JP3125558B2 - 車体側部のエネルギー吸収構造 - Google Patents

車体側部のエネルギー吸収構造

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JP3125558B2 JP06026588A JP2658894A JP3125558B2 JP 3125558 B2 JP3125558 B2 JP 3125558B2 JP 06026588 A JP06026588 A JP 06026588A JP 2658894 A JP2658894 A JP 2658894A JP 3125558 B2 JP3125558 B2 JP 3125558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗員がドアトリムに二
次衝突した際に、乗員を保護するための車体側部のエネ
ルギー吸収構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車用ドアのアウタパネル
への所定の荷重作用時に乗員が自動車用ドアのインナパ
ネル側(ドアトリム)に当接する所謂乗員の二次衝突時
の乗員保護性能を向上させるべく、種々のエネルギー吸
収構造が案出されている(一例として、実開平3−16
514号公報参照)。以下、この公報に開示された構造
について簡単に説明する。
【0003】図9には、自動車のサイドドア150の上
部構造が縦断面にて示されている。この図に示されるよ
うに、サイドドア150は、ドアアウタパネル152と
ドアインナパネル154とを備えており、この内ドアイ
ンナパネル154の上端部室外側には長尺状のドアイン
ナリインフォースメント156が配設されている。
【0004】図10に示されるように、このドアインナ
リインフォースメント156の長手方向中間部には、所
定の間隔で車室外側へ凹む凹部158が形成されてい
る。この凹部158を形成したことにより、ドアインナ
リインフォースメント156とドアインナパネル154
との間に空間が形成され脆弱部160を構成している。
【0005】上記構成によれば、乗員の肩部がドアトリ
ム162(図9参照)に二次衝突した場合、前述した脆
弱部160の形成部位では剛性が低くなっているため、
乗員がドアインナパネル154から受ける荷重(二次衝
突荷重)を低減することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公
報に開示されたエネルギー吸収構造による場合、所定値
以上の荷重で脆弱部160が一挙に塑性変形してしまう
ので、乗員からドアトリム側へ入力される荷重を継続的
に吸収することが困難である。
【0007】本発明は上記事実を考慮し、乗員の二次衝
突時に乗員からドアトリム側へ入力される荷重を継続的
に吸収することができる車体側部のエネルギー吸収構造
を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に
係る車体側部のエネルギー吸収構造は、車両のサイドド
アの一部を構成するインナ側パネルの車室内側でかつ着
座姿勢の乗員の腰部を含む上体部の少なくとも一部と対
向する側に配置され、長尺開断面形状とされかつ長手直
角方向の両端部に互いに離反する方向へ延出する一対の
フランジ部を備え、所定値以上の荷重が作用すると開き
ながら変形するエネルギー吸収部材と、このエネルギー
吸収部材の開放端部側に設けられ、各フランジ部の端末
に対し当該各フランジ部の延出方向に所定の隙間を隔て
て対峙し当該各フランジ部が当該所定の隙間を潰して当
接した時点でエネルギー吸収部材の開きを阻止する阻止
手段と、を有することを特徴としている。
【0009】請求項2記載の本発明に係る車体側部のエ
ネルギー吸収構造は、請求項1記載の本発明において、
前記インナ側パネルにおける上方側のフランジ部に対応
する部位を屈曲させ或いは切起こすと共に、前記インナ
側パネルにおける下方側のフランジ部に対応する部位を
切起こすことにより、前記阻止手段を前記インナ側パネ
ルに一体に設けた、ことを特徴としている。
【0010】
【作用】請求項1記載の本発明によれば、乗員が二次衝
突した初期においては、エネルギー吸収部材が開きなが
ら変形することによりエネルギー吸収がなされる。この
際、一対のフランジ部は、阻止手段との隙間を潰す方向
(各フランジ部の延出方向)へ変形していく。
【0011】そして、各フランジ部の端末が隙間を完全
に潰して阻止手段に当接した時点で、エネルギー吸収部
材の開きが阻止される。従って、各フランジ部の端末が
阻止手段に当接した以後は、阻止手段とエネルギー吸収
部材とが一体化される。これにより、閉断面状態となっ
たエネルギー吸収部材及び阻止手段が一体的に変形する
ことによりエネルギー吸収がなされる。
【0012】従って、本発明によれば、乗員の二次衝突
時に乗員から入力される荷重を継続的に吸収することが
可能となる。
【0013】請求項2記載の本発明によれば、請求項1
記載の本発明において、インナ側パネルにおける上方側
のフランジ部に対応する部位を屈曲させ或いは切起こす
と共に、インナ側パネルにおける下方側のフランジ部に
対応する部位を切起こすことにより、阻止手段をインナ
側パネルに一体に設けたので、部品点数の削減、組付工
数の削減及びコストダウンを図ることができる。
【0014】
【実施例】
〔第1実施例〕以下、図1〜図5を用いて、第1実施例
について説明する。なお、この第1実施例が、請求項1
記載の本発明の一実施例に相当する。また、これらの図
において、適宜示される矢印FRは車両前方側を示し、
矢印UPは車両上方側を示し、矢印INは車両室内側を
示している。
【0015】図2には、自動車のサイドドア10の上部
構造が縦断面にて示されている。この図に示されるよう
に、サイドドア10は、車室外側に配置されるドアアウ
タパネル12と、車室内側に配置されるインナ側パネル
としてのドアインナパネル14とを備えている。ドアア
ウタパネル12の上端部の車室内側にはドアアウタリイ
ンフォースメント16が固着されており、これによりド
アアウタパネル12の上端部に閉断面部18が形成され
ている。同様に、ドアインナパネル14の上端部の車室
外側にはドアインナリインフォースメント20が固着さ
れており、これによりドアインナパネル14の上端部に
閉断面部22が形成されている。なお、ドアインナパネ
ル14の車室内側には、ドアトリム23が配設されてい
る。上述したドアインナパネル14の上端部の車室内側
にはエネルギー吸収部材24が配置されており、以下こ
のエネルギー吸収部材24等について詳細に説明する。
【0016】図1に示されるように、エネルギー吸収部
材24は、鋼板を適宜屈曲させることにより断面略コ字
形かつ長尺状に形成されている。詳しくは、エネルギー
吸収部材24の長手方向両端部24Aは断面ハット形状
とされており、この長手方向両端部24Aの端末がドア
インナパネル14の上端部の車室内側面にスポット溶接
にて固着されている。従って、エネルギー吸収部材24
は、両端支持梁としてドアインナパネル14に取り付け
られている。また、エネルギー吸収部材24の長手方向
中間部24Bは、その開放端側が矩形状に切り欠かれて
いる。さらに、エネルギー吸収部材24の長手方向中間
部24Bには、その開放側両端部を互いに離反する方向
(ドア上下方向)へ屈曲させることにより一対のフラン
ジ部24B’が形成されている。これらの一対のフラン
ジ部24B’は、ドアインナパネル14の車室内側面か
ら所定距離Pだけ離間している(図2参照)。従って、
これらのフランジ部24B’とドアインナパネル14の
車室内側面との間には、所定の隙間26が形成されてい
る。
【0017】さらに、エネルギー吸収部材24の開放端
部側には、阻止手段としての比較的狭幅のストッパ28
が取り付けられている。具体的には、ストッパ28は、
断面略コ字形とされエネルギー吸収部材24の長手方向
中間部24B内へ突出された取付部28Aと、この取付
部28Aの両端部から互いに離反する方向へ屈曲されて
更に端末がコ字形に折り返された阻止部28Bと、から
構成されている。この内、図2に示されるように、取付
部28Aはエネルギー吸収部材24の長手方向中間部2
4Bの裏面に密着され、この状態でスポット溶接により
固着されている。一方、各阻止部28B内には、エネル
ギー吸収部材24の各フランジ部24B’が非固定状態
で挿入されている。フランジ部24B’が阻止部28B
内に挿入された状態では、阻止部28Bの縦壁28B’
が間隙寸法Qの隙間30を隔ててフランジ部24B’の
端末と対峙している。
【0018】以下に、本実施例の作用を説明する。サイ
ドドア10のドアアウタパネル12の車室外側の面に所
定の荷重が作用すると(一次衝突)、シートに着座して
いる乗員はそのときの慣性力でドアインナパネル14側
へ移動して、乗員の肩部がドアトリム23に当接する
(所謂乗員の二次衝突)。
【0019】ここで、二次衝突以前の状態においてはエ
ネルギー吸収部材24の長手方向中間部24Bが開断面
状態(ストッパ28の阻止部28Bの縦壁28B’とフ
ランジ部24B’との間に所定の隙間30を有する状
態)になっている(図3(A)参照)。
【0020】乗員が二次衝突した初期においては、エネ
ルギー吸収部材24の長手方向中間部24Bがドアトリ
ム23に押圧されて、断面を開きながら塑性変形してい
く。具体的には、サイドドア10の厚さ方向に対しては
ドアインナパネル14との隙間26を潰す方向へエネル
ギー吸収部材24の長手方向中間部24Bが塑性変形し
ていき、同時にサイドドア10の上下方向に対しては一
対のフランジ部24B’がストッパ28の阻止部28B
の縦壁28B’との間の隙間30を潰す方向へ塑性変形
していく(図3(B)参照)。これにより、乗員の二次
衝突初期の荷重が吸収される。なお、このときのエネル
ギー吸収過程は、エネルギー吸収部材24の上下のフラ
ンジ部24B’の端末がストッパ28の阻止部28Bの
縦壁28B’に当接するまで持続する。
【0021】この過程をグラフで観ると、図5に示され
る如くとなる。なお、このグラフは、横軸にエネルギー
吸収部材24の変位を採り、縦軸にエネルギー吸収部材
24がドアインナパネル14から受ける反力(荷重)を
採ったものである。また、図5に二点鎖線で示されるの
が、乗員の二次衝突に対する要求特性である。このグラ
フに示されるA部が、エネルギー吸収部材24の長手方
向中間部24Bが断面を開きながら塑性変形することに
よって乗員の二次衝突時の荷重が吸収された範囲(開断
面による荷重吸収範囲)である。
【0022】一方、エネルギー吸収部材24の上下のフ
ランジ部24B’の端末がストッパ28の阻止部28B
の縦壁28B’に当接することにより、エネルギー吸収
部材24の長手方向中間部24Bはストッパ28の配設
部位にて閉断面状態(ストッパ28の阻止部28Bの縦
壁28B’にフランジ部24B’が当接した状態)とな
る。従って、これ以後は、エネルギー吸収部材24の長
手方向中間部24B及びストッパ28が一体となって塑
性変形することにより、エネルギー吸収がなされる。な
お、このときのエネルギー吸収過程は、ストッパ28の
一対の阻止部28B及びエネルギー吸収部材24の一対
のフランジ部24B’がドアインナパネル14に当接す
るまで持続する(図4(A)参照)。
【0023】その後は、エネルギー吸収部材24及びス
トッパ28より成る閉断面部がドアインナパネル14か
らの反力で圧縮塑性変形(断面圧縮)することにより、
乗員の二次衝突荷重が吸収される。(図4(B)参
照)。
【0024】上記したエネルギー吸収部材24の上下の
フランジ部24B’の端末がストッパ28の阻止部28
Bの縦壁28B’に当接した以後のエネルギー吸収過程
を図5に示されるグラフで観ると、グラフのB部が、エ
ネルギー吸収部材24の長手方向中間部24B及びスト
ッパ28より成る閉断面部が塑性変形することによって
乗員の二次衝突時の荷重が吸収された範囲(閉断面によ
る荷重吸収範囲)である。
【0025】このように本実施例では、ドアインナパネ
ル14の上端部の車室内側に長尺状かつ一対のフランジ
部24B’を有するエネルギー吸収部材24を配設し、
このエネルギー吸収部材24の長手方向中間部24Bに
上下のフランジ部24B’の端末との間に所定の隙間3
0を有するストッパ28を取り付けたので、乗員の二次
衝突初期においては開断面の塑性変形としてエネルギー
吸収を行うことができ、それ以後においては閉断面の塑
性変形としてエネルギー吸収を行うことができる。従っ
て、乗員の二次衝突時に継続的にエネルギー吸収を行う
ことができる。すなわち、図5のグラフに示されるよう
に、荷重を持続させて要求特性を満足させることができ
る。
【0026】また、ストッパ28をエネルギー吸収部材
24に溶接により取り付ける構成であるので、ストッパ
28のエネルギー吸収部材24への取付状態がずれるの
を防止することができる。
【0027】さらに、阻止手段としてのストッパ28を
ドアインナパネル14とは別体で構成したので、溶接す
るに際してストッパ28の位置をエネルギー吸収部材2
4の長手方向に自在に調整することができるというメリ
ットがある。 〔第2実施例〕以下、図6及び図7を用いて、第2実施
例について説明する。なお、この第2実施例も、請求項
1記載の本発明の一実施例に相当する。なお、第1実施
例と同一構成部分には同一番号を付してその説明を省略
する。
【0028】図6及び図7に示されるように、この実施
例では、阻止手段としてのストッパ40の形状に特徴が
ある。
【0029】このストッパ40は、平板状の基部40A
と、この基部40Aの上下端を略コ字形に屈曲させるこ
とにより形成された阻止部40Bと、を備えている。ス
トッパ40の基部40Aには、一対のビード42が打ち
出しにより形成されている。各ビード42はエネルギー
吸収部材24の長手方向中間部24B側へ膨出されてお
り、かつその上下方向長さはエネルギー吸収部材24の
長手方向中間部24Bの上下方向の内面間距離に一致し
ている。従って、一対のビード42がエネルギー吸収部
材24の長手方向中間部24B内に嵌合されることによ
り、ストッパ40のエネルギー吸収部材24に対する上
下方向の位置決めがなされる。
【0030】また、ストッパ40の阻止部40Bはエネ
ルギー吸収部材24の長手方向中間部24Bの上下のフ
ランジ部24B’にヘミング加工により固定されてい
る。なお、これにより、ストッパ40のエネルギー吸収
部材24に対する左右方向(長手方向)の位置決めもな
される。
【0031】ストッパ40がエネルギー吸収部材24に
組付けられた状態では、阻止部40Bの縦壁40B’の
内側面と上下のフランジ部24B’の端末との間に前述
した隙間30が形成されている(図7参照)。
【0032】従って、上記構成によっても、前述した第
1実施例の場合と同様の効果が得られる。また、この実
施例による場合、第1実施例の如き溶接作業が不要とな
る。さらに、ビード42の形成個数、膨出深さ等を適宜
変更することによりストッパ40の強度を変えることが
できるので、閉断面によるエネルギー吸収特性のチュー
ニングを容易に行えるというメリットもある。 〔第3実施例〕以下、図8を用いて、第3実施例につい
て説明する。なお、この第3実施例が、請求項2記載の
本発明の一実施例に相当する。なお、第1実施例と同一
構成部分には同一番号を付してその説明を省略する。
【0033】この実施例では、図8に示されるように、
別体のストッパを用いずにその機能をドアインナパネル
12に持たせた点に特徴がある。
【0034】すなわち、ドアインナパネル14の上端部
の一部は車室内側へコ字形に屈曲されて第1の阻止部5
0を構成している。そして、この第1の阻止部50にエ
ネルギー吸収部材24の上方側のフランジ部24B’が
所定の隙間30を開けて挿入されている。一方、ドアイ
ンナパネル14におけるエネルギー吸収部材24の下方
側のフランジ部24B’と対応する部位には切起こしに
よる第2の阻止部52が形成されている。この第2の阻
止部52には、エネルギー吸収部材24の下方側のフラ
ンジ部24B’が所定の隙間30を開けて挿入されてい
る。
【0035】上記構成によっても、前述した第1実施例
の場合と同様の効果が得られる。また、この実施例によ
る場合、別体のストッパを用いずにドアインナパネル1
4にストッパとしての機能を持たせているので、部品点
数の削減、組付工数の削減、及びコストダウンを図るこ
とができる。
【0036】なお、上述した実施例では、ドアインナパ
ネル14の上端部の車室内側にエネルギー吸収部材24
を設けることで乗員の肩部が二次衝突した際のエネルギ
ーを吸収させたが、これに限らず、上述した第1実施例
乃至第3実施例のいずれかの構造を採用した上でエネル
ギー吸収部材24をアームレスト内に設定することによ
り、乗員の腰部が二次衝突した際のエネルギーを吸収さ
せるようにしてもよい。付言すれば、第3実施例の構造
をアームレストに適用する場合には、上下のフランジ部
24B’の阻止部50、52はいずれも切起こしによっ
て構成される。
【0037】また、上述した実施例では、エネルギー吸
収部材24をドアインナパネル14の上端部の室内側に
配置する構成を採ったが、これに限らず、例えば、ドア
インナパネル14の上端部を車室外側へ屈曲させた上で
その車室内側にドアインナリインフォースメント20を
固着し、このドアインナリインフォースメント20の車
室内側に上述したエネルギー吸収部材24を配置する構
成を採ってもよい。
【0038】さらに、上述した実施例では、エネルギー
吸収部材24をいずれも鋼板製としたが、これに限ら
ず、例えば鉄板製でもよい。さらに、高硬度の樹脂製に
してもよいし高靱性の樹脂製にしてもよい。
【0039】なお、請求項1記載の本発明では、阻止手
段の構成を「このエネルギー吸収部材の開放端部側に設
けられ、各フランジ部の端末に対し当該各フランジ部の
延出方向に所定の隙間を隔てて対峙し当該各フランジ部
が当該所定の隙間を潰して当接した時点でエネルギー吸
収部材の開きを阻止する阻止手段」と表現したが、これ
を更に限定して第1実施例に対応させる場合には、「こ
のエネルギー吸収部材とは別体で構成されると共にエネ
ルギー吸収部材の開放端部側に設けられ、エネルギー吸
収部材の長手方向中間部に溶接される基部及びこの基部
から一体に延出されて各フランジ部の端末に対し当該各
フランジ部の延出方向に所定の隙間を隔てて対峙し当該
各フランジ部が当該所定の隙間を潰して当接した時点で
エネルギー吸収部材の開きを阻止する阻止部を備えた阻
止手段」となる。
【0040】また、第2実施例に対応させる場合には、
「このエネルギー吸収部材とは別体で構成されると共に
エネルギー吸収部材の開放端部側に設けられ、エネルギ
ー吸収部材の長手方向中間部内に膨出されてエネルギー
吸収部材に対する上下方向の位置決めをする位置決め部
を含む基部及びこの基部から一体に延設されて各フラン
ジ部の端末に対し当該各フランジ部の延出方向に所定の
隙間を隔てて対峙した状態で固定され当該各フランジ部
が当該所定の隙間を潰して当接した時点でエネルギー吸
収部材の開きを阻止する阻止部を備えた阻止手段」とな
る。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の本発
明に係る車体側部のエネルギー吸収構造は、長尺開断面
形状とされかつ長手直角方向の両端部に互いに離反する
方向へ延出する一対のフランジ部を備え、所定値以上の
荷重が作用すると開きながら変形するエネルギー吸収部
材と、このエネルギー吸収部材の開放端部側に設けら
れ、各フランジ部の端末に対し当該各フランジ部の延出
方向に所定の隙間を隔てて対峙し当該各フランジ部が当
該所定の隙間を潰して当接した時点でエネルギー吸収部
材の開きを阻止する阻止手段と、を有するので、乗員の
二次衝突時に乗員からドアトリム側へ入力される荷重を
継続的に吸収することができるという優れた効果を有す
る。
【0042】さらに、請求項2記載の本発明に係る車体
側部のエネルギー吸収構造は、請求項1記載の本発明に
おいて、インナ側パネルにおける上方側のフランジ部に
対応する部位を屈曲させ或いは切起こすと共に、インナ
側パネルにおける下方側のフランジ部に対応する部位を
切起こすことにより、阻止手段を前記インナ側パネルに
一体に設けたので、請求項1記載の本発明が有する効果
に加え、部品点数の削減、組付工数の削減及びコストダ
ウンを図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るエネルギー吸収部材を示す斜
視図である。
【図2】図1に示されるエネルギー吸収部材を備えたサ
イドドアの上部構造を示す図1の2−2線断面図であ
る。
【図3】(A)及び(B)は第1実施例による場合のエ
ネルギー吸収過程を示す説明図である。
【図4】図3同様に、(A)及び(B)は第1実施例に
よる場合のエネルギー吸収過程を示す説明図である。
【図5】第1実施例の構造を用いた場合のエネルギー吸
収特性を示すグラフである。
【図6】第2実施例に係るエネルギー吸収部材を示す斜
視図である。
【図7】図6に示されるエネルギー吸収部材を備えたサ
イドドアの上部構造を示す図6の7−7線断面図であ
る。
【図8】第3実施例に係るエネルギー吸収部材を備えた
サイドドアの上部構造を示す断面図である。
【図9】従来例に係る車体側部のエネルギー吸収構造を
示す断面図である。
【図10】図9に示されるエネルギー吸収構造を車室内
側から見た状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
10 サイドドア 14 ドアインナパネル(インナ側パネル) 24 エネルギー吸収部材 24B’フランジ部 28 ストッパ(阻止手段) 30 隙間 40 ストッパ(阻止手段) 50 第1の阻止部(阻止手段) 52 第2の阻止部(阻止手段)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のサイドドアの一部を構成するイン
    ナ側パネルの車室内側でかつ着座姿勢の乗員の腰部を含
    む上体部の少なくとも一部と対向する側に配置され、長
    尺開断面形状とされかつ長手直角方向の両端部に互いに
    離反する方向へ延出する一対のフランジ部を備え、所定
    値以上の荷重が作用すると開きながら変形するエネルギ
    ー吸収部材と、 このエネルギー吸収部材の開放端部側に設けられ、各フ
    ランジ部の端末に対し当該各フランジ部の延出方向に所
    定の隙間を隔てて対峙し当該各フランジ部が当該所定の
    隙間を潰して当接した時点でエネルギー吸収部材の開き
    を阻止する阻止手段と、 を有することを特徴とする車体側部のエネルギー吸収構
    造。
  2. 【請求項2】 前記インナ側パネルにおける上方側のフ
    ランジ部に対応する部位を屈曲させ或いは切起こすと共
    に、前記インナ側パネルにおける下方側のフランジ部に
    対応する部位を切起こすことにより、前記阻止手段を前
    記インナ側パネルに一体に設けた、 ことを特徴とする請求項1記載の車体側部のエネルギー
    吸収構造。
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