JP3184151U - 積層装飾具、装飾パネル、及び象嵌家具 - Google Patents

積層装飾具、装飾パネル、及び象嵌家具 Download PDF

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Abstract

【課題】意匠的に優れ、かつ長期間にわたって高い嵌合性能を安定して維持することができる装飾パネル及びその装飾パネルを備える象嵌家具を提供する。
【解決手段】装飾パネル17a,17b,17cは、表面に曲線状に湾曲する湾曲溝21,22が形成された木質材料からなり、湾曲溝21,22に、厚さ方向に積層されかつその厚さ方向に曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着された複数の木製の薄板からなる積層装飾具31,32が嵌め込まれて固定されている。
【選択図】図1

Description

本考案は、木製のパネル等を装飾する積層装飾具、その積層装飾具が嵌着された装飾パネル、及びその装飾パネルを備える象嵌家具に関するものである。
素材や色彩の異なる複数種の木質材料を用いて一体に構成した装飾材として、例えば寄木細工などが知られている。これは、天然有色材を重ね合せて接着し、それを一定の厚みに切り取って単位文様を形成し、その形成した単位文様を組み合わせた連続文様を所定の厚さに削って小箱などの表面に貼りつけるものである。
また、特許文献1では、化粧板材において、その表面に木材の無垢材等と矩形状に形成された木口部とを意匠的に組み合わせて露出させて、表面を研磨した後、この研磨された表面に塗料を施し、染色濃淡を形成する技術が開示されている。
特開平6−320105号公報
しかしながら、特許文献1に示すように、化粧板材の凹部に対して矩形状に形成された木口部を接着剤等により嵌着する場合において、長期間にわたる使用などによって温度や湿度等の周辺環境に変化があったときに、木口部が化粧板材の表面から剥がれてしまう可能性がある。また、このような木口部の剥離を防止するためには、例えば、使用する接着剤の量を増やす等の対策が必要である。
上記の課題に鑑み、本考案は、長期間にわたって高い嵌合性能を安定して維持することが可能に構成された装飾具を備える装飾パネル及びこれを用いた象嵌家具を提供することを目的とする。
本考案の第1態様では、装飾パネルは、表面に曲線状に湾曲する湾曲溝が形成された木質材料からなり、該湾曲溝に、厚さ方向に積層されかつその厚さ方向に曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着された複数の木製の薄板からなる積層装飾具が嵌め込まれて固定されている。
この第1態様によると、積層装飾具は、厚さ方向に曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着された木製薄板からなるため、時間が経過しても本来のまっすぐの形状に戻ろうとする戻り応力が残留する。この戻り応力によって、積層装飾具は、曲げ方向外側の側面が木質材料の湾曲溝の内壁面を常に押圧した状態となる。これにより、積層装飾具は、木質材料の湾曲溝に安定して係合保持され、温度や湿度などの周辺環境が変化した場合においても、直線の積層装飾具を用いた装飾パネル及び象嵌家具と比較して、長期間にわたって高い嵌合性能を安定して維持することができる。
本考案の第2態様では、第1態様に係る装飾パネルにおいて、湾曲溝は、曲げ方向が反対になっている複数の溝部を含んでおり、複数の溝部は連続している。
この第2態様によると、木質材料に形成された湾曲溝は、曲げ方向が反対になっている複数の溝部を含んでいるため、積層装飾具は少なくとも2ヶ所以上の外側面が木質材料の湾曲溝の内壁面を押圧する。これにより、積層装飾具は、さらに木質材料の湾曲溝から外れにくくなり、温度や湿度などの周辺環境が変化した場合においても、直線の積層装飾具を用いた装飾パネル等と比較して、長期間にわたって高い嵌合性能を安定して維持することができる。
本考案の第3態様では、第1または第2態様に記載の装飾パネルにおいて、積層装飾具の隣り合う薄板の色彩が互いに異なることを特徴とする。
この第3態様によると、隣接する木製パネルの色彩が互いに異なるため、装飾パネルの意匠性を向上させることができる。
本考案の第4態様では、第1または第2態様に記載の装飾パネルにおいて、積層装飾具の各薄板の厚さは、0.3mm以上であり、かつ10mm以下であることを特徴とする。
この第4態様に係る装飾パネルは、積層装飾具の各薄板の厚さを10mm以下とすることによって、厚さ方向に曲げ応力を加えながら一体的に接着することと、各薄板の割れを防ぐこととが両立できる。したがって、簡便な装置(金型)を用いて積層材の成形を実現することができる。
本考案の第5態様では、第1または第2態様に記載の装飾パネルにおいて、湾曲溝の深さは、2.5mm以上であり、かつ10mm以下であることを特徴とする。
この第5態様に係る装飾パネルは、木質材料に形成された湾曲溝の深さを2.5mm以上にすることによって、パネルの溝に対して安定して積層装飾具を係合させることができるとともに、意匠性を向上することができる。装飾パネルは、パネルに形成された曲線の溝の深さを10mm以下にすることによって、パネルの溝の形成容易性および溝に嵌める積層装飾具の成形容易性を確保することができる。
本考案の第6態様では、第3態様に記載の装飾パネルにおいて、積層装飾具の色彩が異なる複数の木製の薄板は、少なくとも1つの染色された染色薄板を含んでおり、各染色薄板の厚さは、0.3mm以上であり、かつ0.5mm以下であることを特徴とする。
この第6態様に係る装飾パネルは、積層装飾具の各染色薄板の厚さを0.5mm以下にすることによって、染色むらの発生なしに染色薄板を形成することができる。したがって、簡便な装置を用いて各染色薄板の染色を実現することができる。また、各染色薄板の厚さを0.3mm以上にすることによって、所定の厚さを有する積層装飾具を形成するために必要な薄板の枚数を減らすことができるため、積層装飾具の形成する工数を削減することができる。
本考案の第7態様では、象嵌家具は、第1から第6態様のうちのいずれか1態様に記載の装飾パネルを備えていることを特徴とする。
この第7態様によると、象嵌家具における装飾パネルの優れた意匠性が長期間にわたって安定して維持されるため、長期間にわたって安定して意匠性に優れた象嵌家具を得ることができる。
本考案の第8態様では、表面に曲線状に湾曲する湾曲溝が形成された木製部材の該湾曲溝に嵌め込まれて該木製部材を装飾するための積層装飾具は、複数の木製の薄板が積層され、かつ曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着されて、木製部材の湾曲溝に嵌め込まれて固定されるように構成されている。
この第8態様によると、積層装飾具は、厚さ方向に曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着された木製薄板からなるため、時間が経過しても本来のまっすぐの形状に戻ろうとする戻り応力が残留する。この戻り応力によって、積層装飾具は、曲げ方向外側の側面が木製部材の湾曲溝の内壁面を押圧する。これにより、積層装飾具は、木製部材の湾曲溝から外れにくくなり、温度や湿度などの周辺環境が変化した場合においても、直線の積層装飾具を用いた木製部材等と比較して、長期間にわたって高い嵌合性能を安定して維持することができる。
本考案の装飾パネル及び象嵌家具は、意匠的に優れており、かつ、温度や湿度などの周辺環境が変化した場合においても、直線の積層装飾具を用いた装飾パネル及び象嵌家具と比較して、長期間にわたり安定した高い嵌合性能を維持することができる。また、直線の積層装飾具を用いた装飾パネル及び象嵌家具と比較して、同じ嵌合性能を得るために必要な接着剤の量が少なくてすむ。
実施の形態1に係る象嵌家具を前側(表側)から見た斜視図である。 実施の形態1に係る象嵌家具を前側(表側)から撮影した写真である。 実施の形態1に係る積層装飾具の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態1に係る装飾パネルの製造方法の概略を示す図である。 実施の形態2に係る象嵌家具を前側(表側)から見た斜視図である。 実施の形態2に係る象嵌家具を前側(表側)から撮影した写真であり、(a)は天板を閉じた状態の写真、(b)は天板を開いた状態の写真である。 実施の形態2に係る積層装飾具の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態2に係る装飾パネルの製造方法の概略を示す図である。
以下、本考案の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本考案、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<実施の形態1>
(象嵌家具A)
図1及び図2は、本考案の実施の形態1に係る象嵌家具Aを示しており、図1は本態様に係る象嵌家具Aを前側(表側)から見た斜視図であり、図2(a),(b)は象嵌家具Aの一例を示す写真である。
この象嵌家具Aは、図1に示すように、前側(表側)が開口された矩形箱状の家具本体10を備え、この家具本体10内部は、左右方向に架設された例えば上下2枚(複数)の棚板(図示しない)によって3つの空間に区画され、これらの空間には3つ(複数)の引出し15,15,15が収容されている。
家具本体10は、左右に立設された側板11,11と、左右の側板11,11の上端間を連結する天板12と、左右の側板11,11の下端部寄り部位間を連結する底板(図示しない)と、天板12及び底板の裏側端部に取り付けられた裏板13とによって矩形箱状に形成されている。左右の側板11,11のそれぞれの下端部は、板面に沿う表裏方向の中央部分が底板の下端面近傍の高さまで切り欠かれており、これにより4本の脚部14,14・・が形成されている。なお、4本の脚部14,14・・は形成しなくてもよいし、左右の側板11,11と各脚部14とが分離して形成され、接着やビス止め(又はねじ止め)等によって固定されていてもかまわない。
各引出し15は、それぞれの前側(表面)に装飾パネルとしての前板17a〜17cを備えている。各引出し15は、家具本体10の左右の側板11,11において、その高さの対応する位置に対向して取付固定した3対のスライドレール(図示しない)によって、前後方向にスライド移動可能に案内されるように支持されており、前板17a〜17cの左右中央に取り付けた引手16を用いて出入れ操作ができるようになっている。
上側及び中央の引出し15,15における前板17a,17bの表面には、引出し15,15を閉じた状態において連続しており、かつ曲線状に湾曲している湾曲溝21が形成されている。より具体的には、前板17aの表面には湾曲溝21aが、また前板17bの表面には湾曲溝21bがそれぞれ形成されており、これらの湾曲溝21aと湾曲溝21bは引出し15,15を閉じた状態において例えば同じ曲率半径の円弧となるように互いに連続している。湾曲溝21a及び湾曲溝21bには、それぞれの溝の形状に対応して形成された、後述する積層装飾具31a,31bが、湾曲溝21a,21b周りの前板17a,17bの表面と面一になるように嵌め込まれ、接着剤等により固定されている。
同様に、前板17b,17cの表面には、引出し15を閉じた状態において連続する、湾曲溝22a及び湾曲溝22bからなる湾曲溝22が形成されている。湾曲溝22a及び湾曲溝22bには、それぞれの溝の形状に対応して形成された、後述する積層装飾具32a,32bが嵌め込まれ、接着剤等により固定されている。
(積層装飾具)
図3は積層装飾具31,32の製造方法の概略を示す図である。
まず、図3(a)に示すように、木質基材をスライスして断面矩形板状の薄板33(厚さがd13)を形成する。
その後、薄板33を切除するなどして、その幅をw12に細くし、それら複数の薄板33を同一または異なる色彩に染色する。このとき、幅w12は、引出し15の前板17bに形成された湾曲溝21,22の深さd11より若干大きい値となるように設定する。
次に、図3(b),(c)に示すように、染色された薄板33(以下、染色薄板ともいう)の厚さ方向の表面に接着剤を塗布して、その厚さ方向に複数枚を積層一体化して積層材34を形成した後、その積層材34に対して金型35によって曲げ応力を加えながら加圧して一体成形する。このとき、金型35の成形面は、象嵌家具Aの引出し15の前板17a,17b,17cの湾曲溝21,22の形状(図1、図4参照)に形成されており、このことで、積層材34を、正面から見て(以下、正面視ともいう)湾曲溝21,22に対応する形状になるように成形する。このとき、積層材34に対して急速に強い曲げ応力を加えると、薄板33が割れてしまうため、長い期間(例えば1ヶ月)をかけて少しずつ応力を加えていく。
なお、積層材34の形成(積層)において、同一色で染色された薄板33を複数枚連続して積層させてもよいし、隣接する層同士が異なる色で染色された薄板33となるように積層してもよいし、それらを組み合わせて積層してもよい。
次に、図3(d)に示すように、成形された積層材34の積層方向に沿ってその表面を研削や研磨して積層装飾具31,32が完成する。このとき、積層材34は、その幅w12が湾曲溝21,22の深さd11とほぼ同じになるように研削や研磨を行う。
ここで、積層装飾具31,32の幅w12は、上記の湾曲溝21,22の深さd11(図4参照)にあわせて適宜設定すればよく、例えば2.5mm以上であり、かつ10mm以下であるのが好ましい。優れた意匠性と、成形容易性とが両立できるためである。具体的には、木質材料に形成された湾曲溝21,22の深さを2.5mm以上にすることによって、木質材料の湾曲溝21,22に対して安定して積層装飾具31,32を係合させることができるとともに、意匠性を向上することができる。また、パネルに形成された湾曲溝21,22の深さを10mm以下にすることによって、木質材料の湾曲溝21,22の形成容易性および溝に嵌める積層装飾具31,32の成形容易性を確保することができる。
また、染色する各薄板33(染色薄板)の厚さd13は、0.3mm以上であり、かつ0.5mm以下であるのが好ましく、0.5mm近傍の厚さであるのがより好ましい。厚さが0.5mmを超えると、厚さ方向に係る芯まで染色がされない場合があることが経験的にわかっているためである。したがって、0.5mmを超える薄板への染色が十分に行える場合には、染色薄板の厚さが0.5mm以上であってもかまわない。
なお、図3では、積層材34として同じ厚さd13の薄板33が積層されているが、積層する各薄板33の厚さd13が異なっていてもかまわない。
(前板)
図4は装飾パネルの製造方法の概略を示す図である。図4では、図1に示した引出し15の前板17a,17b,17cのうち、前板17bの製造方法について詳細に説明する。
まず、図4(a),(b)に示すように、断面矩形板状の木質材料40にそれぞれの深さd11の曲線状に湾曲する湾曲溝21b,22aを形成する。湾曲溝21b,22aの深さd11は、例えば積層装飾具31,32の幅w12と同じ深さになるように形成する。より具体的には、湾曲溝21b,22aの深さd11は、例えば2.5mm以上であり、かつ10mm以下であるのが好ましい。優れた意匠性と、成形容易性とが両立できるためである。
次に、図4(c)に示すように、図3に示す製造された積層装飾具31,32を湾曲溝21b,22aの長さにあわせて切り取り、積層装飾具31b,32aを形成する。
上記のように形成された積層装飾具31b,32aは、図4(d)に示すように、それぞれ湾曲溝21b,22aに嵌め込まれ、接着剤によって固定される。最後に引手16を取り付けて、前板17bが完成する。
ここで、積層装飾具31b,32aは、湾曲溝21b,22aの形に対応する曲げ応力を少しずつ長い期間をかけて加えることにより一体的に接着して成形されているため、その嵌め込み時には、湾曲溝21b,22aに対応する形状になっている一方で、長い期間(例えば1ヶ月)で見た場合には、徐々に本来のまっすぐの形状に戻ろうとする。すなわち、積層装飾具31b,32aには、時間が経過しても戻り応力が残留する。この戻り応力によって、積層装飾具31b,32aは、その曲げ方向外側の側面が湾曲溝21b,22aの内壁面を常時押圧した状態となる。これにより、積層装飾具31b,32aは、接着剤の接着効果と相俟って、湾曲溝21b,22aに安定して係合保持される。
なお、前板17a,17cも同様に形成することができる。具体的には、前板17aについては、断面矩形板状の木質材料に深さd11の曲線状に湾曲する湾曲溝21aを形成し、積層装飾具31から積層装飾具31bを切り取った残りの積層装飾具31aを湾曲溝21aに嵌め込んで、接着剤等によって固定することによって形成することができる。同様に、前板17cは、断面矩形板状の木質材料に深さd11の曲線状に湾曲する湾曲溝22bを形成し、積層装飾具32から積層装飾具32aを切り取った残りの積層装飾具32bを湾曲溝22bに嵌め込んで、接着剤等によって固定することによって形成することができる。こうすることで、象嵌家具Aの引出し15,15,・・を閉じたとき、上側及び中央の引出し15,15の前板17a,17bの積層装飾具31a,31bが、また、中央及び下側の引出し15,15の前板17b,17cの積層装飾具32a,32bがそれぞれ自然な感じでスムーズに連続した状態となる。
以上のように、本実施形態に係る象嵌家具Aは、温度や湿度などの周辺環境が変化した場合においても、直線の積層装飾具を用いた装飾パネル及び象嵌家具と比較して、長期間にわたり安定した高い嵌合性能を維持することができる。
なお、各木質材料に形成する湾曲溝の数は、1つまたは2つに限定されるものではなく、3つ以上でもかまわない。また、上記の態様において、形成する湾曲溝21,22(21a,21b,22a,22b)の深さは、ともにd11であるものとしたが、湾曲溝21,22のそれぞれで深さが異なっていてもかまわない。
また、各積層装飾具31a,31b,32a,32bは、切り取られた後に、それぞれに対応する前板17a,17b,17cの湾曲溝21a,21b,22a,22bに嵌め込まれるものとしたが、これに限定されない。例えば、図4において、断面矩形板状の木質材料に湾曲溝21,22を形成し、図3において形成された積層装飾具31,32を嵌め込んで、接着剤等によって固定した後に、そのパネルを積層装飾具31,32とともに切断することによって、前板17a,17b,17cを形成してもかまわない。
また、本態様では、湾曲溝21,22の深さd11と積層装飾具31,32の幅w12とが同じである、すなわち積層装飾具31,32は湾曲溝21,22周りの前板17a〜17cの表面と面一になるように嵌め込まれものとしたが、多少異なっていてもかまわない。例えば、積層装飾具31,32が、湾曲溝21,22周りの前板17a〜17cの表面から少し突出または凹嵌してもかまわない。
<実施の形態2>
(象嵌家具B)
図5及び図6は、実施の形態2に係る象嵌家具を示しており、図5は本態様に係る象嵌家具Bを前側(表側)から見た斜視図であり、図6は象嵌家具Bの一例を示す写真である。
この象嵌家具Bは、図5に示すように、前側(表側)が開口された矩形箱状の家具本体50を備え、この家具本体50内部は、左右方向に架設された例えば上中下3枚(複数)の棚板(図示しない)によって4つの空間に区画され、これらの空間には4つ(複数)の引出し55,55,・・・が収容されている。
家具本体50は、左右に立設された側板51,51と、左右の側板51,51の上端寄り部位間を連結する上棚板(図示しない)と、左右の側板51,51の下端間を連結する底板78と、上棚板及び底板78の裏側端部に取り付けられた裏板(図示しない)とによって矩形箱状に形成された家具本体50を備えている。
家具本体50は、さらに底板78の底面に接着やビス止め(又はねじ止め)等によって取付固定された脚部54,54,・・・と、家具本体50の上面、及び前面の上端寄りの部位を覆うように左右の側板51,51及び裏板の上端に載置された状態で配置され、後端部が裏板の上端部に左右一対のヒンジ60(図6(b)参照)を介して開閉可能に支持された側断面L字型の装飾パネルとしての天板52とを備えている。天板52は、前端の下側隅角部を切り欠いて傾斜面を形成した上板52aと、上端の後側隅角部を上板52aの傾斜面と対応する角度に切り欠いて傾斜面を形成した前板52bとを備えており、これら上板52aの傾斜面と前板52bの傾斜面とを接着剤等で接着することにより、上板52aと前板52bとが一体的に固定されている。
天板52の上面表面には、曲線状に湾曲する湾曲溝71,71,・・・が形成されており、それぞれの溝の形状に対応して形成された、後述する積層装飾具81が嵌め込まれ、接着剤等により固定されている。天板52の裏面(下面)には、鏡が取り付けられている(図6(b)参照)。
各引出し55は、それぞれ表面に装飾が施された装飾パネルとしての前板57,57,・・・を備えている。各引出し55は、引出し15(図1)と同様に、スライドレール(図示しない)によって前後方向にスライド移動(出入れ操作)可能に支持されており、各前板57の左右に取り付けた引手56,56を用いて出入れ操作ができるようになっている。
天板52の前板52bの表面、各引出し55,55,・・・における各前板57,57,・・・の表面及び底板78の前側の表面には、曲線状に湾曲する湾曲溝72,72,・・・がそれぞれ形成されている。これらの湾曲溝72,72,・・・は、引出し55,55,・・・を閉じた状態において、例えば同じ曲率半径であり、かつ曲げ方向が反対になるように互いに連続した複数の溝部を含んでいる。湾曲溝72,72,・・・には、それぞれの湾曲溝の形状に対応して形成され、かつ湾曲溝の長さに応じて切断された後述する積層装飾具82が、湾曲溝72,72,・・・周りの前板52b、引出し55,55,・・・及び底板78の前側の表面と面一になるように嵌め込まれ、接着剤等により固定されている。
(積層装飾具)
図7は積層装飾具81の製造方法の概略を示す図である。
図7において、図3と異なる点は、染色された薄板83を積層一体化して積層材84を形成した後に、曲げ応力を加えながら加圧して一体成形する際に使用する金型36の形状が図3の金型35の形状と異なる点である。具体的には、金型36の成形面は、象嵌家具Bの天板52の上板52aにおける湾曲溝71の形状(図5、図8参照)に形成されており、このことで、積層材84を正面視において、湾曲溝71に対応する形状になるように成形する。なお、積層装飾具82の製造においては、成形面が湾曲溝72に対応する形状になるような金型を用意し、積層材84を正面視において、湾曲溝72に対応する形状になるように成形し、引出し55の図5における上下方向の長さ等に応じて適宜切断する。
それ以外の製造方法については、図3と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。
なお、積層装飾具81,82の幅w22は、上述の図4(実施の形態1)の積層装飾具31,32の幅w12と同様の方法に基づいて設定するのが好ましい。
また、染色する各薄板83(染色薄板)の厚さd23は、上述の実施の形態1における薄板33の厚さd13と同様の方法に基づいて設定するのが好ましい。
(天板の上板)
図8は装飾パネルの製造方法の概略を示す図である。図8は図5に示した天板52の上板52aの製造方法の一例を示している。
まず、図8(a)〜(d)については、図4と同様にして、深さがd21の湾曲溝71,71,・・・を形成し、図7において形成した積層装飾具81,81,・・・を湾曲溝71,71,・・・に嵌め込み、接着剤等によって固定する。その後、積層装飾具81,81,・・・が固定された木質材料90から図8に示す仮想線Yを切り除き、その前端下側隅角部に切り欠き状の傾斜面を形成する。これにより、天板52の上板52aが完成する。
ここで、積層装飾具81,82には、積層装飾具31,32と同様に、時間が経過しても戻り応力が残留する。例えば、積層装飾具81のそれぞれの曲面における外周側の側面81a,81bは、上記の戻り応力によって、当接する湾曲溝71の内壁面71a,71bを異なる方向に向かってそれぞれ押圧する。すなわち、2ヶ所の外周側の側面81a,81bが上板52aにおける湾曲溝71の溝部の内壁面71a,71bを押圧する。これにより、積層装飾具81は、積層装飾具を円弧上に形成した場合と比較して、さらに湾曲溝71から外れにくくなる。
なお、天板52の前板52b及び前板57,57,・・・も同様にして形成することができる。具体的には、前板52bについては、断面矩形板状の木質材料を用意し、木質材料に曲線状に湾曲する湾曲溝72a,72a,・・・を形成する。さらに具体的には、天板52の上板52a前方向の上側隅角部の積層装飾具81,81,・・・と対応する位置を起点にして、前板52bの上端から下方に向かう深さd21の湾曲溝72a,72a,・・・を形成する。その後、積層装飾具82,82,・・・から積層装飾具82a,82a,・・・を切り取り、切り取った積層装飾具82a,82a,・・・を湾曲溝72a,72a,・・・に嵌め込んで、接着剤等で固定する。次に、前板52bの上端の後側隅角部を上板52aの傾斜面と対応する角度に切り除いて傾斜面を形成し、上板52aの傾斜面と前板52bの傾斜面とを接着剤等で固定して天板52が完成する。
また、前板57,57,・・・については、前板52bと同じ厚さの断面矩形板状の木質材料を用意し、木質材料に曲線状に湾曲する湾曲溝72b,72b,・・・を形成する。具体的には、天板52の前板52b下端部の積層装飾具82a,82a,・・・と対応する位置を起点にして、前板57,57,・・・の上端から下方に向かう深さd21の湾曲溝72b,72b,・・・を形成する。その後、積層装飾具82,82,・・・から積層装飾具82b,82b,・・・を切り取り、切り取った積層装飾具82b,82b,・・・を湾曲溝72b,72b,・・・に嵌め込んで、接着剤等で固定する。
こうすることで、象嵌家具Bの天板52の上板52a及び前板52bの積層装飾具81,82aが、また、引出し55,55,・・を閉じたとき、天板52の前板52b及び引出し55,55,・・の前板57,57,・・・の積層装飾具82a,82bが、それぞれ自然な感じでスムーズに連続した状態となる。
以上のように、実施の形態1及び2によると、象嵌家具の正面および上面から見て、曲線の象嵌が施され、かつ突出する凸部のない意匠的に優れた象嵌家具を得ることができる。また、積層装飾具には、時間が経過しても本来のまっすぐの形状に戻ろうとする戻り応力が残留するため、この戻り応力によって、積層装飾具がパネルの溝から外れにくくなり、長期間にわたり安定した高い嵌合性能を維持することができる。これにより、長期間にわたって安定して優れた意匠性を有する象嵌家具を得ることができる。
なお、装飾パネル(例えば、象嵌家具の引出しの前板等)に嵌着する積層装飾具は、象嵌家具の正面および上面から見て、その一部が直線になっていてもよい。具体的には、図2(b)に示すように、積層装飾具が、直線部とその直線部に連続する曲線部とからなっていてもよい。
また、積層装飾具を嵌め込む場所は、象嵌家具の正面の前板、上面の上板に限られるものではなく、それ以外の部分に嵌め込んでもかまわない。例えば、側板や引き出しの内部に嵌め込んでもかまわない。
また、上述の各実施形態に係る装飾パネルは、象嵌家具以外に使用してもよい。例えば、机やテーブルの天板などに使用してもかまわない。
また、上述の各実施形態に係る積層装飾具は、装飾パネル以外に使用してもよい。例えば、木製部材としての木製の建具や柱に使用してもよいし、家庭や店舗などに作り付けられた家具に使用してもよい。
また、上述の第1及び第2の実施形態では、薄板は染色して積層するものとしたが、積層材として、染色なしに素材の色彩が異なる薄板(以下、無染色薄板ともいう)を用いてもかまわない。例えば、素材の色彩が黒、茶、白、赤等の木質材料がある。この無染色薄板を積層材に用いる場合における各薄板の厚さは、0.3mm以上であり、かつ10mm以下であるのが好ましい。厚さが10mmを超えると、各薄板が割れる可能性が高くなるとともに、簡便な装置(金型)によって積層材を曲げることが容易ではなくなるためである。ただし、各薄板の厚さが10mm以上であっても、かまわない。また、染色された薄板と無染色薄板とを混在させて積層させてもかまわない。
本考案の装飾パネル及び象嵌家具は、意匠的に優れており、かつ、温度や湿度などの周辺環境が変化した場合においても、長期間にわたり安定した高い嵌合性能を維持することができるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
A,B 象嵌家具
17a,17b,17c,57 前板(装飾パネル、木製部材)
21,22,71,72 湾曲溝
31,32,81,82 積層装飾具
33,83 薄板
40,90 木質材料
52a 上板(装飾パネル、木製部材)
52b 前板(装飾パネル、木製部材)
d11,d21 湾曲溝の深さ
d13,d23 薄板の厚さ

Claims (8)

  1. 表面に曲線状に湾曲する湾曲溝が形成された木質材料からなり、該湾曲溝に、厚さ方向に積層されかつその厚さ方向に曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着された複数の木製の薄板からなる積層装飾具が嵌め込まれて固定されている
    ことを特徴とする装飾パネル。
  2. 請求項1記載の装飾パネルにおいて、
    前記湾曲溝は、曲げ方向が反対になっている複数の溝部を含んでおり、当該複数の溝部は連続している
    ことを特徴とする装飾パネル。
  3. 請求項1または2に記載の装飾パネルにおいて、
    前記積層装飾具の隣り合う前記薄板の色彩が互いに異なる
    ことを特徴とする装飾パネル。
  4. 請求項1または2に記載の装飾パネルにおいて、
    前記積層装飾具の各薄板の厚さは、0.3mm以上であり、かつ10mm以下である
    ことを特徴とする装飾パネル。
  5. 請求項1または2記載の装飾パネルにおいて、
    前記湾曲溝の深さは、2.5mm以上であり、かつ10mm以下である
    ことを特徴とする装飾パネル。
  6. 請求項3記載の装飾パネルにおいて、
    前記積層装飾具の色彩が異なる複数の木製の薄板は、少なくとも1つの染色された染色薄板を含んでおり、
    前記各染色薄板の厚さは、0.3mm以上であり、かつ0.5mm以下である
    ことを特徴とする装飾パネル。
  7. 請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の装飾パネルを備えたことを特徴とする象嵌家具。
  8. 表面に曲線状に湾曲する湾曲溝が形成された木製部材の該湾曲溝に嵌め込まれて該木製部材を装飾するための積層装飾具であって、
    複数の木製の薄板が積層され、かつ曲げ応力を加えながら互いに一体的に接着されて、前記木製部材の湾曲溝に嵌め込まれて固定されるように構成されている
    ことを特徴とする積層装飾具。
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