JP3164082U - 弁当箱用内装部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】衛生面の劣化を生じさせることなく、弁当箱の内装の装飾性を向上させることが可能な装飾部材を提供する。【解決手段】表面に意匠をほどこした装飾部材1は、方形の弁当箱2の内部を装飾する弁当箱用内装部材とするため、縦長を弁当箱の内法高さと同一又はこれより僅かに短い長さとし、横長を弁当箱の内法長辺と短辺との和と同一又はこれより僅かに短い長さとし、装飾面を弁当箱の内側に向かって表示する。さらに、横長の一方端から弁当箱の短辺の長さに位置する箇所において縦方向の折り目を施すことで弁当箱の内側面21に沿ってL字形に配することができ着脱可能とする。また、この内装部材の材質としては、積層構造を有する厚紙としても良い。【選択図】図2

Description

本考案は、弁当箱の内装に適したシート状の部材に関する。
食器は、単に食材を盛り付けるための器としての機能だけではなく、食事を視覚的にも楽しむにあたって重要な役割を果たしている。旬の食材を、季節に応じた様々な模様をあしらった食器に盛ることで、食卓は華やいだものとなる。食事を単なる栄養補給や空腹を満たすための手段から、季節を愛で、共に卓を囲む人々の気持ちを高める、コミュニケーションと癒しの場へと昇華させる。
弁当箱もまた、さまざまな意匠が凝らされたものが古くから多数存在してきた。漆塗りの上に螺鈿(貝殻の真珠層を薄く板状にして加工したもの)や金箔などを施した絢爛な弁当箱の装飾は、安土桃山時代には確立し、その後上流階級が用いる更に豪華なもの、或いは実用性を追求したものなど多様性をもって進化していったと言われている。
このように漆塗りの弁当箱には古くからの伝統があるところ、それ自体高価であることから、例えば季節に応じた食器を揃えるように漆塗りの弁当箱を複数種類所有することは経済的に負担である。花見や夏祭り、紅葉狩りや正月のおせち料理など、季節ごとの模様をあしらったものを使用したいという希望をかなえる事が困難であった。
こうした課題に対し、例えば特許文献1には、外箱と内箱とを備えた弁当箱であって、外箱の側壁に透過孔を貫設し、外箱の内部にして外箱の側壁の間近に外面を着色した取り換え可能な装飾部材を設けることで模様、呈観を変更させることが可能な弁当箱が提案されている。また特許文献2には、底面を合成樹脂製の透明体で形成し、底部両側に溝レールを設け、両溝レール間にメッセージを記載した表示板3を出し入れ可能に構成した弁当箱が開示されている。
実用新案登録第3126844号 実開平5−82317
しかし、特許文献1に記載の弁当箱では、透過孔の形状は決まっており、そこに現れる装飾部材の模様のみでしか外観に変化を持たせることができなかった。またそもそも外観に変化を持たせることができるのが、弁当箱の外側についてのみであった。加えて食材を入れる弁当箱の構造としては凹凸が生じすぎてしまい、洗いづらく、衛生面において却って不具合が生じるものであった。一方特許文献2に記載の弁当箱では、食材を食べてしまうまでは変化を施した装飾を見ることができず、装飾をも料理の一部と見立てて喫食することはできなかった。また溝レール等の構造を導入することでやはり凹凸が生じ、衛生面において劣るものであった。
そこで本考案が解決しようとする課題は、装飾を施すことによって衛生面の劣化を生じさせることなく、弁当箱の内装の装飾性を向上させることが可能な装飾部材を提供することにある。
本考案に係る装飾部材は、方形の弁当箱の内部を装飾する弁当箱用内装部材であって、縦長を弁当箱の内法高さと同一又はこれより僅かに短い長さとし、横長を弁当箱の内法長辺と短辺との和と同一又はこれより僅かに短い長さとし、装飾面が弁当箱の内側に向かって表示され、横長の一方端から弁当箱の短辺の長さに位置する箇所において縦方向の折り目を施すことで弁当箱の内側面に沿ってL字形に配することができ着脱可能であることを特徴とする(請求項1)。この内装部材の材質としては、積層構造を有する厚紙とすることができる(請求項2)。
また積層構造のうち、前記折目に沿って折り曲げた際に最も内側に位置する層が透視可能な樹脂フィルム層であることを特徴とすることができる(請求項3)。更に、積層構造のうち、前記折目に沿って折り曲げた際の最外面の一部又は全部に粘着部材を施すこともできる(請求項4)。
本考案に係る弁当箱用内装部材によれば、螺鈿や金箔などを施した場合には単一の装飾しか楽しむことができなかったのに対し、装飾の図柄を季節や場面等に応じて適宜手軽に変更することができる。特に中に食器を入れて用いる壁高(側壁高さが概ね5cm以上のもの)の弁当箱の場合、喫食する者の目に弁当箱の中身と共に側壁の装飾が飛び込んでくるから、より喫食の際の興趣が向上する。
また内装部材の縦長を弁当箱の内法高さと同一又はこれより僅かに短い長さとしておくことにより、見た目に違和感なく内装部材を楽しむことができる。横長を弁当箱の内法長辺と短辺との和と同一又はこれより僅かに短い長さとし、横長の一方端から弁当箱の短辺の長さに位置する箇所において縦方向の折目を施すことにより、内装部材を弁当箱内側壁2面に沿ってL字形に配することができるから、これを対に対向するように用いることで内側壁全体を装飾することができる。L字形の形状とすることにより、内装部材が自立可能であり、かつ着脱が極めて容易である。
この内装部材の材質としては、紙、プラスチック、金属等種々考えられるものの、前述のように自立可能であること、また折り曲げ可能であること、更に原材料コストや加工容易性を考慮に入れれば、一定程度の厚みを持った積層構造を有する厚紙が望ましい。更に、食品を入れる弁当箱という点に鑑み、食品に接する可能性のある最内面に位置する層に透視可能な樹脂フィルム層を設け、装飾絵柄をその下層(内装部材として用いた際の、外側の層)に施すことにより、装飾に用いたインク等が食品と接する可能性が全くない状態で用いることができる。更に内装部材のうち弁当箱の内側壁と接する面、つまり折目に沿って折り曲げた際の最外面に粘着部材を配しておけば、内装部材が弁当箱と適切に貼着され、内装部材がずれて内容物に影響を与えることも無い。更には弁当箱の側の汚れや傷を防止することもできるから、不衛生とならないばかりか、より衛生的に弁当箱を用いることができる。弁当箱内側に視認可能に表示される装飾面には季節ごとに応じた花鳥風月や、その他の風物詩など、あらゆるものや風景をモチーフとした装飾を施すことができるが、その面積の多くを占める背景を漆塗りの色と同じ黒色とすることにより、内装部材を施した場合であっても違和感なく用いることができる(請求項5)。
本考案に係る弁当箱用内装部材の正面図である。(a)は装飾を施さない状態の正面図であり、(b)は第一の装飾例(夜桜)を施した状態の正面図であり、(c)は第二の装飾例(紅葉)を施した状態の正面図である。 本考案に係る弁当箱用内装部材1,1を、弁当箱に装着する状態を示す図である。 本考案に係る弁当箱用内装部材の積層構造を示す図である。
以下、適宜図示しつつ、本考案の最適な実施形態につき説明する。
図1は、本考案に係る弁当箱用内装部材(以下、単に「内装部材」ということがある。)を示した正面図である。ここに示すように、本内装部材は横長の帯状のシート形状を有している。その寸法は弁当箱に合わせて適宜設定可能であるが、本実施例における弁当箱の内法が(短辺)×(長辺)×(高さ)=24×43.5×7.5cmとなっていることから、縦長(V)は7.3cm、横長(S+L)は46.9cmと、それぞれ弁当箱内法の高さ、及び短辺と長辺の和よりも僅かに短い長さとしている。これは、高さに関して言えば、弁当箱の開口部に蓋をする際に、内装部材の上面が接触することにより蓋を通じて湿気を吸収してしまうことを防止するためである。また横長に関して言えば、弁当箱の内側壁に沿って配置する際の遊びをもたせることと、内装部材自体の厚さを考慮してのことである。なお本実施例においては厚さは約1mmである。
本内装部材には、横長方向の一方端から弁当箱の略短辺に相当する長さSの位置に折り目1fが設けられており、弁当箱に装着する際にはこの折れ線に沿って谷折りすることで、弁当箱の開口部側から見た際にL字形の形状を有することで弁当箱の内側面のうち連続する2面にそって本内装部材を配置させることができる。すなわち、本内装部材は2枚を一対として用いられ、弁当箱の内側面に装飾を施す役割を果たす。
このようにL字形にすることにより、内装部材を自立させることができる一方、例えば4面を口の字状に囲む部材と比べ、印刷、切断等の製造面で容易性が高く、弁当箱に装着する際にも手早く簡単に装着する事ができる。
図1(b)及び図1(c)は、実際に装飾を施している内装部材の例を示したものである。通常壁高の弁当箱においては、直に食材を配置するのではなく、食材を盛り付けた種々の食器がそのまま弁当箱内に配置される。そのため喫食前の状態にあっても、弁当箱の側面は各料理とともに喫食者の目に飛び込んでくる。図1(b)は夜桜を描いた装飾であり、図1(c)は紅葉を描いた装飾であるが、これらと料理との季節感が一致する事により、益々食事の興趣が向上する。
なお、装飾の対象である弁当箱が漆塗りのものである場合、図1(b)及び図1(c)のように、背景が黒色の装飾を施すことにより、もともとの色と違和感なく溶け込むことから、装飾としての美観は更に高められる。
図2は、本考案に係る弁当箱用内装部材1,1を、弁当箱2に装着する状態を示す図である。折り目1fで折ることによりL字形に形成した一対の内装部材1,1は、その短辺及び長辺が弁当箱2の内法の短辺及び長辺よりそれぞれ僅かに短い寸法にて構成されている。したがって、弁当2の開口部からそのまま嵌め込むことにより、内装部材1,1を弁当箱2の内側面21に沿った位置に容易に配することができる。
また内装部材は、積層構造を有する厚紙を素材として用いることができる。そしてその積層構造のうち最外面、つまり弁当箱2の内側壁21に接する面の一部又は全部に、粘着部材を備えておけば、弁当箱を使用する間内装部材1を弁当箱2と固着させることが可能となり、取扱がより容易となる。なお弁当箱2に傷をつけないことと、食品に悪影響を与えないよう、粘着部材は低粘度かつ経口摂取して問題のないもの、例えば澱粉糊などが望ましい。
図3は、本考案に係る弁当箱用内装部材1の積層構造を示した断面図である。内装部材の基盤層31は厚紙により構成されている。厚紙はそれ自体が製造過程において厚みを有するために複数のパルプ層を有する積層構造となっている。装飾層32は、別途作成した写真、絵柄を基盤層31に積層してもよく、或いは基盤層31の上に直接インク等で装飾を施してもよい。フィルム層33は、装飾層32が視認可能なように透視可能な樹脂フィルムにより構成されており、装飾層のインク等が食材に接触することを防ぐのと同時に、食材の汁や湿気によって装飾層32に描かれた装飾が滲む等の劣化が生じ装飾面の美観が損なわれることを防止する。
また図示するように、粘着層34を弁当箱2の内側壁側に設けても良い。図示においては全面的に粘着層を配置しているが、これに限らず、基盤層31の内側壁側に点在させてもよい。これにより、内装部材1を弁当箱2に装着する際に、安定して固着させることができる。
このように、TPOに応じて内装を変化させることが可能な内装部材1を用いることで、場面に応じた複数の弁当箱を備えることなく楽しみのバリエーションを増すことができる。またそもそも、漆塗りの弁当箱においては装飾の仕方に自ずと限界があったことから、こうした内装部材1とともに食事を楽しむことにより、興趣が向上する。
1 弁当箱用内装部材(内装部材)
1A 第一の装飾例(夜桜)
1B 第二の装飾例(紅葉)
1f 折り目
2 弁当箱
21 内側面
31 基盤層
32 装飾層
33 フイルム層
34 粘着層


Claims (5)

  1. 方形の弁当箱の内部を装飾する弁当箱用内装部材であって、
    縦長を弁当箱の内法高さと同一又はこれより僅かに短い長さとし、
    横長を弁当箱の内法長辺と短辺との和と同一又はこれより僅かに短い長さとし、
    装飾面が弁当箱の内側に向かって表示され、
    横長の一方端から弁当箱の短辺の長さに位置する箇所において縦方向の折り目を施すことで弁当箱の内側面に沿ってL字形に配することができ着脱可能であることを特徴とする、
    弁当箱用内装部材。
  2. 積層構造を有する厚紙からなることを特徴とする、請求項1に記載の弁当箱用内装部材。
  3. 前記積層構造のうち、前記折目に沿って折り曲げた際に最も内側に位置する層が透視可能な樹脂フィルム層であることを特徴とする、請求項2に記載の弁当箱用内装部材。
  4. 前記積層構造のうち、前記折目に沿って折り曲げた際の最外面の一部又は全部に粘着部材が施されていることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の弁当箱用内装部材。
  5. 前記装飾面の背景が黒色であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の弁当箱用内装部材。



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