JP3133448U - 船舶推進装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸駆動推進装置の改良を図ることにより、簡易構成にして非常航走をより確実、適格に行うことができる船舶推進装置を提供する。
【解決手段】出力軸の途中に、該出力軸と直結される回転子を備えて発電又は空転或いは軸駆動を行う3相同期軸駆動発電機を設け、前記クラッチを断とし、前記可変ピッチプロペラのピッチ角度をゼロとした状態で前記プロペラ軸の回転を所要の回転数Nまで上昇させる断続始動制御回路と、回転数Nが所要の回転数Nまで上昇してから前記推進モータを3相駆動する他励インバータ制御回路とを備えた船舶推進装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、プロペラ軸上に3相同期の軸駆動発電機を介在させ、その駆動回路を適切として、最も簡易な構成でありながら、主機関なしで確実に非常航走できる船舶推進装置に関する。
従来より、船舶推進用の補助エンジンを備えれば、主機関なしで一時的な推進が可能であることは当然知られている。
しかしながら、補助エンジンを設ける場合には、動力伝達軸の切換え装置が必要で、相当大掛りで、かつ高価な装置となる。しかも、敢えて通常の補助エンジンを搭載した場合には、他に利用できず、もしもの事故が起こらない限り宝のもちぐされである。また、この補助エンジンは、使用しなくても、定期的な保守点検が必要で、それに要する費用も必要となる。
そこで、構成簡易にして安価に製造でき、他の電源装置と連系させて多機能に利用できる軸駆動発電機を採用することにより、主機関が作動不能な状態であっても、自ら非常航走も可能な船舶推進装置が提案されている。
特許第3902157号公報の船舶推進装置は、主機関と、該主機関と直接結合されて動力断接を行うクラッチと、該クラッチの出力軸に直結されるプロペラ軸及びプロペラを有し、前記出力軸の途中に回転子を備えて発電又は空転或いは動力補助を行う軸駆動発電機を設け、非常航走的には前記クラッチを断とした上で前記軸駆動発電機の推進モータを小型のディーゼル発電機で駆動しようというものである。
特許第3902157号公報、第1頁、図1
本考案は上記船舶推進装置の改良に係り、簡易構成にして非常航走を含めた低速航走をより確実、適切、効率的に行うことができる船舶推進装置を提供することを目的とする。
本考案の船舶推進装置は、主機関と、該主機関と結合されて動力断接を行うフライホイル機能の付いたクラッチと、該クラッチの出力軸に直結されるプロペラ軸及び可変ピッチプロペラを有し、前記出力軸の途中には、該出力軸と直結される回転子を備えて発電又は空転或いは軸駆動を行う3相同期軸駆動発電機を設け、前記軸駆動を行う推進モータを非常航走駆動するために、前記クラッチを断とし前記可変ピッチプロペラのピッチ角度をゼロとした状態で前記プロペラ軸の回転数Nを所要の回転数Nまで上昇させる断続始動制御回路と、回転数Nが所要の回転数Nまで上昇してから前記推進モータを3相駆動する他励インバータ制御回路と、前記プロペラ軸の回転数Nを検出しつつ所要のタイミングで両制御回路の切換えを行う切換え制御回路と、前記他励インバータ制御回路での駆動後に前記可変ピッチプロペラのピッチ角度θをゼロから所要の角度θまで手動で上昇させて調節するピッチ角度調節器と、を設けたことを特徴とする。
ピッチ角度調節器としては、他励インバータ制御回路に切換えられ、回転数NがN以上になってから所要の角度θまで上昇させるものであるから、ツマミやキーボードにより構成できるが、低速航走最適角度θを示したポテンショナとするものが最良である。上昇又は下降の押しボタンを設け、ボタンを押している間上昇又は下降させる形式でも良い。実際回転数Nをみながら手動で最適角度θに調節することができる。実際回転数Nを示す表示器に最適角度θの範囲を印しておくのも好ましい。
フライホイル機能は、断続始動制御回路と他励インバータ制御回路の切換えのとき、プロペラ軸が急速に減速され回転数Nが大きく低下してしまうのを防止するためである。摩擦クラッチにはフライホイル機能が付いているが、フライホイル機能の付いていないクラッチに対しては、別途フライホイルを付属させれば良い。
断続始動制御回路は、サイリスタなどを用いて、直流を3相コイルの各相に順次流して得られる単相磁界の回転によって回転子を低速始動させることのできる回路である。他励インバータ制御回路は、3相励磁により回転子が指令の回転数Nで駆動されるようインバータ制御する回路である。
クラッチを断とし、ピッチ角度をゼロとした状態で断続始動制御回路により回転数を所要の回転数Nまで上昇させることができる。回転数Nに達したら他励インバータ制御に切換える。このとき、回転数が低下するときに蓄えたエネルギーを放出するフライホイル機能が付いているので、プロペラ軸は急停止することはない。
他励インバータ制御に入ると、後は手動でピッチ角度θを調整する。ピッチ角度θは、最大値θmaxまで上昇可能であるが、最も好ましい角度はオペレータの手にゆだねる。回転数Nは、主機関運転のときの最大値Nより下に定まる軸駆動発電機による運転可能領域N〜Nの途中の値で定めるのが好ましい。
本考案は、非常航走を主目的とするものであるが、非常航走即ち低速航走であるので、港への出入港時に低速航走をすれば、主機関に比べて排気ガスのきれいな補助発電機関を使用したことになるという二次的効果も有する。
本考案は実用新案登録請求の範囲に記載の通りの船舶推進装置であるので、主機関停止のとき非常航走できる。また、出入港時には、主機関に比べて排気ガスのきれいな補助発電機関として使用することにより環境負荷が少なくなる。
3相同期軸駆動発電機を設け、可変ピッチプロペラのピッチ角度をゼロとした状態で断続始動回路から他励インバータ制御回路へ切換えて回転数を上げるので、推進モータを所要の回転数N以上で効率よく回転させることができる。
他励インバータ制御回路での駆動では、ピッチ角度を手動で最適の値θに調節させるので、オペレータの指令に応じた非常航走を効率的に行うことができる。
以下、本考案を実施するための最適の形態を示す。図1は、本考案を実施した船舶推進装置の説明図で、船舶の機械構成を示すモデルと電気回路のブロック図とで示している。
図1に示すように、船底にはディーゼルエンジンによる主機関1が配置され、その出力軸3にはクラッチ2を介してプロペラ軸4が断接されるようになっている。
プロペラ軸4には回転子5が一直線上に直結されて、3相同期軸駆動発電機6が設けられている。軸駆動発電機6は、回路切換えによって軸発電機6Gとして、又は推進モータ6Mとして利用される。
プロペラ軸4のクラッチ2側には重量約1.591トン(2788.6kg・cm・sec)のフライホイル7が設けられている。
プロペラ軸4の船外端部には可変ピッチプロペラ8が設けられ、当該可変ピッチプロペラ8のピッチ角度θを調節するためにピッチ角度調節用の油圧回路9が設けられている。この油圧回路9は、例えばプロペラ軸4内を貫通する角度制御棒(図示せず)をピストン動作させ、このピストン動作を歯車機能(図示せず)を介してプロペラ8の角度を調節するものであり、角度制御棒をピストン動作させるためにスリップリング方式で油圧供給するものである。これら油圧回路は一般的なものであるので図示を省略する。
プロペラ軸4には回転数Nを検出するための検出器Sが設けられ、これにプロペラ回転数検出回路10が接続されている。
本考案の船舶推進装置では、以上の機械構成に対し、電力中央速系盤11が設けられ、これにディーゼル駆動による2台の小型発電機12、13と、船内負荷14とが接続されている。2台の小型発電機12、13は狭隘な船底から外して本船の安全性を上げる為に2階のデッキに設けられている。
前記電力中央速系盤11と軸駆動発電機6との間には本考案特有の推進モータ駆動回路15が設けられている。
推進モータ駆動回路15には、操縦室(図示せず)内に配置される指令盤16と、前記プロペラ回転数検出回路10と、プロペラピッチ角度制御回路17とが接続されている。このプロペラピッチ角度制御回路17は、前記油圧回路9に油圧供給することによりプロペラ8のピッチ角度θを調節するものである。指令盤16にはピッチ角度θを指定するための角度調節器16aと、非常航走に不備があったときブザーやランプで警報する警報器16bが付属されている。
前記推進モータ駆動回路15には、断続始動制御回路18Aと、他励インバータ制御回路18Bと、これら2回路のうちから選択した1つの回路で推進モータ6Mを駆動する切換え制御回路19と、前記警報器16bに警報を出力する警報回路20が設けられている。
断続始動制御回路18Aは、3相同期推進モータ6Mを単相で断続的に制御して回転周波数(N)をゼロから徐々に増加させる回路である。他励インバータ制御回路18Bは、3相同期推進モータを3相で励磁して所要の回転数Nで駆動するものである。
プロペラピッチ角度制御回路17は他励インバータ制御回路18Bに切換えられた後、所要の角度θまで自動で調節する回路とすることもできるが、ここでは角度θの指令は全て角度調節器16aで行うものとする。
図2に示すように、3相同期推進モータ6Mは、小型発電器12又は13の駆動では回転数N〜Nの範囲において駆動可能である。出力Qは直線21でなく、下に凸の曲線22で示される。回転数Nは主機関1を用いての最大値を示す。
図2(a)において、モータ出力21を破線で示し、固定ピッチの船用負荷22を実線で示している。回転数N〜Nがモータでの運転可能領域を示す。回転数Nは主機関1での最大回転数を示す。回転数Nは具体的な数値で示すと、N=80rpm、N=120rpm、N=210rpmである。
図2(b)において、実線21aは断続始動運転でのトルク曲線を、破線21bは他励インバータ制御での使用可能領域を示す。最低の回転数は、Nより少し下の値、例えば72rpmである。
図2(a)(b)の関係から、断続始動運転で回転数をN〜Nに上昇させ、次いで他励インバータ制御に切換えてN〜Nの範囲とし、この範囲の中でプロペラピッチ角度θを最適値θに上昇させてゆけばよいことがわかる。また、この最適値θは図2の可能領域N〜Nの中間あたりで駆動すべく最大値θmaxより下の値、例えば16〜18度位であることがわかる。角度θを大きくしすぎると、負荷大となって回転数Nが落ち、低速航走の効率が悪くなる。また、港湾への出入港では、角度θを適切とすることにより、小型発電機12、13の排気ガスを少量とすることができる。
図2の関係から、本考案の船舶推進装置では、推進モータ6Mを回転数Nが0〜Nである間、断続始動制御回路18Aで制御し、回転数がN〜Nに上昇したら他励インバータ制御回路18に切換えて3相同期運転し、他励インバータ制御回路18Bに移行してからプロペラピッチ角度θをゼロから所要の角度θまで上昇させる。このとき、ピッチ角度θをあまりに急激に上昇させると負荷が拡大し、失速して脱調する。このような場合には警報回路20が作動し、指令盤16の警報器16bから警報を出力するようにしている。
図3に示すように、断続始動制御回路18A及び他励インバータ制御回路18Bによる運転では、断続始動制御回路18Aで時間tをかけて回転数Nを増加させ、回転数Nが所要の回転数N以上になった時点tで他励インバータ制御回路18Bに切換える。このとき、切換えのために僅かながらも時間を要するので、プロペラ8の負荷によって失速しないよう、フライホイル7が設けられている。
図4に示すように、時刻t後にオペレータはプロペラピッチ角度θをゼロから所要の値θに少しずつ上昇させる。最大可能角度まで上昇させることはしない。その理由は、図2の曲線から示すように、ピッチ角度θを大きくすると出力が必要で回転数Nが落ち減速する。小型発電機7または8の出力では失速の可能性もあり、結局、ピッチ角度θを余り大きくしない方が電力効率が高いからである。このように、本考案の船舶推進装置では、手動でピッチ角度θを最適角度θに調節できるので、効率的な運用が図れる。
図5は、本考案の船舶推進装置の非常航走方式を示すフローチャートである。主機関1がオーバーホール中であり、何らかの事情で非常航走が必要になったとする。勿論、航行中に主機関1が故障した場合にも適用できる。さらに港湾への出入港時にも利用できる。
まず、ステップ501でクラッチを切り離し、プロペラ8のピッチ角度θをゼロとする。
ステップ502で断続始動制御回路18Aを選択し、推進モータ6Mに断続始動のための電圧を与える。これにより、プロペラ軸4はゆっくり回転を開始し、図3に示すように次第に速くなり、遂には所要の回転数Nに達する。
ステップ503で、切換え制御回路19は、回転数NがNに達したことを判別し、ステップ504で断続始動制御回路18Aを止め、ステップ505で他励インバータ制御回路18Bに切換える。
ステップ506では、例えば青色ランプを点灯するなど指令盤16に切換え完了信号を出力する。これによりオペレータはステップ507で角度調節器16aを操作してピッチ角度θを調節する。ピッチ角度θの調節は、例えば図4に示すように、徐々に角度θをあげていき、最終的には所要の角度θとする。この角度θは最大値より下の値である。これにより船舶を通常航行の1/2〜1/3の速度、例えば7ノットで航行させることができる。
ステップ508では、他励インバータ制御回路18Bでの推進モータ6Mの駆動中の回転数Nを監視しており、誤って回転数NがNより下に定めた値N、例えば90RPM以下となったら異常と判断し、ステップ509で他励インバータ制御回路18による駆動を停止し、指令盤16に異常警報を出力する。オペレータが適格にピッチ角度θを調節すれば異常警報が出力されることはない。
上記実施の形態では、出入港のときクラッチ2を切り、断続始動制御回路18Aを作動させて所要の回転数Nまで上昇させる例で示したが、主機関1で可変ピッチプロペラ8を回転させた後に次いで他励インバータ制御回路18Bを作動させることもできる。即ち、本考案の船舶推進装置では、プロペラ回転数ゼロから非常航走できると共に、プロペラ回転数ゼロからの低速航走もでき、さらに通常航走から他励インバータ制御回路18Bに切換えての低速航走もでき、フレキシブルな低速航走が可能である。
本考案は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜の設計的変更を行うことにより、各種の態様で実施できる。
図1は本考案を実施した船舶推進装置の説明図で、機械構成をモデルで示し、回路をブロック図で示している。 回転数と出力及びトルクの関係を示す説明図で、(a)図はプロペラ軸の回転数Nと出力Qとの関係を、(b)図は回転数とトルクの関係を示すグラフ。 断続始動制御回路と他励インバータ制御回路の切換え時期を説明するための時間及びプロペラ軸回転数Nを示すグラフ。 他励インバータ制御回路に切換えられた後のピッチ角度の調節方式を説明するための時間及びピッチ角度のグラフ。 本考案の非常航走制御方式を示すフローチャートである。
符号の説明
1 主機関
2 クラッチ
3 出力軸
4 プロペラ軸
5 回転子
6 軸駆動発電機
6G 軸発電機
6M 推進モータ
7 フライホイル
8 可変ピッチプロペラ
9 油圧回路
10 プロペラ回転数検出回路
11 電力中央速系盤
12、13 小型発電機
14 船内負荷
15 推進モータ駆動回路
16 指令盤
16a 角度調節器
16b 警報器
17 プロペラピッチ角度制御回路
18A 断続始動制御回路
18B 他励インバータ制御回路
19 切換え制御回路
20 警報回路
21 モータ出力
21a 断続始動運転トルク
21b 他励インバータ制御使用可能領域
22 固定ピッチでの船用負荷
N 回転数
θ プロペラピッチ角度

Claims (3)

  1. 主機関と、該主機関と結合されて動力断接を行うフライホイル機能の付いたクラッチと、該クラッチの出力軸に直結されるプロペラ軸及び可変ピッチプロペラを有し、前記出力軸の途中には、該出力軸と直結される回転子を備えて発電又は空転或いは軸駆動を行う3相同期軸駆動発電機を設け、
    前記軸駆動を行う推進モータを非常航走を含めた低速航走で駆動するために、前記クラッチを断とし前記可変ピッチプロペラのピッチ角度θをゼロとした状態で前記プロペラ軸の回転数Nを所要の回転数Nまで上昇させる断続始動制御回路と、回転数Nが所要の回転数Nまで上昇してから前記推進モータを3相駆動する他励インバータ制御回路と、前記プロペラ軸の回転数Nを検出しつつ所要のタイミングで両制御回路の切換えを行う切換え制御回路と、前記他励インバータ制御回路での駆動後に前記可変ピッチプロペラのピッチ角度θをゼロから所要の角度θまで手動で上昇させて調節するプロペラピッチ角度調節器と、を設けたことを特徴とする船舶推進装置。
  2. 前記ピッチ角度調節器は、操舵室の指令盤に設けられることを特徴とする請求項1記載の船舶推進装置。
  3. 前記ピッチ角度調節器には、前記非常航走を含めた低速航走の効率化を図るべく前記回転数Nより上位の位置に最適範囲の目印を付けたことを特徴とする請求項1記載の船舶推進装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019234920A1 (ja) * 2018-06-08 2019-12-12 東芝三菱電機産業システム株式会社 船舶推進用電動機駆動システム

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