JP3163537B2 - 廃棄物分解処理装置 - Google Patents

廃棄物分解処理装置

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JP3163537B2 JP26906497A JP26906497A JP3163537B2 JP 3163537 B2 JP3163537 B2 JP 3163537B2 JP 26906497 A JP26906497 A JP 26906497A JP 26906497 A JP26906497 A JP 26906497A JP 3163537 B2 JP3163537 B2 JP 3163537B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家畜から排出され
る糞尿、家庭から排出される生ごみ、下水の汚泥等の有
機廃棄物を発酵分解処理するための廃棄物分解処理装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】糞尿、生ごみ等の有機廃棄物を処理する
廃棄物分解処理装置として、例えば図11に示す構成の
ものが知られている。この廃棄物分解処理装置100
は、図11に示されるように、平面視長方形に形成され
た外壁50A内に有機廃棄物Mが貯留され、かつ、その
中央部分に長手方向に沿う中間仕切壁50Bが設けられ
るとともに、長手側に位置する2組の外壁50A上に水
平方向(矢印(イ)ー(ロ)方向)にガイド51が設け
られた貯留槽50と、走行用モータ52を有し該走行用
モータ52の駆動によってガイド51に沿って走行され
る走行フレーム54と、走行フレーム54上に搭載され
て、下部に位置する有機廃棄物Mを上部に掻き揚げるこ
とによって該有機廃棄物Mを発酵分解処理する撹拌羽根
55を有する撹拌機56と、を具備するものであって、
前記撹拌羽根55は、撹拌機56に設けられた撹拌用モ
ータ57によって駆動されるようになっている。図11
中符号56aはチェーン等からなる無端巻装体であり、
撹拌用モータ57の回転駆動力が無端巻装体56aに伝
達されることにより撹拌羽根55が駆動される。また、
走行フレーム54上には、水平面内である矢印(ハ)ー
(ニ)方向に沿って撹拌機56を走行自在に支持する回
転レール58と、該撹拌機56を回転レール58に沿っ
て矢印(ハ)方向に走行させる回転用モータ59と、が
設けられている。
【0003】そして、以上のような構成によって廃棄物
分解処理装置100は次のように動作される。 (1)走行用モータ52の駆動によって走行フレーム5
4を矢印(イ)方向に走行させつつ、撹拌用モータ57
の駆動によって撹拌機56の撹拌羽根55を矢印方向
に回転させる。これによって撹拌機56は、貯留槽50
内の有機廃棄物Mを撹拌しつつ矢印(イ)方向に走行す
ることになる。 (2)走行フレーム54が矢印(イ)方向の末端に至っ
た場合には(図11に示すような場合)、走行用モータ
52、撹拌用モータ57の駆動を一時停止した後、回転
用モータ59を駆動し、これによって走行フレーム54
上の撹拌機56を矢印(ハ)方向に沿って180゜回転
させる。
【0004】(3)走行用モータ52の駆動によって走
行フレーム54を矢印(ロ)方向に走行させつつ、撹拌
用モータ57の駆動によって撹拌機56の撹拌羽根55
を矢印方向に回転させる。これによって撹拌機56
は、貯留槽50内の有機廃棄物Mを撹拌しつつ矢印
(ロ)方向に走行することになる。 (4)走行フレーム54が矢印(ロ)方向の末端に至っ
た場合には、走行用モータ52、撹拌用モータ57の駆
動を一時停止した後、回転用モータ59を駆動し、これ
により走行フレーム54上の撹拌機56を矢印(ハ)方
向に沿って180゜回転させる。 そして、以上のような(1)〜(4)の処理を繰り返し
行うことによって、貯留槽50内の中間仕切壁50Bの
周囲に一方向に撹拌機56が走行され、これによって該
貯留槽50内の有機廃棄物Mが連続的に撹拌発酵される
ようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記廃棄物
分解処理装置100では、撹拌発酵の進行に伴って、撹
拌羽根55に付着する有機廃棄物Mの量が多くなった
り、撹拌機56が進行方向後方や下方でも有機廃棄物M
を撹拌するため無駄な駆動抵抗を生じてしまうといった
ことに起因して、撹拌の効率が低下するといった問題が
生じていた。すなわち、本装置100が処理する有機廃
棄物Mは水分を含んでおり撹拌羽根55に付着しやすく
なっているが、付着量が多くなると撹拌羽根55によっ
て撹拌される有機廃棄物Mの量が減少するため、撹拌機
56の駆動量に対して撹拌量が減少する。しかしなが
ら、各撹拌羽根55に付着した有機廃棄物Mを除去する
作業には膨大な労力を要するため、有効な対策が求めら
れていた。また、本装置100の撹拌機56は進行方向
前側の有機廃棄物Mを撹拌することが目的であるが、常
時有機廃棄物M内に埋没状態になっているため進行方向
後方や下方の有機廃棄物Mをも撹拌して無駄な駆動抵抗
が増大するので、撹拌の効率が低下する。加えて、駆動
抵抗の増大に対応して、撹拌機56や該撹拌機56を支
持する構造物の強度を向上したり、走行用モータ52や
撹拌用モータ57の出力を増大する必要があるので、装
置100全体が大型化するといった問題も生じる。
【0006】前記問題に鑑みて、本出願人は、特願平8
−65012等の廃棄物分解処理装置を既に出願してい
る。図12は、この種の廃棄物分解処理装置の一例を示
す。図12において、この廃棄物分解処理装置70は、
貯留槽71の上部(図12中上部)を水平走行する走行
体72に撹拌機73を吊支し、この撹拌機73を駆動し
つつ走行体72を走行することにより貯留槽71内の有
機廃棄物Mを掻き揚げ撹拌するようになっている。撹拌
機73は、撹拌機本体74の上下に離間して対向配置し
たスプロケット75a、75b間に巻装した無端巻装体
76(チェーン)にフライト部材77と、閉塞板78と
を連続させて取り付けている。
【0007】この廃棄物分解処理装置70は、前記無端
巻装体76を図示しない駆動機構により図12中時計回
りに回転駆動した時には、前記撹拌機本体74の前面7
4aに沿って上下に延在配置した突出用スクレーパ79
の下端に当接した前記フライト部材77が軸77aを以
て回転して撹拌羽根77bを外側に突出する。そして、
フライト部材77は突出用スクレーパ79に摺接しつつ
上部スプロケット75a近傍まで上昇し、その間は、撹
拌羽根77bの突出状態が突出用スクレーパ79によっ
て維持されるため、撹拌機73の進行方向前方(図12
中左側)の有機廃棄物Mが撹拌羽根77bによって掻き
揚げられるようになっている。撹拌羽根77bが掻き揚
げた有機廃棄物Mは、撹拌機73の進行方向後側へ堆積
し、堆積した有機廃棄物Mの荷重が撹拌機73の前方へ
の推進力として作用する。撹拌機本体74の進行方向後
側では、無端巻装体76の回転駆動に伴って移動するフ
ライト部材77が、上部のスプロケット75a近傍に配
置した押込用スクレーパ80と当接することにより回転
されて撹拌羽根77bが撹拌機本体74側へ押し込ま
れ、撹拌羽根77bと閉塞板78とが面一になって撹拌
機本体74の進行方向後側を閉塞する。また、撹拌機7
3の後側を下方へ移動したフライト部材77は、下部の
スプロケット75b近傍にて突出用スクレーパ79に当
接することで、撹拌羽根77bを進行方向前方へ突出し
た状態になる。
【0008】この廃棄物分解処理装置70では、撹拌機
73の進行方向後側にて撹拌羽根77bと閉塞板78と
が面一になるため、進行方向後側へ堆積した有機廃棄物
Mとの接触抵抗を大幅に低下させることができる。ま
た、進行方向後側では、フライト部材77の撹拌羽根7
7bは撹拌機本体74側へ押し込まれた状態であり、外
側へ突出していないので、有機廃棄物Mの付着が防止さ
れる。しかも、撹拌羽根77bは、押込用スクレーパ8
0に当接した際に有機廃棄物Mが剥ぎ落とされるため、
撹拌羽根77bの清掃を別途行わなくても、撹拌機73
による有機廃棄物Mの撹拌、発酵効率を維持することが
でき、前記問題点を解消することができる。
【0009】しかしながら、この廃棄物分解処理装置7
0では、図11に示した装置の問題点を殆ど解消できる
ものの、撹拌機本体前面74aへの有機廃棄物Mの付着
を防止することが出来ない不満があった。すなわち、フ
ライト部材77と閉塞板78の間や、閉塞板78同士の
間には、無端巻装体76の湾曲性を確保するために有る
程度の隙間が存在し、この隙間から入り込んだ有機廃棄
物Mが撹拌機本体前面74aへ付着するのである。
【0010】長期の使用によって、撹拌機本体前面74
aへの有機廃棄物Mの付着量が増大すると、撹拌機73
の駆動抵抗になる。また、例えば図13に示すように、
撹拌機本体前面74aへの有機廃棄物Mの付着量が極端
に多くなり、フライト部材77および閉塞板78が無端
巻装体76もろとも撹拌機本体前面74aから離間して
しまい、故障の原因になる。この撹拌機73では、フラ
イト部材77や閉塞板78が、有機廃棄物Mを撹拌機本
体前面74aへ塗り付ける鏝のようになって、撹拌機本
体前面74aには有機廃棄物Mが強固に固着するため、
有機廃棄物Mの付着量が極度に増大した時には、無端巻
装体76に過大な変位力が作用して無端巻装体76を正
常に回転駆動できなくなる懸念もある。そして、ガイド
81およびレール82から無端巻装体76が離脱して撹
拌機本体前面74aから大きく浮き上がり、突出用スク
レーパ79に対するフライト部材77の摺接状態を維持
できなくなると、撹拌羽根77bの突出状態を確保でき
なくなり、有機廃棄物Mを掻き揚げることが出来なくな
る。また、この時、撹拌機73には無駄な振動が発生す
ることになり、この振動も撹拌機73の故障の原因とな
る。
【0011】なお、貯留槽71内に投入された有機廃棄
物Mは発酵分解過程の発熱で水分が蒸発し、含水率が3
0%前後の粉末状になる。このため、撹拌機本体前面7
4a側にて掻き揚げられる有機廃棄物Mが、撹拌羽根7
7b上に乗って上昇する途中で撹拌羽根77bから落下
して搬送量が減少し、結局、搬送能力不足になる。これ
に対処するため、従来では、例えば有機廃棄物Mに散水
して含水率を上昇させ、搬送途中での有機廃棄物Mの落
下を防止する等の対策を採っている。この対策では、フ
ライト部材77に対する有機廃棄物Mの剥離性を高める
ことも可能になり、撹拌羽根77bが押込用スクレーパ
80に当接した際には有機廃棄物Mが剥ぎ落とされて、
撹拌羽根77bに付着残留する有機廃棄物Mをほぼ完全
に除去することができ、その結果、撹拌機73による有
機廃棄物Mの掻き揚げ撹拌効率を向上できる。しかも、
掻き揚げ効率の向上によって、有機廃棄物Mの掻き揚げ
量に対する無端巻装体76の回転数を減少でき(散水し
ない場合に比べて2分の1〜3分の1程度)るため、フ
ライト部材77等の振動が非常に少なくなり、撹拌機7
3自体の振動も大幅に減少でき、撹拌機73の駆動効率
を実質的に向上できる。このように、散水による対策
は、撹拌羽根77bの有機廃棄物Mの付着量を減少し、
無端巻装体76の回転数を減少して、撹拌機73の駆動
効率を実質的に向上できる。しかしながら、撹拌機本体
前面74aへの有機廃棄物Mの付着による不都合を防止
するには至らないと不満があった。また、長期の使用に
よっては、散水のコストが無視できなくなり、ランニン
グコストの上昇の原因になるといった不満もあった。
【0012】有機廃棄物Mの付着の問題は、撹拌機本体
前面74a程では無いが、撹拌機本体後面74bについ
ても同様に生じるので、対策を必要とする。しかも、撹
拌機本体後面74b側では、進行方向後側へ移設され積
み上がった有機廃棄物Mの荷重によってフライト部材7
7の回転が規制され、撹拌羽根77bの突出が防止され
ているが、積み上がった有機廃棄物Mに隙間等が存在す
るとフライト部材77が回転して撹拌羽根77bが外側
へ突出する可能性があり、これにより、有機廃棄物Mが
進入してしまう懸念がある。しかも、撹拌羽根77bが
突出してしまい、有機廃棄物Mと接触するようになる
と、撹拌機73の振動を増大するといった問題もある。
【0013】図14は、撹拌機本体74に取り付けたガ
イド81およびレール82を示す。撹拌機73の無端巻
装体76は所定の張力を以て巻装されているので、レー
ル82に摺接しながら回転駆動される。また、図14
中、レール82の左右両側に配置したガイド81によっ
て無端巻装体76の離脱が防止されている。しかしなが
ら、前述のように、撹拌機本体前面74aへの有機廃棄
物Mの付着量が増大して、撹拌機本体74から浮き上が
る方向への変位力が無端巻装体76に作用すると、ガイ
ド81およびレール82から無端巻装体76が浮き上が
ってしまうのである。無端巻装体76の浮き上がりを防
止するために、無端巻装体76の張力を高めることが考
えられるが、この場合にはガイド81やレール82との
摺動抵抗が増大して、結局、撹拌機73の駆動抵抗が増
大することになる。また、この摺動抵抗に鑑みて、ガイ
ド81やレール82は、いずれも無端巻装体76との滑
動性を得るために特殊樹脂から形成することが一般的で
あり、高価な素材を必要とする。しかも、この様な素材
からなるガイド81やレール82は常時無端巻装体76
と接触するため消耗しやすく、頻繁に交換する必要があ
るため、コスト上昇の原因になっていた。
【0014】撹拌機本体前面74aに付着した有機廃棄
物Mから強い変位力が作用すると無端巻装体76が若干
延びるため、撹拌機本体前面74aに付着した有機廃棄
物Mを除去すると、無端巻装体76に弛みが生じて、ガ
イド81およびレール82から無端巻装体76が離脱し
やすくなる等の不都合を生じる。図15に示すように、
撹拌機73の下部に無端巻装体76の弛みが集中する
と、貯留槽1底部の有機廃棄物Mに撹拌羽根77bが摺
接する範囲が広くなり、無端巻装体76の駆動抵抗が大
幅に増大して故障の原因になるといった問題もある。な
お、無端巻装体76の弛みは、撹拌機本体前面74aに
付着した有機廃棄物M以外、無端巻装体76の経年劣化
によっても生じるものであり、いずれにしても、無端巻
装体76の駆動抵抗の増大を防止するには何らかの手当
が必要である。
【0015】撹拌機の進行方向前面への有機廃棄物Mの
付着によって生じる不都合は、図11記載の廃棄物分解
処理装置10についても生じる。図16は、廃棄物分解
処理装置10の撹拌機56の前面板56bに、有機廃棄
物Mが大量に付着した状態を示す。この状態では、無端
巻装体56aが撹拌機前面板56bから浮き上がり、撹
拌機56の駆動抵抗が増大する。また、廃棄物分解処理
装置10の無端巻装体56aに弛みを生じると、図17
に示すように、無端巻装体56aが撹拌機56から下方
へ垂れ下がり、貯留槽50底部の有機廃棄物Mに撹拌羽
根55が接触する範囲が大幅に増大して接触抵抗が急激
に増大する。この場合、撹拌機56の傾斜によって、撹
拌機56の進行方向後側(図17中右側)での有機廃棄
物Mと撹拌羽根55の接触領域が大きくなるため、接触
抵抗の増大は図12記載の廃棄物分解処理装置70に比
べて顕著である。
【0016】撹拌機の進行方向前面にて、無端巻装体の
浮き上がりを防止する方法として、例えば、撹拌羽根を
外側から押さえ込むことが考えられる。図18、図19
は、この技術を適用した撹拌機の一例を示す。図18に
おいて、符号60は貯留槽、61は有機廃棄物、62は
走行台車、63は撹拌機である。撹拌機63は、上下の
スプロケット64a、64b間に巻装した無端巻装体6
5(チェーン)を図18中時計回りに回転駆動すること
により、前記無端巻装体65の複数箇所に取り付けた撹
拌羽根66が進行方向前方(図18中左側)の有機廃棄
物61を掻き揚げて撹拌しつつ、進行方向後方に移設す
る。図18中符号67は受圧板であり、撹拌機63の進
行方向後方に移設されて積み上がった有機廃棄物61の
荷重を受けて撹拌機63の推進力に変換する。また、図
18および図19中符号68は押さえ板であり、撹拌機
63の進行方向前面63a側にて撹拌羽根66を外側か
ら押さえ込んでいる。これにより、撹拌機前面63aと
撹拌羽根66との間に有機廃棄物61が入り込んでも、
撹拌羽根66は押さえ板68によって浮き上がらないよ
うに押さえ込まれる。
【0017】しかしながら、この撹拌機63の場合、押
さえ板68が撹拌羽根66に常時圧接するため、撹拌羽
根66を傷めてしまうといった懸念がある。前述したよ
うに、この種の処理装置に適用される有機廃棄物Mは付
着性が高く、撹拌羽根66が鏝のように作用して、撹拌
機前面63aに付着した有機廃棄物Mは硬くなり、付着
・堆積した有機廃棄物Mから無端巻装体65に作用する
変位力は強力であるため、撹拌羽根66は押さえ板68
に強く圧接されることになり、損傷しやすくなる。ま
た、藁等の長尺の有機廃棄物61が押さえ板68に引っ
掛かり易く、押さえ板68に引っ掛かった有機廃棄物6
1が別の有機廃棄物61の撹拌羽根66との接触を邪魔
して、貯留槽60内の有機廃棄物61を均等に撹拌でき
なくなるといった問題もある。撹拌羽根66の損傷を回
避するために押さえ板68を大型化して撹拌羽根66に
対する接触面積を大きくすると、撹拌羽根66による有
機廃棄物61の撹拌効率に与える影響が増大してしま
う。前記問題点は、この押さえ板68を、図11記載の
廃棄物分解処理装置100や、図12記載の廃棄物分解
処理装置70に適用した場合でも同様に発生する。
【0018】また、図18に示すように、この撹拌機6
0では、撹拌機63の進行方向後面63bと受圧板67
との間の隙間を解消できないため、有機廃棄物Mが入り
込んで前記進行方向後面63bに付着し、進行方向前面
63a側と同様に、撹拌機63の駆動抵抗が増大する可
能性がある。この問題点は、図12記載の廃棄物分解処
理装置70ではほぼ解消されるが、フライト部材77と
閉塞板78との間を密閉することはフライト部材77の
回転に鑑みて困難であることから、長期の使用によって
は撹拌機本体74に付着した有機廃棄物Mの除去作業が
必要になる。このため、有機廃棄物Mの侵入をより確実
に防止するための技術の開発が求められていた。
【0019】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであって、(1)フライト部材が取り付けられた無
端巻装体をガイド部材によって撹拌機本体に対して離間
しないように引き留めたことにより、フライト部材およ
び無端巻装体の浮き上がりを防止できるとともに、前記
ガイド部材は、撹拌機の進行方向前方の有機廃棄物と干
渉しないので、有機廃棄物の撹拌を効率良く行うことが
できる、(2)前記(1)により、有機廃棄物の含水率
に関係無く、撹拌発酵を効率良く行うことができる、
(3)撹拌機の進行方向後側にてフライト部材に摺接す
る受圧板により、撹拌機の進行方向前面側以外の箇所へ
の有機廃棄物の接触および付着を確実に防止でき、無端
巻装体の回転駆動を安定に維持できる、廃棄物分解処理
装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に示される廃棄物分解処理装置では、内部に有
機廃棄物が貯留される貯留槽と、貯留槽内を移動して貯
留槽内に搬入した有機廃棄物を撹拌発酵する撹拌機とを
有し、前記撹拌機は、鉛直あるいは傾斜した軸線上にて
上下に離間して配置した一対のスプロケット間に巻装さ
れた無端巻装体と、該無端巻装体の内側に配設され前記
スプロケット間を連結する撹拌機本体と、前記無端巻装
体の回転周方向複数箇所に取り付けられ該無端巻装体を
回転駆動した時に前記貯留槽内の有機廃棄物を掻き揚げ
るフライト部材と、前記撹拌機本体の周囲に配置され前
記無端巻装体と係合することにより前記無端巻装体をそ
の全周にわたって攪拌機本体に対して離間しないように
引き留めるガイド部材とを具備し、前記無端巻装体はチ
ェーンであり、このチェーンにおいてピンを介して連結
された各連結部からフランジ状の係合突起がチェーンの
幅方向両側へ突出され、連結部間で連結部からの突設位
置が対向する逆側になっている係合突起が、前記撹拌機
本体に固定して前記チェーンに沿ってその長手方向全周
にわたって延在された前記ガイド部材の係合フランジの
両側に対向配置され該係合フランジを両側から挟み込む
ことで、回転駆動された前記チェーンがガイド部材から
離脱することなく、所定の移動軌跡上を安定に移動する
ようになっていることを特徴とする廃棄物分解処理装置
を前記課題の解決手段とした。
【0021】
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態の有
機物分解処理装置1について図1〜図9を参照して説明
する。この廃棄物分解処理装置1は、図1に示すよう
に、内部に有機廃棄物Mを貯留する貯留槽2と、該貯留
槽2の外壁3上を走行する走行体4から貯留槽2内部に
吊り下げられた撹拌機5とを具備し、撹拌機5を駆動し
つつ走行体4の走行によって貯留槽2内を移動すること
により、貯留槽2内の有機廃棄物Mを撹拌発酵するよう
になっている。
【0023】以下、撹拌機5を詳細に説明する。撹拌機
5は、図1に示すように、上下に離間して水平配置され
た一対のスプロケット6、7間に無端巻装体8(チェー
ン)を巻装し、図示しない駆動源からスプロケット6へ
駆動力を伝達することにより、無端巻装体8を回転駆動
する。無端巻装体8の回転方向(図中矢印A)複数箇所
には、該無端巻装体8の回転軸線と平行な軸9を以てフ
ライト部材10を回転自在に取り付けている。図2に示
すように、スプロケット6、7は、それぞれ水平に配置
された駆動軸11の両端に取り付けられ、撹拌機5の左
右方向両端(図2矢印B方向)に互いに平行に対向配置
された無端状の無端巻装体8、8と噛み合わされ、これ
ら無端巻装体8、8を駆動軸11から伝達される駆動力
によって回転させるようになっている。また、これら無
端巻装体8は、撹拌機5の左右方向両側に取り付けたレ
ール状のガイド部材8aにガイドされることにより所定
の軌跡上を安定に回転駆動される。
【0024】スプロケット6、7間の離間距離は、撹拌
機本体5aの下部に設けた離間距離調整手段7a(長
穴)により、下側のスプロケット7の固定位置を調整す
ることでなされる。スプロケット6、7間の離間距離
は、無端巻装体8の張力に影響を与える。例えば、長期
の使用によって無端巻装体8が伸びた時には、スプロケ
ット6、7間の離間距離を大きくすることで、無端巻装
体8の弛みを容易に解消することができる。この時、無
端巻装体8を取り外して長さを調整する等の作業は不要
であるため、メンテナンスに掛かるコストを低減でき
る。なお、離間距離調整手段は、上側のスプロケット6
側に適用すること、上下両側のスプロケット6、7に適
用することも可能である。また、離間距離調整手段とし
ては、前述の長穴以外、無端巻装体8に張力を作用させ
るテンションローラ等も採用可能である。
【0025】図3は無端巻装体8を示す図であって、
(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はガイド部材
8aと無端巻装体8との係合状態を示す断面図である。
図3(a)および(b)に示すように、無端巻装体8は
連結部8b、8cと連結用ブラケット13とをピン8d
を介して複数連結して無端状に構成している。具体的に
は、無端巻装体8は、連結部8b、連結部8c、連結用
ブラケット13の順が繰り返えされるように構成されて
いる。また、連結部8b、8cからはフランジ状の係合
突起8e、8fを突設している。これら係合突起8e、
8fは、図3(a)に示すように無端巻装体8の幅方向
両側(図3(a)中上下)へ突出している。しかも、連
結部8bと8cとでは、係合突起8e、8fの突設位置
が図3(b)中上下に対向するようになっている。
【0026】図3(c)に示すように、連結部8b側の
係合突起8eと連結部8c側の係合突起8fとは、撹拌
機本体5a(フレーム)に固定されたガイド部材8aの
係合フランジ8g、8gの両側に対向配置され、この係
合フランジ8g、8gを両側から挟み込むようになって
いるため、回転駆動された無端巻装体8はガイド部材8
aから離脱することなく、所定の移動軌跡上を安定に移
動する。図2に示すように、ガイド部材8aは、無端巻
装体8に沿ってその長手方向全周にわたって延在してい
るので、撹拌機5の進行方向前側のみならず、進行方向
後側においても無端巻装体8の浮き上がりを防止する。
また、無端巻装体8から突設した係合突起8e、8f間
にガイド部材8aの係合フランジ8gを挟み込むことで
無端巻装体8の離脱を防止する構成は、離脱を防止する
ために無端巻装体8の張力を高める等の調整が必要無
く、図14に示した従来例のガイド81やレール82に
比べて、ガイド部材8aには高価な材料を使用する必要
が無いので、安価な素材を使用することにより低コスト
化できる。なお、図3(a)、(b)中符号8hはコロ
であり、ガイド部材8aの複数箇所に設けられた図示し
ないレールに沿って、無端巻装体8をスムーズに移動さ
せるためのものである。
【0027】図2に示すように、対を構成する両側の無
端巻装体8、8間では、連結部8b、8c、連結用ブラ
ケット13を互いに対応する位置に配置している。無端
巻装体8、8の互いに対応する連結部8b、8b間や、
連結部8c、8c間には連結板12を架設状態に取り付
け、対応する連結用ブラケット13、13間には前記フ
ライト部材10を架設状態に取り付けている。したがっ
て、無端巻装体8、8には、その長手方向へ、連結板1
2、フライト部材10が連続的に取り付けられている。
なお、隣接する連結板12、12同士の境界は、湾曲時
に屈曲する無端巻装体8のピン8dの位置に対応してい
るので、無端巻装体8がスプロケット6、7を通過する
時には無端巻装体8の屈曲に対応して連結板12、12
同士も相対変位するようになっている。また、連結板1
2とフライト部材10との間では、フライト部材10の
軸9の回転が許容されている。
【0028】連結用ブラケット13は、図7に示すよう
に、無端巻装体8の端部間を連結する本体部14と、該
本体部14から外側に突設されたブラケット部15とか
らなるT字状の部材であって、ブラケット部15の先端
に取り付けた軸9によってフライト部材10を水平な軸
線を以て回転自在に軸支している。例えば図5に示すよ
うに、フライト部材10を取り付けるための領域10a
は連結板12一枚分と同等の広さが確保されており、軸
9は該領域10aにおける無端巻装体8の回転方向前側
(図5中時計回り)に偏在した位置でフライト部材10
を軸支するようになっている。
【0029】図5に示すように、フライト部材10は、
屈曲部分が前記軸9によって軸支された断面L字状の部
材であって、一側のフランジが有機廃棄物Mを掻き揚げ
る撹拌羽根17として機能するようになっている。フラ
イト部材10の他側のフランジは、無端巻装体8の回転
駆動時に撹拌機5の進行方向前側(図5中左側)にて該
フライト部材10の移動軌跡の内側に配置した突出用ス
クレーパ18と当接することにより撹拌羽根17を外側
に突出させる当接部材19として機能するようになって
いる。撹拌羽根17と当接部材19とは同一寸法に形成
され、共にフライト部材10の回転によって連結板12
と同一平面上に出没可能になっている。また、これら撹
拌羽根17と当接部材19は、連結板12と平行になっ
た時にフライト部材10の取付領域10aをほぼ閉塞す
る大きさに形成されている。
【0030】図2および図4に示すように、前記突出用
スクレーパ18は橇状の板材であって、撹拌機5の進行
方向前側(図2紙面奥側)にて各無端巻装体8に沿うよ
うにして配置されている。また、突出用スクレーパ18
は、上下の駆動軸11間にわたって延在する長さを有
し、全体が撹拌機5の進行方向前側を通過するフライト
部材10の移動軌跡の近傍となるように配置されてい
る。突出用スクレーパ18の先端部20は、図2および
図5に示すように、下側のスプロケット7の近傍に配置
され、無端巻装体8の回転駆動によって撹拌機5の進行
方向後側から前側に進入してくるフライト10の当接部
材19と当接して、フライト部材10を図中時計回りに
回転させ、撹拌羽根17を外側に突出させるようになっ
ている。突出用スクレーパ18はフライト部材10の移
動軌跡の近傍に配置されているので、突出用スクレーパ
18の先端部20と当接した当接板19は連結板12と
面一になり、しかも撹拌機5の進行方向前側を通過中に
常時突出用スクレーパ18と摺接して、フライト部材1
0が反時計回りに回転することを規制し、撹拌羽根17
の突出状態を維持するようになっている。
【0031】図1および図6に示すように、上側のスプ
ロケット6の近傍には、フライト部材10の撹拌羽根1
7が当接されることにより、フライト部材10を図中反
時計回り(図6中矢印)に回転させて撹拌羽根17を無
端巻装体8と平行になるように撹拌機5の内側方向に押
し込む押込用スクレーパ21が配置されている。図2に
示すように、押込用スクレーパ21は、フライト部材1
0の移動軌跡の外側に配置された板材であって、その下
端は下側のスプロケット8近傍に到達されている。そし
て、この押込用スクレーパ21の先端21aは、無端巻
装体8の回転駆動によって外側に突出状態のままの状態
で撹拌機5の進行方向前側から後側に進入してくる撹拌
羽根17と当接してフライト部材10を回転させる。回
転されたフライト部材10の撹拌羽根17は連結板12
と面一になり、撹拌羽根17および連結板12の外面は
押込用スクレーパ21と摺接する。
【0032】この廃棄物分解処理装置1は、無端巻装体
8を図1、図2中時計回りに回転駆動しつつ走行体4を
駆動して撹拌機5を移動することにより、貯留槽2内に
貯留した有機廃棄物Mを順次撹拌発酵するようになって
いる。無端巻装体8を回転駆動すると、下側のスプロケ
ット7の近傍にて、フライト部材10が撹拌機5の進行
方向後側(図1中右側、図2紙面手前側)から前側に進
入してくる。そして、フライト部材10は、図5に示す
ように、撹拌機5の内側に向けられた当接部材19が突
出用スクレーパ18の先端部20と当接することにより
時計回りに回転され、当接部材10が連結板12と面一
とされるとともに、撹拌羽根17が外側に突出される。
【0033】フライト部材10が無端巻装体8の回転に
従って撹拌機5の進行方向前側を移動している時には、
該フライト部材10が上側のスプロケット6の近傍に到
達するまで当接部材19が突出用スクレーパ18に摺接
し続け、フライト部材10が反時計回りに回転すること
が規制されるので、有機廃棄物Mとの接触抵抗に抗して
撹拌羽根17の突出状態が維持され、該撹拌羽根17に
よって有機廃棄物Mを上方に掻き揚げる。この時、フラ
イト部材10の取付領域10aが当接部材19によって
閉塞されるので、撹拌機本体5aの前面5bに有機廃棄
物Mが付着することが防止される。図1に示すように、
掻き揚げられた有機廃棄物Mは、撹拌機5の進行方向後
側へ移設される。そして、撹拌機5の進行方向後側にて
積み上がった有機廃棄物Mの荷重は押込用スクレーパ2
1によって撹拌機5の推進力に変換され、撹拌機5が走
行体4とともに前進する。この時、押込用スクレーパ2
は受圧板としての機能も兼ねる。
【0034】この撹拌機5による有機廃棄物Mの掻き揚
げを長期間継続して、撹拌機本体5aの前面5bへの有
機廃棄物Mの付着量が増大すると、撹拌機5の進行方向
前方への押圧力をフライト部材10や連結板12に与え
るようになる。しかしながら、この廃棄物分解処理装置
1では、無端巻装体8をガイド部材8aによって引き留
めているため、フライト部材10や連結板12が浮き上
がるといった不都合を防止でき、撹拌機5の故障等を防
止できる。なお、無端巻装体8をガイド部材8aによっ
て強固に引き留めた構成では、撹拌機本体前面5bに付
着した有機廃棄物Mがフライト部材10や連結板12と
接触すると削り取られるため、有機廃棄物Mの付着量の
増大には限界があり、接触によって生じる摺動抵抗も一
定値以上には上昇しない。したがって、この廃棄物分解
処理装置1では、有機廃棄物Mの含水率に関係無く無端
巻装体8の浮き上がりを防止して、撹拌発酵を効率良く
行うことができる。また、散水による有機廃棄物Mの発
酵速度の変化も無く、しかも有機廃棄物Mの含水率が高
まることによる撹拌機5の駆動抵抗の無駄な増加を抑え
ることもでき、有機廃棄物Mを目的の速度で効率良く撹
拌発酵することができるのである。ガイド部材8aは、
無端巻装体8を引き留めているので、フライト部材10
を傷めるといった心配も無い。しかも、ガイド部材8a
は、進行方向前側からフライト部材を押さえる従来構成
のように、フライト部材10と有機廃棄物Mとの接触の
障害とはならないため、有機廃棄物Mの撹拌発酵に悪影
響を与えないため、結果的に浮き上がり防止効果等によ
り撹拌発酵効率を高めることができる。
【0035】また、ガイド部材8aによって無端巻装体
8を引き留めた構成や、板状の押込用スクレーパ21に
フライト部材10や連結板12が摺接する構成や、橇状
の突出用スクレーパ18にフライト部材10が摺接する
構成は、フライト部材10の無駄な回転や振動を防止
し、無端巻装体8の回転駆動時の振動発生を防止して回
転駆動の安定性を高めるので、撹拌機5の作動精度の向
上や、故障の減少に寄与する。特に、押込用スクレーパ
21は、摺接によってフライト部材10の回転を規制
し、撹拌羽根17が突出することを防止するため、振動
防止に大きく寄与する。
【0036】また、ガイド部材8aによって無端巻装体
8を引き留めた構成は、無端巻装体8の振動を防止する
ことに寄与する。無端巻装体8は、初期状態では、図8
(a)に示すようにピン8dを収納するピン穴8iは真
円状になっているが、長期の使用では、図8(b)に示
すように、無端巻装体8に作用する張力によってピン穴
8iが磨耗して長穴状になる。この廃棄物分解処理装置
1にあっては、無端巻装体8をその全周にわたってガイ
ド部材8aによってガイドしているので、ピン穴8iの
磨耗方向は無端巻装体8の長手方向のみであり、それ以
外の方向には磨耗して拡張することは無い。したがっ
て、長期の使用によっても、無端巻装体8には無用な振
動が発生しない。なお、図8(a)〜(b)では、連結
部8b、8c間の連結状態を示したが、ピン穴8iの磨
耗方向については、連結部8bと連結用ブラケット13
との間や、連結部8cと連結用ブラケット13との間に
ついても同様である。
【0037】例えば、図8(a)および図8(b)に示
すように、撹拌機本体前面5b側を上昇(図8(b)、
図8(a)中矢印)する無端巻装体8では、上側の連結
部8cによって下側の連結部8bが吊り下げられた状態
になり、図8(b)に示すように、ピン穴8iが長穴状
に拡張した場合であっても、両連結部8c、8bを連結
するピン8dがピン穴8iの下端に安定に係止され、連
結部8cによる連結部8bの吊り下げ状態は、図8
(a)のピン穴8iが磨耗する前の状態と同様に安定で
あり、しかも、無端巻装体8はガイド部材8aによって
ガイドされているため、振動を生じること無く安定に上
昇するのである。一方、図8(c)に示すように、撹拌
機本体後面5c側を降下する無端巻装体8では、上側に
位置する連結部8bから連結部8cが吊り下げられた状
態になるが、両連結部8b、8c間を連結するピン8d
はピン穴8iの上端に安定に係止され、連結部8bによ
る連結部8cの吊り下げ状態は、図8(a)のピン穴8
iが磨耗する前の状態と同様に安定であり、しかも、無
端巻装体8はガイド部材8aによってガイドされている
ため、振動を生じること無く安定に降下するのである。
【0038】撹拌機5の振動の低減は、撹拌機5の進行
方向前側にて上昇するフライト部材10の撹拌羽根17
から有機廃棄物Mがこぼれ落ちることを防止でき、撹拌
機5による有機廃棄物Mの撹拌効率を高めることができ
る。したがって、散水等によって有機廃棄物Mの含水率
を高めなくても高い撹拌効率が得られ、有機廃棄物Mの
含水率に関係なく、常に高い撹拌効率が得られる。ま
た、撹拌効率の向上によって、有機廃棄物Mの撹拌量に
対する無端巻装体8の回転数が少なくて済むので、撹拌
機5の寿命を延長することも可能であり、一層の低振動
化も可能になる。さらに、散水では長期の使用によって
コストが無視出来なくなるが、本装置1では、低コスト
化が可能である。
【0039】撹拌機5の進行方向前側を通過したフライ
ト部材10は、次いで、図6に示すように、撹拌羽根1
7が押込用スクレーパ21と当接することにより反時計
回りに回転する。これにより、当接部材19は撹拌機5
の内側に向けられ、撹拌羽根17は連結板12と面一と
なるように押し込まれる。この時、撹拌羽根17が押込
用スクレーパ21の先端21aと当接して回転する過程
において、撹拌羽根17に付着していた有機廃棄物Mを
押込用スクレーパ21によって剥ぎ落とすことができ
る。また、押込用スクレーパ21には、無端巻装体8の
回転に従って、無端巻装体8に連結されているフライト
部材10が順次当接するため、全てのフライト部材10
について有機廃棄物Mの除去を自動的に行うことがで
き、別途除去作業を行う必要が無くなる。これにより、
フライト部材10に付着残留する有機廃棄物Mがほぼ完
全に無くなるので、撹拌機5による有機廃棄物Mの掻き
揚げ効率を向上できる。しかも、掻き揚げ効率の向上に
よって、有機廃棄物Mの掻き揚げ量に対する無端巻装体
8の回転数を減少することが可能になるため、廃棄物分
解処理装置1の耐久性の向上やランニングコストの低下
が可能になる。
【0040】撹拌機5の進行方向後面5c側では、撹拌
羽根17の押し込みによってフライト部材10の取付領
域10aが閉塞され、撹拌羽根17と連結板12とが面
一の外面を形成し、しかも、これら撹拌羽根17および
連結板12の外面は押込用スクレーパ21と摺接される
ので、撹拌機5の進行方向後側はほぼ完全に閉塞され、
撹拌機5の進行方向後側に積み上がった有機廃棄物Mが
撹拌機本体5aに付着することが防止される。これによ
り、撹拌機本体5aの進行方向後面5c側でも、無端巻
装体8が浮き上がる等の不都合を防止できる。また、フ
ライト部材10や連結板12は、板状の押込用スクレー
パ21によって有機廃棄物Mと隔てられ、有機廃棄物M
との間の接触抵抗が生じないため、撹拌機5の駆動源の
出力を無駄に増強する必要が無い。さらに、フライト部
材10や連結板12に付着した有機廃棄物Mが進行方向
前側に搬送されるといった不都合も確実に防止できるの
で、撹拌機本体前面5bへの有機廃棄物Mの付着量を抑
えることに寄与する。また、押込用スクレーパ21との
摺接状態では、撹拌羽根17が開く(外側へ突出する)
ことは無く、進行方向後方へ移設されて積み上がった有
機廃棄物Mが進入するといった不都合が防止されること
は言うまでも無い。
【0041】また、突出用スクレーパ先端20は、撹拌
機本体後面5c側下端に配置されているため、撹拌機5
下端では撹拌羽根17の突出状態が維持され、貯留槽底
部2a近傍の有機物廃棄物Mをも効率良く掻き揚げ、撹
拌することができる。
【0042】なお、当接部材19が再度突出用スクレー
パ18と当接するまで撹拌羽根17が外側に突出しない
ので、撹拌機5の下部においても撹拌機5の有機廃棄物
Mとの接触抵抗を大幅に軽減することができる。この結
果、撹拌機5の駆動力が進行方向前側の有機廃棄物Mの
掻き揚げ撹拌にのみ使用されるので、撹拌機5の駆動機
構の小型化や、撹拌作業時に撹拌機5に作用する反力を
支持する支持構造の簡略化が可能になり、廃棄物分解処
理装置1を小型化、低コスト化することができる。
【0043】また、図9に示すように、押込用スクレー
パ21は、下端21bが撹拌機5から進行方向後側へ離
間するように傾斜させることも可能であり、こうするこ
とにより、撹拌機5によって掻き揚げられて進行方向後
側に積み上がった有機廃棄物Mの荷重を撹拌機5の推進
力に変換する効率が向上する。この場合、撹拌羽根17
や連結板12と押込用スクレーパ21との間には隙間が
生じるが、押込用スクレーパ21によって、進行方向後
方へ移設されて積み上がった有機廃棄物Mが撹拌羽根1
7や連結板12に接触することは無く、撹拌機本体後面
5cに有機廃棄物Mが付着することは無い。
【0044】なお、撹拌羽根17に対する当接部材19
の取付角度は、垂直に限定されない。また、フライト部
材10の形状は、図示したものに限定されない。例え
ば、当接部材としては、突出用スクレーパ18と当接可
能であれば、フランジ状以外、突起状であってもよい。
無端巻装体は、無端巻装体8に限定されず、ベルト等を
適用することも可能である。この場合、ガイド部材8a
に係合するための構成も適宜選択可能であることは言う
までも無い。
【0045】図10は本発明の第2実施形態の廃棄物分
解処理装置30を示す。なお、図中、図1〜図9には同
一の構成部分には同一の符号を付し、その説明を簡略化
する。この廃棄物分解処理装置30では、前記撹拌機5
を斜めに傾けて配置している。撹拌機5は、上側のスプ
ロケット6に対して下側のスプロケット7が進行方向前
側(図10中左)となるようにして傾斜させている。ま
た、撹拌機5は、貯留槽2上部を走行する走行体31の
走行駆動力によって進行方向前方へ移動されるようにな
っている。図10中符号32は傾斜調整装置であり、リ
ーフチェーン33の長さを調整することにより撹拌機5
の傾斜角度を調整する。図10において、撹拌機5の傾
斜角度θは45度前後に設定している。傾斜調整装置3
2は貯留槽2上部を走行可能である。
【0046】この廃棄物分解処理装置30では、撹拌機
5が進行方向前側の有機廃棄物Mを掻き揚げ撹拌しつ
つ、進行方向後側に移設していく。ここで、撹拌機5は
傾斜配置されているため、第1実施形態に比べて、撹拌
機本体5aの前面5bへの有機廃棄物Mの付着量が増大
する傾向があるが、無端巻装体8と図示しないガイド手
段との係合とによって、無端巻装体8が図10中左上方
向に浮き上がることは無く、安定に回転駆動される。
【0047】また、撹拌機5の進行方向後面5c側で
は、押込用スクレーパ21によって撹拌羽根17を押し
込んだ状態が維持され、撹拌羽根17が下方に突出する
ことが防止され、掻き揚げにより進行方向後側に積み上
がった有機廃棄物Mに撹拌羽根17が接触したり、後面
5cに有機廃棄物Mが付着することは無い。また、後面
5c側下側では、突出用スクレーパ18の先端20によ
って撹拌羽根17の突出状態が維持され、貯留槽2の底
部近傍の有機廃棄物Mをも効率良く掻き揚げることがで
きる。
【0048】なお、本実施形態は、図示した形態に限定
されるものでは無く、撹拌機5の傾斜角度θや、撹拌機
の傾斜角度を設定するための機構や、撹拌機の細部構成
等は適宜変更可能であることは言うまでも無い。
【0049】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、無端巻装体に沿ってその長手方向全周にわたって延
在されたガイド部材によって攪拌機本体に対して無端巻
装体を離間しないように引き留めて、無端巻装体および
該無端巻装体に取り付けたフライト部材が攪拌機本体か
ら浮き上がることを防止しているので、 (a)攪拌機の故障を防止できる、 (b)フライト部材を傷める心配が無い、 (c)ガイド部材が、フライト部材による有機廃棄物の
掻き揚げ、攪拌の障害とはならず、攪拌、発酵効率を向
上できる、 (d)無端巻装体の回転駆動が安定になり、無駄な振動
を防止でき、作動精度の向上や、攪拌機の寿命の延長が
可能になる、 (e)前記(d)の振動防止により、掻き揚げた有機廃
棄物がフライト部材により搬送される途中で、フライト
部材からこぼれ落ちることが防止されるので、攪拌機に
よる有機廃棄物の攪拌効率を上昇することができる、 (f)前記(e)の攪拌効率の向上により、掻き揚げ量
に対する無端巻装体の回転数を減少することが可能にな
り、攪拌機の寿命の延長や、振動防止による一層の攪拌
効率の向上が可能になる (g)無端巻装体であるチェーンのピン穴の磨耗方向は
無端巻装体の長手方向のみであり、それ以外の方向には
磨耗して拡張することは無く、したがって、長期の使用
によっても、無端巻装体には無用な振動が発生しない
いった優れた効果を奏する。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる第1実施形態の廃棄物分解処
理装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】 図1の廃棄物分解処理装置の撹拌機を示す斜
視図である。
【図3】 図1の廃棄物分解処理装置に使用する無端巻
装体(チェーン)を示す図であって、(a)は平面図、
(b)は正面図、(c)はガイド部材とチェーンとの係
合状態を示す断面図である
【図4】 図2の撹拌機を示す側面図である。
【図5】 図2の撹拌機の下部を示す正面図である。
【図6】 図2の撹拌機の上部を示す正面図である。
【図7】 フライト部材を支持するブラケットを示す拡
大正面図である。
【図8】 図1の廃棄物分解処理装置の作用を示す図で
あって、(a)は正常状態のチェーンを示す正面図、
(b)は撹拌機本体前面側にて上昇するチェーンを示す
正面図、(c)は撹拌機本体後面側にて下降するチェー
ンを示す正面図である。
【図9】 図2の撹拌機に受圧板を取り付けた実施例を
示す正面図である。
【図10】 本発明に係わる第2実施形態の廃棄物分解
処理装置の概略構成を示す正面図である。
【図11】 従来の廃棄物分解処理装置を示す斜視図で
ある。
【図12】 従来の廃棄物分解処理装置を示す図であっ
て、撹拌機によって掻き揚げて進行方向後側へ移設した
有機廃棄物との接触抵抗を低減した廃棄物分解処理装置
を示す正面図である。
【図13】 図12の廃棄物分解処理装置にて、撹拌機
本体の進行方向前面側に付着した有機廃棄物によって引
き起こされる問題点を示す正面図である。
【図14】 図12の廃棄物分解処理装置の無端巻装体
をガイドするガイドおよびレールを示す平面図である。
【図15】 図12の廃棄物分解処理装置にて、無端巻
装体の弛みによって引き起こされる問題点を示す正面図
である。
【図16】 図11の廃棄物分解処理装置にて、撹拌機
本体の進行方向前面側に付着した有機廃棄物によって引
き起こされる問題点を示す正面図である。
【図17】 図11の廃棄物分解処理装置にて、無端巻
装体の弛みによって引き起こされる問題点を示す正面図
である。
【図18】 撹拌機本体の進行方向前面側に付着した有
機廃棄物による無端巻装体の浮き上がりを防止する押さ
え板を具備した廃棄物分解処理装置を示す正面図であ
る。
【図19】 図18の廃棄物分解処理装置を進行方向前
面側から見た側面図である。
【符号の説明】
M 有機廃棄物 1 廃棄物処理装置 2 貯留槽 5 攪拌機 5a 攪拌機本体 5b 前面 6 スプロケット 7 スプロケット 8 無端巻装体(チェーン) 8a ガイド部材8d ピン 8e、8f 係合突起 8g 係合フランジ 9 軸 10 フライト部材 17 攪拌羽根 18 突出用スクレーパ 19 当接部材 21 押込用スクレーパ(受圧板) 30 廃棄物分解処理装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に有機廃棄物(M)が貯留される貯
    留槽(2)と、貯留槽内を移動して貯留槽内に搬入した
    有機廃棄物を攪拌発酵する攪拌機(5)とを有し、 前記攪拌機は、鉛直あるいは傾斜した軸線上にて上下に
    離間して配置した一対のスプロケット(6、7)間に巻
    装された無端巻装体(8)と、該無端巻装体の内側に配
    設され前記スプロケット間を連結する攪拌機本体(5
    a)と、前記無端巻装体の回転周方向複数箇所に取り付
    けられ該無端巻装体を回転駆動した時に前記貯留槽内の
    有機廃棄物を掻き揚げるフライト部材(10)と、前記
    攪拌機本体の周囲に配置され前記無端巻装体と係合する
    ことにより前記無端巻装体をその全周にわたって攪拌機
    本体に対して離間しないように引き留めるガイド部材
    (8a)とを具備し、 前記無端巻装体はチェーンであり、 このチェーンにおいてピン(8d)を介して連結された
    各連結部からフランジ状の係合突起(8e、8f)がチ
    ェーンの幅方向両側へ突出され、 連結部間で連結部からの突設位置が対向する逆側になっ
    ている係合突起が、前記撹拌機本体に固定して前記チェ
    ーンに沿ってその長手方向全周にわたって延在された前
    記ガイド部材の係合フランジ(8g)の両側に対向配置
    され該係合フランジを両側から挟み込むことで、回転駆
    動された前記チェーンがガイド部材から離脱することな
    く、所定の移動軌跡上を安定に移動するようになってい
    ることを特徴とする廃棄物分解処理装置(1)。
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