JP3176967B2 - 1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノン類の製造方法 - Google Patents

1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノン類の製造方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、農薬をはじめ各
種有機ファインケミカルの合成中間体である1−(4−
ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノン
類(以下、PHETと略す)の新規合成法に関する。
【0002】
【化1】
【0003】(式中、R1、R2、R3、R4は水素、ヒド
ロキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、またはアルコ
キシル基から選ばれた一種以上の原子団を表わす)
【0004】
【従来の技術】PHETはフェノール性水酸基のパラ位
に種々の変換が可能なヒドロキシメチルカルボニル基を
有するが、その構造的特徴の為か合成法はほとんど知ら
れていない。わずかにアニソールを原料としてクロロア
セチルクロライドと縮合させた後に、メトキシ基の加水
分解、クロロメチル基のアセトキシ化、引続き加水分解
による合成が報告されているが、多段階反応でありかつ
収率も低い{A.Robertson et al,
J.C.S.,1460,(1928)}。
【0005】また、その他ベンゼン環の側鎖にヒドロキ
シメチルカルボニル基を導入する方法について見ても、
(1)アセトフェノン誘導体を臭素化→DMSO酸化に
よりヒドロキシ基を導入する方法{J.A.Donne
lly et.al,Tetrahedron,29
3979,(1973)}(2)レゾルシンとアセトキ
シアセトニトリルを縮合させた後にアセトキシ基を加水
分解する方法{R.Robinson et.al,
J.C.S.,370,(1933)}が知られている
だけであり、かつ(1)、(2)いずれの方法も多段階
反応で収率が低い。
【0006】一方、塩基性物質存在下での縮合反応に関
しては、エチルグリニャール反応剤を使用し、ベンゼン
還流下、無水条件下で縮合させることにより、1−(2
−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノ
ン(OHET)が生成することが報告されているが
{G.Gasiraghi et.al,Synthe
sis,186,(1975)}、この方法では(1)
PHETは生成せず、(2)高価なグリニャール反応剤
を使用し、(3)無水条件という制限下で反応させ、
(4)かつ収率が低いという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような実情の下
に、本発明が解決しようとする課題は、有機合成上有用
なヒドロキシメチルカルボニル基を側鎖にもつPHET
を安価にかつ簡便に合成する為の手段を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる問題
点を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、フェノール類
とグリオキザールとを塩基性物質存在下に縮合させるこ
とにより1段で、かつ簡便にPHETを合成できること
を発見し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明はフェノール類とグリオ
キザールとを塩基性物質存在下で縮合させることを特徴
とする1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキ
シ−1−エタノン類の製造方法を要旨とするものであ
る。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】上記のように本発明のPHETの製造方法
には原料として安価なフェノール類とグリオキザールを
使用することができる。
【0012】本発明に使用するグリオキザールは、通常
40%程度までの水溶液中で市販されているが、これを
そのまま使用しても良いし、希釈ないし濃縮して使用し
てもかまわない。また、グリオキザール三量体二水塩
や、グリオキザール亜硫酸水素ナトリウム塩等無水のグ
リオキザールの固体もしくはグリオキザール蒸気を反応
液中に吹き込む形で使用しても良い。
【0013】本発明に使用するフェノール類としては、
無置換のフェノールが好ましく適用できるが、その他パ
ラ位が置換されていない同族体も本発明に適用可能であ
る。すなわち、一般式
【0014】
【化2】
【0015】ここでR1、R2、R3、R4は水素、ヒドロ
キシル基、炭素数1〜4の低級アルキル基、アルコキシ
ル基から選ばれた一種以上の原子団で示されるフェノー
ル性物質が本発明に適用可能である。
【0016】又、本発明に使用する塩基性物質として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化カルシウム、水酸化ストメンチウム、水
酸化バリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水
酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等の炭酸塩類、炭酸
水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム
等の炭酸水素塩類、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸
化カリウム、酸化ルビシウム、酸化セシウム、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化
バリウム、酸化銀(I)、酸化クロム(II)、(II
I)、酸化マンガン(II)、酸化鉄(II)、(III)、酸
化ビスマス(III)等の塩基性酸化物、アルミン酸ナト
リウム、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸バリウム
等のアルミン酸塩類、オルトケイ酸ナトリウム等のケイ
酸塩類、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等
のピロリン酸塩類、モリブデン酸ナトリウム、モリブデ
ン酸カリウム等のモリブデン酸塩類、リン酸カリウム、
リン酸ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素
二ナトリウム等のリン酸塩類、シアン化ナトリウム、シ
アン化カリウム等の青酸塩類、水酸化ジルコニル、K−
Y等の塩基性ゼオライト、ハイドロタルサイト等固体表
面に塩基点をもつ固体塩基化合物、ナトリウムメトキシ
ド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド等の
アルカリ金属のアルコラート類、トリエチルアミン、ト
リプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジ
ン、ピリミジン、トリアジン、ルチジン、イミダゾー
ル、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N,N−テト
ラメチルエチレンジアミン、1,8−ジアゾビシクロ
{5´4´0´}ウンデック−7−エン(DBU)、ア
ニリン、ピロール、ピペリジン、インドール、エチルア
ミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、オクチルア
ミン、2,6−ジエチルアニリン、ヘキサメチレンジア
ミン、オクタメチレンジアミン、ジメチルホルムアミド
(DMF)、ヘキサメチルホスホリックポリアミド(H
MPA)、テトラシアノエチレン、アセトニトリル等の
含窒素化合物等があげられる。
【0017】すでに述べたように、本発明の要旨は、フ
ェノール類とグリオキザールとを塩基物質存在下に縮合
させてPHETを合成することにある。
【0018】通常、反応はフェノール類とグリオキザー
ルと塩基性物質とを同一反応容器内に仕込み、窒素もし
くはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下、所定の温度、所
定の反応時間撹拌することによって実施される。
【0019】仕込方法については三成分(または四成
分)を一括して仕込んでもまた、一種もしくは二種類の
成分を先に仕込んでおき、後で残りの成分を加えてもか
まわない。
【0020】反応は通常、常圧で実施されるが、若干加
圧ないし、減圧状態にしても差し仕えない。
【0021】塩基性物質を使用する本発明においては、
反応系中の水に関する制限は特になく、水溶液中であっ
てもまた、無水条件下であっても構わない。
【0022】次に反応条件について記す。
【0023】フェノール類とグリオキザールの仕込量は
100/1〜1/1、好ましくは10/1〜1/1が良
い。フェノールの量が多すぎるとOHETもしくは2次
反応生成物等の副生成物が増加し、少なすぎるとグリオ
キザールの自己縮合または自己分解反応が併発して好ま
しくない。グリオキザールに対する塩基性物質の仕込量
は塩基性物質の種類によっても相違するが、100/1
〜0.001/1、好ましくは1/1〜0.1/1程度
が適当である。反応は通常水溶液中で実施されるが、無
水または少量の水の存在下でも良く、また、メチノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、THF等の
不活性有機溶媒中であっても差しつかえない。反応温度
は0〜150℃、好ましくは25〜65℃が適当であ
る。反応温度が高すぎるとグリオキザールの分解反応、
自己縮合反応または生成物の2次反応が多発し、低すぎ
ると反応速度が低下する。反応時間は特に制限はない
が、通常0.5〜8時間程度である。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施
例に制約されるものではない。
【0025】実施例1 温度計、適下ロート、ジムロート冷却管、pHメーター
を備え付けた200mlの丸底フラスコにフェノール3
7.48g(398mmol)と水18.53gを仕込
み、反応容器内を窒素置換した。33℃で25%水酸化
ナトリウム水溶液2.08g(13mmol)を適下し
て反応液中のpHを9.0に調節した後、40%グリオ
キザール水溶液14.43g(100mmol)を2時
間かけてゆっくりと適下し、その後6時間同温度で撹拌
し、計8時間反応させた。反応中、反応の進行に伴なっ
てpHが低下するのを防ぐ為、25%水酸化ナトリウム
水溶液を加え、pH=9.0に維持した。反応終了時ま
での25%水酸化ナトリウム水溶液の滴下量は7.40
g(46.3mmol)であった。反応液を液体クロマ
トグラフィー(MCI Gel,ODS−1MU,Me
OH/H2O/酢酸/n−オクチルアミン=30/70
/0.7/0.5)で分析すると、フェノール367m
mol、PHET25.2mmolを含有していた。仕
込グリオキザール基準のフェノール転化率は46.8
%、PHETの収率は25.2%であった。PHETは
下記の常法により単離した。すなわち、反応液を水で希
釈後、濃塩酸を加えてpH=7に調整し、酢酸エチルで
未反応のフェノールを抽出した。水層に濃塩酸を加えて
pH=2〜4に調整した後、水を減圧下留去した。残余
の固体をエタノールで洗浄、抽出した。エタノールを減
圧下留去し、得られた液体をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)にか
けて分離し、溶媒を留去してPHETの結晶を単離し
た。
【0026】実施例2 温度計、適下ロート、ジムロート冷却管を備え付けた1
00mlの4つ口フラスコにフェノール4.71g(5
0.0mmol)、水酸化ナトリウム2.00g(5
0.0mmol)、H2O40mlを仕込み、反応容器
内を窒素置換した。33℃で適下ロートより40%グリ
オキザール水溶液7.26g(50.0mmol)を3
0分かけて滴下した後、同温度で3時間30min撹拌
し、計4時間反応させた。反応液を液体クロマトグラフ
ィーで分析すると、フェノール45.85mmol、P
HET3.25mmolを含有していた。仕込グリオキ
ザール基準のフェノール転化率は8.3%、PHETの
収率は6.5%であった。
【0027】実施例3〜8 実施例2と同じ方法で、塩基性物質の種類を変えて実施
した結果を前記の実施例2の結果も含め、表1に示し
た。
【0028】(共通反応条件) フェノール/グリオキザール/塩基性物質(モル比)=
1/1/1 33℃,4hr.(グリオキザール適下時間0.5hr
を含む)
【0029】
【表1】
【0030】*1 Ba(OH)2:フェノール/グ
リオキザール/Ba(OH)2=1/1/0.5(モル) *2 ZrO(OH)2:ZrO(OH)2/フェノール=1/1
0(重量) グリオキザール/フェノール=1/1(モル) 実施例9 温度計、適下ロート、ジムロート冷却管を備え付けた2
00mlの4つ口ラスコにフェノール47.24g(5
02mmol)、とn−トリブチルアミン6.95g
(37.5mmol)とを仕込んだ。反応容器内を窒素
置換した後33℃で適下ロートより40%グリオキザー
ル水溶液7.255g(50.0mmol)を1時間か
けてゆっくりと適下した。その後、同温度で3時間撹拌
し、計4時間反応させた。反応液を液体クロマトグラフ
ィーで分析すると、反応液はPHET14.40mmo
l、OHET6.15mmolを含んでいた。仕込グリ
オキザール基準のPHET収率は28.8%であった。
【0031】実施例10〜14 実施例9と同じ方法で塩基の種類と量をかえて反応を実
施した結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明は、PHETを一段の反応で収率
よく製造することを可能とするもので、多大な工業的利
益を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 49/84 C07C 49/84 E // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 山形 尚子 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−178783(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 49/82 C07B 61/00 300

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類とグリオキザールとを塩基
    性物質存在下で縮合させることを特徴とする1−(4−
    ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−1−エタノン
    類の製造方法。
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