JP3165106B2 - 光可変波長フィルタ - Google Patents

光可変波長フィルタ

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JP3165106B2 JP13635298A JP13635298A JP3165106B2 JP 3165106 B2 JP3165106 B2 JP 3165106B2 JP 13635298 A JP13635298 A JP 13635298A JP 13635298 A JP13635298 A JP 13635298A JP 3165106 B2 JP3165106 B2 JP 3165106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光波長多重伝送や
光周波数多重伝送のシステムにおいて、波長(周波数)
信号の合波器や分波器などに用いられる光可変波長フィ
ルタとその製造方法並びにフィルタの波長透過特性の調
整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光信号を波長に応じて任意に選択分離す
ることのできる光可変波長フィルタは波長多重通信シス
テムを構成する上に極めて有用な光部品の一つであり、
これを実現する各種のデバイス方式の中でも、特性や大
きさの観点から、とりわけ誘電体基板の音響光学効果や
電気光学効果による光導波モード変換を利用した光導波
路型光可変波長フィルタ(それぞれ、AOTF、EOT
Fと略記する)の開発が進められている。
【0003】AOTFは、圧電性を有する誘電体結晶基
板表面に光導波路を形成し、この光導波路の前後に、入
射する光の偏光を整える入射偏光子と、出射する光の偏
光を選択する出射偏光子と、光導波路に光透過方向に沿
って表面弾性波を励振する表面弾性波トランスデューサ
から成る基本構造を有する。またEOTFでは、電気光
学効果を有する結晶基板上に、光導波路と、この光導波
路上に形成され、この導波路に沿って周期構造を成すモ
ード変換用電極、及び選択波長の同調のために用いる温
度調節用素子によって構成される。
【0004】AOTF並びにEOTFの動作原理はとも
に、予め偏光分離した光信号をTE/TMモード変換器
に通し、再び偏光分離素子に通すことによって特定波長
の光が取り出され、帯域フィルタ動作するものである。
【0005】上記のモード変換器は、AOTFでは表面
弾性波の励振、EOTFでは周期的電界の印加によっ
て、それぞれ音響光学効果、電気光学効果を介して、導
波路に沿った周期的な屈折率変化を発生させる。この屈
折率変化では屈折率楕円体の主軸方向が変わるため、導
波光のTE/TMモード間の変換が局所的に発生する。
この時、光波長λ、屈折率変化の周期Λ、偏光モード間
の複屈折率差Δnに対して、λ/Δn=Λとなる場合に位
相整合条件が満たされ、この波長近傍の光が結果として
選択的にモード変換を受ける。
【0006】フィルタ波長の選択(同調)は、AOTF
では印加RF周波数の変化による表面弾性波の波長変
化、EOTFでは温度調節用素子への通電による光導波
路の複屈折率差の温度変化によって行う。
【0007】一般の帯域通過型のろ波器がそうであるよ
うに、AOTF、EOTFの波長特性も、一般に選択
(中心)波長を透過させる主透過領域(メインローブ)
の両側に副透過領域(サイドローブ)を有する形とな
る。サイドローブレベルが高いと異なる光波長信号チャ
ンネル間のクロストークの原因となるため、この抑圧が
この種のフィルタにおける解決すべき技術的な課題の一
つとなっている。
【0008】このサイドローブレベルを抑圧する方法に
はいくつかの方法が提案されている。そのうちの一つ
は、TE、TM両偏光間の結合係数の大きさを光導波路
方向に沿って空間的に重み付けをするという手法が採ら
れている。例えばAOTFでは、この重み付けを行う手
段として、導波光と表面弾性波の相互作用の強度を導波
路の光透過方向に中央部で大きく、両端部で徐々に小さ
くなるように、例えば円弧状の表面弾性波励振電極を用
いて導波路中央に集束する進行波音場を形成して、サイ
ドローブを抑圧することが試みられている。
【0009】しかしながら、実際に作製される素子の波
長透過波長特性は、多くの場合、中心波長に対して非対
称な形状になり、片側のサイドローブレベルの上昇によ
り、隣接チャンネルとのクロストーク特性が悪くなるこ
とが起こる。この非対称な透過波長特性が現れる原因と
しては、光導波路の作製ばらつきや、フィルタ動作時の
温度分布によって、光導波路のTEおよびTMモード間
の複屈折率差の大きさが光伝搬方向に一定でなく、分布
を生じてくることが原因の一つとして説明されている。
【0010】この中心波長に対して非対称な波長透過特
性が生ずる問題を解決する方法の1つとして、導波路の
光導波方向に沿った複数の電極対を導波路を挟んで配列
し、それぞれの電極対間に掛ける直流電圧の大きさを調
整して、導波路中に生じている複屈折率差の光透過方向
への揺らぎの分布を、電気光学効果を介して相殺して一
様に近づける方法が考えられている。
【0011】また、光導波路のTEおよびTMモード間
の複屈折率差に分布を付けることによって生ずる、波長
透過特性の非対称化を積極的に利用したサイドローブ抑
圧の方法も示されている。この例では、モード変換部が
2段縦属に接続された構成になっており、前段および後
段それぞれのモード変換部において、光導波路幅を光伝
搬方向に沿って変化させ、前段モード変換部と後段モー
ド変換部とで、光導波路幅の増減の仕方を互いに反転さ
せている。それぞれの段における波長特性(モード変換
の波長依存性)の中心波長に対する非対称性が互いに左
右反転するため、これら前段および後段を縦属して透過
させて形成されるフィルタの波長特性は、相互の非対称
特性が掛け合わさって、大小のサイドローブ同士が打ち
消し合うことにより、結果として中心波長の両側のサイ
ドローブレベルが抑圧されることになるというものであ
る。
【0012】しかしながら、以上に述べた従来例におけ
るフィルタ波長特性の非対称性を除去する方法には、各
々、以下に述べるような問題点がある。
【0013】すなわち、直流電圧を常に結晶に印加し
て、屈折率差分布を相殺する方法では、フィルタ基板と
して多く使用される強誘電体結晶材料にしばしば観測さ
れる直流電界ドリフト現象が誘発される。このため、こ
れを回避するための印加電圧の制御が新たに必要である
など、制御が複雑化する。
【0014】また、伝搬方向に沿って光導波路幅を変化
させて複屈折率差の分布を精密に設定しておく方法で
は、素子の動作時の発熱や導波路形成時のプロセスの揺
らぎなどによって生ずる複屈折率差の分布を、導波路を
設計する前に予め計算や測定などによって見込んでおく
必要がある。何故なら、素子を作製した後では光導波路
幅の調整は不可能であるためである。しかしながら、実
際の素子においてこの複屈折率差の分布を設計時点で正
確に見積もることは非常に困難である。
【0015】以上の観点から、素子を作製した後から必
要に応じて波長フィルタ特性の調整ができることが望ま
れる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情を鑑み、素子を一旦作製した後でもフィルタの波
長特性の調整を行うことで、外部からの電圧印加などを
必要とせずに、中心波長に対して非対称性の少ない波長
特性を有する光可変波長フィルタならびにその製造方法
を提供し、また、高い歩留まりおよび収率を実現する波
長特性の調整方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決のため
に、本発明による光可変波長フィルタは、基板上に形成
された光導波路の近傍に、光導波路の局所的な複屈折率
差補正のための光導波路への歪み付与手段を設けたこと
を特徴としている。
【0018】とくに、本発明の請求項1に係わる発明に
よる光可変波長フィルタは基板上の光導波路に励振し
た表面弾性波の音響光学効果により前記光導波路を伝わ
る導波光のモード変換を利用する光可変波長フィルタで
あり、前記光導波路の近傍の基板上に、部分的に除去さ
れ、前記光導波路に沿って、除去された箇所数や面積
を、前記導波路に存在する複屈折率差分布に応じて設定
し、前記基板との熱膨張の差を利用した前記光導波路へ
の歪み付与膜を備えたことを特徴としている。
【0019】また、本発明の請求項2記載の発明の光可
変波長フィルタは前記基板上の光導波路に励振した表
面弾性波の音響光学効果により前記光導波路を伝わる導
波光のモード変換を利用する光可変波長フィルタが前記
導波路の光透過方向に複数段縦属して形成されている
とを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して詳細に説明する。
【0021】図1に基づいて本発明の光波長可変フィル
タの構成について説明する。
【0022】図1(a)は、本発明の一実施例としての
音響光学型の光波長可変フィルタ(AOTF)の平面
図、図1(b)は図1(a)のA−B線に沿った断面図
である。1は誘電体結晶基板、2は基板表面に形成され
た光導波路、3はこの導波路に弾性的な歪みを与える歪
み付与膜、4aは導波路3に入射する光の偏光を整える
入射偏光子、4bは出射偏光子で、これら偏光子4aと
4bの配置は、帯域透過フィルタとして用いる場合には
それらの透過偏光面が互いに直交するように、帯域抑止
フィルタとして用いる場合には透過偏光面が互いに平行
となるように設定する。5は光導波路2に表面弾性波8
を励起するための交差指状電極、6は表面弾性波吸収体
である。
【0023】入射偏光子4a通じてTEモードが導波路
2に励起される。TEモードは導波路2を伝搬するにつ
れ、交差指状電極5を介して励振される表面弾性波8に
よってTM波にモード変換され、導波路2を出射する。
出射側に設けられた偏光子4bは透過偏光面がTM即ち
入射の偏光子と透過偏光面が直交するように設定してお
くと、表面弾性波8の波数をKとし、TEモードの波数
をkTE、TMモードの波数をkTMとした時、|kTE−k
TM|=Kを満たす近傍の波長の光波が選択的にモード変
換を受け出射偏光子を透過し、それ以外の波長の光波は
モード変換を受けず、出射偏光子で遮断されて、帯域透
過フィルタ特性が形成される。表面弾性波の周波数を変
えることによって、モード変換を起こす光波の波長が変
えられ、波長可変フィルタ動作が実現する。しかしなが
ら、従来の技術の項で述べたような理由により、しばし
ば光導波路中の複屈折率差が光進行方向に沿って一定で
はなく分布を生ずると、フィルタの波長特性は非対称に
なり片側のサイドローブレベルが上昇し、隣接チャンネ
ルへのクロストークを増大させる。
【0024】これを補正する手段として、本発明の光波
長可変フィルタは、誘電体結晶等の基板1上に形成され
た光導波路2と、この光導波路に表面弾性波を励振する
交差指状電極5に加えて、光導波路に弾性的な歪みを与
える歪み付与膜3を有することを特徴とする。この歪み
付与膜3を有すること、或いは歪み付与膜3の形状等を
変化させることによって、中心波長に対して左右の対称
度の高いフィルタ波長特性が得られる。この構成を用い
た本発明のフィルタの波長特性の調整方法及びその原理
について、図1(a)、図2(a)、(b)、(c)に
基づいて説明する。
【0025】図2(a)は光導波路に沿った複屈折率差
の分布の例を示す図であり、図2(b)は図2(a)に
対応した透過光の波長特性を示す図である。また、図2
(c)は本発明によるフィルタ波長特性調整後に得られ
る光波長フィルタの透過波長特性を示す図である。
【0026】図1(a)の表面弾性波が導波光に作用を
及ぼす相互作用領域7において、素子形成後の光導波路
の光伝搬方向に沿った複屈折率差が、従来の技術の項で
述べたように、例えば相互作用領域の中央部の複屈折率
差が周辺部よりも大きくなるような分布を生じた場合
(図2(a))、得られるフィルタ波形は図2(b)の
ように短波長側のサイドローブレベルが上昇した形状に
なる。
【0027】本発明のフィルタ波形の調整方法の第一の
実施形態は、予め装荷してある歪み付与用薄膜3の形状
や分布をトリミングして変えることによって、光導波路
の領域における歪みの分布を変える方法である。このト
リミングをすることで、局所的なTEおよびTMモード
それぞれの屈折率nTE、nTMも歪み変化に応じて光弾性
効果を介して変化する。この場合、一般に歪み変化によ
る直交する2つの偏光方向の屈折率変化量は等しくない
ため、結果として歪み付与膜の形状または装荷の有無が
変化した箇所近傍の光導波路の複屈折が変化する。図2
(b)のような短波長側のサイドローブレベルが高いフ
ィルタ波形の場合には、相互作用領域中央部における複
屈折率差を小さくするように歪み付与膜3の形状や分布
を調整する。
【0028】具体的には、Xカットニオブ酸リチウム結
晶基板上に伝搬方向がY方向であるような光導波路を形
成し、温度降下時に発生する残留熱歪みの分布を、基板
並びに熱膨張係数が基板材料よりも小さい歪み付与膜材
料との間の熱膨張係数の差によって調整する場合には、
導波路の中央部付近の歪み付与膜を部分的に除去すれば
この効果が得られる。
【0029】その理由は、高温で歪み付与膜を形成した
後で温度を常温に戻すことによって、光導波路近傍の基
板に圧縮歪みが発生し、この歪みが光弾性効果を介して
導波路や周辺部に屈折率の変化を生じさせるが、このX
カットY伝搬の方位の結晶基板を用いる場合、屈折率の
変化は、Z方向偏光の方がX方向偏光よりも大きく増加
するからである。
【0030】なお、上記の説明はYカットニオブ酸リチ
ウム結晶基板上に伝搬方向がX方向であるような光導波
路が形成されている場合にも当てはまる。
【0031】図3(a),(b)は、本方法に従ったフ
ィルタ波形調整の際の、それぞれ、歪み付与膜の除去前
及び除去後の形態の例を示す平面図である。図の(a)
から(b)へと、相互作用領域の中央部の歪み付与膜3
を部分的に除去することで、相互作用領域における複屈
折率差の分布が均一に近づき、前述の図2(c)に示し
たような中心波長に対して左右の対称度の高いフィルタ
特性が得られる。
【0032】歪み付与膜の歪み調整の前の形状や調整後
の形状は、各種の形を取ることが出来る。図3(c)、
(d)、(e)は、本発明のフィルタ波形の調整の後ま
たは前における歪み付与膜の配置及び形状を示す平面図
である。
【0033】図2(b)に示したように短波長側のサイ
ドローブレベルが上昇した形状のフィルタ特性の場合、
波長特性の対称度を改善するためには、歪み付与膜の除
去後の形状(2次元分布)は、例えば図3の(c)や
(d)に示すように相互作用領域の中央部の除去箇所数
や面積が周辺部よりも多い形状や、図3(e)に示すよ
うに中央部における除去後の歪み付与膜の残存部と光導
波路との距離が周辺部のそれよりも長い形状のように形
成すればよい。
【0034】また、光導波路幅の幅や深さの分布など、
素子作製のばらつきなどにより発現する複屈折率差の分
布の傾向が、図2(a)に示すように、相互作用領域の
中央部が周辺部よりも屈折率差の値が大きいような分布
なっていることが予め分かっている場合には、最初から
歪み付与膜の形状を例えば図3(c)、(d)、(e)
のようなものにして設置しておけば、後からトリミング
を行うことなく複屈折率差の分布を補正することもでき
る。
【0035】
【0036】また、歪み分布調整の方法に関して、基板
上に装荷した薄膜の部分的除去を利用することに限定さ
れるわけではない。薄膜の装荷の代わりに、基板に溝や
坑等の凹凸を発生させるような加工を以て光導波路を含
んだ領域における歪み分布の調整をする方法を取るこ
と、及び本方法を前記歪み付与膜の装荷や除去による複
屈折率差調整方法と組み合わせることも、本発明フィル
タ波形の調整方法の実施形態の変形に含むことができ
る。
【0037】本発明の光フィルタは、例えば図4(a)
〜(g)の工程図に示す以下の方法によって製造され
る。基板1上に例えばTiやNi、Zn、Cu等の導波
路コア部を形成するためのドーパント物質のストライプ
11をフォトリソグラフィ法などによって所望の光導波
路パタンの形状に形成(図4(a))し、これを900
〜1100℃程度の温度における数時間程度の熱処理に
て基板中に拡散することによって基板1上に光導波路2
を形成する(同図(b))。次に前記基板に高温中で酸
化シリコン等の材料からなる歪み付与用膜3を厚さ数百
nm〜数十μm程度成膜した後で室温に戻す(同図
(c))。フォトレジスト或いはCr,Ti,Au、多
結晶シリコン等の材料からなる所望のマスクパターン1
2を歪み付与用膜3の上に形成し(同図(d))、これ
をマスク材に用いて歪み付与用膜3のリアクティブ・イ
オン・エッチング法等のドライエッチングまたはウェッ
トエッチングを行うことで歪み付与用膜3が所望の形状
にパタン化される(同図(e))。前記マスク材除去の
後で、基板上の所望の位置に表面弾性波励振用の交差指
状電極5を形成(同図(f))し、最後に表面弾性波吸
収体6を形成する(同図(g))。交差指電極材料には
例えばAlやCuなどを、表面弾性波吸収体の材料には
例えばゴムや接着剤等の樹脂類を用いればよい。なお、
本発明の目的とする効果を得る上では、必ずしも前記マ
スク材を取り除く必要はない。
【0038】上記の本発明の光波長フィルタの製造方法
において、前記歪み付与膜3を高温中で成膜した後に常
温に戻すという工程が含まれているのは、発生する歪み
をより大きくして複屈折率差の値の変化量を大きくする
ためである。その理由は、高温から常温に戻す際に、基
板と膜との間の熱膨張係数の相違に起因した大きな歪み
が誘起されるからである。更に、成膜温度と使用温度
(常温)との差を変えることで歪み付与膜の除去による
複屈折率差変化の幅を調整出来るという利点も得られ
る。
【0039】この成膜温度は基板材料の相転移が起こら
ない温度であればよく、基板材料が例えばニオブ酸リチ
ウムである場合には約1200℃まで適用可能である。
ただし、成膜温度を極端に高温にしすぎると基板に誘起
される歪みが限界を超えて基板が破損する点、及び光導
波路形成の際に拡散したチタン等の原子が更に拡散する
(再拡散)ことを考慮する必要がある。従って前記のニ
オブ酸リチウムを基板に、歪み付与膜の材料を酸化シリ
コンにした場合には、基板が破損せず、且つ再拡散の影
響の比較的少ない温度である100〜300℃程度での
成膜が好ましい。
【0040】図1の本発明の第一の実施の形態では、ほ
ぼ波面が平面の表面弾性波を導波光に作用させるよう
に、交差指状電極5は直線状の電極で構成する場合を述
べたが、例えば湾曲した交差指状電極から発生される収
束または発散するような波面の表面弾性波を導波光に作
用さる等の従来技術の項で述べたような表面弾性波に強
度分布を持たせてTE、TM両モード間の結合強度に空
間的重み付けを加える構成に対しても本発明は有効であ
る。
【0041】また、モード変換部を複数段接続してサイ
ドローブ抑圧するAOTFに対しても、本発明を適用す
ることは有効である。
【0042】ここまで述べた発明の実施の形態では、音
響光学効果によるモード変換を利用した光波長可変フィ
ルタ(AOTF)の場合について述べたが、電気光学効
果によるモード変換を利用した光波長可変フィルタ(E
OTF)の場合についても同様に適用することができ
る。
【0043】図5はその電気光学効果による光波長可変
フィルタの構成を表す平面図であり、1は電気光学効果
を有する結晶基板、2は光導波路、3は歪み付与膜、2
0は光導波路2の上に形成され、この導波路に沿って周
期構造を成すモード変換用電極、21は選択波長の同調
のために用いる温度調節用素子、4a、4bはそれぞれ
入射偏光子、出射偏光子である。
【0044】モード変換用電極20に印加した電界V1
が、導波路中光透過方向に周期的に屈折率楕円体の主軸
の傾きの周期を作り、この周期によって導波光にモード
変換が起こり、AOTFにおける表面弾性波が果したと
同様に、帯域フィルタ特性を実現する。そして、温度調
節用素子21への通電V2による基板結晶の複屈折の温
度変化を利用することによって、モード変換を起こす光
波の中心波長が可変同調される。
【0045】この電気光学効果を用いた実施の形態にお
けるフィルタ波長特性の調整方法は、前述の音響光学効
果を用いた実施形態におけるものと同様、導波路中に生
じている複屈折率差の光透過方向への揺らぎを、歪み付
与膜3を加工して光弾性効果を介して相殺し、一様化に
することによって実現される。
【0046】また、同じく従来のAOTFについて述べ
たように、モード変換部を複数段接続してサイドローブ
抑圧する型の音響光学フィルタと同様、電気光学効果を
利用した可変波長フィルタ(EOTF)においても、同
じように構成することが出来、これに対しても、本発明
を適用することは有効である。
【0047】また、モード変換用電極の電極指を間引い
たりすることでTE、TM両偏光間の結合強度に空間的
重み付けを加える構成のEOTFに対しても本発明の適
用は可能である。
【0048】本発明のフィルタ特性の調整方法におけ
る、前記装荷した歪み付与膜の形状や分布のトリミン
グ、並びに基板に溝や坑等の凹凸を形成するような加工
は、具体的には、例えば物理的エッチングや化学的エッ
チング、さらには、レーザー照射による蒸発などの加工
方法によって行うことができる。
【0049】レーザー照射による加工をする場合、素子
のフィルタ特性を実時間でモニタしながら、例えばAr
F,KrFガス等のエキシマレーザー光や,炭酸ガスレ
ーザー光等の照射を用いることによる、歪み付与膜の部
分的除去並びに基板への溝,坑等の形成を行うことが可
能である。このような方法を採ることで、フィルタ波長
特性調整の際のフィルタ波形測定のための冶具等の設定
や歪み付与膜除去等の工程の繰り返し回数を少なくする
ことができ、素子形成後からフィルタ特性の調整が終了
するまでに要する時間を短縮することが出来る。
【0050】また、光導波路を形成する基板はニオブ酸
リチウムに限定される訳でない。即ち、有効な圧電定数
や電気光学定数を有し、歪み付与膜の装荷による歪みに
よって誘起される屈折率変化のTEおよびTMのモード
間による差(光導波路伝搬方向に垂直かつ互いに直交す
る方向のバルク屈折率変化の差)が存在するものであれ
ば構わなく、例えばタンタル酸リチウム等を用いても構
わない。
【0051】また、基板上に装荷される歪み付与用膜の
材料は酸化シリコンに限定されるわけでない。より好ま
しくは、熱膨張係数が基板のそれと大きく異なる材料で
あればよく、光導波路を形成する基板が例えばニオブ酸
リチウムである場合には、歪み付与膜の材料は窒化シリ
コンさらには金属やポリマーなども可能である。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光導波路を含む領域での局所的な弾性歪みの調整によっ
て複屈折率差分布を調整するという基本構成に基づき、
フィルタ特性の波長非対称性の低減した光可変波長フィ
ルタが提供される。
【0053】従って、歩留まり・収率の高い光波長フィ
ルタの生産が容易に実現でき、これによって本光波長フ
ィルタ用いた多様な波長多重光通信ネットワークシステ
ムを構築することが可能となる。
【0054】なお、本発明は上記各実施例に限定され
ず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適
宜変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光可変波長フィルタの構成の一実施形
態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は図1
(a)のA−Bに沿って切断した断面図である。
【図2】複屈折率差分布の例を示す図とフィルタ波長特
性を示す図であって、(a)は複屈折率差分布の例を示
し、(b)は図2(a)の複屈折率差分布におけるフィ
ルタ透過光の波長特性を示す図であり、(c)は本発明
のフィルタ特性調整後の透過光の波長特性を示す図であ
る。
【図3】本発明の光可変波長フィルタの波長特性調整方
法の実施の形態を示す図のフィルタ特性調整前及び後の
歪み付与膜の配置及び形状を示す平面図であって、
(a)はフィルタ特性調整前の歪み付与膜の配置及び形
状を示す平面図であり、(b)はフィルタ特性調整後の
歪み付与膜の配置及び形状を示す平面図であり、(c)
はフィルタ特性調整後の歪み付与膜の別なる配置及び形
状を示す平面図であり、(d)はフィルタ特性調整後の
歪み付与膜のさらに別なる配置及び形状を示す平面図で
あり、(e)はフィルタ特性調整後の歪み付与膜のさら
に別なる配置及び形状を示す平面図である。
【図4】本発明の光可変波長フィルタの製造方法の一実
施形態を示す工程図である。
【図5】本発明の光可変波長フィルタの構成の別の実施
形態の平面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 光導波路 3 歪み付与膜 4a 入射偏光子 4b 出射偏光子 5 交差指状電極 6 表面弾性波吸収体 7 相互作用領域 8 表面弾性波 11 ストライプ 12 所望のマスクパターン 20 モード変換用電極 21 温度調節用素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−101363(JP,A) 特開 平5−323248(JP,A) 特開 平8−43777(JP,A) 特開 平9−211403(JP,A) 特開 平6−250131(JP,A) 特開 平6−289239(JP,A) 特公 平7−18964(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/125 G02F 1/035 G02B 6/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の光導波路に励振した表面弾性波
    の音響光学効果により前記光導波路を伝わる導波光のモ
    ード変換の波長依存性を利用する光可変波長フィルタで
    あり、前記光導波路の近傍の基板上に、部分的に除去さ
    れ、前記光導波路に沿って、除去された箇所数や面積
    を、前記導波路に存在する複屈折率差の分布に応じて設
    定された、前記基板との熱膨張の差を利用した前記光導
    波路への歪み付与を備えたことを特徴とする光可変波
    長フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記基板上の光導波路に励振した表面弾
    性波の音響光学効果により前記光導波路を伝わる導波光
    のモード変換を利用する光可変波長フィルタが前記導波
    路の光透過方向に複数段縦属して形成されていることを
    特徴とする請求項1記載の光可変波長フィルタ。
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