JP3149255B2 - 電気化学発光物質の分析方法及びそのための装置 - Google Patents

電気化学発光物質の分析方法及びそのための装置

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JP3149255B2 JP06960892A JP6960892A JP3149255B2 JP 3149255 B2 JP3149255 B2 JP 3149255B2 JP 06960892 A JP06960892 A JP 06960892A JP 6960892 A JP6960892 A JP 6960892A JP 3149255 B2 JP3149255 B2 JP 3149255B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体試料中に溶解して
いる電気化学発光物質の測定に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ルミノール、ピレンなどの電気化
学発光物質は、抗原や抗体の標識として、種々のイムノ
アッセイに利用されている。これらの電気化学発光物質
の代表的な測定方法としては、2電極法によって化学発
光物質を電気化学的に発光させてその量を測定する方法
が知られている(日本特開昭63−218846号公報、米国特
許第 4,280,815号)。この測定方法にでは試料容器とし
て、フローセルが使用されている。前記、2電極法によ
る電気化学発光物質の測定方法は、電気化学発光物質を
含有する液体試料に作用電極と対電極とを設け、これら
の電極の間に電圧を印加することにより、アノードとし
て働く作用電極において電気化学発光を起こさせ、その
発光量を測定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の電気化学発光が
より強くかつ安定しているほど、より高い測定精度を得
ることができる。中性付近の水溶液中で強くかつ安定し
た電気化学発光を得るためには、アノードの電位を、水
の電気分解によってガス状酸素が発生しない範囲におい
て可能なかぎり高く設定することが望まれる。しかし、
2電極法を用いた測定方法はアノードの電位を知ること
が不可能であるので、該アノードの電位を最適値に設定
することが非常に困難である。そのため、安全のため
に、ガス状酸素が発生するのを避けるべくアノードの電
位をガス状酸素の発生電位よりもかなり余裕をもって低
く設定せざるを得ない。その結果、得られる電気化学発
光は弱く、測定の精度は低い。
【0004】また、従来一般に電気化学発光測定に使用
されている研究用の特殊構造のセルは、作用電極、対電
極、参照電極相互の位置関係、これら電極と液体試料相
の配置、発光が起こる電極と外部に設置された光学検出
装置との距離や平行性を適正に保つのに煩雑な設置操作
を必要とする。また、工業的には、2電極方式のフロー
セルが使用されているので作用電極の電位制御ができ
ず、電極が汚染してもセル交換が容易でない。そこで、
本発明の目的は、測定精度が高い電気化学発光物質の測
定方法、及び、該測定方法によって測定を行う場合に、
操作が簡単であり、かつ高い検出感度を得ることが可能
な測定装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、活
性化酸素の存在下における電解酸化により化学発光を起
こす電気化学発光物質を含有する液体試料中に、作用電
極、対電極及び参照電極を設け、活性化酸素の存在下で
前記の作用電極を前記の電気化学発光物質の酸化電位に
設定することにより、該作用電極において電気化学発光
を起こさせ、該電気化学発光の量を測定する、工程を有
する化学発光物質の分析方法において、前記作用電極の
電位を、前記参照電極を用いて水の電気分解によりガス
状酸素が発生する電位未満に制御する、ことを特徴とす
る電気化学発光物質測定方法、及び、該測定方法に用い
るセルを提供するものである。
【0006】電気化学発光物質 電気化学発光物質は、活性化酸素の存在下における電解
酸化により化学発光するものものとして公知のものはい
ずれも使用することができ、例えばルミノール、ルシフ
ェリン、及びイソルミノール、N−アミノヘキシル−N
−エチルイソルミノール、N−アミノブチル−N−エチ
ルイソルミノール(ABEI)、ABEIの活性化エステル誘導
体等のこれらの電気化学発光性誘導体が挙げられ、中で
もルミノールが好ましい。これらの電気化学発光物質は
前記に述べたように、アノードとして働く作用電極おい
て電気化学的に酸化された後、前記の活性化酸素と化学
的に反応することにより発光する。
【0007】活性化酸素 ここで活性化酸素とは、原子状酸素、過酸化水素状態の
酸素、その他の電気化学的反応によって発生する活性化
状態の酸素及び酸化物などをいう。このような活性化酸
素は、例えば過酸化水素を液体試料に予め添加してもよ
く、液体試料中に溶存している酸素分子又は液体試料に
予め添加された酸素分子を電気化学的反応により還元し
て生成させてもよい。過酸化水素の添加は、濃度が0.03
〜10mmol/lとなるようにするのが好ましく、さらに 0.3
〜3mmol/lが好ましい。
【0008】作用電極の電位 前記に述べたとおり、電気化学発光物質を最も強く発光
させるためには、水の電気分解によってガス状酸素が発
生する電位未満の範囲で、アノードの電位をなるべく高
い値に設定する必要がある。本発明の方法によれば、参
照電極を用いてアノードとして働く作用電極の電位をモ
ニターすることができるので、作用電極の電位を所望の
値に制御することができる。具体的には、作用電極の電
位をガス状酸素が発生する電位未満の範囲で可能な限り
高く制御する。好ましくは該ガス状酸素発生電位未満で
あって、該電極の理論的な電位窓を超える範囲であり、
より好ましくは該電位から 0.2V までの範囲である。
【0009】さらに具体的に説明すると、例えばpH7で
作用電極として白金電極を用いる場合の電位窓は、+0.
7 〜−0.9 V vs.Ag/AgCl程度と言われている。しかし、
pH7で水の電気分解によってガス状酸素が発生する電位
は、10mmol/l (dm-3) のリン酸緩衝生理食塩水中に1mm
ol/lのルミノールと2mmol/lの過酸化水素を含むときに
は、約1.30 V vs.Ag/AgClである。したがって、作用電
極及び対電極として白金電極を使用し、参照電極として
銀−塩化銀電極を使用する場合には、本発明の方法によ
ると、作用電極を参照電極に対して1.3 V 未満に設定す
る。好ましくは0.9 V 以上1.3 V 未満である。
【0010】ガス状酸素発生電位は、一般に、使用され
る電極の材料、測定される水溶液のpH、溶液中の活性酸
素濃度等に依存して異なるが、これらの条件が決まれば
その条件下でのガス状発生電位は容易に知ることができ
る。本発明の方法を実施する際には、液体試料のpHは、
通常5〜9の範囲に設定する。pHが低すぎると電気化学
発光の発光量が減少し、pHが高すぎると作用電極を酸化
電位に設定しなくても発光が起こることがあるので、制
御された時間内において限られた反応を進めるちいる電
気化学発光の利点を生かせず、定量測定の精度が低下す
る。
【0011】本発明の測定方法に用いる参照電極として
は、3電極法において一般的に用いられるものでよく、
具体的には水素電極、銀−塩化銀電極、カロメル電極な
どを用いることができ、中でも好ましくは、銀−塩化銀
電極である。参照電極を用いてアノードの電位を制御す
る方法としては、ポテンシオスタットによる定電位電解
法で行うことが好ましい。
【0012】電気化学発光の測定装置 本発明の方法は3電極法を実施し得る種々の装置で実施
することができ、特に制約はないが、本発明は特に好適
な装置として以下に説明するものを提供する。本発明の
装置の第1の様相として、器壁を構成する、互いに対向
して配置された2つのプレートを有する容器を備え、そ
れらのプレートの一方の内面に作用電極、対電極及び参
照電極が設けられ、他方のプレートの少なくとも前記作
用電極に対向する部分が光透過性である、電気化学発光
測定装置が提供される。
【0013】上記第1の様相の装置の実施例である、電
気化学発光測定用セルを図1及び図2に示す。図1はセ
ルの縦断面の概略を示し、図2は背面図である。器壁を
形成する2枚のプレート1、2が液体試料を入れる内部
空間3を挟んで平行に対向に設けられ、底4及び左右の
縁(図示略)は封じられて、全体として偏平な内部空間
3を有する容器を構成している。図1及び図2からわか
るように、一方の器壁2の内面に、作用電極5、参照電
極6及び対電極7が内部空間3に面して設けられてい
る。他方、器壁1の作用電極5に対向する部分には光透
過性材料からなる光透過窓8が設けられている。
【0014】電気化学発光物質を含む水溶液は内部空間
3に入れられ、アノードとして働く作用電極5との界面
で発光する。その際に発生する光子は、光透過窓8を通
過して光電管などの光検出装置15(図4参照)によって
検出される。このセルを構成する器壁1、2の材料とし
ては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、
スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などが挙げ
られる。光透過窓8を構成する光透過性材料としては、
例えば各種のガラス、ポリメタクリレート等のアクリル
系樹脂などが挙げられ、用いる電気化学発光物質が発す
る光の波長に対し透過度の高いものが適宜選択される。
【0015】作用電極5としては、白金、金、パラジウ
ムなどの貴金属、グラッシーカーボン、グラファイトな
どの炭素、ITO などの透明な導電体などの材質からなる
電極が挙げられる。電極の形状は、例えば板状、膜状、
網状、スリット状、くし状などでよい。対電極7として
は、通常、用いる水溶液中で作用電極の電位を設定する
ための対電極として充分な材質及び形状を有するもので
あればよい。一般には、白金、金、パラジウム等の貴金
属、銀、ニッケル等の金属電極、グラッシーカーボン、
グラファイト等の炭素電極が代表的である。 SnO2 、IT
O 等の導電性酸化物電極も使用することができる。さら
に、参照電極の機能を合わせもつ対電極、例えば作用電
極の3倍以上の投影面積を持つ平板状のAg−AgCl電極を
用いることもできる。
【0016】参照電極6としては、水素電極、銀−塩化
銀電極、カロメル電極などが挙げられ、中でも銀−塩化
銀電極が好ましい。本発明の第2の様相によれば、本発
明の方法の実施に好適な別の電気化学発光測定装置とし
て、器壁を構成する、互いに対向して配置された2つの
プレートを有する容器を備え、それらのプレートの一方
の内面に対電極及び参照電極が設けられ、他方のプレー
トの少なくとも前記対電極に対向する部分に光透過性材
料からなり、その内面に作用電極として働く光透過性電
極が設けられている、電気化学発光測定装置が提供され
る。
【0017】図3に上記第2の様相による装置例の縦断
面図を示す。図3に示されるセルは、一方の器壁10の一
部として設けられた光透過窓9の内面に作用電極として
機能する光透過性電極9aの薄膜が設けられ、他方の器壁
11に対電極12及び参照電極13が設けられている点で図1
に示すセルと相違する以外は、実質的に図1のセルと同
様の構成である。光透過性電極9aの材料としては、例え
ば、ITO 、 SnO2 などの透明度が高く、導電性を有する
物質が挙げられる。一般に、このように、光透過性電極
からなる作用電極は光透過窓の内面に密着するように配
置すると、より測定精度が向上する。
【0018】図3に示されるセルは、図1に示されるセ
ルと比較して、アノードとして働く作用電極9aから、光
透過窓9の外側に配置される光検出装置15(図4参照)
までの距離を、より短くすることができる。その上、光
子が電気化学発光物質を含む試料3’を通過しないで光
検出装置15に到達するため、該液体試料3’と光透過窓
9との界面で光子が屈折することがなく、測定精度がよ
り向上するという利点を有する。上記の第2の様相によ
る装置においては、電気化学的発光の安定化のために次
の改良が有効であることが判明した。
【0019】(1) ITO 電極とこれに接続するリード線と
の電気的接続は、仕事関数 4.5eV以下の接点材料をITO
電極に接触させて形成する。このような材料としては、
錫、鉛、銀、鉄、クロム、これらの合金が挙げられ、錫
40重量%−鉛60重量%の半田(仕事関数4.3 )が好まし
い。従来はITO 電極に接続するリード線との接続は銅製
接点材料をITO 膜に接触させて形成していたが、ショト
キー障壁が形成されて接触抵抗が増し、発光の低下及び
発光量のバラツキの原因となっていた。上記の仕事関数
4.5eV以下、好ましくは 4.4以下の接点材料の使用によ
り改良される。
【0020】(2) 作用電極へ接続される上記のリード線
は、電位測定用リード線と電圧印加用リード線に分け、
それぞれを別々のコンタクトによりITO 電極に接続す
る。2接点が形成される。従来は単一の接点が形成さ
れ、該接点に電位測定用リード線と電圧印加用リード線
が接続されていたが、電位測定の不安定化の原因となっ
ていた。上記の2接点方式により改良される。
【0021】(3) 作用電極の有効面積を対向する対電極
の面積と同一以下とする。好ましくは同一面積である。
作用電極上の電流密度分布の均一化が発光の安定性に寄
与すると考えられる。 (4) 参照電極を、平行に配置された作用電極の端と対電
極の同じ側の端とを結ぶ直線の外側であって、しかも該
直線から、これら2電極間距離(L)の二倍(2L)以
上離れた位置に設置する。
【0022】これら (1)〜(4) の改良はいずれか一つで
も有効であるが2以上を組み合わせるのが望ましい。
(1)〜(4) の全てを併用するのが最も好ましい。図1及
び図3に示すセルは、液体試料注入口(図示略)に液体
試料をセル内に分注する際のガイドを設けることが好ま
しい。かかるガイドにより、液体試料をこぼさずに滑ら
かに注入することができる。また、セルには注入口と別
の部位にガス抜きの孔を設けると、注入とともに内部の
空気が排気されるので、液体試料を滑らかに注入でき、
好ましい。またさらに、図1及び図3のセルにおいて電
極5、6、7、9、12、13を支える支持体(図示略)が
着脱自在にであると、電極を容易に洗浄することができ
るため、電極を繰り返し使用するのに便利である。な
お、本発明の図1及び図2のセルは使い捨て(ディスポ
ーザブル)型セルとして使用することも可能である。
【0023】応用 電気化学発光物質は、種々の分析において標識として利
用されていることは公知である。本発明の方法のより分
析される電気化学発光物質はこのように標識として利用
されているものでもよい。したがって、本発明の電気化
学発光物質の測定方法は、例えばルミネッセンスイムノ
アッセイ、補体活性の測定やその応用、核酸が複製され
る過程の研究、膜の物質透過性の研究などに利用するこ
とができる。特に抗原抗体反応を利用するルミネッセン
スイムノアッセイにおいて有効である。
【0024】このルミネッセンスイムノアッセイで試料
中の免疫反応体(抗原又は抗体)を分析するには、該免
疫反応体と特異的に結合する相補免疫反応体(抗体又は
抗原)に電気化学発光物質を標識として付着させる。抗
原は各種のタンパク質、ポリペプチド、多糖体、脂質、
核酸など従来公知のいずれでもよい。また、電気化学発
光物質のの免疫反応体への標識化も公知の方法により行
えばよい。例えば、このように得られた標識相補免疫反
応体を試料に添加し、試料中の免疫反応体と適当な緩衝
液を含有する水溶液中で行わせる。そして、反応終了後
に本発明の方法を用いて、抗原抗体反応による生成物に
付着している電気化学発光物質を測定すればよい。
【0025】
【実施例】実施例1 電気化学発光測定装置として図1に示されるセルを用い
た。作用電極5として厚さ 0.3mm、面積0.32cm2 の白金
電極を、対電極7として厚さ 0.3mm、面積0.60cm2 の白
金電極を使用した。参照電極としては、銀線(0.5mmφ)
をベースにしてその一端から長さ15mmにわたり電解法に
よって塩化銀を析出させた銀−塩化銀電極を使用した。
光透過性を有する器壁1は、厚さ1mmのポリメチルメタ
クリレート板で形成した。この器壁の光透過度は、波長
425nmで90%以上であった。器壁2は厚さ2mmのポリメ
チルメタクリレート板で構成し、底4及び側壁もポリメ
チルメタクリレートで形成した。器壁1と器壁2との間
隔は1mmであり、セル内容積は 500μlであった。
【0026】このセルを、図4に示されるようにフォト
ンカウンティングシステムの回路に接続した。また、組
成がNa2 HPO 4 10mM、 NaH2 PO4 10mM、NaCl 120mM、KC
l 2.7mM であるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に、過
酸化水素を10-3モル/リットルの濃度になるように溶解
したものを基液とし、その基液にルミノールを10-13
10-12 、10-11 、10-10 、10-9、10-8、10-7、10-6、10
-5モル/リットルの各々の濃度になるように溶解して9
種類の試料を調製した。各試料を測定用セルに入れ、電
位発生装置によりAg−AgCl参照電極の電位に対する作用
電極の電位が1.2Vになるように制御した電圧を作用電極
に15秒間印加して、試料に溶解しているルミノールを発
光させた。その発光量を、光学検出器15として光電子倍
増管を用いて測定した。
【0027】実施例2 Ag−AgCl参照電極の電位に対する作用電極の電位が 0.7
Vになるように制御した電圧を作用電極に印加した以外
は、実施例1と同様にしてルミノールの発光量を測定し
た。
【0028】比較例1 参照電極と回路とを接続しないことで2電極法による測
定を行い、対電極の電位に対する作用電極の電位が1700
mVになるように制御した電圧を作用電極に印加した以外
は、実施例1と同様にしてルミノールの発光量を測定し
た。
【0029】比較例2 Ag−AgCl参照電極の電位に対する作用電極の電位が2000
mVになるように制御した電圧を作用電極に印加した以外
は、実施例1と同様にしてルミノールの発光量を測定し
た。上記の実施例1、2及び比較例1の結果から検量線
を作製した。なお、比較例2においては、水の電気分解
によって作用電極からはガス状酸素、及び対電極からは
水素ガスが著しく発生した。これらのガスによる気泡に
よって電極表面と溶液とが接触できない状態であったた
めに測定不可能となり、検量線を作製することができな
かった。作製した検量線を図5に示す。曲線22、23、及
び24がそれぞれ実施例1、実施例2及び比較例1の検量
線である。
【0030】実施例3 電気化学発光測定装置として図3に示されるセルを用い
た。このセルは厚さ1mmのガラス製プレート10と、厚さ
2mmのポリメチルメタクリレート製プレート11が1mmの
間隔で対向させて配置され、底部及び両側部がポリメチ
ルメタクリレートで封じられた、内寸16mm(幅)×32mm
(深さ)×1mmで容量 500μl の容器である。プレート
10は一部がポリメタクリレートからなり、寸法12mm×10
mmの光透過窓を有し、その内表面には面積1.44cm2 のIT
O 薄膜電極9aが設けられている。対電極12として厚さ
0.3mm、面積0.60cm2 の白金電極が設けられている。参
照電極としては、銀線(0.5mmφ) をベースにしてその一
端から長さ15mmにわたり電解法によって塩化銀を析出さ
せた銀−塩化銀電極を使用した。かかる構成に加え、次
の (A)〜(E) のいずれかの条件を備えた5種類をセルを
使用して、下に示すようにして測定を行った。
【0031】(A) :ITO 電極用リード線とITO 電極との
接続を、銅製接点材料をITO 電極と接触させて形成し、
この接点に電圧印加用のリード線と電位測定用のリード
線を接続した。参照電極13を、作用電極9aの端9b と対
電極12の端12a とを結ぶ線の中点から2 mm の位置に設
置した。(前記(4) の改良) (B) :銅製接点材料の代わりに銅を仕事関数4.3 eVの半
田で被覆してなる接点を使用した以外は(A) と同一構
成。 (C) :ITO 電極用リード線とITO 電極との接続を、銅を
仕事関数4.3 eVの半田で被覆してなる接点材料を二つIT
O 電極に接触させて形成し、一方の接点に電圧印加用の
リード線を接続し、他方の接点に電位測定用のリード線
を接続した。 (D) :接点条件は(B) と同一にし、参照電極13を、作用
電極9の端9b と対電極12の端12a とを結ぶ線の中点か
ら4mmの位置に設置した。 (E) :接点条件は(B) と同一にし、光透過窓9を、 400
nm以下の波長の光を透過しない色ガラスフィルター(商
品名:L-40、入江製作所(株)製)に変えた。
【0032】PBS に、過酸化水素を10-3モル/リットル
の濃度になるように溶解したものにルミノールを10-10
モル/リットルの濃度になるように溶解して試料を調製
した。該試料をセルに入れ、セルを図4に示すフォトン
カウンティングシステムに接続した。電位発生装置によ
り参照電極13の電位に対する作用電極9aの電位が 0.8V
になるように制御した電圧を作用電極に15秒間印加し
て、試料に溶解しているルミノールを発光させた。その
発光量を、測定しC.V.値を求めた。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明による電気化学発光の測定方法に
よれば、参照電極を設けることによって、アノードとし
て働く作用電極の電位を、電気分解によってガス状酸素
が発生する電位未満で、かつ出来る限り高い電位になる
ように制御することができる。さらにこのことによって
電気化学発光物質を最も強く発光させることが可能にな
るため、従来よりも高い測定精度を得ることができる。
また、本発明の電気化学発光測定セルは上記の測定方法
に適し、着脱自在であり、かつ光学検出装置との距離及
び平行性の設定、すなわち、位置決めの操作が簡単であ
り、かつ高い検出感度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析方法に適した電気化学発光測定セ
ルの縦断面図である。
【図2】図1に示したセルの背面図である。
【図3】本発明の方法の実施に適した別のセルの縦断面
図であり、光透過窓に作用電極の働きする光透過性電極
の薄膜が設けられている。
【図4】実施例及び比較例に使用されたフォトンカウン
ティングシステムを示す。
【図5】実施例1、2及び比較例1で得られた結果から
作製した検量線である。
【符号の説明】
1 プレート 2 プレート 5 作用電極 6 参照電極 7 対電極 8 光透過窓 9 光透過窓 9a ITO電極 12 対電極 13 参照電極 14 セル 15 光検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相澤 益男 東京都杉並区天沼2−19−14 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/76 G01N 21/66 JICSTファイル(JOIS)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性化酸素の存在下における電解酸化に
    より化学発光を起こす電気化学発光物質を含有する液体
    試料中に、作用電極、対電極及び参照電極を設け、 活性化酸素の存在下で前記の作用電極を前記の電気化学
    発光物質の酸化電位に設定することにより、該作用電極
    において電気化学発光を起こさせ、 該電気化学発光の量を測定する、工程を有する化学発光
    物質の分析方法において、 前記作用電極の電位を、前記参照電極を用いて水の電気
    分解によりガス状酸素が発生する電位未満に制御する、
    ことを特徴とする電気化学発光物質の分析方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、前記液
    体試料のpHが5〜9である方法。前記水溶液中に設けら
    れた参照電極を用いて、前記アノードの電位を、水の電
    気分解によって酸素ガスが発生する電位未満に制御する
    ことを特徴とする測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法であって、前記の
    設定された作用電極の電位が酸素発生電位以上である方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、前記の
    設定された作用電極の電位が、水の電気分解によってガ
    ス状酸素該電位より低くかつ該ガス状発生電位から100m
    V までの範囲内である方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、前記の
    電気化学発光物質がルミノール、ルシフェリン又はこれ
    らの電気化学発光性誘導体である方法。
  6. 【請求項6】 器壁を構成する、互いに対向して配置さ
    れた2つのプレートを有する容器を備え、それらのプレ
    ートの一方の内面に作用電極、対電極及び参照電極が設
    けられ、他方のプレートの少なくとも前記作用電極に対
    向する部分が光透過性である、電気化学発光測定装置。
  7. 【請求項7】 器壁を構成する、互いに対向して配置さ
    れた2つのプレートを有する容器を備え、それらのプレ
    ートの一方の内面に作用電極及び参照電極が設けられ、
    他方のプレートの少なくとも前記作用電極に対向する部
    分に光透過性材料からなる対電極が設けられている、電
    気化学発光測定装置。
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