簡素化しているため、スツール1を製造する際の加工が容易となり、加工工数およびコストを低減できるという効果を奏する。
本考案のスツール1は、外周側面または外周部上下面にボルト挿入穴2を複数個配設する。先ず、外周側面にボルト挿入穴を配設する場合の説明をする。スツール1を図示しないスツールベースに固定する際に、スツールベースの下部側からスツールへ向かってボルトによって複数の箇所で締結すると、本考案の重要な特徴である、スツール1の平面部を上下面使用するという趣旨から外れる。
本考案のスツール1は、スツール1の外周側面でスツールベースとボルト締結することができ、スツールベースの下側からスツールへ向かってボルト締結する際に比べて、ボルトの挿入性や締結のしやすさという点で作業性を格段に向上させることができる。そして、本考案のスツール1は、スツール1の側面でボルト締結することができ、モールド、スツールおよびスツールベースの位置合わせも容易にできるという効果も奏する。
また、本考案では、スツール1の外周側面に複数個のボルト挿入穴2を配設することで、それぞれのボルトの締結量を調整することにより、モールドおよびスツールベースに対するスツール1の位置を調整することができる。
本考案のスツールで、外周部上下面にボルト挿入穴を複数個配設するときには、ボルト挿入穴は貫通孔となる。このとき、本考案のスツールにおける外周部上下面とは、スツールのモールド外径よりも外周側に位置する上下の面をいう。そして、本考案のスツールは、そのスツールの直径をモールドの外径よりも大きくすることで、スツールとスツールベースとを固定する際に、スツールの外周部上下面に形成された複数個のボルト挿入穴にボルトを上側から通し、スツールの上面でボルト締結することができる。これにより、本考案のスツールは、スツールベースの下部側からスツールへ向かってボルト締結する際に比べて、ボルトの挿入性や締結のしやすさという点で作業性を格段に向上させることができる。
本考案のスツールの外周側面または外周部上下面に複数個配設されるボルト挿入穴の数は、得ようとする鋳塊の寸法形状に対して、スツールが許容できる変形量に応じて適宜選択でき、たとえば4個〜16個配設することが好ましい。
本考案のスツール1は、図1に示すように、スツール1の外周側面にフランジ部3が形成され、このフランジ部3の外周側面に複数個のボルト挿入穴2を配設することが好ましい。これは、図2に示すように、スツール1の上面にモールド9を固定する際に、フランジ部3の形状によりスツール1とモールド9との位置決めを容易にすることに加え、モールド9の底部に敷設されるシール溝8とスツール1のフランジ部3の上下面に敷設されるシール溝8との位置決めを容易にするためである。このとき、スツール1のフランジ部3の上下面にそれぞれ形成されたシール溝8に、図示しないOリングを挿入することにより、スツール1とモールド9とのシール性を格段に向上させることができる。
また、本考案のスツール1は、外周側面にフランジ部3を形成することにより、スツール1の平面部と、シール溝8が形成されるフランジ部3の上下面との間に段差を形成することができ、スツール1の平面部に生じた摩耗箇所の修正やスプラッシュ等の不純物を除去するための手入れ作業をする際に、研磨工具等をシール溝8に接触させることなく、正確に作業することができる。
また、本考案のスツール1は、図3に示すように、スツール1の外周側面にフランジ部3が形成され、このフランジ部3の外周部上下面に形成された複数個のボルト挿入穴2を配設することが好ましい。これにより、スツールベース5の上面にスツール1を固定する際に、スツール1のフランジ部3の外周部上下面に形成された複数個のボルト挿入穴2にボルト4を上側から通し、スツール1の上面でボルト締結することができ、スツールベース5の下側からスツール1へ向かってボルト締結する際に比べて、ボルト4の挿入性や締結のしやすさという点で作業性を格段に向上させることができる。
また、本考案のスツール1は、平面部とフランジ部3とによって形成される段差によって、モールド9、スツール1およびスツールベース5の位置合わせも容易にできるという効果も奏する。
また、本考案のスツール1は、溶解によるアーク熱および得られる鋳塊の自重による変形を抑制できる材料であればどのような材料でも適用でき、特に、熱伝導性および強度に優れる銅製であることが好ましい。このとき、スツール1には、冷却水がスツールの板厚方向中心部から周辺部に流れるように流路を形成することが好ましい。これにより、溶解作業時に、スツール1の温度上昇を緩和し、熱応力により変形することを抑制することができる。
本考案のスツールをスツールベースに固定する適用例の模式図を図2に示す。ここで、図2(a)は、一固定部の断面模式図を表わし、図2(b)は、一固定部の正面模式図を表わす。図中の1はスツール、2はボルト挿入穴、3はフランジ部、4はボルト、5はスツールベース、6は固定ブラケット、7はベースブラケット、8はシール溝、9はモールドを表わす。
本考案のスツール1は、スツールベース5の上面に載置され、スツール1の外周側面に複数個配設されたボルト挿入穴2にそれぞれボルト4を挿入し、その締結により固定される。このとき、スツール1は、スツールベース5に配設されたベースブラケット7と固定ブラケット6とを介してスツールベース5と固定することが好ましく、これにより、スツール1の位置決めを容易にすることができる上、スツール1自体の外周側面の形状を簡素化することができ、スツール1の製造コストの低減に寄与する。
本考案のスツールをスツールベースに固定する別の例の模式図を図3に示す。ここで、図中の1はスツール、2はボルト挿入穴、3はフランジ部、4はボルト、5はスツールベース、8はシール溝、9はモールドを表わす。
本考案のスツール1は、スツールベース5の上面に載置され、スツール1のフランジ部3の外周部上下面に複数個配設されたボルト挿入穴2にそれぞれボルト4を上側から挿入し、その締結により固定される。このとき、ボルト挿入穴は当然貫通孔となる。また、スツール1のフランジ部3の上下面にそれぞれ形成されたシール溝8にOリングを挿入することにより、シール性を格段に向上させることができる。
1 スツール
2 ボルト挿入穴
3 フランジ部
4 ボルト
5 スツールベース
6 固定ブラケット
7 ベースブラケット
8 シール溝
9 モールド

Claims (4)

  1. 再溶解炉の底部に配設されるスツールにおいて、該スツールは上下対称で円板状の平面部を有し、外周側面または外周部上下面にボルト挿入穴が複数個配設されることを特徴とする再溶解炉用スツール。
  2. 外周側面にフランジ部が形成され、該フランジ部の外周側面に前記ボルト挿入穴が複数個配置されることを特徴とする請求項1に記載の再溶解炉用スツール。
  3. 外周側面にフランジ部が形成され、該フランジ部の平面に前記ボルト挿入穴が複数個配置されることを特徴とする請求項1に記載の再溶解炉用スツール。
  4. 前記フランジ部の上下面には、それぞれシール溝が形成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の再溶解炉用スツール。

JP2014000636U 2014-02-10 再溶解炉用スツール Expired - Lifetime JP3190257U (ja)

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