JP3150078U - 実験用圧気発火器 - Google Patents

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【課題】実験操作を一人でも簡単に行うことができ、また小学校や中学校で学童が発火実験を行う際にも安全で、しかも、頑丈な構造を有した実験用圧気発火器を提供する。【解決手段】台座板11の上方に透明な天板12を配置して複数の支柱13で連結して成る支持フレーム1と;この支持フレームの前記天板に設けられた挿通孔12aに差込んで台座板上に突設された栓体部を囲繞嵌装せる透明なシリンダ筒体2と;このシリンダ筒体の上端から挿入された把手部付きのピストンロッド3とを含んで構成し、前記シリンダ筒体の下端部位に囲繞された栓体部に可燃試料を載置し、ピストンロッドをシリンダ筒体の下部に押し下げたとき、直立状態のシリンダ筒体を前記台座板の栓体部と天板の挿通孔との二箇所で垂直状態に安定に支持することにより、シリンダ筒体内の空気圧を的確に圧縮して前記可燃試料を発火可能に構成した。【選択図】図1

Description

本考案は、実験用圧気発火器の改良、更に詳しくは、一人でも簡単に実験操作を行うことができ、学童に実験させる際にも安全で、しかも、頑丈な構造で壊れ難い実験用圧気発火器に関するものである。
周知のとおり、密閉空間で気体を圧縮するとその体積の減少に応じて気体の温度が上昇することはボイル・シャルルの法則からも明らかであるが、この物理法則に関しては、圧気発火器と呼ばれる実験器具を用いて視覚的に確かめることができる。
ちなみに、ここでいう”圧気発火器”とは、シリンダ内部に綿材などの易燃性の材料を配置した状態で、ピストンロッドをシリンダ内に強く押し込み内部の空気を断熱状態で高速に圧縮することによって、内部温度を急激に上昇させて綿材等の可燃試料を発火させる器具であり、その一般的な形態としては、図8に示すようなものが広く知られている。
しかしながら、上記従来の圧気発火器の構造では、一人で実験操作を行う際に、シリンダを片手に持って机上に立てた状態で、反対側の手でピストンロッドの把手部を持ってシリンダ内に押し込む必要があったが、このとき余程注意しないとシリンダの下部が不安定にぐらついてピストンを鉛直下方に真っ直ぐに押し下げることが難しかったことから、ピストンロッドに加えた力に大きなロスが生じて発火に必要な圧縮スピードを得られないことがあった。
このため、ピストンロッドを押し込む役とシリンダを支える役とに分けて実験操作を二人がかりで行うなど、実験に人手がかかって使い勝手が悪かっただけでなく、学童に実験操作させる際には、どうにか発火させようと体重をかけて思い切り押し込もうとしたときに、シリンダが倒れて机や周囲の設置物に腕などを強く打って実験した子供が怪我をする危険もあった。
また従来においては、<非特許文献1>に記載されているような板状の土台にシリンダの下端部を固定してシリンダのぐらつきを抑制する構造も提案されていたが、このような構造を採用するとピストンロッドを押し込む際にどうしても加わってしまう鉛直方向以外の方向への負荷が、シリンダと土台との固定部分に集中して器具が壊れるという難点があった。
柚木智也、脇島修:「圧気発火器の製作と利用」、大阪と科学教育第21号、2007、pp37-39
本考案は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、実験操作を一人でも簡単に行うことができ、また小学校や中学校で学童が発火実験を行う際にも安全で、しかも、頑丈な構造で非常に壊れ難い実験用圧気発火器を提供することにある。
本考案者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
即ち、本考案は、台座板11の上方に当該台座板11と平行に透明な天板12を配置して複数の支柱13・13…或いは側壁15・15で連結して成る支持フレーム1と;この支持フレーム1の前記天板12に設けられた挿通孔12aに差込んで台座板11上に突設された栓体部11aを囲繞嵌装せる透明なシリンダ筒体2と;このシリンダ筒体2の上端から挿入された把手部31付きのピストンロッド3とを含んで構成し、
前記シリンダ筒体2の下端部位に囲繞された栓体部11aに可燃試料Sを載置し、ピストンロッド3をシリンダ筒体2の下部に押し下げたとき、直立状態のシリンダ筒体2を前記台座板11の栓体部11aと天板12の挿通孔12aとの二箇所で垂直状態に安定に支持することにより、シリンダ筒体2内の空気圧を的確に急激圧縮して前記可燃試料Sを発火可能に構成した点に特徴がある。
また、本考案においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、シリンダ筒体1の下部を被覆し、かつ、透明な材質の保護スリーブ4を配設するという技術的手段を採用するとよい。
また、本考案においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持フレーム1の台座板11の栓体部11aとシリンダ筒体2の下端部とにそれぞれ貫通孔を設け、シリンダ筒体2を栓体部11aに装着した状態でこれらの貫通孔に抜止めピン5を挿通することにより両者を固定可能とするという技術的手段を採用することができる。
また、本考案においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持フレーム1の天板12に予備孔12bを、台座板11に凸起部11dを設けることにより、使用後のシリンダ筒体2を予備孔12bから凸起部11dに嵌入して支持フレーム1に立て置き可能にするという技術的手段を採用することができる。
本考案においては、台座板と透明な天板とを上下に配置し支柱で連結して成る支持構造物にシリンダを直立状態で固定したことにより、ピストンロッドを押し込んだときでもシリンダが不安定にぐらつくようなことはなく、鉛直下方にしっかりと的確に力を伝えることができるため、シリンダ内の空気を十分なスピードで圧縮して綿等の可燃試料を発火させることが容易となり、一人でも簡単に実験操作を行うことが可能となる。
また、非力な学童に実験させる際においても、ピストンロッドの把手部を両手で持って体重をかければ比較的簡単に発火させることができ、またその際、支持フレームによってシリンダ筒体が転倒する心配もないため、安全に実験を行うことができる。
さらに、ピストンロッドを押し込む際に生じる鉛直方向以外の方向の負荷についても、支持フレームの台座板と天板の二箇所で分散・吸収可能であり、台座板と天板が支柱で連結された器具そのものは非常に堅牢で壊れ難いため耐久性も非常に高い。
なお、支持フレームの天板には透明な材質を使用しているため、シリンダの上側からでも発火したかどうかの確認を充分に行うことができ、実験上において特に不都合が生じることもない。
したがって、本考案により、使い勝手や安全性に優れ、かつ、多少乱暴な取り扱いでも簡単に壊れることのない子供たちが自然法則を気軽に体感できる実験器具を提供できることから、本考案の実用的利用価値は頗る高い。
本考案の実施例1における実験用圧気発火器を表わす全体斜視図である。 本考案の実施例1における実験用圧気発火器を表わす全体前面図である。 本考案の実施例1におけるシリンダ筒体の気密構造を表わす拡大断面図である。 本考案の実施例1における実験用圧気発火器の使用方法を表わす状態説明図である。 本考案の実施例1における実験用圧気発火器の保管状態を表わす状態説明図である。 本考案の実施例1における支持フレームの脚部を表わす部分前面図である。 本考案の変形例における支持フレームを表わす全体斜視図である。 従来における実験用圧気発火器を表わす全体斜視図である。
『実施例1』
本考案の実施例1は、図1から図4に示される。同図において、符号1で指示するものは、支持フレームであり、符号2で指示するものは、シリンダ筒体である。また符号3で指示するものは、ピストンロッドであり、符号4で指示するものは、保護スリーブである。符号5で指示するものは、抜止めピンである。
次に、実施例1の構成を以下から説明する。まず実施例1では、鋼製で矩形の台座板11の上方に同じく矩形で合成樹脂製の透明な天板12を平行に配置し、更にこれらの四隅に支柱13・13…を配置して双方に対しボルト連結することによって支持フレーム1が構成されている(図1、図2参照)。
また、この支持フレーム1の台座板11上に栓体部11aを突設すると共に、天板12の中央部には挿通孔12aを設け、この挿通孔12aから略同径の透明なシリンダ筒体2を差込んで、下端部を栓体部11aに嵌装可能としている。
なお実施例1では、シリンダ筒体2の材質に強度に優れ破損し難いポリカーボネート樹脂(PC)を使用すると共に、シリンダ筒体1に筒体下部を被覆できる透明性の高いアクリル製の保護スリーブ4を装着して安全性を向上させている。
一方、シリンダ筒体2の上端部からは把手部31を備えたピストンロッド3を挿入して、シリンダ筒体2の内部を上下に摺動可能に組み合わせている。
また、シリンダ筒体2の内壁面との気密状態を保持しつつピストンロッド3を上下に摺動可能ならしめるために、支持フレーム1の台座板11の栓体部11aおよびピストンロッド3の先端部近傍の周面に環状溝を切ってOリング11b・32を取着している(図3参照)。
なお実施例1では、支持フレーム1の栓体部11aとピストンロッド3のOリング11b・32をそれぞれ二重に設けることにより気密性をより高めている。
上記のような構成により、図4(a)に示すように、支持フレーム1の栓体部11a上に可燃試料Sとして綿材等を載置した後、ピストンロッド3をシリンダ筒体2の下部に勢い良く押し下げれば、図4(b)に示すように、シリンダ筒体2内部の空気が急激に断熱圧縮されて温度が急上昇し、その温度が可燃試料Sの発火点に達することで発火させることができるため、断熱圧縮による発火実験を演出体験させることができる。
なおその際、ピストンロッド3を勢い良く押し込んでも支持フレーム1に固定されたシリンダ筒体2は安定してぐらつかず、把手部31に加えた力を鉛直下方にしっかりと的確に伝えることができるため、シリンダ筒体2内部の空気を発火に必要なスピードで急激に圧縮することができ、一人での実験操作が容易となる。
また可燃試料Sとしては、燃えやすい材料であれば綿材の他にもティッシュなどの紙切れなどを使用することも充分に可能である。
そしてまた、ピストンロッド3には両手で持って押し込むことができるバー状の把手部31を付設しているため、非力な子供であっても、体重をかけることで簡単に押し込むことができ、その際転倒して怪我をする心配もない。
さらに、ピストンロッド3を押し込むときに生じる鉛直方向以外の方向に対する負荷についても、支持フレーム1の台座板11や天板12で分散・吸収することが可能であり、台座板11と天板12とが支柱13・13…で連結された器具自体は非常に堅牢で壊れ難い。
他方また、本考案においては、支持フレーム1の天板12に透明な材質を使用しているため、シリンダ筒体2の上側からであっても発火の確認を容易に行うことができ、実験する上で非常に都合が良い。
そしてまた、実施例1では、支持フレーム1の台座板11の栓体部11aとシリンダ筒体2の下端部とにそれぞれ貫通孔11c・21を設け、シリンダ筒体2を栓体部11aに装着した状態でこれらの貫通孔11c・21に抜止めピン5を挿通することにより両者を連結している。
これにより、シリンダ筒体2の下部に一旦押し下げたピストンロッド3を上方に引き上げる際に、シリンダ筒体2が一緒に持ち上がって支持フレーム1の栓体部11aから抜けてしまう事態を防止できる。
また、この抜止めピン5によって、ピストンロッド3を押し下げた際、支持フレーム1の栓体部11aのOリング11bから空気が抜けてしまうことにより生じるシリンダ筒体2の浮き上がりも防止することができる。
また更に、実施例1においては、支持フレーム1の天板12に予備孔12bを設け、台座板11には凸起部11dを設けることにより、使用後のシリンダ筒体2やスペアのシリンダ筒体2を予備孔12bから凸起部11dに挿入して支持フレーム1に立て置きすることができる(図5参照)。
ちなみに、使用後のシリンダ筒体2を支持フレーム1の台座板11の栓体部11aに装着したまま放置しておくと、Oリング32が永久変形を起こして再度使用する際に充分な気密性が得られなくなる虞れがあるため、シリンダ筒体2を栓体部11aから外して保管しておくことには意味があり、また同様の理由からピストンロッド3もシリンダ筒体2から外して保管するのが望ましい。
また実施例1では、支持フレーム1の支柱13・13…のボルト部分を台座板11の雌ねじ孔に螺着して連結しているため、ボルト部分を更に螺入すれば図6に示すように台座板11の下部に脚部14・14…を設けることができ、これによって台座板11を平面に配置できない屋外であっても本考案に係る器具の使用が可能となる。
本考案は、概ね上記のように構成されるが、本考案は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「実用新案登録請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、支持フレーム1における支柱13の数は、図7(a)に示すように二本以上であれば何本であってもよく、また台座板11及び天板12の形状に関しても、図7(b)に示すように円形や三角形などであっても特に問題はない。
また、支持フレーム1の支柱13・13…の代わりに、図7(c)に示すような側壁15・15によって台座板11と天板12とを連結することもでき、その際には側壁15・15に透明な材質を使用することにより周囲から発火反応を見やすくすることができる。
他方また、シリンダ筒体2の内部を気密に保つ構造についても、必ずしもOリングを使用する必要はなく、例えば支持フレーム1の栓体部11a全体をゴム材から作製する構造を採用することもできる。
そしてまた、シリンダ筒体2や保護スリーブ3の材質に関しても、透明性が高く強度に優れた材料であれば塩化ビニルやナイロン樹脂などの他の合成樹脂材料やガラスなども使用することができ、何れのものも本考案の技術的範囲に属する。
最近では、小中学校の教育現場において子供達に科学の楽しさをより知ってもらうために、自然科学の法則を実際に体感することができるユニークで面白い実験の提供が求められている。しかしながら、科学の実験には操作が困難なものや危険が伴うようなものも多いため、できる限り操作が手軽で子供達が操作しても安全なものが望ましい。
そのような中で、本考案の実験用圧気発火器は、気体の体積と温度との関係を実験により楽しく学ぶことができ、しかも操作の容易性および安全性についても考慮された有用な技術であることから、市場における需要は大きく、その産業上の利用価値は非常に高い。
1 支持フレーム
11 台座板
11a 栓体部
11b Oリング
11c 貫通孔
11d 突起部
12 天板
12a 挿通孔
12b 予備孔
13 支柱
14 脚部
15 側壁
2 シリンダ筒体
21 貫通孔
3 ピストンロッド
31 把手部
32 Oリング
4 保護スリーブ
5 抜止めピン
S 可燃試料

Claims (4)

  1. 台座板11の上方に当該台座板11と平行に透明な天板12を配置して複数の支柱13・13…或いは側壁15・15で連結して成る支持フレーム1と;この支持フレーム1の前記天板12に設けられた挿通孔12aに差込んで台座板11上に突設された栓体部11aを囲繞嵌装せる透明なシリンダ筒体2と;このシリンダ筒体2の上端から挿入された把手部31付きのピストンロッド3とを含んで構成されており、
    前記シリンダ筒体2の下端部位に囲繞された栓体部11aに可燃試料Sを載置し、ピストンロッド3をシリンダ筒体2の下部に押し下げたとき、直立状態のシリンダ筒体2を前記台座板11の栓体部11aと天板12の挿通孔12aとの二箇所で垂直状態に安定に支持することにより、シリンダ筒体2内の空気圧を的確に急激圧縮して前記可燃試料Sを発火可能に構成したことを特徴とする実験用圧気発火器。
  2. シリンダ筒体1の下部を被覆し、かつ、透明な材質の保護スリーブ4を配設したことを特徴とする請求項1記載の実験用圧気発火器。
  3. 支持フレーム1の台座板11の栓体部11aとシリンダ筒体2の下端部にそれぞれ貫通孔を設け、シリンダ筒体2を栓体部11aに装着した状態でこれらの貫通孔に抜止めピン5を挿通することにより両者を固定可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の実験用圧気発火器。
  4. 支持フレーム1の天板12に予備孔12bを設けると共に、台座板11に凸起部11dを設けることにより、使用後のシリンダ筒体2を予備孔12bから凸起部11dに嵌入して支持フレーム1に立て置き可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の実験用圧気発火器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101401113B1 (ko) * 2013-02-05 2014-05-28 서울대학교산학협력단 증기압 측정장치
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