JP3185308B2 - ガスクロマトグラフ及びこれを用いた分析方法 - Google Patents

ガスクロマトグラフ及びこれを用いた分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体試料成分を分析す
るガスクロマトグラフ及びこれを用いた分析方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】気体成分分析用ガスクロマトグラフは、
たとえば大気中の微量有機溶剤のガス分析などに有効な
分析機器である。ガスクロマトグラフで使用される試料
導入装置のプログラム昇温式又は急速昇温式試料導入装
置がある。プログラム昇温式又は急速昇温式試料導入装
置は、主に液状試料の分析に使用されている。大気中の
微量有機溶剤などのガス分析には、スプリット法(スプ
リット比は小)を利用して大量のガス状試料を注入部内
の捕集剤に、時間をかけて注入し、注入が終了した後に
分離カラムへ試料を送る方法がとられる。
【0003】ところでガス状試料を大量に注入するには
所定の時間がかかり、この間に試料が分離カラム々送ら
れてしまうと、正確な分析は困難となる。これを防止す
るため、下記のような工夫がなされている。 (イ)カラムオーブン内を液化CO2 等で冷却してガス
成分をカラム頂に捕集する。 (ロ)試料導入部に捕集剤を入れ、必要に応じて捕集剤
を冷却して成分ガスを全て濃縮する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(イ)(ロ)の方法は、いずれもガス状試料の注入時間
が長くなり実用的でなく、また注入部内圧力が、カラム
内径及び長さによってかわるが通常1〜2kg/cm2
と高いため、ガスタイトシリンジによる大量の試料ガス
の導入が短時間には困難であるなどの問題を有してい
た。
【0005】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、ガス状試料の注入時には分析系内の内圧が低く、
試料が分離カラム側に拡散することを防止し、注入終了
後は分析系内の内圧を高くして正確な分析が行えるガス
クロマトグラフ及びこれを用いた分析方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のガスクロマトグラフは、試料注入部と分離
カラムとの間に、昇温式試料導入装置を有する気体成分
分析用ガスクロマトグラフであって、前記昇温式試料導
入装置にキャリヤーガス供給量を切り替えるキャリヤー
ガス切り替え手段を備えたキャリヤーガス供給手段を接
続するとともに、供給された一部のキャリヤーガスを分
析時の内圧に比較して相対的に低くして排出する切り替
え手段を備えたことを特徴とする。
【0007】また本発明のガスクロマトグラフを用いた
分析方法は、試料注入部と分離カラムとの間に、昇温式
試料導入装置を有する気体成分分析用ガスクロマトグラ
フを用いた気体成分分析方法であって、試料注入時は、
キャリヤーガス切り替え手段により供給量を分析時に比
較して相対的に少なくするとともに、キャリヤーガスの
排出部抵抗を小さくして内圧を低くし、注入中の試料気
体を一時的に捕集し、試料気体の注入が終了した後はキ
ャリヤーガス供給量を高めるとともにキャリヤーガス排
出部抵抗を高くして分析系内圧力を高くすることを特徴
とする。
【0008】
【作用】前記本発明の構成によれば、試料の注入時、分
析系内の圧力を大気圧近くに下げることができる。この
ため、ガスシリンジによる大量のガス状試料の注入を短
時間に行うことができると同時に、ガス試料が分離カラ
ム側に拡散することを効果的に防止することができる。
【0009】
【実施例】以下図面を用いて本発明のガスクロマトグラ
フを説明する。図1は本発明装置を概念的に示した模式
図である。図1において、1はガス試料注入部、2はシ
リコンゴム製等のセプタム(シール部)、3は内部にガ
ス試料を捕集する捕集剤5を充填したインサート部、4
は捕集剤5を昇温するためのヒータ、6は昇温式試料導
入装置である。7は試料導入装置6を炭酸ガス、空気等
で冷却するための冷却流体導入ラインである。冷却用炭
酸ガスを用いたときは一例として−20℃〜−30℃に
冷却でき、空冷用空気を用いたときは一例として約40
℃前後に冷却できる。8は一部のキャリヤーガスを排出
するための分岐部、9は分離カラムである。また10は
キャリヤーガス供給ライン、11はキャリヤーガスの圧
力を調節する調圧弁、12はガス流量計、13はキャリ
ヤーガスをストレートに接続部15に供給するラインと
ニードル弁14を通過させて接続部15に供給するライ
ンに切り替えるための三方電磁弁(三方コックでもよ
い)である。ニードル弁14においては、流通抵抗があ
るためキャリヤーガスの流量は少なくなる。次に16は
一部のキャリヤーガスを排出するスプリット(排出)ラ
イン、17は排出ライン16に流れてきたキャリヤーガ
スをスプリットベント19またはサンプリングベント2
0に切り替えて流すための三方電磁弁である。三方電磁
弁17とスプリットベント19との間にはニードル弁1
8を設け、流通抵抗を大きくする。なお21はセプタム
2の下に接続するラインで、セプタム2から発生する分
解ガスなどを外部に排出する。22は同ラインの電磁
弁、23は同ラインのニードル弁、24はセプタムパー
ジベントである。
【0010】以上のように構成された本発明のガスクロ
マトグラフの作用について、以下説明する。分析時には
電磁弁13、17を切り替え、ラインの実線矢印Aの方
向にキャリヤーガスを流す。この時カラム内径及び長さ
によってかわるが、通常1〜2kg/cm2 内圧がかか
った状態となる。そして分離カラム9へもキャリヤーガ
スは試料ガスとともに流れ、各成分に分離される。もち
ろんこの時試料導入部6は加熱昇温され、捕集剤に捕集
された試料のガス成分は分離カラムへ導入されて分析さ
れる。
【0011】次にガス試料注入時を説明する。電磁弁1
3、17を切り替え、ラインの破線矢印Bの方向にキャ
リヤーガスを流す。この様にすると分析系内圧力は大気
圧に近い状態となる。そこでガスタイトシリンジ25に
より、大量の試料ガス(約5ml以上)をセプタムを介
してインサート内に注入する。分析系内圧力は大気圧に
近いから、試料注入は容易かつ短時間に行うことができ
る。また分析系内圧力は大気圧に近く、分離カラムの抵
抗は比較的高いから、注入中のガス試料は分離カラム側
に拡散することが妨げられ、捕集剤5によって捕集され
た状態を保持できる。
【0012】このような状態でガス試料の注入が終了し
た後、前記分析工程に切り替えることにより、微量成分
の正確な分析ができる。次に前記した装置を用いて実際
に分析したガスクロマトグラムを図2に示す。図2は大
気中の微量有機溶剤成分を分析したもので、分析条件は
下記の通りである。 (1)カラム:CBJI 60m×0.32mm i.
d. (2)試料導入装置:炭酸ガス液体で0℃に冷却してお
き、ガス試料を注入し、その後0℃(0.5min )→2
50℃ (3)カラム温度:45℃(min )→170℃(昇温速
度;7℃/min ) (4)スプリット比:1/10 (5)試料量:10cc (6)捕集剤:tenaxGC(商品名)(ポリマービ
ーズ) 図2から明らかな通り、アセトン(0.83ppm)、
イソプロパノール、二流化炭素、メチルエチルケトン、
エチルアセテート(0.56ppm)、1−ブタノー
ル、メチルイソブチルケトン、トルエン、n−ブチルア
セテート(0.33ppm)、エチルベンゼン、パラキ
シレン、メタキシレン、オルトキシレンがこの順番に正
確に分離できることが確認できた。
【0013】本実施例においては、ガスタイトリンジの
代わりに、ガスサンプラーを用いて試料を導入すること
もできる。この場合、サンプラーからの配管出口を注入
部を通してインサート内上部まで入れることが好まし
い。
【0014】以上説明した本発明の一実施例によれば下
記の利点を発揮することができる。 (1)ガスタイトシリンジを用いて大量(>5ml)の
試料ガスを容易に導入できる。分析系の内部圧力が低い
ためである。 (2)短時間に大量の試料ガスを導入できる。 (3)試料導入時、分析カラム内には残圧があり、試料
がカラム内へ移行することを防止できる。その為、捕集
剤を通過する成分や目的成分で一部捕集剤を通過する場
合であっても、これら成分は分離カラムに入らず妨害ビ
ーク等が生じない。
【0015】
【発明の効果】前記本発明によれば、試料の注入時、分
析系内の圧力を大気圧近くに下げることができるため、
ガスシリンジによる大量のガス状試料の注入を短時間に
行うことができると同時に、ガス試料が分離カラム側に
拡散することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置を概念的に示した模式図である。
【図2】大気中の微量有機溶剤成分を分析したガスクロ
マトグラムである。
【符号の説明】
1 ガス試料注入部 2 セプタム 3 インサート部 4 ヒーター 5 捕集剤 6 昇温式試料導入装置 7 冷却流体導入ライン 8 分岐部 9 分離カラム 10 キャリヤーガス供給ライン 11 調圧弁 12 ガス流量計 13 三方電磁弁 14 ニードル弁 15 接続部 16 スプリット(排出)ライン 17 三方電磁弁 18 ニードル弁 19 スプリットベント

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料注入部と分離カラムとの間に、昇温
    式試料導入装置を有する気体成分分析用ガスクロマトグ
    ラフであって、前記昇温式試料導入装置にキャリヤーガ
    ス供給量を切り替えるキャリヤーガス切り替え手段を備
    えたキャリヤーガス供給手段を接続するとともに、供給
    された一部のキャリヤーガスを分析時の内圧に比較して
    相対的に低くして排出する切り替え手段を備えたことを
    特徴とするガスクロマトグラフ。
  2. 【請求項2】 試料注入部と分離カラムとの間に、昇温
    式試料導入装置を有する気体成分分析用ガスクロマトグ
    ラフを用いた気体成分分析方法であって、試料注入時
    は、キャリヤーガス切り替え手段により供給量を分析時
    に比較して相対的に少なくするとともに、キャリヤーガ
    スの排出部抵抗を小さくして内圧を低くし、注入中の試
    料気体を一時的に捕集し、試料気体の注入が終了した後
    はキャリヤーガス供給量を高めるとともにキャリヤーガ
    ス排出部抵抗を高くして分析系内圧力を高くすることを
    特徴とするガスクロマトグラフを用いた分析方法。
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