JP3151593B2 - 雷管起電式リザーブ電池 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、実際に使用する直前に
電池としての機能を発揮せしめる電池の活性化装置に関
するもので、更に詳しくは、任意の場所、時期で休眠状
態で保存していたものを、安全ピンを解除することによ
り、始めて電池としての本来の機能を発揮する雷管起電
式リザーブ電池に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、航空機やヘリコプタ等から投射器
を使用して目的地の上空から散布する埋設爆発体が知ら
れている。この地表散布爆発体には、信管を作動させる
ための駆動源として一般に市販されている電池が使用さ
れていたが、この電池を埋設爆発体に装填して備蓄する
と、自己放電するため、この市販の電池を地表散布爆発
体とは別別に保管し、散布直前に始めて人手で埋設爆発
体内に挿入する方式が採用されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、ロケ
ットで埋設爆発体を緊急に散布敷設することが要望され
るようになり、このためには埋設爆発体を、予めロケッ
トに搭載した状態で備蓄しておく必要がある。本発明
は、この要望に答えんとして開発されたもので、その目
的とするところは、ロケットに積載する地表散布爆発体
の信管の駆動源となる電池が、備蓄中に自己放電するこ
とのないものを提供せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】安全ピン解除により、撃
針を作動させ雷管を発火させる撃発機構を内蔵した機構
部本体の下部に、雷管を内蔵した雷管室体を螺合する。
更にこの雷管室体の下部に、電解液を装填したアンプル
を内蔵した電池を、衝撃板を介在して着脱自在に取付け
て構成する。こうして、準備した電池を地表散布爆発体
に装填しロケットに積載する。

【０００５】

【作用】ロケットが目的地上空に到達後、地表散布爆発
体が放出されると、安全ピンが引き抜ぬかれて、始動バ
ネの弾圧力により撃発室体が移動し、このため安全球が
外れ、撃発バネの弾圧力により撃針が移動して、雷管を
刺突する。すると、この雷管の爆発エネルギーが衝撃板
を介し電池内のアンプルを破壊するので、電解液が容器
内を充満することにより、電池が活性化する。ロケット
に積載中はこの電池は休眠状態となっているので、安全
である。

【０００６】

【実施例】本発明を実施するリザーブ電池の一例を図面
について具体的に説明すると、図１において、電池の主
要部構成は、安全ピン解除によつて撃針が作動する撃発
機構を内蔵した機構部本体Ａと、雷管を内蔵した雷管室
体Ｂと、電解液を装填したアンプルを内蔵した電池Ｃと
から成り、前記機構部本体Ａの下部周面に、雷管室体Ｂ
が螺合され、更に、この雷管室体Ｂの下部に、電池Ｃが
着脱自在に取付られている。前記機構部本体Ａは、円筒
体状に形成され、その頭部には、安全ピン１が挿入され
る孔Ａ１が軸心方向と直角方向に穿設されていると共に
またその内周面にＯリング２がはめ込まれる第１の溝Ａ
２と安全球３がはまり込む第２の溝Ａ３とが設けられ、
更にその下部に雌ねじＡ４が設けられている。

【０００７】４は撃針５の収納を司る円筒状の容器より
なる撃発室で、この撃発室の頭部には、前記安全ピン１
が貫通する孔４ａが穿設されていると共にその下部外周
面には、前記安全球３がはめ込まれる穴４ｂが３か所
（図では２個のみ表示）設けられている。前記撃針５は
円筒状の容器の先端に突起５ａが設けられていて、ま
た、この外周面には、前記安全球３がはめ込まれる溝５
ｂが穿設されている。６は前記撃針５の中に装填される
撃発バネで、この撃発バネ６はその弾圧力で、撃針５の
突起５ａを前記雷管体Ｂの雷管７に刺突させる駆動源と
なるものである。

【０００８】前記雷管室体Ｂはフランジ状に形成されて
いて、その上部外周面には雄ネジＢ１が設けられてい
て、前記機構部本体Ａの下部内周面の雌ネジＡ４に螺合
すると共にこの内部には雷管７が装填されている。

【０００９】前記電池Ｃは図２に示すように、ガラス製
のアンプルＣ１の中に塩化チオニルの電解液Ｃ２が装填
されていて、セパレータＣ３を挟んで正極板Ｃ４と負極
板Ｃ５とが対峠して構成されている。尚、Ｃ６はケース
本体で、Ｃ７はケースの蓋である。この図２に示す電池
を２個直列に、ケース１１に収納したものが図１に示す
電池Ｃである。

【００１０】本発明を実施するリザーブ電池の１例は上
述のように構成されたもので、次にその組立について述
べると、図１において先ず機構部本体Ａの内周面の第１
溝Ａ２にＯリング２を装着する。次いで、撃針５の中に
撃発スプリング６を装填し、この撃針５を撃発室体４の
中に装着する。また撃発室４の外周に３か所穿設した穴
４ｂには安全球３を入れて撃針５をこのボール用穴まで
差し込む。機構部本体Ａに、撃針５を装着した撃発室４
を入れて、安全ピン１を差し込む。一方雷管室体Ｂの中
に雷管７を装着し、次いで、衝撃板８を介在して電池Ｃ
をこの雷管室体Ｂの下部にはめ込む。こうして準備した
雷管室体Ｂをカラー１０と始動バネ９とを機構部本体Ａ
に螺合する。

【００１１】今、この本発明リザーブ電池を地表散布爆
発体に装填してロケットに積載後、ロケットが目的地上
空に到達して埋設爆発体を放出するときは、先ず安全ピ
ン１が機構部本体Ａ及び撃発室４から引き抜かれる。。
すると、始動バネ９の弾圧力により撃発室体４が上方へ
移動し、安全球３が機構部本体Ａの第２溝Ａ３の中には
まり込む。すると、撃針５の中に装填されていた撃発バ
ネ６の復元力により撃針５が撃発室４の中の下部に摺動
し、このため、撃針５の突起５ａが雷管７に刺突する。
すると、雷管７が発火して、その爆発力により衝撃板８
を振動させることにより、電池Ｃの中のガラス製アンプ
ルＣ１が破壊され、この結果、アンプル内の電解液Ｃ２
が容器内に満たされるので、ここで始めて電池としての
機能を発揮する。

【００１２】

【発明の効果】本発明は上述のように、雷管を発火させ
る撃発機構を内蔵した機構部本体の下部に、雷管を内蔵
した雷管室体を螺合し、更にこの雷管室体の下部に、電
解液を装填したアンプルを内蔵した電池を、衝撃板を介
在して着脱自在に取付けたので、従来のものに比較し
て、地表散布爆発体にこの電池を予め内蔵させて、ロケ
ットに搭載しても、電池はまだ休眠状態となっているの
で何等自己放電の心配はなく、ロケットが目的地上空に
到達後、放出器から地表散布爆発体を放出させると始め
て安全ピンが解除されて電池が活性化し、信管の電源と
しての機能を発揮する効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による雷管起電式リザーブ電池の一例を
示す要部概略断面図である。

【図２】電解液を装填したアンプル電池の一例を示す要
部概略断面図である。

【符号の説明】

Ａ 機構部本体 Ｂ 雷管室体 Ｃ 電池 Ｃ１ アンプル Ｃ２ 電解液 １ 安全ピン ５ 撃針 ７ 雷管 ８ 衝撃板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 青木 千歌子 (56)参考文献 特開 昭58−161248（ＪＰ，Ａ) 実開 昭51−62020（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭48−95120（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭50−20250（ＪＰ，Ｂ１) 実公 昭40−19786（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01M 6/32 H01M 2/36 106 ＪＩＣＳＴファイル（ＪＯＩＳ) ＷＰＩ／Ｌ（ＱＵＥＳＴＥＬ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 安全ピン解除により、撃針を作動させ雷
   管を発火させる撃発機構を内蔵した機構部本体の下部
   に、雷管を内蔵した雷管室体を螺合し、更にこの雷管室
   体の下部に、電解液を装填したアンプルを内蔵した電池
   を、衝撃板を介在して着脱自在に取付け、安全ピン解除
   により撃発機構の撃針が雷管を刺突して、雷管の爆発エ
   ネルギーが衝撃板を振動させ、この振動により電池内の
   アンプルを破壊して電解液が容器内を満たすことより電
   池を活性化するように構成したことを特徴とする雷管起
   電式リザーブ電池。