JP3165681U - 野球用バット - Google Patents

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Abstract

【課題】木製バットに類似した性能を有しており、しかも価格や資源保護の面にも優れた野球用バットを提供する。【解決手段】野球用バットの素材として、短冊状の竹片26を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片25を積層させた矩形断面の強化ブロック21と、短冊状の竹片36だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック31、33と、を用いて、横断面から見て、中心側に複数の強化ブロック21を配置する。さらに、その外周を取り囲むように四個の外側ブロック31、33を配置する。硬質片25は、中心付近に配置されるため、バットの両端を途切れることなく貫通しており、曲げ荷重に対する剛性が向上する。そのため打撃の際の変形が抑制され、飛距離の向上などを期待できる。また、硬質片25の使用数も少なく、製造コストを抑制できる。【選択図】図1

Description

本考案は、野球競技で使用される野球用バットに関する。
硬式野球で使用される木製バットは、打撃の際の強烈な荷重に耐える必要があり、素材となる樹木は、アオダモやメイプルやホワイトアッシュなどに限られている。しかし、これらの樹木は生息域が比較的狭く、しかも育成に長い年月を要するため、最近では資源の枯渇が進んでおり、木製バットを安価に供給することが難しい情勢になっている。これに対して金属バットは、大量生産で安価に供給可能だが、軽量で反発係数も大きいため、打撃側が一方的に有利になり、試合が円滑に進まない恐れがある。そのため国内のプロ野球では、金属バットの使用が認められていないほか、アマチュア野球でも何らかの制限を設ける場合がある。
従来の木製バットの代替として、木片や竹片を貼り合わせた各種の接合バットが製品化されており、最も広く普及しているのは、全体を竹片で構成した竹バットである。竹バットの素材となるのは、大径に成長する孟宗竹が一般的で、伐採された竹は、長手方向に引き裂かれて、細長い短冊状の竹片に加工される。その後、節などを取り除き、次に竹片を接着剤で貼り合わせて正方形断面の母材を製造して、これを旋盤加工で所定の形状に仕上げている。なお接合バットの一種として、ラミバットと呼ばれる製品も存在している。ラミバットは、中心部に竹片を配置して、その周囲にメイプルなどの板材を貼り合わせたもので、グリップ部分は完全な竹製になるが、打撃部分の外周は木製バットと同等の素材で覆われる。
バットに関する技術開発は歴史が古く、これまでにも多数の特許等が出願されており、その中で本願と関連のある案件の例を以下に示す。特許文献1は、バットの強度を向上するため、中心に藤の木を貫通させたことを特徴としている。また特許文献2は、バットの中心に鉄棒を差し込んだことを特徴としており、折損の防止や強度の向上を目的としている。次の特許文献3は、竹バットの構造に関するもので、竹片の配置方法などが開示されている。最後の特許文献4は、竹バットの反発力を改善することを目的としており、中心部分に硬質な材料を使用して、その両側に竹材を接着して打撃部分を形成している。
実明4262号公報 実明63303号公報 実明379399号公報 実公昭35−016213号公報
竹バットなどの接合バットは、木製バットの一種とみなされており、公式戦での使用も想定される。また竹は、成長が早く繁殖力も旺盛で資源が枯渇する恐れはない。さらに接着剤の改良も進んでおり、衝撃や経年劣化で接着面が剥がれることはなく、安全性についても何ら問題はない。しかし竹は周知のように、曲げ荷重に対する剛性に乏しく、竹バットについても打撃の際、全体が弓状に変形して衝撃を吸収してしまうため、従来の木製バットのような飛距離を得ることができず、公式戦での使用は難しい。なお前記のラミバットについても、グリップ部分は竹片だけで構成されており、剛性に関しては竹バットと大差がない。
バットの剛性を向上するには、特許文献1のように、何らかの芯材を組み込むことが考えられる。しかしこの文献のような円断面の芯材は、周囲の木材との接着面にバランス良く圧力を加えることが困難で、接着強度が不足しやすい。また特許文献2のように、金属や樹脂などを芯材にした場合、木製バットの一種とは認められず、競技団体が定める各種規則により、公式戦での使用が認められない恐れがある。そのほか特許文献4のバットは、グリップ部分の全体が硬質な素材で構成され重量が増加するほか、打撃の際の反動がそのまま手に伝達するため使用感が劣り、試合での使用には適しておらず、素振りなど練習用途が中心になる。
本考案はこうした実情を基に開発されたもので、従来の木製バットに類似した性能を有しており、しかも価格や資源保護の面にも優れた野球用バットの提供を目的としている。
前記の課題を解決するための請求項1記載の考案は、短冊状の竹片を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片を積層させた正方形断面の強化ブロックと、短冊状の竹片だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロックと、をそれぞれ四個用いており、横断面において、前記硬質片の角部が中心に位置するようにして四個の前記強化ブロックを風車状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロックを配置してあり、前記ブロックの全ては接着で一体化してあり、前記硬質片は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バットである。
本考案による野球用バットは、従来の竹バットを基本として、その内部に硬質片を組み込んだことを特徴としている。竹バットは、伐採した竹を長手方向に引き裂いて、細長い短冊状に加工した竹片を素材としているが、本考案は、この竹片の一部を硬質片に置き換えたものである。硬質片は、バットの剛性を高めるために使用しており、曲げ荷重による変形が竹よりも小さいもので、竹片と同様に細長い短冊状にして内部に組み込む。なお硬質片は、公式戦での使用制限を受けないよう、金属や合成樹脂ではなく、硬質の木材や何らかの処理を施した木材を使用して、木製バットの一種として取り扱われることが好ましい。
通常の接合バットを製造する際は、まず竹片などを接着で一体化した母材を製造して、これを旋盤加工で所定の形状に仕上げている。したがって母材は、一辺の長さ70mm程度の正方形断面で、さらに旋盤加工時のつかみ代を考慮して、全長900mm程度とすることが多い。本考案は、この母材を一気に製造するのではなく、まず正方形断面または長方形断面のブロックを複数製造して、これを接着で一体化して母材を完成させる。個々のブロックは、母材と同じ全長であり、母材の長手方向において、複数のブロックを継ぎ足して配置することはない。なお請求項中の「横断面」とは、バットや母材やブロックの長手方向に対して直交する輪切り状の面を指している。
本考案で必要となるブロックは、外側ブロックと強化ブロックの二種類で、これらを四個ずつ使用して一個の母材が完成する。外側ブロックは、竹片の広い面(表面と裏面)を上下に向けた状態で、接着剤を塗布しながら上下方向に積層したものである。したがって外側ブロックの横断面は、平行にそろった竹片が一列に並んでおり、細長の長方形となる。ただし四個全てを同じ寸法にする訳ではなく、母材を製造する際の都合により、二個は竹片の積層数を多くする。
強化ブロックは、外側ブロックと同様、向きを揃えた竹片に接着剤を塗布しながら積層したものだが、その一端側に限り、竹片を硬質片に置き換えたものである。硬質片の厚さは、竹片と同等またはやや大きめとする。硬質片は、バットの強度を確保する上で重要な役割を担っており、途切れることなくブロックの両端を一本で結ぶものとする。なお強化ブロックの横断面は、四個とも同一寸法の正方形とする。
このような外側ブロックと強化ブロックを用いて母材を製造する際は、その横断面の中心寄りに四個の中心ブロックを正方形状に配置して、その外周を取り囲むように四個の外側ブロックを配置する。なお四個の強化ブロックは、硬質片と竹片で構成される模様が風車状になるようにする。風車状とは、母材の中心を原点として一定の角度(この場合は90度)で回転移動させた配置方法を意味する。さらに個々の強化ブロックの四隅のうち、硬質片側の一箇所は、母材の中心に一致させる。したがって四個の硬質片は、一端が中心に集まっており90度間隔で並んでいる。
外側ブロックは、四個の強化ブロックの外周を覆い隠すように配置する。外側ブロックは、前記のように竹片の積層数の多いものと少ないものがあり、そのうち積層数が多い方を対向する二辺に配置して、積層数が少ない方は、これと直交する二辺に配置する。積層数が少ない方は、先に配置した一対の外側ブロックの間に挟み込むように配置する。したがって外側ブロックは、四個の中心ブロックを隙間なく覆い隠すことができるよう、あらかじめ形状を調整しておく。なお外側ブロックは、その長辺側(横断面の)を強化ブロックに接触させて、竹片ができるだけ半径方向に沿って延びるようにする。
各ブロックを接着で一体化した後は、従来の竹バットと同様、旋盤加工で所定の形状に仕上げていく。製品化された状態において、バットの先端部分は、全周が外側ブロックで覆われており、側周面には竹片だけが現れる。対するグリップ部分は、断面径が絞り込まれており、外側ブロックが削り取られてしまい、竹片の間に硬質片が現れる。しかし硬質片は、グリップ部分でも途切れることはなく、バットの剛性向上に貢献している。
硬質片の具体例としては、ヒッコリーや樫(カシ)が挙げられる。ヒッコリーは、主に北米東部に生息しているクルミ科の広葉樹で、木材としては硬質で衝撃荷重にも強く、古くはゴルフクラブにも使用されていた。乾燥した状態での比重は約0.85で竹よりも大きく、バットの剛性を高めるほか重量も増加する。また樫についても、ヒッコリーには及ばないが相応の剛性と比重を有しており、各種工具の柄などに使用されている。ヒッコリーや樫は、資源が豊富で入手性に問題はない。
請求項2記載の考案は、短冊状の竹片を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片を積層させた矩形断面の強化ブロックと、短冊状の竹片だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロックと、をそれぞれ四個用いており、横断面において、前記硬質片の角部が中心に位置するようにして且つ模様を平行にそろえて四個の前記強化ブロックを正方形状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロックを配置してあり、前記ブロックの全ては接着で一体化してあり、前記硬質片は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バットである。
この考案は、請求項1記載の考案と同様、強化ブロックと外側ブロックを四個ずつ使用して母材が完成する。強化ブロックの横断面は四個とも同一形状とするが、正方形に限定される訳ではなく、長方形を含む矩形状であればよい。また四個の強化ブロックは、硬質片や竹片による模様を平行にそろえて、しかも四個の硬質片が中心に集まるようにして、正方形状に配置する。そのため、四個の硬質片で一個の長方形が構成される。なお外側ブロックは、請求項1記載の考案と同様、竹片だけを積層したもので、四個の強化ブロックの外周を取り囲むように配置する。
請求項3記載の考案は、短冊状の竹片を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片を積層させた正方形断面の強化ブロック二個と、短冊状の竹片だけを一列に積層させて且つ前記強化ブロックと断面寸法が同一の内側ブロック二個と、短冊状の竹片だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック四個と、を用いており、横断面において、前記硬質片の角部が中心に位置するようにして二個の前記強化ブロックと二個の前記内側ブロックを交互且つ風車状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロックを配置してあり、前記ブロックの全ては接着で一体化してあり、前記硬質片は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バットである。
この考案も、請求項1記載の考案と類似しているが、強化ブロックを四個から二個に削減しており、この削減分を補うため、二個の内側ブロックを用いている。内側ブロックは、硬質片がなく竹片だけで構成されているが、その横断面の寸法は、強化ブロックと同じである。そして強化ブロックと内側ブロックは、横断面から見て交互に配置(市松模様状)してあり、しかも模様が風車状になるように並んでいる。さらに個々の強化ブロックの四隅のうち、硬質片側の一箇所は、母材の中心に一致させる。したがって二個の硬質片は、段差を有するが直線状に並んでいる。
このように、強化ブロックを四個から二個に削減した上、二個の内側ブロックを使用することで、先の請求項1記載の考案に比べて硬質片の使用数が半減して、一段と製造コストを抑制できる。ただし二個の硬質片は、段差を有するが直線状に並んでおり、打撃の際、硬質片の端面の延長線上で投球を捕らえることができれば、バットの変形が抑制されて飛距離が向上する。
請求項4記載の考案は、略中央に短冊状の硬質片を一個または二個配置してその両側に短冊状の竹片を一列に積層させた長方形断面のコアブロック二個と、短冊状の竹片だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック四個と、を用いており、横断面において、二個の前記コアブロックを正方形状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロックを配置してあり、前記ブロックの全ては接着で一体化してあり、前記硬質片は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バットである。
この考案は、内部に二個のコアブロックを配置して、これを外側ブロックで囲むもので、外側ブロックは、以前の請求項に記載した考案と同じである。またコアブロックは、竹片の広い面(表面と裏面)を上下に向けた状態で、接着剤を塗布しながら上下方向に積層したものだが、その中央に位置する竹片の一個または二個を硬質片に置き換えている。したがってコアブロックの横断面は、竹片の積層方向が長辺となる長方形であり、二個のコアブロックの長辺同士を接触させてほぼ正方形状にして、その外周を取り囲むように四個の外側ブロックを配置する。なお、二個のコアブロックが接触した状態では、竹片や硬質片で構成される模様が平行にそろう。
コアブロックの中央に挟み込まれる硬質片は、以前の請求項に記載した考案と同じもので、一個のコアブロックについて一個または二個使用され、さらに竹片よりも厚くしても構わない。なお二個のコアブロックの長辺同士を接触させた状態において、それぞれの硬質片は、段差なく直線状に並ぶ場合もあるが、段違いで直線状に並ぶ場合もある。
請求項1記載の考案のように、野球用バットの素材として、一端に硬質片を有する強化ブロックと、竹片だけを積層した外側ブロックと、用いて、四個の強化ブロックを風車状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロックを配置することで、硬質片が途切れることなくバットの両端を貫通して、曲げ荷重に対する剛性が向上する。そのため打撃の際の変形が抑制され、飛距離の向上などが期待できる。なお本考案で用いる硬質片は、バットの中心付近に配置してあり、断面径が絞り込まれるグリップ部分を効率よく強化でき、従来に比べて破損しにくくなる。
また横断面から見て、硬質片が90度間隔で配置されるため、バットをどのように握っても剛性に大差がなく、安定した打撃性能を期待できる。さらに竹片や硬質片は短冊状であり、無理なく接着面に圧力を加えることができ、接着不良が生じにくく信頼性にも優れる。そのほか本願考案は、従来の竹バットのごく一部を硬質片に置き換えただけであり、従来の製造工程をそのまま流用できるほか、硬質片は計四個だけで残りは竹片であり、製造コストを抑制できる。
請求項2記載の考案のように、野球用バットの素材として、一端に硬質片を有する強化ブロックと、竹片だけを積層した外側ブロックと、を用いて、硬質片を中心に集積させて且つ模様を平行にそろえた状態で四個の強化ブロックを正方形状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロックを配置することで、硬質片が両端を途切れることなく貫通して、請求項1記載の考案と同様の効果を発揮する。
また横断面から見て、四個の硬質片が集積されて一個の細長い長方形状になり、この端面の延長線上で投球を捕らえることができれば、バットの変形を抑制でき、打撃性の向上を期待できる。そのほか本願考案も、従来の竹バットのごく一部を硬質片に置き換えただけであり、請求項1記載の考案と同様、製造コストを抑制できる。
請求項3記載の考案のように、野球用バットの素材として、一端に硬質片を有する強化ブロックと、竹片だけを積層した内側ブロックと、同じく竹片だけを積層した外側ブロックと、を用いて、二個の強化ブロックと二個の内側ブロックを市松模様状かつ風車状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロックを配置することで、硬質片が両端を途切れることなく貫通して、請求項1記載の考案と同様の効果を発揮する。
また横断面から見て、硬質片は、段差を有するが直線状に並んでおり、この端面の延長線上で投球を捕らえることができれば、バットの変形量を抑制でき、打撃性の向上を期待できる。そのほか本願考案も、従来の竹バットのごく一部を硬質片に置き換えただけであり、従来の製造工程をそのまま流用できるほか、硬質片は二個だけで残りは竹片であり、製造コストを一段と抑制できる。
請求項4記載の考案のように、野球用バットの素材として、中央に硬質片を挟み込んだコアブロックと、竹片だけを積層した外側ブロックと、を用いて、模様が平行にそろうように二個のコアブロックを正方形状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロックを配置することで、硬質片が両端を途切れることなく貫通して、請求項1記載の考案と同様の効果を発揮する。
また横断面から見て、それぞれのコアブロックに挟み込まれた硬質片は、集積して一本の細長い直線状になり、この端面の延長線上で投球を捕らえることができれば、バットの変形量を抑制でき、打撃性の向上を期待できる。そのほか本願考案も、従来の竹バットのごく一部を硬質片に置き換えただけであり、請求項1記載の考案と同様、製造コストを抑制できる。
請求項1記載の考案に基づく野球用バットの形状例を示す図である。 図1に示す野球用バットの元になる母材の横断面図で、上側の図は各ブロックを接着する前で、下側の図は接着した後である。 請求項2記載の考案に基づく野球用バットの形状例を示す図である。 図3に示す野球用バットの元になる母材の横断面図で、上側の図は各ブロックを接着する前で、下側の図は接着した後である。 請求項3記載の考案に基づく野球用バットの形状例を示す図である。 図5に示す野球用バットの元になる母材の横断面図で、上側の図は各ブロックを接着する前で、下側の図は接着した後である。 請求項4記載の考案に基づく野球用バットの形状例と、その母材の横断面を示しており、一個のコアブロックに一個の硬質片を挟み込んでいる。 請求項4記載の考案に基づく野球用バットの形状例と、その母材の横断面を示しており、一個のコアブロックに二個の硬質片を挟み込んでいる。 請求項4記載の考案に基づく野球用バットの形状例と、その母材の横断面を示しており、一個のコアブロックに厚さを増した一個の硬質片を挟み込んでいる。 本考案による母材と野球用バットの形状例を示す斜視図である。
図1は、請求項1記載の考案に基づく野球用バット11aの形状例を示している。この野球用バット11aは、全長が約840mm、投球を捕らえる打撃部分の直径が約60mm、グリップ部分の直径が約25mmで、従来の竹バットと同様、短冊状に加工した竹片26、36を素材とした接合バットの一種だが、竹片のごく一部を硬質片25に置き換えたことを特徴としている。なお、この野球用バット11aは、竹片26、36や硬質片25を単純に一体化した訳ではなく、C−C端面図のように、中心側に位置する四個の強化ブロック21と、その上下左右を取り囲む四個の外側ブロック31、33と、に細分化される。
個々の強化ブロック21は、三個の竹片26と一個の硬質片25を貼り合わせたもので、その横断面は正方形で、硬質片25は一端側に位置している。硬質片25は、竹よりも硬質のヒッコリーを素材としており、B−B端面図のように、先端から末端まで途切れることなく貫通している。そのため従来の竹バットに比べて剛性が高くなっており、打撃の際の変形が抑制される。なお硬質片25の素材としては、ヒッコリーのほか樫も適している。
四個の強化ブロック21は、C−C端面図のように、硬質片25と竹片26で構成される模様が風車状になるように配置してある。さらに、硬質片25の角部の一つは中心に位置している。そのため四個の硬質片25は、段差を有するが十字状になっており、左側面図にもこれが現れている。このように、四個の硬質片25が十字状になることで、バットの側周面のどの位置で投球を捕らえても剛性に大差がなく、打撃性能に優れている。なお個々の強化ブロック21を正方形断面とすることで、これらを風車状に配置したものも、正方形断面になる。
四個の強化ブロック21を取り囲む外側ブロック31、33は、竹片36の表裏面に接着剤を塗布して一列に積層したものだが、C−C端面図のように、左右に配置する外側ブロック31は竹片36の積層数を多くしてあり、上下に配置する外側ブロック33は、積層数を少なくしてあり、無理なく強化ブロック21を取り囲むことができる。なお外側ブロック31、33の竹片36は、打撃の際の剛性を確保するため、横断面から見て、その長手方向ができるだけ半径方向に沿うようにしてある。
強化ブロック21や外側ブロック31、33を構成する竹片26、36は、伐採した竹を繊維方向に引き裂いた細長い短冊状で、C−C端面図やD−D端面図において、斜線が引かれている細長い長方形の区画がその一個に相当する。なお一個の竹片26、36の横断面は、長辺が15mm、短辺が5mm程度だが、天然由来でばらつきがある。また竹は本来円筒状であるため、厳密には竹片26、36も湾曲しているが、その幅は、元の竹の直径に比べて十分に小さいため、平面状の板として扱うことができる。
C−C端面図のように打撃部分は大径であり、四個の強化ブロック21は正方形状に並んでおり、これを取り囲む外側ブロック31、33は、円形に削り取られている。対して、断面径が絞り込まれたグリップ部分では、D−D端面図のように、外側ブロック31、33は、完全に削り取られており、さらに強化ブロック21の外周も削り取られて円形になっている。しかし硬質片25は、その端部がわずかに削り取られるだけであり、この端面では必然的に硬質片25の占める割合が大きくなる。そのためグリップ部分は、効率よく剛性を高めることができる。
図2は、図1に示す野球用バット11aの元になる母材15aの横断面を示しており、上側は各ブロックを接着する前の状態で、下側は接着した後の状態だが、いずれも図1のC−C端面図やD−D端面図と同じ方向から見たことを想定している。母材15aは、横断面の一辺が70mmの正方形で、先端から後端まで同じ横断面形状である。また強化ブロック21は、三個の竹片26と一個の硬質片25を貼り合わせたもので、これを四個用いて風車状に並べている。そして強化ブロック21の左右には、竹片36の積層数が多い外側ブロック31を配置して、さらに上下には、積層数が少ない外側ブロック33を配置して、四個の強化ブロック21の全周を隙間なく取り囲む。なお強化ブロック21と外側ブロック31、33の製造を終えた段階で、後工程での接着不良を防止するため、これらの表面を平滑化している。
図3は、請求項2記載の考案に基づく野球用バット11bの形状例を示している。この野球用バット11bは、基本的に図1と同様の構成だが、強化ブロック21の配置を変えている。四個の強化ブロック21は、C−C端面図のように、正方形状に配置してあり、さらに硬質片25と竹片26で構成される模様が全て横向きで平行にそろっている。また四個の硬質片25は、中心に集積して一個の横長の長方形状になっており、この左右両端から作用する荷重に対しては、剛性が向上する。そのため図の左右両端で投球を捕らえることができれば、打撃性が向上する。
図4は、図3に示す野球用バット11bの元になる母材15bの横断面を示しており、上側は各ブロックを接着する前の状態で、下側は接着した後の状態である。強化ブロック21は、三個の竹片26と一個の硬質片25を貼り合わせたもので、これを四個用いて、向きをそろえて正方形状に並べている。そして強化ブロック21の外周を取り囲むように、四個の外側ブロック31、33を配置している。なお、この図の強化ブロック21は正方形断面であるが、長方形断面とすることもできる。
図5は、請求項3記載の考案に基づく野球用バット11cの形状例を示している。この野球用バット11cも、基本的には図1と同様の構成だが、強化ブロック21を二個に削減しており、その代用として二個の内側ブロック23を配置している。内側ブロック23は、単純に竹片26だけを積層したものだが、その横断面の寸法は、強化ブロック21と同じである。二個の強化ブロック21と二個の内側ブロック23は、C−C端面図のように、それぞれが交互に並び、しかも硬質片25や竹片26で構成される模様が風車状になっている。なお二個の硬質片25は、中心部分で段差を有するが直線状に並んでおり、左右両端から作用する荷重に対しては、剛性が向上する。そのため図の左右両端で投球を捕らえることができれば、打撃性が向上する。
図6は、図5に示す野球用バット11cの元になる母材15cの横断面を示しており、上側は各ブロックを接着する前の状態で、下側は接着した後の状態である。強化ブロック21は、三個の竹片26と一個の硬質片25を貼り合わせたもので、また内側ブロック23は、四個の竹片26を積層したもので、その横断面の寸法は強化ブロック21と同じである。そして強化ブロック21と内側ブロック23は、二個ずつを市松模様状かつ風車状に並べている。
図7は、請求項4記載の考案に基づく野球用バット11dの形状例と、その母材15dの横断面を示している。この野球用バット11dは、二個のコアブロック22を正方形状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロック31、33を配置している。コアブロック22は、竹片26と硬質片25を一列に積層した長方形断面だが、硬質片25は、ほぼ中央に一個だけを配置している。二個のコアブロック22を横並びにすると、二個の硬質片25は段差を有するが直線状に並び、この左右両端から作用する荷重に対しては、剛性が向上する。そのため硬質片25の端面の延長線上で投球を捕らえることができれば、打撃性が向上する。
図8は、請求項4記載の考案に基づく野球用バット11eの形状例と、その母材15eの横断面を示している。この野球用バット11eは、図7と同様、二個のコアブロック22を正方形状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロック31、33を配置している。ただし個々のコアブロック22の中央には、二個の硬質片25を挟み込んでいる点が相違する。二個のコアブロック22を横並びにすると、四個の硬質片25は、中心に集積して一個の横長の長方形状になり、この左右両端から作用する荷重に対しては、剛性が向上する。そのため硬質片25の端面の延長線上で投球を捕らえることができれば、打撃性が向上する。なお、この野球用バット11eの横断面形状は、図3に示すものとほぼ同一になる。
図9は、請求項4記載の考案に基づく野球用バット11fの形状例と、その母材15fの横断面を示している。この野球用バット11fは、図7や図8と同様、二個のコアブロック22を正方形状に配置して、これを取り囲むように四個の外側ブロック31、33を配置している。ただし個々のコアブロック22の中央には、厚さを増した硬質片25を挟み込んでいる。このように硬質片25の厚さを変えることで、剛性を調整することもできる。
図10は、本考案による母材15と野球用バット11の形状を示している。野球用バット11の元になる母材15は、このような正方形断面の細長い棒状で、強化ブロック21や外側ブロック31、33などを貼り合わせて一体化したものである。各ブロック21、31、33は、竹片36などを貼り合わせて一体化したもので、母材15と同じ全長である。したがって母材15は、金太郎飴と同様、どの横断面も同じ形状になる。このような母材15を旋盤加工で所定の形状に仕上げた後、塗装などを行うと野球用バット11が完成する。
11a、11b、11c、11d、11e、11f 野球用バット
15a、15b、15c、15d、15e、15f 母材
21 強化ブロック
22 コアブロック
23 内側ブロック
25 硬質片
26 竹片
31 外側ブロック(竹片の積層数の多い方)
33 外側ブロック(竹片の積層数の少ない方)
36 竹片

Claims (4)

  1. 短冊状の竹片(26)を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片(25)を積層させた正方形断面の強化ブロック(21)と、
    短冊状の竹片(36)だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック(31、33)と、
    をそれぞれ四個用いており、
    横断面において、前記硬質片(25)の角部が中心に位置するようにして四個の前記強化ブロック(21)を風車状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロック(31、33)を配置してあり、
    前記ブロック(21、31、33)の全ては接着で一体化してあり、
    前記硬質片(25)は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バット。
  2. 短冊状の竹片(26)を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片(25)を積層させた矩形断面の強化ブロック(21)と、
    短冊状の竹片(36)だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック(31、33)と、
    をそれぞれ四個用いており、
    横断面において、前記硬質片(25)の角部が中心に位置するようにして且つ模様を平行にそろえて四個の前記強化ブロック(21)を正方形状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロック(31、33)を配置してあり、
    前記ブロック(21、31、33)の全ては接着で一体化してあり、
    前記硬質片(25)は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バット。
  3. 短冊状の竹片(26)を一列に積層させて且つその一端側に短冊状の硬質片(25)を積層させた正方形断面の強化ブロック(21)二個と、
    短冊状の竹片(26)だけを一列に積層させて且つ前記強化ブロック(21)と断面寸法が同一の内側ブロック(23)二個と、
    短冊状の竹片(36)だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック(31、33)四個と、
    を用いており、
    横断面において、前記硬質片(25)の角部が中心に位置するようにして二個の前記強化ブロック(21)と二個の前記内側ブロック(23)を交互且つ風車状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロック(31、33)を配置してあり、
    前記ブロック(21、23、31、33)の全ては接着で一体化してあり、
    前記硬質片(25)は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バット。
  4. 略中央に短冊状の硬質片(25)を一個または二個配置してその両側に短冊状の竹片(26)を一列に積層させた長方形断面のコアブロック(22)二個と、
    短冊状の竹片(36)だけを一列に積層させた長方形断面の外側ブロック(31、33)四個と、
    を用いており、
    横断面において、二個の前記コアブロック(22)を正方形状に配置してあり、更にその外周を取り囲むように四個の前記外側ブロック(31、33)を配置してあり、
    前記ブロック(22、31、33)の全ては接着で一体化してあり、
    前記硬質片(25)は、先端から末端までを途切れることなく貫通していることを特徴とする野球用バット。
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