JP3177917B2 - ネイルエナメルドライヤー - Google Patents

ネイルエナメルドライヤー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ネイルエナメルドライ
ヤーに関し、更に詳細にはネイルエナメル塗布後の塗膜
表面に適用することで乾燥速度を顕著に向上させること
ができ、しかも良好な使用性を有し、エナメル塗膜表面
を保護し耐衝撃性を向上させるネイルエナメルドライヤ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】一般にネイルエナメルは、ニトロセルロ
ースなどの皮膜形成剤を主剤とし、樹脂類、可塑剤を適
宜配合し、これらと蒸発成分であるところの溶剤によっ
て均一溶解した系に、色材、ゲル化剤などを分散ないし
溶解することで構成されている。そしてネイルエナメル
の重要な要求品質のひとつに塗膜の乾燥性のよいことが
あげられ、塗布後速やかに乾燥、硬化して皮膜形成する
ことが使用上望まれている。従来、こうした乾燥速度の
調整には、ネイルエナメルの成分組成面からすれば、溶
剤成分、すなわち真溶剤、助溶剤、希釈剤を適宜選択
し、バランスをとって適度な塗膜乾燥速度を得ることが
行われてきた。またネイルエナメル塗布後、その表面に
適用し、塗膜乾燥速度を高めるのに供せられる刷毛塗り
タイプ、エアゾールタイプとしたネイルエナメルドライ
ヤーの存在も知られている。こうした製品には、マカデ
ミアナッツ油、ヒマシ油、乾性油などの常温液状の植物
油や、シリコーン油、イソパラフィンなどが一般的に用
いられ、それら成分を主要とするのが大部分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術においては、以下に記するような問題が認めら
れ、ネイルエナメルの塗膜乾燥性向上の目的にとって未
だ充分満足し得るところでなかった。即ち、前記ネイル
エナメル成分組成面から塗膜乾燥性を向上させる調整に
おいては、例えば溶剤を真溶剤のみで構成すると、他成
分の溶解性が良すぎて、表面の皮張り状態となる。また
他成分の溶解性が良すぎると、塗膜からの溶剤離れが悪
くなって、塗膜全体の乾燥、硬化が遅れることになり、
特に低沸点の真溶剤をもって乾燥速度を速めると、塗膜
にくもり、ピンホールが発生したり、筆跡が残ったりし
て、塗膜の仕上りを損なう結果になってしまう。このた
め適当量の助溶剤、希釈剤を添加すると、塗膜の仕上り
が改善され、使用性を向上させることができ、また樹脂
などの成分の溶解性をも高められるが、乾燥速度は遅く
なる。従って成分組成面から、乾燥速度をより一層向上
させるには自ずと限度があった。また前記従来公知のネ
イルエナメルドライヤーでは、ネイルエナメル塗膜表面
にむらづきして均一に塗りにくい、刷毛塗りでは塗膜に
傷をつけ易い、塗膜表面に凹凸が生じる、などの使用性
に欠点があるばかりでなく、乾燥速度の向上が期待した
ほど望めず、効果面でも不充分であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記した
事情を鑑み、ネイルエナメルの塗膜乾燥速度を向上させ
るべく鋭意検討を続けた結果、特定の高分子量シリコー
ンを油分で溶解させたものをネイルエナメル塗布後表面
に適用することで、塗膜乾燥速度を顕著に向上させるこ
とができ、しかも使用性、滑沢性が良好であることを見
い出し、また、上記油分が粘度10〜200csのシリ
コーン油である場合には、塗膜乾燥性、使用性、塗膜表
面の滑沢性などの各項目に対して更に良好な結果が得ら
れることを発見し、この知見をもって本発明を完成させ
たのである。
【0005】すなわち、本発明は、一般式1:
【0006】
【化2】
【0007】[式中、R1はメチル基またはフェニル基
(但し、R1がすべてフェニル基である場合を除
く。)、R2はメチル基または水酸基を表す。また、n
は3,000〜20,000の整数を表す。]で表され
る高分子量シリコーンの一種または二種以上と、油分と
を含有することを特徴とするネイルエナメルドライヤー
である。
【0008】本発明においては、上記一般式1で表され
る高分子量シリコーンと併用する油分としては、粘度1
0〜200csのシリコーン油が好ましい。
【0009】以下、本発明の構成について述べる。本発
明で使用する高分子量シリコーンは上記の一般式1で表
されるもので、式中のnの値は3,000〜20,00
0である。分子量でいうと、約25万〜150万程度で
あり、性状は常温で軟質ゴム状を呈している。具体的な
構造を化学名で示せば、ジメチルポリシロキサン、メチ
ルフェニルポリシロキサン、末端水酸基含有ジメチルポ
リシロキサン、末端水酸基含有メチルフェニルポリシロ
キサンなどが挙げられる。従来、重合度が3〜650の
範囲のジメチルポリシロキサンは化粧料成分として用い
られ、またネイルエナメルドライヤーの成分としても使
用された例があるが(特開昭64−16710号公報、
特開平3−81214号公報参照。)、本発明のごとき
高分子量のシリコーンをネイルエナメルドライヤーに配
合した例は全く知られていない。本発明での一般式1で
表される高分子量シリコーンの使用量は、併用する油分
にもよるが1〜30重量%の範囲で用いられる。前記範
囲を越えると塗膜乾燥性、使用性など総合的に良好な結
果が得難くなってしまうからである。また少なすぎる
と、耐衝撃性や滑沢性に欠けるようになる。
【0010】本発明の高分子量シリコーンをネイルエナ
メルドライヤーに配合する場合には、適当な油分と共に
用いられる。併用する油分としては、粘度10〜200
csのシリコーン油が好ましい。この範囲の粘度のもの
であると、ネイルエナメル塗膜表面に高分子量シリコー
ンとシリコーン油の適度な厚さの被膜が形成され、塗膜
乾燥性のみならず、塗膜表面を物理的な衝撃から保護
し、また滑沢性、その他の使用性にも極めて有効であ
る。シリコーン油が10cs未満の粘度の低いものにな
ると、滑沢性(なめらかさ、つるつる感)が低下し、耐
衝撃性なども低下傾向になるので好ましくない。また、
200csを越えた粘度の高いものでは、塗布性が悪く
なり、好ましくない。
【0011】本発明における油分を具体的に例示するな
らば、粘度10〜200csの鎖状のジメチルポリシロ
キサン,メチルフェニルポリシロキサン、環状のジメチ
ルポリシロキサンであるオクタメチルシクロテトラポリ
シロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン、イソ
パラフィンの他、従来ネイルエナメルドライヤーに用い
られている常温液状の植物油などを添加、混合して併用
することも可能である。これら植物油を例示するなら
ば、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ゴマ油、綿実油、
サフラワー油、大豆油等の乾〜不乾性油が挙げられる。
これらは必要に応じて一種または二種以上が用いられ
る。油分の配合量は70〜99重量%の範囲が好まし
い。なお、これらの成分の配合にあたっては、高分子量
シリコーンとの相容性を考慮し、均一溶解系として調製
することが大切であり、分離状態では、むらづきなど、
使用性に劣ることになるので望ましくない。
【0012】かくして得られる本発明のネイルエナメル
ドライヤーの使用は、ニトロセルロースを主要皮膜形成
剤として含む常温乾燥型皮膜形成ネイルエナメルなどを
対象とし、これを爪に塗布直後、その塗膜表面に滴下す
ることで適用される。この際、エアゾールタイプとして
スプレーすることなどで用いてもよい。このことによっ
て速やかに均一拡散して、高分子量シリコーン被膜を形
成し、塗膜を非常に短時間で乾燥、硬化させることがで
きる。その後、付着量が過剰であった場合などには、テ
ィッシュなどで軽く拭きとればよい。
【0013】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて説明す
る。なお、これらは本発明を何ら限定するものではな
い。配合量は重量%である。
【0014】実施例1〜13、比較例1〜6 表1〜表3に示す各処方によりネイルエナメルドライヤ
ーを製造した。得られたネイルエナメルドライヤーを用
いて、以下の方法で効果試験および評価を行った。その
結果を併せて表1〜表3に示す。
【0015】塗膜乾燥性および耐衝撃性(傷つきにくさ) 表4に処方を示すネイルエナメルを爪に塗布し、その後
にエナメル塗膜表面に各試料を適用して1分後に指先で
触れた時のネイルエナメルの付着のなさを評価し、更に
10分後に指先で表面に傷を作った場合の傷つきにくさ
を評価した。
【0016】使用性 表4のネイルエナメルを爪に塗布し、その後、エナメル
塗膜表面に各試料を適用することで使用性の次の項目に
ついての評価を行った。 1.べたつき感のなさ 2.光沢の良さ 3.滑沢性(つるつる感、なめらかさ) これらの結果を次の評価基準で表し、表1〜表3に示し
た。 (評価基準) ◎:非常に良好 ○:良好 ×:悪い
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】表1〜表3のように、実施例1〜13のネ
イルエナメルドライヤーを用いた場合には、ネイルエナ
メルの塗膜を短時間で乾燥、硬化させることができ、さ
らにべたつき感もなく、つや、滑沢性および耐衝撃性に
優れており、非常に有効であることが明らかになった。
これに対し比較例1および市販品である比較例2〜6
の、高分子量シリコーンを用いない場合およびn=30
00〜20000の範囲を外れたものを用いた場合に
は、ネイルエナメル塗膜の乾燥性は低下する傾向にある
と共に、べたつき感、滑沢性なども劣る傾向にあった。
また、耐衝撃性については無塗布のものとほとんど差が
見られず、効果は認められなかった。
【0022】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のネイルエナ
メルドライヤーはネイルエナメルの塗膜乾燥速度を顕著
に向上させることができ、しかも良好な使用性とエナメ
ル塗膜を物理的衝撃から保護する機能を有するものであ
る。即ち、本発明のネイルエナメルドライヤーは、少量
で、且つ短時間でネイルエナメル塗膜を乾燥、硬化させ
ることができるものである。また使用上、この高分子量
シリコーンは表面張力が低いことから、塗膜に滴下する
ことによって速やかに拡散して均一なシリコーン被膜を
形成し、塗膜乾燥を効果的に発揮できるため、刷毛塗り
などの手間を要せず、傷つける心配もないので簡便且つ
便利なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小岩 一穂 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社資生堂第1リサーチセンター内 (56)参考文献 特開 平3−81214(JP,A) 特開 昭64−16710(JP,A) 特開 平2−132141(JP,A) 特開 昭55−139316(JP,A) 特開 平3−157317(JP,A) 特開 昭63−183516(JP,A) 特開 昭63−183515(JP,A) 特開 平4−45154(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/04 - 7/047

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 [式中、R1はメチル基またはフェニル基(但し、R1
    すべてフェニル基である場合を除く。)、R2はメチル
    基または水酸基を表す。また、nは3,000〜20,
    000の整数を表す。]で表される高分子量シリコーン
    の一種または二種以上と、油分とを含有することを特徴
    とするネイルエナメルドライヤー。
  2. 【請求項2】 油分が粘度10〜200csのシリコー
    ン油である請求項1記載のネイルエナメルドライヤー。
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