JP3135200B2 - タイマイの甲羅由来の5kタンパク質をコードする構造遺伝子及び該タンパク質の製造法 - Google Patents

タイマイの甲羅由来の5kタンパク質をコードする構造遺伝子及び該タンパク質の製造法

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JP3135200B2 JP07097764A JP9776495A JP3135200B2 JP 3135200 B2 JP3135200 B2 JP 3135200B2 JP 07097764 A JP07097764 A JP 07097764A JP 9776495 A JP9776495 A JP 9776495A JP 3135200 B2 JP3135200 B2 JP 3135200B2
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房和 晦日
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子工学的手法を用
いることにより、タイマイという海ガメの甲羅などを構
成するタイマイの甲羅由来の5Kタンパク質をコードす
る構造遺伝子及び該タンパク質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ここ数年来、遺伝子工学的手法により微
生物にペプチドないしタンパク質(以下「タンパク質
等」という)を生産させる技術が一般化されつつある。
そして現在、この技術を駆使してタンパク質等を生産す
るにあたりその生産効率を向上させるべく種々の改良が
なされているところである。ここで遺伝子工学的手法に
よるタンパク質などの生産とは、所望タンパク質等に対
応するDNA遺伝子をベクターに組み込み組み換えDN
Aとし、ついでこれを宿主微生物に組み込んで宿主の形
質転換を行って形質転換体を得、これを適当な条件で培
養することによって所望タンパク質を産生させ、ついで
この所望タンパク質等を回収する工程よりなるのがふつ
うである。このような遺伝子工学的手法をもってペプチ
ドの合成を行う場合には、具体的な下記のような方法が
知られている。目的ペプチドの構造遺伝子を翻訳開始
信号下流に直結して発現を行う直接発現法、分泌性蛋
白のシグナルペプチドを利用して目的産物を細胞質外へ
分泌させる分泌法、他の蛋白と融合させることにより
細胞質内での安定性を高め、これによって収量の増大を
計る融合法、以上のように手法は確立されつつあるが、
必ずしも目的タンパク質等が得られるとは限られていな
い。したがって、所望のタンパク質等の得られる製造方
法の確立が望まれるところであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、海ガメの中でも
タイマイの甲羅は、鼈甲細工などの伝統的工芸に用いら
れてきた。しかしながら、ワシントン条約により平成4
年末をもって輸入禁止となった。そのため、鼈甲細工従
事者および海ガメの研究者にとっては死活問題となって
いた。
【0004】本発明は、本出願と同時に特許出願した
『タイマイの甲羅からのタンパク質の分離法』によって
タイマイの甲羅を構成するタンパク質の性質を明らかに
することにより、これまで製造されていないタイマイの
甲羅を構成するタイマイの甲羅由来の5Kタンパク質及
びその製造法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、下記のアミノ酸配列からなる
Kタンパク質をコードする構造遺伝子からなる。 Tyr Tyr Asn Pro Tyr Cys Tyr Gln Gly Trp Arg Gly Tyr Arg Gly His Tyr Gly Cys Tyr Arg Pro Trp Gly Ser Trp Lys Pro Tyr Arg Tyr Gly Trp Gly His Gln Tyr Gly Gly His Tyr Pro Tyr Arg Trp Gly His Gly Tyr Leu Trp
【0007】また、請求項2の発明は、前記5Kタンパ
ク質がタイマイの甲羅由来のものである請求項1の構造
遺伝子を組み込んだ組み換えベクターからなる。
【0010】また、請求項3の発明は、請求項2の組み
換えベクターを用いて微生物を形質転換し、微生物を培
養することを特徴とするタイマイの甲羅由来の5Kタン
パク質の製造法からなる。
【0012】上記の遺伝子をプロモーターの下流に連結
したベクターを構築する方がタンパク質を生産させるた
めに効果的である。なお、プロモータは、tacプロモ
ーター、trpプロモーター、lacプロモーターなど
大腸菌中でその作用を示すものをいう。
【0013】大腸菌などの生物の細胞の中へベクターを
入れ形質転換させると、その形質転換体の中で遺伝子を
含むベクターを半永久的に保持することができる。
【0014】そして、必要に応じ形質転換体よりベクタ
ーの調製も可能である。
【0015】
【作用】タイマイの甲羅由来の分子量5000(以下5
K)のタンパク質をコードする遺伝子を含有するベクタ
ーを大腸菌に入れ形質転換させる。次にこの大腸菌を培
養しながら、ベクター上のプロモーターの誘導物質を加
えることにより、5Kタンパク質の生産が確認される。
【0016】上記5Kタンパク質は、大腸菌を破細した
後、遠心分離を行ったら、沈殿画分として回収される。
【0020】
【実施例】本出願と同時に特許出願した『タイマイの甲
羅からのタンパク質の分離法』で明らかにしたタイマイ
の甲羅由来のタンパク質5Kをコードする遺伝子、5K
遺伝子を化学合成した(図1)。
【0021】この際、遺伝子の上流5’を制限酵素Ec
RI、下流3’を制限酵素Hind IIIとなるように
している。
【0022】構造遺伝子の前には翻訳開始コドンのAT
G(メチオニンに対応)を付け、一方、終止コドンとし
てTAAとTGAの2つを付与した。
【0023】遺伝子は、約40merのDNAオリゴヌ
クレオチドとして合成し、それら30pmolをT4D
NAキナーゼで5’をリン酸化した。これらをT4DN
Aリガーゼにより連結し、フェノール、クロロホルム処
理、エタノール沈殿を行った。その後、制限酵素Eco
RIとHind IIIで消化し、アクリルアミドゲルで電
気泳動を行った。目的のサイズに相当する部分を切り出
し、エレクトロエルーター(IBI社)で溶出すること
により、5K(167bp)の遺伝子を回収した。
【0024】上記の遺伝子をtacプロモータをもつベ
クターpFM005(文献:A.Kitazono 等、J.B
actriol 、174、7917-7925 、1992)のEco
I−Hind IIIにT4DNAリガーゼを用いて連結
し、大腸菌JM109を形質転換した。形質転換体より
プラスミドを調製し、ABI社DNAシーケンサー37
3Aで塩基配列を確認した。そして、tacプロモータ
ーの下流に5K遺伝子を含有するものをpBE51と命
名した(図2)。
【0025】trpプロモーターを持つpKM924
は、以下のように構築した。trpプロモーターを含有
するpTPK1(文献;Y.Murooka等、Journal of
Biotechnology,,303〜316,1985)を
EcoRIで切断後、T4DNAポリメラーゼにより平
滑末端とし、HpaIでさらに切断して約350bpの
断片を得た。この断片と、pFM005をSalIで切
断しT4DNAポリメラーゼで平滑末端とし、さらに
ind IIIで切断して得た大きい断片と、pUC19の
EcoRI−Hind IIIのポリリンカーと、Hpa
EcoRIリンカー 5’−AACTAGTACGCAAGTTCACGTAAAAAGGTTTG−3’ 3’−TTGATCATGCGTTCAAGTGCATTTTTCCAAACTTAA−5’ の4つのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて連結
し、大腸菌HB101を形質転換した。その形質転換体
よりプラスミドを調製し、DNAシーケンサーで塩基配
列を調べてpKM924を得た。このベクターは、クロ
ーニング部はEcoRI−Hind IIIでプロモーター
trpである。pKM924のEcoRI−Hin
IIIの部位に5K遺伝子を連結し、大腸菌HB101を
形質転換した。形質転換体よりプラスミドを調製し塩基
配列を調べた。そして、trpプロモーターの下流に5
K遺伝子を含有するものをpBT51と命名した(図
2)。
【0026】上記pBE51の形質転換体を別々にLB
培地で培養し、tacプロモーターの誘導物質であるイ
ソプロヒル−β−D−チオガラクトピラノシド(以下I
PTG)を1mM添加して培養し、遺伝子発現を行っ
た。その結果、5K遺伝子を持つpBE51ベクターを
含有する大腸菌の中で、5Kタンパク質と思われるタン
パク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以
下SDS−PAGE)において確認した(図3)。一
方、pBT51を含有する大腸菌をM9カザミノ酸培地
で培養し、trpプロモーターの誘導物質である3−β
−インドールアクリル酸を20μg/mlになるように
加え遺伝子発現を行ったところ、前述と同様に5Kタン
パク質だけが効率良く生産された。
【0027】上記大腸菌で生産された5Kタンパク質を
超音波処理により無細胞抽出液とし、18000回転遠
心を20分行ったところ沈殿画分として回収された。こ
の画分を8Mグアニジン塩酸、20mMジチオスレイト
ール(以下DTT)、リン酸緩衝液、pH6に溶解し、
6Mグアニジン塩酸塩、5mMDTTを含むリン酸緩衝
液で平衡化したセファディクスG50(ファルマシア
社)のカラムクトマトに供し、5Kタンパク質画分を回
収した。このタンパク質を逆相C18カラム(Waters 、
PuresilC18、4.6 ×250 mm)を用いたHPLCに供
し、最終的に5Kタンパク質を単一バンドにまで精製し
た。そのSDS−PAGEパターンは図4に示す。
【0028】精製した5Kタンパク質のアミノ酸分析か
ら、予想どおり目的の5Kタンパク質であることを確認
した。
【0035】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されているような効果を奏す
る。
【0036】遺伝子工学的手法により、これまで入手出
来なかったタイマイの甲羅の5Kタンパク質の製造が安
価に且つ永久的に可能となる。
【0037】製造された5Kタンパク質を用いることに
より、タイマイの甲羅のような素材の開発が期待でき
る。
【0038】タイマイの甲羅由来の5Kタンパク質をコ
ードする遺伝子を合成したベクターを含有する大腸菌を
培養することにより、遺伝子の調製が可能となる。
【0039】ベクターを含有する大腸菌は、グリセリン
存在下、低温することにより半永久的に保存できる。
【0040】さらに、調製したベクターは、低温にする
ことにより永久的に保存できる。
【0041】化学合成DNAを用いることにより、類似
のタンパク質を作る生物において、mRNAの解析、遺
伝子のクローニング、および、PCR法による遺伝子増
幅と解析に利用できる。
【0042】また、製造された5Kタンパク質を基に、
モノクローナル抗体、あるいは、ポリクロナール抗体の
作製が容易に可能となる。
【0043】そのような抗体を用いることにより、角化
メカニズムの解明に利用できる。
【0044】また、抗体を用いることにより、海ガメの
分類に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイマイの甲羅由来の5Kタンパク質をコード
する遺伝子である。
【図2】pBE51、pBT51ベクターの構築法を示
す図である。
【図3】大腸菌の中で生産された5Kタンパク質であ
る。
【図4】SDS−PAGEによる5Kタンパク質の分析
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:19)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のアミノ酸配列からなる5Kタンパ
    ク質をコードする構造遺伝子。 Tyr Tyr Asn Pro Tyr Cys Tyr Gln Gly Trp Arg Gly Tyr Arg Gly His Tyr Gly Cys Tyr Arg Pro Trp Gly Ser Trp Lys Pro Tyr Arg Tyr Gly Trp Gly His Gln Tyr Gly Gly His Tyr Pro Tyr Arg Trp Gly His Gly Tyr Leu Trp
  2. 【請求項2】 前記5Kタンパク質がタイマイの甲羅由
    来のものである請求項1の構造遺伝子を組み込んだ組み
    換えベクター。
  3. 【請求項3】 請求項2の組み換えベクターを用いて微
    生物を形質転換し、微生物を培養することを特徴とする
    タイマイの甲羅由来の5Kタンパク質の製造法。
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