JP3172945B2 - 版面コート層等の除去剤 - Google Patents

版面コート層等の除去剤

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JP3172945B2 JP27260697A JP27260697A JP3172945B2 JP 3172945 B2 JP3172945 B2 JP 3172945B2 JP 27260697 A JP27260697 A JP 27260697A JP 27260697 A JP27260697 A JP 27260697A JP 3172945 B2 JP3172945 B2 JP 3172945B2
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憲男 中原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷に
用いられる平版(主にアルミニウム合金の薄板)の表面
に残留しているインキは勿論のこと、付着しているアラ
ビアガム等のコート層、並びに酸化皮膜を除去すること
ができる版面コート層等の除去剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、大半の印刷物は、オフセット印刷
(版からゴムブランケットにインキを転写して、紙に印
刷する)を利用して作製されているといっても過言では
なく、今も尚、増加傾向にある。このように普及した理
由は、カラー印刷に向いていることや、用途(書籍、雑
誌、商品の包装材料、ポスター等)が広いこと等が挙げ
られ、数々の利点を有するものである。
【0003】ここで、このオフセット印刷に用いる版
は、定期的に何度も繰り返して使用することがあるた
め、印刷業者は、版を大事にし、保存しているのであ
る。そこで、保存する場合には、版面をアラビアガム等
で塗布しておけば、酸化が防止でき、長期間保存維持で
きるのである。
【0004】そして、再受注を受けた場合、保存してい
る版を倉庫から取り出して、版面の汚れ等を落とし、再
使用できるか否かの判断をしなければならず、その為
に、専用の除去剤が市販されている。
【0005】しかしながら、従来の除去剤には、以下に
記載する問題点がある。 版面を保護する目的とし
て、アラビアガム、デキストリン等を含有させている
が、一旦皮膜を形成して時間が経ち乾燥すると、常温の
水ではなかなか落ちにくく、特に冬の水道水ではかなり
の長時間擦っても落ちない。 汚れがひどい場合は、
別途、固いパミストン(石の粉末)を用いて擦らなくて
はならないため、作業が煩雑であるうえに、手応えがな
いので、必要以上に力をいれすぎて、版面を傷つけてし
まう。 アラビアガムの皮膜等を完全に除去するまで
に時間がかかるため、版の焼き直し判断(再使用できる
か否かの見極め)が、少なくとも20〜30分、ひどい
場合は1時間もかかることがあり、作業能率が極めて悪
い。 溶剤の溶解力と酸の強さだけなので、版同士が
擦れてできた深い傷、腐食に対しての有効性に限界があ
る。 版面にインキが残っている場合、力を入れなけ
ればならないので、疲労を伴う。また特殊インキ、即ち
UVインキ等は落ちにくい。 含有されているアラビ
アガムは、昔から投機の対象になるほど数年の単位で価
格が高騰することがあるため、そのためにかなり在庫を
持つことが余儀なくされる。従って、コストが安定しな
い。 アラビアガム自体がカビの恰好の増殖液となる
ため、ホルマリン等の有害な防腐剤を混入しなければな
らない。 アラビアガムが全体の約15%入っている
ため、固形分が多く、そのため版面のインキの転移性を
弱めたり、ゴムブランケット上に残ったりして、適正な
印刷の阻害原因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は以上の
ような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とす
るところは、オフセット印刷における保存版再使用時の
あらゆるトラブルを簡単に解消し、版を印刷可能な状態
に容易に回復させることができる版面コート層等の除去
剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前述の課題解
決のために鋭意研究を行った結果、芳香族系炭化水素、
ミネラルスピリット類、天然系油から選ばれる1種又は
2種以上を混合した溶剤に非イオン系界面活性剤を加え
て水と混合してなる基剤に、リン酸を加え、更にパーラ
イトを配合させることにより、上記目的を達成できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】そして芳香族系炭化水素として、ソルベン
トナフサが主に使用されるが、トルエン、キシレンも使
用可能であり、1種又は2種以上を混合したものであっ
ても良い。また、天然系油として、α−ピネン、dl−
リモネン、ショウノウ油、テレビン油も適宜使用しても
差し支えない。尚、版面のインキ等の除去を容易に行う
ためには、ソルベントナフサの比率を高める方が好まし
い。
【0009】また界面活性剤は電気的性質によって大き
く四種類に分けられるが、その中でも少量で汚れが落
ち、且つ洗浄効果を高める等の利点から、非イオン系界
面活性剤を採用するものであって、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルから選
ばれる1種又は2種以上を混合したものを利用すること
が適している。尚、版面上の不感脂化作用を高めるため
には、HLB(親水性親油性バランス)の高いものを用
いる方が良く、また水溶性のもの(HLBが12以上)
が好ましい。
【0010】そして研摩材として、無機系、有機系、金
属系から選ばれる1種又は2種以上を混合したものを利
用することが望ましく、特に中でも、従来の除去剤に含
有しているアラビアガムの皮膜の除去を容易とし、且つ
版面に傷を付けにくい観点から、無機系のパーライトを
利用することが最適である。
【0011】またリン酸は、金属性の汚れ(サビ)等の
除去のために、効果を発揮するものである。更に、不感
脂化力向上のために、無機リン酸類、硝酸塩類、リン酸
アンモン、ソーダ、カリウム塩・メタリン酸ソーダ、硝
酸ソーダ、カリウム塩等を添加することも考慮される。
【0012】そして溶剤を60〜70重量%、非イオン
系界面活性剤を0.5〜10重量%、パーライトを1〜
5重量%、リン酸を0.5〜3重量%、水を12〜38
重量%を配合したものを利用することが好ましい実施態
様である。
【0013】 ここで、より具体的に本願発明の除去剤の
配合比率を記載するものである。 本願発明の除去剤 溶剤(芳香族系炭化水素+ミネラルスピリット類+天然系油) 60〜70重量% 非イオン系界面活性剤 0.5〜10重量% 水 38.0〜12重量% パーライト 1〜5重量% リン酸 0.5〜3重量% 100.0
【0014】 上記のように配合された、本願発明の除去
剤は、次のように使用されるものである。先ず、版面を
水洗いする。そして水を含ませて軽く絞ったスポンジ等
の拭き具に除去剤を付け、インキの着肉不良の部分や、
版の汚れの部分を軽く擦り込むようにして拭き取る。次
いでスポンジを洗いもう一度版面を綺麗に拭き取る。こ
のようにすれば、版面の画像部にインキがのり易く、非
画像部の頑固な汚れも綺麗に取り除かれ、クリアーな印
刷を可能とするものである。
【0015】
【発明の効果】この本願発明の除去剤のポイントは、
剤にアラビアガムを使用せず、且つ研磨剤としてパーラ
イトを混合した点であり、以下に示すような効果を得る
ものである。 本願発明の除去剤単品で、保存版の版
面に残留しているインキは勿論のこと、付着しているア
ラビアガム等のコート層、並びに酸化皮膜を容易に除去
することができるため、不感脂化能力が持続し、使用時
におけるトラブル(印刷機の停止等)を解消でき、ロン
グラン対応が実現できる。 本願発明の除去剤単品
で、一連の作業を終えることができる。即ち従来のよう
に、汚れたところを、別途、固いパミストン(石の粉
末)で擦るといった作業が不必要となるうえに、必要以
上に版面を擦って傷付けることもない。一液で、同時に
汚れを取りながら、汚れを抑制することもできる。
焼き直しの判断(再使用できるか否かの見極め)が、2
〜3分で済むため、従来と比較して約10倍のスピード
アップとなり、作業効率が飛躍的に向上する。 除去
剤の適度な流動性と粘度のために力の入れ具合によって
容易に強弱が付けやすい。汚れの程度や、版の強さによ
って加減できるので版面を傷付ける恐れがない。 物
理的な作用が生まれ、版面の非画像部に深い傷があって
も不感脂化力により、インキをのせなくしてしまうの
で、傷があっても問題なく使用できる。 版面にイン
キが残っている場合でも、従来の除去剤と比べて、力を
余り入れなくても簡単に落ち、またUVインキなどの通
常の溶剤では落ちにくいインキでも除去することができ
る。 従来の除去剤に含有しているアラビアガム等を
使用していないので、固形分が遙に少ないため、版面の
インキの転移性を弱めたり、ゴムブランケット上に残っ
たりすることがなく、適正な印刷が行える。 従来の
除去剤に含有しているアラビアガム(価格変動が激し
い)等は、一切使用しないため、価格の安定化とコスト
ダウンが図れる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例を示す。先ず、この
発明に用いられる除去剤及び、比較のための除去剤を配
合した。即ち、芳香族系炭化水素、ミネラルスピリット
類、天然系油から選ばれる1又は2以上を混合した溶剤
に非イオン系界面活性剤を加えて水と混合してなる基剤
パーライトとリン酸を配合して、この発明に用いられ
るエマルジョン化した除去剤を3点得た。そして比較の
ための除去剤を別に2点配合して得た。このように配合
された除去剤について下記の項目について評価し、その
結果を下記の表に示す。
【0017】 (評価方法) 1.汚れ落ち度 版面に除去剤を付け、同じ力で拭き取った後の汚れ落ち
の程度を観察する。 判定基準 ○:汚れが完全に落ちている。 △:ところどころ汚れが残っている。 ×:全く汚れが落ちていない。 2.不感脂化性 非画像部にカッターナイフで深い傷を付けて、インキを
付けて拭き取った後を観察する。 判定基準 ○:傷面にインキがのっていない。 △:傷面に少しインキがのっている。 ×:傷面にインキがのっている。 3.腐食除去能力性 版面のサビ等の腐食部分を拭き取り、再印刷可能かどう
かを観察する。 判定基準 ○:再印刷可能な状態である。 △:少し腐食部分が残り、再度拭き取りが必要である。 ×:全く腐食部分が除去されていない。4.作業性 版を印刷可能な状態に回復させるまでの所要時間を計測
する。 判定基準 ○:2〜3分で終了する。 △:15分で終了する。 ×:20〜30分で終了する。
【0018】 次に、この発明の実施例1〜3、比較例
A、Bに用いた各除去剤の組成を示す。 (実施例1) 本願発明の除去剤 溶剤(芳香族系炭化水素+ミネラルスピリット類+天然系油) 60.0重量% 非イオン系界面活性剤 0.5重量% 水 36.5重量% パーライト 1.0重量% リン酸 2.0重量% 100.0 (実施例2) 本願発明の除去剤 溶剤(芳香族系炭化水素+ミネラルスピリット類+天然系油) 65.0重量% 非イオン系界面活性剤 3.0重量% 水 27.0重量% パーライト 3.0重量% リン酸 2.0重量% 100.0 (実施例3) 本願発明の除去剤 溶剤(芳香族系炭化水素+ミネラルスピリット類+天然系油) 70.0重量% 非イオン系界面活性剤 10.0重量% 水 12.0重量% パーライト 5.0重量% リン酸 3.0重量% 100.0 (比較例A) 比較例Aの除去剤 溶剤(芳香族系炭化水素+ミネラルスピリット類+天然系油) 20.0重量% 非イオン系界面活性剤 5.0重量% アラビアガム 15.0重量% 水 58.0重量% パーライト 0.0重量% リン酸 2.0重量% 100.0 (比較例B) 比較例Bの除去剤 溶剤(芳香族系炭化水素+ミネラルスピリット類+天然系油) 65.0重量% 非イオン系界面活性剤 3.0重量% 水 30.0重量% パーライト 0.0重量% リン酸 2.0重量% 100.0 以上の実施例1〜3及び比較例A、Bの結果を、下記の
表に示した。
【0019】
【表1】
【0020】表より明らかなように、比較例A、Bと比
べて本願発明の実施例1〜3は、特に優れていることが
立証でき、本願発明の目的が達成できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 3/00 - 3/08 C11D 10/00 - 10/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族系炭化水素、ミネラルスピリット
    類、天然系油から選ばれる1種又は2種以上を混合した
    溶剤に非イオン系界面活性剤を加えて水と混合してなる
    基剤と、パーライト、リン酸とを配合してなる版面コー
    ト層等の除去剤。
JP27260697A 1997-10-06 1997-10-06 版面コート層等の除去剤 Expired - Fee Related JP3172945B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102188730B1 (ko) * 2018-12-06 2020-12-09 한국전력공사 송전선 접지 장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102188730B1 (ko) * 2018-12-06 2020-12-09 한국전력공사 송전선 접지 장치

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