JP3174071U - 磁性体材コア及びそれを使用したノイズ減衰器 - Google Patents

磁性体材コア及びそれを使用したノイズ減衰器 Download PDF

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Abstract

【課題】筒状磁性体材コアの長さを変更させずに電源線電流或いは信号電流等による磁気飽和を緩和することで、医療機器やコンピュータ制御精密電子装置などに影響を及ぼすノイズ電磁波障害を低減・除去するノイズ減衰器とそれに使用される磁性体材コアを提供する。
【解決手段】磁性体材からなる磁性体材コアにおいて、その開口径に比して長さ方向が長尺であって、内部に導体線を挿通する中空孔を有する筒状の磁性体材コア2を有し、前記筒状磁性体材コアの周側面に様々な形状の1個或いは複数個の切り込み部5等を設ける。前記筒状磁性体材コアの周側面に設けた切り込み部の大きさ、形状等を変更することにより、前記筒状磁性体材コアの実効透磁率を調整し、かつ磁気飽和現象を緩和する。
【選択図】図1

Description

本考案は、医療機器やコンピュータ制御精密電子装置などに影響を及ぼすノイズ電磁波障害を低減、除去するノイズ減衰器とそれに使用される磁性体材コアに関する。
近年、医療機器やコンピュータ制御精密電子装置などの誤動作、電気自動車やハイブリッドの自動車における運転者の意図しない急加速などが問題視されている。これらの問題は、医療機器やコンピュータ制御精密電子装置などが設置されている環境におけるノイズ電磁波の存在が根幹にある問題と考えられる。
現在、電磁波によるノイズ障害問題は、医療機器やコンピュータ制御精密電子装置などにおいて対処すべき重要な障害問題となっているため、多種多様のノイズ対策品が提案されている。
現在提案されているノイズフィルタの一例が特許文献1に開示されている。前記特許文献1に開示されているノイズフィルタは電源線用ノーマルモードノイズフィルタであり、筒状磁性体材コアが使用されるとともに、この筒状磁性体材コアに2次巻き線となる導体巻き線が施され、その巻き線の両端が直結された電気的短絡形態での使用が示されている。電源線電流等の信号電流に重畳するノイズ電流については、前記特許文献1でも課題にされているように、筒状磁性体材コアの磁気飽和問題がノイズ周波電流の低減化に大きな技術的障壁となっている。
特開2003−318031号公報
前記特許文献1では、電源線用ノイズフィルタにおける使用磁性体材の磁気飽和緩和技術につき、次のように述べられている。まず、磁性体材コアを貫通している電源線に供給される電流により、その磁性体材コアの内部に電流値に対応した磁界が発生し、磁性体材コア内の磁界と透磁率の関数で表現される磁束が発生する。そして、前記磁性体材コアに巻かれた導体巻き線には磁性体材コアに発生した磁束の変化を打ち消す方向に電流が流れる。この導体巻き線に流れる電流によっても磁束が発生し、電源線電流によって発生した磁性体材コア内の磁束が打ち消される。これにより、磁性体材コア内の磁気飽和を抑制し、磁気飽和を防止することができると説明されている。
しかし、前記文献1では、導体巻き線には、電源線電流により磁性体材コア内に発生した磁束の変化を打ち消す方向に電流が流れると、レンツの法則を正確に表現しているにも関わらず、電源線電流によって発生する磁性体材コア内の磁束が、巻き線の誘導電流による磁束によって打ち消されるという誤りが述べられている。前記導体巻き線に流れる誘導電流については(電気回路(1) 専修高校教科書シリーズ1 コロナ社)、レンツの法則で磁性体材コア内に発生した磁束の変化、変化を妨げる電流が流れると述べられているのであって、磁束そのものを打ち消す電流が流れるなどとは示されていないのである。
つまり、導体巻き線に流れる電流は電源線電流によって発生する磁束Φの時間的変化を妨げようとする誘導電流、
Figure 0003174071
に比例する電流が流れると述べられているのであって、例えば、前記電源線電流が正弦波形電流の場合、その発生磁束Φの時間的変化による誘導電流の前記電源線電流との位相差はπ(180°)ではなくπ/2なのである。このことはフェライトリングコアなどに2つの導体巻き線を施し、一方の導体巻き線に商用周波電流を流し、他方の閉じた導体巻き線回路の電流をクランプ型電流計とオシロスコープによって波形観測すれば容易に確認できる。
従って、特許文献1の回路はいわゆる変成器における一次巻線電流による磁性体コア内の磁束を二次巻線の誘導電流によって打ち消すことが出来るという誤った技術的解釈に起因する提案であって、この提案による磁性体材コアの磁気飽和の緩和は実現不可能なのである。
〔考案の目的〕
本考案の目的は、前記技術的課題である電源線電流或いは信号線電流による磁性体材の磁気飽和を緩和させることを可能とした磁性体材コア及びそれを使用したノイズ減衰器を提供することにある。
現在市販されているフェライト材等のビーズ型ノイズ対策品も信号導体線を挿通して使用する形態であり、磁性体材コアは電源周波などの数kHz以下の周波数領域では磁性体損失が小さく、高周波ノイズ周波領域での磁性体損失が大なるよう意図されて作られている。しかし、電源周波および使用信号周波域での磁性体損失を小さく、かつ所望低減化対象ノイズ周波領域での磁性体損失を大とする磁性体材を容易に製作することは難しく、ために数百kHzから数MHzのノイズ周波数領域での所望ノイズ低減効果を得るのを困難にしている。
また、フェライトやアモーファスなどの磁性体材リングコアにギャップを設けることにより、磁気抵抗を増加させ、ギャップの無いときより、そこに施された巻き線電流による磁性体材コアの磁気飽和現象を緩和する技術は従来から広く知られているところである。
本考案では、電源線電流等の信号電流による磁性体材コアの磁気飽和を緩和する手段として、筒状磁性体材コアの周側面に切り込み部を設けて磁性体材コアの磁気抵抗を調整することにより、その磁気飽和を緩和する手段を採用している。この場合、前記筒状磁性体材コアの周側面に切り込み部を設けることは、磁性体材の実効透磁率を低下させるため、ノイズ周波帯域における低周波域での低減効果を損なうことは避けられないが、磁気飽和によって全てのノイズ障害低減、除去効果を消滅させることは避けられる。
さらに、本考案による磁性体材コアを用いたノイズ減衰器は、その一実施形態である図1で筒状磁性体材コア2の磁性体材としてフェライト等の磁性体材を用いている。しかし、市販ノイズ対策品磁性体材とは異なり、本考案では主に全周波数領域にわたり低磁性体損失特性を呈する磁性体材コアを用いる。そして、筒状磁性体材コア2の周側面には1つまたは複数個の切り込み部(例えば孔5)が設けられている。前記切り込み部を有する筒状磁性体材コアにおける前記切り込み部の存在は、それが無い場合の中空孔2aに挿通された導体線1に対し、その呈するインダクタンス値を低下させ、ためにノイズ周波電力の低減機能を低下させる。しかし、一方では前記挿通導体線1の電流による磁気飽和電流値を増大させる効果を生じる。このときの前記インダクタンス値と磁気飽和電流値は、周側面に設けた切り込み部(例えば孔5)の大きさ、形状、配置および数によって決定される。
本考案によれば、磁性体材コアにおいて、挿通使用する導体線の電源線電流或いは信号電流による磁気飽和を防ぐという技術的課題を克服することができる。つまり、例えばフェライト等の焼結加工材で機械加工困難な筒状磁性体材コアにあっても、その焼結加工用型材によって筒状磁性体材コアの周側面に切り込み部が形成されるべくなされ、これにより、筒状磁性体材コアの実効透磁率を調整することで、電源線電流或いは信号電流による磁気飽和を緩和できるという効果が生まれている。また、本考案の適用はパーマロイ等の金属磁性体材で機械加工可能な筒状磁性体材に切り込み部を設け、これにより、実効透磁率を調整しながら、使用電流による磁性体の磁気飽和を緩和する目的にも効果的である。
(a)は、本考案の実施形態に係るノイズ減衰器を示す斜視図、(b)は同縦断面図である。 (a)は、本考案の実施形態に係るノイズ減衰器に導体線を挿通してノイズ障害低減を行う際の状態を説明する回路図、(b)は(a)のノイズ減衰器部分を拡大して説明に供する構造図であり、図1の(b)と重複呈示してある。 (a),(b)は本考案による周側面に切り込み部(例えば孔)を設けた筒状磁性体材コアを示す斜視図である。 本考案による周側面に切り込み部(例えば孔)を有する筒状磁性体材コアの切り込み部(例えば孔)に生じる漏洩磁束を示す斜視図である。 (a)は筒状磁性体材コアの周側面に設けた切り込み部(凹部)で内側に貫通していない状態を示す断面図、(b)は(a)の凹部を帯状の溝としたものを示す斜視図である。 周側面に切り込み部を有する筒状磁性体材コアを半割としたものを示す斜視図である。
以下、本考案を実施するための最良形態を図に基づいて詳細に説明する。
本考案による磁性体材コアは、その一つの応用例として電子装置における電磁波ノイズ障害を低減、除去を目的とするノイズ減衰器に用いる。ノイズ減衰器とは図1(a),(b)に示すような装置であり、電源線或いは信号線などの導体線1を中空孔2aに挿通して使用され、前記筒状磁性体材コアの本体部を構成する筒状磁性体材コア(筒状コア体)2と、前記筒状磁性体材コア2の中空孔2aを通して巻き付けられた1つまたは複数個の巻線3と、巻線3に接続された純抵抗を含むインピーダンス回路素子4とを有するノイズ減衰器のことである。
本考案の一実施形態では前記ノイズ減衰器において、図3に示すように筒状磁性体材コア2の周側面に1つ或いは複数個の切り込み部としての小孔5を設けることにより、磁性体材(筒状磁性体材コア)の実効透磁率を調整している。このような筒状磁性体材コア2の周側面に小孔5を設けた筒状磁性体材コア2には種々の実施形態が考えられるが、ここでは最良の実施形態として、前記ノイズ減衰器における実施形態によって説明を行うこととする。
なお、前記筒状磁性体材コア2は図1に示したような円筒形状に限られるものではなく、その他の筒形状であってもよいし、図6に示すようなその半割形状であってもよい。要は、前記筒状磁性体材コア2は、その開口径に比して長さ方向が長尺の筒状形状であればよく、内部に前記導体線1を貫通させる中空孔2aが形成されていればよい。図6に示す半割形状の場合には、その何れか一方或いは両方に例えば小孔5等の切り込み部を形成すると共に、半割形状の筒状磁性体材コアの何れか一方或いは両方に前記巻き線3と前記インピーダンス回路素子4を設ければよい。
巻線回路Pを形成する巻線3のインピーダンス回路素子4は、図1(a)(b)では単に純抵抗だけで示されているが、抵抗の他にコンデンサやインダクターを含む周波数応答特性をもつインピーダンス素子であっても良い。また、図1では1本の巻線3からなる巻線回路Pのみを示してあるが、複数個の巻線3とインピーダンス回路素子4を含む巻線回路Pを備えてもよい。ここでは、本考案の最良の実施形態であるノイズ減衰器におけるノイズ電磁波電力の低減機能を明確にするために、1本の巻き線3からなる巻線回路Pとインピーダンス回路素子としての純抵抗4のみでその作用効果ついて述べることとする。
本考案では図1に示すように、前記筒状磁性体材コア2の周側面に1つ或いは複数個の様々な形状と大きさの切り込み部である小孔5を設け、前記筒状磁性体材コア2の中空孔2aに挿通した導体線1に対してのインダクタンス値と飽和電流値の調整を可能にしている。つまり、小孔5の大きさ、形状、配置および数を自由に設定することにより、筒状磁性体材コア2の磁気抵抗を調整し、かつ抵抗4の値および巻線3の巻線数Nを適宜選ぶことにより、電源線電流或いは信号電流に重畳するノイズ電流の低減とその有効ノイズ周波数領域の下限値を調整することが可能となっている。なお、本考案における筒状磁性体材コア2の磁性体材として、フェライト材以外の磁性体材を適用してもよいことは言うまでもない。また、図1(a)に示す巻線回路Pの巻線3は、挿通される導体線1とは電気的に絶縁されていることが必要である。
以上、本考案の一実施形態に係るノイズ減衰器は、前記筒状磁性体材コア2の中空孔2aに挿通させた電源線や信号線などの導体線1に流れる電源周波電流(電源線電流)或いは信号周波電流(信号電流)による磁気飽和を緩和するとともに、そこに重畳するノイズ周波電流(ノイズ電流)を前記巻線3に配されたインピーダンス素子回路素子である抵抗4で電力消費し、電磁波ノイズ障害を生じている医療機器やコンピュータ制御精密電子装置のノイズ障害を低減、除去しようとするものである。
次に、本考案に係るノイズ減衰器のノイズ障害低減、除去機能を説明するに、図2(a)に示す回路構成モデルによって行うこととする。
図2(a)において、電源線或いは信号線等の導体線1の電源線電流或いは信号電流等に重畳しているノイズ電流Iは、導体線1が線状アンテナとして作動した結果流れているいわゆるコモンモード電流ではあるが、図ではその受信電圧をノイズ電圧源Eとした一般電気回路で示してある。また、図2(a)で、コモンモードノイズ電流Iを一般電気回路におけるノーマルモード電流の形態で示してあるが、これは後述する等価ノイズ負荷抵抗Rを想定し、設定することで、一般電気回路モデルとしての検討を可能とする為である。
つまり、ノイズ電流がコモンモード電流であれ、ノーマルモード電流であれ、前記医療機器やコンピュータ制御精密装置にノイズ障害を生じる際には必ずノイズ電力の消費を伴うものと考え、等価ノイズ負荷抵抗RLという概念を導入することでその消費電力量をI とした電気回路モデルによる技術的検討が可能となる。
上述した様に、本考案の一実施形態では、導体線1に重畳したノイズ電流Iの一部を巻線3の巻線回路P内の抵抗(インピーダンス回路素子)4によって電力消費し、等価ノイズ負荷抵抗Rにおける障害ノイズ電力I を低減し、前記医療機器やコンピュータ制御精密装置におけるノイズ障害の低減、除去を図っている。
本考案者は、前記筒状磁性体材コア2の中空孔2aに挿通した導体線1に対して筒状磁性体材コア2の呈するインダクタンスLと、前記巻線3が呈するインダクタンスLとの関係をL,C,Rメータに依って実測し、巻線3の巻線数Nとすると、
≒N (1)
の関係が成立していることを確認した。
この関係を用いて、電気回路理論による等価ノイズ負荷抵抗Rでのノイズ消費電力PRLの低減効果について説明する。ノイズ電力PRLは、ノイズ電流Iによって電子機器にノイズ障害を与える電力であり、ノイズ障害に費やされる電力である。
前記電力PRLは、式(2)、(3)に示す連立微分方程式で、ノイズ源電圧がe=Eejωt、ノイズ電流がi=Ijωt,巻線3に電磁誘導されて流れるノイズ電流がi=Ijωtとおいて、式(4)、(5)から、式(8)の形で得られる。ここに、Iは導体線1に重畳するノイズ電流、Iは巻線3に電磁誘導されて流れるノイズ電流である。Lは前述のように筒状磁性体材コア2に挿通した導体線1に対してコア2が呈するインダクタンス、Lは前記巻線3が呈するインダクタンス、Rは前記等価ノイズ負荷の抵抗値、Rは巻線3に接続したインピーダンス回路素子である抵抗4の抵抗値である。

Figure 0003174071
(2)
Figure 0003174071
(3)

式(2)(3)の連立微分方程式の解は、
Figure 0003174071
(4)

Figure 0003174071
(5)
となる。

Figure 0003174071
とおけば(ここではM≧0とする)、
Figure 0003174071
(6)

Figure 0003174071
(7)

(1)式のL≒Nの関係と式(6)、(7)から、
Figure 0003174071
(8)

Figure 0003174071
(9)

が得られる、PRLは等価ノイズ負荷抵抗Rで消費されるノイズ電力、PR1は巻線3の抵抗4で消費されるノイズ電力である。式(8)(9)において、ωはノイズ電圧,電流の角周波数である。
本考案の実施形態に係るノイズ減衰器を用いない場合に等価ノイズ負荷抵抗Rで消費されるノイズ電力は、E/Rである。
これに対して、本考案の実施形態に係るノイズ減衰器を用いた場合、ノイズ電流Iの一部を巻線3に電磁誘導させて巻線3の抵抗4で電力消費しつつ、一部のノイズ電力は再放射される。式(8)で、
Figure 0003174071
(10)

とおけば、式(10)に示すαは明らかに1より小さくなるから、本考案によるノイズ減衰器を用いないときの等価ノイズ負荷抵抗Rで消費されるノイズ電力のE/Rより小となり、ノイズ障害を低減、除去する機能を持つことが示されている。そして、そのノイズ電力の一部が巻線3側の抵抗4により式(9)に示す電力PR1として消費されていることを示している。
以上の様に、本考案に係るノイズ減衰器を用いることで、等価ノイズ負荷抵抗Rでノイズ障害を生じるのに消費する電力PRLを低減することでノイズ障害低減、除去効果が期待できる。
また、ノイズ減衰器の巻線3の抵抗4で消費されるノイズ電力PR1を表す式(9)で
Figure 0003174071
(11)

と置けば、式(10)、(11)のNとRの値を選ぶことで、種々のα、βを得ることができるから、ノイズ対策現場における環境電磁波ノイズの低減を図りながらのノイズ障害低減、除去作業が可能となる。
上述した様に、前記筒状磁性体材コア2の中空孔2aに挿通した導体線1に対して筒状磁性体材コア2が呈するインダクタンスLと、前記巻線3が呈するインダクタンスLと、前記巻線3の巻線数Nとを前記式(1)に示す関係から、この条件下で巻線3の巻線数Nと抵抗4の抵抗値Rを選ぶことにより、種々のα,βを得ることでき、適宜αとβの値を選ぶことで電磁環境の浄化と共にノイズ障害の低減を図ることができる。
また、式(8)〜(11)が示すように巻線3の巻数Nが固定された状態で等価ノイズ負荷抵抗Rの抵抗値が変われば、巻線3に接続した抵抗4の抵抗値Rを可変抵抗器として、その電磁環境下でのノイズ障害に対処すれば良い。つまり、電磁波ノイズ障害下にある電子装置において、ノイズ障害を低減、除去し、かつその設置現場おける電磁環境の改善に供する最適なN,Rの値を選定できることとなる。但し、Rの値はノイズ障害を受けている電子装置における特有の値と考えられ、直接計測可能な値ではなく、クランプ型オシロスコープ電流計などによる導体線1のノイズ周波電流計測値から推定する値である。
ところで、従来のノイズ対策品として良く知られているフェライトビーズ等の高周波高損失磁性体材における焼結加工材で、筒形状のものは、焼結成形加工後の長さLと筒径および肉厚寸法が異なるべく複数個の金型を用意することで、所望ノイズ低減特性が得られるようになっているが、本考案においては、前記筒状磁性体材コア2の周側面に設けた例えば孔5などの切り込み部の大きさ、位置および数を自在に設けるべく前記金型を製作することにより、同一長さの筒状磁性体材コア2でインダクタンスの値Lを変化させ、所望のノイズ低減特性を得ることが可能となっている。
つまり、従来技術によるノイズ対策品の場合、長さの異なる複数種の筒状磁性体材コア2を用意する必要があり、そのための複数種の金型を用意しなければならず、それに伴って製造コストも嵩むことになり、一方、本考案によれば、金型を工夫し、前記筒状磁性体材コアの周側面に例えば孔などの切り込み部を設けることにより、それぞれの長さでのインダクタンス値Lを変化させる効果によって数少ない金型により、所望のノイズ障害低減、除去が得られ、製造コストを抑えることができる。
本考案の実施形態に係るノイズ減衰器においても、筒状磁性体材コア2の周側面に切り込み部(例えば小孔5)を設けることにより、同様に筒状磁性体材コア2の中空孔2aに挿通した導体線1の電流によるコア2の磁気抵抗を増大させ、磁気飽和現象を緩和する効果が生じる。この場合、筒形状故に切り込み部(例えば小孔5)は様々な大きさ、形状、位置、数が選択可能となる利点が生じる一方で、当然のことながら、切り込み部(例えば小孔5)の存在は前記インダクタンス値Lの低下につながり、所望ノイズ低減周波領域を押し上げることとなる。しかし、例えば孔等の切り込み部の大きさ、形状、位置および数を調整することで、筒状磁性体材コア2の磁気抵抗を自在に変えることができるから、磁気飽和電流値を調整する効果は大きく、電源線電流或いは信号線電流の大きな電流に重畳しているノイズ電流を低減しようとする際には、例えば小孔5等の切り込み部を有する筒状磁性体材コア2の採用が有利となる。
次に、前記筒状磁性体材コア2の周側面における切り込み部の形状について述べる。
本考案によって成る筒状磁性体材コア2の周側面に設ける切り込み部は図3(a)(b)及び図4に示すように、その一例として前記筒状磁性材コア2を貫通した小孔5として形成している。図3(a)(b)に示す前記小孔5は円形形状に開口しており、図4に示す前記小孔5は矩形形状に開口している。前記切り込み部としての前記小孔5は、図3(a)(b)及び図4に示すような矩形、円形等様々な形状が採られ、その大きさ、形状、位置およびその数によって前記筒状磁性体材コア2の磁気抵抗の大きさが変わるため、前記インダクタンス値Lも変わり、その磁気飽和電流値も異なってくる。
前記筒状磁性体材コア2の周側面に設ける切り込み部として、図3及び図4に示すような筒状磁性体材コア2を貫通する小孔5として形成したが、これに限られるものではない。前記筒状磁性体材コア2の周側面に設ける切り込み部としては図5(a)に示すように、筒状磁性体材コア2の表面から一定の深さまで穿って底部5aを残した凹部5´の形状に形成してもよく、また、図5(b)に示すように凹部5´のかわりに筒状磁性体材コア2の円周方向に沿って溝5´´をリング状或いはスパイラル状に形成してもよい。
加言するに、本考案の実施形態を示す図1および図2の巻線3については、前記(8)式〜(11)式に示されたように、実用化に際してはN回巻きとなる。
また、本考案によって成るノイズ減衰器は、従来技術によるフェライト等の高周波域磁性損失材ノイズ対策品に見られるごとく、筒状磁性体材コア2を図6に示すような半割に成形し、その半割の筒状磁性体コア2で導体線1を挟み込む形での使用形態が実用的であることは言うまでもない。
さらに実用上の形態につき付言すると、以上述べてきた筒状磁性体材コア2の周面に配された切り込み部5,5´,5´´に、エポキシ樹脂,シリコン樹脂等の非磁性体樹脂材を充填して、筒状磁性体材コア2の強度を補強した使用形態であることが望ましく、この場合、使用する充填非磁性樹脂剤の体膨張率には留意する必要がある。
以上説明したように、本考案の実施形態によれば、筒状磁性体材コアの長さを変更させずに電源線電流或いは信号電流等による磁気飽和を緩和するという技術的課題を克服することができる。つまり、例えばフェライト等の焼結加工材で機械加工困難な筒状磁性体材コアにあっても、その焼結加工用型材によって筒状磁性体材コアの周側面に切り込み部が形成されるべくなされ、筒状磁性体材コアの長さを変更させずに筒状磁性体材コアの実効透磁率を調整することで、電源線電流或いは信号電流による磁気飽和を緩和できるという効果が生まれている。また、本考案の適用はパーマロイ等の金属磁性体材で機械加工可能な筒状磁性体材に切り込み部を設け、実効透磁率を調整しながら、使用電流による磁性体の磁気飽和を緩和する目的にも効果的である。
前記本考案の一実施形態における筒状磁性体材コアの周側面に設ける切り込み部(例えば孔5)は図3に示すように、様々な大きさ、形状、配置および数の選択が可能である。この場合、図4に示すように、挿通する電源線等の信号電流による磁束Φの向きは図のように筒状磁性体材コアの周方向になるから、前記切り込み部(例えば小孔5)の存在は筒状磁性体材コア内の磁束Φの流れを阻害する。つまり、切り込み部(例えば小孔5)の存在はそこに図4に示すような漏洩磁束6が発生し、筒状磁性体材コアの磁気抵抗を増大させて実効透磁率を低下させる。前記筒状磁性体材コアの前記切り込み部(例えば小孔5)による実効透磁率の低下度は、図3(a)に示すように、前記切り込み部(例えば小孔5)の大きさ、形状、配置および数によって決まる。なお、図3(b)に示した切り込み部(例えば小孔5)の近接配置では前記切り込み部(例えば小孔5)間の相互結合により、前記筒状磁性体材コアの実効透磁率を調整するのに役立つものとなる。
本考案は、ノイズ電磁波環境の浄化に寄与し、かつ医療機器やコンピュータ制御精密電子装置における流入ノイズ電力を低減、除去することにより、前記装置の意図しない停止或いは誤動作等の障害に対処すべくなされたものである。
1 導体線
2 筒状磁性体材コア
3 巻線
4 抵抗(インピーダンス回路素子)
5 孔(切り込み部)
5´ 凹部(切り込み部)
5´´ 溝(切り込み部)

Claims (3)

  1. 磁性体材からなる磁性体材コアにおいて、
    その開口径に比して長さ方向が長尺であって、内部に導体線を挿通する中空孔を有する筒状の磁性体材コアを有し、
    前記筒状磁性体材コアの周側面に様々な形状の1個或いは複数個の切り込み部を設けたことを特徴とする磁性体材コア。
  2. 請求項1記載の磁性体材コアにおいて、
    前記筒状磁性体材コアの周側面における前記切り込み部に非磁性体樹脂材を充填してなる磁性体材コア。
  3. 請求項1又は2に記載の磁性体材コアと、
    前記磁性体材コアの筒状の中空孔に通した導体巻線と、
    前記導体巻線に接続した純抵抗を含むインピーダンス回路素子とを備え、
    前記磁性体材コアの筒状の中空孔内に導体線を挿通して使用するものであることを特徴とするノイズ減衰器。
JP2011007603U 2011-12-22 2011-12-22 磁性体材コア及びそれを使用したノイズ減衰器 Expired - Fee Related JP3174071U (ja)

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