JP3151784B2 - 耐熱作動油組成物 - Google Patents

耐熱作動油組成物

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誠 池田
寿夫 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱作動油組成物に関
し、さらに詳しくは、耐熱性及び耐摩耗性に優れ、高温
雰囲気下で使用してもスラッジを発生せず、かつ水分離
性も良好な作動油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、作動油としては、防錆剤(Rust i
nhibitors)と酸化防止剤(Oxidationinhibitors) とを
配合した、いわゆるR&O型、及びジチオリン酸亜鉛な
どの耐摩耗添加剤(Anti-wear agents) を配合した、い
わゆる Anti-wear型が知られている。しかしながら、近
年油圧装置が小型化,高出力化されるに伴い、前者のR
&O型作動油は耐摩耗性及び耐熱性がともに不十分とな
ってきており、一方、後者のAnti-wear 型作動油は耐摩
耗性は高いものの、耐熱性に劣るため使用できないとい
う問題が生じている。そこで、耐熱性を考慮して、清浄
分散剤を比較的多量に含むエンジン油を転用することも
考えられるが、このものは水分離型及び防錆性などが不
十分であるという実用上の問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、耐熱性及び耐摩耗性に優れ、高温雰囲気
下で使用してもスラッジを発生せず、かつ水分離性も良
好で、高出力の油圧装置などに好適に用いられる耐熱作
動油組成物を提供することを目的になされたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する耐熱作動油組成物を開発すべく鋭意
研究を重ねた結果、硫黄分の少ない基油に、ジチオリン
酸亜鉛とサリチル酸のアルカリ土類金属塩と水分離剤と
を、それぞれ所定の割合で配合した組成物により、その
目的を達成しうることを見出した。本発明はこのような
知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明
は、(A)硫黄分100ppm以下の基油と、組成物全
重量に基づき、(B)ジチオリン酸亜鉛0.2〜1重量
%、(C)サリチル酸のアルカリ土類金属塩0.2〜1重
量%及び(D)水分離剤0.01〜0.5重量%とを含有す
ることを特徴とする耐熱作動油組成物を提供するもので
ある。
【0005】本発明の作動油組成物における(A)成分
の基油としては、潤滑粘度を有する鉱油又は合成油で、
硫黄分が100ppm以下のもの、具体的には温度40
℃における動粘度が10〜500cStの範囲にあり、
かつ硫黄分が100ppm以下、好ましくは50ppm
以下の鉱油又は合成油が好適に用いられる。さらに好ま
しいものとしては、%CA (n−d−M法)3以下、窒
素分10ppm以下及び色相(ASTM法)0.5以下の
性状を有するものが挙げられる。このようなものとして
は、例えば水添精製鉱油やポリ−α−オレフィンなどが
ある。本発明の組成物において、(B)成分として用い
られるジチオリン酸亜鉛としては、一般式
【0006】
【化1】
【0007】〔式中、R1 ,R2 ,R3 及びR4 はそれ
ぞれ一級もしくは二級アルキル基,アリール基又はアラ
ルキル基であり、それらはたがいに同一でも異なってい
てもよいが、総炭素数は4〜80である。〕で表わされ
る化合物を挙げることができる。このようなものの具体
例としては、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛,ジオクチル
ジチオリン酸亜鉛,ジノニルジチオリン酸亜鉛,ジデシ
ルジチオリン酸亜鉛,ジドデシルジチオリン酸亜鉛,ジ
ノニルフェニルジチオリン酸亜鉛,ジドデシルフェニル
ジチオリン酸亜鉛,ジトリルジチオリン酸亜鉛などが挙
げられる。これらのジチオリン酸亜鉛は一種用いてもよ
いし、二種以上を組合わせて用いてもよく、また、その
含有量は該組成物全重量に基づき0.2〜1重量%の範囲
で選ばれる。この含有量が0.2重量%未満では耐摩耗
性,耐熱性,水分離性の向上効果が十分に発揮されない
し、1重量%を超えると水分離性が低下する傾向がみら
れる。本発明の組成物において、(C)成分として用い
られるサリチル酸のアルカリ土類金属塩としては、一般
【0008】
【化2】
【0009】〔式中、R5 及びR6 は少なくとも一方が
炭素数6〜50のアルキル基で、残りが水素原子又は炭
素数6〜50のアルキル基であり、Mはカルシウム,マ
グネシウム,バリウムなどのアルカリ土類金属であ
る。〕で表わされる化合物を挙げることができるが、特
に、塩基価が50〜400mgKOH/gのものが好適
である。前記サリチル酸のアルカリ土類金属塩の具体例
としてはオクチルサリチル酸カルシウム塩,ノニルサリ
チル酸カルシウム塩,ドデシルサリチル酸カルシウム
塩,ジ(ヘキシル)サリチル酸カルシウム塩,ペンタデ
シルサリチル酸カルシウム塩,オクタデシルサリチル酸
カルシウム塩などのモノ又はジアルキルサリチル酸のカ
ルシウム塩が好ましく挙げられる。これらのサリチル酸
のアルカリ土類金属塩は、一種用いてもよいし、二種以
上を組合わせて用いてもよく、また、その含有量は該組
成物全重量に基づき0.2〜1重量%の範囲で選ばれる。
この含有量が0.2重量%未満では耐熱性が著しく劣る
し、1重量%を超えると水分離性の低下が大きくなる傾
向がみられる。また、本発明の組成物においては、前記
(B)成分と(C)成分との合計含有量は1.8重量%以
下であることが好ましい。この含有量が1.8重量%を超
えると水分離性が低下する場合がある。
【0010】本発明の組成物においては、(D)成分と
して水分離剤が用いられる。この水分離剤については特
に制限はなく、従来作動油に慣用されている水分離剤を
用いることができるが、非イオン性化合物が好ましく、
特に一般式
【0011】
【化3】
【0012】〔式中、R7 は炭素数4〜18のアルキル
基、アリール基又はアラルキル基、nは1〜8の整数で
ある。〕で表わされる化合物が好適である。このような
化合物の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチル
エーテル,ポリオキシエチレンノニルエーテル,ポリオ
キシエチレンデシルエーテル,ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル,ポリオキシエチレンパルミチルエーテ
ル,ポリオキシエチレンステアリルエーテル,ポリオキ
シエチレンフェニルエーテル,ポリオキシエチレンオク
チルエーテル,ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テルなどが挙げられる。これらの水分離剤は一種用いて
もよいし、二種以上を組合わせて用いてもよく、また、
その含有量は組成物の全重量に基づき0.01〜0.5重量
%の範囲で選ばれる。この量が0.01重量%未満では水
分離剤としての効果が十分に発揮されないし、0.5重量
%を超えると作動油に濁りが生じる。
【0013】本発明の作動油組成物には、所望に応じ、
本発明の目的が損なわれない範囲で、(E)成分として
従来作動油に慣用されている他の添加剤、例えば防錆
剤,酸化防止剤,消泡剤などを添加することができる。
該防錆剤としては、例えば石油スルホン酸,ジノニルナ
フタレンスルホン酸,重質アルキルベンゼンスルホン酸
などのスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属
塩のようなスルホネートや、アルキル又はアルケニルコ
ハク酸の部分エステルなどが好ましく用いられる。ま
た、酸化防止剤としては、例えばフェノール系やアミン
系のものが挙げられる。消泡剤としては、シリコーンオ
イル,金属石ケン,エステル類,シリケートなどが挙げ
られる。
【0014】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、作動油組成物の外観及び性能は次
のようにして求めた。 (1)色相(ASTM) JIS K−2580に準じて求めた。 (2)水分離性 JIS K−2520に準じて、乳化相が3ミリリット
ル以下になる時間(分)を求めた。 (3)耐摩耗性 ASTM D−2783に準じて、1200rpm,3
0kgf,30分の条件で摩耗試験を行い、摩耗痕径を
測定した。 (4)耐熱性 JIS K−2540の潤滑油熱安定試験法に準じて、
170℃で48時間熱劣化試験を行ったのちの性能を求
めた。 (5)錆止め性 JIS K−2510 2.5.1法に準じて求めた。
【0015】実施例1,2及び比較例1〜6 第1表に示す組成の作動油組成物を調製し、その性能を
評価した。その結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】注1)水添精製鉱油(40℃の動粘度46
cSt,S分3ppm以下,%CA 1以下,N分5pp
m,色(ASTM)L0.5) 2)溶剤精製鉱油(40℃の動粘度46cSt,S分1
500ppm以下,%CA 5以下,N分30ppm,色
(ASTM)L0.5) 3)Zn−ジオクチル−ジチオホスフェート 4)塩基価180mgKOH/g 5)塩基価300mgKOH/g 6)ポリオキシエチレン(4モル付加)オクチルエーテ
ル 7)Ca−スルホネート(塩基価20mgKOH/g)
【0020】
【発明の効果】本発明の耐熱性作動油組成物は、耐熱性
及び耐摩耗性に優れ、高温雰囲気下で使用してもスラッ
ジを発生せず、かつ水分離性が良好であって、高出力の
油圧装置の作動油、例えば建設機械,射出成形機,ダイ
キャストマシンなどの油圧駆動機械用潤滑油などとして
好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 129:16 105:04) C10N 10:04 20:00 30:00 30:06 30:08 40:08 (72)発明者 山田 寿夫 千葉県市原市姉崎海岸24番地4 出光興 産株式会社内 (72)発明者 弟子丸 順一 千葉県市原市姉崎海岸24番地4 出光興 産株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−86795(JP,A) 特開 昭55−165996(JP,A) 特開 平2−155987(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 137/10 C10M 129/54 C10M 129/16 C10M 159/20 - 159/22 C10N 40:08 WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)硫黄分100ppm以下の基油
    と、組成物全重量に基づき、(B)ジチオリン酸亜鉛0.
    2〜1重量%,(C)サリチル酸のアルカリ土類金属塩
    0.2〜1重量%及び(D)水分離剤0.01〜0.5重量%
    とを含有することを特徴とする耐熱作動油組成物。
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JP5378632B2 (ja) * 1999-04-14 2013-12-25 シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ 作動液
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