JP3172096B2 - 超電導スィッチ - Google Patents

超電導スィッチ

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JP3172096B2 JP15588396A JP15588396A JP3172096B2 JP 3172096 B2 JP3172096 B2 JP 3172096B2 JP 15588396 A JP15588396 A JP 15588396A JP 15588396 A JP15588396 A JP 15588396A JP 3172096 B2 JP3172096 B2 JP 3172096B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導材を流れる
電流を制御するバイファイラー形式の超電導電流路を有
し、超電導線の超電導状態と常伝導状態との間の転移を
スィッチ機構の開閉動作として利用する超電導スィッチ
に関するものである。このようなスィッチは、好ましく
は、磁気浮上列車や磁気共鳴映像装置などの超電導コイ
ルへ接続して使用される。
【0002】
【従来の技術】磁気浮上列車や磁気共鳴映像装置などの
超電導コイルには、長時間にわたり一定の電流を流し続
けるため上記のような超電導スィッチが、従来より接続
されて使用されている。
【0003】超電導スィッチの主なものとしては、二つ
のタイプに分類される。一つのタイプは、接点の接触と
接触の切離しとをスィッチの開閉動作として機械的な運
動を利用するものである。他のタイプは、温度の変化に
よる超電導線の伝導状態の変化を利用する温度依存タイ
プのスィッチである。すなわち、温度依存タイプの超電
導スィッチは、超電導線の常伝導状態(抵抗状態)と超
電導状態(無抵抗状態)との間の転移をスィッチの開閉
動作として機能するものである。現状では、小型軽量で
操作性が容易なこと、スィッチの閉状態での電導抵抗が
比較的小さいことにより、温度依存タイプの超電導スィ
ッチが、多数派を占めている。
【0004】軽量コンパクトでしかも電流密度の高い超
電導スィッチを製造するため、超電導線は、超電導線自
身の電磁誘導が、最小となるように巻付けられる。この
ような構成では、超電導線自身が発生する磁界を小さく
し、超電導線内を通過して流れることのできる臨界電流
を大きくしている。より具体的には、図1および図2に
示すように、従来技術の温度依存タイプの超電導スィッ
チは、バイファイラー形式で円筒状の巻軸2に巻回され
る。このような超電導スィッチは、特公昭56−269
93号に開示されている。この場合、端部1cをそれぞ
れ有し、それら端部1cが互いに一体とされている二つ
の超電導電流路1a,1bが一つの超電導線1を構成し
ている。これら超電導電流路1a,1bは、巻軸2の周
囲を、等間隔で、二つの超電導電流路1a,1bが巻付
け全体にわたって互いに接触するよう巻回されている。
【0005】超電導電流路1a,1bは、外部装置のプ
ラス端子、マイナス端子にそれぞれ接続され、これによ
り、電流が超電導電流路1aから1bへと流れる。超電
導スィッチのオフ動作は、超電導電流路1a,1bを加
熱するヒーター線3を作動させることによって行なわ
れ、オン動作は液体ヘリウムあるいは他の冷媒によって
超電導電流路1a,1bを冷却することによて行なわれ
る。どの冷媒を使用するかは、超電導電流路1a,1b
に使用される超電導材料の臨界温度によって異なるであ
ろう。図1には、液体ヘリウムを含浸するための含浸剤
4および内部構造を保護するためのケーシング5が、破
線にて示されている。(図2では、ヒーター線3、含浸
剤4、ケーシング5の図示が省略されている。)
【0006】一般に、超電導スィッチがオンの時の電流
密度を大きくするため超電導線1のための超電導材料と
しては、Nb−Ti合金が使用される。この場合、Nb
−Ti合金は、多数の数ミクロンの直径を有する極細超
電導芯線として形成され、超電導芯線は、超電導線1の
長さ方向に沿って配置される。一方、スィッチがオフの
時、高い抵抗を確保するため、比較的、電気抵抗のある
材料、例えば、Cu−Ni合金が、超電導線1の基材と
して使用される。しかしながら、このような比較的抵抗
の高い材料は、例えば、銅やアルミニウムのような電導
性材料に比較して、超電導線の超電導特性の安定化には
寄与しない。従って、上記の超電導線には、通電時に状
態が超電導状態から常伝導状態(抵抗状態)へと変化す
る可能性が高いという望ましくない不安定性がある。す
なわち、超電導線1の基材として比較的抵抗の高い材料
を使用した場合、余分な電流が内部の超電導芯線から基
材へと逃げることが不可能である。従って、少しでも予
期せぬ熱的攪乱があると、超電導芯線のある一部が常伝
導状態へと転移し、さらにこの状態転移によってさらな
る熱的攪乱が生じる。そして、この熱は、この作用が超
電導線1全体にわたって広がることを引き起こし、超電
導スィッチを予期せぬ時にオフ状態に切り替えてしま
う。
【0007】もし、このような超電導線が多数の超電導
芯線を有しており、臨界電流が通常作動電流よりはるか
に大きければ、上記の望ましくない現象の発生を軽減す
ることができる。しかしながら、超電導芯線の数を増せ
ば、これに関連して、超電導スィッチの価格、質量およ
びサイズの増大が必至となる。従って、軽量、コンパク
トな超電導スィッチを廉価で製造すると共に、超電導ス
ィッチが予期せぬ時に、無抵抗状態から抵抗状態へ転移
することを防ぐためには、熱的攪乱を防止する必要があ
る。このような熱的攪乱は、主に、電磁誘導による超電
導線の数ミクロン程度の微小な運動によって発生される
小さな量の発熱によって起こると考えられている。従来
は、この種のワイヤームーブメントは、エポキシ樹脂等
の樹脂に超電導線をセットすることによって抑制しよう
とされていた。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】現在、これら超電導ス
ィッチは、特に、磁気浮上列車や磁気共鳴映像装置の超
電導コイルに接続された時など、しばしば、強磁界の下
で使用される。例えば、超電導スィッチは、図2に矢印
Aで示されるような磁力を、その軸線方向に沿って受け
る。この場合、電流が超電導スィッチ内を流れると、電
流の往路となる超電導電流路1aは、フレミングの左手
の法則に従い、巻軸2に対して半径方向内側に押し付け
られる。同時に、電流の復路となる超電導電流路1b
は、超電導電流路1aとは反対に、巻軸2から離れてい
くように半径方向外側に押圧される。換言すれば、超電
導電流路1a,1bを単純にバイファイラー形式で巻回
した従来の超電導スィッチでは、上記の反対方向の電磁
力にともなって、ワイヤームーブメントが起きやすい。
【0013】上記したように、超電導線が樹脂剤に含浸
され、反対方向の電磁力が小さい場合、超電導線は、電
磁力に打ち勝つ樹脂剤の接着力によって不動に保持さ
れ、ワイヤームーブメントが抑制される。しかしなが
ら、樹脂剤の接着力には限度があり、電磁力が大きけれ
ば、ワイヤームーブメントを防止することはできない。
特に、超電導線を室温で樹脂剤に含浸させた後、スィッ
チを−269℃(4.2K、液体ヘリウムの沸点)ま
で、冷却すると、超電導線と樹脂剤の熱収縮率が異なる
ため、超電導電流路1a,1bは、互いに離れようとす
る。ひとたびワイヤームーブメントが始まると、超電導
線の基材における渦電流による発熱、および隣接する超
電導電流路間の摩擦による発熱、さらに、超電導線と樹
脂剤とが剥離する時の応力開放に伴う発熱、および、超
電導線と樹脂剤との間の摩擦に伴う発熱が生じる。この
結果、超電導線が樹脂剤に含浸されていても、上記のメ
カニズムの一つまたはいくつかの理由により、電流が不
安定となる。この場合、超電導スィッチは、臨界電流の
半分以下の通電で、常伝導状態(抵抗状態)に転移して
しまうことがある。
【0014】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
のであって、その目的とするところは、ワイヤームーブ
メントを抑制することの可能な超電導スィッチを提供す
ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、巻軸に巻回された少なくとも一対の超電
導電流路を有し、前記超電導電流路は、開いたループ状
の超電導線を構成し、各超電導電流路を電流が反対方向
に流れて往復する超電導スィッチにおいて、前記巻軸
は、超電導線よりも熱収縮率の小さいクォーツガラス繊
維強化プラスチックによって形成されていることを特徴
とするものである
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の様々な実施形態を
図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明におい
て、スィッチのオン動作は、液体ヘリウムによってスィ
ッチを冷却することによって行なわれるが、本発明は液
体ヘリウムの使用に限定される趣旨のものではなく、例
えば、液体窒素を使用することも可能である。
【0018】〔第1実施形態〕図3ないし図5は、本発
明の第1実施形態に係る超電導スィッチを示している。
図面において、参照符号2は、絶縁材料からなる円柱状
の巻軸を指している。図3に示されるように、超電導線
1が、円柱状巻軸2の周囲に巻回されている。円柱状巻
軸2と、超電導線1との間には、ヒーター線3が、図3
に示されるよう、従来と同様に介在している。このヒー
ター線3は、電気的加熱線であって、円柱状巻軸の周囲
を縦横に配置されている。
【0019】この超電導スィッチは、極低温状態で使用
されるため、ヒーター線3は、極低温状態でも脆性を示
さない抵抗材料によって製造されている。さらに、ヒー
ター線3の抵抗は、温度の変化と無関係に一定であるこ
とが好ましい。これら要求を鑑みて、ヒーター線3は、
例えば、マンガニン(銅マンガン合金)、コンスタンタ
ン(銅ニッケル合金)によって製造されている。
【0020】超電導線1は、一対の超電導電流路1a,
1bによって構成されている。これら超電導電流路1
a,1bは、5mmの一定ピッチで互いに撚り合わせら
れている。図6に示されるように、超電導線1は、断面
円形で、Cu−NiまたはCuの基材11、その中に埋
め込まれた多数の極細Nb−Ti超電導芯線10、およ
び基材11を囲む絶縁体6からなる。
【0021】この実施形態では、超電導芯線10の直径
は、7±0.2ミクロン、一つの超電 導電流路1a,1
bに使用された超電導芯線10の数は、1106本であ
る。また、超電導線1の直径は、0.3mmである。好
ましくは、前記Cu−Ni基材 のNiのパーセンテー
ジは、重量で5ないし35%である。この実施形態で
は、Cu−Ni基材11のNiのパーセンテージは、重
量で30%である。一方、前記Nb−Ti芯線のTiの
パーセンテージは、重量で40ないし50%であること
が好ましい。この実施形態では、Nb−Ti芯線のTi
構成比率は、重量で50%である。Nb−Ti芯線の臨
界温度は、9Kであり、臨界磁界は、4.2Kにお い
て、12Tである。超電導芯線10の材料としては、N
b3Snを使用することも可能である。
【0022】図3ないし図5に示されるように、超電導
電流路1a,1bの一方の端部1cは、他方の端部1c
と一体的にされており、超電導電流路1a,1bは、開
いたループ状の超電導線1を構成している。超電導電流
路1a,1bは、外部装置のプラス端子、マイナス端子
にそれぞれ接続され、これにより、電流が超電導電流路
1aから1bへと流れる。
【0023】上記絶縁体6は、図3ないし図5によって
理解されるように、電流が隣接する撚り合わせられた超
電導電流路1a,1bを反対方向に流れるため、完全な
絶縁物である必要がある。
【0024】撚り合わせられた超電導線1は、巻軸2に
0.7mm以下のピッチで約40回巻回される。この場
合、超電導電流路1a,1bの端部1cは、巻軸2に接
触している。図面には、超電導スィッチの構成を明瞭に
示すため、隣接する超電導線1の一巻ずつの間には、間
隙が示されているが、コンパクトな超電導スィッチを製
造するには、超電導線1をそのような間隙が生じること
なく巻回すことが望ましい。超電導スィッチの巻回しの
ピッチは、後述される超電導スィッチの電気的特性には
影響を与えないことが予想される。
【0025】さらに、図3で破線にて示されているよう
に、また、図5に示されるように、超電導線1を冷却す
るための液体ヘリウムを含浸するための含浸剤4が、超
電導線1を囲んで設けられている。含浸剤4は、超電導
電流路1a,1bの端部1cの反対側の端部が外部装置
へ接続されるよう、その部分を除き、円柱状の巻軸2と
超電導線1を全体的に被覆している。
【0026】含浸剤4もまた、電気的に絶縁性でなけれ
ばならない。さらに、含浸剤4は、超電導線1のワイヤ
ームーブメントを抑制するものでなければならない。従
って、含浸剤4は、エポキシ樹脂や油脂から選択され
る。この実施形態では、エポキシ樹脂が含浸剤4として
使用される。
【0027】従って、超電導線1の最外層をなす前記絶
縁体6は、含浸剤4との接着性が良くなければならな
い。従って、絶縁体6は、ポリビニルホルマール、ポリ
アミドイミド、ケブラー(ポリパラフニレンテレフタリ
ックアシドモノアミド)繊維、ナイロン繊維などから選
択される。この実施形態では、超電導線1を被覆する絶
縁体としては、ポリビニルホルマールが使用されてい
る。
【0028】さらに、超電導スィッチには、図3の破線
および図5に示されるように、ケーシング5が、含浸剤
4と内部構造を保護するため、含浸剤4を取り囲むよう
に設けられている。ケーシング5に要求される事項、特
徴は、下記の通りである。
【0029】ケーシングの熱伝導率は、スィッチオフ時
の超電導スィッチの保温のためには、低いことが望まし
い。逆に、超電導線1を急速に冷却するには、ケーシン
グの熱伝導率は、高いことが望ましい。これら相反する
要求を同時に満たすことは不可能であるので、妥協した
解決が必要となる。上記に鑑み、綿布基材フェノール樹
脂、ガラス布基材エポキシ樹脂等が、ケーシング5に使
用される。
【0030】撚り合わされた超電導線1の巻回のための
前記円柱状巻軸2に戻って、要求される事項、特徴は、
下記の通りである。
【0031】巻軸の熱伝導率は、スィッチオフ時の超電
導スィッチの保温のためには、低いことが望ましい。逆
に、超電導線1を急速に冷却するには、巻軸の熱伝導率
は、高いことが望ましい。これら相反する要求を同時に
満たすことは不可能であるので、ケーシング5と同様
に、妥協した解決が必要となる。上記に鑑み、綿布基材
フェノール樹脂、ガラス布基材エポキシ樹脂等が、円柱
状の巻軸に使用される。
【0032】さらに、円柱状巻軸2の材料の熱収縮率
は、超電導線1のそれよりも小さいことが好ましい。な
ぜならば、この場合、スィッチ構造が液体ヘリウムによ
って冷却される時、円柱状巻軸2は、超電導線1ほど収
縮せず、従って、円柱状巻軸2に巻回された超電導線1
内の引張り力が高まる。この結果、円柱状巻軸2上での
超電導線の安定性が向上する。換言すれば、望ましくな
い超電導線1と円柱状巻軸2との間の滑りを防止するこ
とができ、ワイヤームーブメントの抑制に寄与する。そ
れゆえ、クォーツガラス繊維強化エポキシ樹脂等が、円
柱状巻軸2の材料として好適である。超電導線1の、室
温から4.2K(液体ヘリウムの沸点)の間の熱収縮率
は、およそ4×10-4あり、クォーツガラス繊維強化エ
ポキシ樹脂のそれは、およそ2×10-4ある。なお、こ
の効果は、実施形態のように、超電導電流路1a,1b
が互いに撚り合わされている場合に限らず期待できるも
のである。例えば、図1および図2に、示されている従
来の構造に、この巻軸の材質を適用した場合でも、ワイ
ヤームーブメント抑制の効果が期待できる。
【0033】この実施形態の構造において、超電導スィ
ッチの開状態(オフ状態)の抵抗値は、約25Ωであ
る。
【0034】超電導スィッチの通電性能を調べるための
実験を行なった。この実験において、三つの試料を図3
ないし図6を参照して説明した上記の実施形態に基づい
て製作し、比較用に、三つの試料を図1および図2を参
照して説明した従来技術に基づいて製作した。実施形態
と従来技術の試料の差異は、超電導電流路1a,1bが
撚り合わされているか否かのみであり、他の特徴、例え
ば、寸法や構成は同一である。六つの試料には、それぞ
れ、四回、電流が流され、試料が、常伝導状態(抵抗状
態)に転移した電流値が計測された。図7は、その実験
結果を示す。図面において、縦軸は、試料が常伝導状態
(抵抗状態)に転移した電流値を、横軸は計測を行なっ
た回数を示している。そして、白丸は実施形態を、黒丸
は従来技術をそれぞれ指している。実施形態に基づく試
料において、通電性能が大幅に向上していることが明ら
かに分かる。
【0035】また、超電導電流路1a,1bが撚り合わ
されていない構成、即ち図1に示された従来の構成にお
いて、巻軸2の材料が超電導電流路1a,1bの材料よ
りも熱収縮率が小さい材料であるクオーツ繊維強化プラ
スチックである超電導スイッチと、巻軸2の材料がクオ
ーツ繊維強化プラスチックでない超電導スイッチとを作
成し、通電性能を調べるための実験を行なった。尚、巻
軸2の材料がクオーツ繊維強化プラスチックである超電
導スイッチは4つのサンプルを作成した。図8はその実
験結果を示す。図中縦軸及び横軸は図7中の縦軸及び横
軸とそれぞれ同じである。
【0036】そして、図中黒丸は従来技術の場合、即ち
クオーツ繊維強化プラスチックを用いていない超電導ス
イッチの実験結果であり、白丸はクオーツ繊維強化プラ
スチックを用いた超電導スイッチの実験結果である。こ
の図と第7図とを比較すると、超電導電流路1a,1b
が撚り合わされているが巻軸2の材料がクオーツ繊維強
化プラスチックでない超電導スイッチよりも、超電導電
流路1a,1bが撚り合わされていないが巻軸2の材料
がクオーツ繊維強化プラスチックである超電導スイッチ
のほうが常電導に転移した電流の値が高いことがわか
る。つまり、超電導電流路1a,1bを撚り合わせた場
合よりも巻軸2の材料をクオーツ繊維強化プラスチック
にした場合の効果が顕著である。
【0037】要するに、上記の実施形態によれば、超電
導スィッチが、外部の磁気源による磁場におかれた場合
でも、超電導電流路1a,1bが互いに撚り合わされて
いるため、超電導電流路1a,1bに発生する反対方向
の電磁力が、互いに打ち消し合う。従って、電磁力によ
るワイヤームーブメントが抑制できる。
【0038】さらに、巻軸2の材料をクオーツ繊維強化
プラスチックとすることにより、さらにワイヤームーブ
メントを抑制することができる。
【0039】この結果、超電導スィッチの通電性能が安
定する。すなわち、超電導線の臨界電流に近い大電流を
長期間にわたって流すことが可能となる。さらに、通電
性能の向上と、超電導スィッチの製造の容易さが、軽量
コンパクトな超電導スィッチを廉価で製造することに寄
与する。また、この実施形態においては、ワイヤームー
ブメントが抑制されるため、超電導スィッチが、予期せ
ぬ時に常伝導状態(抵抗状態)に転移することも、極め
て少なくなり信頼性の高い超電導スィッチが得られる。
【0040】〔第2実施形態〕先の実施形態では、超電
導線1は、一対の超電導電流路1a,1bによって構成
されていたが、本発明は、それに限定されるものではな
い。上記の効果は、超電導線が、複数対の互いに撚り合
わせられた超電導電流路によって構成されていれば、得
られることは、明らかである。この場合、絶縁体6(超
電導電流路1a,1bの最外層)は、各超電導電流路1
a,1bにそれぞれ別個に設けられる。あるいは、電流
の流れる方向が同一の超電導電流路1a,1bを結束
し、このような絶縁体6を逆方向の超電導電流路1a,
1bの間にのみ設けることも可能である。図9は、本発
明の第2実施形態に係る超電導線1を示している。この
実施形態では、四つの超電導電流路1a,1b(すなわ
ち、二つの超電導電流路1a、二つの超電導電流路1
b)が、互いに一定ピッチで、撚り合わされている。こ
の場合、絶縁体6は別個に設けられている。
【0041】〔第3実施形態〕図10は、本発明の第3
実施形態を示している。この実施形態では、各超電導電
流路1a,1bは、半円形断面を有している。超電導電
流路1a,1bは、超電導電流路1a,1bの軸線方向
の平面が互いに接触するように、互いに撚り合わされて
いる。図面において、参照符号7は、超電導線1の電導
部(超電導芯線と基材を含む)を示し、参照符号6は、
各電導部7を互いに絶縁する絶縁体を示している。
【0042】このような構成により、全体の超電導線1
は、円形の断面を有するように形成されている。従っ
て、超電導線1が図3ないし図5に示されるように超電
導スィッチをなすよう巻軸2に巻回される時、超電導線
1の超電導芯線10の占積率を高めることができる。換
言すれば、この構成は、コンパクトな超電導スィッチの
製造に寄与することになる。さらに、超電導電流路1
a,1bの互いの滑りを防止することができ、ワイヤー
ムーブメントをさらに抑制する。しかも、本実施形態の
超電導線1は、側面に凹部も凸部も有していない。すな
わち、超電導電流路1a,1bの巻軸2における安定性
が向上する。このような撚り合わされた開いたループ状
の超電導線1は、好ましくは、超電導電流路1a,1b
を撚り合わせた後、側方からの圧縮成形によって形成さ
れる。この場合、超電導部7の占積率を高めることがで
きる。
【0043】〔第4実施形態〕図11は、本発明の第4
実施形態に係る超電導スィッチに用いられる超電導線の
斜視図である。この第4実施形態は、図9に示される第
2実施形態の改良されたものである。この場合、電導部
7(超電導電流路1a,1b)は、円の四分の一の扇形
をしている。図面において、超電導電流路1aは、断面
の対角線上に配置されており、超電導電流路1bは他の
対角線上に配置されている。この撚り合わされた開いた
ループ状の超電導線1もまた、好ましくは、超電導電流
路1a,1bを撚り合わせた後、側方からの圧縮成形に
よって形成される。
【0044】この実施形態では、図10に示される第3
実施形態と同様の効果が得られる。さらに、この構成の
結果、四つの電導部7が一対の超電導線1を構成するた
め、一対の超電導スィッチが一つの円柱状巻軸2の周囲
に形成されることになる。
【0045】〔第5実施形態〕図12は、本発明の第5
実施形態に係る超電導スィッチの側面図であり、ヒータ
ー線3、含浸剤4、ケーシング5の図示を省略してい
る。図13は、図12の12−12線に沿った超電導線
1の断面を示し、図14は、図12の13−13線に沿
った他の断面を示している。この場合、断面矩形の一対
の超電導電流路1a,1bが互いに撚り合わされた後、
撚り合わされた開いたループ状の超電導線1は、結果と
して超電導線1の断面が正方形となるよう、側方から圧
縮成形される。
【0046】例えば、図12の12−12線に沿った部
分のように、ある部分では、各超電導電流路1a,1b
は、図13に示されるように、同一の矩形断面を有して
いる。また、図12の13−13線に沿った部分のよう
に、ある部分では、各超電導電流路1a,1bは、図1
4に示されるように、撚り合わせた後、側方から圧縮成
形する結果、互いに補足し合うよう変形されている。
【0047】このような構成では、図10に示される第
3実施形態と同様の効果が得られる。また、超電導線1
は、正方形断面であるから、超電導線1の平坦な側面の
一つが円柱状の巻軸2に接触する。従って、円柱状巻軸
2における超電導線1の安定性が向上し、ワイヤームー
ブメントが抑制される。さらに、各ピッチにおける電導
部7の密度が、超電導線が円形断面を有する前記の実施
形態よりも、向上する。
【0048】〔第6実施形態〕再度、図12は、本発明
の第6実施形態に係る超電導スィッチの側面図である。
図15は、図12の14−14線に沿った超電導線1の
断面を示し、図16は、図12の15−15線に沿った
他の断面を示している。第6実施形態もまた、図9に示
される第2実施形態の改良である。この場合、断面正方
形の二対の電導部7(超電導電流路1a,1b)が互い
に撚り合わされた後、撚り合わされた開いたループ状の
超電導線1は、結果として超電導線1の断面が正方形と
なるよう、側方から圧縮成形される。
【0049】例えば、図12の14−14線に沿った部
分のように、ある部分では、各超電導電流路1a,1b
は、図15に示されるように、同一の正方形断面を有し
ている。また、図12の15−15線に沿った部分のよ
うに、ある部分では、各超電導電流路1a,1bは、図
16に示されるように、撚り合わせた後、側方から圧縮
成形する結果、互いに補足し合うよう変形されている。
図面において、超電導電流路1aは、断面の対角線上に
配置されており、超電導電流路1bは他の対角線上に配
置されている。
【0050】このような構成においては、図13および
図14に示される第5実施形態と同様の効果が得られ
る。さらに、この構成の結果、四つの電導部7が一対の
超電導線1を構成するため、一対の超電導スィッチが一
つの巻軸2において構成される。
【0051】〔第7実施形態〕図17は、本発明の第7
実施形態に係る超電導スィッチの側面図である。この第
7実施形態は、図3ないし図5を参照して説明された第
1実施形態の改良に関するものである。図面において、
ヒーター線3、含浸剤4、ケーシング5の図示が、図3
と同様省略されている。本実施形態では、撚り合わせら
れた超電導線1は、図17に示されるよう、撚り合わさ
れた超電導線1を拘束する手段である被覆粘着テープ8
によって被覆されている。この粘着テープ8は、図示し
ないが多孔質のものである。したがって、内部の芯線1
0の運動がさらに拘束される。被覆テープ8は、他の機
械的抑制手段、例えば、布帛、網、紐、糸、繊維等によ
って代替することができる。以下、第7実施形態の代替
例を説明する。
【0052】〔第8実施形態〕図18は、本発明の第8
実施形態に係る超電導スィッチに用いられる超電導線の
側面図である。この実施形態では、各巻付けにおいて、
超電導線1は、網(布帛)24によって拘束されてい
る。
【0053】〔第9実施形態〕図19は、本発明の第9
実施形態に係る超電導スィッチに用いられる超電導線の
側面図である。この実施形態では、撚り合わされた超電
導線1を抑制するため、糸体22が、撚り合わされた超
電導線1の周囲に巻付けられている。
【0054】〔第10実施形態〕図20は、本発明の第
10実施形態に係る超電導スィッチに用いられる超電導
線の側面図である。この実施形態では、撚り合わされた
超電導線1を抑制するため、細い粘着テープ23が、撚
り合わされた超電導線1の周囲に巻付けられている。
【0055】〔第11実施形態〕図21は、本発明の第
11実施形態に係る超電導スィッチの斜視図であり、ケ
ーシング5の図示を省略している。この実施形態では、
含浸剤4は、全体にわたって撚り合わせられた超電導線
1を拘束し抑制する拘束ネット25によって被覆されて
いる。
【0056】以上、本発明の実施形態を開示したが、本
発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の
範囲に逸脱しないように様々な変形例、追加例、代替例
が可能であることは言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】以上、説明したように、本願発明の超電
導スィッチによれば、スィッチ構造が、超電導状態とな
るよう冷却される時、巻軸は超電導線ほど収縮せず、巻
軸に巻回された超電導線内の引張り力が高まる。この結
果、巻軸上での超電導線の安定性が向上する。換言すれ
ば、望ましくない超電導線と巻軸との間の滑りを防止す
ることができ、ワイヤームーブメントの抑制に寄与する
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の超電導スィッチの斜視図である。
【図2】図1の超電導スィッチの側面図であって、ヒー
ター線、含浸剤、ケーシングの図示を省略している。
【図3】本発明の第1実施形態に係る超電導スィッチの
斜視図である。
【図4】図3の超電導スィッチの側面図であって、ヒー
ター線、含浸剤、ケーシングの図示を省略している。
【図5】図3の超電導スィッチの詳細側面図であって、
その上部は断面図である。
【図6】図3の超電導スィッチに用いられる超電導線の
断面図である。
【図7】従来技術の超電導スィッチ(図1)と、本発明
の超電導スィッチ(図3)の超電導状態から抵抗状態へ
転移する電流レベルを比較するグラフである。
【図8】従来技術の超電導スィッチ(図1)と、本発明
の超電導スィッチ(巻軸2の材料をクオーツ繊維強化プ
ラスチックとした超電導スイッチ)の超電導状態から抵
抗状態へ転移する電流レベルを比較するグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る超電導スィッチに
用いられる一対の超電導線の斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る超電導スィッチ
に用いられる超電導線の断面を示している斜視図であ
る。
【図11】本発明の第4実施形態に係る超電導スィッチ
に用いられる超電導線の断面を示している斜視図であ
る。
【図12】本発明の第5実施形態および第6実施形態に
係る超電導スィッチの側面図であって、ヒーター線、含
浸剤、ケーシングの図示を省略している。
【図13】本発明の第5実施形態に係る超電導スィッチ
に用いられる超電導線の、図12の12−12線に沿っ
て視た断面図である。
【図14】図13の超電導線の、図12の13−13線
に沿って視た断面図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る超電導スィッチ
に用いられる超電導線の、図12の14−14線に沿っ
て視た断面図である。
【図16】図15の超電導線の、図12の15−15線
に沿って視た断面図である。
【図17】本発明の第7実施形態に係る超電導スィッチ
の側面図であって、ヒーター線、含浸剤、ケーシングの
図示を省略している。
【図18】本発明の第8実施形態に係る超電導スィッチ
に用いられる超電導線の側面図である。
【図19】本発明の第9実施形態に係る超電導スィッチ
に用いられる超電導線の側面図である。
【図20】本発明の第10実施形態に係る超電導スィッ
チに用いられる超電導線の側面図である。
【図21】本発明の第11実施形態に係る超電導スィッ
チの側面図であって、ヒーター線、含浸剤、ケーシング
の図示を省略している。
【符号の説明】
1 超電導線 1a 超電導電流路 1b 超電導電流路 2 巻軸
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/02 - 39/3904 H01L 39/14 - 39/16 H01L 39/20 H01F 6/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻軸に巻回された少なくとも一対の超電
    導電流路を有し、前記超電導電流路は、開いたループ状
    の超電導線を構成し、各超電導電流路を電流が反対方向
    に流れて往復する超電導スィッチにおいて、前記巻軸
    は、超電導線よりも熱収縮率の小さいクォーツガラス繊
    維強化プラスチックによって形成されていることを特徴
    とする超電導スィッチ。
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