JP3161342U - 電子的な位牌 - Google Patents

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正則 須藤
正則 須藤
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Abstract

【課題】札板部分に電子的な表示手段を設け、この表示手段に故人の戒名や遺影、あるいは宗教的な画像などを表示させる位牌を提供する。【解決手段】札板に相当する箇所に電子的な画像表示装置6を備えた位牌本体2と、メモリ受け台4と外部メモリ5を含む電子的な位牌1であって、メモリ受け台4に備えられた雄側のコネクタと、外部メモリ5に備えられた雌側のコネクタとが対をなし、画像表示装置6の専用接続ケーブル3の他端はメモリ受け台4に備えられたコネクタと接続している。画像表示装置6は、対をなすコネクタ同士が接続されると、外部メモリ5に記憶されている戒名や遺影などの画像データが画像表示装置6に転送されて表示される。外部メモリ5へのデータの保存、あるいはデータの更新や削除は、メモリ受け台4および専用接続ケーブルを介して接続したパソコンを用いて行われる。【選択図】図1

Description

本考案は、札板部分に電子的な表示手段を設け、この表示手段に故人の戒名や遺影あるいは宗教的な画像などを表示させる位牌に関するものである。
従来の位牌は、札板に故人の戒名や没年などが刻印されていることが多い。しかしながら、IT関連機器やAV機器の普及により、故人の生前の姿をデジタルカメラ等で撮影した静止画や動画として残したり、生前の声を録音したりすることが容易かつ安価にできるようになってきた。
そのため、特許文献1には、故人の声、写真、経歴などをデジタル情報として記録し、必要に応じて再生できる「マルチメディア位牌とそのデータ制御再生装置」が開示されている。
同様に、特許文献2に開示された「記録ビデオ再生機能付き位牌」も、故人の写真、声、経歴などをデジタル情報として記憶させ、これを再生することができる。
特開2008−223238号 実用新案登録第3078637号
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、位牌の表示を制御するマイクロコントローラが必要となるが、このことは以下の不利益をもたらすことになる。
第一に、専用のソフトウェア・ハードウェアの開発が必要となり、新規開発の費用や
導入後の保守費用の負担が大きい。第二に、マイクロコントローラに接続するディスプレイやキーボードを設置するスペースが必要となる結果、設計において種々のしわ寄せ・困難が生ずる。第三に、故人に関するデジタル情報は位牌そのものではなく、マイクロコントローラに接続されたディスプレイに表示されるので、参拝者はディプレイに向かって祈りを捧げることとなり、敬虔な雰囲気には程遠い。
特許文献2に記載の考案は、パソコン一式などの表示制御用装置が不要なため、装置が簡易で設置スペースも少ない。しかしながら、位牌の下部にある収納空間から引き出した液晶表示装置を位牌前面に向けて立設する構造となっており、外観が位牌らしくない。このような祭祀あるいは歴史に関連する事柄には、その形状・外観の継承は本質的である。
また、故人の声、写真などをデジタル化したデータを記憶させたROMやRAMが再生装置本体に組み込まれている旨の記載がある(〔0013〕)が、データの追加や更新の具体的な仕方が不明である。
以上先行特許文献に記載の発明について述べたが、昨今の墓地問題についても触れたい。最近の墓地不足などの理由により、室内墓地や納骨堂の利用者が増加しつつある。ところがこのような宗教施設では自分の縁者の故人が他家の故人と一緒に祀られているので、参拝時には他家の故人も同時に参拝することとなってしまう。せめて、位牌に自分の縁者の戒名や俗名が表示されているならば、縁者である故人にひたすらな祈りを捧げたいという願いを充たすことができる。そのためには、1つの位牌であっても、戒名等の表示切替えが容易にできる電子的表示手段を利用することによる、異なる参拝者に対応可能な汎用的な位牌の提供が望まれる。
以上のような問題点に鑑み、本考案は、第一に、スペースをとらず納骨施設などにおいて安価かつ簡便に導入でき、第二に、これまでの位牌と同じような印象を与え、第三に、参拝者に応じて表示内容を容易に変更できる位牌を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、請求項1に記載の考案は、
札板に相当する箇所に電子的な画像表示装置を備えた位牌本体と、メモリ受け台と外部メモリを含む電子的な位牌であって、
前記メモリ受け台に備えられた雄側のコネクタと、前記外部メモリに備えられた雌側のコネクタとが対をなし、
前記画像表示装置の専用接続ケーブルの他端は前記メモリ受け台に備えられたコネクタと接続していることを特徴とする。
下記の実施の形態のデジタルフォトフレームは、電子的な画像表示装置の一例である。電源を入れたデジタルフォトフレームにUSBメモリを接続すると、デジタルフォトフレームはUSBメモリ内に保存されている画像ファイルを自動的に認識して表示を行うのが一般的である。
また、下記の実施の形態の外部メモリは、USB(Universal Serial Bus)インターフェースの技術を応用した外部記憶媒体である。
上記の目的を達するために、前記画像表示装置は、前記対をなすコネクタ同士が接続されると、前記外部メモリに記憶されている、故人に関する静止画像データあるいは動画像データが前記画像表示装置に転送されて表示されるようにするとよい。
故人に関する画像データとしては、戒名や遺影などの画像データがある。
これにより、位牌に表示させる戒名などを容易に変更できる。複数の檀家が想定される納骨堂などでは、参拝者ごとに異なる戒名などをその都度変更表示させなくてはならないので、従来の札板への刻印に代わり、表示・非表示が自在な電子的な表示手段の使用が最適である。
また、このように戒名が文字データとしてではなく画像データとして記憶されているので、デジタルフォトフレームは、特別な処理をすることなく簡単に戒名を表示できる。戒名に限らず、故人に関する静止画や動画も表示可能なので、在りし日の故人を偲ぶことができる。
上記の目的を達するために、前記対をなすコネクタ同士が接続されていないときは、前記画像表示装置には宗教的画像が表示されているようにするとよい。
これにより、記憶媒体が装着されていないときでも、宗教的画像(例えば、ご本尊、曼荼羅や経文)が表示されているので、この位牌が設置された祭壇の宗教的雰囲気を常に保つことができる。
上記の目的を達するために、前記外部メモリへのデータの保存、更新や削除は、前記対をなすコネクタ同士を接続するとともに、前記メモリ受け台に備えられたコネクタと専用接続ケーブルを介して接続したパソコンを用いて行われるようにするとよい。
これにより、不用意な操作による既存データの削除や変更を防ぎつつ、必要なデータの追加や更新を安心して行うことができる。
参拝者に応じた内容を表示する電子的な位牌を安価、簡便かつ少ないスペースで導入できる。また、故人に関するデータが記憶されている外部メモリをパソコンのポートに直接接続することができないので、外部メモリ内のデータの意図しない変更を防止できる。
本実施形態の位牌の全体構成を示す図である。 本実施形態の外部メモリ及びメモリ受け台の正面図である。 本実施形態の外部メモリ及びメモリ受け台の側面図である。 本実施形態の位牌の使用態様を示す図である。 本実施形態の外部メモリ内のデータ更新を説明する図である。
図面を参照しながら、本考案の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子的な位牌1は、位牌本体2、専用接続ケーブル3、メモリ受け台4および外部メモリ5から構成される。
位牌本体2は、仏具らしさを表すための装飾をデジタルフォトフレーム6の周囲に施したものである。言い換えると、位牌本体2は通常の位牌と同様の外観であって、札板に相当する部分が電子的な表示手段になっているわけである。
電子的な表示手段としては、パソコンによって制御される各種ディスプレイもあるが、デジタルフォトフレームのように単体で動作できる装置が適当である。
デジタルフォトフレームとは、デジタル画像の表示専用のディスプレイであり、デジタルフォトフレーム単体で動作するので、表示を制御するためのパソコンは不要である。したがって、安価であり、保守もきわめて容易である。また、パソコンを使用しないので消費電力の点でも有利である。
なお、デジタルフォトフレーム6を動作させる電力を得るための電源ケーブル類は図示を省略している。
デジタルフォトフレーム6からの専用接続ケーブル3の他端にメモリ受け台4に備えられたコネクタ8が接続されている。
メモリ受け台4は図2、図3に示すように宗教的な雰囲気を演出できるような形状になっている。メモリ受け台4には、外部メモリ5に備えられたコネクタ(雌)7と対をなすコネクタ(雄)8が備えられている。雄側のコネクタ8は、専用接続ケーブル3を介して、デジタルフォトフレーム6の回路とつながっており、雌側のコネクタ7と雄側のコネクタ8とが接続されると、外部メモリ5内のデジタルデータがデジタルフォトフレーム6に転送される。
なお、本実施形態では、外部メモリ5を合掌の形状にしているが、これは、宗教的な演出を意図したものである。外部メモリは、メモリ受け台4に接続するコネクタ部分以外は、適宜意匠的な工夫を施すことは自由である。また、図4に示す位牌1の設置例のように位牌本体2を須弥壇9の上に載せ、須弥壇9の前面に合掌型の外部メモリ5を置くと祭壇らしくなる。しかしながら、このような設置の態様に限るものではない。例えば、須弥壇に代わる台や、前机等の上に載せることも可能である。位牌本体2と合掌型メモリ5を入れるための厨子等を造り利用することもできる。
通常のデジタルフォトフレームやパソコンであればUSBポートが付設されているので、そのポートにUSBコネクタ(通常は雄側のコネクタ)を挿入する。しかし、本実施形態では、外部メモリ内のデータ保護のために、コネクタの雌雄を通常とは逆にして、正規なUSB規格と異なるようにしている。そのため、外部メモリ5をデジタルフォトフレーム6に直接接続することはできず、デジタルフォトフレーム6からの専用接続ケーブル3で結線されたメモリ受け台4に備えられたコネクタ8を外部メモリ5に備えられたコネクタ7に挿入して接続するという構成とした。
本実施形態の電子的な位牌1の特徴の一つは、デジタルフォトフレーム6の表示機能を利用した点にある。以下、デジタルフォトフレーム6への表示について説明する。
メモリ受け台4と外部メモリ5のコネクタ同士が接続されていない状態でデジタルフォトフレーム6に電源が入ると、仏像や曼荼羅などの宗教的対象物が表示される。デジタルフォトフレーム6の内蔵メモリ内に予め仏像などの汎用的な画像データを記憶させておき、コネクタ7とコネクタ8との接続が検知されていない状態では、この汎用的な画像を表示させるようにデジタルフォトフレーム6を設定しておくわけである。
本考案の電子的な位牌は、納骨施設を運営している寺院などでの使用が想定されるが、利用者のそれぞれに対して縁者である故人の戒名などが記憶されている外部メモリ5を交付するとよい。利用者は、参拝時に外部メモリ5を持参し、メモリ受け台4に挿入してコネクタ7,8を接続すると、デジタルフォトフレーム6は接続を検知して自動的に外部メモリ5内の画像データを読み出して表示する。
これにより、参拝者は、縁者である故人の墓にお参りしているのと同様の感慨に浸ることができる。ここで、戒名にかぎらず、故人の遺影でもよく、静止画に限らず動画でもよい。要は、故人を偲ぶにふさわしいと思う画像データを記憶させ、参拝時に表示させればよい。
参拝者は、帰る時に外部メモリ5をメモリ受け台4から外すと、デジタルフォトフレーム6は外部メモリ5と非接続状態になったことを検知して、表示中の戒名などを消去し、仏像などの汎用的な画像を表示させる。次の参拝者が訪れたときに、他家の戒名等が表示されているようであってはならないからである。
次に、外部メモリ5のコネクタ7の形状について付言する。
外部メモリ5は、データの削除、追加、更新は自由なので、画像データを後から適宜追加したり、変更したりできることは言うまでもない。USBメモリで代表される外部メモリは、通常は雄側のコネクタを備え、このコネクタをパソコンのUSBポートに挿入すると、簡単にデータの削除、追加、更新ができてしまう。しかし、本実施形態の扱うデータは、故人に関する情報であって、簡単に削除や改変ができるようでは困る。一度失われたなら、データのバックアップがない限り、再度撮影したり録音したりしてデータの復元をするといったことができないからである。
そのため、コネクタの雌雄を反対にし、直接パソコンのUSBポートに挿入できないようにした。
外部メモリ内のデータの削除、追加、更新は次のようにする。
図5に示すように、専用接続ケーブル10の一端をパソコン11に、他端をメモリ受け台4に備えられたコネクタ8に接続し、コネクタ8と外部メモリ5に備えられたコネクタ7を接続する。これにより、パソコン11から外部メモリ5が操作可能となる。パソコン11と接続しているキーボードやマウスなどの入力手段(図示せず)を操作することで、外部メモリ5内に新しいデータを追加保存させたり、記憶されているデータの編集(削除、更新)をしたりすることができる。このように、パソコン11によって外部メモリ5内のデータを操作するためには専用接続ケーブル10とメモリ受け台4とが必要である。外部メモリ5だけではデータの操作ができないので、外部メモリ5の不正な操作によるデータの書き替えや削除を防止できる。
以上のように、本実施形態の電子的な位牌1は、設置費用が安価であること、運用開始後の保守が容易であること等から、小規模な寺院等でも手軽に導入できる。
また、外部メモリ内に故人に関するさまざまな画像データを記憶させることができるので、遺族にとって故人を身近に感じることができる。
以上、本考案の実施の形態について説明したが、これは一例にすぎない。
上記の実施の形態では、多数の利用者が参拝に訪れる納骨施設での利用を想定していた。しかし、本考案の電子的な位牌の利用はこれに限らない。
例えば、自宅の仏壇に備えてもよい。従来の文字だけが刻印された位牌に比べ、故人の生前の画像などが表示されるので、IT機器に囲まれて育った若い人たちにとって親しみがもてる。それにより多くの若い縁者も催しに集まってきて彩りを添え、高齢の縁者を楽しませてくれる。先祖供養の場でも楽しさ・華やかさは好ましいことである。
また、宗派によっては墓地とは別に寺内に位牌堂を設けることがある。このような位牌堂では故人の位牌の位置が上方にあったりして、拝みにくいことがあるが、本考案の位牌を利用するならば、参拝者の視線の位置に参拝対象があることになって落ち着いた祭礼を行うことができる。
上記の実施形態では表示装置としてデジタルフォトフレームを使用しているが、今後デジタルフォトフレームと同様にパソコンなどの制御によらず独自に動作可能な機器が市販されるようになれば、その機器を使用してもかまわない。
また、位牌本体に適宜スピーカを備え、外部メモリに記憶させた故人の生前の声などの音声データを再生させる機能を付加してもよい。
地価の高騰、交通の便のよい墓地に空きがないなどの理由で墓を建立できない人々のニーズに応えるために、寺院が納骨設備を設けることが多くなってきている。参拝者に応じて、故人の戒名や遺影の切替表示が容易にできる本考案の位牌は、納骨設備を設ける寺院などからの需要が見込まれると期待できる。
1 電子的な位牌
2 位牌本体
3 専用接続ケーブル
4 メモリ受け台
5 外部メモリ
6 デジタルフォトフレーム
7 外部メモリ5に備えられたコネクタ(雌側)
8 メモリ受け台4に備えられたコネクタ(雄側)
10 専用接続ケーブル
11 パソコン

Claims (4)

  1. 札板に相当する箇所に電子的な画像表示装置を備えた位牌本体と、メモリ受け台と外部メモリを含む電子的な位牌であって、
    前記メモリ受け台に備えられた雄側のコネクタと、前記外部メモリに備えられた雌側のコネクタとが対をなし、
    前記画像表示装置の専用接続ケーブルの他端は前記メモリ受け台に備えられたコネクタと接続していることを特徴とする電子的な位牌。
  2. 前記画像表示装置は、前記対をなすコネクタ同士が接続されると、前記外部メモリに記憶されている、故人に関する静止画像データあるいは動画像データが前記画像表示装置に転送されて表示されることを特徴とする請求項1に記載の電子的な位牌。
  3. 前記対をなすコネクタ同士が接続されていないときは、前記画像表示装置には宗教的画像が表示されていることを特徴とする請求項2に記載の電子的な位牌。
  4. 前記外部メモリへのデータの保存、更新や削除は、前記対をなすコネクタ同士を接続するとともに、前記メモリ受け台に備えられたコネクタと専用接続ケーブルを介して接続したパソコンを用いて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の電子的な位牌。


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