JP3166000B2 - コンクリート構造物の補強用鋼板の加工方法 - Google Patents

コンクリート構造物の補強用鋼板の加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネルなどのコ
ンクリート構造物の補強用鋼板の加工方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】トンネルなどのコンクリート構造物を鋼
板で補強する場合、コンクリート構造物にアンカーボル
トを打設しておき、このアンカーボルトの打設位置を測
量し(アンカーボルトの型取り)、この測量データに基
づいて鋼板に孔あけ加工を行う。
【0003】アンカーボルトの打設位置を測量する方法
として、従来は例えば現場のコンクリート構造物に墨出
し線を引き、この墨出し線を基準にして作業員がメジャ
ーを使用して人手により測量している。
【0004】そして、この測量データをもとにして鋼板
に孔あけ加工するには、該データを現場で作業員が手作
業で野帳に記録して加工工場に持ち帰り、データを基に
鋼板に孔あけの箇所を罫書きして加工している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アンカーボルトの打設
位置の測量を人手により行っているため、測量ミスや、
測量データの受渡し時における記入ミス、記入漏れなど
が生じ、正確な位置に孔あけできないことがある。そし
てかかるミスが生じたときに現場で直ちにこれをチェッ
クし、修正することも困難であり、ミスが判明した場合
は手戻りとなって作業能率がよくない。
【0006】鋼板の孔あけ作業も、孔あけ箇所を罫書き
して行うため、人手によるものとなって孔あけ加工の芯
出し加工効率がよくない。
【0007】また、測量データを現場から加工工場にそ
の都度持ち帰ってから、加工工程に入るため、測量と加
工を同時進行させることができず、作業効率がよくな
い。
【0008】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、測量データの収集やデータの授受にミスが生じるこ
とを防止し、現場でのデータ確認も簡単にでき、手戻り
を無くすことができ、鋼板の孔あけの芯出し作業の効率
も向上でき、型取り測量と孔あけ加工をほぼ同時に進行
でき作業効率をアップできるコンクリート構造物の補強
用鋼板の加工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、アンカーボルトを打設したコンクリート構造
物の構築地点に電子測距・測角儀であるトータルステー
ションを設置し、該トータルステーションでアンカーボ
ルトの打設位置を測量し、測量データを通信回線を使用
して原寸型紙製作事務所に伝送し、ここで計量データに
基づいて鋼板加工用の原寸型紙をプロッターで製作し、
該原寸型紙を鋼板上に重ねて孔あけ加工を行い、孔あけ
した鋼板を現場に搬入しコンクリート構造物に取り付
け、さらに、測量現場に設置のデータ収集装置をトータ
ルステーションに接続することを要旨とするものであ
る。
【0010】請求項1記載の本発明によれば、トータル
ステーションでアンカーボルトの型取り測量を行い、測
量データを通信回線を使用して原寸型紙製作事務所に伝
送し、ここで測量データに基づいて鋼板加工用の孔あけ
位置を記した原寸型紙をプロッターで製作し、該原寸型
紙を鋼板上に重ねて孔あけ加工を行うから、測量データ
の収集、授受にミスが生じることがなく、鋼板の孔あけ
加工の芯出し作業もプロッターで自動的に作製した原寸
の型紙を使用して行うから墨出しが不要となり正確で効
率もよい。
【0011】また、型取り測量、原寸型紙の製作、鋼板
孔あけ加工をほぼ同時進行させることができる。
【0012】請求項2記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、現場にデータ収集装置を設置し、これをトー
タルステーションに接続したから、測量データを現場で
確認でき、測量漏れやデータエラーを現場でチェックで
き、これに迅速に対処でき、手戻りがなくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は本発明のコンクリート
構造物の補強用鋼板の加工方法の実施形態を示す説明図
で、トンネルなどのコンクリート構造物が構築されてい
る現場5に高精度電子測距・測角儀であるトータルステ
ーション1と該トータルステーション1に接続するデー
タ収集装置2を設置する。図中、3はアンカーボルト4
を打設した現場5のコンクリート構造物を示す。このト
ータルステーション1には例えば、株式会社ソキアの商
品名「MONMOS」などの三次元測定システムの測距
・測角儀などが好適である。
【0014】前記トータルステーション1は発光ダイオ
ードを内臓し、該発光ダイオードが変調をかけられて明
暗を繰り返す。そして、その光はトータルステーション
1から発射され、反射されて返ってくると往復した距離
だけの時間遅れが生じ、時間遅れのない発射光と時間遅
れを持つ反射光の間の位相のズレを精密なクロックで数
えることにより距離測定を行う。
【0015】また、角度の測定には光学的ロータリー・
エンコーダを内臓し、このロータリー・エンコーダの等
間隔の目盛りの刻まれたメイン・スケールとそれと平行
した同じように目盛りの刻まれたインデックス・スケー
ルとの重なり具合によって明暗の信号が出され、この数
を数え内挿することで1秒の表示を行う。このロータリ
ー・エンコーダは、縦軸、横軸にそれぞれ取り付けられ
ていて、それぞれ水平角、天頂角を測定する。
【0016】現場事務所6にデータ転送装置8を設置
し、型紙製作地点である例えば機材センター9にデータ
送受信装置10とこれに接続する原寸型紙出力を行うプロ
ッター11を設置する。
【0017】図中13は鋼板12の孔あけ加工を行う孔あけ
加工機を設置した工場である。
【0018】次に図2について鋼板の補強方法について
説明する。まず、現場5でのコンクリート構造物3に打
設してあるアンカーボルト4の型取り、すなわち打設位
置を計測する方法から説明すると、アンカーボルト4の
打設の際には、トータルステーション1による測定が可
能なようにターゲットシート付キャップをアンカーボル
ト4に取り付け、トータルステーション1を設置する。
【0019】そして、トータルステーション1で任意の
基準点(仮想原点)を測量しデータ収集装置2に自動記
録した後、アンカーボルト4の位置を測量する。
【0020】測量データはトータルステーション1に接
続してあるデータ収集装置2に転送され、直ちにモニタ
ー上に表示される。よって、現場5でこの内容を確認
し、測量漏れやデータエラーをチェックし、誤りが発見
されればその場でトータルステーション1により再度測
量する。
【0021】測量結果に問題がなければ、測量データを
デジタル化して現場5に設置の、または現場事務所6に
設置のデータ転送装置8から電話回線で型紙製作事務所
である例えば機材センター9に設置のデータ送受信装置
10に伝送する。
【0022】データ送受信装置10で受信したデジタル化
した測量データを原寸型紙出力用に変換し、プロッター
11で鋼板12と同寸の原寸型紙14を製作する。この原寸型
紙14にはアンカーボルト4の位置が実寸で記されてい
る。
【0023】この原寸型紙14を工場13に搬入し、鋼板12
に重ね合わせて孔あけ加工機で孔あけ加工する。この場
合、原寸型紙14に孔あけ位置が明確に記されているか
ら、ポンチ打ち芯出し作業の効率がアップする。
【0024】このようにして孔あけ加工した鋼板12を現
場5に搬入し、コンクリート構造物3に取り付ける。
【0025】以上の工程でアンカーボルト4の型取り測
量、原寸型紙出力、鋼板孔あけ加工はいずれもトータル
ステーション1、データ転送装置8やデータ送受信装置
10、プロッター11、原寸型紙14を使用する孔あけ加工機
を使用して自動的に行え、さらに測量データは電話回線
などを利用してデジタル化した信号として伝送するか
ら、これら型取り測量、原寸型紙出力、鋼板孔あけ加工
の工程を同時進行的なものとできる。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように本発明のコンクリート
構造物の補強用鋼板の加工方法は、トータルステーショ
ンでアンカーボルトの型取り測量を行い、測量データを
通信回線を使用して原寸型紙製作事務所に伝送するか
ら、測量データの収集、授受にミスが生じることがな
く、原寸型紙製作事務所で測量データに基づいて鋼板加
工用の孔あけ位置を記した原寸型紙をプロッターで製作
し、鋼板の孔あけ加工の芯出し作業もプロッターで自動
的に作製した原寸の型紙を使用しこれを鋼板上に重ねて
行うから墨出しによるミスを防止でき、ポンチ打ち芯出
しの作業の効率もよい。
【0027】また、型取り測量をトータルステーション
で機械的に行い、測量データを電話回線でデジタル信号
として伝送し、この測量データを受信しこれに基づいて
原寸型紙を自動的に製作し、さらにこの原寸型紙を使用
して鋼板孔あけ加工を行うから、これらの作業工程をほ
ぼ同時進行させることができ、システム全体として効率
のよいものである。
【0028】さらに、現場にデータ収集装置を設置し、
これをトータルステーションに接続したから、測量デー
タを現場で確認でき、測量漏れやデータエラーを現場で
チェックでき、これに迅速に対処でき、手戻りがなくな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート構造物の補強用鋼板の加
工方法の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明のコンクリート構造物の補強用鋼板の加
工方法の工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…トータルステーション 2…データ収集装置 3…コンクリート構造物 4…アンカーボルト 5…現場 6…現場事務所 8…データ転送装置 9…機材センター 10…データ送受信装置 11…プロッター 12…鋼板 13…工場 14…原寸型紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝田 寿 大阪府大阪市西区阿波座一丁目3番15号 鹿島建設株式会社 関西支店内 (72)発明者 鐵岡 龍司 大阪府大阪市西区阿波座一丁目3番15号 鹿島建設株式会社 関西支店内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンカーボルトを打設したコンクリート
    構造物の構築地点に測距・測角儀であるトータルステー
    ションを設置し、該トータルステーションでアンカーボ
    ルトの打設位置を測量し、測量データを通信回線を使用
    して原寸型紙製作事務所に伝送し、ここで測量データに
    基づいて鋼板加工用の原寸型紙をプロッターで製作し、
    該原寸型紙を鋼板上に重ねて孔あけ加工を行い、孔あけ
    した鋼板を現場に搬入しコンクリート構造物に取り付け
    ることを特徴とするコンクリート構造物の補強用鋼板の
    加工方法。
  2. 【請求項2】 測量現場に設置のデータ収集装置をトー
    タルステーションに接続する請求項1記載のコンクリー
    ト構造物の補強用鋼板の加工方法。
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