JP3133379B2 - ジャイロトロン発振管 - Google Patents

ジャイロトロン発振管

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JP3133379B2
JP3133379B2 JP03147017A JP14701791A JP3133379B2 JP 3133379 B2 JP3133379 B2 JP 3133379B2 JP 03147017 A JP03147017 A JP 03147017A JP 14701791 A JP14701791 A JP 14701791A JP 3133379 B2 JP3133379 B2 JP 3133379B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば核融合炉のプラ
ズマ加熱等に用いられるジャイロトロン発振管に関す
る。
【0002】
【従来の技術】核融合炉はプラズマ加熱を行うために、
周波数が100GHz以上で出力が500kW乃至1M
Wの電磁波を数秒間発生し得るジャイロトロン発振管が
必要で、そのジャイロトロン発振管として、例えばモー
ド変換器内蔵型のウィスパリングギャラリーモードジャ
イロトロン発振管が注目され、その開発が現在進められ
ている。
【0003】以下、ジャイロトロン発振管の従来の技術
を図面を参照して説明する。図5はウィスパリングギャ
ラリーモードジャイロトロン発振管の縦断面図であり、
図において1は管本体であり、管本体1は一端部にマグ
ネトロン入射電子銃(以下、MIGと略記する)2が装
着され、他端部にコレクタ3が取着されている。また管
本体1の側壁には出力窓4を有する出力導波管5が設け
られ、管本体1内にはMIG2とコレクタ3の間にビー
ムトンネル6、励振空胴7、テーパ導波管8、モード変
換器9が設けられている。またMIG2には陰極10及
び陽極11が設けられている。なお12,13はマグネ
ット、14,15は高電圧電源、16はヒータ電源であ
る。
【0004】このように構成されたジャイロトロン発振
管は、管本体1内を図示しないポンプによって真空状態
を維持しながらヒータ電源16で陰極10を加熱し、高
電圧電源14,15で管本体1やコレクタ3及び陽極1
1に高電圧を印加して運転される。そしてMIG2から
出射された電子ビームは、マグネット13の発生するミ
ラー磁界のもとでサイクロトロン運動を行いながら空胴
7に入射し、ここで高周波電界との相互作用によって運
動エネルギの一部を高周波電界に与える。これによりウ
ィスパリングギャラリーモードの電磁波が生成され、エ
ネルギを失った電子ビームはコレクタ3に捕捉される。
一方、得られた電磁波はテーパ導波管8を通ってモード
変換器9に入射され、TEMモードに変換されて出力窓
4を介して外部に放射される。なお励振空胴7で励振さ
れる電磁波の発振モードはTE モード(m>>n,
n=2〜3)などのウィスパリングギャラリーモードで
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来技術においては、第1の問題として下記の点がある。
すなわち、発振されるウィスパリングギャラリーモード
が電磁界のピークを空胴7の壁面の近くに有するため、
他のモードとのモード競合は少ないものの空胴7の熱負
荷が大きくなる欠点がある。そして、連続出力として1
MWと大きな出力を得ようとするものにおいてはm=2
2までのウィスパリングギャラリーモードを使用するの
で、空胴7の熱負荷が非常に厳しいものとなる。そして
熱負荷を緩和するためには、さらに高次のウィスパリン
グギャラリーモードを使用する必要があるが、これは他
のモードとのモード競合の点から使用の制限を受け、よ
り高次のものを使用することができない。
【0006】また、モード競合を緩和する手段として、
空胴を同軸空胴にして中心側内壁面の形状を変え、モー
ドのQ値を選択的に変えるようにすることで行えること
が知られているが、具体的な構成については知られてい
ない。このため電子ビームや電磁波との干渉なしに同軸
空胴が形成され、空胴の熱負荷が軽減された大出力のジ
ャイロトロン発振管を得ることが困難な状況にある。
【0007】一方、上記の従来技術においては、第2の
問題として下記の点がある。すなわち、空胴7のビーム
トンネル6側の開口部が発振モードのウィスパリングギ
ャラリーモードに対して遮断条件を満足するように縮径
されて形成され、その発振モードの電磁波のビームトン
ネル6への漏れ出しを防止するようにしている。しか
し、空胴7の等径部に隣接したテーパ部やテーパ導波管
8等のモード変換部分で生じた発振モードより低次のモ
ードに対しては遮断条件を満足するように形成されてお
らず、このため低次モードの電磁波がビームトンネル6
側へ漏れ出す。そしてMIG2に入射して陰極10を加
熱する。漏れ出た電磁波による加熱が、漏れ量が出力の
数%であっても、ジャイロトロン発振管の出力が大きい
場合には高々数十Wしかない陰極10に与える影響は大
きく、出射する電子ビームの電流は不安定になり、長パ
ルス動作や連続動作が困難になる問題がある。
【0008】このような漏れ出た電磁波による加熱を防
止するために、ウィスパリングギャラリーモードではな
くTE 0n(軸対称モード)による従来のジャイロトロ
ン発振管においては、図6に縦断面図を示すような構造
のビームトンネルを設けていた。図において17はビー
ムトンネルであり、その内径部分には図の上側の空胴側
から下側のMIG側にかけて、それぞれの内径が漸増す
るように複数の円筒部18a,…,18gが配置され、
それらの間にはセラミックスのリング19a,…,19
gを装着しており、空胴側からの電磁波を途中で吸収す
るようにしてMIG側に漏れ出ないようにしている。
【0009】しかし、上述のものをそのままウィスパリ
ングギャラリーモードのジャイロトロン発振管に適用し
ようとすると、円筒部18a,…,18gやリング19
a,…,19g及び両者の間の段差等によってQ値の高
い空胴が形成され、不要モードの発振が発生して正常な
発振が阻害される。またリング19a,…,19gのう
ち空胴側のものは、直径が小さいために吸収する電磁波
からの熱負荷が大きく、冷却が困難な状況となる。
【0010】上記のような空胴の熱負荷が軽減され難い
状況、あるいは不要モードの発振により正常な発振が阻
害される状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目
的とするところは電子ビームや電磁波との干渉なしに同
軸空胴が形成でき空胴の熱負荷が軽減できて大出力が得
られ、また電子ビーム電流を安定したものとし、不要モ
ードの発振が発生しないようにしたジャイロトロン発振
管を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のジャイロトロン
発振管は、陽極および陰極を備え、電子ビームを発生す
る電子銃と、電子銃から出射される電子ビームに磁場が
印加されて電磁波を生成する励振空胴と、電子銃から出
射された電子ビームを励振空胴に導くビームトンネルと
を有するジャイロトロン発振管において、陰極を環状に
構成すると共にこの陰極とビームトンネル及び励振空胴
の少なくとも一部を同軸的に貫通する内導体を設けるこ
とにより、励振空胴の少なくとも一部に同軸空胴を形成
してなることを特徴とするものであり、さらに、ビーム
トンネルが、その内周壁に電波吸収材が被着されてなる
電波吸収部を有し、かつ該ビームトンネル内に漏れ出た
電磁波を電波吸収部に放射し吸収させるための放射器を
備えていることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】上記のように構成されたジャイロトロン発振管
は、内導体が環状の陰極と励振空胴の少なくとも一部を
同軸的に貫通するよう配置されていることで、励振空胴
の少なくとも一部に同軸空胴が形成されている。それ
故、同軸空胴は陰極から放出された電子ビームや発生し
た電磁波との干渉がなく、同軸空胴であるため他のモー
ドとのモード競合が緩和でき、高次の発振モードを使用
できるため空胴の熱負荷が軽減できて大出力が得られる
ようになる。また、ビームトンネルに放射器及び電波吸
収材を有する電波吸収部を設けるようにしており、発振
モードよりも低次のモードの電磁波がビームトンネルに
漏れ出てきても放射器によって漏れ出た電磁波を電波吸
収材に放射し吸収させる。それ故、電子銃まで電磁波が
到達せず電子ビーム電流が安定したものとなり、また不
要モードの発振が発生することもない。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。なお、第1の実施例及び第2の実施例は第1の発
明の実施例であり、第3の実施例及び第4の実施例は第
2の発明の実施例である。
【0014】先ず、第1の実施例を図1により説明す
る。図1は縦断面図で、図において20は管本体であ
り、管本体20には一端部にMIG21が装着され、他
端部にコレクタ22が絶縁材23を介して気密に取着さ
れて中空部20aが形成されている。また管本体20内
にはMIG21とコレクタ22の間の同一軸上にビーム
トンネル24、励振空胴25、テーパ導波管26、モー
ド変換器27が設けられている。空胴25は両端部にテ
ーパ部を有し、中間部に等径部を有し、外方に向かって
漸次小径となる片方側のテーパ部には、ビームトンネル
24のテーパ部の小径側端部が接続されており、また外
方に向かって漸次大径となる他方側のテーパ部には、テ
ーパ導波管26のテーパ部の小径側端部が接続されてい
る。さらにテーパ導波管26が中空部20aに開口した
大径側端部にはモード変換器27のヴラゾフ型の放射器
28が接続され、放射器28の放射方向には対向するよ
うに反射器29が配置されている。そして反射器29の
反射面に対向するように、管本体20の側壁に出力窓3
0を有する出力導波管31が設けられている。
【0015】また、管本体20の一端部に装着されたM
IG21は、固定フランジ32上に各絶縁円筒33,3
4,35を介在させて円環状の陰極36及び円筒状の陽
極37がビームトンネル24や空胴25等と同軸に固着
されている。陰極36は図示しないヒータによって加熱
可能となっており、上部の内周部には環状の電子放出帯
38が設けられている。さらに固定フランジ32には、
陰極36や陽極37及び空胴25等と同軸に断面外形が
円の内導体39が植設されている。内導体39は、空胴
25を貫通する部分ではテーパ形状に形成されており、
その終端はテーパ導波管26の等径部内にあって、電磁
波の反射とモード変換を生じないように外径が漸次小径
となり尖端形状となっている。これにより内導体39に
よって、空胴25の部分には管本体20を外導体40と
する同軸空胴41が形成される。なお、42は同軸空胴
41の外周部分に配置されたマグネットであり、43は
MIG21の陰極36と陽極37の間の外周部分に配置
されたマグネットである。また44,45は管本体20
やコレクタ22及び陽極37にそれぞれ高電圧を印加す
る高電圧電源であり、46は陰極36のヒータを加熱す
るヒータ電源で、それぞれの端子に接続されている。
【0016】このように構成された第1の実施例は、管
本体20内を図示しないイオンポンプによって真空状態
を維持しながらヒータ電源46で陰極36のヒータを加
熱し、加熱された陰極36の上面に設けられた電子放出
帯38から電子を放出させる。そして、同時に高電圧電
源44,45で管本体20やコレクタ22及び内導体3
9さらに陽極37に高電圧が印加されているため、電子
はマグネット43によって形成された軸方向の磁場及び
陰極36と内導体39との間の電界によって旋回運動を
しながら陽極37の方向に進行する。所定の旋回速度と
なった電子は陽極37と管本体20との間で加速され、
ビームトンネル24を通って同軸空胴41に入射する。
そして同軸空胴41において高周波電界との相互作用に
よって発生したウィスパリングギャラリーモードの電磁
波は、テーパ導波管26を経てモード変換器27に伝送
され、TEMモードに変換されて出力導波管31から出
力窓30を介して外部に放射される。なおエネルギを失
った電子はコレクタ22に捕捉される。
【0017】このように内導体39は固定フランジ32
にその片端のみを固着して支持されており、電子ビーム
や電磁波の伝送されるビームトンネル24、同軸空胴4
1、テーパ導波管26の途中の領域等には支持部材など
は存在しない。このため電子ビームや電磁波との干渉が
生じない状態で同軸空胴41が形成されることとなり、
より高次のウィスパリングギャラリーモードでの発振を
他のモードとのモード競合の少ない状態で行うことがで
きる。これによって高次のウィスパリングギャラリーモ
ードでの発振が行え、大出力の電磁波を空胴の熱負荷が
軽減された状況のもとで発生させることができる。
【0018】次に、第2の実施例を図2により説明す
る。なお、第2の実施例は第1の実施例と空胴の構成が
異なるもので、他は同様に構成されるものであるため、
以下相違する構成について説明する。図2は要部縦断面
図で、図において47は管本体であり、管本体47は一
端部にMIG21が装着され、他端部に図示しないコレ
クタが気密に取着されている。また管本体47内には一
端部側から他端部側にかけて同一軸上にビームトンネル
24、空胴48、テーパ導波管26、図示しないモード
変換器が設けられている。空胴48は両端部にテーパ部
を設け、中間部に隣接する内径の異なる2つの等径部を
有する複空胴構造をとっており、ビームトンネル24に
は前置空胴49が接続し、テーパ導波管26には主空胴
50が接続している。前置空胴49は、等径部の内径が
主空胴50の等径部の内径よりも小さく、そのテーパ部
の小径端部がビームトンネル24の小径側端部に接続さ
れており、主空胴50はそのテーパ部の大径端部がテー
パ導波管26に接続されている。
【0019】また、MIG21の固定フランジ32には
円環状の陰極36や円筒状の陽極37及び空胴48と同
軸に断面外形が円の内導体51が植設されている。内導
体51は、長さが固定フランジ32から主空胴50と前
置空胴49の接続部分までの長さであり、前置空胴49
の等径部内ではテーパ形状に形成されている。これによ
り内導体51によって、空胴48の前置空胴49の部分
に管本体47を外導体52とする同軸空胴53が形成さ
れる。
【0020】このように構成された第2の実施例は、第
1の実施例と同様に管本体47内を真空状態を維持しな
がら陰極36の電子放出帯38から電子を放出させ、同
時に高電圧を管本体47や内導体51及び陽極37等に
印加する。電子はマグネット43によって形成された軸
方向の磁場及び陰極36と内導体51との間の電界によ
って旋回運動をしながら陽極37の方向に進行する。所
定の旋回速度となった電子は陽極37と管本体47との
間で加速され、ビームトンネル24を通って同軸空胴5
3に入射し、さらに主空胴50に入射する。そして空胴
48において電子との相互作用で発生した電磁波はテー
パ導波管26を経てモード変換器に伝送され、TEMモ
ードに変換されて外部に放射される。
【0021】このように内導体51は固定フランジ32
にその片端のみを固着して支持されており、電子ビーム
や電磁波の伝送されるビームトンネル24、同軸空胴5
3、主空胴50、テーパ導波管26の途中の領域等には
支持部材などは存在せず、第1の実施例と同様の作用、
効果が得られると共にモード弁別性のよい同軸構造の前
置空胴49、すなわち同軸空胴53でモード選択が行わ
れ、より安定な単一モードの発振を効率よく行うことが
できる。
【0022】次に、第3の実施例を図3により説明す
る。図3は縦断面図で、図において54は管本体であ
り、管本体54には一端部にMIG55が装着され、他
端部にコレクタ56が絶縁材57を介して気密に取着さ
れて中空部54aが形成されている。また管本体54内
にはMIG55とコレクタ56の間の同一軸上にビーム
トンネル58、空胴59、テーパ導波管60、モード変
換器61が設けられている。空胴59は両端部にテーパ
部を有し、中間部に等径部を有しており、またビームト
ンネル58も両端部にテーパ部62,63を有し、中間
部に電波吸収部64を有している。ビームトンネル58
のテーパ部62は管本体54のMIG55が装着された
一端側に向かって漸次大径となるように形成され、端部
はMIG55に対向するように開口し、テーパ部63は
その小径端部が空胴59の片端側のテーパ部の小径端部
に接続されている。なお空胴59の片端側のテーパ部が
ビームトンネル58のテーパ部63と接続する部分の内
径は、発生するウィスパリングギャラリーモードの電磁
波に対してビームトンネル58側に漏れ出すのを遮断す
るような条件に形成されている。
【0023】また、電波吸収部64は管本体54内に軸
方向を同じくするようにした円筒状の中空部64aで形
成されていて、その内径は両端に開口連設するテーパ部
62,63の開口径よりも大径であり、内周壁には損失
の大きい、例えば低純度のアルミナセラミックスあるい
は窒化シリコン等の電波吸収材65が被着されている。
さらに電波吸収部64の中空部64aに開口するテーパ
部63の開口部にはヴラゾフ型の放射器66が接続さ
れ、放射器66の放射方向に電波吸収材65が対向配置
されるようになっている。なお電波吸収部64の中空部
64aの外側には冷却水が流れる流路67が流入出口6
7a,67bを有して形成されている。
【0024】また、空胴59の他端側テーパ部の大径部
にはテーパ導波管60のテーパ部の小径側端部が接続さ
れている。さらにテーパ導波管60の中空部54aに開
口した大径側端部にはモード変換器61のヴラゾフ型の
放射器68が接続され、放射器68の放射方向には対向
するように反射器69が配置されている。そして反射器
69の反射面に対向するように、管本体54の側壁に出
力窓70を有する出力導波管71が設けられている。
【0025】また、管本体54の一端部に装着されたM
IG55は、各絶縁円筒72,73を介在させて陰極7
4及び円筒状の陽極75がビームトンネル58や空胴5
9等と同軸に固着されている。陰極74には環状の電子
放出帯75が設けられ、図示しないヒータによって加熱
可能となっている。なお、76は空胴59の外周部分に
配置されたマグネットであり、77はMIG55の陰極
74と陽極75の間の外周部分に配置されたマグネット
である。また78,79は管本体54やコレクタ56及
び陽極75にそれぞれ高電圧を印加する高電圧電源であ
り、80は陰極74のヒータを加熱するヒータ電源で、
それぞれの端子に接続されている。
【0026】このように構成された第3の実施例は、管
本体54内を図示しないイオンポンプによって真空状態
を維持しながらヒータ電源80で陰極74のヒータを加
熱し、加熱された陰極74の電子放出帯74aから電子
を放出させる。そして、同時に高電圧電源78,79で
管本体54やコレクタ56及び陽極75に高電圧が印加
されているため、放出された電子は中空螺旋運動を行
い、さらにマグネット76によって形成されたミラー磁
界のもとでサイクロトロン運動を行いながらビームトン
ネル58を通り空胴59に入射する。そして空胴59に
おいて高周波電界との相互作用で発生したウィスパリン
グギャラリーモードの電磁波はテーパ導波管60を経て
モード変換器61に伝送され、TEMモードに変換され
て出力導波管71から出力窓70を介して外部に放射さ
れる。なおエネルギを失った電子はコレクタ56に捕捉
される。
【0027】そして、空胴59のテーパ部がビームトン
ネル58と接続する部分の内径が発振モードのウィスパ
リングギャラリーモードに対して遮断条件を満足するよ
うに縮径されて形成されているため、発振モードの電磁
波のビームトンネル58への漏れ出しはないが、空胴5
9の等径部に隣接したテーパ部等のモード変換部分で生
じた発振モードより低次のモードの電磁波がビームトン
ネル58側へテーパ部63を通って漏れ出してくる。漏
れ出した低次のモードの電磁波は放射器66によって内
周壁方向に放射され、電波吸収材65に吸収されてしま
いMIG55には入射しない。そのためMIG55は漏
れ出た電磁波により加熱されることがなく、陰極74か
ら出射する電子ビームの電流が不安定になったり、長パ
ルス動作や連続動作が困難になることがない。また電波
吸収部64は内径が大きい中空部64aで形成されてい
るため、Q値の高い空胴が形成されることがなく、不要
モードの発振が発生して正常な発振を阻害する虞もな
い。さらに電波吸収材65は大径で中空部64aの外側
には冷却水が流れる流路67が形成されているため、吸
収する電磁波からの熱負荷を小さなものすることができ
る。
【0028】次に、第4の実施例を図4により説明す
る。なお、第4の実施例は第3の実施例とビームトンネ
ルの構成が異なるもので、他は同様に構成されるもので
あるため、以下相違する構成について説明する。図4は
要部縦断面図で、図において81は管本体であり、82
は管本体81に形成されたビームトンネルである。ビー
ムトンネル82の中間部には電波吸収部83が設けら
れ、電波吸収部83には管本体81内に軸方向を同じく
するようにした円筒状の中空部83aが形成されてい
て、その内径は両端に開口連設するテーパ部62,63
の開口径よりも大径となっている。また電波吸収部83
の中空部83aに開口するテーパ部63の開口部には円
筒導波管型の放射器84が、その一端部を中空部83a
に突出させるようにして設けられている。
【0029】このように構成された第4の実施例におい
ては、空胴59から発振モードの電磁波がビームトンネ
ル82へ漏れ出さないような遮断条件で形成されている
ため、発振モードの電磁波の漏れ出しはないが、発振モ
ードより低次のモードの電磁波がビームトンネル82側
へテーパ部63を通って漏れ出してくるが、ウィスパリ
ングギャラリーモードの電磁波は放射された後急速に広
がるため、漏れ出した低次のモードの電磁波は放射器8
4によって内周壁方向に放射され、電波吸収材65に吸
収されてしまいMIGには入射しない。このため第3の
実施例と同様の作用、効果を得ることができる。
【0030】尚、上記の第1及び第2の実施例において
は内導体39,51を中実のものとしているが、内部に
冷却材の流路を設けて冷却するようにしてもよく、内導
体39,51の空胴25,48に対応する部分のテーパ
面は発振モードによって波状面としてもよく、さらに第
3及び第4の実施例における電波吸収材65は内周壁の
全面に設ける必要もなく、また厚さも均一である必要が
なく熱負荷に応じて適宜設定されるものであり、第4の
実施例における放射器84は一端部を中空部83aへ突
出させなくてもよく、突出させる場合の突出高さも任意
に設定する等、要旨を逸脱しない範囲内で本発明は適宜
変更して実施し得るものである。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、第1に内導体を設けることで同軸空胴を形成した構
成とすることにより空胴の熱負荷が軽減できて大出力が
得られるようになり、第2にビームトンネルに放射器を
有する電波吸収部を設けた構成とすることにより電子ビ
ーム電流を安定したものとし不要モードの発振が発生し
ないようにする等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す要部縦断面図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施例を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例を示す要部縦断面図であ
る。
【図5】従来例を示す縦断面図である。
【図6】従来例のビームトンネルを示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
20…管本体 21…電子銃 22…コレクタ 25…空胴 32…固定フランジ 36…陰極 39…内導体 41…同軸空胴

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極および陰極を備え、電子ビームを発
    生する電子銃と、 前記電子銃から出射される電子ビームに磁場が印加され
    て電磁波を生成する励振空胴と、前記電子銃から出射された電子ビームを前記励振空胴に
    導くビームトンネルとを有するジャイロトロン発振管に
    おいて、 前記陰極を環状に構成すると共にこの陰極と前記ビーム
    トンネル及び前記励振空胴の少なくとも一部を同軸的に
    貫通する内導体を設けることにより、 前記励振空胴の少
    なくとも一部に同軸空胴を形成してなることを特徴とす
    るジャイロトロン発振管。
  2. 【請求項2】 ビームトンネルが、その内周壁に電波吸
    収材が被着されてなる電波吸収部を有し、かつ該ビーム
    トンネル内に漏れ出た電磁波を前記電波吸収部に放射し
    吸収させるための放射器を備えていることを特徴とする
    請求項1記載のジャイロトロン発振管。
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