JP3179237B2 - 金属板幅圧下方法およびその設備 - Google Patents

金属板幅圧下方法およびその設備

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JP3179237B2 JP07241293A JP7241293A JP3179237B2 JP 3179237 B2 JP3179237 B2 JP 3179237B2 JP 07241293 A JP07241293 A JP 07241293A JP 7241293 A JP7241293 A JP 7241293A JP 3179237 B2 JP3179237 B2 JP 3179237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スラブなどの比較的
板厚の大きい金属板をプレスにより大きな圧下量で熱間
幅圧下する金属板幅圧下方法およびその設備に関する。
【0002】
【従来の技術】比較的板厚の大きい金属板として、連続
鋳造鋼スラブを例として説明する。
【0003】スラブを一定幅に連続鋳造し、プレスによ
り幅圧下して圧延工程で要求される断面寸法とすること
が行われている。幅圧下工程では、スラブをこれの長手
方向に間欠的に送り、スラブが停止した時にパスライン
の両側にそれぞれ配置したダイスによりスラブを左右か
ら圧下する。幅圧下ダイスの入、出側に搬送装置、たと
えばローラーテーブルがそれぞれ配置されている。この
搬送装置により、スラブは幅圧下ダイスに1圧下工程の
長さ分だけ間欠的に送り込まれる。
【0004】この他、幅圧下ダイスそのものに幅圧下方
向の動きと同時にスラブをこれの長手方向に送る動きを
与え、スラブは長手方向に連続的に移動しながら幅圧下
を実行する設備も実用化されている。(特開昭60−1
7054号公報参照)最近、連続鋳造鋼スラブは薄肉幅
広化の傾向にある。たとえば、従来板厚250 mm 、板
幅:800〜2000 mm 程度であったものを、板厚5
0〜100 mm 、板幅:900〜2200 mm 程度とす
る。このようなスラブを、大きな圧下量(100〜40
0 mm 程度)で幅圧下することが要望されている。薄肉
幅広のスラブを大きな圧下量で幅圧下すると、高次の座
屈が生じやすい。このために、押さえ工具や押さえロー
ルでスラブを上下より押さえた状態で、幅圧下する装置
が提案されている(たとえば、特開昭52−15122
4、特開昭56−68508、特開平2−52105参
照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記座屈防止押さえ装
置では、いずれも押さえ工具や押さえロールはスラブを
部分的に押さえている。したがって、板幅に比べて板厚
が小さなスラブを大きな圧下量で幅圧下した場合、押さ
え工具や押さえロールなどでスラブを拘束できないよう
な高次の座屈モードが発生し、有効な幅圧下ができなく
なる。
【0006】なお、連続鋳造鋼スラブを金属板の例とし
て説明したが、上記課題は連続鋳造鋼スラブと同様の寸
法の金属板にも生じるものである。
【0007】この発明は、板幅に比べて板厚が小さな金
属板を大きな圧下量で幅圧下しても、座屈を生じること
のない金属板幅圧下方法およびその設備を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の金属板幅圧下
方法は、板幅方向に相対する一対の幅圧下ダイスにより
板を板幅方向に圧下する金属板幅圧下方法において、目
標の板幅となる位置に幅圧下ダイスを設定したときに幅
圧下ダイスに供給された金属板の先端上下角部がダイス
作業面に接触すると予測される位置における押さえ板の
上下の間隔にほぼ一致する板厚にあらかじめ金属板を圧
延する。ついで金属板の幅圧下されている部分を押さえ
板で上下より押さえながら幅圧下する。
【0009】上記金属板の接触位置を決める幅圧下ダイ
スのパスライン方向における厚さの変化、およびダイス
断面形状は、あらかじめ幅圧下による金属板の変形量を
計算して、または実験により求める。
【0010】この発明の金属板幅圧下設備は、板を板幅
方向に圧下する一対の幅圧下ダイス、および各幅圧下ダ
イスを板幅方向に進退するダイス駆動装置を備えた幅圧
下装置を含む金属板幅圧下設備において、前記幅圧下装
置が金属板の幅圧下されている部分を上下より押さえる
ように上下で組となった、パスラインの両側に相対する
ように配置された2組の押さえ板を備えている。上下の
押さえ板をそれぞれ板幅方向に分割せずに、一体の押さ
え板とした幅圧下装置であってももよい。そして、これ
らの幅圧下装置の上流側に板厚調整用圧延機が配置され
ている。
【0011】押さえ板が2組の場合、押さえ板を金属板
幅方向に進退可能とし、各押さえ板を進退する駆動装置
を設けてもよい。押さえ板の前進は、幅圧下ダイスとと
もに、または幅圧下ダイスよりも先行して前進するよう
にしてもよい。また、上記2組の各押さえ板を幅圧下中
の金属板に向かって上下方向より押さえる上下組となっ
た回転可能な押さえロールを、金属板の幅方向に間隔を
おいて複数組設けてもよい。押さえロールの直径、組
数、および間隔は、金属板の寸法、幅圧下量および押さ
え板の厚さにより決められる。押さえ板および押さえロ
ールは、金属板幅圧下装置のハウジングなどに取り付け
られる。
【0012】押さえ板で幅圧下中の金属板を押さえる範
囲は、金属板の長手方向については幅圧下されている部
分の全長であることが望ましい。幅方向については、押
さえ板が進退しない装置の場合は幅圧下されている部分
のほぼ全幅、また進退する装置の場合は幅圧下後の板幅
かまたはそれ以上であることが望ましい。押さえ板の厚
さは、幅圧下中の金属板の座屈を防ぐに十分な剛性をも
った厚さでなければならない。押さえロールを設けた場
合は、押さえロールの直径および間隔に応じて押さえ板
の厚さを薄くすることができる。
【0013】
【作用】金属板が幅圧下により板面外に変形しようとす
ると、押さえ板がこの変形を押さえる。このとき、幅圧
下する金属板は所要の板厚にあらかじめ圧延されている
ので、目標の板幅となる位置に幅圧下ダイスが到達した
時点では、金属板の幅圧下されている部分は幅圧下ダイ
スと押さえ板とが形成する空間にほぼ充満する。したが
って、押さえ板は座屈を防ぐに必要な範囲を、幅圧下開
始より終了まで常に一様に押さえ、金属板の板面外の変
形を拘束する。なお、押さえ板が幅圧下ダイスとともに
前進する場合、幅圧下初期の段階では金属板の中央部分
は押さえ板で押さえられない。しかし、幅圧下初期では
圧下量は小さいので、押さえ板で押さえられていなくて
も座屈は生じない。
【0014】
【実施例】図1〜図3は、この発明の一実施例である連
続鋳造鋼スラブの幅圧下設備を示している。図1は幅圧
下設備の構成を示す概略図、図2は図1に示す設備に設
けられた幅圧下装置の主要部平面図、および図3は図2
に示す装置の正面図である。
【0015】幅圧下設備は、主としてスラブ厚調整用圧
延機1、および幅圧下装置3により構成されている。
【0016】スラブ厚調整用圧延機1は2重式圧延機で
あり、圧延機1の上流側に連続鋳造機および均熱炉(い
ずれも図示しない)が配置されている。連続鋳造機は厚
さおよび幅が一定のスラブを鋳造し、これを幅圧下設備
に供給する。
【0017】圧延機の出側に幅圧下装置3が配置されて
いる。幅圧下装置3の幅圧下ダイス5は、パスラインL
の左右に進退可能に配置されている。相対するダイス面
の間隔は出口に向かって狭まり、出口側に平行部が設け
られている。幅圧下ダイス5は、駆動装置(図示しな
い)のロッド8に連結されている。
【0018】押さえ板10は、スラブSの幅圧下されて
いる部分を上下より押さえるように幅圧下ダイス5の上
下面にそれぞれ接しており、上下で組となっている。こ
の押さえ板10の組が、パスラインLの両側に相対する
ように配置されている。押さえ板10は幅圧下ダイス5
よりスラブ幅方向に突き出ており、幅圧下ダイス5が最
大ストローク前進した状態でほぼスラブSを覆うように
なっている。また、押さえ板10のパスラインLに沿っ
た長さは、幅圧下ダイス5のパスラインLに沿った長さ
にほぼ等しい。また、押さえ板10はスラブ幅方向に幅
圧下ダイス5とともに進退可能であり、押さえ板10を
進退する駆動装置のロッド12が、押さえ板10の側面
に連結されている。押さえ板10は、幅圧下ダイス5と
ともに前進する。幅圧下によるスラブSの厚さの増加に
応じて、押さえ板10の厚さは図1に示すようにダイス
出口に向かって薄くなっている。
【0019】各押さえ板10についてそれぞれ4本の押
さえロール14が、ハウジング16に回転可能に取り付
けられている。最先端に位置する押さえロール14は、
最大ストローク前進した位置にある押さえ板10の最先
端部に接している。押さえロール14の長さは、押さえ
板10の幅よりも若干長くなっている。
【0020】上記のように構成された幅圧下設備におい
て、連続鋳造機より均熱炉を経て、厚さおよび幅が一定
のスラブSが圧延機1に供給される。圧延機1は、幅圧
下によるスラブSの変形に基づいてあらかじめ計算によ
り求めた所定のスラブ厚にスラブSを圧延する。所定の
スラブ厚は、目標のスラブ幅となる位置に幅圧下ダイス
5を設定したときに、幅圧下ダイス5に供給されたスラ
ブSの先端上下角部がダイス作業面6にそれぞれ接触す
ると予測される位置の間隔にほぼ一致する厚さである。
所定の厚さに圧延されたスラブSが、搬送ローラーテー
ブル(図示しない)によりパスラインLに沿って幅圧下
装置3に間欠的に送られてくる。スラブSが送られてい
る間は、幅圧下ダイス5および押さえ板10は左右に開
いた状態となっている。スラブSが幅圧下ダイス5の間
で停止すると、幅圧下ダイス5の間隔を徐々に狭め、ス
ラブSを幅方向に圧下する。このとき、押さえ板10も
幅圧下ダイス5とともに前進し、幅圧下中のスラブSを
上下より押さえ、スラブSの座屈を防止する。押さえロ
ール14は押さえ板10を支え、押さえ板10の変形を
防止する。また、押さえ板10の移動により、押さえ板
10どうしの間隔は狭くなり、スラブ幅が狭くなって
も、スラブSは押さえ板10により均一に保持され、座
屈は生じにくくなる。
【0021】スラブSの幅圧下が終わると、幅圧下ダイ
ス5および押さえ板10は後退され、初めの位置に戻さ
れる。そして、スラブSは次の1幅圧下工程の長さ分だ
け前進される。
【0022】図4〜図6は、この発明の幅圧下設備の他
の例を示している。図4は幅圧下設備の側面図、図5は
上記幅圧下設備に設けられた幅圧下装置の主要部平面
図、および図6は図5に示す装置の正面図である。な
お、上述の実施例と同様の装置、部材には同一の参照符
号を付け、その説明は省略する。
【0023】この実施例の幅圧下装置18では、上下の
押さえ板19はそれぞれ板幅方向に分割されておらず、
一体となっている。各押さえ板19は、幅圧下後の板幅
よりも幅広となっており、板幅方向には移動しない。ま
た、幅圧下装置18は押さえロールを備えておらず、押
さえ板19はそれ自身だけで座屈を防止するに十分な厚
みをもっている。上述の実施例と同様に、押さえ板19
は座屈を防ぐに必要な範囲を隙間なく一様に押さえ、高
次の座屈を防止する。
【0024】
【発明の効果】この発明の金属板幅圧下装置では、幅圧
下が進むに従って板幅が狭くなっても、押さえ板は座屈
を防ぐに必要な範囲を隙間なく幅圧下開始より終了まで
常に一様に押さえることができる。したがって、板幅に
比べて板厚が小さな金属板を大きな圧下量で幅圧下して
も、座屈を生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である連続鋳造鋼スラブの
幅圧下設備の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す設備に設けられた幅圧下装置の主要
部平面図である。
【図3】図2に示す装置の正面図である。
【図4】この発明の他の実施例であり、幅圧下設備の構
成を示す概略図である。
【図5】上記幅圧下設備に設けられた幅圧下装置の主要
部を示す平面図である。
【図6】図5に示す装置の正面図である。
【符号の説明】 1 スラブ厚調整用圧延機 3 幅圧下装置 5 幅圧下ダイス 6 ダイス作業面 8 駆動装置のロッド 10 押さえ板 12 駆動装置のロッド 14 押さえロール 16 ハウジング 18 幅圧下装置 19 押さえ板 L パスライン S スラブ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 15/00 B21B 1/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板幅方向に相対する一対の幅圧下ダイス
    により板を板幅方向に圧下する金属板幅圧下方法におい
    て、目標の板幅となる位置に幅圧下ダイスを設定したと
    きに幅圧下ダイスに供給された金属板の先端上下角部が
    ダイス作業面に接触すると予測される位置における押さ
    え板の上下の間隔にほぼ一致する板厚にあらかじめ金属
    板を圧延し、ついで金属板の幅圧下されている部分を押
    さえ板で上下より押さえながら幅圧下することを特徴と
    する金属板幅圧下方法。
  2. 【請求項2】 板を板幅方向に圧下する一対の幅圧下ダ
    イス、および各幅圧下ダイスを板幅方向に進退するダイ
    ス駆動装置を備えた幅圧下装置を含む金属板幅圧下設備
    において、前記幅圧下装置が金属板の幅圧下されている
    部分を上下より押さえるように上下で組となった、パス
    ラインの両側に相対するように配置された2組の押さえ
    板を備え、前記幅圧下装置の上流側に板厚調整用圧延機
    が配置されていることを特徴とする金属板幅圧下装置。
  3. 【請求項3】 各押さえ板が金属板幅方向に進退可能で
    あり、各押さえ板を進退する駆動装置を備えた請求項2
    記載の金属板幅圧下設備。
  4. 【請求項4】 各押さえ板を幅圧下中の金属板に向かっ
    て上下方向より押さえる上下組となった回転可能な押さ
    えロールが、金属板の幅方向に間隔をおいて複数組が配
    置された請求項2記載の金属板幅圧下設備。
  5. 【請求項5】 板を板幅方向に圧下する一対の幅圧下ダ
    イス、および各幅圧下ダイスを板幅方向に進退するダイ
    ス駆動装置を備えた幅圧下装置を含む金属板幅圧下設備
    において、前記幅圧下装置が金属板の幅圧下されている
    部分を上下より押さえるように上下で組となった押さえ
    板を備え、前記幅圧下装置の上流側に板厚調整用圧延機
    が配置されていることを特徴とする金属板幅圧下装置。
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