JP3152958B2 - 微生物起源リパーゼの安定化組成物及び安定化法 - Google Patents

微生物起源リパーゼの安定化組成物及び安定化法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、胆汁酸塩に対して微生
物起源のリパーゼを安定化させたリパーゼ組成物及び安
定化方法に関する。更に詳細には、消化管(十二指腸)
内に分泌される胆汁酸塩の存在下で、微生物起源リパー
ゼの活性が阻害される反応において、L−ヒスチジン及
び/又はそれをN末端基としてもつ蛋白質を共存させる
ことによって該リパーゼを安定化せしめたリパーゼ組成
物及び安定化方法に関するものである。
【0002】本発明による組成物は、動物起源の膵臓性
脂肪分解酵素(パンクレアチン)と同様に、微生物起源
のリパーゼを消化不良性症候群、慢性膵炎の患者、又は
膵臓摘出により消化機能を失った患者に適用することが
できる。
【0003】
【従来の技術】消化酵素としてのリパーゼは、消化管
(十二指腸)内で胆汁成分存在下で脂肪の消化を行って
いる。従って、従来より動物起源の膵臓性脂肪分解酵素
を含有するパンクレアチンが、胆汁成分(胆汁酸塩)の
存在下でもリパーゼ活性が阻害されないことより広く利
用されている。
【0004】しかしながら、パンクレアチンは主に豚膵
臓から分離調製されるものであり、生産性、価格面で問
題があった。よって、微生物起源のリパーゼをパンクレ
アチンの代替品として使用する技術が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来より、胆汁成分に
よる反応促進の見られる微生物起源のリパーゼも報告は
されている〔薬局、19巻、1956頁(196
6)〕、〔Agric. Biol. Chem.、4
6巻、7号、1743頁(1982)〕。がしかし、得
られたリパーゼの特性はその検討に用いられる活性測定
法によって大きく左右される。例えば最も汎用されてい
るポリビニルアルコール(以下PVAという)乳化基質
による測定法〔薬務公報、1120巻、153頁(19
80)〕でもPVAの種類や組成比率を変えるとリパー
ゼ活性値は大きく変動することが知られている。しか
し、この反応系に胆汁酸塩を加えるとPVAの種類や組
成比率が変わっても測定されるリパーゼ活性値は影響さ
れなくなることが判っている〔リパーゼ活性度測定方法
の調査研究、6頁(1986)、発酵工業協会刊〕。
【0006】従って、従来の乳化系測定法を用いた測定
系では微生物起源のリパーゼの胆汁成分による影響を検
討することは不都合であり、従来の報告の反応促進が認
められるとの確固たる証明は困難であった。
【0007】また一方、小腸内消化産物は上層の油様白
濁層と下層の透明なミセル層の混合物であることが判っ
ている〔J. Clin. Invest.、39巻、
809頁(1960)〕、〔同誌、43巻、247頁
(1964)〕、〔Fed.Proc.、21巻、43
頁(1962)〕。
【0008】すなわち膵臓性リパーゼにより水解を受け
て生じたβ−モノグリセリドは胆汁酸塩の助けでミセル
を形成し、これに脂肪酸を溶かし入れ、油相での酵素反
応が進行する。このようにリパーゼ反応は水(酵素側)
と油(基質側)の二相系で行われ、そこにはPVAのよ
うな人工乳化剤は存在しないのである。
【0009】そこで消化管内での適正なリパーゼ特性を
求めるための測定法は非乳化系とすることが望ましい。
よって本発明者は、非乳化系測定法〔科学と工業、43
巻、577頁(1969)〕に準じた測定法を採用し
た。本測定法の精度については〔薬剤学、48巻、4
号、277頁(1988)〕に報告されており、その測
定精度は前に述べた乳化系測定法のそれに優るとも劣ら
ないものである。
【0010】非乳化系測定法を用いて、微生物起源リパ
ーゼ活性への胆汁酸塩の影響を検討した例としては〔科
学と工業、39巻、415頁(1965)〕にみられ、
コール酸による活性低下が報告されているが、微生物起
源のリパーゼについて広範囲には調べられていない。
【0011】本発明者は、先ず第一に非乳化系測定法を
用いて各種の微生物起源リパーゼの胆汁酸塩による影響
を把握した。その結果については後述のように程度の差
はあるが、どの微生物起源のリパーゼも胆汁酸塩により
阻害を受けることが明らかになった。
【0012】更に第二には、腸管内の消化が行われる場
で、胆汁酸塩による微生物起源リパーゼの反応が阻害さ
れるのを防ぎ、又はそれを回復させる方法を鋭意検討し
た。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者は、胆汁酸塩によ
る微生物起源リパーゼの活性低下を防止することを目的
に非乳化測定法を活用し、生体内反応に利用できる生体
内関連成分や食物関連成分を鋭意検討を行ううちに、あ
る種の添加物を添加することによって微生物起源のリパ
ーゼが受ける胆汁酸塩の影響を少なくし、さらには胆汁
酸塩で活性が低下した微生物起源のリパーゼを、該添加
物を共存させることによって活性を回復させることがで
きることを見いだして本発明を完成した。
【0014】微生物起源のリパーゼとしては、糸状菌、
細菌或いは酵母起源等の幅広い範囲のリパーゼが本発明
の対照となる。より具体的にはリゾプス・オリーゼ(R
hizopus oryzae)、リゾプス・デレマー
(Rhizopus delemar)、ムコール・ジ
ャバニカス(Mucor japanicus)、シュ
ードモナス・セパシア(Pseudomonas ce
pacia)、キャンディダ・ルゴーサ(Candid
a rugosa)等の起源のリパーゼが挙げられる。
【0015】添加物としてはアミノ酸及び/又はその関
連蛋白質が用いられる。アミノ酸としてはL−ヒスチジ
ンが使用できる。関連蛋白質としては、そのN末端アミ
ノ基としてL−ヒスチジンを持つ蛋白質であればいずれ
でも使用できる。生体関連蛋白として具体的には血清ア
ルブミンあるいはラクトアルブミン等が挙げられる。
【0016】添加量は使用する微生物起源リパーゼの種
類によって変動するが、本発明の効果が現れる量であれ
ば良い。通常、活性の回復度及び安定化度は添加物の濃
度の上昇とともに増大する。
【0017】添加する方法としては、酵素の精製工程或
いは製剤工程で添加することができ、さらにはリパーゼ
が胆汁酸塩と接触する際に共存できる形態であればいず
れの方法も利用できる。
【0018】本発明は、上記のような方法で調製された
微生物起源のリパーゼ組成物も提供する。
【0019】本発明の効果を判断する為のリパーゼ活性
測定法は非乳化系の測定法を採用した。すなわちオリブ
油(基質)1ml、トリス−塩酸緩衝液(pH7.0)
5mlを37℃で5分間予熱した後、希釈酵素液1ml
を加えて600rpmで30分間反応する。次にアセト
ン・エタノール混液20mlを加えフェノールフタレイ
ン試薬2滴を指示薬として、0.1N水酸化カリウム溶
液で滴定した。
【0020】混合胆汁酸塩は〔K. W. Heato
n著、神坂和明ら訳「胆汁酸、その整理と病態」18項
(1977)〕の組成に準じた。即ち、グリココール酸
ナトリウム:グリコデオキシコール酸ナトリウム:タウ
ロコール酸ナトリウム:タウロデオキシコール酸ナトリ
ウム=3.1:4.5:1:1.4の混合胆汁酸塩を、
2mM−10mM〔消化と吸収、最新医学、20巻、1
1号、12号、別冊、116頁(1966)〕の生理的
濃度を反応終濃度として用いた。
【0021】又、アミノ酸及び蛋白質は基質としてのオ
リブ油に対し、0.5%−10%の範囲を用いた(本反
応系ではアミノ酸でオリブ油の5%、蛋白質で10%添
加が限度でこれ以上では滴定時の終末点が判定しにくか
ったり、添加物が溶けずに析出し、測定が困難にな
る)。
【0022】実験例1 胆汁酸塩の微生物起源のリパー
ゼ活性に及ぼす影響 前記測定法に従い、反応系に混合胆汁酸塩を0−10m
Mと変化させて添加し、リゾプス・オーゼ、リゾプス・
デレマー、ムコール・ジャバニカス(以上は糸状菌)、
シュードモナス・セパシア(細菌)及びキャンディダ・
ルゴーサ(酵母)起源のリパーゼ(いずれも天野製薬社
製)の活性に及ぼす影響を調べた(図1に示される)。
【0023】その結果、どのリパーゼも胆汁酸塩により
活性が低下した。混合胆汁酸塩がリパーゼ活性に与える
濃度は、ムコール属起源のリパーゼを除いて2mM−1
0mMの間でほぼ同じであるため、以後の実験は、混合
胆汁酸塩濃度としては4mMとして差し支えないと判断
し採用した。
【0024】実験例2 胆汁酸塩存在下、種々のアミノ
酸類がリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼに及ぼす影響 先ず、種々のアミノ酸類〔味の素タカラコーポレーショ
ン社製〕の影響をリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼに
ついて検討した。混合胆汁酸塩は4mM、アミノ酸はオ
リブ油に対して1%を添加し、前記の方法で測定した。
その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】すなわち、混合胆汁酸塩4mM単独ではリ
パーゼ活性は約30%活性低下し、各種のアミノ酸を添
加することによって活性を回復するものとしては、L−
ヒスチジンが回復度(混合胆汁酸塩4mMの添加した場
合の活性を100としたときの相対値)118%を示し
た。しかしながら他のアミノ酸は影響を与えないか逆に
活性がより低下する結果を示した。
【0027】本発明者は実験例2より、リパーゼの胆汁
酸塩による活性低下を防止するものとして、L−ヒスチ
ジンおよびL−ヒスチジンを官能基としてもつ生体成分
や食物成分に着目した。N末端基にL−ヒスチジンをも
つ生体関連蛋白質としては血清アルブミン〔参考文献
赤堀四郎ら、蛋白質化学III、364頁(1961、
共立出版)〕が挙げられ、血清アルブミン由来の生体成
分であり、かつ理化学的性質が酷似するα−ラクトアル
ブミン〔参考文献 赤堀四郎ら、蛋白質化学III、9
頁(1961、共立出版)〕をこれに相当するものと考
えられた。
【0028】実験例3 混合胆汁酸塩存在下、L−ヒス
チジン、血清アルブミン(牛由来)、α−ラクトアルブ
ミン(牛由来)が微生物起源リパーゼに及ぼす影響 L−ヒスチジン(和光純薬工業社製)、血清アルブミ
ン、α−ラクトアルブミン(いずれもシグマ社製)を混
合胆汁酸塩4mMの存在下で添加し、リゾプス・オリー
ゼ、リゾプス・デレマー、ムコール・ジャバニカス、シ
ュードモナス・セパシア及びキャンディダ・ルゴーサ起
源の各リパーゼの活性に及ぼす影響を調べた。その結果
を図2、図3及び図4にそれぞれ示す。
【0029】すなわち、混合胆汁酸塩4mMの添加でど
の起源のリパーゼも活性が低下し、これにL−ヒスチジ
ン、α−ラクトアルブミンをオリブ油に対して5%ま
で、血清アルブミンを10%まで添加すると濃度の上昇
と共にリパーゼ活性は回復した。
【0030】血清アルブミンやα−ラクトアルブミンは
末端基としてL−ヒスチジンの他にL−メチオニン、L
−アスパラギン酸〔参考文献 赤堀四郎ら、蛋白質化学
III、364頁(1961、共立出版)〕を有し、
又、分子中に陽荷電要因となるアミノ基としてL−ヒス
チジンの他にL−アルギニン、L−リジン〔参考文献青
木幸一郎ら、血清アルブミン、12頁(1989、第3
版、講談社サイエンティフィク)〕をもっている。そこ
で、本発明者は前記実験例の他にこれらのアミノ酸につ
いても検討を加えた。
【0031】実験例4 胆汁酸存在下、L−アルギニ
ン、L−リジン、L−メチオニン、L−アスパラギン酸
の微生物起源リパーゼに対する影響 前記測定法により混合胆汁酸塩4mMの存在下、L−ア
ルギニン、L−リジン、L−メチオニン又はL−アスパ
ラギン酸を0−5%(オリブ油に対して)添加し、リゾ
プス・オリーゼ、リゾプス・デレマー、ムコール・ジャ
バニカス、シュードモナス・セパシア及びキャンディダ
・ルゴーサ起源の各リパーゼに及ぼす影響を図5、図
6、図7及び図8に示した。
【0032】血清アルブミンやα−ラクトアルブミン分
子中の陽荷電要因となるL−アルギニン、L−リジンに
あっては、その添加濃度が増すにつれてどのリパーゼも
大幅に活性が低下した。
【0033】又、血清アルブミンやラクトアルブミンの
N−末端基であるL−アスパラギン酸はリゾプス属起源
の2つのリパーゼにおいて活性低下がみられたが、他の
3つの起源のリパーゼには活性を与えなかった。
【0034】以上のことから血清アルブミンやラクトア
ルブミン分子中に存在して、陽荷電要因となり、かつN
−末端に存在するL−ヒスチジンのみが胆汁酸塩による
微生物リパーゼ活性の低下を防止し、或いは活性を回復
させるものであることが判った。
【0035】本発明者は腸管(十二指腸)内での脂肪分
解に適した微生物起源のリパーゼを利用する場合におい
て、従来活性測定法の不適合性から明確にされていなか
った胆汁酸塩の影響を非乳化系測定法を用いて明らかに
した。その結果、微生物起源のリパーゼは胆汁酸塩の存
在下で活性が低下することが判った。その活性低下をL
−ヒスチジン又はL−ヒスチジンをN末端基として持つ
蛋白質によって防止し、又は活性を回復させることを本
発明者は始めて見いだしたものである。以下、実施例に
より本発明をより明確にする。
【0036】
【実施例】実施例1 オリブ油を基質として、4mMの混合胆汁酸塩(反応終
濃度)の存在下、L−ヒスチジンをオリブ油に対して5
%添加し、これにリゾプス・デレマー起源のリパーゼ
(0.33mg/ml)を1ml加え、37℃、30分
間、600rpmで反応させたところ、対照(L−ヒス
チジンを添加していない)のリゾプス・デレマー起源の
リパーゼの残存活性率73%に対し、L−ヒスチジンを
添加したリパーゼの活性は残存活性率93%(回復率2
7%)を示した。
【0037】実施例2 オリブ油を基質として、4mM混合胆汁酸塩(反応終濃
度)の存在下、L−ヒスチジンをオリブ油に対して5%
添加し、これにムコール・ジャバニカス起源のリパーゼ
(0.33mg/ml)を1ml加え、37℃、30分
間、600rpmで反応させたところ、対照(L−ヒス
チジンを添加していない)のムコール・ジャバニカス起
源のリパーゼの残存活性率82%に対し、L−ヒスチジ
ンを添加したリパーゼの活性は残存活性率95%(回復
率16%)を示した。
【0038】実施例3 実施例1 と同じ反応条件でシュードモナス・セパシア起
源のリパーゼ(0.067mg/ml)1mlを加えて
反応したところ対照(L−ヒスチジンを添加していな
い)シュードモナス・セパシア起源のリパーゼの残存活
性率85%に対し、L−ヒスチジンを添加したシュード
モナス・セパシア起源のリパーゼは残存活性率101%
(回復率19%)を示した。
【0039】実施例4 オリブ油を基質として、4mM混合胆汁酸塩(反応終濃
度)の存在下、牛血清アルブミンをオリブ油に対して1
0%添加し、これにリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ
(0.033mg/ml)を1ml加え、37℃、30
分間、600rpmで反応させたところ、対照(牛血清
アルブミンを添加していない)のリゾプス・オリーゼ起
源のリパーゼの残存活性率73%に対し、L−ヒスチジ
ンを添加したリパーゼの活性は残存活性率95%(回復
率30%)を示した。
【0040】実施例5 実施例4 と同じ反応条件でキャンディダ・ルゴーサ起源
のリパーゼ(0.04mg/ml)1mlを加えて反応
したところ対照(牛血清アルブミンを添加していない)
キャンディダ・ルゴーサのリパーゼの残存活性率41%
に対し、牛血清アルブミンを添加したキャンディダ・ル
ゴーサ起源のリパーゼは残存活性率60%(回復率46
%)を示した。
【0041】実施例6 オリブ油を基質として、4mM混合胆汁酸塩(反応終濃
度)の存在下、牛由来のα−ラクトアルブミンをオリブ
油に対して5%添加し、これにリゾプス・オリーゼ起源
のリパーゼ(0.033mg/ml)を1ml加え、3
7℃、30分間、600rpmで反応させたところ、対
照(α−ラクトアルブミンを添加していない)のリゾプ
ス・オリーゼ起源のリパーゼの残存活性率78%に対
し、α−ラクトアルブミンを添加したリパーゼの活性は
残存活性率88%(回復率13%)を示した。
【0042】実施例7 実施例6 と同じ反応条件でリゾプス・デレマー起源のリ
パーゼ(0.033mg/ml)1mlを加えて反応し
たところ、対照(α−ラクトアルブミンを添加していな
い)リゾプス・デレマー起源のリパーゼの残存活性率6
7%に対し、α−ラクトアルブミンを添加したリパーゼ
は残存活性率79%(回復率18%)を示した。
【0043】
【発明の効果】本発明により、腸管内での消化に微生物
起源リパーゼを用いる際、胆汁酸塩によるリパーゼ活性
の低下を防止し、又は活性を回復させる方法が見いださ
れ、消化不良症候群、慢性膵炎の患者の治療に膵臓性脂
肪分解酵素(パンクレアチン)代替品を用いる可能性に
大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】混合胆汁酸塩が無添加の時のリパーゼ活性を1
00%としたときの各種リパーゼ活性の胆汁酸塩による
影響を示したものであり、−○−はリゾプス・オリーゼ
起源のリパーゼ、−●−はリゾプス・デレマー起源のリ
パーゼ、−◆−はムコール・ジャバニカス起源のリパー
ゼ、−△−はシュードモナス・セパシア起源のリパーゼ
及び−□−はキャンディダ・ルゴーサ起源のリパーゼの
結果を示す。
【図2】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼすL−ヒスチジンの影響を示すものであり、−
○−はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●−はリ
ゾプス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコール・
ジャバニカス起源のリパーゼ、−△−はシュードモナス
・セパシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンディダ・
ルゴーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中で下矢
印は混合胆汁酸塩の添加を示す。
【図3】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼす牛血清アルブミンの影響を示すものであり、
−○−はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●−は
リゾプス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコール
・ジャバニカス起源のリパーゼ、−△−はシュードモナ
ス・セパシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンディダ
・ルゴーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中で下
矢印は混合胆汁酸塩の添加を示す。
【図4】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼすα−ラクトアルブミンの影響を示すものであ
り、−○−はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●
−はリゾプス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコ
ール・ジャバニカス起源のリパーゼ、−△−はシュード
モナス・セパシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンデ
ィダ・ルゴーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中
で下矢印は混合胆汁酸塩の添加を示す。
【図5】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼすL−アルギニンの影響を示すものであり、−
○−はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●−はリ
ゾプス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコール・
ジャバニカス起源のリパーゼ、−△−はシュードモナス
・セパシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンディダ・
ルゴーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中で下矢
印は混合胆汁酸塩の添加を示す。
【図6】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼすL−リジンの影響を示すものであり、−○−
はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●−はリゾプ
ス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコール・ジャ
バニカス起源のリパーゼ、−△−はシュードモナス・セ
パシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンディダ・ルゴ
ーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中で下矢印は
混合胆汁酸塩の添加を示す。
【図7】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼすL−メチオニンの影響を示すものであり、−
○−はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●−はリ
ゾプス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコール・
ジャバニカス起源のリパーゼ、−△−はシュードモナス
・セパシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンディダ・
ルゴーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中で下矢
印は混合胆汁酸塩の添加を示す。
【図8】混合胆汁酸塩存在下での各種微生物リパーゼ活
性に及ぼすL−アスパラギン酸の影響を示すものであ
り、−○−はリゾプス・オリーゼ起源のリパーゼ、−●
−はリゾプス・デレマー起源のリパーゼ、−◆−はムコ
ール・ジャバニカス起源のリパーゼ、−△−はシュード
モナス・セパシア起源のリパーゼ及び−□−はキャンデ
ィダ・ルゴーサ起源のリパーゼの結果を示す。尚、図中
で下矢印は混合胆汁酸塩の添加を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/96 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血清アルブミンとラクトアルブミンとか
    らなる群より選択された少なくとも1種以上であって、
    胆汁酸塩による微生物起源リパーゼの反応の阻害を防止
    し、又は胆汁酸塩により阻害された該リパーゼの反応を
    回復する作用を有する該1種以上と該微生物起源リパー
    ゼとを含有してなるリパーゼ組成物。
  2. 【請求項2】 リパーゼ組成物が更にL−ヒスチジンを
    含有してなる請求項1記載のリパーゼ組成物。
  3. 【請求項3】 血清アルブミンとラクトアルブミンとか
    らなる群より選択された少なくとも1種以上であって、
    胆汁酸塩による微生物起源リパーゼの反応の阻害を防止
    し、又は胆汁酸塩により阻害された該リパーゼの反応を
    回復する作用を有する該1種以上と微生物起源のリパー
    ゼとを共存せしめ、胆汁酸塩による該リパーゼの反応の
    阻害を防止し、又は胆汁酸塩により阻害された該リパー
    ゼの反応を回復する方法。
  4. 【請求項4】 血清アルブミンとラクトアルブミンとか
    らなる群より選択された少なくとも1種以上であって、
    胆汁酸塩による微生物起源リパーゼの反応の阻害を防止
    し、又は胆汁酸塩により阻害された該リパーゼの反応を
    回復する作用を有する該1種以上と該微生物起源のリパ
    ーゼとL−ヒスチジンとを共存せしめ、胆汁酸塩による
    該リパーゼの反応の阻害を防止し、又は胆汁酸塩により
    阻害された該リパーゼの反応を回復する方法。
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