JP3173439U - 海上汚水処理 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶や設置型会場基地で行われる汚水処理のためのシステムを提供する。
【解決手段】海上汚水処理システムは、汚水回収タンクと、汚水回収タンクに接続したマセレータポンプと、ミキシングポンプと、汚水をマセレータポンプから受け取る電解槽と、電解槽に隣接する電気凝集槽と、電解槽と電気凝集槽とに接続された制御システムと、電気凝集槽に接続された脱気チャンバと、脱気チャンバに隣接する沈殿用タンクと、沈殿用タンクと流体連結する浄化用タンクと、沈殿用タンクと浄化用タンクの両方に接続された共通のスラッジ排出ラインに設けられた濁度メータと、浄化用タンクから出た排水に化学物質を供給する薬剤注入ポンプを含む脱塩素ユニットと、浄化用タンクから出た排水を排出する排水排出ポンプとを含む。沈殿用タンクと浄化用タンクの各々は、一対の円錐形の側壁と、スラッジを除去する少なくとも一つの基底ポートとを備えている。
【選択図】図1

Description

本考案は、概して、汚水処理に関しており、特に、現場における海上汚水(marine wastewater)の処理と浄化に関する。
現場での汚水処理は、一般に、自治体の水処理プラントや同様の施設とのアクセスが制限される場所でなされる。そのような場所の例として、船や海上掘削基地などがある。そのような場所では、汚水は、通常、搭載されたバイオロジカルユニット又は発酵ユニットを通って保持タンクに流れる。保持タンク内の廃水は、特定のレベルに到達すると滅菌ユニットへ送り出される。
現場での汚水処理の一番の問題点は、生物学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、及び水中に懸濁した粒状物質、つまり、総懸濁物(TSS)の低減である。粒状物質をマセレーション(maceration)して、バイオロジカルタイプ又は発酵タイプの分解がなされても、このような粒状物質の減少は、環境の安全を考慮した限界値に対して最低限でしかなかった。
本考案の1又は複数の実施例は、船舶及び/又は設置型海上基地で行われる汚水を処理する方法及びシステムに関する。本考案の一実施例では、汚水を処理する方法は、汚水回収タンクに汚水スラリーを送り込む工程を含む。汚水には、生汚水(raw sewage)、廃水(black water)、雑廃水(gray water)、調理廃棄物(galley waste)、及びそれらを組み合せたものが含まれる。汚水スラリーには、さらに、懸濁物粒子と、有機物及び無機物と、バクテリア及び同伴ガスとが含まれる。汚水回収タンクに装着された汚水レベルセンサは、汚水回収タンクの汚水レベルをモニタする。汚水スラリーが、予め設定された上限レベルに達すると、センサは、動作の自動開始をトリガーする。汚水レベルが、予め設定された下限レベルより下に下がったときに、汚水スラリーの送り込みは停止されてもよい。汚水スラリーは、懸濁物粒子をマセレーションするマセレータポンプで送られる。マセレーションの間、懸濁物粒子は細かく砕かれて、その結果、小さなサイズの粒子が、より広い表面積を占めることになる。マセレーションされたスラリーの流れは分岐して(diverted)、汚水回収タンクに戻されてよい。マセレーションされたスラリーの残りは、電解槽へと管路で運ばれる。電解槽は、コントロールされた量の海水又は塩水を用いて、マセレーションされたスラリーを酸化又は滅菌する。マセレーションされた細かい粒子が広い表面積を占めるので、電解槽内のマセレーションされたスラリーの酸化と滅菌は、著しく改善する。電気凝集槽(electrocoagulation cell)へ管路で運ばれる前に、酸化及び滅菌されたスラリーに消泡剤が加えられる。滅菌された懸濁物は、電気凝集槽にて塊にされてよく又は凝集されてよい。凝集したスラリーは、第1の沈殿用タンクに運ばれて、凝集塊を含むスラッジと、ほぼ浄化された上澄みとに分離される。ほぼ浄化された上澄みは、第2の浄化用タンクに管路で運ばれて、スラッジとほぼ浄化された上澄みのさらなる分離が促進される。沈殿用タンクと浄化用タンクからのスラッジは、槽の底に沈殿し、排出される。排出されたスラッジの濁りレベルは、継続的にモニタされる。濁りレベルが、予め設定された低値と等しくなると、スラッジ排出パイプ上のバルブが自動的に閉じられて、スラッジの排出が停止する。ほぼ浄化された上澄みは、処理排水として排出されてよい。
分岐して汚水回収タンクに戻された、マセレーションされたスラリーの流れは、汚水回収タンク内の汚水スラリーと混ぜられてよい。これにより、汚水回収タンク内で混合が均一に維持される。ある実施例では、ミキシングポンプが、マセレータポンプに隣接して配置されてよく、マセレーションされたスラリーの流れを、汚水回収タンク内の汚水スラリーと連続的に混合して、再循環させる。
マセレーションされたスラリーを電解槽に入れる際に、コントロールされた量の海水をマセレーションされたスラリーに混ぜてよい。電解槽に入れられる海水の量は、海上の汚水処理システムの固有の処理能力に依存してよい。マセレーションされたスラリーは、電解槽内で起こる電気化学反応により、酸化と滅菌がなされてよい。本考案の一実施例では、マセレーションされたスラリーは、電解槽内で酸化剤と接触してよい。
酸化及び滅菌されたスラリーは、電気凝集槽に運ばれて、マセレーションされた固体とその他の懸濁物とが塊にされる。電気凝集槽は、有機物との凝集を形成する核形成部位として作用する金属粒を用いて、滅菌された汚水の凝集が強化されてもよい。電気凝集槽内にある電極は、継続して使用されると、懸濁物と塊とで被膜され得る。本考案の一実施例では、電気凝集槽は、自動化された空気及び水パージを、周期的に受けてよい。パージは、電極に被膜した粒子状の不純物を洗い流す。除去物は、第1の沈殿用タンクに運ばれる。
ほぼ浄化された上澄みは、排出される前に1又は複数種の化学物質で処理されて、残存塩素が0.5mg/L未満に中和されてよい。本考案の一実施例では、定量ポンプを用いて、適切な量の還元剤が、ほぼ浄化された上澄みに注入される。還元剤は、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム及び二酸化硫黄からなる群から選択されてよい。
本考案の1又は複数の実施例において、汚水処理システムは、さらに、内部DC電源、電解槽、及び電気凝集槽とに作用可能に結合する制御システムを備えてよい。当該制御システムは、電解槽及び/又は電気凝集槽に制御信号を与えて、内部電源から各槽に与えられるDC電圧(又は直流)の量を制御するように構成されてよい。
本考案の1又は複数の実施例では、排出された排水は、25mg/mL未満の生物学的酸素要求量(BOD)、35mg/mL未満の総懸濁物(TSS)、120mg/L未満の化学的酸素要求量(COD)、及び100cfu/100ml未満の大腸菌類を含んでよい。
本考案の別の実施例では、電気凝集槽から送られる凝集したスラリーと、スラッジと、自動化された空気及び水パージの間に除去された粒子状の不純物とは、脱気チャンバへと管路で運ばれる。電気分解反応の間に発生したガスと、スラリーから放出されたその他の残留ガスとが、周囲の空気で薄められて、大気中に放出される。電気送風機が使用されて、周囲の空気をベントラインに押し込んでよい。
本考案の別の実施例では、電気凝集槽に存在する凝集したスラリーは、重合化タンクに排出されてよい。1又は複数種の陽イオンポリマーが凝集したスラリーに導入されて、ポリマー化して塊となった固体のクラスタが形成されてよい。ポリマー化され、塊となった固体のクラスタは、濾過ユニットを用いて濾過されてよい。
本考案の別の実施例において、汚水を処理するシステムは、汚水回収タンク、汚水に懸濁する固体を細かくできるマセレータポンプ、マセレータポンプに隣接したミキシングポンプ、反応チャンバを含む電解槽、反応チャンバ内に配置される陽極と反応チャンバ内に配置される陰極、電解槽に電源を提供する手段、電解槽と流体連結する電気凝集槽、電気凝集槽に隣接する沈殿用タンク、沈殿用タンクに接続された浄化用タンク、排出したスラッジの濁りレベルを検出する濁度計、薬剤注入ポンプ又は定量ポンプを含む脱塩素ユニット、及び排水排出ポンプを含む。本考案の一実施例では、沈殿用タンクは、脱気チャンバに接続される。脱気チャンバは、電気送風機とベント手段とを備えており、電気分解の間に発生した希釈されたガスを放出可能とされている。本考案の一実施例では、スラッジ回収タンクが、沈殿用タンクと浄化用タンクの下に随意的に配置される。
本考案の一実施例において、汚水処理システムは、堅固なベースフレームを備えており、当該堅固なベースフレームは、汚水処理システムの重量を支えるために構成、配置される。本考案の別の実施例では、汚水処理システムは、電気凝集槽に接続された空気及び水パージャー(purger)を備えている。本考案のさらに別の実施例では、海水供給源が、電解槽と接続されている。
図1は、本考案の一実施例である汚水処理システムを表すフロー図である。
添付の請求項の各々は、個々に考案を規定しており、侵害目的では、請求項で特定された種々の要素又は限定と等しいものを含むものと認められる。文脈に応じて、以下の「考案」に対する全ての言及は、幾つかのケースでは、特定の実施例のみに関するものであり得る。その他のケースでは、「考案」に対する言及は、必ずしも全ての請求項ではないが、1又は複数の請求項に記載された主題に言及していると認められるであろう。
本明細書で使用される様々な用語が、この後に示される。以下で定義されていない、実用新案登録請求の範囲で使用した用語の範囲については、出願時に出版された出版物及び発行された特許にて示されているように、当該用語を与えてきた関連技術分野の者に、最も広い定義が与えられるべきである。
本考案の実施例は、船舶及び/又は設置型海上プラットフォームに搭載された、汚水処理のための方法及びシステムに関する。本明細書で使用されているように、「搭載された(onboard)」の語は、(例えば、自治体の水処理施設などの発生元から離れた場所で水等を処理することとは対照的に)汚水が発生する施設と同じ施設内で、浄化することに関するものである。
図1は、船舶及び/又は設置型海上プラットフォームに搭載された、汚水処理のためのシステム(10)の具体的な例を示しているが、これに限定されるものではない。システム(10)は、汚水回収タンク(12)と、マセレータポンプ(14)と、ミキシングポンプ(13)と、電解槽(16)と、電気凝集槽(18)と、沈殿用タンク(22)と、浄化用タンク(24)と、薬剤注入ポンプ(29)を備える脱塩素ユニット(28)と、汚水排出ポンプ(30)とを含む。汚水は、汚水処理システム(10)内で処理され、浄化される。汚水処理システム(10)は、共通の堅固なベース(図示せず)上にて支持及び配置されている。浄化後、脱塩素化された排水は、船舶から開放水域(open water)に、排出されてよい。1又は複数の実施例では、セルフクリーニングフィルタ(34)が設けられてよく、開放水域に放出される前に、脱塩素化された排水が濾過される。本考案の1又は複数の実施例では、100cfu/100ml以下の大腸菌類、35mg/ml以下の総懸濁物、25mg/mL以下の生物学的酸素要求量(BOD)及び120mg/L未満の化学的酸素要求量(COD)を有するような、塩素を取り除いた汚水が排出されてよい。海上汚水処理システム(10)は、3.0〜65.0立方メートル/日の処理能力を有してよい。海上汚水処理システム(10)に必要な設置フロアスペースは小さくてもよく、又は海上汚水処理システム(10)が占めるシステムの設置面積は小さくともよい。海上汚水システム(10)は、連続した回収と回収した汚水の処理を、24×7で実施する能力があってよい。本考案の一つの実施例では、海上汚水処理システム(10)は、自動に運転することができて、オペレータの介入が限定的にされてよい。
海上の汚水の流れは、一般に、生汚水、廃水、雑廃水、及びそれらを組み合せたものをんでいる。本明細書で使用される「廃水」の語は、大腸菌類やその他の細菌を含む人間の排せつ物に汚染された水に言及している。本明細書で使用される「雑廃水」の語は、台所やシャワーの水のような、人間の排せつ物を除く使用済みの水に言及している。一般に、海上の汚水は、毒性及び非毒性の有機汚染物及び無機汚染物と、セルロース、砂、砂粒、ヒューマンバイオマス及びエマルジョンを含む微細な懸濁汚染物及び大きな懸濁汚染物と、ガスとを含む。最も一般的に測定される汚水の測定成分の一つは、生物化学的酸素要求量、即ちBODである。有機汚染物質を分解するために微生物が必要とする酸素の量が、生物化学的酸素要求量、つまりBODとして知られている。5日間のBOD又はBODは、微生物による酸素消費量を5日間測定したものであり、汚水内の生物分解可能な有機物の量の、又は汚水の強さの最も一般的な測定量である。BODが高い汚水は、受け取る水の酸素を枯渇させ、魚を殺し、生態系を変え得る。
現場での汚水処理は、一般に、自治体の水処理プラントや同様の施設とのアクセスが制限される場所でなされる。そのような場所の例として、船や海上掘削基地などがある。
図1を参照すると、汚水スラリーは、汚水回収タンク(12)に管路(50)で運ばれる。汚水回収タンク(12)は、汚水レベルを測定する汚水レベルセンサ(図示せず)を組み込んでいる。汚水処理システム(10)が自動モードに設定されており、予め決められた閾値レベルに達する場合、このレベルセンサは、汚水処理システムの開始と停止の繰り返しを自動的に開始してよい。その他の実施例では、汚水処理は、手動で開始されてよい。
汚水回収タンク(12)内の汚水が予め設定された上限レベルにあると、レベルセンサが検知した場合、汚水スラリーが、マセレータポンプ(14)により流路(52b)に送られてよい。マセレータポンプ(14)は、汚水スラリー内の懸濁物を細かく砕いて、それらの粒径を小さくする。マセレーションされたスラリーの流れは分岐して(53)、汚水回収タンク(12)に戻される。マセレーションされたスラリーの流れは、汚水回収タンク(12)内の汚水スラリーと、連続的に混合し、混合物が均一にされる。ミキシングポンプ(13)は、汚水回収タンク(12)内で、汚水スラリーとマセレーションされた汚水スラリーとに再循環処理(51)を連続的に行い、それによって、汚水混合物の均一性が維持される。
マセレーションされたスラリーの残りは、検定オリフィスプレートを通って、電解槽(16)へ管路(54)で運ばれ、酸化及び滅菌されて、有害でないスラリーを生じる。故に、オペレーターが、大腸菌などの危険なバクテリアにさらされる必要がない。電解槽(16)は、反応チャンバと、反応チャンバ内に配置される陽極と、反応チャンバ内に配置される陰極と、陽極と陰極の間に直流を流す手段とを備えていてよい。当業者によって知られているあらゆる電解槽が、本明細書に記載される実施例での電解槽として用いられることが考えられる。
マセレーションされたスラリーは、電解槽(16)内の酸化剤源と接触し、スラリーに存在する大腸菌類が滅菌され、中和されて、BODが減少されてよい。マセレーションされた粒子が、電解槽(16)内のより広い表面積を占めるので、酸化と滅菌効果が著しく改善する。本考案の一実施例において、酸化剤は、海水又は塩水で生成される。酸化剤は、マセレーションされたスラリーの存在する電解槽(16)に、海水源(15)からの海水を通すことによって生じてもよい。マセレーションされたスラリーが、検定オリフィスプレートを通って、電解槽(16)に送られる(54)際に、コントロールされた量の海水が、マセレーションされたスラリーと混ぜ合わされてよく、その代わりに、コントロールされた量の海水が、濾過器又はフローコントローラ(図示せず)を介して、電解槽(16)に別個に導入されてもよい。このフローコントローラは、汚水処理システム(10)の固有の処理能力に応じて、海水の流れを所定の値に制限する。デブリスパン(debris pan)(36)が設けられてよく、電解槽(16)に海水(55)が運ばれる前に、海水(55)内に存在するあらゆる大きなデブリが回収される。
海水は、少なくとも約1:1の比率で、マセレーションされたスラリーと接触してよい。本考案の他の実施例において、電気分解を実施し、酸化体を形成する十分な塩を有する水を含む塩水が、マセレーションされたスラリーと混合される。マセレーションされたスラリーと接触すると、酸化剤は、例えば、約6〜約9、又は約6.5〜約8のpHを有する反応混合物を提供する。
マセレーションされたスラリーは、電解槽(16)内の電気化学反応によって、酸化及び滅菌されてよい。電気化学反応は、電解槽(16)内で、特別に設計された陽極と陰極のプレート(電極)にDC電位を印加して生じる。マセレータポンプ(14)から管路(54)で運ばれたマセレーションされたスラリーは、帯電した電極の間を流れる。海水は、塩化ナトリウムと水を提供し、陽極板と陰極板の間に流れるDC電流のための電解液として働く。海水の塩化物塩は、電気分解によって分解され、次亜塩素酸ナトリウムを形成し、混合したオキシダントの量をトレースする(trace)。電気化学反応と、その結果であるオキシダントの生成とにより、有害な大腸菌類バクテリアが殺され、マセレーションされたスラリー内の有機化合物が酸化される。電解槽(16)を一度通過すると、残存バクテリアのほぼ100%が殺され、汚水内にある有機化合物の90〜95%が酸化され得る。
電解槽(16)を作動するために必要な電力は、海上の汚水処理システム(10)に内蔵されたDC電源から供給される。本考案の1又は複数の実施例では、内部DC電源と電解槽(16)とに作用可能に結合する制御システム(32)が設けられてよい。制御システムは、制御信号を電解槽(16)に与えて、内部DC電源から電解槽(16)の電極に供給されるDC電圧の量を制御するように構成されてよい。海上の汚水処理システム(10)の1又は複数の実施例では、電解槽(16)の電流は、特定の一定値を取る。本考案の別の実施例では、制御システム(32)は、内部DC電源から電極に与える可変電流(variable current)に応じて、電解槽(16)の電極に制御信号を与えてよい。電解槽(16)に用いたDC電流の量は、生成した次亜塩素酸ナトリウムの量を決める。電気分解の間、少量の水素と他のガスが、副産物として発生されてよい。ガスは、酸化及び滅菌されたスラリーから放出されるか、又はスラリーに同伴する。
本考案の他の実施例において、酸化剤は、別の容器(例えば、導管又は槽(図示せず))内で、マセレーションされたスラリーと接触し続けてよい。接触時間は、例えば、2分程度にされてよい。
酸化及び滅菌されたスラリーは、最小限の量の残存酸化剤を含んでよい。ある実施例において、酸化及び滅菌されたスラリーは、約1mg/Lから約250mg/Lの残存酸化剤及び残存塩素を含んでよい。
本考案の別の実施例において、例えば、酸化槽内で、マセレーションされたスラリーとオゾンを接触させるような、当業者であれば公知のあらゆる方法によって、マセレーションされたスラリーは酸化されてよい。酸化槽内の酸化では、電解槽(16)で使用した酸化剤よりも強い酸化剤を利用することに留意すべきである。
酸化及び滅菌されたスラリーは、電気凝集槽(18)に管路(56)で運ばれる。酸化及び滅菌されたスラリーは、電気凝集を受けて、懸濁した固体粒子がそこで凝集され又は塊になる。電気凝集槽は、当業者に知られており、電極板、ボール、流動ベッド球(fluidized bed spheres)、ワイヤメッシュ、棒、及びチューブを含む様々な形状の陽極と陰極が用いられる。この電気凝集プロセスは、電気的に強く誘導された酸化還元反応に対する汚水物質の反応を含む科学的原理に基づいている。このプロセスは、99%以上の重金属カチオンを取り除き、また、水の中の微生物を感電死させることもできる。それはまた、帯電したコロイドを沈殿し、他のイオン、コロイド及びエマルジョンを相当量、取り除くことができる。
電気凝集槽(18)は、電解槽(16)と直列に使用され得る。一実施例において、電気凝集槽(18)は、鉛直配置で動作してよい。これにより、ガスを放出させる一方で電気凝集槽(18)を通るガスリフトを設けて、流量の変動を減少させ、作動電圧を減少させることができる。
本考案の一実施例において、電気凝集槽(18)内の酸化及び滅菌されたスラリー内に、電極板を介して、直流電流が導入される。制御システム(32)は、さらに電気凝集槽(18)に作用可能に接続されてよく、電気凝集槽(18)に制御信号を与えるように構成されて、内部電源から電気凝集槽(18)の電極に与えられる電流の量が制御されてよい。電極は、鉄又はアルミニウムで作製されてよい。金属イオンは、電極から離れて、酸化及び滅菌されたスラリーに与えられる。これらの金属イオンは、不安定になった固体粒子を電気機械的に引きつける金属酸化物を形成し得る。これが発生すれば、固体は、塊にされた又は凝集した荷電物(charged entities)を形成して、上澄みから分離できる。スラリー内に残る塩素が、電気凝集槽(18)にて電気分解で処理されてもよい。
いくらかの固体粒子と汚染物が、時間と共に電気凝集槽(18)に蓄積し得る。本考案の一実施例において、電気凝集槽(18)は、空気パージャー(17a)と水パージャー(17b)とに接続されてよい。電気凝集槽(18)は、自動化された空気パージ(57a)、水パージ(57b)、又は空気と水のパージを組み合せて(57c)、周期的に洗浄されてよく、電極に蓄積した粒子状の汚染物を洗い流すことができる。自動化された空気と水のパージの組合せ(57c)は、汚水回収タンク(12)が、汚水スラリー(50)を充填又は再充填すされる各サイクルの間、又は汚水処理システム(10)の通常の操作の間にで実施され得る。洗浄された内容物は、脱気チャンバー(20)に運ばれる(58)。
酸化及び滅菌されたスラリーが電気凝集槽(18)に入る前に、少量の消泡剤が、酸化及び滅菌されたスラリーに加えられ(67)、第1の沈殿用タンク(22)内の泡立ちを、最小限にするか、又は除去することができる。消泡剤は、電気凝集槽(18)に存在する凝集したスラリーからのガス除去を促してもよい。
凝集スラリーは、脱気チャンバー(20)に管路(58)で運ばれる。脱気チャンバー(20)は、既知の落下膜技術を利用して、残ったガスの除去を促進する。本考案の一実施例では、送風機を用いて、周囲の空気が脱気チャンバーのベントラインに押し込まれる(61)。この周囲の空気が、残ったガスと、電気分解中に生じたガスとを薄める。薄められた空気は、大気に放出される(65)。脱気された凝集スラリーは、沈殿用タンク(22)に入り、ここで、凝集塊を含むスラッジが、沈殿するか、底に溜まることになる。
スラッジ又は凝集固体は重いので、ほぼ浄化された上澄みと分離し、沈殿用タンクの底に沈殿し、ほぼ浄化された上澄みが上方に移動することになる。スラッジは、随意的に設けられるスラッジ回収タンク(図示せず)に排出されてよい(59a)。ほぼ浄化された上澄みは、沈殿用タンク(22)と流体連結する浄化用タンク(24)に運ばれてよい(60)。ほぼ浄化された上澄みが、浄化用タンク(24)でさらに澄まされる。残ったスラッジは、随意的なスラッジ回収タンクに排出されてよい(59b)。
沈殿用タンク(22)と浄化用タンク(24)の両方には、傾斜した又は円錐状の一対の側壁(22a)(24a)を有している。重いスラッジは、側壁(22a)(24a)を滑り落ち、タンク(22)(24)の底に溜まる。沈殿用タンク(22)と浄化用タンク(24)の両方は、さらに、排出管と接続する基底ポートを具えている。これらの排出管は結合され(enjoined)、結合された又は共通の排出管が、沈殿用タンク(22)及び浄化用タンク(24)から、凝集スラッジを排出するか、又は取り除く(59c)。
スラッジの排出(59c)は、共通の排出管上の1又は複数のバルブで制御されてよい。排出されたスラッジの濁りレベルが、予め設定された最適な低値と等しいときに、バルブは自動的に閉じてよく、さらにスラッジの排出(59c)が停止される。
図1に戻って説明すると、本考案の一実施例において、濁度計(26)が、共通の排出パイプに取り付けられている。濁度メータ又は濁度計は、水の透明度、又は濁度を測定する。濁度は、水の中の懸濁粒子に起因する含粒水(aggregate water)の特性である。高濃度の濁度は、曇り、濁り、又は水の透明度がないと認識される。濁度分析は、散乱光の光学測定である。光が水のサンプルを通過するときに、光路上の粒子が光の方向を変更させ、光を散乱させる。濁度が低ければ、大部分の光は、最初の方向で進み続ける。粒子によって散乱された光で、水の中の粒子を検出することができる。共通の排出パイプに取り付けられた濁度計(26)が、予め設定した低い読み値を検出した場合、排出パイプのバルブが自動的に閉じられる。これによって、さらに、スラッジ排出(59c)が停止する。浄化用タンク(24)からのスラッジは、沈殿用タンク(22)からのスラッジと混合されて、総固体が2〜3wt%の汚水流が形成され。当該汚水流は、システムオペレータによって、汚水処理システムから取り除かれてよい。ほぼ浄化された上澄みは、処理又は滅菌された排水として、排出される。
本考案の別の実施例において、スラッジは、排出されて(59c)、重合化タンク又は容器(図示せず)に収集されてよい。陽イオンポリマーが、手動で又は機械的に、重合化タンク内に入れられてよい。陽イオンポリマーは、凝集スラッジの脱水性を促進し、1又は複数の大きな重合クラスタを生成する。これらの大きな重合クラスタは、8%〜25%以上という大きい比率で固体を含んでよい。重合クラスタは乾燥されてよく、凝集スラッジと比較すると、重量が減少され得る。有利な点として、重合クラスタよりなるスラッジの体積を75%まで減少させて、廃水の処理と処分に関連する費用を減少させることができる。重合クラスタは、濾過ユニット(図示せず)で濾過されてよい。
濾過ユニットは、複数ステーション式の濾過乾燥ユニット(multiple station filtration)を備えてよい。この濾過乾燥ユニットは、捉えられた、粒子状の廃棄物を容易且つ安全に処理する小型ユニットであり、同じ結果物を提供するために複数の装置部分を必要とするような、現状で利用可能な汚水処理システムとは異なっている。ある実施例において、複数ステーション式濾過乾燥ユニットは、複数の業界標準のフィルタバッグに合うように形状が定められたサポートグリッドを備えている。フィルタバッグ内で処理される流体を導入する工程と、流体を脱水する工程と、粒子の重量を圧縮乾燥する工程とを含む1又は複数の工程は、複数ステーション式濾過乾燥ユニットの動作によって、その場で(in-situ)で行われる。複数ステーション式の濾過乾燥ユニットは、専用のフィルタバッグの除去又は排出ステーションを備えており、圧縮された粒子の質量を含んでおり汚れているが、乾燥し、液体のないフィルタバッグを除去する。クリアカバーと、フィルタバッグの排出ステーションにてカバーを操作する安全インターロック機構とを使用することで、汚水処理施設に本質的な、オペレーターがバイオハザードにさらされることが規制される。汚れるか、消耗したフィルタバッグは、複数ステーション式濾過乾燥ユニットの運転中に、除去されて、きれいなフィルタバックに取り替えられ得る。
本考案の他の実施例において、スラッジは、遠心分離ユニット(図示せず)に排出されてよい(59c)。粒子を凝集させるポリマーの添加を必要とせずに遠心分離を使用し、続いて濾過することで、固体/液体の分離が達成されてよい。沈殿用タンク(22)と浄化用タンク(24)から送られるスラッジ流(59c)は、塊状の固体(2〜3wt%の固体)を含み、それはかなり重いので、遠心分離でさらに介在する水から分離され、2つの別個の流れ、即ち、固体が比較的含まれていない流体流と、10wt%よりも多く固体を含むスラッジとが形成されてよい。固体の排出は、バイオハザードを考慮せずに、通常の廃棄物/ゴミと組合わせることが可能である。特別な内蔵スクレバナイフが使用されて、遠心分離から固体を物理的に除去して、コンテナ内に落としてもよい。コンテナは、ハンドリング用に防水性カードボードを備えてよい。遠心分離ユニットは、バッチモードで固体を取り除いてよく、2〜3wt%のフィードストリームを提供する再循環槽を備えてよい。
図1に戻って説明すると、汚水処理システム(10)は、さらに脱塩素ユニット(28)を備えている。脱塩素ユニット(28)は、薬剤注入ポンプ、又は定量ポンプ(29)を備えている。ほぼ浄化された上澄みは、最適な量の1又は複数種の化学物質を添加することで、脱塩素化されてよい(63)。ある実施例において、ほぼ浄化された排水の塩素含有が、さらなる処理をせずに、海洋環境に放出するスラッジに対する国際海事機構の規則MPEP159(55)の要件をみたし得る濃度に確保され得るような濃度で、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム又は二酸化硫黄が、定量ポンプ(29)によってほぼ浄化された上澄みに注ぎ込まれる。脱塩素化された排水は、環境面で安全であり、残存塩素がほぼ除去されているであろう。脱塩素化された排水は、管路を介して水中に重力排水されてよい。図1に示すように、システム(10)は、脱塩素化された排水を水中に排出するステンレススチール製の遠心性水中ポンプ(30)を備えてよい。本考案の1又は複数の実施例では、脱塩素化された排水は、ポンプ(30)で水中に排出される前に、セルフクリーニングフィルタ(34)を通って、さらに濾過されてよい。排出された排水は、100cfu/100ml未満の大腸菌類、25mg/L未満のBOD、120mg/L未満のCOD、及び35mg/L未満のTSSであってよい。
<試験結果>
陸上ベースでの試験が、Katy、Texasの汚水処理プラントで実施された。Katyは、ヒューストンの郊外にある。プラントは、最大13.3MGDの許容量で、1日当たり320万ガロンを処理する。海上汚水処理システムは、国際海事機構(IMO)の海洋環境保護委員会(MPEC)のMPEC.2(VI)の決議、国際的な排水基準の勧告、及び1976年の廃水処理プラントに対する実施テストのためのガイドライン及び2006年10月13日のMPEC159(55)で適用された修正を適用した条件と、テストプロトコル下で運転された。システムの全ての操作は、訓練された技術者によって実行された。12日間の試験中、システムの適切な操作と測定が、同じ技術者によって実施された。システムの操作と実験と結果は、独立した第三者機関による認証を受けた(今回のケースにおいては、Bureau Veritas)。
試験は、特定の汚水の水質で実施された。流入液(“A”)は、排泄物、尿、トイレットペーパー及び洗浄水を含む汚水であって、スラッジが加えられて、汚水処理プラントが認定されるための人数と水圧加重(hydraulic loading)に適した最小限の総懸濁物濃度を有する汚水を得た。試験された汚水処理システムは、13.6cu. M/dayの水圧加重に合わせて設計された。試験期間は、12日間であって、全ての操作条件を記録された。サンプルと操作データは、定常状態の条件を達成した後、汚水処理システムにより取得された。
必要な品質の汚水が、汚水プラントから提供され、連続して汚水処理システムに供給された。232個のサンプルが、12日間の間、所定の間隔で処理されて、94サンプルが糞便性の大腸菌濃度を測定するために使用され、138サンプルが、TSS,BOD,COD,pH,及び塩素を測定するために使用された。糞便性の大腸菌サンプルは、1日の内に2回、異なった時間に、North Water Laboratory Services,Inc(NWDLS)へ、宅配便によって運ばれ、サンプル収集時間から8時間以内に分析が実施された。他の分析サンプルは、NWDLSへ、1日に1回、宅配便で運ばれた。NWDLSは、米国環境保護局(EPA)によって認証されており、全米環境研究所認証プログラム及びテキサス委員会の環境基準によって認定を受けている。
全テストにおいて流入液は、MPEP.159(55)の決議の要求を満たしている。以下の表1に示すように、TSSの幾何平均は、888.6mg/Lであり、全12日間のテストにおける最小の値は、618.0mg/Lであった。
Figure 0003173439
前述した1又は複数の実施例の方法に従って汚水を処理した後、脱塩化した排水(“B”)が試験された。排水は、MPEP.159(55)の決議の要求を満たしていた。この排水は、汚水処理プロセスにおける水中への排水を意味している。以下の表2に示すように、糞便性の大腸菌の幾何平均値は、100ml当たりのコロニー形成単位が8.7の数であり、要求される幾何平均値100より十分に低かった。排水システムのその他の分析も、表2に示しており、TSSの幾何平均は16.3mg/Lであり、COD値は、30.3mg/L、BOD5値は、7.5mg/L、pHは、6.1から7.7の範囲内の7.0であった。塩素は、0.01から0.40の範囲を有することを確認した。これらの結果は、MPEC.159(55)の基準を満たしている。
Figure 0003173439
本明細書では示していないが、汚水の流れについては、実用新案登録請求の範囲で規定される考案の精神に従って変更される限りにおいて、システムの最適化に基づいて変更可されてよい。ポンプ、管、又はさらなる電解槽又は濾過ユニット等の装置は、本明細書に記載されたプロセスを通じて付け加えられてよい。
本明細書に記載された実施例は、例えば、船舶のような海上施設、例えば船や基地にて使用されることが考えられる。多数の商業的用途について、たとえ不可能でないにしても海上施設内等の狭いところでは、一般に汚水処理システムの取り付けが困難である。しかしながら、本考案の実施例は、さらに、設置面積と全体的なサイズが小さい浄化システムを提供しているので、設置の問題が緩和される。
本考案の実施例に関する上記の説明の一方で、本考案の基本的な範囲から逸脱することなく本考案の他の実施例及びさらなる実施例が考えられてよい。本考案の基本的な範囲は、添付の実用新案登録請求の範囲で規定される。本考案は、記載した実施例、バージョン、又は具体例に限定されるものではなく、本明細書の情報が、利用でき得る情報と技術を組み合わせた場合に、当業者が、実施及び使用できる考案を含んでいる。

Claims (4)

  1. 海上汚水処理システムは、
    汚水回収タンクと、
    汚水回収タンクに接続したマセレータポンプと、
    マセレータポンプに隣接しており、更に汚水回収タンクに接続したミキシングポンプと、
    マセレーションされた汚水をマセレータポンプから受け取るように構成された電解槽と、
    電解槽に隣接する電気凝集槽と、
    電解槽と電気凝集槽とに作用可能に接続された制御システムと、
    電気凝集槽に管路手段で接続された脱気チャンバと、
    脱気チャンバに隣接する第1の沈殿用タンクと、
    第1の沈殿用タンクと流体連結する第2の浄化用タンクと、
    沈殿用タンクと浄化用タンクの両方に接続された共通のスラッジ排出ラインに設けられた濁度メータと、
    薬剤注入ポンプを含む脱塩素ユニットと、
    脱塩素ユニットから出る排水を濾過するセルフクリーニングフィルタと、
    排水排出ポンプとを含んでおり、
    沈殿用タンクと浄化用タンクの各々は、一対の円錐形の側壁と、スラッジを除去する少なくとも一つの基底ポートとを備えている海上汚水処理システム。
  2. 電気凝集槽と結合した空気及び水パージャーを更に備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 電解槽に海水を供給する海水供給源と、
    海水を電解槽に供給する前に海水にあるデブリを回収するデブリスパンとを更に備える、請求項2に記載のシステム。
  4. 脱気チャンバは、電解槽における電解プロセスの結果として発生したガスを大気放出する送風及び排出手段を更に備える、請求項3に記載のシステム。
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