JP3127626B2 - 液晶表示パネル - Google Patents

液晶表示パネル

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JP3127626B2
JP3127626B2 JP29623392A JP29623392A JP3127626B2 JP 3127626 B2 JP3127626 B2 JP 3127626B2 JP 29623392 A JP29623392 A JP 29623392A JP 29623392 A JP29623392 A JP 29623392A JP 3127626 B2 JP3127626 B2 JP 3127626B2
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清治 田沼
貴 笹林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示パネルに係わ
り、電圧−透過率特性の変化の度合を緩和するために画
素電極の領域にプレチルト角:θの分布をもたせた際、
バスラインの電位の影響によって配向が乱れることを抑
えてなる液晶表示パネルに関する。
【0002】近年、半導体装置を中心とした電子デバイ
スの進展によって、電子機器の小形軽量化が目覚まし
い。それに伴って、人間と機械のインタフェースの要素
デバイスの1つである表示装置の小形軽量化も進められ
ている。
【0003】表示装置の中でも液晶表示装置は、昨今の
新しい液晶材料と駆動方式の開発、表示素子の製造技術
の改良などによって、民生用のTVやいろいろな情報機
器のCRT表示装置に代替する表示装置として注目され
ている。しかし、安定した表示品質を維持するために
は、まだまだ改良の余地が残されている。
【0004】
【従来の技術】液晶表示パネルは、粘稠な液状の液晶の
中で分子を動かして、偏光などの光学的効果を利用して
表示を得ようとするものである。かつては応答が遅いの
で、液晶表示パネルを用いた液晶表示装置は動画のよう
な動きの速い表示には向かないといわれていた。
【0005】ところが、TN(ねじれネマチック) とか
STN(スーパTN)と呼ばれる新しい液晶材料が開発
される一方、TFT(薄膜トランジスタ)を画素ごとに
配列してスイッチングするアクティブマトリックス方式
が実現して、今では液晶表示装置が最も注目されるよう
になっている。
【0006】図はTFT駆動式の液晶表示パネルの一
例の構成断面図、図は液晶表示パネルの電圧−透過率
特性の一例の説明図、図はプレチルト角分布形の液晶
表示パネルの一例の主要部の平面図である。図におい
て、1は走査バスライン、2はデータバスライン、3は
画素電極、4は基板、5は配向膜、6は液晶、7は対向
基板、8は共通電極、9は偏光板、10は液晶表示パネル
である。
【0007】図において、液晶表示パネル10は、2枚
の透明で平滑なガラス基板4、7の間隙に液晶6が挟ま
れた構成になっている。一方の基板4には画素電極3
と、その画素電極3の周りにバスライン1、2が格子状
に設けられている。そして、少なくとも画素電極3は透
明でなければならないので、通常は透明なITO(イン
ジウム−錫酸化物)膜によって形成されている。そし
て、バスライン1、2や画素電極3の上に配向膜5が塗
着されている。
【0008】他方の対向基板7には、共通電極8として
ITO膜が全面に被着されており、対向する基板4の画
素電極3との間に電圧が印加されるようになっている。
そして、その共通電極8の上にも配向膜5が塗着されて
いる。こゝでは図示してないが、カラー表示を行う場合
には、画素電極3に対応したR(赤)、G(緑)、B
(青)の微細なカラーフィルタが設けられる。
【0009】配向膜5は例えばポリイミドの薄い塗膜
で、ラビング処理して微細な引っ掻き傷を設けると、液
晶6の分子が所定の傾きいわゆるプレチルト角をもって
ラビングの方向に平行に配向する。そこで、例えばTN
型液晶の場合には、基板4と対向基板7のラビングの方
向が直交するように配設すると、液晶6が90°捻じれ
て配向する。STN型液晶ならば、例えば270°捻じ
れるように配設される。また、基板4、7の両側には、
例えば偏光面がそれぞれの基板4、7の配向方向と平行
に偏光板9が設けられている。
【0010】ところでこゝでは図示してないが、バスラ
インは、走査バスラインとデータバスラインが格子状に
交差して画素電極3の周囲に配設されており、TFTを
介してそれぞれの画素電極3に連なった構成になってい
る。
【0011】いま、電極3、8間に電圧が印加されてな
いときは 光の偏光面が液晶6の中で90°偏向して透
過する。また、電圧が印加されると液晶6の配向が解け
て光の偏向が起こらなくなる。その結果、画素電極3に
対応した液晶6がライトバルブとして作用し、光が偏光
板9を通過できなくなって遮断される。こうして、画素
電極3が選択されながら表示が行われる。
【0012】このような液晶6の配向性を利用した液晶
表示パネル10には、通常TN型液晶がよく用いられる。
そして、カラーフィルタが組み込まれればカラー表示を
行うことができ、印加する電圧を制御すれば透過率が可
変されて階調表示も行うことができる。
【0013】ところで、TN型液晶を用いたTNモード
における電圧−透過率特性、つまり電圧に対する透過率
の変化の度合は図に示す通りである。この特性は、変
化の度合が急峻なSTN型液晶を用いたSTNモードに
比べれば変化の度合は緩慢である。しかし、例えば16
階調といった多階調表示を行うにはもっと傾きが緩慢で
あって欲しい。そこで、電圧−透過率特性を改善するた
めに、かつて発明者らは「液晶表示パネル(特開昭62−
159119) 」において、一つの画素の中で液晶の配向が解
けるしきい値電圧に分布をもたせるいろいろな手段を提
案している。
【0014】その中の一手段によれば、一つの画素の中
にプレチルト角の大きな領域と小さな領域、つまりしき
い値電圧の低い領域と高い領域を設ける。そうすると、
電圧−透過率特性はしきい値電圧の低い透過率特性と高
い透過率特性が合成されるので、図5に破線で示したよ
うに変化の度合を緩慢にすることができる。
【0015】このようなプレチルト角分布形の液晶表示
パネルの一例は、図に示したように一つの画素電極3
を二分し、プレチルト角が一方が大きくなるように、他
方が小さくなるようにする。そして、このような異なる
プレチルト角を付与した構成は、配向膜5のラビング操
作や膜素材の選択によって実現できる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところが近年、表示容
量の増大や画素の高精細化が進み、走査バスラインやデ
ータバスラインなどのバスラインと画素電極の間隙が狭
くなってくるにつれて、バスラインの近傍の液晶の配向
の均一性が乱れてくることが分かってきた。この原因
は、バスラインと画素電極間の電界やバスラインのパタ
ーニング上の段差によるものである。そして、液晶が本
来立ち上がる向きとは逆向きに立ち上がる液晶分子が現
れてしまう。
【0017】そこで本発明は、画素電極の周縁部のバス
ラインに近い液晶のプレチルト角を大きく設定し、バス
ラインの影響を抑えるようになした液晶表示パネルを提
供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上で述べた課題は、格子
状に並設された走査バスラインとデータバスラインの格
子の中に配設された画素電極の領域内に、液晶のプレチ
ルト角:θの分布を有するTFT駆動式の液晶表示パネ
ルにおいて、前記プレチルト角:θは、前記画素電極
の、中央領域のプレチルト角:θ1 と、前記バスライン
に近接した周辺領域のプレチルト角:θ2 の関係が、θ
1 <θ 2 であるように構成された液晶表示パネルによっ
て解決される。
【0019】
【作用】図は液晶の配向不具合の説明図で、図
(A)は配向不具合が生じている状態、図(B)は配
向不具合が抑えられた状態である。
【0020】図3(A)において、基板4の上に走査バ
スライン1やデータバスライン2、画素電極3が設けら
れ、その上の全面に配向膜5が被着されている。そして
液晶6が所定の配向状態になるように配向膜5が矢印の
方向にラビング処理されている。ところが、バスライン
1、2と画素電極3の間に掛かる電界によって、液晶6
の配向に乱さが発生する。
【0021】つまり、プレチルト角:θ1 で等しく一様
に配向して欲しい液晶6の分子が、例えば走査バスライ
ン1を挟んでプレチルト角:−θ1 の逆方向に立ち上が
る配向不具合が起こる。この配向の不具合が走査バスラ
イン1の上下どちら側の領域に発生するかは、ラビング
の方向に依存することが分かっている。
【0022】すなわち、図(A)に示したようなラビ
ングの方向が右上がりまたは左上がりの場合には、走査
バスライン1の上側の領域に液晶が逆方向に立ち上がる
状態が起こり易い。逆に、ラビングの方向が右下がりま
たは左下がりの場合には、走査バスライン1の下側の領
域に液晶の配向不具合が起こる傾向がある。
【0023】そこで、図(B)に示したように、画素
電極3を、電界の影響を受けない中央領域3aと電界の影
響を受ける周辺領域3bに分け、中央領域3aのプレチルト
角:θ1と周辺領域3bのプレチルト角:θ2がθ1<θ2
なるようにしている。
【0024】そうすると、周辺領域3bの液晶6が逆方向
に立ち上がる配向不具合を防ぐことができる。また、一
つの画素電極3に対して二つの電圧−透過率特性をもっ
た液晶が分布されて、急峻な立ち上がりを緩和すること
も可能となる。
【0025】
【実施例】図1は本発明の実施例の主要部の平面図であ
る。図において、1は走査バスライン、2はデータバス
ライン、3は画素電極、3aは中央領域、3bは周辺領域、
4は基板、5は配向膜、10は液晶表示パネルである。
【0026】図1において、画素数が640×400の
TFT駆動形の液晶表示パネル10の基板4には、走査バ
スライン1はデータバスライン2が格子状に並設されて
おり、図示してないTFTを介してそれぞれの画素電極
3に接続されている。それぞれのバスライン1、2と画
素電極3との間隔は5μm、画素のピッチは両方向とも
に80μmとなっている。
【0027】画素電極3の中央領域3aには、40×40
μmでプレチルト角:θ1 ≒1°の左下がり斜線で示し
た配向膜5を設け、それ以外の右下がり斜線で示した周
辺領域3bには、プレチルト角:θ2 ≒8°の配向膜5を
設ける。つまり、θ1 <θ2の関係になっている。
【0028】こうして構成された基板4は、図示してな
いが、共通電極が設けられた対向基板と所定の間隙をも
って封止されたあと液晶が封入されて液晶表示パネル10
ができあがる。
【0029】こうして、バスライン1、2に近接する周
辺領域3bのプレチルト角:θ2 が大きいと、バスライン
1、2と画素電極3間の電界によって液晶の配向が乱れ
ることが抑えられる。因みに、図に示したような配向
膜5の配置では全画素の90%の画素のプレチルト角:θ
が小さい領域に配向不具合が生じたのに対して、こゝで
例示した液晶表示パネル10では配向不具合が生じなかっ
た。また、良好な電圧−透過率特性が得られた。
【0030】ところで、一つの液晶表示パネル10の中で
液晶のプレチルト角:θをいろいろ変えるには、液晶の
配向膜の素材の種類を変えることによって行うことがで
きる。例えば配向膜の素材としてよく用いられるポリイ
ミドの場合には、種々の官能基で変性するといろいろな
プレチルト角:θを示す。
【0031】また、配向膜のラビング処理、つまりラビ
ングの回数を増やすとプレチルト角:θが小さくなって
くるので、この手段によってもプレチルト角:θをいろ
いろ変えることができる。
【0032】さらに、画素電極3を中央領域3aとか周辺
領域3bとかに分けるには、フォトリソグラフィ技術によ
ってレジストを塗り分けて処理すれば、所定の領域に所
定のプレチルト角:θを得ることができる。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、プレチルト角:θが異
なるTN型液晶を画素電極内に分布させて電圧−透過率
特性の変化の度合を緩慢にし、しかもバスラインの電位
に起因する配向の乱れも抑えることができる。
【0038】その結果、TN型液晶を用いた多階調表示
の表示性能を向上させることが可能となり、特にTFT
駆動式でカラー表示を行う液晶表示パネルの表示品質向
上に対して、本発明は寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の主要部の平面図である。
【図2】 液晶の配向不具合の説明図である。
【図3】 TFT駆動式の液晶表示パネルの一例の構成
断面図である。
【図4】 液晶表示パネルの電圧−透過率特性の一例の
説明図である。
【図5】 プレチルト角分布形の液晶表示パネルの一例
の主要部の平面図である。
【符号の説明】
1 走査バスライン 2 データバスライン 3 画素電極 3a 中央領域 3b
周辺領域 4 基板 5 配向膜 10 液晶表示パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−281545(JP,A) 特開 平5−188374(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 格子状に並設された走査バスラインとデ
    ータバスラインの格子の中に配設された画素電極の領域
    内に、液晶のプレチルト角:θの分布を有するTFT駆
    動式の液晶表示パネルにおいて、 前記プレチルト角:θは、前記画素電極の中央領域のプ
    レチルト角:θ1 と、前記走査バスラインとデータバス
    ラインとに近接した周辺領域のプレチルト角:θ2 の関
    係が、θ1 <θ2 であることを特徴とする液晶表示パネ
    ル。
  2. 【請求項2】 前記プレチルト角:θの分布が、液晶が
    当接する配向膜の種類によっている請求項1記載の液晶
    表示パネル。
  3. 【請求項3】 前記プレチルト角:θの分布が、ラビン
    グ処理の条件によっている請求項1記載の液晶表示パネ
    ル。
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