JP3133082U - 流体加温パネルヒータ - Google Patents

流体加温パネルヒータ Download PDF

Info

Publication number
JP3133082U
JP3133082U JP2007002794U JP2007002794U JP3133082U JP 3133082 U JP3133082 U JP 3133082U JP 2007002794 U JP2007002794 U JP 2007002794U JP 2007002794 U JP2007002794 U JP 2007002794U JP 3133082 U JP3133082 U JP 3133082U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
panel
heating
fluid
tube
heater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2007002794U
Other languages
English (en)
Inventor
禎久 平山
昭男 荒関
弘昌 大橋
Original Assignee
ピーエス工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ピーエス工業株式会社 filed Critical ピーエス工業株式会社
Priority to JP2007002794U priority Critical patent/JP3133082U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3133082U publication Critical patent/JP3133082U/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Central Heating Systems (AREA)

Abstract

【課題】パネルの温度ムラを低減すると同時に十分な放熱量を得る。
【解決手段】水平方向に延びかつ熱媒体となる流体を内部に通過可能な平板状パネルと、流体を加温する電熱体とを備え、電熱体により加温した流体をパネル内で自然対流させ暖房を行う流体加温パネルヒータで、パネルとして鉛直方向に配列させた複数のパネルを備え、鉛直方向に延びるようにパネルの一端部に配置されかつこれら複数のパネルの各パネルに連通する第一コレクタチューブと、鉛直方向に延びるようにパネルの他端部に配置されかつこれら複数のパネルの各パネルに連通する第二コレクタチューブと、最下部のパネルに沿って水平に延び、かつ、第一及び第二コレクタチューブの各下端部においてこれらのコレクタチューブに連通し、かつ、一端部に電熱体を収容した加温パイプと、加温パイプの長さ方向の中間部と最下部のパネルの長さ方向の中間部とを接続し連通させる分岐パイプとを備える。
【選択図】図7

Description

本考案は、流体加温パネルヒータに係り、特に、熱媒体となる流体を電熱体により温め、自然対流によりパネル内に流通させて暖房を行うヒータの構造に関する。
暖房機器を用いた室内暖房にとって重要なことは、第一に、それを設置した室内の暖房負荷を満たす発熱が暖房機器から放出されることである。しかしながら、居室者にとって快適な暖房空間を実現するにはそれだけでは十分ではない。例えば、窓面や玄関ドアなど断熱性の低い場所で冷やされた空気が室内に向け下降してくる所謂コールドドラフト(下降気流)を食い止め、また、窓面などの冷輻射面への放射として人体から逃げていく熱エネルギを補う必要があり、このような要求を満たすには窓面の直下に放熱器を設置するのが効果的であることが知られている。
一方、このような放熱器を備えた暖房システムとして、セントラルヒーティングが古くから実用化されている。セントラルヒーティングは、ボイラからの温水又は蒸気を循環ポンプと配管を使って強制的に循環させ、室内に設置した放熱器にエネルギを供給することで、輻射と自然対流によって室内の暖房を行う。
ところが、セントラルヒーティングは、ボイラや循環ポンプの設置、温水(蒸気)配管の敷設など大規模な設備と施工工事が必要となり、イニシャルコストとランニングに熱媒体を搬送するエネルギーコストの両コストが掛かる。
そこで本出願人は、窓面直下に設置可能な新たなヒータ装置の研究開発を進め、その提案を先に行った(下記特許文献参照)。このヒータ装置は、パネル状の1本のチューブに熱媒体となる流体を装填し、この流体を電熱体で温めて1枚のパネル内で熱媒体液を水平に自然対流を促進させて暖房を行うものである。
特許第3560241号公報
ところで、窓面からのコールドドラフトを確実に阻止するには、窓の全幅に亘って放熱器を設置する必要があり、この種の放熱器は横長の(例えば1間窓においては放熱器高さ140〜700mm程度に対して放熱器長さ1650mm程度)形状とならざるを得ない。また、さらに快適するため、及び快適さをそのままに室内の上下温度差を少なくし平均温度を下げる(=省エネ)ためには窓面より長くする必要がある。この長さの量は窓面の長さインテリア、エンドユーザーのライフスタイルによって異なり一律にプレス加工のように製造することはできない。そのため必要な長さに切断された水平なチューブ状のものを高さ方向に組合せることによって必要放熱量を満たす放熱器を製造せざるを得ない。一般にチューブを垂直に立てた構造では均一に内部媒体液が自然循環し易く、このように立てたチューブを横に並べることで或る程度任意の長さに製造することもできるが、装置の高さが高く(300mm以上)なりデザインも限られてしまう。一方、チューブを水平に寝かせた構造では熱媒体液は水平に循環しにくく、このため上記のような内部熱媒体液体を自然対流させるパネルヒータでは、パネル(放熱板)の表面温度を均一にすることが難しく、これを解決するため上記特許文献では流体の対流を促進させる機構を備えた。
しかしながら、上記ヒータ装置は単一の放熱板を有するに過ぎないものでコールドドラフトは防げても壁、床、天井からの暖房負荷に対してはそれ単体では十分な放熱量を得ることは出来なかった。また市場からは単体で室内空間の暖房負荷に十分に対応できる装置構造の提供が望まれた。しかも当該装置では、パネルの全面を使用して効率よく熱交換と輻射暖房を行うためにパネルの温度ムラを十分に抑える必要がある一方で、例えば大きな部屋空間を暖房するため大容量の電熱体を内蔵した場合に、電熱体に近いパネルの一部が高温となって火傷の危険性が生じたり、内部の流体が核沸騰を起こして異音を生じるような事態、あるいは逆に、パネルの一部が十分に加温されずにユーザが手で触れて冷たく感じるような事態が生じることは商品として避けなければならない。
したがって、本考案の目的は、水平方向のチューブが高さ方向に複数本組み合わされたパネルの高さ方向に対する温度ムラが少なくかつ十分な放熱量を確保できる新たな装置構造を得ることにある。なお、上記特許文献の装置は単体の水平方向の循環促進を目的にしているのに対し、本考案は複数本パネルの高さ方向の温度ムラの解消を目的としたもので、上記特許文献の装置とは目的がまったく異なるものである。
前記課題を解決し目的を達成するため、本考案に係る流体加温パネルヒータは、水平方向に延びかつ熱媒体となる流体を内部に通すことが可能な平板状のパネルチューブと、前記流体を加温する電熱体とを備え、前記電熱体によって加温した前記流体を前記パネルチューブ内で自然対流させて暖房を行う流体加温パネルヒータであって、前記パネルチューブとして鉛直方向に配列させた複数のパネルチューブを備えるとともに、鉛直方向に延びるように前記複数のパネルチューブの一端部に配置されかつこれら複数のパネルチューブの各パネルチューブに連通する第一コレクタチューブと、鉛直方向に延びるように前記複数のパネルチューブの他端部に配置されかつこれら複数のパネルチューブの各パネルチューブに連通する第二コレクタチューブと、前記複数のパネルチューブのうち最下部に配置したパネルチューブに沿って水平に延び、かつ、前記第一コレクタチューブおよび第二コレクタチューブの各下端部においてこれら第一コレクタチューブおよび第二コレクタチューブに連通し、かつ、一端部に前記電熱体を収容した加温パイプと、当該加温パイプの長さ方向の中間部と前記最下部のパネルチューブの長さ方向の中間部とを接続し連通させる分岐パイプとを備えた。
本考案のパネルヒータでは、鉛直方向に配列した複数のパネルチューブ(単に、パネルという場合もある)を備え、これらのパネルに自然対流によって流体を流してパネル表面を介しての流体と室内空気との熱交換によって、またパネル表面からの輻射によって暖房を行う。各パネルは、左右両端部において第一コレクタチューブおよび第二コレクタチューブと接続されており、これら両コレクタチューブは下端部において加温パイプに接続されている。
加温パイプ内には、その一端部に電熱体(電気の投入により熱を生じる発熱体)を内蔵してあり、この電熱体によりヒータ内部に装填した流体を加熱する。この電熱体による加熱により熱媒体となる流体は、自然対流によって次のようにヒータの内部を循環する。
加温パイプ内で電熱体によって温められた流体は、加温パイプと連通する第一コレクタチューブ内に浸入し、この第一コレクタチューブ内を上昇しつつ当該第一コレクタチューブに一端部が連通する各パネルチューブ内に流れ込む。パネルチューブ内に流れ込んだ流体は、当該パネルチューブの他端部に向け各パネルチューブ内を水平に流れ、その間に室内空気と熱交換を行い、また、パネル表面から輻射熱を放出する。そして熱交換により冷えた流体は、各パネルチューブの他端部から第二コレクタチューブに集められ、このチューブ内を下降して加温パイプの他端部から当該加温パイプ内に流れ込み、加温パイプ内を電熱体が設置された一端部に向け流れて戻る。
一方、上記の流体の流れとは別に、加温パイプの一端部で温められた一部の流体は、当該加温パイプの中間部に設けた上記分岐パイプを通って最下部に配したパネルチューブ(以下、下端パネルという)に浸入し、これを温める。この下端パネルは、本考案のように複数のパネルチューブを縦方向に配列させたヒータ装置を開発する中で、最も表面温度が低く温まり難かったパネルである。本考案では、この下端パネルに上記のような分岐パイプを設けて高温の流体を供給することで、これを温め、上下パネル間の温度差を低減する。この具体的な効果については、後の実施の形態の説明において実測データと共に詳しく述べる。
上記分岐パイプの好ましい構造としては、当該分岐パイプをパネルチューブの背面側に配し、加温パイプの長さ方向の略中央位置と、下端パネルの長さ方向の略中央位置とを接続するものとする。また、加温パイプの断面における略最上位置に一端が接続され、略90°の弧をなすように下端パネルの背面に向け延びて当該下端パネルに接続するエルボ管により当該分岐パイプを構成しても良い。加温パイプ内で温められた流体をスムーズに下端パネルに導いて温度が最も上がり難い下端パネルの温度を上昇させるためである。
また、上記電熱体は、加温パイプの一端部から他端部に向け当該加温パイプ内に略水平に突出するように備えることが好ましい。パネルチューブと略同程度の長さを有する加温パイプ内に電熱体を横たわるように配置することで、実質的に電熱体の容量(長さ)の制約を受けることが無くなり、大容量の電熱体を使用することが可能となる。
さらに、上記複数のパネルチューブの表面および裏面のいずれか一方または双方に放熱フィンを設けても良い。熱交換効率を向上させるためである。またこのように放熱フィンを設ける場合には、当該放熱フィンは、鉛直方向に配列された略総ての(加温パイプおよび分岐パイプを配するため、最下端のパネルは除外しても構わない)パネルチューブに架け渡されるように設置することが望ましい。このような構造とすれば、パネルから室内に向けての放熱量を増やせるだけなく、放熱フィンを通じた熱伝導により上下パネル間の温度ムラを抑制することも可能となる。
本考案のパネルヒータでは、上記パネルチューブを例えば2本以上10本以下の枚数備えることがあり、また複数枚あるパネル全体として、長さを例えば500mm以上2600mm以下とし、かつ、高さを例えば140mm以上736mm以下とする場合がある。これにより、例えば窓下に設置してコールドドラフトを阻止し、かつ暖房負荷に対し十分な放熱量を得ることが可能となる。なお、本考案のヒータの使用場所は、窓下に限定されるものではないことは勿論である。また本考案のヒータで使用可能な流体は、典型的には水(温水)であるが、これに限定されず、オイルその他の流体、またはこれらに凍結防止剤などを混合させた流体を適宜使用することも可能である。
本考案に係る流体加温パネルヒータによれば、パネルの温度ムラが少なくかつ十分な放熱量を得ることが出来る。
本考案の他の目的、特徴および利点は、以下の本考案の実施の形態の説明により明らかにする。尚、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
図1から図7は、本考案の一実施形態に係る流体加温パネルヒータを示すものである。これらの図に示すように本実施形態に係るヒータ11は、閉管路内に流体を装填しこれを電熱体21により温めて自然対流(循環)させ、平板状の放熱器(パネルチューブ)12内に流通させて当該放熱器12と室内空気との間で熱交換を行うことにより、また、当該放熱器12からの輻射により暖房を行うもので、放熱器12として、鉛直方向に配列させた4枚の平板状の中空パネル12a〜12dを備える。
各中空パネル12a〜12dは、左右を閉塞した扁平な金属管(鋼管)からなり、背面側の左右両端部に、供給側コレクタ13aおよび戻り側コレクタ13b(後述する)に連通する孔20(図7参照)を備えている。また、これらパネル12a〜12dの背面には、襞状に折り曲げた金属板からなる放熱フィン16を設ける。この放熱フィン16は、両コレクタ13a,13b間の各パネル12a〜12cの略全長に亘って配してあり、各パネル12a〜12cの背面に例えば溶接することにより固定する。なお、本実施形態では、加温パイプ14と分岐パイプ15(後述する)を設置するため、放熱フィンは上部3枚のパネル12a〜12cにのみ設置し、下端パネル12dには設けていない。また図7では、上記放熱フィン16と、後に述べる制御ボックス22(ヒータエレメント21の右側端部に設置する)とを省略して示している。
パネル12a〜12dの背面側の一端部(正面から見て右端/後に述べるヒータエレメント21及び制御ボックス22の設置側端部)には、加温された流体を各パネル12a〜12dに供給する供給側コレクタ(第一コレクタチューブ)13aを設ける。一方、パネル12a〜12dの背面側の他端部(正面から見て左端)には、各パネル12a〜12d内を水平に流れ進んだ流体を集めて下方へ流し、加温パイプ14(後述する)に導く戻り側コレクタ(第二コレクタチューブ)13bを設ける。なお、以降の説明では、特に断らない限り、「左」および「右」はヒータ11の正面(図1)を基準としている。
供給側および戻り側の各コレクタ13a,13bは、上下両端を閉塞した角形の中空パイプからなり、各パネル12a〜12dと連通する孔をそれぞれ有すると共に(図7参照)、下端部に設置される加温パイプ14(後述する)と連通する孔(図示せず)をそれぞれ備えている。これら各コレクタ13a,13bの下端部には、加温パイプ14を設置する。この加温パイプ14は、両端部を閉塞した断面円形の中空パイプからなり、右端部と左端部とに孔を有してこれらの孔を介してそれぞれ供給側コレクタ13aと戻り側コレクタ13bとに連通すると共に、右端からパイプ14内に水平に突出するようにヒータエレメント(発熱体/以下、単にエレメントという)21を内蔵させてある。
エレメント21は、電熱線を内部に備えており、パネル12の右側端部に固定した制御ボックス22を通じて電力が供給されることにより発熱する。制御ボックス22には、エレメント21への電源投入をオンオフするスイッチや、温度調整(発熱量調整)用のダイヤルスイッチを備えており、そのほか、運転中であることを知らせるパイロットランプや、所望の設定時間経過後にエレメントへの電源投入を遮断ないし実行するタイマなどを備えても良い。なお、制御ボックス22から延びる電源コードは図示していない。
加温パイプ14の長さ方向中央には、当該加温パイプ14から分岐する分岐パイプ15を設ける。この分岐パイプ15は、90°の弧を描くように湾曲したエルボ管により構成し、加温パイプ14の天井面(断面における最上位置)から上方へ向け分岐して弧状に湾曲して下端パネル12dの背面に接続する。したがって、加温パイプ14内でエレメント21により温められた温水は、当該加温パイプ14の天井面を伝って分岐パイプ15内に上昇して入り込み、分岐パイプ15を通って下端パネル12d内にスムーズに流れ込む。
図7は、本実施形態のヒータ11における流体の流れを示すものである。この図に示すように本実施形態のヒータ11では、加温パイプ14の内部でエレメント21によって温められた流体は、供給側コレクタ13aに浸入して当該コレクタ13a内を上昇し、パネル右端の連通孔20から各パネル12a〜12d内に入り込む。パネル12a〜12d内に入った流体は各パネル12a〜12d内を右端から左端に向け水平に進行し(図7は背面側から見ているため左右が逆になっている)、左端の連通孔20を通じてパネル12a〜12dから出て戻り側コレクタ13bの内部に流れ込む。
この各パネル内の流動の間に、室内空気と熱交換が行われ、パネル12a〜12dの表面および裏面から輻射熱を放出することにより暖房が行われる。熱交換および輻射により温度が下がり、戻り側コレクタ13bに集められた流体は、当該戻り側コレクタ13b内を下降して加温パイプ14に流れ込んだ後、加温パイプ14内を右方へ流れてエレメント21が設置された加温パイプ右端部に戻り、再びエレメント21により加温されて供給側コレクタ13aに供給される。
一方、このような流体の流れとは別に、エレメント21で加温された流体の一部は、加温パイプ14の上部を通って左方へ進行して分岐パイプ15に流れ込み、下端パネル12dに供給されて運転中最も温度が上がり難い下端パネル12dの温度上昇に寄与する。
なお、ヒータ内における上記流体の流れは、分岐パイプ15を設けることにより実際には単純に上記のような2つの流れだけではなく、加温パイプ14ならびに下端パネル12dの内部で、乱流が生じるなど複雑な流れとなっていることも予想される。しかしながら、後に述べるように、現実に作製した試作品において分岐パイプ15を設けることによってパネル表面の温度が均一化されることが確認されており、本考案ないし本実施形態の装置構造を採用すれば、パネル12の温度ムラを抑制しかつ十分な放熱量を得ることが出来るヒータを構成することが可能である。
〔実施形態に係るヒータの特長と開発経緯〕
図9および図10は、本考案の背景となる流体加温パネルヒータを示すものである。このパネルヒータ31は、本考案に係る製品の開発にあたって当初作製されたもので(以下、比較例と称する)、これらの図に示すように上記実施形態のヒータ11と同様に複数のパネルチューブ12a〜12dと、それらの背面側左右両端部に設けたコレクタ13a,13bと、ヒータ内部の流体を加温するヒータエレメント21とを備えているが、前記実施形態と異なり、加温パイプおよび分岐パイプを備えず、エレメント21を供給側コレクタ13aの内部に設置したものである。
この比較例のヒータ31は、前記実施形態のヒータ11と同様に、エレメント21により温めた流体をコレクタ13a,13bと各パネル12a〜12d内を自然対流により循環させて暖房を行うことは出来る。しかしながら、次の2つの点で製品として未だ十分なものとは言えなかった。
第一に、大容量のヒータを構成することが出来ない点である。具体的には、パネル12a〜12dからの放熱量を増やすにはヒータエレメント21の容量を大きくする必要があるが、容量の大きなエレメントは一般にその長さが長くならざるを得ない。一方、ヒータ31(コレクタ13a)の高さは、例えば窓面直下への配置を可能とするために高さが制限される(例えば280mm程度)。このため、上記ヒータ構造では、容量の大きなエレメントを内蔵させることが出来ず、発熱量に限界があった。また仮に発熱量の大きなエレメントを内蔵させることが出来たとしても、エレメントの周囲(供給側コレクタ内)で核沸騰が起き、この種の製品としては相応しくない沸騰音が生じてしまう不都合があった。
第二に、パネル表面の温度ムラが大きい点である。一般に、この種の暖房機器(室内に設置されて居室者が手で触れることが出来るパネルヒータ)では、例えば70℃以上の高温部分が生じたり、逆に、手で触れて冷たく感じるような低温部分があると、安全性ならびにユーザにとっての使用満足度の点から商品として提供するには適切でない。ところが、上記のようなヒータ31では、このような高温部ならびに低温部を生じないようにパネル12a〜12dの表面温度を均一化し、しかも平均表面温度を一定のレベル以上にすることは困難であった。
これに対し、本考案ないし前記実施形態によれば、上記のような問題を克服し、極端に高温の部分や低温の部分の無い、しかも平均表面温度の高いヒータを実現することが出来る。
〔パネル表面の温度測定〕
下記表1は上記比較例(図9〜図10)に係るヒータ31のパネルの表面温度を測定した結果を示すものであり、表2と表3は前記実施形態(図1〜図7)に係るヒータ11のパネルの表面温度を測定した結果を示すものである。測定は、電源を投入してから1時間後、2時間後および3時間後にパネル12a〜12dの複数の点について放射温度計により行った。パネル上の測定点は、図11および図12に示すように、比較例(図11)の装置31と実施形態(図12)の装置11とで同一であり、それぞれ4枚の各パネル12a〜12dの左右両端部(左端および右端からそれぞれ150mmの位置)と中央との合計12箇所である。各表において丸で囲んだ各数字と、図11と図12においてパネルの測定位置を示す丸で囲んだ各数字とがそれぞれ対応している。また各表内の数字は温度を示し(単位:℃)、T0は室温である。
また、パネル12a〜12dの全長Lは共に1600mmであり、比較例(表1)のヒータは650Wのヒータエレメントを、実施形態のうち表2のヒータは同じく650Wのエレメントを、また表3のヒータは950Wのエレメントをそれぞれ内蔵した。なお、前記実施形態の装置構造によれば、ヒータの略全長に亘って延びる長尺の加温パイプ14の内部にエレメント21を設置するから、実質的にエレメント21の長さに制約が無く、大容量の長いエレメントを使用することが可能である。
上記測定結果から分かるように、比較例に係るヒータでは、3時間経過した定常運転状態で最高温度が86℃、最低温度が32℃、パネル全体の平均温度が51℃であるのに対し、実施形態に係る第一のヒータ(表2/650Wのエレメント内蔵)では、最高温度が66℃、最低温度が34℃、パネル全体の平均温度は51℃となって、最高温度を抑えると同時に最低温度を上昇させてパネル全体の温度を均一化することが出来た。また、大容量(950W)のエレメントを内蔵させた実施形態に係る第二のヒータ(表3)では、最高温度が77℃で比較例より最高温度を低減しつつ、最低温度を43℃に向上させ、パネル全体の平均温度を60℃に高めることが出来た。
さらに、本出願に添付した図13(参考資料1)〜図14(参考資料2)は、上記比較例、上記実施形態の第一ならびに第二の各ヒータにおけるパネル表面温度を測定したサーモグラフィーである。図13の参考資料1は電源投入後1時間経過した後の状態を、図14の参考資料2は電源を投入して1時間経過した時点で電源を切り、その15分後の状態をそれぞれ示すもので、各参考資料において画像1は上記比較例のヒータ、画像2は上記実施形態の第一のヒータ、画像3は大容量(950W)のエレメントを内蔵した実施形態の第二のヒータに関するものである。なお、室温は13℃であった。
参考資料1(図13)の画像1から分かるように、比較例のヒータでは、エレメント上部のパネル部分に90℃の高温部が形成されており、安全上これを除去することが望ましい。また、このヒータでは、50℃以上となっているのは最上部のパネルだけであり、右下部分は極端に温度が低く、全体として温度ムラが大きい。
これに対して、実施形態の第一のヒータ(参考資料1画像2)では、同一容量のエレメントであるにもかかわらず、極端な高温部が無くなり、体温より高い領域(40℃以上)がパネル全体の大きな面積を占めている。さらに実施形態の第二のヒータ(参考資料1画像3)によれば、パネルの略全域が体温より高く(40℃以上)することができ、かつ、高温部(75℃以上)は生じていない。なお、パネルからの上昇気流も増大していることが確認することが出来る。
また、電源を切った後にも、実施形態のヒータ(参考資料2(図14)の画像2,3参照)は室温以上の表面温度となっている部分が多く(第二のヒータ(画像3)では略全域)、比較例のヒータ(参考資料2の画像1参照)と比べて暖房効果を良好に発揮している。
したがって、電力会社によっては、暖房や融雪用の電力として断続的に電力供給を行う(一定時間毎、例えば15分毎に電力供給が継断(オンオフ)される)代わりに、電力料金を格安にするサービスが提供されているが(例えば北海道電力株式会社の「ホットタイム22」)、このような断続的な電力を利用する場合であっても、本実施形態のヒータによればパネル表面が極端に低温となってしまうことがなく、低コストで連続した効率的な暖房効果を得ることが出来る。
以上、本考案の実施の形態について説明したが、本考案はこれらに限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者にとって明らかである。
例えば、前記実施形態ではパネルを4枚としたが、2〜3枚または5枚以上のパネルを設けることも出来る。パネルの長さについても、要求される暖房負荷に対応して様々に変更することが可能である。さらに、図面ではヒータを支持するための手段を示していないが、床面に支持するための脚や台座、壁面などに固定するための支持部材等を適宜備えることが出来る。
また、前記実施形態では、コレクタチューブをパネルチューブの背面に設置したが、図8に示すようにコレクタチューブ(供給側コレクタ13aおよび戻り側コレクタ13b)をパネルチューブ12の左右両端部に設置することも可能である。なお、この構造では、コレクタ13a,13bとパネル12との連通孔を両者の接合面(コレクタ13a,13bの内側面とパネル12の端面)とにそれぞれ形成して両者を連通させ、前記実施形態と同様に流体が循環するようにすれば良い。
本考案の一実施形態に係る流体加温パネルヒータを示す正面図である。 前記実施形態に係る流体加温パネルヒータを示す背面図である。 前記実施形態に係る流体加温パネルヒータを示す底面図である。 前記実施形態に係る流体加温パネルヒータ(ヒータエレメント及び制御ボックスを外した状態)の正面側を示す斜視図である。 前記実施形態に係る流体加温パネルヒータ(ヒータエレメント及び制御ボックスを外した状態)の背面側および底面側を示す斜視図である。 前記実施形態の流体加温パネルヒータ(ヒータエレメント及び制御ボックスを外した状態)における分岐パイプの設置部分を拡大して示す斜視図である。 前記実施形態の流体加温パネルヒータにおける流体の流れを示す図である。 前記実施形態に係る流体加温パネルヒータの変形例を示す底面図である。 前記実施形態の比較例に係る流体加温パネルヒータを示す正面図である。 前記比較例に係る流体加温パネルヒータを示す背面図である。 前記比較例に係る流体加温パネルヒータの表面温度の測定点を示す正面図である。 前記実施形態に係る流体加温パネルヒータの表面温度の測定点を示す正面図である。 前記比較例、前記実施形態の第一ならびに第二の各ヒータにおけるパネル表面温度(電源投入後1時間経過した後の状態)を測定した結果を示すサーモグラフィーである。 前記比較例、前記実施形態の第一ならびに第二の各ヒータにおけるパネル表面温度(電源を投入して1時間経過した時点で電源を切り、その15分後の状態)を測定した結果を示すサーモグラフィーである。
符号の説明
11,31 流体加温パネルヒータ
12,12a,12b,12c,12d パネルチューブ
13a コレクタチューブ(供給側コレクタ)
13b コレクタチューブ(戻り側コレクタ)
14 加温パイプ
15 分岐パイプ
16 放熱フィン
20 連通孔
21 ヒータエレメント
22 制御ボックス

Claims (8)

  1. 水平方向に延びかつ熱媒体となる流体を内部に通すことが可能な平板状のパネルチューブと、前記流体を加温する電熱体とを備え、前記電熱体によって加温した前記流体を前記パネルチューブ内で自然対流させて暖房を行う流体加温パネルヒータであって、
    前記パネルチューブとして鉛直方向に配列させた複数のパネルチューブを備えるとともに、
    鉛直方向に延びるように前記複数のパネルチューブの一端部に配置されかつこれら複数のパネルチューブの各パネルチューブに連通する第一コレクタチューブと、
    鉛直方向に延びるように前記複数のパネルチューブの他端部に配置されかつこれら複数のパネルチューブの各パネルチューブに連通する第二コレクタチューブと、
    前記複数のパネルチューブのうち最下部に配置したパネルチューブに沿って水平に延び、かつ、前記第一コレクタチューブおよび第二コレクタチューブの各下端部においてこれら第一コレクタチューブおよび第二コレクタチューブに連通し、かつ、一端部に前記電熱体を収容した加温パイプと、
    当該加温パイプの長さ方向の中間部と前記最下部のパネルチューブの長さ方向の中間部とを接続し連通させる分岐パイプと、
    を備えたことを特徴とする流体加温パネルヒータ。
  2. 前記分岐パイプは、
    前記パネルチューブの背面側に配され、
    前記加温パイプの長さ方向の略中央位置と、前記最下部のパネルチューブの長さ方向の略中央位置とを接続するものである
    請求項1に記載の流体加温パネルヒータ。
  3. 前記分岐パイプは、
    前記加温パイプの断面における略最上位置に一端が接続され、略90°の弧をなすように前記最下部に配したパネルチューブの背面に向け延びて当該最下部に配したパネルチューブに接続するエルボ管である
    請求項1または2に記載の流体加温パネルヒータ。
  4. 前記電熱体は、前記加温パイプの一端部から他端部に向け当該加温パイプ内に略水平に突出するように備えてある
    請求項1から3のいずれか一項に記載の流体加温パネルヒータ。
  5. 前記複数のパネルチューブの表面および裏面のいずれか一方または双方に、放熱フィンを設けた
    請求項1から4のいずれか一項に記載の流体加温パネルヒータ。
  6. 前記放熱フィンは、前記鉛直方向に配列された略総てのパネルチューブに架け渡されるように設置してある
    請求項5に記載の流体加温パネルヒータ。
  7. 前記パネルチューブを、2枚以上10枚以下備えた
    請求項1から6のいずれか一項に記載の流体加温パネルヒータ。
  8. 前記鉛直方向に配列させた複数のパネルチューブは、全体として、長さが500mm以上2600mm以下でありかつ高さが140mm以上736mm以下である
    請求項1から7のいずれか一項に記載の流体加温パネルヒータ。
JP2007002794U 2007-04-18 2007-04-18 流体加温パネルヒータ Expired - Lifetime JP3133082U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007002794U JP3133082U (ja) 2007-04-18 2007-04-18 流体加温パネルヒータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007002794U JP3133082U (ja) 2007-04-18 2007-04-18 流体加温パネルヒータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3133082U true JP3133082U (ja) 2007-06-28

Family

ID=43283777

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007002794U Expired - Lifetime JP3133082U (ja) 2007-04-18 2007-04-18 流体加温パネルヒータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3133082U (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7355148B2 (en) Temperature exchanging element made by extrusion, and its applications
CN105520429B (zh) 一种太阳能热水盘管昼夜两用暖床
CN202747467U (zh) 一种暖风机
JP4560449B2 (ja) 循環式貯湯給湯システム
JP3133082U (ja) 流体加温パネルヒータ
WO2011033138A1 (es) Elemento de calefacción
JP5396248B2 (ja) 個別空間用空調システム
CN201001540Y (zh) 一种水循环保暖床垫
JP2010210113A (ja) ハイブリッドパネルヒーター
CN207610266U (zh) 一种水电一体散热器系统
CN201059671Y (zh) 电热式地板采暖装置
KR100585274B1 (ko) 침대의 난방장치
CN214094673U (zh) 一种墙暖和墙暖系统
CN205125681U (zh) 一种利用热管作换热元件的冷暖床垫或坐垫
CN215637497U (zh) 家用暖气暖炕一体机
CN220287572U (zh) 一种一体式取暖器
CN204574241U (zh) 一种水暖散热器
CN204084558U (zh) 全对流采暖器
CN216047999U (zh) 基于紫红石英玻璃管的防爆取暖器
CN212930197U (zh) 一种电加热自动循环系统
KR200365808Y1 (ko) 침대의 난방장치
US11243011B2 (en) Heat emitting radiator
KR200475893Y1 (ko) 하이브리드 방열패널
CN216557324U (zh) 一种地热能地暖
CN213746994U (zh) 一种水暖室内增温器

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070419

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130606

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term