JP3157153B2 - 歯科用処置材 - Google Patents

歯科用処置材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は歯科治療に於いて歯髄刺激処置に使用される
歯科用処置材に関するものである。
〔従来の技術〕
歯に対する刺激の中で、臨床的に特に問題とされてい
るのは知覚過敏と歯髄痛である。
知覚過敏症は生活歯の象牙質が露出することによって
知覚が亢進し、冷たい飲物,冷気,ガルバニー電流,甘
酸物,爪,歯ブラシ,爪楊枝等の物理的又は化学的接触
などにより起こり、その症状としては一過性の誘発痛,
鋭痛を伴ない、持続時間は短い。
知覚過敏症のメカニズムは、Brnnstrmの動水力
学説によれば、象牙質表面に加えられた侵害刺激が象牙
細管内の組織液(歯髄液)の一方向への流れを誘い、こ
のためによって生じる象牙細管内の内圧の変動が神経繊
維を刺激して痛みを起こすとされている。
一方、歯髄痛は、窩洞形成,支台歯形成,レジンの充
填,外傷性咬合,気圧の変化,疲労時,食物の圧入等の
物理的又は化学的接触により生じ、その症状としては鋭
痛,拍動性疼痛,電撃性疼痛から軽度の疼痛まである。
歯髄痛の多くは知覚過敏症とほぼ同様な原因によって起
こると考えられているが、知覚過敏症と同様に明確にな
っていない。
そのため、従来、歯髄痛の処置方法としては、水酸化
カシウム製剤,酸化亜鉛ユージノールセメント,グラス
アイオノマーセメント,カルボキシレートセメントなど
の裏装材によって処置されていた。これ等のセメント類
は象牙細管の表面を機械的に被覆されて外来刺激を遮断
する材料として使用される。
水酸化カルシウム製剤は、硬化しない、X線造影性が
無い、強度が弱い、等の問題点がある。酸化亜鉛ユージ
ノールセメントは粉末と液とから成り、両者を練和して
使用しなければならないが、混液比が約0.05であり多量
の粉末を液に混入する必要があるため、練和操作が特に
面倒である。また液のユージノールはレジンの重合を阻
害するため、コンポジツトレジンを充填する症例に使え
ない。また、強度が弱い等の問題点がある。
グラスアイオノマーセメント及びカルボキシレートセ
メントは粉末と液とから成り、両者を練和して使用しな
ければならないため練和操作が面倒であるが、液のpHが
1.2〜1.7であるため、充填時に痛みが暫く継続する。ま
たセメント皮膜が厚くなりがちであるため、例えばコン
ポジツトレジンのようなその後に充填する充填材の厚み
が少なくなり、審美的に色が合わなくなる等の問題点が
ある。
このように従来の歯髄刺激の処置方法には操作上の問
題点として、主に練和操作が面倒である、セメント皮膜
が厚くなりがちである、等が挙げられる。また患者側の
問題点として、充填時に痛みが暫く継続する、審美的に
色が合わなくなる、等が挙げられる。
このように歯髄刺激に悩む患者は多いにも拘わらず、
臨床家にとって決定的な対応策即ち有効な歯髄刺激の処
置材が無かった。
〔発明が解決しようとする課題〕
歯髄刺激の処置材として要求されている項目を以下に
列記する。
歯髄、歯肉に対して刺激性が無く、且つ誘発痛を軽減
又は消失させること。
歯質を損傷しないこと。
歯質を変色させないこと。
簡単な操作で効果を挙げることが出来ること。
治療効果が速く実現すること。
効果が持続すること。
治療中及び治療後に痛みが無いこと。
特別な設備又は装置を必要としないこと。
レジンの重合を阻害しないこと。
従来の歯髄刺激の処置方法には、歯髄への刺激、歯肉
の変色、歯質の変色等の問題の他、レジン充填が禁忌と
なる場合もある、等の欠点を有している。
そこで本発明は前述の歯髄刺激の処置材として要求さ
れている項目を満足する歯科用処置材を提供しようとす
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
前述の歯髄痛の処置方法の問題点を解決し、且つ歯髄
痛の処置材に要求される項目を満足させるためには、細
管内の内圧の変動を抑制することが課題解決の鍵であ
り、内圧の変動を抑制する方法に就いて種々検討した結
果、水に難溶性であり、刺激の無い物質で象牙細管内を
封鎖することが望ましく、しかも細長い細管内を封鎖す
る物質が必要であることが判った。
そこで本発明者等は細長い細管内を封鎖出来、しかも
安全な物質を鋭意探索検討した結果、本発明に係る歯科
用処置材を発明した。
本発明は、混合することにより速やかに難溶性の沈殿
を生ずることが可能な物質を含むA,Bの2液と、該A,Bの
2液を順次塗布して形成せしめた沈殿上に適用して共に
硬化する光硬化性組成物とから成り、細長い細管内を封
鎖出来るようにした歯科用処置材である。
即ち、A液は主に無機酸若しくは有機酸のナトリウム
塩,カリウム塩,リチウム塩の中の1種又はそれ以上の
物質から成り、この物質の1〜70%含有の水溶液である
ことが好ましく、B液は主にカルシウム,亜鉛,ストロ
ンチウム,マグネシム,アルミニウム,バリウム,鉄,
銅,銀,鉛,若しくは錫の塩化物,硝酸塩,硫酸塩,酢
酸塩の中の1種又はそれ以上の物質から成り、この物質
の1〜70%含有の水溶液であることが好ましく、A,B2液
を混合して使用するものである。
A液に用いる物質の無機酸としては、リン酸,ピロリ
ン酸,トリポリリン酸,メタリン酸,ポリリン酸,ホス
ホン酸,ホスフィン酸,硫酸,亜硫酸,炭酸,フッ化水
素,硫化水素又はケイ酸を挙げることが出来、有機酸と
しては酸性基としてカルボキシル基,リン酸基,チオリ
ン酸基,ピロリン酸基,ホスホン酸基,ホスフィン酸
基,スルホン酸基を有するものの中の1種又はそれ以上
のものから選ばれたものを挙げることが出来、このA液
である水溶液の水の一部は、アルコール,アセトン,ジ
メチルスルホキシドなどで置き換えることも可能であ
る。詳しくは、リン酸三ナトリウム,リン酸二ナトリウ
ム,リン酸一ナトリウム,ピロリン酸ナトリウム,ピロ
リン酸二水素ナトリウム,トリポリリン酸ナトリウム,
メタリン酸ナトリウム,ホスホン酸ナトリウム,ホスフ
ィン酸ナトリウム,硫酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウ
ム,炭酸ナトリウム,フッ化ナトリウム,硫化ナトリウ
ム,ケイ酸ナトリウム,安息香酸ナトリウム,サルチル
酸ナトリウム,シユウ酸ナトリウム,マレイン酸ナトリ
ウム,マロン酸ナトリウム,クエン酸ナトリウム,コハ
ク酸ナトリウム,グルコン酸ナトリウム,アクリル酸ナ
トリウム,メタクリル酸ナトリウム,ビニル安息香酸ナ
トリウム,スチレンスルホン酸ナトリウム,フタル酸ナ
トリウム,トリメリツト酸ナトリウムの他、アクリル酸
ナトリウム,メタクリル酸ナトリウム又はマレイン酸ナ
トリウムの重合体若しくは共重合体や次に示すI〜III
の化学式で記載された物質及びそれ等の類似物質を挙げ
ることが出来るが、これらの物質のナトリウム塩の代わ
りにカリウム塩及びリチウム塩を列挙することが出来
る。
B液に用いる物質としては、カルシウム,亜鉛,スト
ロンチウム,マグネシウム,アルミニウム,バリウム,
鉄,銅,銀,鉛,若しくは錫の塩化物,硝酸塩,硝酸
塩,酢酸塩を挙げることが出来、B液はこの中の1種又
はそれ以上の物質から成る水溶液であれば良いが、水の
一部は、アルコール,アセトン,ジメチルスルホキシド
などで置き換えることも可能である。詳しくは、塩化カ
ルシウム,塩化亜鉛,塩化ストロンチウム,塩化マグネ
シウム,塩化アルミニウム,塩化鉄,塩化銅,塩化バリ
ウム,塩化錫,硫酸亜鉛,硫酸ストロンチウム,硫酸マ
グネシウム,硫酸アルミニウム,硫酸銅,硝酸カルシウ
ム,硝酸亜鉛,硝酸ストロンチウム,硝酸マグネシウ
ム,硝酸アルミニウム,硝酸鉄,硝酸銅,硝酸銀,硝酸
バリウム,硝酸鉛,酢酸バリウム,酢酸カルシウム,酢
酸ストロンチウム,酢酸マグネシウム,酢酸亜鉛,酢酸
鉛等が挙げられる。
A液及びB液の濃度はそれに用いる物質により異なり
1〜70%の範囲から選ばれることが好ましいが、歯髄刺
激に対する処置材としては3〜30%が好適である。濃度
が1%よりも低いと沈殿量が少量で象牙細管を封鎖する
ためには3〜4回操作が必要であり、濃度が70%を超え
ると作製時の溶解操作に時間が掛かるため面倒である。
1回の操作で効果があり、しかもその硬化が持続し溶解
操作の簡単な濃度の範囲は3〜30%と考えられる。
A液,B液の何れか一方又は両方に於いて水以外の成分
として1個又はそれ以上の水酸基,カルボキシル基,ス
ルホン酸基などの親水性基を有し、更に同時に重合性の
二重結合を有するモノマー物質を含有する場合もある。
詳しくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート,2,3−ジヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート,メタクリル酸,ア
クリル酸,2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸,N−ビニルピロリドン,ポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート及びそれ等の混合物が含まれ
る。これ等のモノマーの水中に於ける濃度は5〜80%が
望ましいが、特に2−ヒドロキシエチルメタクリレート
の場合は1〜70%が好ましい。
また、前記A,Bの2液を順次塗布して象牙細管内に形
成せしめた沈殿上に適用して共に硬化する光硬化性組成
物としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含
有するジメタクリレート類にカンファーキノンの如き光
重合触媒が添加されている公知のものを使用すれば良
い。
この光硬化性組成物をA,Bの2液を順次塗布して象牙
細管内に形成せしめた沈殿上に適用して共に硬化する際
に、A液,B液の何れか一方又は両方に於いて水以外の成
分として含有させた前記モノマー物質が光硬化性組成物
を構成する樹脂と親和性を有するものであると、硬化し
た光硬化性組成物とA,Bの2液を順次塗布して象牙細管
内に形成せしめた沈殿とが完全に一体化するので好まし
い。
以下、本発明に係る歯科用処置材の使用方法に就いて
説明する。
(1)象牙質を機械的に切削して窩洞を形成した際、ス
メアー層が生じるため、窩洞洗浄材,商品名『ジーシー
デンチンコンディショナー』(而至歯科工業(株)製)
を塗布し、スメアー層を除去する。
(2)患部を清掃し、防湿,乾燥を行なう。
(3)A液を歯科用プレート上に1〜2滴採り、これを
スポンジに付け、患部に塗布する。
(4)B液を別の歯科用プレート上に1〜2滴採り、こ
れをスポンジに付け、先に塗布したA液の上に塗布す
る。
(5)塗布後、患部に付着している液を綿球で除去す
る。
(6)この上に、A,Bの2液で形成せしめた沈殿上に適
用して共に硬化する光硬化性組成物を塗布し、硬化させ
る。
A液、B液の塗布の順序は、逆でも構わない。
〔実施例〕
次に実施例を挙げて本発明の歯科用処置材に就いて説
明するが、本発明は斯かる実施例のみに限定されるもの
ではない。
実施例1 A液として5%リン酸二ナトリウム水溶液を作製し、
5%リン酸一ナトリウム水溶液でpH7.4に調整した。
次にB液として10%塩化カルシウム溶液を作製し、5
%塩酸溶液でpH7.4に調整した。
次に歯科用充填材を充填するため、患者の上顎第一大
臼歯にI級窩洞の形成を行ない、スメアー層を除去する
ために、窩洞洗浄材,商品名『ジーシーデンチンコンデ
ィショナー』(而至歯科工業(株)製)を塗布し、水
洗、乾燥を行なった後、A液を歯科用プレート上に1〜
2滴採り、これをスポンジに付け、窩洞に塗布し、次に
B液を別の歯科用プレート上に1〜2滴採り、これをス
ポンジに付け、先に塗布したA液の上に塗布し、約1分
間放置した。その後、窩洞に歯科用シリンジを用いてエ
アーを吹き付けて乾燥させ、その上に市販の光硬化性組
成物,商品名『フォトボンド』((株)クラレ製)を塗
布した。歯科用可視光線照射装置により1分間照射し、
共に硬化させた。その後、市販の光重合型充填材,商品
名『フォトクリアフィル』((株)クラレ製)を窩洞に
充填し、歯科用可視光線照射装置により60秒間照射し、
硬化させた。患者の疼痛は殆んど無く、2ヶ月経過後の
状態も良好であった。
実施例2 A液として5%リン酸二ナトリウム水溶液を作製し、
5%リン酸一ナトリウム水溶液でpH7.4に調整した。次
にB液として10%塩化亜鉛水溶液を作製し、5%水酸化
ナトリウム溶液でpH7.4に調整した。
次に歯科用充填材を充填するため、患者の下顎第二小
臼歯にI級窩洞の形成を行ない、スメアー層を除去する
ために、窩洞洗浄材,商品名『ジーシーデンチンコンデ
ィショナー』(而至歯科工業(株)製)を塗布し、水
洗、乾燥を行なった後、A液を歯科用プレート上に1〜
2滴採り、これをスポンジに付け、窩洞に塗布し、次に
B液を別の歯科用プレート上に1〜2滴採り、これをス
ポンジに付け、先に塗布したA液の上に塗布し、約30秒
間放置した。その後、窩洞に歯科用シリンジを用いてエ
アーを吹き付けて乾燥させ、その上に30%2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート,68%トリエチレングリコール
ジメタクリレート,1%ジメチルアミノエチルメタリレー
ト,1%カンファーキノンから成る光硬化性組成物を塗布
した。歯科用可視光線照射装置により1分間照射し、共
に硬化させた。その後、市販の光重合型充填材,商品名
『ジーシーグラフトLC』(而至歯科工業(株)製)を窩
洞に充填し、歯科用可視光線照射装置により30秒間照射
し硬化させた。患者の疼痛は殆んど無く、3ヶ月経過後
の状態も良好であった。
実施例3 A液として5%リン酸二ナトリウム水溶液と1%ビニ
ル安息香酸ナトリウムとを混合し、5%リン酸一ナトリ
ウム水溶液でpH7.4に調整した。
次にB液として10%塩化カルシウム溶液を作製し、5
%塩酸溶液でpH7.4に調整した。
次に歯科用充填材を充填するため、患者の上顎第一大
臼歯にI級窩洞の形成を行ない、スメアー層を除去する
ために、窩洞洗浄材,商品名『ジーシーデンチンコンデ
ィショナー』(而至歯科工業(株)製)を塗布し、水
洗、乾燥を行なった後、A液を歯科用プレート上に1〜
2滴採り、これをスポンジに付け、窩洞に塗布し、次に
B液を別の歯科用プレート上に1〜2滴採り、これをス
ポンジに付け、先に塗布したA液の上に塗布し、約30秒
間放置した。その後、窩洞に歯科用シリンジを用いてエ
アーを吹き付けて乾燥させ、その上に市販の光硬化性組
成物,商品名『フォトボンド』((株)クラレ製)を塗
布した。歯科用可視光線照射装置により30秒間照射し、
共に硬化させた。その後、市販の光重合型充填材,商品
名『フォトクリアフィル』((株)クラレ製)を窩洞に
充填し、歯科用可視光線照射装置により60秒間照射し、
硬化させた。患者の疼痛は殆んど無く、3ヶ月経過後の
状態も良好であった。
実施例4 A液として5%リン酸二ナトリウム水溶液を作成し、
5%リン酸一ナトリウム水溶液でpH7.4に調整したもの
を、B液として30%の2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートを含む水溶液に5%になるように塩化カルシウムを
溶解し、5%塩酸溶液でpH7.4に調整したものを使用
し、可視光線照射を1分間とした以外は実施例3通りと
した処、同一の効果を得た。
実施例5 A液として5%リン酸二ナトリウム水溶液を作成し、
5%リン酸一ナトリウム水溶液でpH7.4に調整した。
次に、B液として25%の2−ヒドロキシエチルメタク
リレートを含む水溶液に5%になるように塩化カルシウ
ムを溶解し、5%塩酸溶液でpH7.4に調整した。
次に歯科用充填材を充填するため、患者の下顎第一大
臼歯にI級窩洞の形成を行ない、スメアー層を除去する
ために、窩洞洗浄材,商品名『ジーシーデンチンコンデ
ィショナー』(而至歯科工業(株)製)を塗布し、水
洗、乾燥を行なった後、A液を歯科用プレート上に1〜
2滴採り、これをスポンジに付け、窩洞に塗布し、次に
B液を別の歯科用プレート上に1〜2滴採り、これをス
ポンジに付け、先に塗布したA液の上に塗布し、約30秒
間放置した。その後、窩洞に歯科用シリンジを用いてエ
アーを吹き付けて乾燥させ、その上に30%2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート,68%トリエチレングリコール
ジメタクリレート,1%ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート,1%カンファーキノンから成る光硬化性組成物を塗
布した。歯科用可視光線照射装置により1分間照射し、
共に硬化させた。その後、市販の光重合型充填材,商品
名『グラフトLC』(而至歯科工業(株)製)を窩洞に充
填し、歯科用可視光線照射装置により30秒間照射し、硬
化させた。患者の疼痛は殆んど無く、1ヶ月経過後の状
態も良好であった。
実施例6〜7 A液及びB液を第1表の如くした以外は実施例5と全
同様に行ない、何れも実施例5と同じ効果を得た。
比較例 歯科用充填材を充填するため、患者の上顎第一大臼歯
にII級窩洞の形成を行ない、市販の光硬化性組成物,商
品名『フォトボンド』((株)クラレ製)を塗布し、歯
科用可視光線照射装置により1ヵ間照射し硬化させた。
その後、市販の光重合型充填材,商品名『フォトクリア
フィル』((株)クラレ製)を窩洞に充填し、歯科用可
視光線照射装置により30秒間照射し硬化させた。充填直
後から患者は疼痛を訴え、1週間その疼痛が継続し、10
日目で更に悪化したため、抜髄処置を行なった。
〔作 用〕
前記実施例から明らかなように本発明に係る歯科用処
置材は、混合することにより速やかに難溶性の沈殿を生
ずることが可能な物質を含むA,B2液を順次患部上で塗布
することにより、両者を反応させ、難溶製物質を生成さ
せ、その上に適用した光硬化性組成物と共に硬化させる
ことにより細長い細管内を封鎖出来るようにしたもので
ある。
A液は主に無機酸若しくは有機酸のナトリウム塩,カ
リウム塩,リチウム塩の中の1種又はそれ以上の物質か
ら成り、この物質の1〜70%含有の水溶液であることが
好ましく、B液は主にカルシウム,亜鉛,ストロンチウ
ム,マグネシウム,アルミニウム,バリウム,鉄,銅,
銀,鉛,若しくは錫の塩化物,硝酸塩,硫酸塩,酢酸塩
の中の1種又はそれ以上の物質から成り、この物質の1
〜70%含有の水溶液であることが好ましい。
本発明に係る歯科用処置材を使用する場合、象牙質部
分に窩洞洗浄材,商品名『ジーシーデンチンコンディシ
ョナー』(而至歯科工業(株)製)を塗布し、スメアー
層を除去した後、患部を清掃、乾燥し、A液を歯科用プ
レート上に1〜2滴採り、これをスポンジに付け患部に
塗布し、次にB液を別の歯科用プレート上に1〜2滴採
り、これをスポンジに付け、先に塗布したA液の上に塗
布し、更にその上に適用した光硬化性組成物と共に硬化
させることにより細長い細管内を封鎖する。A液,B液の
塗布の順序は、逆でも構わない。
〔発明の効果〕
以上に詳述した如く、本発明に係る歯科用処置材は、
A,B2液のpHを調整したもの若しくは調整しないものを順
次患部に塗布することにより、両者を反応させ、難溶性
の物質を象牙質細管内に生成させた後、光硬化組成物を
共に硬化させることにより、歯髄刺激を遮断することが
出来、ベースとして使われている市販の歯科用セメント
又は歯科用ライニング材を充填しなくてもその上に歯科
用充填用レジンを安全に充填出来、従来の歯髄刺激の処
置材として問題とされている以下の8項目を総べて満足
することが出来るようになった。
歯髄、歯肉に対して刺激性が無く、且つ誘発痛を軽減
又は消失させること。
歯質を損傷しないこと。
歯質を変色させないこと。
簡単な操作で効果を挙げることが出来ること。
治療効果が速く実現すること。
効果が持続すること。
治療中及び治療後に痛みが無いこと。
充填用レジンの重合を阻害しないこと。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】混合することにより速やかに難溶性の沈殿
    を生ずることが可能な物質を含むA,Bの2液と、該A,Bの
    2液を順次塗布して形成せしめた沈殿上に適用して共に
    硬化する光硬化性組成物とから成ることを特徴とする歯
    科用処置材。
  2. 【請求項2】A液が、無機酸若しくは有機酸のナトリウ
    ム塩,カリウム塩,リチウム塩の中の1種又はそれ以上
    の物質から成り、該物質の1〜70%含有の水溶液である
    請求項1に記載の歯科用処置材。
  3. 【請求項3】無機酸が、リン酸,ピロリン酸,トリポリ
    リン酸,メタリン酸,ポリリン酸,ホスホン酸,ホスフ
    ィン酸,硫酸,亜硫酸,炭酸,フッ化水素,硫化水素又
    はケイ酸の中の1種又はそれ以上のものから選ばれたも
    のである請求項2に記載の歯科用処置材。
  4. 【請求項4】有機酸が酸性基としてカルボキシル基,リ
    ン酸基,チオリン酸基,ピロリン酸基,ホスホン酸基,
    ホスフィン酸基,スルホン酸基を有すものの中の1種又
    はそれ以上のものから選ばれたものである請求項2に記
    載の歯科用処置材。
  5. 【請求項5】B液が、カルシウム,亜鉛,ストロンチウ
    ム,マグネシウム,アルミニウム,バリウム,鉄,銅,
    銀,鉛,若しくは錫の塩化物、硝酸塩、硫酸塩,酢酸塩
    の中の1種又はそれ以上の物質から成り、該物質の1〜
    70%含有の水溶液である請求項1から4までの何れか1
    項に記載の歯科用処置材。
  6. 【請求項6】A液,B液の何れか一方又は両方に、水以外
    の成分として、1個又はそれ以上の水酸基,カルボキシ
    ル基,スルホン酸基などの親水性基を有し、更に同時に
    重合性の二重結合を有するモノマー物質を含む請求項1
    から5までの何れか1項に記載の歯科用処置材。
  7. 【請求項7】A液,B液の何れか一方又は両方に、水以外
    の成分として、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを
    1〜70%含有する請求項1から5までの何れか1項に記
    載の歯科用処置材。
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