JP3137233B2 - 超電導ウィグラ励磁方法および超電導ウィグラ - Google Patents
超電導ウィグラ励磁方法および超電導ウィグラInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビーム用加速
器リング等に挿入されて放射光を発生させる超電導ウィ
グラの超電導コイル群を励磁する方法およびその方法を
用いた超電導ウィグラに関し、特に外部から超電導コイ
ルへの熱伝導を抑制して液体ヘリウム等の冷媒の消費を
抑えることにより長期間連続運転を可能にする超電導コ
イル励磁方法と超電導ウィグラに関する。
器リング等に挿入されて放射光を発生させる超電導ウィ
グラの超電導コイル群を励磁する方法およびその方法を
用いた超電導ウィグラに関し、特に外部から超電導コイ
ルへの熱伝導を抑制して液体ヘリウム等の冷媒の消費を
抑えることにより長期間連続運転を可能にする超電導コ
イル励磁方法と超電導ウィグラに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子ビーム用加速器リング等を走
行する電子ビームにその走行方向に波状に分布する磁場
を印加し蛇行させて放射光を発生させる装置として、強
い磁場を発生することができる超電導コイルを用いた超
電導ウィグラが使用されるようになってきた。超電導ウ
ィグラは、一般に、放射光を発生させるための中央マグ
ネットと電子軌道を調整して元の軌道に戻すためのサイ
ドマグネットから構成されるが、超電導コイルの超電導
性を維持するためクライオスタットに収納して極低温度
に冷却する必要がある。
行する電子ビームにその走行方向に波状に分布する磁場
を印加し蛇行させて放射光を発生させる装置として、強
い磁場を発生することができる超電導コイルを用いた超
電導ウィグラが使用されるようになってきた。超電導ウ
ィグラは、一般に、放射光を発生させるための中央マグ
ネットと電子軌道を調整して元の軌道に戻すためのサイ
ドマグネットから構成されるが、超電導コイルの超電導
性を維持するためクライオスタットに収納して極低温度
に冷却する必要がある。
【0003】超電導コイルの励磁手段は、専用の直流電
源から電流の供給を受けて、装置外の通電ブスバーから
装置内の電流リードを介してコイルに通電する手法が主
流である。電流リード構造には、たとえば、冷却ガスシ
ールド型電流リードを極低温冷媒槽に挿入して超電導コ
イルと接続するものがある。この冷却ガスシールド型電
流リードは例えば液体ヘリウムなどの冷媒の蒸発ガスで
ジュール熱を冷却することにより熱伝導を抑制する方式
であるが、数W程度の残余熱があるため冷媒の蒸発によ
る消費が避けられない。
源から電流の供給を受けて、装置外の通電ブスバーから
装置内の電流リードを介してコイルに通電する手法が主
流である。電流リード構造には、たとえば、冷却ガスシ
ールド型電流リードを極低温冷媒槽に挿入して超電導コ
イルと接続するものがある。この冷却ガスシールド型電
流リードは例えば液体ヘリウムなどの冷媒の蒸発ガスで
ジュール熱を冷却することにより熱伝導を抑制する方式
であるが、数W程度の残余熱があるため冷媒の蒸発によ
る消費が避けられない。
【0004】また、冷却ガスシールド型電流リードに代
わって、近年実用化された高温超電導電流リードを使用
する例が増えつつある。高温超電導電流リードは、図1
0に示すように、液体ヘリウム槽に浸漬している超電導
コイルに繋がる超電導リードに高温超電導電流リードの
下端を接続し、小型冷凍機で冷却した冷却板を高温超電
導電流リードの上端に絶縁層を介して接続して冷却する
ことにより電流リードを超電導状態に維持できるように
設備する。高温超電導電流リードの上端には編組銅線を
接続し、編組導線はクライオスタットの外壁部に設けた
外部端子を経由して外部に設置された励磁用直流電源に
接続される。このようにして形成された電気回路を通っ
て励磁電流を超電導コイルに供給する。なお、冷凍機に
よる冷却の代わりに液体窒素タンクを用いる方法もあ
る。高温超電導電流リードを使用する場合、ジュール熱
は発生せず、上端の冷凍機で冷却される部分と下端の液
体ヘリウムのような極低温冷媒で冷却される部分の間の
熱伝導もリード1本当たり0.lWと、冷却ガスシール
ド型電流リードに比べると極低温冷媒への熱侵入の間題
が大幅に改善されている。
わって、近年実用化された高温超電導電流リードを使用
する例が増えつつある。高温超電導電流リードは、図1
0に示すように、液体ヘリウム槽に浸漬している超電導
コイルに繋がる超電導リードに高温超電導電流リードの
下端を接続し、小型冷凍機で冷却した冷却板を高温超電
導電流リードの上端に絶縁層を介して接続して冷却する
ことにより電流リードを超電導状態に維持できるように
設備する。高温超電導電流リードの上端には編組銅線を
接続し、編組導線はクライオスタットの外壁部に設けた
外部端子を経由して外部に設置された励磁用直流電源に
接続される。このようにして形成された電気回路を通っ
て励磁電流を超電導コイルに供給する。なお、冷凍機に
よる冷却の代わりに液体窒素タンクを用いる方法もあ
る。高温超電導電流リードを使用する場合、ジュール熱
は発生せず、上端の冷凍機で冷却される部分と下端の液
体ヘリウムのような極低温冷媒で冷却される部分の間の
熱伝導もリード1本当たり0.lWと、冷却ガスシール
ド型電流リードに比べると極低温冷媒への熱侵入の間題
が大幅に改善されている。
【0005】ところで、超電導ウィグラで放射光を発生
する方法では、電子ビーム軌道の位置を維持するため、
数個の超電導コイル群を相互の整合を計って同時進行的
に励磁する必要があり、コイル個数の2倍個の電流リー
ドをクライオスタット内の超電導コイルに接続しておか
なければならない。その数が多いほど電流リードからの
伝導熱、またはジュール熱が増大し、これによる冷媒、
たとえば液体ヘリウムの蒸発が大きくなる。このため、
冷却ガスシールド型電流リードを使用する場合は、電流
リードからだけでも冷媒へ10〜20Wの入熱となり、
冷媒の蒸発が多いため冷媒を補給せずに長期間の運転を
することができない。また、熱条件がより改善された高
温超電導電流リードを使用する場合でも0.5〜1Wの
伝導熱があり、長期間冷媒無補給運転にはまだ不満があ
る。
する方法では、電子ビーム軌道の位置を維持するため、
数個の超電導コイル群を相互の整合を計って同時進行的
に励磁する必要があり、コイル個数の2倍個の電流リー
ドをクライオスタット内の超電導コイルに接続しておか
なければならない。その数が多いほど電流リードからの
伝導熱、またはジュール熱が増大し、これによる冷媒、
たとえば液体ヘリウムの蒸発が大きくなる。このため、
冷却ガスシールド型電流リードを使用する場合は、電流
リードからだけでも冷媒へ10〜20Wの入熱となり、
冷媒の蒸発が多いため冷媒を補給せずに長期間の運転を
することができない。また、熱条件がより改善された高
温超電導電流リードを使用する場合でも0.5〜1Wの
伝導熱があり、長期間冷媒無補給運転にはまだ不満があ
る。
【0006】さらに、これらの励磁方法では外部に専用
の励磁用大型直流電源を設置する必要がある。また、従
来の励磁用直流電源装置は出力電流を段階的な切換によ
り制御するため、必要とする磁場変化に適合する電流調
整を行うことが難しく、設計上の上限レベルをオーバシ
ュートしてしまったり、電子ビームが安定する磁場レベ
ルに合致する値が得られない時には目標値を挟んで出力
電流が往来するような動きを用いなければならない場合
が生ずる。
の励磁用大型直流電源を設置する必要がある。また、従
来の励磁用直流電源装置は出力電流を段階的な切換によ
り制御するため、必要とする磁場変化に適合する電流調
整を行うことが難しく、設計上の上限レベルをオーバシ
ュートしてしまったり、電子ビームが安定する磁場レベ
ルに合致する値が得られない時には目標値を挟んで出力
電流が往来するような動きを用いなければならない場合
が生ずる。
【0007】このような励磁用直流電源を用いない励磁
方法として、最近注目されているものにフラックスポン
プによる励磁がある。フラックスポンプ使用の場合、大
電流電源は不要となり、モーターの回転制御を行う小型
電源があれば超電導コイルにエネルギーを供給すること
ができる。また、モータの回転により発生電流値を連続
的に制御することができる上、減磁することも可能であ
るので、電子ビーム安定磁場レベルに軟着陸するように
調整した磁場の変化パターンを得ることができる。
方法として、最近注目されているものにフラックスポン
プによる励磁がある。フラックスポンプ使用の場合、大
電流電源は不要となり、モーターの回転制御を行う小型
電源があれば超電導コイルにエネルギーを供給すること
ができる。また、モータの回転により発生電流値を連続
的に制御することができる上、減磁することも可能であ
るので、電子ビーム安定磁場レベルに軟着陸するように
調整した磁場の変化パターンを得ることができる。
【0008】フラックスポンプの主要形式は移動磁界型
と整流型に大別されるが、超電導コイルの励磁に使用す
る目的に対しては、現状では移動磁界型フラックスポン
プがより適当である。フラックスポンプは、超電導回路
または超電導体内には磁束は侵入できないが、超電導回
路内の超電導状態が破れて常電導領域が生じた部分に磁
束が侵入した後この部分が再び超電導状態に復帰する
と、一旦侵入した磁束は回路内にトラップされたままに
なるという性質を利用するものである。
と整流型に大別されるが、超電導コイルの励磁に使用す
る目的に対しては、現状では移動磁界型フラックスポン
プがより適当である。フラックスポンプは、超電導回路
または超電導体内には磁束は侵入できないが、超電導回
路内の超電導状態が破れて常電導領域が生じた部分に磁
束が侵入した後この部分が再び超電導状態に復帰する
と、一旦侵入した磁束は回路内にトラップされたままに
なるという性質を利用するものである。
【0009】移動磁界型フラックスポンプは発電型フラ
ックスポンプとも呼ばれており、超電導回路の一部をな
す超電導板に永久磁石等による磁界をあててその部分に
常電導領域をつくり、磁石を移動させることにより常電
導域を移動させて、その周囲に渦電流を発生させる。常
電導領域が超電導状態に戻るとそこに発生していた渦電
流が超電導回路内の電流に加算されて取り込まれる。こ
のようにして超電導板内に集積した渦電流を超電導接続
線を介して超電導コイルに通電するものである。侵入さ
せた磁束に対応する電流を磁界移動毎に回路内に蓄積し
て積み上げることからフラックスポンプと呼ばれる。な
お、磁石が移動しなければ、単に磁束が侵入しただけで
渦電流が発生しないので回路内に電流は発生しない。ま
た、減磁の場合には、磁石移動方向を逆転させれば渦電
流の方向が逆転して電流減となり超電導コイルを減磁す
ることができる。このように、フラックスポンプは、界
磁巻線や電機子巻線を超電導化したいわゆる超電導発電
機と異なり、本質的に超電導現象を利用する発電機であ
る。
ックスポンプとも呼ばれており、超電導回路の一部をな
す超電導板に永久磁石等による磁界をあててその部分に
常電導領域をつくり、磁石を移動させることにより常電
導域を移動させて、その周囲に渦電流を発生させる。常
電導領域が超電導状態に戻るとそこに発生していた渦電
流が超電導回路内の電流に加算されて取り込まれる。こ
のようにして超電導板内に集積した渦電流を超電導接続
線を介して超電導コイルに通電するものである。侵入さ
せた磁束に対応する電流を磁界移動毎に回路内に蓄積し
て積み上げることからフラックスポンプと呼ばれる。な
お、磁石が移動しなければ、単に磁束が侵入しただけで
渦電流が発生しないので回路内に電流は発生しない。ま
た、減磁の場合には、磁石移動方向を逆転させれば渦電
流の方向が逆転して電流減となり超電導コイルを減磁す
ることができる。このように、フラックスポンプは、界
磁巻線や電機子巻線を超電導化したいわゆる超電導発電
機と異なり、本質的に超電導現象を利用する発電機であ
る。
【0010】図12は代表的な移動磁界型フラックスポ
ンプであるボルガー(Volger)型フラックスポンプの動
作原理を示す図面である。ボルガー型フラックスポンプ
は、超電導ディスクに磁束を侵入させる永久磁石を直線
移動させる代わりに、回転軸に設けた腕の先に取り付け
て、例えば6〜1200rpm程度など所要の励磁速度
に見合った回転数で回転し、永久磁石がディスクの中心
を中心とする所定の半径を有する円軌道を周回する。す
ると腕が1回転する度に所定の磁束が閉じ込められて、
この閉じ込められた磁束に対応する電流が超電導コイル
が繋がっている超電導回路中を流れる電流に加算され
る。したがって、超電導コイルを流れる電流の増加量は
腕の回転速度に比例し、また回転方向を逆転させると電
流が減少する。このように、フラックスポンプを用いた
超電導コイルの励磁は連続的な制御が可能である。
ンプであるボルガー(Volger)型フラックスポンプの動
作原理を示す図面である。ボルガー型フラックスポンプ
は、超電導ディスクに磁束を侵入させる永久磁石を直線
移動させる代わりに、回転軸に設けた腕の先に取り付け
て、例えば6〜1200rpm程度など所要の励磁速度
に見合った回転数で回転し、永久磁石がディスクの中心
を中心とする所定の半径を有する円軌道を周回する。す
ると腕が1回転する度に所定の磁束が閉じ込められて、
この閉じ込められた磁束に対応する電流が超電導コイル
が繋がっている超電導回路中を流れる電流に加算され
る。したがって、超電導コイルを流れる電流の増加量は
腕の回転速度に比例し、また回転方向を逆転させると電
流が減少する。このように、フラックスポンプを用いた
超電導コイルの励磁は連続的な制御が可能である。
【0011】移動磁界型フラックスポンプには、さらに
アサートン(Atherton)型フラックスポンプがある。ア
サートン型フラックスポンプは、超電導板を円筒状にし
て、その周囲を複数の永久磁石が回転するような構造を
持っている。超電導円筒板は連続な一枚板である場合も
あり、またスリットを有する場合もある。このフラック
スポンプは前記の超電導板上を永久磁石が並進すること
により渦電流を閉じ込める形式のフラックスポンプを永
久磁石の数だけ並列に接続したものと考えてよい。
アサートン(Atherton)型フラックスポンプがある。ア
サートン型フラックスポンプは、超電導板を円筒状にし
て、その周囲を複数の永久磁石が回転するような構造を
持っている。超電導円筒板は連続な一枚板である場合も
あり、またスリットを有する場合もある。このフラック
スポンプは前記の超電導板上を永久磁石が並進すること
により渦電流を閉じ込める形式のフラックスポンプを永
久磁石の数だけ並列に接続したものと考えてよい。
【0012】また、ビーレン(Beelen)型フラックスポ
ンプも知られている。ビーレン型フラックスポンプはU
字型の電磁石または永久磁石の円弧状内面に超電導板を
貼着固定し、円弧状磁石の内側に軸に直交する板状の軟
鉄製ロータが挿入されていて同心軸の周りに回転する。
磁石は固定されており、ロータが対向する磁石の間にく
ると対向磁極間に磁気回路を形成するとともに超電導板
の対応部分を常電導化する。したがってロータが回転す
ることによって常電導領域が磁束と共に移動して超電導
板に渦電流が発生する。
ンプも知られている。ビーレン型フラックスポンプはU
字型の電磁石または永久磁石の円弧状内面に超電導板を
貼着固定し、円弧状磁石の内側に軸に直交する板状の軟
鉄製ロータが挿入されていて同心軸の周りに回転する。
磁石は固定されており、ロータが対向する磁石の間にく
ると対向磁極間に磁気回路を形成するとともに超電導板
の対応部分を常電導化する。したがってロータが回転す
ることによって常電導領域が磁束と共に移動して超電導
板に渦電流が発生する。
【0013】図11はフラックスポンプによる超電導コ
イルの励磁方法を示す図面である。フラックスポンプの
発電部分は液体ヘリウム中に浸漬されており、回転軸を
回転させるモータがクライオスタット外部の常温部に設
置され、回転運動を伝える回転伝導系が常温部から液体
ヘリウム域まで貫通して設置されている。フラックスポ
ンプは本質的に超電導を必要とする発電方式であるの
で、励磁の際にジュール熱が発生することはないが、回
転伝導系が常温部から液体ヘリウム槽に熱を伝達するの
で、特別の工夫なしには冷媒の蒸発を抑えることができ
ない。
イルの励磁方法を示す図面である。フラックスポンプの
発電部分は液体ヘリウム中に浸漬されており、回転軸を
回転させるモータがクライオスタット外部の常温部に設
置され、回転運動を伝える回転伝導系が常温部から液体
ヘリウム域まで貫通して設置されている。フラックスポ
ンプは本質的に超電導を必要とする発電方式であるの
で、励磁の際にジュール熱が発生することはないが、回
転伝導系が常温部から液体ヘリウム槽に熱を伝達するの
で、特別の工夫なしには冷媒の蒸発を抑えることができ
ない。
【0014】このように、フラックスポンプを用いる方
法を含めた従来の超電導ウィグラ励磁方法では、超電導
コイルを励磁する際に、熱の良導体でもある電流リード
や回転伝導系を介して超電導コイルに熱伝達してクライ
オスタット内の冷媒を蒸発させるので、頻繁に冷媒を補
給しながら運転する必要がある。そこで冷媒の補給間隔
を延ばして長期連続運転を可能にするためには電流リー
ド等を介する熱伝導をできるだけ抑えるようにしなけれ
ばならない。このための工夫が電導ウィグラのクライオ
スタットの断熱構造を複雑にしウィグラを大型にする大
きな要因となる。
法を含めた従来の超電導ウィグラ励磁方法では、超電導
コイルを励磁する際に、熱の良導体でもある電流リード
や回転伝導系を介して超電導コイルに熱伝達してクライ
オスタット内の冷媒を蒸発させるので、頻繁に冷媒を補
給しながら運転する必要がある。そこで冷媒の補給間隔
を延ばして長期連続運転を可能にするためには電流リー
ド等を介する熱伝導をできるだけ抑えるようにしなけれ
ばならない。このための工夫が電導ウィグラのクライオ
スタットの断熱構造を複雑にしウィグラを大型にする大
きな要因となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、大規模な電源装置を用いず装置全
体をコンパクト化することができる超電導ウィグラの励
磁方法とその方法を使用した超電導ウィグラを提供する
ところにある。また、超電導コイルへの励磁速度を連続
的に変化させることができる超電導ウィグラを提供す
る。さらに、本発明が解決しようとする別の課題は、ク
ライオスタット内の冷媒の蒸発を抑えて長期の連続運転
を可能とする超電導ウィグラ励磁方法とその方法を使用
した超電導ウィグラを提供するところにある。
しようとする課題は、大規模な電源装置を用いず装置全
体をコンパクト化することができる超電導ウィグラの励
磁方法とその方法を使用した超電導ウィグラを提供する
ところにある。また、超電導コイルへの励磁速度を連続
的に変化させることができる超電導ウィグラを提供す
る。さらに、本発明が解決しようとする別の課題は、ク
ライオスタット内の冷媒の蒸発を抑えて長期の連続運転
を可能とする超電導ウィグラ励磁方法とその方法を使用
した超電導ウィグラを提供するところにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る超電導ウィグラ励磁方法は、超電導デ
ィスク部をクライオスタットの極低温冷媒槽内に設置し
磁石ロータ部を槽外に設置した移動磁界型フラックスポ
ンプを備え、磁石ロータを回転させることにより超電導
回路内に磁束積み上げを行って、超電導ディスクに接続
された超電導コイルを励磁することを特徴とする。ま
た、磁石ロータ部の磁石ロータが水平腕を備え両端部に
極性の異なる向きに永久磁石を固定して回転することが
好ましい。
め、本発明に係る超電導ウィグラ励磁方法は、超電導デ
ィスク部をクライオスタットの極低温冷媒槽内に設置し
磁石ロータ部を槽外に設置した移動磁界型フラックスポ
ンプを備え、磁石ロータを回転させることにより超電導
回路内に磁束積み上げを行って、超電導ディスクに接続
された超電導コイルを励磁することを特徴とする。ま
た、磁石ロータ部の磁石ロータが水平腕を備え両端部に
極性の異なる向きに永久磁石を固定して回転することが
好ましい。
【0017】さらに、水平腕の永久磁石の間に鉄心を設
け、かつ超電導ディスク部にも超電導ディスクの内側に
絶縁体を介して鉄心を当接して、永久磁石が対向する位
置にくると磁気回路が閉成されるように構成することが
好ましい。また、磁石ロータを回転させる回転軸の中間
に非接触磁気継手を挿入して熱伝導を抑制し、非接触磁
気継手を冷凍機で冷却するようにすることができる。さ
らに、予め磁石ロータ回転軸を軸方向に並進させて、磁
石ロータを極低温冷媒槽表面に接触させて冷却し、かつ
励磁開始直前に極低温冷媒槽表面から離して回転させる
ことができるようにすることができる。
け、かつ超電導ディスク部にも超電導ディスクの内側に
絶縁体を介して鉄心を当接して、永久磁石が対向する位
置にくると磁気回路が閉成されるように構成することが
好ましい。また、磁石ロータを回転させる回転軸の中間
に非接触磁気継手を挿入して熱伝導を抑制し、非接触磁
気継手を冷凍機で冷却するようにすることができる。さ
らに、予め磁石ロータ回転軸を軸方向に並進させて、磁
石ロータを極低温冷媒槽表面に接触させて冷却し、かつ
励磁開始直前に極低温冷媒槽表面から離して回転させる
ことができるようにすることができる。
【0018】また、上記課題を解決するため、本発明に
係る超電導ウィグラは、超電導ディスク部を極低温冷媒
槽内に設置し磁石ロータ部を槽外に設置したフラックス
ポンプを備え、超電導ディスクに超電導コイルを接続し
たことを特徴とする。さらに、磁石ロータが両端部に極
性の異なる向きに永久磁石を固定しその永久磁石の間に
鉄心を設けた水平腕を備え、かつ超電導ディスク部が超
電導ディスクの内側に絶縁体を介して当接する鉄心を備
えるようにしてもよい。なお、磁石ロータを回転させる
回転軸の中間に非接触磁気継手を備え、非接触磁気継手
を冷却する冷凍機を備え、さらに磁石ロータ回転軸の常
温側端部に回転軸を軸方向に並進させる手段を備えるこ
とが好ましい。
係る超電導ウィグラは、超電導ディスク部を極低温冷媒
槽内に設置し磁石ロータ部を槽外に設置したフラックス
ポンプを備え、超電導ディスクに超電導コイルを接続し
たことを特徴とする。さらに、磁石ロータが両端部に極
性の異なる向きに永久磁石を固定しその永久磁石の間に
鉄心を設けた水平腕を備え、かつ超電導ディスク部が超
電導ディスクの内側に絶縁体を介して当接する鉄心を備
えるようにしてもよい。なお、磁石ロータを回転させる
回転軸の中間に非接触磁気継手を備え、非接触磁気継手
を冷却する冷凍機を備え、さらに磁石ロータ回転軸の常
温側端部に回転軸を軸方向に並進させる手段を備えるこ
とが好ましい。
【0019】本発明に係る超電導ウィグラ励磁方法によ
れば、超電導コイルの励磁を装置内に組み込まれたフラ
ックスポンプにより行うから、装置外の超電導用直流電
源からウイグラー装置内の電流リード等を介して電流供
給を受けて励磁する従来の励磁方法と比較して、動力と
しては装置外に設ける励磁用の大容量直流電源の代わり
にフラックスポンプの磁石ロータを回転制御するモータ
を備えればよく、また直流電源装置と超電導コイルの間
を繋ぐ通電ケーブルが不要になるので、超電導ウイグラ
ーのシステム全体をコンパクト化することができる。ま
た、ウイグラー装置内で大きなジュール熱と伝導熱の発
生源となる電流リードがなくなるので、超電導コイルを
冷却する液体ヘリウムなどの冷媒の蒸発を低減して、運
転時間の長期化を図ることができる。
れば、超電導コイルの励磁を装置内に組み込まれたフラ
ックスポンプにより行うから、装置外の超電導用直流電
源からウイグラー装置内の電流リード等を介して電流供
給を受けて励磁する従来の励磁方法と比較して、動力と
しては装置外に設ける励磁用の大容量直流電源の代わり
にフラックスポンプの磁石ロータを回転制御するモータ
を備えればよく、また直流電源装置と超電導コイルの間
を繋ぐ通電ケーブルが不要になるので、超電導ウイグラ
ーのシステム全体をコンパクト化することができる。ま
た、ウイグラー装置内で大きなジュール熱と伝導熱の発
生源となる電流リードがなくなるので、超電導コイルを
冷却する液体ヘリウムなどの冷媒の蒸発を低減して、運
転時間の長期化を図ることができる。
【0020】さらに、本発明の励磁方法では、フラック
スポンプの超電導ディスク部を極低温冷媒槽内に設置し
磁石ロータ部を槽外の断熱真空空間に設置するから、磁
束供給源である永久磁石を含む回転駆動部分と超電導と
常電導が混在する超電導ディスクの静止部分が槽壁を挟
んで磁気結合しながら機械的に分離し非接触であるの
で、フラックスポンプの回転伝導系を介して液体ヘリウ
ム槽に伝導する熱を減少させることができる。
スポンプの超電導ディスク部を極低温冷媒槽内に設置し
磁石ロータ部を槽外の断熱真空空間に設置するから、磁
束供給源である永久磁石を含む回転駆動部分と超電導と
常電導が混在する超電導ディスクの静止部分が槽壁を挟
んで磁気結合しながら機械的に分離し非接触であるの
で、フラックスポンプの回転伝導系を介して液体ヘリウ
ム槽に伝導する熱を減少させることができる。
【0021】また、従来の超電導用直流電源による励磁
方法では超電導コイルへの励磁速度は段階的にしか変更
できないのに対して、フラックスポンプの励磁速度は磁
石ロータの回転速度に比例する。しかも回転方向を変更
することにより電流を増減することができる。このため
磁石ロータの回転に高精度に速度制御が可能なサーボモ
ータ等を使用するなどして、超電導コイル群への励磁速
度を連続的にかつ磁場増減の両方向に変化させることが
でき、しかもこれらの微調整が可能になる。従来方法で
は超電導ウイグラーの励磁状態を段階的に変化させる過
程で電子ビームが本来の位置から外れてしまい元に戻す
ために苦労するなど電子ビームの安定性に悪影響があっ
たが、本発明の励磁方法では連続的に追従できることか
らこのような不具合が大幅に低減する。
方法では超電導コイルへの励磁速度は段階的にしか変更
できないのに対して、フラックスポンプの励磁速度は磁
石ロータの回転速度に比例する。しかも回転方向を変更
することにより電流を増減することができる。このため
磁石ロータの回転に高精度に速度制御が可能なサーボモ
ータ等を使用するなどして、超電導コイル群への励磁速
度を連続的にかつ磁場増減の両方向に変化させることが
でき、しかもこれらの微調整が可能になる。従来方法で
は超電導ウイグラーの励磁状態を段階的に変化させる過
程で電子ビームが本来の位置から外れてしまい元に戻す
ために苦労するなど電子ビームの安定性に悪影響があっ
たが、本発明の励磁方法では連続的に追従できることか
らこのような不具合が大幅に低減する。
【0022】また、磁石ロータが両端部に極性の異なる
向きに1対の永久磁石を固定した水平腕を回転させるよ
うにした場合は、超電導板に対して反対方向の同じ密度
の磁束が反対方向に移動するため超電導板に誘起される
渦電流が、1個の永久磁石を備えた片腕が回転するボル
ガー型フラックスポンプと比較して2倍になり、超電導
ディスク側の超電導回路にトラップされる磁束を2倍に
することができる。すなわち、本発明の方式は従来のボ
ルガー型フラックスポンプを直列に2段配置する場合と
等価になる。
向きに1対の永久磁石を固定した水平腕を回転させるよ
うにした場合は、超電導板に対して反対方向の同じ密度
の磁束が反対方向に移動するため超電導板に誘起される
渦電流が、1個の永久磁石を備えた片腕が回転するボル
ガー型フラックスポンプと比較して2倍になり、超電導
ディスク側の超電導回路にトラップされる磁束を2倍に
することができる。すなわち、本発明の方式は従来のボ
ルガー型フラックスポンプを直列に2段配置する場合と
等価になる。
【0023】さらに、水平腕の永久磁石の間に鉄心を設
け、超電導ディスク部の側にも超電導ディスクの内側に
絶縁体を介して鉄心を当接して固定配置した場合は、永
久磁石が刻々回転し超電導ディスク側の鉄心と対向する
位置に来たときに常電導領域が形成され磁気回路が閉成
される。このとき、永久磁石と鉄心に挟まれた極低温冷
媒槽壁の部分からの漏洩磁束が最小になるので、超電導
回路にトラップされる磁束を確保しこれを増強して、ピ
ーク電流を得ることができる。なお、磁石ローターが超
電導ディスク側の鉄心の対向位置からはずれた場合に
も、磁石による磁界が超電導ディスクの臨界磁界よりも
大きければ、常電導域が形成されるので、ピーク時より
も小さいながらも電流を得ることができる。このように
して超電導コイルの励磁速度を向上させることができ
る。
け、超電導ディスク部の側にも超電導ディスクの内側に
絶縁体を介して鉄心を当接して固定配置した場合は、永
久磁石が刻々回転し超電導ディスク側の鉄心と対向する
位置に来たときに常電導領域が形成され磁気回路が閉成
される。このとき、永久磁石と鉄心に挟まれた極低温冷
媒槽壁の部分からの漏洩磁束が最小になるので、超電導
回路にトラップされる磁束を確保しこれを増強して、ピ
ーク電流を得ることができる。なお、磁石ローターが超
電導ディスク側の鉄心の対向位置からはずれた場合に
も、磁石による磁界が超電導ディスクの臨界磁界よりも
大きければ、常電導域が形成されるので、ピーク時より
も小さいながらも電流を得ることができる。このように
して超電導コイルの励磁速度を向上させることができ
る。
【0024】また、磁石ロータの回転軸の中間に相対向
する永久磁石からなる非接触磁気継手を挿入し、非接触
磁気継手を冷凍機で冷却するようにすると、回転軸を介
する常温部から低温部に伝導する熱流を磁気継手の位置
で遮断し、また回転軸を保護し支持するサポートコラム
の磁気継手位置を冷却して常温部からの熱伝導を相殺す
ることにより、フラックスポンプからの液体ヘリウム槽
への最終入熱を輻射熱のみとして極低温冷媒の蒸発を抑
制することができる。サポートコラムが上下方向の運動
を行えるようにする場合は、フレキシブル式の銅サーマ
ルアンカを介して小型冷凍機の各冷凍ステージで冷却す
るようにすることが好ましい。さらに、磁石ロータ回転
軸を軸方向に並進させるようにしたものは、初めに磁石
ロータを極低温冷媒槽の表面に接触させて十分冷却した
上で、極低温冷媒槽表面から適正な間隔を保持するよう
に引き離してフラックスポンプを運転することにより、
回転軸の磁石ロータ側から超電導回路側に伝達する輻射
熱を抑えることができる。
する永久磁石からなる非接触磁気継手を挿入し、非接触
磁気継手を冷凍機で冷却するようにすると、回転軸を介
する常温部から低温部に伝導する熱流を磁気継手の位置
で遮断し、また回転軸を保護し支持するサポートコラム
の磁気継手位置を冷却して常温部からの熱伝導を相殺す
ることにより、フラックスポンプからの液体ヘリウム槽
への最終入熱を輻射熱のみとして極低温冷媒の蒸発を抑
制することができる。サポートコラムが上下方向の運動
を行えるようにする場合は、フレキシブル式の銅サーマ
ルアンカを介して小型冷凍機の各冷凍ステージで冷却す
るようにすることが好ましい。さらに、磁石ロータ回転
軸を軸方向に並進させるようにしたものは、初めに磁石
ロータを極低温冷媒槽の表面に接触させて十分冷却した
上で、極低温冷媒槽表面から適正な間隔を保持するよう
に引き離してフラックスポンプを運転することにより、
回転軸の磁石ロータ側から超電導回路側に伝達する輻射
熱を抑えることができる。
【0025】また、本発明に係る超電導ウィグラによれ
ば、超電導ディスク部を極低温冷媒槽内に設置し磁石ロ
ータ部を槽外に設置したフラックスポンプを備え、超電
導ディスクに超電導コイルを接続しているから、従来の
ような大電流直流電源によらず、磁石ロータ部を回転さ
せるだけの容量を有するサーボモータ等により精密に超
電導コイルの励磁制御を行うことができる。また、直流
電源と超電導コイルをつなぐ通電ケーブルが不要とな
り、熱伝導を抑制してクライオスタットの構造を簡易に
することができるので、ウイグラー装置全体がコンパク
ト化される。
ば、超電導ディスク部を極低温冷媒槽内に設置し磁石ロ
ータ部を槽外に設置したフラックスポンプを備え、超電
導ディスクに超電導コイルを接続しているから、従来の
ような大電流直流電源によらず、磁石ロータ部を回転さ
せるだけの容量を有するサーボモータ等により精密に超
電導コイルの励磁制御を行うことができる。また、直流
電源と超電導コイルをつなぐ通電ケーブルが不要とな
り、熱伝導を抑制してクライオスタットの構造を簡易に
することができるので、ウイグラー装置全体がコンパク
ト化される。
【0026】さらに、極性が異なる向きに1対の永久磁
石を水平腕の両端に固定しその永久磁石の間に鉄心を設
けた磁石ロータと、対向する超電導ディスクの内側に鉄
心を備えたフラックスポンプは、永久磁石が回転し超電
導ディスク側の鉄心と対向する位置に来たときにその部
分を常電導化しかつ磁気回路が閉成されて、極低温冷媒
槽壁の部分からの漏洩磁束が小さくなるので、超電導コ
イルの励磁速度を向上させることができる。
石を水平腕の両端に固定しその永久磁石の間に鉄心を設
けた磁石ロータと、対向する超電導ディスクの内側に鉄
心を備えたフラックスポンプは、永久磁石が回転し超電
導ディスク側の鉄心と対向する位置に来たときにその部
分を常電導化しかつ磁気回路が閉成されて、極低温冷媒
槽壁の部分からの漏洩磁束が小さくなるので、超電導コ
イルの励磁速度を向上させることができる。
【0027】なお、磁石ロータ部の回転軸の中間に非接
触磁気継手を備え、冷凍機で非接触磁気継手を冷却する
ようにし、さらに磁石ロータ回転軸を軸方向に並進させ
る手段を備えたものは、回転軸を伝導する熱が途中で遮
断される上、冷凍機により適当な低温まで冷却され、さ
らに運転開始前にロータ部を液体ヘリウム等の極低温冷
媒により十分冷却することができるため、外部の常温領
域から伝達する熱が極めて小さくなる。このため、冷媒
補給をしなくても長期間の連続運転が可能になる。
触磁気継手を備え、冷凍機で非接触磁気継手を冷却する
ようにし、さらに磁石ロータ回転軸を軸方向に並進させ
る手段を備えたものは、回転軸を伝導する熱が途中で遮
断される上、冷凍機により適当な低温まで冷却され、さ
らに運転開始前にロータ部を液体ヘリウム等の極低温冷
媒により十分冷却することができるため、外部の常温領
域から伝達する熱が極めて小さくなる。このため、冷媒
補給をしなくても長期間の連続運転が可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面に表した実施例によっ
て本発明に係る超電導ウィグラ励磁方法とこれを用いる
超電導ウィグラについて詳細に説明する。図1は、本発
明の1実施例である磁気継手とフラックスポンプからな
る超電導ウィグラの励磁手段を表す断面図、図2は本実
施例における励磁部分の作動状態を示す斜視図、図3は
本実施例の操作状態を示す線図である。
て本発明に係る超電導ウィグラ励磁方法とこれを用いる
超電導ウィグラについて詳細に説明する。図1は、本発
明の1実施例である磁気継手とフラックスポンプからな
る超電導ウィグラの励磁手段を表す断面図、図2は本実
施例における励磁部分の作動状態を示す斜視図、図3は
本実施例の操作状態を示す線図である。
【0029】図1に示した本実施例における超電導ウィ
グラの励磁に用いるフラックスポンプ1は、ボルガー型
フラックスポンプの改良型ともいえるもので、極低温冷
媒槽の隔壁部に取り付けた発電部3と、発電部内の磁石
ロータを回転させる下段回転軸5と、下段回転軸を回転
させる上段回転軸7と、クライオスタットの最外殻の常
温部に設置し上段回転軸を回転制御する回転駆動源9と
からなる。下段回転軸5は下段サポートコラム11、上
段回転軸7は上段サポートコラム13により保護されて
いる。発電部3は磁石ロータ部15と超電導ディスク部
17からなり、磁石ロータ部15を極低温冷媒槽外に、
また超電導ディスク部17を極低温冷媒槽壁19を挟ん
で極低温冷媒槽内に設置することにより、両者間を分離
し非接触化している。
グラの励磁に用いるフラックスポンプ1は、ボルガー型
フラックスポンプの改良型ともいえるもので、極低温冷
媒槽の隔壁部に取り付けた発電部3と、発電部内の磁石
ロータを回転させる下段回転軸5と、下段回転軸を回転
させる上段回転軸7と、クライオスタットの最外殻の常
温部に設置し上段回転軸を回転制御する回転駆動源9と
からなる。下段回転軸5は下段サポートコラム11、上
段回転軸7は上段サポートコラム13により保護されて
いる。発電部3は磁石ロータ部15と超電導ディスク部
17からなり、磁石ロータ部15を極低温冷媒槽外に、
また超電導ディスク部17を極低温冷媒槽壁19を挟ん
で極低温冷媒槽内に設置することにより、両者間を分離
し非接触化している。
【0030】さらに、通常はクライオスタット装置の常
温部から低温部まで連続貫通する回転軸についても、下
段回転軸5と上段回転軸7に分離し、中間位置に相対向
する永久磁石21、23からなる磁気継手25を介在さ
せて、非接触で回転を伝達するようになっている。磁気
継手25の永久磁石対は伝熱ディスク27を挟んで間隙
を有し、非接触化されることにより、回転軸を介して極
低温冷媒槽に流入する伝導熱の遮断を図っている。
温部から低温部まで連続貫通する回転軸についても、下
段回転軸5と上段回転軸7に分離し、中間位置に相対向
する永久磁石21、23からなる磁気継手25を介在さ
せて、非接触で回転を伝達するようになっている。磁気
継手25の永久磁石対は伝熱ディスク27を挟んで間隙
を有し、非接触化されることにより、回転軸を介して極
低温冷媒槽に流入する伝導熱の遮断を図っている。
【0031】また、伝熱ディスク27はフレキシブルな
銅製サーマルアンカを介して図外の冷凍機の第1段ステ
ージと繋がっていて中低温状態に保持できるようになっ
ており、上段回転軸7からの輻射熱を取り去り、かつ下
段回転軸5との温度差を小さくして輻射を減少させる作
用を有する。伝熱ディスク27はさらに、磁気継手ハウ
ジング29によりサポートコラム11、13に固定され
ていて常温部分からの伝導熱を除去し、極低温部分への
伝導熱を抑制する。上段回転軸7は上端で軸封継手31
により気密状態で支持され、軸封継手31はベローズ3
3を介してクライオスタット外槽35に支持されてい
る。軸封継手31と外槽35との間隔は位置調整ねじ3
7により調整して固定することができる。位置調整ねじ
37を調整することにより、フラックスポンプ1内で極
低温冷媒槽の外側にある部分全体が並進して上下方向に
位置調整できるようにしてある。
銅製サーマルアンカを介して図外の冷凍機の第1段ステ
ージと繋がっていて中低温状態に保持できるようになっ
ており、上段回転軸7からの輻射熱を取り去り、かつ下
段回転軸5との温度差を小さくして輻射を減少させる作
用を有する。伝熱ディスク27はさらに、磁気継手ハウ
ジング29によりサポートコラム11、13に固定され
ていて常温部分からの伝導熱を除去し、極低温部分への
伝導熱を抑制する。上段回転軸7は上端で軸封継手31
により気密状態で支持され、軸封継手31はベローズ3
3を介してクライオスタット外槽35に支持されてい
る。軸封継手31と外槽35との間隔は位置調整ねじ3
7により調整して固定することができる。位置調整ねじ
37を調整することにより、フラックスポンプ1内で極
低温冷媒槽の外側にある部分全体が並進して上下方向に
位置調整できるようにしてある。
【0032】従って、励磁前に磁石ロータ部15を極低
温冷媒槽外壁19に接触させて冷却した上で僅かに戻し
て、非接触化してから励磁運転するようにすることがで
きる。すると、運転時にロータ部から極低温冷媒槽に伝
達する輻射熱が少なくなり、入熱による冷媒の蒸発が抑
制される。なお、サポートコラム11の下端には冷凍機
の第2ステージから繋がるフレキシブル式銅サーマルア
ンカ39が取り付けられており、極めて低温度に維持さ
れていて、サポートコラム11を通じて伝導してくる熱
を除去するようになっている。このように構成すること
により、励磁源から極低温冷媒槽壁への入熱はポンプ1
台当たり数mW程度の輻射熱のみとなり、他の励磁方式
よりもはるかに入熱条件が改善されるので、長期間冷媒
無補給運転が可能となる。
温冷媒槽外壁19に接触させて冷却した上で僅かに戻し
て、非接触化してから励磁運転するようにすることがで
きる。すると、運転時にロータ部から極低温冷媒槽に伝
達する輻射熱が少なくなり、入熱による冷媒の蒸発が抑
制される。なお、サポートコラム11の下端には冷凍機
の第2ステージから繋がるフレキシブル式銅サーマルア
ンカ39が取り付けられており、極めて低温度に維持さ
れていて、サポートコラム11を通じて伝導してくる熱
を除去するようになっている。このように構成すること
により、励磁源から極低温冷媒槽壁への入熱はポンプ1
台当たり数mW程度の輻射熱のみとなり、他の励磁方式
よりもはるかに入熱条件が改善されるので、長期間冷媒
無補給運転が可能となる。
【0033】図2は本実施例におけるフラックスポンプ
1の発電部3の作用を説明する斜視図である。図1に説
明した要素と同じ機能を有するものについては同じ参照
番号を付すことにより説明を簡約化する。従来のボルガ
ー型フラックスポンプは、先に図12に示したように回
転する片腕の先端に固定した1個の永久磁石とそれに対
向する超電導ディスクからなる構造を持っていて、磁石
ロータの1回転で1回の磁束積み上げができる。
1の発電部3の作用を説明する斜視図である。図1に説
明した要素と同じ機能を有するものについては同じ参照
番号を付すことにより説明を簡約化する。従来のボルガ
ー型フラックスポンプは、先に図12に示したように回
転する片腕の先端に固定した1個の永久磁石とそれに対
向する超電導ディスクからなる構造を持っていて、磁石
ロータの1回転で1回の磁束積み上げができる。
【0034】これに対し、本発明のフラックスポンプ1
では、磁石ロータを回転させる下段回転軸5の先端に鉄
心からなる水平腕41を設け、鉄心の両端に2個の永久
磁石43、45を極性が反対になるように配置し、これ
をコの字形磁石ロータとして1枚の超電導ディスク47
に相対向させて回転させる。この時、腕先端に取り付け
られた異極同士の2個の永久磁石43、45によって超
電導ディスク47内に発生する2個の常電導域49、5
1周りの渦電流は同じ方向になるので、超電導ディスク
47に接続された超電導コイル53に流れる電流は永久
磁石が1個の場合の2倍となる。すなわち、超電導回路
は磁石ロータ回転軸5が1回転するごとに所定量の磁束
を2回積み上げることになる。なお、ここで2個の永久
磁石43、45の極性を同じにすると、超電導ディスク
47内に発生する2個の渦電流は互いに逆方向になり相
殺するので超電導コイル53側に電流が流れないことに
なり、本発明の効果を得ることができない。
では、磁石ロータを回転させる下段回転軸5の先端に鉄
心からなる水平腕41を設け、鉄心の両端に2個の永久
磁石43、45を極性が反対になるように配置し、これ
をコの字形磁石ロータとして1枚の超電導ディスク47
に相対向させて回転させる。この時、腕先端に取り付け
られた異極同士の2個の永久磁石43、45によって超
電導ディスク47内に発生する2個の常電導域49、5
1周りの渦電流は同じ方向になるので、超電導ディスク
47に接続された超電導コイル53に流れる電流は永久
磁石が1個の場合の2倍となる。すなわち、超電導回路
は磁石ロータ回転軸5が1回転するごとに所定量の磁束
を2回積み上げることになる。なお、ここで2個の永久
磁石43、45の極性を同じにすると、超電導ディスク
47内に発生する2個の渦電流は互いに逆方向になり相
殺するので超電導コイル53側に電流が流れないことに
なり、本発明の効果を得ることができない。
【0035】本実施例では、さらに、超電導ディスク4
7の内側にコの字形磁石ロータと同じ形状のコの字形鉄
心55を固定配置してある。磁石ロータが刻々回転して
固定配置されたコの字形鉄心55と対向する位置に達す
ると、コの字形磁石ロータの水平腕41とコの字形鉄心
55の間に磁気回路が形成され、漏洩磁束が最小になる
ので、ピーク電流が得られる。磁石ロータがコの字形鉄
心55からずれた位置にある場合にも、磁石による磁界
が超電導ディスクの臨界磁界よりも大きければ、超電導
ディスク47中に常電導域が形成されるので、対向位置
にある時よりも小さいながらも、渦電流を得ることがで
きる。
7の内側にコの字形磁石ロータと同じ形状のコの字形鉄
心55を固定配置してある。磁石ロータが刻々回転して
固定配置されたコの字形鉄心55と対向する位置に達す
ると、コの字形磁石ロータの水平腕41とコの字形鉄心
55の間に磁気回路が形成され、漏洩磁束が最小になる
ので、ピーク電流が得られる。磁石ロータがコの字形鉄
心55からずれた位置にある場合にも、磁石による磁界
が超電導ディスクの臨界磁界よりも大きければ、超電導
ディスク47中に常電導域が形成されるので、対向位置
にある時よりも小さいながらも、渦電流を得ることがで
きる。
【0036】このように、超電導ディスク47の内側に
コの字形鉄心55を配置することは、磁石ロータに対し
て極低温冷媒槽壁を隔てて超電導ディスク47を配置す
るようにした場合に、漏洩磁束を低減させる効果があ
る。また、フラックスポンプ1における励磁モードの変
更、すなわち増磁と減磁の切り替えは、磁石ロータの回
転方向の切り替えでできる。これは増磁過程で超電導回
路内に積み上げられた磁束を磁石ロータの回転方向の切
り替えで巻き戻すことを意味する。
コの字形鉄心55を配置することは、磁石ロータに対し
て極低温冷媒槽壁を隔てて超電導ディスク47を配置す
るようにした場合に、漏洩磁束を低減させる効果があ
る。また、フラックスポンプ1における励磁モードの変
更、すなわち増磁と減磁の切り替えは、磁石ロータの回
転方向の切り替えでできる。これは増磁過程で超電導回
路内に積み上げられた磁束を磁石ロータの回転方向の切
り替えで巻き戻すことを意味する。
【0037】また、増磁・減磁速度の変更は磁石ロータ
ーの回転速度の変更で可能である。従来の直流電源から
の超電導ウイグラーの励磁方法では、通常その増磁・減
磁速度が段階的にしか変更できないために、電子ビーム
が安定して存在する磁場域に磁場調整する操作が自由に
行えず電子ビームの安定性を損なうことが多かった。従
来の直流電源で超電導ウイグラーを励磁する方法では、
例えば、安定な電子ビームが得られる上限の磁場レベル
を目標値として励磁しているときに、その安定限界より
高い設計上の許容磁場レベルに向かって選択した所定の
速度で増磁を継続すると、ビームが安定できる磁場レベ
ルを大きく行き過ぎることが多い。その修正のために減
磁するときにもまた、段階的に存在する所定の減磁速度
を選択してビーム安定磁場に向かうことになり、今度は
下方に行き過ぎることになる。このように、何度か磁場
調整を繰り返す間に、電子ビームの安定性が損なわれて
迷走することになる。
ーの回転速度の変更で可能である。従来の直流電源から
の超電導ウイグラーの励磁方法では、通常その増磁・減
磁速度が段階的にしか変更できないために、電子ビーム
が安定して存在する磁場域に磁場調整する操作が自由に
行えず電子ビームの安定性を損なうことが多かった。従
来の直流電源で超電導ウイグラーを励磁する方法では、
例えば、安定な電子ビームが得られる上限の磁場レベル
を目標値として励磁しているときに、その安定限界より
高い設計上の許容磁場レベルに向かって選択した所定の
速度で増磁を継続すると、ビームが安定できる磁場レベ
ルを大きく行き過ぎることが多い。その修正のために減
磁するときにもまた、段階的に存在する所定の減磁速度
を選択してビーム安定磁場に向かうことになり、今度は
下方に行き過ぎることになる。このように、何度か磁場
調整を繰り返す間に、電子ビームの安定性が損なわれて
迷走することになる。
【0038】本発明ではフラックスポンプで超電導ウイ
グラーを励磁するので、磁石ロータの回転源に高精度な
速度制御が可能なサーボモータを使用することにより、
超電導コイルへの増磁・減磁速度が連続的に可変にな
り、ビーム安定磁場域への磁場調整操作が自由に微調整
できるので、電子ビームの安定性を損なうことが少なく
なる。すなわち、図3に短い点線で示すように増磁過程
でビーム安定磁場を行き過ぎても、直ちに細かな微調整
を行って実線で示すようにビーム安定磁場に戻すことが
できる。また予めビーム安定磁場レベルが知られていれ
ば、図中に長い破線で示したようにそれに向かって緩や
かに励磁速度を微調整しながらビーム安定磁場に軟着陸
できるので、電子ビームの安定性が損なわれることはな
い。なお、図は横軸に時間経過を取り、縦軸に磁場強度
を表わしたものである。
グラーを励磁するので、磁石ロータの回転源に高精度な
速度制御が可能なサーボモータを使用することにより、
超電導コイルへの増磁・減磁速度が連続的に可変にな
り、ビーム安定磁場域への磁場調整操作が自由に微調整
できるので、電子ビームの安定性を損なうことが少なく
なる。すなわち、図3に短い点線で示すように増磁過程
でビーム安定磁場を行き過ぎても、直ちに細かな微調整
を行って実線で示すようにビーム安定磁場に戻すことが
できる。また予めビーム安定磁場レベルが知られていれ
ば、図中に長い破線で示したようにそれに向かって緩や
かに励磁速度を微調整しながらビーム安定磁場に軟着陸
できるので、電子ビームの安定性が損なわれることはな
い。なお、図は横軸に時間経過を取り、縦軸に磁場強度
を表わしたものである。
【0039】
【実施例】図4は本発明の1実施例であり、図1に模式
的に示したような構造形式のフラックスポンプを2台組
み込んで超電導コイル群を励磁する超電導ウイグラーの
全体構造を示している。なお、理解を容易にするため、
同じ機能を有する構成要素については先の図面と同じ参
照番号を付して説明を簡単化する。
的に示したような構造形式のフラックスポンプを2台組
み込んで超電導コイル群を励磁する超電導ウイグラーの
全体構造を示している。なお、理解を容易にするため、
同じ機能を有する構成要素については先の図面と同じ参
照番号を付して説明を簡単化する。
【0040】超電導ウイグラー用クライオスタット61
の基本構造は、超電導コイルと鉄ヨークを収納する円筒
状の極低温冷媒槽63、その周りを囲む2段の熱シール
ド板65、さらにその最外周で断熱真空層を形成する外
槽67、熱シールド板を冷却する小型冷凍機69、およ
び外槽、極低温冷媒槽、超電導コイル群の中心を貫通す
るビームチャンバ71等から構成される。2台のフラッ
クスポンプ1は回転駆動源9を搭載する外槽常温部か
ら、発電部3が設置されている内槽低温部間を貫通し、
その中間の回転伝導系73に磁気継手25を持つ。フラ
ックスポンプ1からの伝導熱または輻射熱が極低温冷媒
槽63に対する侵入熱となることを抑制するため、フレ
キシブルサーマルアンカ75、77を介して1台の小型
冷凍機69で2台のフラックスポンプ1の回転伝導系7
3や発電部3を冷却している。
の基本構造は、超電導コイルと鉄ヨークを収納する円筒
状の極低温冷媒槽63、その周りを囲む2段の熱シール
ド板65、さらにその最外周で断熱真空層を形成する外
槽67、熱シールド板を冷却する小型冷凍機69、およ
び外槽、極低温冷媒槽、超電導コイル群の中心を貫通す
るビームチャンバ71等から構成される。2台のフラッ
クスポンプ1は回転駆動源9を搭載する外槽常温部か
ら、発電部3が設置されている内槽低温部間を貫通し、
その中間の回転伝導系73に磁気継手25を持つ。フラ
ックスポンプ1からの伝導熱または輻射熱が極低温冷媒
槽63に対する侵入熱となることを抑制するため、フレ
キシブルサーマルアンカ75、77を介して1台の小型
冷凍機69で2台のフラックスポンプ1の回転伝導系7
3や発電部3を冷却している。
【0041】本発明にかかるフラックスポンプ1はクラ
イオスタット61の外槽常温部に回転駆動源9を持ち、
図5に示すような磁気継手25をその中間に有する回転
伝導系73が断熱真空層を貫通し、低温部に図6に示す
ような発電部構造3を持っている。回転駆動源9は速度
制御が可能なサーボモータ79と、フラックスポンプ1
全体の高さ方向の位置調整と回転伝導系73のクライオ
スタット内への導入を耐真空的に可能にするためのベロ
ーズ継手33と軸封継手31から構成される。高さ方向
位置調整は、励磁前に予め発電部3の磁石ロータ15面
を極低温冷媒槽殻19に接触冷却させ、その後、磁石ロ
ータ15面を極低温冷媒槽殻19から離して適正な非接
触間隙を保持することにより、最終段輻射熱を抑えるた
めに行う。高さ方向位置調整はベローズ継手33のフラ
ンジ周りに設けた位置調整ネジおよびナット37により
行なう。
イオスタット61の外槽常温部に回転駆動源9を持ち、
図5に示すような磁気継手25をその中間に有する回転
伝導系73が断熱真空層を貫通し、低温部に図6に示す
ような発電部構造3を持っている。回転駆動源9は速度
制御が可能なサーボモータ79と、フラックスポンプ1
全体の高さ方向の位置調整と回転伝導系73のクライオ
スタット内への導入を耐真空的に可能にするためのベロ
ーズ継手33と軸封継手31から構成される。高さ方向
位置調整は、励磁前に予め発電部3の磁石ロータ15面
を極低温冷媒槽殻19に接触冷却させ、その後、磁石ロ
ータ15面を極低温冷媒槽殻19から離して適正な非接
触間隙を保持することにより、最終段輻射熱を抑えるた
めに行う。高さ方向位置調整はベローズ継手33のフラ
ンジ周りに設けた位置調整ネジおよびナット37により
行なう。
【0042】回転伝導系73は回転駆動源9と磁気継手
25間,磁気継手25と発電部3間の2段に分割されて
おり、磁石ロータ15と磁気継手25間を繁ぐ下段回転
軸5と、磁気継手25とサーボモータ79間を繁ぐ上段
回転軸7は、それぞれ下段サポートコラム11と上段サ
ポートコラム13内に収納されている。上段と下段のサ
ポートコラム11、13の各両端には軸の回転振れを抑
えて軸端間隙を保持するための軸受とそれを収納する軸
受ハウジングが装着されている。
25間,磁気継手25と発電部3間の2段に分割されて
おり、磁石ロータ15と磁気継手25間を繁ぐ下段回転
軸5と、磁気継手25とサーボモータ79間を繁ぐ上段
回転軸7は、それぞれ下段サポートコラム11と上段サ
ポートコラム13内に収納されている。上段と下段のサ
ポートコラム11、13の各両端には軸の回転振れを抑
えて軸端間隙を保持するための軸受とそれを収納する軸
受ハウジングが装着されている。
【0043】図5は上段のサポートコラム13と下段の
サポートコラム11を繋ぐ磁気継手部分25の構造を表
した断面図である。磁気継手25は、銅製の伝熱ディス
ク27を挟んで、それぞれ上段回転軸7と下段回転軸5
に繁がるハーフ継手が上下対称構造をなして非接触・磁
気結合をして、回転運動を伝達する。磁気継手25で
は、上下のハーフ継手各々に異なる極性同士の永久磁石
21、23と鉄心101、103が組み込まれて、左右
各1組の磁気回路105が上下方向に形成されて、ハー
フ継手同士の強固な磁気的結合がなされている。
サポートコラム11を繋ぐ磁気継手部分25の構造を表
した断面図である。磁気継手25は、銅製の伝熱ディス
ク27を挟んで、それぞれ上段回転軸7と下段回転軸5
に繁がるハーフ継手が上下対称構造をなして非接触・磁
気結合をして、回転運動を伝達する。磁気継手25で
は、上下のハーフ継手各々に異なる極性同士の永久磁石
21、23と鉄心101、103が組み込まれて、左右
各1組の磁気回路105が上下方向に形成されて、ハー
フ継手同士の強固な磁気的結合がなされている。
【0044】伝熱ディスク27には図中に1点鎖線で表
したように、小型冷凍機の第1段ステージに繋がったフ
レキシブルサーマルアンカ75が接続されている。な
お、磁石の吸引力による上下方向の変位や相互の接触に
よる伝導熱の貫通をなくすため、上下の軸受ハウジング
107、111にそれぞれ収められたスラスト軸受10
9、113によってハーフ継手同士の位置が両者非接触
の状態に保たれている。また、磁気継手部分25の軸芯
に貫通孔が穿たれていて発電部の温度を測定するための
シース熱電対115が貫通している。
したように、小型冷凍機の第1段ステージに繋がったフ
レキシブルサーマルアンカ75が接続されている。な
お、磁石の吸引力による上下方向の変位や相互の接触に
よる伝導熱の貫通をなくすため、上下の軸受ハウジング
107、111にそれぞれ収められたスラスト軸受10
9、113によってハーフ継手同士の位置が両者非接触
の状態に保たれている。また、磁気継手部分25の軸芯
に貫通孔が穿たれていて発電部の温度を測定するための
シース熱電対115が貫通している。
【0045】図6は本実施例に係るフラックスポンプの
発電部を示す断面図である。図7は図6におけるA部詳
細断面図、図8は図6におけるB−B矢視図である。こ
こでも、同じ機能を有する構成要素については先の図面
と同じ参照番号を付して説明を簡単化する。図6に示す
ように、発電部3の磁石ロータ部分15と超電導ディス
ク部分17は各々、極低温冷媒槽殻19を挟んで外部と
内部に分割され、僅かな断熱真空空間の間隙を隔てて対
向している。このためフラックスポンプは以下のような
発電部構造とメカニズムにより、超電導コイル群を励磁
できる。
発電部を示す断面図である。図7は図6におけるA部詳
細断面図、図8は図6におけるB−B矢視図である。こ
こでも、同じ機能を有する構成要素については先の図面
と同じ参照番号を付して説明を簡単化する。図6に示す
ように、発電部3の磁石ロータ部分15と超電導ディス
ク部分17は各々、極低温冷媒槽殻19を挟んで外部と
内部に分割され、僅かな断熱真空空間の間隙を隔てて対
向している。このためフラックスポンプは以下のような
発電部構造とメカニズムにより、超電導コイル群を励磁
できる。
【0046】磁石ロータ15では鉄心41の両端に極性
の異なる(N極とS極)2個の永久磁石43、45をコ
の字形に配置・固着し、非磁性体の回転円板131内に
埋設・固着する。回転円板131は下段回転軸5先端に
取り付けられる。一方、超電導ディスク部17では、図
6のA部を拡大して示した図7に見るように、超電導デ
ィスク47が内槽殻19内側に電気絶縁膜133を介し
て配置され、さらにその内側に電気絶縁膜135を介し
て磁石ロータと同じ形状のコの字形鉄心55が配置され
る。超電導ディスク47とコの字形鉄心55は非磁性・
電気絶縁体の取付フランジ137内に固定され、同フラ
ンジ137で極低温冷媒槽殻19内側に取り付けられ
る。
の異なる(N極とS極)2個の永久磁石43、45をコ
の字形に配置・固着し、非磁性体の回転円板131内に
埋設・固着する。回転円板131は下段回転軸5先端に
取り付けられる。一方、超電導ディスク部17では、図
6のA部を拡大して示した図7に見るように、超電導デ
ィスク47が内槽殻19内側に電気絶縁膜133を介し
て配置され、さらにその内側に電気絶縁膜135を介し
て磁石ロータと同じ形状のコの字形鉄心55が配置され
る。超電導ディスク47とコの字形鉄心55は非磁性・
電気絶縁体の取付フランジ137内に固定され、同フラ
ンジ137で極低温冷媒槽殻19内側に取り付けられ
る。
【0047】図8は超電導ディスク部17の取付フラン
ジ137に組み込んだ部分をフランジの表面から見た一
部切り欠き図である。超電導ディスク47には上下対称
位置に凹形の切り欠き139があり、それから90°シ
フトした左右対称位置で取付フランジ137の内壁14
1に沿って折り曲げられていて、その先端に超電導継手
143が設けられ、ここに図外の超電導コイル群と繋が
る超電導ワイヤ145を接続する。コの字形鉄心55は
図中横方向に配設されている。磁石ロータ15が回転
し、その永久磁石43、45の面が超電導ディスク部1
7のコの字形鉄心55の面に対向・合致した時、1組の
磁気回路147が形成されて漏洩磁束が最小になるの
で、ピーク電流が超電導コイル群へ送られる。
ジ137に組み込んだ部分をフランジの表面から見た一
部切り欠き図である。超電導ディスク47には上下対称
位置に凹形の切り欠き139があり、それから90°シ
フトした左右対称位置で取付フランジ137の内壁14
1に沿って折り曲げられていて、その先端に超電導継手
143が設けられ、ここに図外の超電導コイル群と繋が
る超電導ワイヤ145を接続する。コの字形鉄心55は
図中横方向に配設されている。磁石ロータ15が回転
し、その永久磁石43、45の面が超電導ディスク部1
7のコの字形鉄心55の面に対向・合致した時、1組の
磁気回路147が形成されて漏洩磁束が最小になるの
で、ピーク電流が超電導コイル群へ送られる。
【0048】永久磁石面がコの字形鉄心55をはずれた
場合にも、超電導ディスク47に常電導域が形成される
ため、対向・合致時よりも小さいながら励磁電流を得る
ことができる。さらに永久磁石43、45の面が超電導
ディスク47の凹形切り欠き位置139にきた時、ディ
スク面内はすべて超電導状態になり、電流は休止位相と
なり、回路全体が最も超電導的に安定な位相となる。こ
のように、磁石ロータ1回転の内に超電導コイル群へ送
られる電流はピーク値〜中間値〜ゼロと変遷する。
場合にも、超電導ディスク47に常電導域が形成される
ため、対向・合致時よりも小さいながら励磁電流を得る
ことができる。さらに永久磁石43、45の面が超電導
ディスク47の凹形切り欠き位置139にきた時、ディ
スク面内はすべて超電導状態になり、電流は休止位相と
なり、回路全体が最も超電導的に安定な位相となる。こ
のように、磁石ロータ1回転の内に超電導コイル群へ送
られる電流はピーク値〜中間値〜ゼロと変遷する。
【0049】なお、磁石ロータ部15には、磁石ロータ
面とコの字形鉄心面間の磁気回路形成による吸着を防
ぎ、超電導ディスク47と磁石ロータの永久磁石43、
45の間の適正間隙を保持するため、回転円板131に
繁がる軸継手にスラスト軸受149が装着されており、
それを収納する軸受ハウジング151と下段サポートコ
ラム11自体が常温部の回転駆動源9に付設された高さ
位置調整機構37で位置決めされる。また、磁気ロータ
部15の軸受ハウジング151はサーマルアンカ77を
介して小型冷凍機の第2段ステージと接続されている。
さらに、軸受ハウジング151の軸心に細孔が開けられ
ていてここに熱電対115が差し込まれている。
面とコの字形鉄心面間の磁気回路形成による吸着を防
ぎ、超電導ディスク47と磁石ロータの永久磁石43、
45の間の適正間隙を保持するため、回転円板131に
繁がる軸継手にスラスト軸受149が装着されており、
それを収納する軸受ハウジング151と下段サポートコ
ラム11自体が常温部の回転駆動源9に付設された高さ
位置調整機構37で位置決めされる。また、磁気ロータ
部15の軸受ハウジング151はサーマルアンカ77を
介して小型冷凍機の第2段ステージと接続されている。
さらに、軸受ハウジング151の軸心に細孔が開けられ
ていてここに熱電対115が差し込まれている。
【0050】以上詳細に説明した本実施例の超電導ウィ
グラは、フラックスポンプ1の各部構造における伝導熱
や輻射熱を遮断して、最終的に極低温冷媒槽63への入
熱量を押えることができる。このために、フラックスポ
ンプ1から極低温冷媒槽63への入熱要因を高温超電導
電流リードを使用する場合よりも大幅に低減して、超電
導ウイグラ−の長期間連続運転が可能となる。
グラは、フラックスポンプ1の各部構造における伝導熱
や輻射熱を遮断して、最終的に極低温冷媒槽63への入
熱量を押えることができる。このために、フラックスポ
ンプ1から極低温冷媒槽63への入熱要因を高温超電導
電流リードを使用する場合よりも大幅に低減して、超電
導ウイグラ−の長期間連続運転が可能となる。
【0051】まず、上下段回転伝導系73のサポートコ
ラム11、13を伝わる伝導熱は、磁気継手部25の上
下段の軸受ハウジング29を小型冷凍機の第1段ステー
ジから分岐するフレキシブルサーマルアンカー75を介
して80K程度に、発電部・磁石ローター部15の軸受
ハウジング151を小型冷凍機の第2段ステージからの
フレキシブルサーマルアンカー77を介して20K程度
に冷却することによって、小型冷凍機各段の冷凍能力で
相殺する。
ラム11、13を伝わる伝導熱は、磁気継手部25の上
下段の軸受ハウジング29を小型冷凍機の第1段ステー
ジから分岐するフレキシブルサーマルアンカー75を介
して80K程度に、発電部・磁石ローター部15の軸受
ハウジング151を小型冷凍機の第2段ステージからの
フレキシブルサーマルアンカー77を介して20K程度
に冷却することによって、小型冷凍機各段の冷凍能力で
相殺する。
【0052】また、発電部3の超電導ディスク部分17
は極低温冷媒槽殻19の内側にあり、極低温冷媒(液体
ヘリウム)に直接接液し冷媒の沸点温度(4.2K)程
度に冷却されて超電導状態が維持される。サポートコラ
ム内の上段と下段の回転軸5、7を伝わる伝導熱につい
ては、回転軸が軸受109、113内で軸受球と軸周面
が点接触しているだけであるため、小型冷凍機により軸
受ハウジング107、111を伝熱冷却しても大きな熱
遮断効果は期待できない。このため、回転伝導系73で
の非接触磁気継手25と発電部3での磁石ロータ15と
超電導ディスク17の非接触・分離機能に基づいて伝導
熱の遮断を行なう。
は極低温冷媒槽殻19の内側にあり、極低温冷媒(液体
ヘリウム)に直接接液し冷媒の沸点温度(4.2K)程
度に冷却されて超電導状態が維持される。サポートコラ
ム内の上段と下段の回転軸5、7を伝わる伝導熱につい
ては、回転軸が軸受109、113内で軸受球と軸周面
が点接触しているだけであるため、小型冷凍機により軸
受ハウジング107、111を伝熱冷却しても大きな熱
遮断効果は期待できない。このため、回転伝導系73で
の非接触磁気継手25と発電部3での磁石ロータ15と
超電導ディスク17の非接触・分離機能に基づいて伝導
熱の遮断を行なう。
【0053】さらに、磁気継手25におけるハーフ継手
同士も小型冷凍機の第1段冷凍能力により冷却状態にあ
る伝熱ディスク27に非接触対向しているので、下段回
転軸5と上段回転軸7の間の輻射熱も抑えられている。
また、運転中は発電部3の磁石ロータ15は僅かな間隙
を隔てて極低温冷媒槽殻19と非接触状態に保たれてい
るので、回転軸5を伝わる熱は極低温冷媒槽殻19に伝
導せず、磁石ロータ15面からの輻射熱のみが極低温冷
媒槽63への入熱要因となる。この輻射熱もまた、励磁
開始前に予め、常温部の回転駆動源9に付設した高さ位
置調整機構37によって磁石ロータ15面を極低温冷媒
槽殻19に押し付けて接触させることで充分に磁石4
3、45、鉄心41、回転円板131、軸継手系151
を冷却し、その後、高さ位置調整機構37によって分離
・非接触化することで、低減することができる。
同士も小型冷凍機の第1段冷凍能力により冷却状態にあ
る伝熱ディスク27に非接触対向しているので、下段回
転軸5と上段回転軸7の間の輻射熱も抑えられている。
また、運転中は発電部3の磁石ロータ15は僅かな間隙
を隔てて極低温冷媒槽殻19と非接触状態に保たれてい
るので、回転軸5を伝わる熱は極低温冷媒槽殻19に伝
導せず、磁石ロータ15面からの輻射熱のみが極低温冷
媒槽63への入熱要因となる。この輻射熱もまた、励磁
開始前に予め、常温部の回転駆動源9に付設した高さ位
置調整機構37によって磁石ロータ15面を極低温冷媒
槽殻19に押し付けて接触させることで充分に磁石4
3、45、鉄心41、回転円板131、軸継手系151
を冷却し、その後、高さ位置調整機構37によって分離
・非接触化することで、低減することができる。
【0054】磁石43、45、回転円板131、軸受ハ
ウジング151等の冷却温度を励磁前に監視するため、
当該部内にシース熱電対115を挿入してある。シース
熱電対115は、回転軸の中心を貫通して常温部の回転
駆動源9の軸封継手部分31に設けられたターミナルに
接続されていて、検出出力を計測器に伝送する。以上の
ような入熱防止対策により、フラックスポンプ1から極
低温冷媒槽63への入熱量を50mW/m2程度とする
ことができるので、例えば磁石ロータ面の直径を30c
mとすると2台のフラックスポンプでl0mW程度の入
熱量となる。したがって、従来の高温超電導電流リード
を使用する方法よりもはるかに冷媒(液体ヘリウム)の
蒸発量を少なくできる。
ウジング151等の冷却温度を励磁前に監視するため、
当該部内にシース熱電対115を挿入してある。シース
熱電対115は、回転軸の中心を貫通して常温部の回転
駆動源9の軸封継手部分31に設けられたターミナルに
接続されていて、検出出力を計測器に伝送する。以上の
ような入熱防止対策により、フラックスポンプ1から極
低温冷媒槽63への入熱量を50mW/m2程度とする
ことができるので、例えば磁石ロータ面の直径を30c
mとすると2台のフラックスポンプでl0mW程度の入
熱量となる。したがって、従来の高温超電導電流リード
を使用する方法よりもはるかに冷媒(液体ヘリウム)の
蒸発量を少なくできる。
【0055】図9は本実施例において2台のフラックス
ポンプ1により超電導コイル群を励磁するための励磁制
御回路の例を示している。超電導コイル群はビームチャ
ンバを挟んで対向する1対のメインコイル201、20
2と、メインコイルの上流に配設される1対の上流側サ
イドコイル203、204、およびメインコイルの下流
に配設される1対の下流側サイドコイル205、206
からなる。第1のフラックスポンプ211の超電導ディ
スクがメインコイル201、202の励磁電流を発生
し、第2のフラックスポンプ212の超電導ディスクが
上流側サイドコイル203、304と下流側サイドコイ
ル205、206の励磁電流を発生する。
ポンプ1により超電導コイル群を励磁するための励磁制
御回路の例を示している。超電導コイル群はビームチャ
ンバを挟んで対向する1対のメインコイル201、20
2と、メインコイルの上流に配設される1対の上流側サ
イドコイル203、204、およびメインコイルの下流
に配設される1対の下流側サイドコイル205、206
からなる。第1のフラックスポンプ211の超電導ディ
スクがメインコイル201、202の励磁電流を発生
し、第2のフラックスポンプ212の超電導ディスクが
上流側サイドコイル203、304と下流側サイドコイ
ル205、206の励磁電流を発生する。
【0056】第1フラックスポンプ211の磁石ロータ
は回転用小型電源213により回転し、回転用小型電源
は回転制御回路215を介してウィグラ制御回路217
により運転制御される。ウィグラ制御回路217は第1
フラックスポンプ211と整合して、第2の回転制御回
路216を介して第2の回転用小型電源214を駆動し
フラックスポンプ212の磁石ロータを回転制御する。
第1フラックスポンプ211の超電導ディスクには直列
に永久電流スイッチ221が挿入されている。また、フ
ラックスポンプ211の超電導ディスクと永久電流スイ
ッチ221と超電導メインコイル201、202で形成
される第1の超電導回路には、並列にダイオード223
と保護抵抗225からなる第1のクエンチ保護回路が設
けられている。第1超電導回路にはさらに、超電導コイ
ルの前後の電圧差からクエンチの発生を検出するクエン
チ検出器227と、クエンチ検出器の出力により永久電
流スイッチ221のヒータに電流を供給するヒータ電源
229が設けられている。
は回転用小型電源213により回転し、回転用小型電源
は回転制御回路215を介してウィグラ制御回路217
により運転制御される。ウィグラ制御回路217は第1
フラックスポンプ211と整合して、第2の回転制御回
路216を介して第2の回転用小型電源214を駆動し
フラックスポンプ212の磁石ロータを回転制御する。
第1フラックスポンプ211の超電導ディスクには直列
に永久電流スイッチ221が挿入されている。また、フ
ラックスポンプ211の超電導ディスクと永久電流スイ
ッチ221と超電導メインコイル201、202で形成
される第1の超電導回路には、並列にダイオード223
と保護抵抗225からなる第1のクエンチ保護回路が設
けられている。第1超電導回路にはさらに、超電導コイ
ルの前後の電圧差からクエンチの発生を検出するクエン
チ検出器227と、クエンチ検出器の出力により永久電
流スイッチ221のヒータに電流を供給するヒータ電源
229が設けられている。
【0057】第2フラックスポンプ212の超電導ディ
スクにも同様に、永久電流スイッチ222が挿入され、
フラックスポンプ212の超電導ディスクと永久電流ス
イッチ222と2対の超電導サイドコイル203、20
4、205、206で形成される第2の超電導回路に、
並列にダイオード224と保護抵抗226からなる第2
のクエンチ保護回路が設けられている。また、第2超電
導回路にも、クエンチ検出器228とヒータ電源230
が設けられている。
スクにも同様に、永久電流スイッチ222が挿入され、
フラックスポンプ212の超電導ディスクと永久電流ス
イッチ222と2対の超電導サイドコイル203、20
4、205、206で形成される第2の超電導回路に、
並列にダイオード224と保護抵抗226からなる第2
のクエンチ保護回路が設けられている。また、第2超電
導回路にも、クエンチ検出器228とヒータ電源230
が設けられている。
【0058】回路図中1点鎖線で囲んだ部分231に含
まれるフラックスポンプ211、212の超電導ディス
ク、永久電流スイッチ221、222、ダイオード22
3、224、保護抵抗225、226の回路要素は超電
導コイル群とともに極低温冷媒槽内に収容され、これら
のための操作回路・機器はウイグラー装置外で遠隔運転
される。フラックスポンプ211、212による励磁運
転中、または励磁終了後を間わず、超電導コイルが安定
に磁場を発生している場合は永久電流スイッチ221、
222はON状態(接続状態)であり、並列接続された
保護回路に電流は流れない。
まれるフラックスポンプ211、212の超電導ディス
ク、永久電流スイッチ221、222、ダイオード22
3、224、保護抵抗225、226の回路要素は超電
導コイル群とともに極低温冷媒槽内に収容され、これら
のための操作回路・機器はウイグラー装置外で遠隔運転
される。フラックスポンプ211、212による励磁運
転中、または励磁終了後を間わず、超電導コイルが安定
に磁場を発生している場合は永久電流スイッチ221、
222はON状態(接続状態)であり、並列接続された
保護回路に電流は流れない。
【0059】しかし、超電導回路中に何らかの原因でク
エンチが発生するとクエンチ検出器227、228から
の信号により、ヒーター電源229、230が作動して
永久電流スイッチ221、222のヒーターに通電し、
永久電流スイッチ221、222はOFF状態(遮断状
態)となる。この時、スイッチ両端に電圧が発生して超
電導回路中に流れていた電流が保護回路側へ流れる。こ
のように、クエンチ発生時には永久電流スイッチ22
1、222の自動操作によって、超電導コイル側に蓄積
された磁気エネルギーを保護回路側へ分流することで超
電導コイルとフラックスポンプの超電導ディスク21
1、212をクエンチから保護することができる。
エンチが発生するとクエンチ検出器227、228から
の信号により、ヒーター電源229、230が作動して
永久電流スイッチ221、222のヒーターに通電し、
永久電流スイッチ221、222はOFF状態(遮断状
態)となる。この時、スイッチ両端に電圧が発生して超
電導回路中に流れていた電流が保護回路側へ流れる。こ
のように、クエンチ発生時には永久電流スイッチ22
1、222の自動操作によって、超電導コイル側に蓄積
された磁気エネルギーを保護回路側へ分流することで超
電導コイルとフラックスポンプの超電導ディスク21
1、212をクエンチから保護することができる。
【0060】フラックスポンプ211、212の磁石ロ
ータの回転駆動には速度制御可能なサーボモータ79を
使用する。サーボモータの速度は、ウィグラ制御回路2
17内のコンピュータにより生成されるプログラム化信
号、または電子ビームの位置を監視するビームモニタか
らの信号に従い、回転用小型電源213、214と回転
制御回路215、216を介して制御される。これによ
り、フラックスポンプの励磁速度はビームチャンバ内で
電子ビームの最適な位置をはずさないように適切に制御
できるようになる。
ータの回転駆動には速度制御可能なサーボモータ79を
使用する。サーボモータの速度は、ウィグラ制御回路2
17内のコンピュータにより生成されるプログラム化信
号、または電子ビームの位置を監視するビームモニタか
らの信号に従い、回転用小型電源213、214と回転
制御回路215、216を介して制御される。これによ
り、フラックスポンプの励磁速度はビームチャンバ内で
電子ビームの最適な位置をはずさないように適切に制御
できるようになる。
【0061】なお、本実施例では、磁石ロータ部あるい
は磁気継手部に1対の永久磁石を用いているが、複数の
永久磁石対を用いて効率を向上させることができること
はいうまでもない。また、フラックスポンプの高さ位置
調整機構としてボルトとナットを用いた簡単なものを利
用しているが、各種の機構が使用できることはいうまで
もない。さらに、回転運動伝達系の冷却に冷凍機を用い
たが冷媒による冷却方法を用いることも可能である。
は磁気継手部に1対の永久磁石を用いているが、複数の
永久磁石対を用いて効率を向上させることができること
はいうまでもない。また、フラックスポンプの高さ位置
調整機構としてボルトとナットを用いた簡単なものを利
用しているが、各種の機構が使用できることはいうまで
もない。さらに、回転運動伝達系の冷却に冷凍機を用い
たが冷媒による冷却方法を用いることも可能である。
【0062】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の超電導ウ
ィグラの励磁方法およびその方法を用いた超電導ウィグ
ラによれば、フラックスポンプを駆動する比較的小型の
サーボモータを制御する小型電源装置があればよく、従
来方式のような専用の大電流直流電源と通電ケーブルが
不要となるので、ウイグラー装置全体がコンパクト化さ
れる。また、フラックスポンプの回転制御により超電導
コイルの励磁速度を連続的に変化させることができるた
め、目標とするビーム安定磁場レベルへの軟着陸が容易
に達成できる。さらに、外部からの熱の流入を抑制して
冷媒の補給間隔を延ばすことにより、超電導ウィグラの
長期連続運転を可能にする。
ィグラの励磁方法およびその方法を用いた超電導ウィグ
ラによれば、フラックスポンプを駆動する比較的小型の
サーボモータを制御する小型電源装置があればよく、従
来方式のような専用の大電流直流電源と通電ケーブルが
不要となるので、ウイグラー装置全体がコンパクト化さ
れる。また、フラックスポンプの回転制御により超電導
コイルの励磁速度を連続的に変化させることができるた
め、目標とするビーム安定磁場レベルへの軟着陸が容易
に達成できる。さらに、外部からの熱の流入を抑制して
冷媒の補給間隔を延ばすことにより、超電導ウィグラの
長期連続運転を可能にする。
【図1】本発明に係る磁気継手とフラックスポンプから
なる超電導ウィグラの励磁手段を表す断面図である。
なる超電導ウィグラの励磁手段を表す断面図である。
【図2】 図1に示した励磁部分の作動状態を示す斜
視図である。
視図である。
【図3】図1に示した励磁部分の操作状態を示す線図で
ある。
ある。
【図4】本発明の超電導ウィグラの1実施例を示す一部
断面図である。
断面図である。
【図5】図4に示した実施例における磁気継手部分の拡
大断面図である。
大断面図である。
【図6】図4に示した実施例におけるフラックスポンプ
部分の拡大断面図である。
部分の拡大断面図である。
【図7】図6におけるA部を示す断面図である。
【図8】図6におけるB−B矢視図である。
【図9】本実施例における制御回路例を示す回路図であ
る。
る。
【図10】従来の超電導ウィグラ励磁方法を示す図面で
ある。
ある。
【図11】従来の超電導ウィグラ励磁方法の別の例を示
す図面である。
す図面である。
【図12】従来のフラックスポンプの動作を説明する図
面である。
面である。
1 フラックスポンプ 3 発電部 5、7 回転軸 9 回転駆動源 11、13 サポートコラム 15 磁石ロータ部 17 超電導ディスク部 19 極低温冷媒槽壁 21、23 磁気継手の永久磁石 25 磁気継手 27 伝熱ディスク 29 磁気継手ハウジング 31 軸封継手 35 クライオスタット外槽 37 位置調整ねじ 39 フレキシブル式銅サーマルアンカ 43、45 フラックスポンプの永久磁石 47 超電導ディスク 49、51 常電導域 53 超電導コイル 55 コの字形鉄心 61 超電導ウイグラー用クライオスタット 63 極低温冷媒槽 65 熱シールド板 67 外槽 69 冷凍機 71 ビームチャンバ 73 回転伝導系 75、77 フレキシブルサーマルアンカ 79 サーボモータ 101、103 磁気継手の鉄心 109、113 スラスト軸受 115 シース熱電対 131 回転円板 133、135 電気絶縁膜 139 凹形切り欠き 143 超電導継手 145 超電導ワイヤ 149 スラスト軸受 201、202 メインコイル 203、204、205、206 サイドコイル 211、212 フラックスポンプ 213、214 回転用小型電源 215、216 回転制御回路 217 ウィグラ制御回路 221、222 永久電流スイッチ 223、224 ダイオード 225,226 保護抵抗 227、228 クエンチ検出器 229、230 ヒータ電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 13/04
Claims (8)
- 【請求項1】 超電導ディスク部を極低温冷媒槽内に設
置し磁石ロータを含む磁石ロータ部を槽外に設置した移
動磁界型フラックスポンプを備え、磁石ロータを回転さ
せることにより超電導コイルを含む超電導回路内に磁束
積み上げを行い、その結果生じた電流によって超電導デ
ィスク部に接続された超電導コイルを励磁することを特
徴とする超電導ウィグラ励磁方法。 - 【請求項2】 前記磁石ロータが水平腕を備え両端部に
極性の異なる向きに永久磁石を固定して回転することを
特徴とする請求項1記載の超電導ウィグラ励磁方法。 - 【請求項3】 前記永久磁石の間に鉄心を設け、かつ前
記超電導ディスク部が超電導ディスクの内側に絶縁体を
介して鉄心を当接して、前記磁石ロータの永久磁石が対
向する位置にくると磁気回路が閉成されることを特徴と
する請求項2記載の超電導ウィグラ励磁方法。 - 【請求項4】 前記磁石ロータを回転させる回転軸の中
間に非接触磁気継手を挿入して回転軸からの熱伝導を抑
制し、該非接触磁気継手を冷凍機で冷却することを特徴
とする請求項1ないし3のいずれかに記載の超電導ウィ
グラ励磁方法。 - 【請求項5】 前記フラックスポンプによる励磁開始前
に前記回転軸を軸方向に並進するようにして、前記磁石
ロータを前記極低温冷媒槽表面に接触させて冷却し、か
つ励磁直前に該冷媒槽表面から離して回転させることを
特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の超電導
ウィグラ励磁方法。 - 【請求項6】 超電導ディスク部を極低温冷媒槽内に設
置し磁石ロータを含む磁石ロータ部を槽外に設置したフ
ラックスポンプを備え、該超電導ディスクに超電導コイ
ルを接続したことを特徴とする超電導ウィグラ。 - 【請求項7】 前記磁石ロータが両端部に極性の異なる
向きに永久磁石を固定し該永久磁石の間に鉄心を設けた
水平腕を備え、かつ前記超電導ディスク部が超電導ディ
スクの内側に絶縁体を介して当接する鉄心を備えること
を特徴とする請求項6記載の超電導ウィグラ。 - 【請求項8】 前記磁石ロータ部の磁石ロータを回転さ
せる回転軸の中間に非接触磁気継手を備え、該非接触磁
気継手を冷却する冷凍機を備え、さらに前記回転軸の端
部に該回転軸を軸方向に並進させる手段を備えることを
特徴とする請求項6または7記載の超電導ウィグラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35402196A JP3137233B2 (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 超電導ウィグラ励磁方法および超電導ウィグラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35402196A JP3137233B2 (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 超電導ウィグラ励磁方法および超電導ウィグラ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10177900A JPH10177900A (ja) | 1998-06-30 |
JP3137233B2 true JP3137233B2 (ja) | 2001-02-19 |
Family
ID=18434783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35402196A Expired - Fee Related JP3137233B2 (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 超電導ウィグラ励磁方法および超電導ウィグラ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3137233B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1715731B1 (en) * | 2004-01-23 | 2013-05-01 | Hitachi Metals, Ltd. | Undulator |
GB2431519B (en) * | 2005-10-21 | 2007-09-26 | Timothy Arthur Coombs | Superconducting systems |
KR101206394B1 (ko) | 2011-04-01 | 2012-11-29 | 한국과학기술원 | 초전도 플럭스 펌프와 일체화된 초전도 발전기의 회전자 |
JP6138466B2 (ja) * | 2012-12-03 | 2017-05-31 | 住友重機械工業株式会社 | サイクロトロン |
CN111599570B (zh) * | 2014-08-11 | 2022-03-18 | 维多利亚联结有限公司 | 超导电流泵 |
KR101888503B1 (ko) * | 2017-03-10 | 2018-08-17 | 제이에이취엔지니어링주식회사 | 전도냉각 초전도 장비를 위한 전원공급장치 |
KR102026972B1 (ko) * | 2018-03-05 | 2019-10-01 | 제이에이취엔지니어링주식회사 | 서멀 링크 |
CN109273190B (zh) * | 2018-11-30 | 2020-07-17 | 西北有色金属研究院 | 一种高温超导线圈励磁装置 |
JP7405783B2 (ja) * | 2021-02-02 | 2023-12-26 | 株式会社日立製作所 | 超伝導磁石装置、磁気共鳴イメージング装置および超伝導磁石の減磁方法 |
CN114334341B (zh) * | 2022-01-19 | 2023-03-24 | 湖南大学 | 一种传导冷却型磁通泵 |
CN114334340B (zh) * | 2022-01-19 | 2023-03-24 | 湖南大学 | 一种基于制冷机的高温超导磁通泵 |
-
1996
- 1996-12-18 JP JP35402196A patent/JP3137233B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10177900A (ja) | 1998-06-30 |
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