JP3185316U - 作業用手袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】布製の原手2と、該原手2の表面21に、塩化ビニル樹脂とニトリルゴムとが少なくとも一体配合された第一複合配合液を用いて、成膜形成されてなる第一被膜3と、を具備する。第一被膜3は、コーティング処理により成膜形成される。さらに第一被膜3の表面31上に第二被膜4を具備する。第二被膜4は、塩化ビニル樹脂とニトリルゴムとが少なくとも一体配合された第二複合配合液へ、粗粒子を混合分散させた粗粒子入り複合配合液で、該粗粒子による凸状部分46を有して積層成膜形成される。
【選択図】図1
Description
そして、これらの素材をベースに種々の改良発明が提案されている(例えば特許文献1,2等)。
ところで、最近は、女性作業者が増えたこともあって作業用手袋のソフト化が進んでいる。細かな作業も増え、手袋を装着していても素手感覚のものが求められるようになっている。フィット性,柔軟性、作業性を重視するのであれば、天然ゴム製手袋を使用するのが望ましいのであるが、上述のごとく耐油性に劣る問題があった。
図1〜図5は本考案の作業用手袋の一形態で、図1はその概略全体斜視図、図2は図1のII-II線矢視図、図3は図1のIII-III線矢視図、図4,図5は作業用手袋の概略製造工程図を示す。尚、各図で第一被膜,第二被膜の厚みを強調して大きく描き、原手,粗粒子を単純化図示する。
原手2は、布製で、指一本ずつを覆うグラブ形状品である。原手2は、その開口20から手を入れ、親指部,人差し指部,中指部,薬指部,小指部に、五本の指をそれぞれ挿入すると、手に装着できる手袋形状になっている(図3)。
布製の布とは、多数の繊維を薄くて板状に加工したもので、作製方法によって織物,編み物,不織布等に分けられる。織物よりも編み物の方がしなやかになる傾向があり、本実施形態の原手2は、天然繊維、化学繊維、又はレーヨン繊維を用いて、メリヤス編み又はニット編みの編布で形成される。具体的には、綿糸のニット編み原手2とするが、他に例えばアクリル樹脂繊維をニット編みし、内面22側に起毛を施した冬期用原手2等を用いることができる。原手2は種々のサイズのものが用意される。
DOP等の可塑剤γに、塩化ビニル樹脂αとニトリルゴムβとを少なくとも一体配合させてペースト状体の第二複合配合液4a1にすると共に、これに粗粒子45を添加し混合分散させて粗粒子入り複合配合液4aにしている。第二被膜4が、該粗粒子45による凸状部分46を有して、第一被膜3上に積層成膜形成されて、滑り止め機能を発揮する。作業者が作業対象物を把持した際、手袋表面11に在る凸状部分46が適度に弾性変形して係止する状態になり、滑り止め作用,効果が働く。
第二複合配合液4a1は、可塑剤γに、塩化ビニル樹脂αとニトリルゴムβとを少なくとも一体配合させたペースト状体にしており、第一複合配合液3aと同じ配合成分,配合量のものを用いることができる。ここでは、第一複合配合液3aと第二複合配合液4a1は同じ配合成分,配合量のものを用い、この第二複合配合液4a1にニトリルゴム材からなる粗粒子45を所定量加えて、粗粒子入り複合配合液4aとする。
かくのごとくして、原手表面21に、塩化ビニル樹脂αとニトリルゴムβが一体配合された第一複合配合液3aで第一被膜3が形成され、且つ該第一被膜3上に塩化ビニル樹脂αとニトリルゴムβと粗粒子45が一体配合された第二複合配合液4a1で第二被膜4が積層形成され、さらに、その第二被膜表面41(手袋表面11)に粗粒子45による凸状部分46を有する所望の作業用手袋1が得られる。
尚、図1〜図3に示すように、第一被膜3に比べ第二被膜4は膜厚が小さい。実際、第二被膜4の端縁44は、第二被膜表面41に粗粒子45による凸状部分46が形成されることもあって、視認容易であるが、端縁44における第一被膜3との段差は視認困難で、図1,図3は強調図示する。
第一被膜3の形成は、図4(ロ)のシャワーコーティング法に代えて、図5(ロ)の浸漬法を採用することもできる。原手2をコーティング被膜形成用の第一複合配合液3aに浸漬させる。該配合液71に原手22の手首部23を含めすっぽりと浸漬させることによって、原手2の表面21が第一複合配合液3aで濡れる。
所定時間のシャワーや浸漬を済ませ、第一被膜用配合液3aを原手表面21に付着させた後、次の加熱乾燥工程地点に向かう。
その後、図4(ハ)(又は図5のハ)の加熱乾燥工程で、これを加熱,乾燥させて、原手2の表面21に付着した第一複合配合液3aが該表面21に成膜一体化してなる第一被膜3を形成する。加熱乾燥工程の加熱乾燥炉91内で、第一複合配合液3aに濡れた原手2に第一複合配合液3aが接着力を伴って固化する。原手表面21に付着した第一複合配合液3aは、加熱,乾燥されて、原手表面21に接着固化し第一被膜3となる。加熱乾燥炉91内で加熱,乾燥されて、原手2に接合一体化する第一被膜3が出来る。
前記加熱乾燥工程を終えた第一被膜3形成後の第一被膜3付き原手2を、図5(ロ)の浸漬工程の液糟7aよりも小さな液糟7bを使用する図4(ニ)のディッピング工程(ディッピング処理工程)へ送る。ディッピング工程では、液糟7b内に、第二複合配合液4a1へ粗粒子45を混ぜ合せた粗粒子入り複合配合液4aを満たす。滑り止め防止用を兼ねて、第一被膜3付き原手2をディッピングさせるため、ディッピング工程は、該第一被膜3付き原手2の粗粒子入り複合配合液4aへの浸漬を、手首部23のレベルまでにとどめる(図4のニ)。ディッピングを終えたら、原手表面21に付着した粗粒子入り複合配合液4aは、加熱,乾燥されて、第一被膜表面に接着固化し第二被膜4となる。加熱乾燥炉92内で加熱,乾燥されて、第一被膜3上に接合一体化する第二被膜4が、粗粒子45による凸状部分46を有して積層成膜形成される。
かくして、図1〜図3ごとくの所望の作業用手袋1が造られる。尚、図5の製造方法は、既述のごとく図5(ロ)の浸漬工程による第一被膜3形成が図4(ロ)のシャワーコーティング工程と違うだけで、他は図4のものと同じであるので、詳細説明を省く。
試験結果によれば、本考案品はPVC製の「耐油配合手袋」,「やわらか配合手袋」よりも柔らかく、さらに「天然ゴム手袋」や「ニトリルゴム手袋」よりも柔らかかった。作業する際、手に負荷がかかり難い作業用手袋になっている。
本考案は、とりわけ、塩化ビニル樹脂αに、天然ゴムをブレンドせずに、該天然ゴムに比べて柔軟性に欠けるとされてきたニトリルゴムβをブレンドしてなる第一複合配合液3a,第二複合配合液4a1を用いて形成された作業用手袋1が、PVC製,NBR製のみならず天然ゴム製のものと比較しても柔軟性があることを見出した点に意義がある。従来にない柔軟性に加え、且つ手の動きにフィットするなど、創作困難性を伴い且つ多大な効を奏する。
しかも、本作業用手袋1は、PVC製品に匹敵する耐油性がある作業用手袋1になっている。第一複合配合液3a,第二複合配合液4a1にニトリルゴムβが配合されることで、ニトリルゴムの柔軟性に欠く欠点が塩化ビニル樹脂を加えることによって消失する一方、「油や薬品への耐性が天然ゴム製や塩化ビニル製に比べ優れているとされる」ニトリルゴム製の優れた特性がうまく生かされていると考えられる。耐油性が備わったことにより、柔軟性があっても油や溶剤に弱い天然ゴム製品と違って、使用できる適用作業範囲が広く、幅広く有効活用できる優れた作業用手袋1になっている。
天然ゴムを配合せずとも、塩化ビニル樹脂αとニトリルゴムβを一体配合した第一複合配合液3a,第二複合配合液4a1を用いることによって、天然ゴムに劣らない柔軟性を生み出し、さらに耐油性についてはPVCと同等の優れた品質を維持できるなど画期的な作業用手袋1になっている。
加えて、粗粒子45が球相当径0.05mmφ〜3mmφの範囲にあるニトリルゴム材からなると、第一複合配合液3a,第二複合配合液4a1にニトリルゴムβが配合されているので、粗粒子45と第一被膜3,第二被膜との一体性が高まる。第二被膜4が第一被膜3上にディッピング処理により積層成膜形成されたディッピング膜で形成されると、作業用手袋1の必要な部分にのみ簡便に滑り止め効果がある凸状部分46を付与できる。
このように、本作業用手袋1は数々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
2 原手
3 第一被膜
3a 第一複合配合液
4 第二被膜
4a1 第二複合配合液
4a 粗粒子入り複合配合液
45 粗粒子
46 凸状部分
Claims (5)
- 布製の原手(2)と、該原手の表面(21)に、塩化ビニル樹脂とニトリルゴムとが少なくとも一体配合された第一複合配合液(3a)を用いて、成膜形成されてなる第一被膜(3)と、を具備することを特徴とする作業用手袋。
- 前記第一被膜(3)が、コーティング処理により成膜形成されるコーティング膜である請求項1記載の作業用手袋。
- 前記原手(2)が、天然繊維、化学繊維、又はレーヨン繊維を用いて、メリヤス編み又はニット編みの編布で形成された請求項1又は2に記載の作業用手袋。
- 前記第一被膜(3)の表面(31)上に、塩化ビニル樹脂とニトリルゴムとが少なくとも一体配合された第二複合配合液(4a1)へ、粗粒子(45)を混合分散させた粗粒子入り複合配合液(4a)で、該粗粒子(45)による凸状部分(46)を有して積層成膜形成された第二被膜(4)を、さらに具備する請求項3記載の作業用手袋。
- 前記粗粒子(45)が球相当径0.05mmφ〜3mmφの範囲にあるニトリルゴム材からなり、且つ前記第二被膜がディッピング処理により積層成膜形成されたディッピング膜で形成される請求項4記載の作業用手袋。
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