JP3140965B2 - 火床式溶融炉 - Google Patents

火床式溶融炉

Info

Publication number
JP3140965B2
JP3140965B2 JP08193378A JP19337896A JP3140965B2 JP 3140965 B2 JP3140965 B2 JP 3140965B2 JP 08193378 A JP08193378 A JP 08193378A JP 19337896 A JP19337896 A JP 19337896A JP 3140965 B2 JP3140965 B2 JP 3140965B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grate
melting
chamber
secondary combustion
outlet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP08193378A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1038249A (ja
Inventor
享 内田
金一 佐藤
正樹 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanabe Corp
Original Assignee
Tanabe Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanabe Corp filed Critical Tanabe Corp
Priority to JP08193378A priority Critical patent/JP3140965B2/ja
Publication of JPH1038249A publication Critical patent/JPH1038249A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3140965B2 publication Critical patent/JP3140965B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば都市ごみ等
の廃棄物の焼却灰、アスベストを含む不燃性廃棄物等と
いった被処理物を火床上において加熱して溶融処理する
火床式溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】焼却炉から排出される都市ゴミ等の廃棄
物の焼却灰やアスベストを含む不燃性廃棄物等といった
被処理物の処理は埋め立て処分している。しかしなが
ら、埋め立て用地の確保が年々難しく、埋め立て処理が
困難になりつつある。
【0003】そこで、被処理物を溶融処理して、被処理
物を減容化、さらには再利用あるいは最終処分に適した
ものにすることが試みられている。こうした溶融処理に
は、エネルギーコストの点から各種燃料を熱源とする火
床式溶融炉を用いて、溶融処理することが考えられてい
る。
【0004】具体的には、火床式溶融炉は、被処理物を
移動させる火床の上部に、通常のバーナー、すなわち火
床に向かって延びるバーナー炎が形成されるバーナーを
複数、設けた構造を採用して、火床上を移送する被処理
物をバーナーの直火で加熱して溶融することが考えられ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうしたバ
ーナーの直火による加熱だと、溶融部分がバーナーの火
炎先端が直接に当たるところを中心とした局部的な部位
として表れ、火炎が直接に当たらない周辺部分には焼結
化した被処理物が堆積する。
【0006】しかも、火床上を移動する焼結化した部分
をバーナーの直火で溶融させることは難しく、良好な被
処理物の溶融処理が期待できない。そのうえ、微粉状の
被処理物、例えば焼却灰、アスベストを含む二次製品の
加工時に発生する塵埃などは、火炎流がもたらす機械的
な衝撃により、一部は溶融しないまま飛散して熱ガス流
に乗り流出するので、十分な溶融処理が期待できない。
【0007】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、被処理物の局部的な固
化、未溶融物の流出を防ぎつつ、被処理物を連続的に効
率よく溶融できる火床式溶融炉を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載した火床式溶融炉は、一端部に入口を
有し、他端部に出口を有し、該入・出口方向に沿って延
びる火床を有する溶融室と、この溶融室外から被処理物
を火床の入口へ火床上で所定の安息角が保たれるように
順次、送り込む被処理物供給機構と、溶融室の天井に複
数、設けられ、バーナー炎が該天井に沿って広角に延び
て、火床上の被処理物の表面全体を輻射熱、熱雰囲気で
加熱して溶融させる炎拡散型バーナーと、火床の直下に
設けられ、溶融室の熱ガス流を、火床の出口端を経て、
火床の出口から導出する溶融物に触れさせながら導入し
て、二次燃焼させる二次燃焼室とを具備して構成したこ
とにある。
【0009】この請求項1に記載の火床式溶融炉による
と、溶融炉の天井には、複数の炎拡散型バーナーから該
天井にならって延びる火炎が形成される。処理物供給機
構により、火床上に安息角が保たれるように被処理物が
順次、送り込まれる。
【0010】ここで、各バーナー炎は横に向いているか
ら、火床上の被処理物には機械的な衝撃が加わらない。
そして、バーナー炎の外周部からは、高い熱量をもたら
す輻射熱、熱雰囲気が火床全体に向けて供給される。
【0011】火床上の被処理物は、こうした輻射熱、熱
雰囲気を表面全体で吸収する。この加熱により、被処理
物は表面から溶融され、該溶融物の先端側に形成される
傾斜溶融面から連続的に流下して、出口に至る。
【0012】これにより、被処理物は、局部的な固化、
さらには未溶融物の流出を防ぎつつ連続的にかつ効率的
に溶融処理される しかも、火床の直下の二次燃焼室では、溶融室の熱ガス
流が、火床の出口端を経て、火床の出口から導出する溶
融物に触れさせながら導入されて、二次燃焼されるの
で、さらに熱ガス流に含まれる未燃焼分が完全に燃焼さ
れると同時に火床の出口から導出される溶融物の表面固
化が防げる
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】請求項2に記載の火床式溶融炉は、上記目
的に加え、さらに溶融室の熱影響で、入口へ送り込む被
処理物から発生するガス等が外気に放出されるのを防ぐ
ために、請求項1に記載の二次燃焼室に、火床の入口へ
送り込まれる被処理物から発生するガスを導入して燃焼
させるガス処理手段を設けたことにある。
【0018】請求項3に記載の火床式溶融炉は、上記目
的に加え、さらに溶融に用いられる熱を有効に利用して
効率のよい燃焼を行うために、請求項1に記載の火床と
二次燃焼室との間を両者に共通の壁部とし、この壁部に
燃焼用空気が流通するダクト部を設けて、このダクト部
を通過する間に燃焼用空気を予熱させるようにしたこと
にある。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1および図2に
示す一実施形態にもとづいて説明する。図1は本発明を
適用した火床式溶融炉の全体構造を示し、同図中1は例
えば箱形状に構成された溶融炉本体である。
【0020】溶融炉本体1は、例えば前方に向かって下
る傾斜した上部壁2および平坦な下部壁3と、これら上
部壁2と下部壁3との間を囲うように設けた前・後壁
4,5、左右壁(図示しない)とを有して構成される。
【0021】上部壁2と下部壁3との間には、後壁5の
中段から本体内部を上下に区画するよう前方へ突き出る
火床8が設けられている。火床8の前方端は、例えば上
部壁2と平行をなして下りながら傾斜して、前方へ延び
ている。そして、前方端が、前壁4の内面から退避した
地点に設けた出口9に連結してある。
【0022】そして、この火床8で構成される壁部を共
通の構造体として、炉本体1内の上側の空間に溶融室1
2を形成し、溶融室12の直下となる下側の空間に二次
燃焼室13を形成してある。
【0023】また上部壁2の後部内面からは、火床8の
上面に向かって突き出る突条部10が設けられていて、
火床8の後端側に入口11を形成している。そして、こ
の入口11から、灰供給機構15(被処理物供給機構に
相当)によって、被処理物、例えば焼却灰14(例えば
焼却炉から排出される都市ごみ等の廃棄物の灰)を、火
床8上へ、溶融に適した安息角を保ちながら、順次、出
口9に向かい送り込ませるようにしてある。
【0024】この灰供給機構15には、収容槽16に貯
溜された焼却灰14を上下開き式のゲート機構17、往
復動式のプッシャー機構18を用いて、焼却灰14等の
各種被処理物を溶融に適した安息角、送り量で火床8へ
順次、送り込ませる構造が用いられている。
【0025】具体的には、収容槽16には、例えば突条
部10から後方側の上部壁部分と後壁5との間に、火床
8を構成する壁部を底部として用いた箱形の槽体を設け
た構造が採用されている。この槽体の上部壁には、内部
に開閉部として例えば開閉ダンパー19が内蔵された投
入部20が設けられている。そして、この投入部20か
ら投入された被処理物、ここでは焼却灰14が、槽内に
大量に貯溜されている。
【0026】ゲート機構17は、例えば入口11が形成
されている槽壁内面に沿って昇降自在な帯板状のゲート
21と、このゲート21を吊持して昇降駆動する、槽体
の上部壁に設けた駆動機構、例えばシリンダ機構22と
を有して構成されていて、ゲート21の火床8へ向かう
昇降動作で、入口11の開度を全閉から全開の範囲で調
節可能としてある。
【0027】プッシャー機構18は、収容槽16の内底
面に該収容槽16の後部壁を貫通して入口11に向かい
設けたスライド自在な平板状のプッシャー23と、この
プッシャー23を往復駆動する、収容槽16の後部壁に
設けた駆動機構、例えばシリンダ機構24とを有して構
成されている。
【0028】そして、シリンダ機構24でプッシャー2
3を入口11から退避した位置からゲート21の直下ま
でストローク動作(往復動)させることにより、収容槽
16内に貯溜された焼却灰14を入口11から火床8上
へ押し込めるようにしてある。
【0029】また各シリンダ機構22,24は、制御部
25(例えばマイクロコンピュータおよびその周辺機器
よりなるもので、制御手段に相当)に接続されている。
この制御部25には、溶融に適した安息角を設定しなが
ら被処理物を定送りする設定がなされている。
【0030】具体的には、図2に示されるようにゲート
21で開閉される入口11の高さはプッシャー23の高
さHp(断面高さ)よりも高さ寸法が高くしてあり、こ
の高さの差を利用して、各種被処理物に応じた安息角を
定めるようにしてある。
【0031】例えば被処理物が焼却灰14の場合、ゲー
ト21の開口高さHg(開度)は、被処理物の圧密性、
流動性等といった物性、具体的には焼却灰14の場合は
塊状物の混入割合(塊の含有状況)、粒度分布、比重、
含有水分、圧密性、プッシャー23の高さHp(断面高
さ)を考慮した実験で得た、所定の値、例えば2/3を
係数とした「HP=2/3・Hg」を関係式として、プ
ッシャー23の高さHpの3/2倍の値を標準の開口高
さとし、焼却灰14の塊状物が多くなるにしたがい、プ
ッシャー23の高さHpとの間の距離(安息角:小)を
小さく、含有水分が少なく圧密性が高くなるにしたがい
プッシャー23の高さHpとの間の距離を大きく(安息
角:大)する設定がなされている。
【0032】また制御部25には、例えばプッシャー2
3を入口11から退避した位置からゲート21の直下ま
でを所定のストロークで動作させる設定がなされてい
て、所定量づつ収容槽16内の焼却灰14を火床8上へ
押し込めるようにしてある。
【0033】さらに制御部25には、焼却灰14の溶融
処理能力に応じたプッシャー23の作動間隔が設定され
ている。こうしたゲート21の開口高さとプッシャー2
3の開口高さの差の設定、プッシャー23のストローク
量、プッシャー23の作動間隔が、各種被処理物毎、制
御部25に設定してある。
【0034】これにより、制御部25に接続してある操
作部26から、例えば溶融処理しようとする被処理物を
選択し、溶融処理能力、被処理物の物性などを入力する
ことにより、ゲート21の開度、プッシャー23の押し
出し量、プッシャー23の作動間隔が、被処理物の溶融
処理に適するように調節され、収容槽16内の被処理
物、ここでは焼却灰14を、溶融に適した安息角にしな
がら、火床8上に送り込ませるようにしてある。
【0035】むろん、操作部26には手動操作でゲート
21の開度、プッシャー23の押し出し量などを調整す
る調整部26aが設けられていて、火床8上の被処理物
の先端位置を任意の基準となる位置も変えられるように
してある。
【0036】なお、プッシャー23は交換可能となって
いて、プッシャー23の高さHpを変えることで、各種
被処理物に適した送りも行えるようにしてある。一方、
溶融室12の天井を構成する上部壁2の各部には、燃焼
燃料供給装置27から供給される燃料、例えば重油をバ
ーナー燃焼させる複数の炎拡散型バーナー28が設けら
れている。そして、各炎拡散型バーナ28の先端の拡散
型ノズル部28aが溶融室12の天井に臨んでいる。
【0037】拡散型ノズル部28aは、図2にも示され
るようにバーナー炎29が該ノズル部28aを中心とし
て溶融室12の天井にならい拡散して周囲に延びるよう
に構成されていて、火炎先端で加熱されるのとは違い、
火炎流の機械的な衝撃をに加えずに、火床8上の被処理
物(焼却灰14)に対して高熱量の輻射熱、熱雰囲気を
供給するようにしてある。
【0038】炎拡散型バーナー28の配置は、各バーナ
ー28から発する輻射熱が火床8の全体に渡るように位
置決められていて、炎拡散型バーナー28にて火床8上
の被処理物の上面全体を加熱し溶融するようにしてあ
る。
【0039】そして、この熱が広い吸収面積で被処理物
表面に吸収されるよう、ゲート21の下端部(先端部)
には、被処理物が押し出される方向と略直角方向に並ぶ
凹凸部、例えば波形の凹凸部30を設けて、火床8上の
被処理物表面を波形に乱し、被処理物表面の表面積を大
きくしてある。図1中、14cは凹凸部30で被処理物
表面に形成された凹凸部分を示す。
【0040】なお、このゲート21内の下端部近傍に
は、溶融炉運転中、ゲート21に加わる熱的負担、具体
的には高温状態下での被処理物と機械的摩擦に耐えるた
めに、冷却媒体、例えば冷却水が貫流する冷却通路31
が設けてある。
【0041】また火床8の出口9には、被処理物の安息
角がもたらす傾斜溶融面14aから流下する溶融物14
bを、一旦、溜めてから流下させる堰32が形成されて
いて、溶融物14bを出口端に形成されるプール33
で、バーナー炎29の輻射熱、熱雰囲気にさらして、溶
融物の未燃焼分、未溶融分を燃焼、溶融させる構造にし
てある。
【0042】この出口9の直下となる下部壁3の前部分
には、堰32の溝32aを越えて流下する溶融物を溶融
炉本体1外へ排出する排出口部34が設けられている。
そして、この排出口部34から溶融物処理装置、例えば
水砕装置35(あるいは空冷固化処理装置)へ溶融処理
を終えた最終物を導出させるようにしてある。
【0043】なお、燃焼燃料供給装置27は、操作部2
6から入力される溶融処理能力にしたがって制御される
ようにしてある。他方、二次燃焼室13の前部は、火床
8の出口端、具体的には出口端に在る流下面36とこれ
と対向する前壁4の内面との間に形成された通路37を
経て、溶融室12の前部に連通している。
【0044】また二次燃焼室13の後部は、排気ファン
38につながる排ガス出口39を介して、外気に開口し
ていて、排気ファン38の吸引運転により、溶融室12
内の熱ガス流を、火床8の出口9から導出する溶融物に
触れさせながら、下側の二次燃焼室13内へ導入させる
ようにしている。そして、この二次燃焼室13内におい
て、熱ガス流に含まれる未燃焼ガスなどを二次燃焼させ
る。と同時に流下面36と並行に流れる熱ガス流によっ
て、流下する溶融物を溶融状態のまま排出口部34へ導
けるようにしてある。
【0045】特にこの二次燃焼には、溶融室12と二次
燃焼室13とを仕切る仕切壁(火床8)に、例えば一端
が外気に開放し、他端が閉塞されている複数のダクト部
40(導管)を挿通し、これらダクト部40を複数の分
岐路40aを介して二次燃焼室13内に開放させて、火
床8の内部を通過する間に予熱された空気を二次燃焼と
して用いる構造が用いられ、雰囲気ガス温度を維持する
ためのエネルギーを回収しながら二次燃焼が行われる。
と同時に壁部の熱を奪うことを利用して、高温にさらさ
れる仕切壁(火床8)を冷却するようにしてある。
【0046】なお、ダクト部38は溶融室12内にも開
放させてあり、予熱された燃焼用空気が溶融室12にも
供給されるようにしてある。また二次燃焼室13内と収
容槽16内の上層部とは、ダクト部41を介して連通接
続されていて、熱的影響を受けて収容槽16内の被処理
物から生じるガス、例えば未燃焼ガスを二次燃焼室13
内へ導入させて燃焼させるようにしてある(ガス処理手
段)。
【0047】なお、溶融炉本体1の前壁の各部には、例
えば撮像装置42を用いて溶融状態を観察する覗窓4
3、蓋体44で開閉可能に閉じられたメンテナンスホー
ル45が設けてある。
【0048】しかして、このように構成された火床式溶
融炉を用いて、被処理物、例えば焼却灰14を溶融処理
するときは、まず、焼却灰14を投入部20から収容槽
16内に貯溜する。
【0049】ついで、操作部26を操作して溶融炉を起
動させ、さらに被処理物の選択(ここでは焼却灰1
4)、溶融処理能力(例えばkg/hr)、焼却灰14
の物性、例えば塊状物の混入具合、含有水分の具合など
を入力する。
【0050】すると、燃焼燃料供給装置27から溶融炉
本体1に在る複数の炎拡散型バーナー28に燃料(重
油)が供給され、図2に示されるように各拡散型ノズル
部28aにおいて同ノズル部28aを中心としてバーナ
ー炎29が横方向に延びる拡散(広角)燃焼が行われ
る。むろん、溶融処理能力に応じた燃焼量で燃焼が行わ
れる。
【0051】これにより、各バーナー炎29の外周部か
ら、高い熱量をもたらす輻射熱、熱雰囲気が火床全体に
向けて供給される。一方、制御部25は、ゲート機構1
7を「HP=2/3・Hg」なる式に基づき制御し、全
閉位置に在るゲート21を、上式から算出された開口高
さHpの値を物性で補正して得られたゲート位置にまで
上昇させる。これにより、焼却灰14を溶融に適した安
息角に定める体制が整う。
【0052】続いて制御部25は、プッシャー機構18
を溶融処理能力にしたがって制御し、プッシャー23を
所定の退避した位置からゲート21の位置にまで前進す
るという動作を所定の作動間隔で繰り返す。
【0053】すると、収容槽16内の焼却灰14は、図
2に示されるように略ゲート21の開口高さHpと幅寸
法とに等しい断面で、プッシャー23の押し込み距離に
等しい体積分を所定量として、順次、入口11から、火
床8上へ押し込まれる。
【0054】これにより、焼却灰14は、溶融に適した
安息角を保たちながら火床8上を移動していく。この
際、火床8の焼却灰14の表面には、ゲート21の下端
部に形成された凹凸部30によって、波型の凹凸部分1
4aが形成される。
【0055】火床8上の焼却灰14は、炎拡散型バーナ
ー28から発生する輻射熱、熱雰囲気を全体で吸収する
ので、バーナー炎29の機械的な衝撃が加わらずに表面
全体が加熱されていく。
【0056】この加熱により、焼却灰14は上層から溶
融し始め、図2に示されるように灰層は表面側から溶融
層A、半溶融層B、焼結層C、粉体層Dという具合に次
第に変化していく。
【0057】なお、このとき図2中の一点鎖線のハッチ
ングで示されるようにゲート21の近くまで焼結層が進
んでブリッジを形成していると、プッシャー機構18の
プッシャー後退時に灰層に空隙を残すことがあるので、
プッシャー23はゲート21の直下を越えない範囲でス
トロークさせている。
【0058】そして、表層から溶融し、溶融スラグとな
った溶融物14bは、先端側に形成される傾斜溶融面1
4aから連続的に流下して、出口9に在るプール33に
一旦、貯溜される。
【0059】そして、このプール33で滞留している
際、溶融物14bに含まれている未燃焼分や未溶融分が
輻射熱、熱雰囲気にさらされ、未燃焼分や未溶融分の溶
融が行われる。
【0060】これにより、未燃焼分や未溶融分を残さな
いための溶融処理が行われる。このとき覗窓43からの
観察で、プール33に滞留している時間が短いと判断し
たときは、操作部26の調整部26aを操作して、ゲー
ト21の開口高さHgを調整して、安息角を変えて、傾
斜溶融面14aの先端位置をプール33から退避した地
点に設定すれば、溶融室12内での溶融面積を極端に減
少させることなく、プール33での滞留時間が調節され
る。例えば焼却灰14の流動性がよく、安息角が小さい
場合は、ゲート21の開口高さHgを低く設定すればよ
く、逆に安息角が大きい場合は、ゲート21の開口高さ
Hgを高く設定すればよい。
【0061】そして、完全に溶融を終えた溶融物14b
だけが、堰32の溝32aから出口端の流下面36を流
下していく。一方、排気ファン38は作動していて、溶
融室12内の熱ガス流を、流下面36と前壁4との間に
在る通路37を通じ、二次燃焼室13内に導入させてい
る。そして、このとき流下面36と並行に流れる熱ガス
流によって、流下面36を流下している溶融物14a
は、溶融状態のまま、すなわち流下している途中で表面
固化を起こさずに、良好に排出口部34ヘ導かせてい
る。
【0062】これにより、溶融物14aは、円滑に溶融
炉本体外に在る水砕装置35に供給される。二次燃焼室
13内には、溶融室12内からの熱ガス流だけでなく、
溶融処理の熱的影響で収容槽16内の焼却灰14から発
生する未燃焼ガスも、ダクト部41を通じて導入されて
いる。
【0063】また二次燃焼室13内には、排気ファン3
8の作動によって、火床8に埋設されているダクト部4
0を通じて、燃焼用空気が取り込まれている。この燃焼
用空気は、火床8を通過する間に、火床8を構成する壁
部から奪った熱で予熱されている。
【0064】この燃焼用空気により雰囲気ガス温度を維
持するエネルギーを回収しながら、溶融室12内の熱ガ
ス流に含まれる未燃焼ガス、未燃焼レジン、さらには収
容槽16内の未燃焼ガスは、二次燃焼室13内で完全燃
焼される。
【0065】なお、予熱した燃焼用空気は溶融室12内
にも供給され、溶融室12内における雰囲気ガス温度を
維持するのにも利用される。しかして、火床8上に送り
込まれる被処理物を天井から炎拡散型(広角型)バーナ
ー28により加熱させる溶融炉構造の採用により、被処
理物の表面全体を高熱量の輻射熱、熱雰囲気で加熱させ
て表層全体から溶融させることができる。
【0066】この結果、溶融に伴う局部的な固化を避け
つつ、連続的に効率のよい溶融処理が行える。しかも、
輻射熱による溶融であるから、たとえ飛散しやすい焼却
灰14、アスベストを含む不燃性廃棄物等に含まれる微
粉状の被処理物、例えばアスベストを含む二次製品の加
工時に発生する塵埃であっても、バーナーの火炎流がも
たらす機械的な衝撃が加わらず、該焼却灰14や微粉状
の被処理物が飛散せずにほとんど全部が溶融処理される
ので、未溶融物の流出は防止され、良好な被処理物の溶
融処理が期待できる。
【0067】そのうえ、火床8の出口9で、被処理物の
傾斜溶融面14aから流下する溶融物を、一旦、溜め
て、輻射熱、熱雰囲気にさらすようにすると、たとえ溶
融物に未燃焼分や未溶融分が含まれてしたとしても、残
さず未燃焼分や未溶融分が処理される。
【0068】また被処理物に応じて制御されるゲート機
構17、プッシャー機構18を用いて、収容槽12内に
貯溜された被処理物を火床8の入口11へ押し込む構造
を採用したので、種々の被処理物をそれぞれ溶融に適し
た安息角、送り量で、火床8上へ移送させることがで
き、被処理物に関わらず、良好な溶融処理性能が確保さ
れる。
【0069】特にゲート機構17のゲート先端(下端)
に凹凸部30を設けると、ゲート先端と摩擦する被加熱
物の表面に凹凸部分14aが形成されて、広い熱の吸収
面積を確保できるので、一層、効率のよい溶融処理が行
われる。
【0070】しかも、溶融具合を見ながら手動操作で安
息角を調整可能にしてあるので、火床8上の被処理物の
溶融処理具合に応じ適宜に安息角を補正して、最善の溶
融処理が行える。
【0071】またゲート21には冷却通路31が設けて
あるので、ゲート21を熱から保護できる。すなわち、
ゲート21は、溶融炉運転中、かなり高温であり、ゲー
ト先端部はこの高温状態で入口11を通過する被処理物
との機械的摩擦に耐えるためにかなりの熱的負担が強い
られる。このため、ゲート21の内部に冷却媒体を貫流
させてゲート先端部の温度上昇を抑制している。特に冷
却通路31がゲート21の先端部近傍に在ると、熱が集
中するゲート先端部の温度上昇が効果的に抑制される。
【0072】また火床8の直下に二次燃焼室13を設け
て、溶融室12の熱ガス流を二次燃焼させたので、溶融
室12の熱ガス流れに含まれる未燃焼分を完全に燃焼さ
せることができる。
【0073】実験によれば、焼却灰14の場合、未燃焼
炭素分は数%から、多いときは十数%に達し、アスベス
トを含む二次製品等のような廃棄物でも同程度の未燃焼
レジンが含むが、二次燃焼室13によって、これらの未
燃焼炭素分、未燃焼レジンを完全燃焼させることができ
た。しかも、たとえ飛散しやすい微粉状の被処理物が微
量ではあるが残っていたとしても、熱ガス流が二次燃焼
室13で滞留する間に沈降するので、微粉末が集塵装置
(図示しない)に送られたり、さらには外気へ排出され
るおそれがほとんどない。
【0074】しかも、二次燃焼室13への熱ガス流の導
入は、火床8の出口端を経て、火床8から導出する溶融
物に触れさせながら導入させているので、流下している
溶融物14aと並行に流れる熱ガス流により、同溶融物
14aが途中で表面固化を起こすことはなく、溶融物1
4bの良好な排出性が確保される。
【0075】そのうえ、収容槽16と二次燃焼室13と
の間をダクト部41で連結して、被処理物から発生する
ガス等、例えば焼却灰14の場合は溶融室12からの熱
影響を受けて発生する未燃焼ガス等の黒煙を、二次燃焼
室13で二次燃焼させたので、溶融室12の熱ガス流の
ときと同様、入口11へ送り込む被処理物から発生する
ガス等は外気へ排出されるおそれがほとんどない。
【0076】これにより、処理設備の系外へ溶融処理の
際に発生する有害な成分を出さずに、必要な被処理物の
溶融処理が行えることとなる。またこうした二次燃焼室
13に導入される燃焼用空気は、火床8内を通過させて
予熱した空気であるので、雰囲気ガス温度を維持するた
めのエネルギーを回収しながら二次燃焼を行うことがで
きる。と同時に燃焼用空気が高温にさらされる火床8の
構造体から熱を奪う(冷却)ことにより、被処理物の重
量を支える仕切壁の熱的影響が抑制され、同仕切壁の強
度が合理的に確保できるという利点もある。
【0077】なお、一実施形態では、都市ごみ等の焼却
炉から排出される廃棄物の焼却灰を溶融処理したが、こ
れに限らず、他の被処理物、例えばアスベストを含む二
次製品の加工時に発生する塵埃、車両のブレーキパッド
の加工時に発生する塵埃等を溶融処理するときでも、同
様の効果をもたらす。また一実施形態では、重油を燃焼
させる炎拡散型バーナーを用いたが、他のガスなどの燃
料を燃焼させる炎拡散型バーナーを用いてもよい。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、炎拡散型バーナーからの輻射熱、熱雰囲気で、火
床上を移動する被処理物の表面全体を加熱して表層から
溶融させることができる。
【0079】しかも、火床上の被処理物にはバーナーの
火炎流の機械的な衝撃が加わらないから、被処理物が溶
融されないまま一部が飛散して外部に排出されるのを防
ぐことができる。
【0080】よって、溶融に伴う局部的な固化を避けつ
つ、さらには未溶融物の流出を防ぎつつ、連続的に効率
的のよい溶融処理を行うことができる。しかも、さらに
熱ガス流に含まれる未燃焼分を完全に燃焼できると同時
に、火床の出口から導出される溶融物の表面固化を防い
で良好な排出性を確保できるという効果を奏する。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】請求項2に記載の発明によれば、上記請求
項1の効果に加え、さらに溶融室の熱影響で、入口へ送
り込む被処理物から発生するガス等が外気に放出される
のを防ぐことができるという効果を奏する。
【0085】請求項3に記載の発明によれば、上記請求
項1の効果に加え、さらに溶融に用いられる熱を回収し
て効率のよい二次燃焼を行うことができると同時に、火
床を構成する構造体の冷却により、同構造体の強度を確
保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の溶融炉の構造を説明する
ための図。
【図2】同溶融炉の溶融室で行われる輻射熱を用いた焼
却灰の溶融処理を説明するための図。
【符号の説明】
1…溶融炉本体 8…火床 9…出口 11…入口 12…溶融室 13…二次燃焼室 14…焼却灰(被処理物) 14a…傾斜溶融面 15…灰供給機構(被処理物供給機構) 16…収容槽 17…ゲート機構 18…プッシャー機構 25…制御部(制御手段) 28…拡散型バーナー 29…バーナー炎 30…凹凸部 31…冷却通路 32…堰 33…プール 34…排出口部 36…流下面 37…通路 38…排気ファン 41…ダクト部(ガス処理手段)。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−82026(JP,A) 特開 平9−273736(JP,A) 実開 昭52−63106(JP,U) 「エネルギー・資源学会 第14回研究 発表会プログラム」,6−5 焼却灰の ガス焚き表面溶融炉,p.201−206 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23J 1/00 F27B 3/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部に入口を有し、他端部に出口を有
    し、該入・出口方向に沿って延びる火床を有する溶融室
    と、 この溶融室外から被処理物を前記火床の入口へ前記火床
    上で所定の安息角が保たれるように順次、送り込む被処
    理物供給機構と、 前記溶融室の天井に複数、設けられ、バーナー炎が該天
    井に沿って広角に延び、前記火床上の被処理物の表面全
    体を輻射熱、熱雰囲気で加熱して溶融させる炎拡散型バ
    ーナーと、 前記火床の直下に設けられ、溶融室の熱ガス流を、前記
    火床の出口端を経て、前記火床の出口から導出する溶融
    物に触れさせながら導入して、二次燃焼させる二次燃焼
    室と を具備してなることを特徴とする火床式溶融炉。
  2. 【請求項2】 前記二次燃焼室には、火床の入口へ送り
    込まれる被処理物から発生するガスを導入して燃焼させ
    るガス処理手段が設けられていることを特徴とする請求
    項1に記載の火床式溶融炉。
  3. 【請求項3】 前記火床と前記二次燃焼室との間には、
    両者に共通の壁部を有し、この壁部には燃焼用空気が流
    通するダクト部を有し、このダクト部を通過する間に燃
    焼用空気を予熱させることを特徴とする請求項1に記載
    の火床式溶融炉。
JP08193378A 1996-07-23 1996-07-23 火床式溶融炉 Expired - Lifetime JP3140965B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08193378A JP3140965B2 (ja) 1996-07-23 1996-07-23 火床式溶融炉

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08193378A JP3140965B2 (ja) 1996-07-23 1996-07-23 火床式溶融炉

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1038249A JPH1038249A (ja) 1998-02-13
JP3140965B2 true JP3140965B2 (ja) 2001-03-05

Family

ID=16306932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08193378A Expired - Lifetime JP3140965B2 (ja) 1996-07-23 1996-07-23 火床式溶融炉

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3140965B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW468021B (en) * 1998-03-27 2001-12-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd Ash melting furnace and ash melting method thereof

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「エネルギー・資源学会 第14回研究発表会プログラム」,6−5 焼却灰のガス焚き表面溶融炉,p.201−206

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1038249A (ja) 1998-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2525726B2 (ja) 嵩張りごみおよび炭化水素含有液体用のごみ焼却装置
JP2966219B2 (ja) スクラップ連続予熱方法およびその装置
JPH06313534A (ja) 可燃物焼却方法
EP0229828A1 (en) PROCESS FOR REMOVING VOLATILE SUBSTANCES FROM THE ALUMINUM SURFACE.
KR890004291B1 (ko) 고철 금속으로 부터 금속을 재생시키는 방법 및 장치
US7318382B2 (en) Method for incineration disposal of waste
JPS5810643B2 (ja) シヨウキヤクロノカイリヨウ
JP2001227714A (ja) 廃棄物の焼却処理方法
JP3140965B2 (ja) 火床式溶融炉
JP3037134B2 (ja) 流動床式焼却炉
JP4432047B2 (ja) 塵芥と汚泥とを合わせて処理する廃棄物処理炉および廃棄物処理装置
KR100348746B1 (ko) 폐기물처리장치
JP2950754B2 (ja) ごみ焼却灰の溶融処理方法及び溶融処理設備
JP2000199620A (ja) 廃棄物焼却・熱処理炉
US3215101A (en) Burning apparatus
JP3131163B2 (ja) 焼却灰の溶融処理装置
JP2004169931A (ja) 廃棄物処理設備
JP3460604B2 (ja) 廃棄物焼却溶融炉
JP2001090933A (ja) 廃棄物熔融装置
US5323718A (en) Overfire air system for incinerating
JPH09273736A (ja) 表面溶融炉
JP3172751B2 (ja) 流動層燃焼方法
RU2117871C1 (ru) Инсинератор
JPH0599415A (ja) 流動床焼却炉
JPH11502603A (ja) 焼却装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091215

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131215

Year of fee payment: 13

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term