JP3156495B2 - 無塗装AlまたはAl合金部材 - Google Patents

無塗装AlまたはAl合金部材

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JP3156495B2 JP07338394A JP7338394A JP3156495B2 JP 3156495 B2 JP3156495 B2 JP 3156495B2 JP 07338394 A JP07338394 A JP 07338394A JP 7338394 A JP7338394 A JP 7338394A JP 3156495 B2 JP3156495 B2 JP 3156495B2
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文博 佐藤
真紀 櫻井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使用時における汚染物
質の付着を低減することができると共に、汚染物質の除
去性(洗浄性)にも優れた無塗装AlまたはAl合金部
材に関するものである。尚本発明に係る無塗装Alまた
はAl合金(以下、Al合金で代表することがある)部
材は、サッシ、パネル、ガードレール等の土木・建築材
料や、航空機の外板等の各種用途に適用できるものであ
るが、以下では地下鉄等の鉄道車両の外板として用いる
場合を代表的に取り上げて説明を進める。
【0002】
【従来の技術】近年、地下鉄等の鉄道車両構造の軽量化
に対応するべく、Al合金による車両は大きく注目され
ており、従来の鉄鋼材料からAl合金材料への転換が進
められている。またAl合金は、表面に自然酸化皮膜が
形成され、表面処理を施さなくとも耐食性が良好である
ことから、無塗装のAl合金材料が鉄道車両外板用とし
て使用されるのが一般的である。
【0003】一方、Al合金材料を車両外板として用い
た場合には、雨垂れ状の黒い汚れや車両下部の赤い汚れ
によって、美観が損なれるということが頻繁にある。こ
れらの汚れは、機械的な自動洗浄によっては十分に除去
されず、手作業による洗浄が行われるのが一般的であ
り、これがコスト増大につながっている。このことが、
車両のAl化が阻止されている原因の1つであると考え
られている。こうしたことから、Al合金材料自体の清
浄性向上や、有用な洗浄剤もしくは洗浄方法の実現が望
まれているのが実情である。
【0004】Al合金材料自体の清浄性の向上を図るた
めの一つの手段として、Al合金材料に各種の塗装を施
すことも考えられまた実施されているが、Al合金材料
自体の良好な耐食性を生かすべく無塗装の状態で使用さ
れることが多いという一般的状況に反するものであり、
採用しがたい。
【0005】また無塗装Al合金材料を洗浄する方法も
しくはそのための洗浄剤として、例えば特公平4−18
7788号や特公昭51−20529号等に開示される
ような技術も提案されている。しかしながら、無塗装A
l合金材料の洗浄に関するこれまで提案されてきた技術
は、実際の施工において多大な労力を要する割りにはそ
の効果は小さいという問題があった。また洗浄剤に含有
されている薬品による環境汚染や、作業者への悪影響も
指摘されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に鑑みてなされたものであって、その目的は、Alまた
はAl合金部材自体の清浄性を向上させ、AlまたはA
l合金部材自体の汚染の進行を抑制することができると
共に、洗浄時に一般的な洗浄方法を採用しても汚染が容
易に除去できるような無塗装AlまたはAl合金材料を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成した本
発明とは、最表面に、Ca,Mg,Ni,FeおよびZ
nよりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の水酸化
物を主体とする被覆膜が形成されたものである点に要旨
を有する無塗装AlまたはAl合金部材である。また被
覆膜には、アルミナ水和物が含まれているものであって
も良い。更に、上記被覆膜の厚さは、0.2〜4.0μ
mであることが好ましい。
【0008】
【作用】本発明者らは、無塗装Al合金部材の清浄性を
高めるという観点から、その表面形態と清浄性の関係に
ついて、実験および検討を重ねた。その結果、最表面
に、Ca,Mg,Ni,FeおよびZnよりなる群から
選ばれる1種以上の金属元素の水酸化物を主体とする被
覆膜が形成された無塗装Al合金部材では、耐汚染性お
よび汚染物質除去性に優れ、極めて高い清浄性が達成さ
れることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】上記のような無塗装Al合金部材が、極め
て高い清浄性を示す理由については、その全てを解明し
た訳ではないが、おそらく上記のような被覆膜が親水性
に富むので、油脂分や炭素成分等の有機化合物を中心と
した汚染物質の付着を低減すると共に、汚染物質の除去
性にも優れたものとなり、洗剤噴霧と水洗からなるよう
な従来の一般的な洗浄方法においても極めて高い清浄性
が達成されるものと考えられる。
【0010】上記のような被覆膜を形成する方法につい
ては、特に限定されるものではないが、最も一般的な方
法としては、例えば上記各金属元素の水可溶性塩を含み
且つ温度やpHを調整した水溶液に、Al合金部材を所
定時間浸漬し、その表面に金属水酸化物の結晶を生成・
沈着する方法が採用できる。
【0011】また上記被覆膜の厚みは、上記の方法にお
いて水溶液中の金属イオン濃度や浸漬時間等を調節する
ことによって任意に変更できるが、表面被覆膜の厚みは
0.2〜4.0μm程度であることが好ましい。即ち、
表面被覆膜の厚みが0.2μm未満では、洗浄時のブラ
シ掛け等の洗浄工程において被覆膜の剥離が容易に発生
し、洗浄性の向上効果を維持することが困難になる。ま
た表面被覆膜の厚みが4.0μmを超えると、洗浄性の
効果がそれ以上向上しないばかりか、ブラシ掛けによっ
て表面被覆膜の表面にパウダリングを起こす傾向が認め
られる。
【0012】本発明の表面被覆膜は、前述した様な方法
によって形成することができるが、その形成過程におい
て、表面被覆膜の一部にアルミナ水和物を含有すること
がある。本発明の無塗装Al合金部材は、このようなア
ルミナ水和物を含む様な表面被覆膜が形成されることも
許容するものである。このアルミナ水和物は、所謂水酸
化アルミニウムを含み、Al23 ・nH2 Oの化学式
で表せるものであれば良く、具体的にはバイヤライト
(Al23 ・3H2 O),ベーマイト(Al23
2 O)等の1種または2種以上を混合した化合物であ
る。また上記の様なアルミナ水和物と被覆膜中に含ませ
る手段として、上記の各種金属元素と共にAlの水可溶
性塩を含む水溶液にAl合金部材を浸漬し、被覆膜中に
アルミナ水和物を意図的に析出させる様にしてもよい。
【0013】尚本発明に適用できるAl合金部材につい
ては、特に限定されるものではなく、Mg,Cu,S
i,Zn,Cr,Ni等の1種または2種以上を含有す
る各種のAl合金部材が挙げられ、また純Alについて
も適用できるが、これらの中で最も汎用性の高い合金
は、Al−Mg系合金(5000系合金)またはAl−
Mg−Si系合金(6000系合金)である。またこれ
までは、無塗装Al合金部材を地下鉄等の鉄道車両の外
板として用いる場合を代表的に取り上げて説明を進めて
きたが、本発明の無塗装Al合金部材は、前述の如く、
サッシ、パネル、ガードレール等の土木・建築材料や、
航空機の外板等の各種用途に適用できるものである。
【0014】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0015】
【実施例】
実施例1 供試材料として、50×50(mm)の6063Al合金
押出材(厚み:2.5mm)を用い、押出方向と同一方向
に#80ペーパーにて研磨して表面粗度をそろえた後、
下記表1に示す表面処理を施し、各金属元素の水酸化物
を主体とする被覆膜を形成した。尚この被覆膜が水酸化
物であることは、X線光電子分光法(XPS法)によっ
て確認した。
【0016】得られた各表面処理Al合金材料につい
て、模擬汚染を付着させた後、1/10に希釈した常温の
シュウ酸系車両外板用洗浄剤に2分間浸漬し、研磨方向
に対して同一方向に拭き取り、垂直方向に水洗をした
後、耐汚染性について調査した。尚模擬汚染は、牛脂:
5g,流動パラフィン1級:15g,カーボンブラッ
ク:4gを乳鉢中で混合したものを使用し、これを供試
材料表面に一定且つ極力薄く塗り付けた後、テッシュペ
ーパーにて擦り付着を促進した。また耐汚染性について
は、分光式色差計(日本電色工業株式会社製;SZ−Σ
90型)によってL*値の変化を測定し、下記(1)式
によって洗浄率を求めて評価した。 洗浄率=(模擬汚染付着後のL* 値−模擬汚染除去後の
* 値)/(模擬汚染付着後のL* 値−表面処理後のL
* 値) …(1) その結果を表1に併記する。尚耐汚染性については、前
記(1)式によって求められた洗浄率が0.8以上の場
合を○、0.8未満の場合を×で示した。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されており、清
浄性に優れた無塗装Al合金部材が実現でき、これによ
って無塗装Al合金部材の車両外板等への適用が大いに
広がることが期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂 博雄 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 佐藤 文博 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 櫻井 真紀 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 畑中 孝一 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 昭53−95139(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 26/00 C23C 8/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最表面に、Ca,Mg,Ni,Feおよ
    びZnよりなる群から選ばれる1種以上の金属元素の水
    酸化物を主体とする被覆膜が形成されたものであること
    を特徴とする無塗装AlまたはAl合金部材。
  2. 【請求項2】 被覆膜に、更にアルミナ水和物が含まれ
    ているものである請求項1に記載の無塗装AlまたはA
    l合金部材。
  3. 【請求項3】 被覆膜の厚さが0.2〜4.0μmであ
    る請求項1または2に記載の無塗装AlまたはAl合金
    部材。
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