JP3122540B2 - ピッチ検出装置 - Google Patents

ピッチ検出装置

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JP3122540B2
JP3122540B2 JP04225532A JP22553292A JP3122540B2 JP 3122540 B2 JP3122540 B2 JP 3122540B2 JP 04225532 A JP04225532 A JP 04225532A JP 22553292 A JP22553292 A JP 22553292A JP 3122540 B2 JP3122540 B2 JP 3122540B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声信号のピッチ予測
フィルタを用いた符号化におけるピッチ検出装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】中低ビットレートの音声符号化装置の符
号化方式の1つとして、コ−ド・エキサイテッド・リニ
ア・プレディクション(Code Excited Linear Predicti
on,以下、CELPと称する)がある。
【0003】CELPは、音声の生成をモデル化したも
ので、声門で生じる気流に相当する信号の候補をコード
ブックに持っており、この中の一つの信号に声帯の開閉
の周期に相当するピッチを付加するピッチ予測(または
長期予測)フィルタ、口腔での調音に相当する(短期)
線形予測フィルタを通すことによって、合成音声を生成
する。
【0004】このとき、気流に相当する信号の候補から
なるコードブックの中から最適な信号を合成による分析
(アナリシス・バイ・シンセシス(Analysis by Synthes
is))で求め、この信号の番号、利得、ピッチ予測フィ
ルタの係数、ラグ(ピッチ長に相当する)、線形予測フ
ィルタの係数を量子化、及び符号化している。
【0005】ピッチ予測フィルタは次式で表される。
【0006】
【数1】
【0007】ここで、βi は(予測)係数(または予測
利得)(−p≦i≦p、pは、0または1がよく使われ
る)、Lはピッチである。
【0008】このCELP符号化部において、ピッチ予
測フィルタのピッチは、開ループ法または閉ループ法に
よって決定することができる。
【0009】開ループ法では、入力音声信号の自己相
関、入力音声信号の線形予測フィルタの残差信号の自己
相関、またはこの残差信号とピッチ予測フィルタの内部
メモリとの相関等を用いてピッチが決定される。閉ルー
プ法では、入力音声信号とピッチ予測フィルタの出力信
号に線形予測フィルタの逆フィルタ(合成フィルタ)を
通した信号を用いてピッチが決定される。
【0010】一般には、最適なピッチは閉ループ法の方
が求めやすいが、ピッチ探索時にピッチ予測フィルタの
出力信号を合成フィルタを通すときの計算量が非常に多
くなるという欠点がある。逆に開ループ法は閉ループ法
に比べ、最適なピッチは少し得難くなるものの合成フィ
ルタを通さない分、計算量を少なくすることができるの
で、CELPを用いたリアルタイム動作の音声符号化装
置を、安価な低処理速度、低機能のDSP(Digital Sig
nal Processor)で実現できる。
【0011】実際には所望のDSPでは、ピッチを求め
るときに通常の開ループ法を用いても計算量は決して少
なくない場合がある。
【0012】そこで、より計算量を少なくするため、ダ
ウンサンプリング(デシメート、間引き)した入力音声
信号を使う開ループ法がある。
【0013】この方法では、ダウンサンプリングによ
り、元の信号より、サンプル数が少なくなり、しかもピ
ッチの探索範囲も狭くすることができるので、大幅に計
算量を削減できる。
【0014】以下、この方法を簡単に説明する。
【0015】まず、ダウンサンプリングした入力音声信
号の自己相関係数を最大とするラグを求める。ダウンサ
ンプリング信号で求めたラグは周波数分解能が低いの
で、このラグのダウンサンプリングされる前の信号に対
応するラグと隣接ラグの中で自己相関係数の最大となる
ラグを求め、ピッチ予測フィルタのこのラグをピッチと
する(この方法の詳細については、Juin-Hwey Chen, Al
len Gersho, “Real-Time Vector APC Speech Coding a
t 4800bps with Adaptive Postfiltering ”, Proceedi
ng of the IEEE International Conference on Acousti
cs, Speech and Signal Processing, pp. 2185-2188, A
pril, 1987などの文献を参照のこと)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の方法は、入力音声信号のみを使っているが、実
際のCELPのピッチ予測フィルタにはこの入力音声信
号成分は無いので、入力音声信号と同じピッチ周期の信
号を内部メモリに持っているとは限らないため、最適な
ピッチを得難く、このため、どうしても合成音声の品質
が良くないという問題点があった。
【0017】本発明は、上述した従来の方法における問
題点に鑑み、計算量をそれほど増やさずに最適なピッチ
を得ることができるピッチ検出装置を提供する。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、入力信号の線
形予測残差信号を得る手段と、線形予測残差信号をダウ
ンサンプリングする手段と、ピッチ予測フィルタの出力
をダウンサンプリングして記憶する記憶手段と、ダウン
サンプリングした線形予測残差信号及び記憶手段に記憶
されたダウンサンプリングしたピッチ予測フィルタの出
力の相互相関が最大になる第1の最適ラグを求める手段
と、第1の最適ラグに対応するダウンサンプリング前の
ラグ及びラグの隣接ラグの間でダウンサンプリング前の
線形予測残差信号及び記憶手段に記憶されたダウンサン
プリングしたピッチ予測フィルタの出力の相互相関が最
大になる第2の最適ラグを求める手段とを備えており、
第2の最適ラグをピッチとするピッチ検出装置によって
達成される。
【0019】本発明は、入力信号の線形予測残差信号を
得る手段と、線形予測残差信号をダウンサンプリングす
る手段と、ピッチ予測フィルタの出力をダウンサンプリ
ングして記憶する記憶手段と、ダウンサンプリングした
線形予測残差信号及び記憶手段に記憶されたダウンサン
プリングしたピッチ予測フィルタの出力が最も相似とな
る第1の最適ラグを求める手段と、第1の最適ラグに対
応するダウンサンプリング前のラグ及びラグの隣接ラグ
の間でダウンサンプリング前の線形予測残差信号及び
憶手段に記憶されたダウンサンプリングしたピッチ予測
フィルタの出力が最も相似となる第2の最適ラグを求め
る手段とを備えており、第2の最適ラグをピッチとする
ピッチ検出装置によっても達成される。
【0020】
【作用】第1の発明では、入力された音声信号から線形
予測残差信号を得る手段より、この入力信号の残差信号
が得られる。この残差信号はダウンサンプリング手段に
よりサンプリング周波数が低くなる。一方、符号化装置
のピッチ予測フィルタの出力もダウンサンプリング手段
によりサンプリング周波数が低くなり、記憶手段に記憶
される。このダウンサンプリングした2つの信号の相互
相関を計算する。そして、相関が最大となるラグを見つ
ける。このラグはサンプリング周波数が低くなっている
ので、その周波数分解能は粗くなっている。この最適ラ
グのダウンサンプリングする前に対応する真のラグはダ
ウンサンプリングした時の最適ラグを単純にダウンサン
プリングする前のラグに変換した値とそのラグに隣接す
るラグの中にある。そこで、これらのラグの中で、ダウ
ンサンプリングする前の残差信号と記憶手段に記憶され
ピッチ予測フィルタ出力との相互相関を最大とするラ
グを見つけ出す。このラグがピッチとしてピッチ予測フ
ィルタに使われる。
【0021】第2の発明では、入力された音声信号から
線形予測残差信号を得る手段より、この入力信号の残差
信号が得られる。この残差信号はダウンサンプリング手
段によりサンプリング周波数が低くなる。一方、符号化
装置のピッチ予測フィルタの出力もダウンサンプリング
手段によりサンプリング周波数が低くなり、記憶手段に
記憶される。このダウンサンプリングした2つの信号の
相似を計算する。そして、最も相似になるラグを見つけ
る。このラグはサンプリング周波数が低くなっているの
で、その周波数分解能は粗くなっている。この最適ラグ
のダウンサンプリングする前に対応する真のラグはダウ
ンサンプリングした時の最適ラグを単純にダウンサンプ
リングする前のラグに変換した値とそのラグに隣接する
ラグの中にある。そこで、これらのラグの中で、ダウン
サンプリングする前の残差信号と記憶手段に記憶された
ピッチ予測フィルタ出力とが最も相似になるラグを見つ
け出す。このラグがピッチとしてピッチ予測フィルタに
使われる。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明のピッチ予測
装置の実施例を説明する。
【0023】図1は、本発明のピッチ予測装置の一実施
例の構成を示すブロック図である。図1のピッチ予測装
置(以下、ピッチ検出部と称する)16は、ダウンサンプ
リングによる折り返し歪みを除去するためのロ−パスフ
ィルタ161 、ロ−パスフィルタ161 に接続されておりD
サンプル当たりD−1個のサンプルの残差信号を間引く
ための間引き部162 、ダウンサンプリングによる折り返
し歪みを除去するためのロ−パスフィルタ163 、ロ−パ
スフィルタ163 に接続されておりDサンプル当たりD−
1個のサンプルの残差信号を間引くための間引き部164
、間引き部164 に接続されておりM/D個のデータを
記憶できる内部メモリ165 、間引き部162 及び内部メモ
リ165 に接続されておりダウンサンプリングされた残差
信号と内部メモリ165 の信号の相互相関をピッチ探索範
囲内のラグを求めることにより算出する相互相関計算部
166 、相互相関計算部166 に接続されており相互相関を
計算して相互相関が最大となるラグを求める相互相関計
算部167 によって構成されている。
【0024】図1のピッチ検出部16の詳細な説明を行な
う前に、図2の符号化復号化装置を説明する。
【0025】図2は、図1のピッチ検出部16を用いたC
ELP符号化復号化装置のブロック図である。
【0026】まず、図2の符号化部を説明する。
【0027】線形予測分析部11において、サンプリング
周波数fs でサンプリングされたディジタルの入力音声
信号s(n)の線形予測分析が、特定のフレーム周期で
行なわれ、量子化された線形予測係数または等価な別の
パラメータ(例えばパ−コ−ル(PARCOR)係数)
が求められる。
【0028】ここでnはサンプル時点を表す。本実施例
では以降、線形予測係数αi (iは次数、0<i<Pと
する)のみを使って説明するが、等価な別のパラメータ
を使用することもできる。
【0029】聴覚重み付けフィルタ12は、次の伝達関数
を持つ。
【0030】
【数2】
【0031】即ち、聴覚重み付けフィルタ12は、入力信
号の残差信号を得る逆フィルタ121
【0032】
【数3】
【0033】と、重み付け線形予測フィルタ122
【0034】
【数4】
【0035】によって構成されており、入力信号s
(n)のスペクトルの谷の部分を強調させた信号y
(n)を求める。
【0036】ここで、λはスペクトルの谷の部分をどれ
だけ強調するかを決定するパラメータで、0に近いほど
強調される。
【0037】信号y(n)にできるだけ似た信号(聴覚
重み付けされた合成信号)y′(n)を合成するように
符号化が行なわれ、この符号化処理はフレーム単位で行
なわれる。そして、1フレーム当りのサンプル数をFと
する。
【0038】聴覚重み付けフィルタ12により、後述する
合成信号s′(n)はパワーの小さいスペクトルほど入
力信号s(n)のスペクトルとの誤差が小さくなり、聴
覚のマスキング特性によりマスクされ難いこれらのスペ
クトル成分の雑音を小さくすることができるので、聴覚
的に合成音声の品質が向上する。
【0039】コードブック13には励起信号ベクトルがN
(Nは正の整数)個入っており、この中の一つの励起信
号ベクトルcj (n)(0≦j≦N−1)は乗算器14に
よりγ倍されて、ピッチ予測フィルタ15でピッチ成分が
付け加えられる。
【0040】そして、更に重み付け線形予測フィルタ17
(伝達関数はフィルタ122 と同じ)を通ることにより、
聴覚重み付けされた合成信号y′j (n)が得られる。
【0041】ピッチ予測フィルタ15の伝達関数は、式
(1)において、p=0、即ち、
【0042】
【数5】
【0043】とする。
【0044】ここで図3を参照して、図2のピッチ予測
フィルタ15を詳細に説明する。
【0045】まず、M個のデータを記憶できる内部メモ
リ151 がある。ここでMは男声の最大ピッチ周期に対応
する。
【0046】内部メモリ151 にはピッチ予測フィルタ15
の出力が記憶されている。
【0047】内部メモリ151 の更新はフレーム単位で行
われるが、更新の際に、最適な合成信号y′(n)を得
たときのピッチ予測フィルタ15の出力を記憶する。
【0048】このとき、内部メモリ151 に記憶されてい
る0番目からM−F−1番目の内容がそれぞれ、F番目
からM−1番目のメモリに移動し、新たに、0番目から
M−F−1番目のメモリにピッチ予測フィルタ15の出力
が記憶される。
【0049】後述するピッチ検出部16によって送られて
きたピッチLで示される内部メモリ151 のL番目のメモ
リによりL−1,L−2,…という順に、内部メモリ15
1 の内容が乗算器152 を通ってβ倍され、更に加算器15
3 により入力信号と足し合わされることによって式
(5)の伝達関数を実現している。
【0050】乗算器152 の係数βは、エラー最小化部20
で決定される。
【0051】信号y(n)にできるだけ似た聴覚重み付
けされた合成信号y′(n)を得るため、聴覚重み付け
された合成信号y′j (n)と信号y(n)の誤差信号
j(n)が減算器18によって作られ、この誤差信号e
j (n)のパワーPj がパワー計算部19によって、次式
のように計算される。
【0052】
【数6】
【0053】そして、このパワーPj が最小となるコー
ドブック13の励起信号ベクトルcj、γ、ピッチ予測フ
ィルタ15のβをエラー最小化部20で探索する。このと
き、ピッチ予測フィルタ15のピッチLは、ピッチ検出部
16で先に決定される。
【0054】線形予測係数、j,γ、β、Lが符号化マ
ルチプレクサ部21で符号化され、マルチプレクスされて
符号列となって、伝送路22に送られる。
【0055】この伝送路22としては、有線、無線、蓄積
系がある。
【0056】復号化部では、デマルチプレクサ復号化部
23において、伝送路22を通った符号列は、デマルチプレ
クスされ、更に復号されて線形予測係数、j、γ、β、
Lを得る。これらのパラメータが各部に送られる。
【0057】符号化部のコードブック13と同じ励起信号
ベクトルを持つコードブック24の中のjで示される励起
信号ベクトルcj (n)が乗算器25によりγ倍され、符
号化部のピッチ予測フィルタ15と同じ構造のピッチ予測
フィルタ26でピッチ成分が付け加えられ、更に伝達関数
【0058】
【数7】
【0059】を持つ線形予測の逆フィルタ(合成フィル
タ)27を通ることにより合成信号s′(n)が得られ
る。
【0060】次に図1を参照してピッチ検出部16を詳述
する。
【0061】ピッチ検出部16は、線形予測フィルタ(逆
フィルタ)121 の出力である入力信号の残差信号を1/
D倍にダウンサンプリングするため、まず、ダウンサン
プリングによる折り返し歪みを除去するためのローパス
フィルタ161 に残差信号e(n)を通し、間引き部162
でDサンプル当たりD−1個のサンプルの残差信号を間
引いていく。これにより、サンプリング周波数がFS
Dの残差信号eD (n)を得ることができる。
【0062】同様に、ピッチ予測フィルタ15の出力をロ
ーパスフィルタ163 、間びき部164に通してサンプリン
グ周波数をFS /Dにする。ローパスフィルタ161 ,16
3 、間引き部162 ,164 はそれぞれ同一の機能を有す
る。また、ダウンサンプリングした信号には、ある程度
の折り返し歪みが含まれていてもよく、ローパスフィル
タ161 ,163 としては低次数のフィルタが使える。
【0063】ダウンサンプルングされたピッチ予測フィ
ルタ出力は、ピッチ予測フィルタ15の内部メモリ151 に
対応するM/D個のデータを記憶できる内部メモリ165
に格納される。
【0064】内部メモリ165 の更新はフレーム単位(フ
レーム当たりのサンプル数F/Dとなる)で行われる。
内部メモリ165 は最適な合成信号y′(n)を得たとき
のピッチ予測フィルタ15の出力のダウンサンプリング信
号を記憶する。このとき内部メモリ165 に記憶されてい
る0番目からM/D−F/D−1番目の内容がそれぞ
れ、F/D番目からM/D−1番目のメモリに移動し、
新たに、0番目からM/D−F/D−1番目のメモリに
ピッチ予測フィルタ15の出力のダウンサンプリング信号
が記憶される。
【0065】ピッチの探索範囲をML ≦l≦Mとすると
(ML は女声の最小ピッチ周期に対応する)、ダウンサ
ンプリングした信号でのピッチの探索範囲はML /D≦
ld≦M/Dである。
【0066】相互相関計算部166 において、ダウンサン
プリングされた残差信号と内部メモリ165 の信号の相互
相関をピッチ探索範囲内のラグldを計算する。相互相
関ρldは、次式で求める。
【0067】
【数8】
【0068】ここで、pD (n)は内部メモリ165 のn
番目に記憶されているデータを示す。この相互相関ρld
が最大となるラグldを求め、これをLD とする。
【0069】次にダウンサンプリングされる前の残差信
号とピッチ予測フィルタ15の内部メモリ151 の相互相関
を計算する。このとき、探索範囲は、LD のダウンサン
プリングされる前の値に対応するLD ×D及びその隣接
ラグとする。ここでは、LD×D−D+1≦l≦LD ×
D+D−1である。
【0070】この処理は、ダウンサンプリングによって
得られた最適ラグLD は時間分解能が低いため、ダウン
サンプリングしないラグLD ×Dの近傍の中から真のラ
グを探すために行う。この探索範囲で次式の相互相関ρ
l を相互相関計算部167 で計算し、相互相関ρl が最大
となるラグLを求める。
【0071】
【数9】
【0072】ここで、p(n)は内部メモリ151 のn番
目に記憶されているデータを示す。ここで、求まったL
がピッチとなり、ピッチ予測フィルタに使われる。
【0073】本実施例では、ピッチ検出方法として、残
差信号とピッチ予測フィルタからの出力との相互相関が
最大となるラグを見つけているが、他の実施例として、
残差信号にできるだけ相似なピッチ予測フィルタ出力を
探索する方法がある。
【0074】このとき、図1のピッチ検出部16に示され
ている相互相関計算部166 、167 は、図4のピッチ検出
部16´に示すように相似度計算部168 、169 に置き換わ
る。
【0075】図4の相似度計算部168 では、次式
【0076】
【数10】
【0077】また、相似度計算部169 では、次式
【0078】
【数11】
【0079】が最大となるラグと見つける。
【0080】上述した実施例では、ピッチ検出部16また
はピッチ検出部16´はCELP符号化の中で用いられて
いるが、他の実施例として他のピッチ予測フィルタと励
起信号を用いる符号化に利用してもよい。
【0081】上述したように本発明のピッチ検出装置に
よれば、ピッチ予測フィルタ用のピッチの探索におい
て、入力信号の残差信号とピッチ予測フィルタの出力の
ダウンサンプリング信号の相互相関最大または相似とな
るラグを見つけ出し、そのラグのダウンサンプリング前
に対応するラグとその近接ラグより最適なラグを見つけ
出し、このラグをピッチとするようにしてピッチ検出を
行っている。
【0082】本発明の開ループ法では、ダウンサンプリ
ングしない場合に比べ、フレーム、ピッチを探索する範
囲がダウンサンプリング比だけ短くなるので相互相関ま
たは相似度の計算量を大幅に少なくすることができる。
【0083】例えば、F=30、ML =30、M=156 、D
=2の場合の式8、9(相互相関)のサメ−ションでの
積和数を使って比較する。本発明によれば式8のρld
積和数は、F/D×3=45。ML /D≦ld≦M/Dの
探索範囲におけるρldの総積和数は、45×(M/D−M
L /D+1)=2880となる。
【0084】式9のρl の積和数はF×3=90、探索範
囲はLD ×D−1≦l≦LD ×D+1であるから、探索
範囲でのρl の総積和数は90×{(LD ×D+1)−
(LD×D−1)+1}=90×3=270 。従って合計は2
880+270 =3150である。
【0085】式9のみを使った従来の開ループ法では、
探索範囲が、ML ≦l≦Mであるので、探索範囲でのρ
l の総積和数は90×(M−ML +1)=11430 となる。
【0086】本発明は、ダウンサンプリングのためのフ
ィルタリング処理が必要になるが、低次のフィルタを使
えばそれほど計算量は増えないので、ダウンサンプリン
グを使わない従来の開ループ法に比べれば3150対11430
でかなり計算量が少ない。
【0087】また、ピッチ予測フィルタの出力は、ピッ
チ予測フィルタの内部メモリに記憶される信号でもある
ので、求めたラグは入力信号の残差信号のみの自己相関
で求めたラグよりも最適な値となる。
【0088】
【発明の効果】第1発明のピッチ検出装置は、入力信号
の線形予測残差信号を得る手段と、線形予測残差信号を
ダウンサンプリングする手段と、ピッチ予測フィルタの
出力をダウンサンプリングして記憶する記憶手段と、ダ
ウンサンプリングした線形予測残差信号及び記憶手段に
記憶されたダウンサンプリングしたピッチ予測フィルタ
の出力の相互相関が最大になる第1の最適ラグを求める
手段と、第1の最適ラグに対応するダウンサンプリング
前のラグ及びラグの隣接ラグの間でダウンサンプリング
前の線形予測残差信号及び記憶手段に記憶されたダウン
サンプリングしたピッチ予測フィルタの出力の相互相関
が最大になる第2の最適ラグを求める手段とを備えてお
り、第2の最適ラグをピッチとするので、フレーム、ピ
ッチを検索する範囲がダウンサンプリング比だけ短くな
るので相互相関の計算量を大幅に少なくすることができ
る。また、ピッチ予測フィルタの出力は、ピッチ予測フ
ィルタの内部メモリに記憶される信号でもあるので、求
めたラグは入力信号の残差信号のみの自己相関で求めた
ラグより最適な値になる。
【0089】第2発明のピッチ検出装置は、入力信号の
線形予測残差信号を得る手段と、線形予測残差信号をダ
ウンサンプリングする手段と、ピッチ予測フィルタの出
力をダウンサンプリングして記憶する記憶手段と、ダウ
ンサンプリングした線形予測残差信号及び記憶手段に記
憶されたダウンサンプリングしたピッチ予測フィルタの
出力が最も相似となる第1の最適ラグを求める手段と、
第1の最適ラグに対応するダウンサンプリング前のラグ
及びラグの隣接ラグの間でダウンサンプリング前の線形
予測残差信号及び記憶手段に記憶されたダウンサンプリ
ングしたピッチ予測フィルタの出力が最も相似となる第
2の最適ラグを求める手段とを備えており、第2の最適
ラグをピッチとするので、フレーム、ピッチを検索する
範囲がダウンサンプリング比だけ短くなるので相似度の
計算量を大幅に少なくすることができる。また、ピッチ
予測フィルタの出力は、ピッチ予測フィルタの内部メモ
リに記憶される信号でもあるので、求めたラグは入力信
号の残差信号のみの自己相関で求めたラグより最適な値
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピッチ検出装置の第1実施例の構成を
示すブロック図である。
【図2】図1のピッチ検出装置を備えた音声符号化復号
化装置の一構成例のブロック図である。
【図3】図1のピッチ予測フィルタの一構成例を示すブ
ロック図である。
【図4】本発明のピッチ検出装置の第2実施例の構成を
示すブロック図である。
【符号の説明】
16,16′ ピッチ検出部 161 ,163 ローパスフィルタ 162 ,164 間引き部 165 内部メモリ 166 ,167 相互相関計算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−293800(JP,A) 特開 昭63−23200(JP,A) 特開 平3−123113(JP,A) 特開 昭61−261800(JP,A) Chen j−H,gersho A,”Real−time vecto r APC speech codin g at 4800 bps with a daptive postfilter ing”,IEEE ICASSP V ol.1987,No.4,pp2185−2188 (1987) 電子情報通信学会論文誌,Vol.J 71−A No.9,September 1988,松本弘外「簡単化逆フィルタ追 跡ピッチ抽出アルゴリズムの改良」, p.1750−1751,(昭和63年9月25日発 行) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 11/00 - 13/08 G10L 19/00 - 21/06 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチ予測フィルタを併用するピッチ検
    出装置であって、入力信号の線形予測残差信号を得る手
    段と、前記線形予測残差信号をダウンサンプリングする
    手段と、前記ピッチ予測フィルタの出力をダウンサンプ
    リングして記憶する記憶手段と、前記ダウンサンプリン
    グした線形予測残差信号及び前記記憶手段に記憶された
    ダウンサンプリングしたピッチ予測フィルタの出力の相
    相関が最大になる第1の最適ラグを求める手段と、前
    記第1の最適ラグに対応するダウンサンプリング前のラ
    グ及び当該ラグの隣接ラグの間で前記ダウンサンプリン
    グ前の線形予測残差信号及び前記記憶手段に記憶された
    ダウンサンプリングしたピッチ予測フィルタの出力の相
    相関が最大になる第2の最適ラグを求める手段とを備
    えており、該第2の最適ラグをピッチとすることを特徴
    とするピッチ検出装置。
  2. 【請求項2】 ピッチ予測フィルタを併用するピッチ検
    出装置であって、入力信号の線形予測残差信号を得る手
    段と、前記線形予測残差信号をダウンサンプリングする
    手段と、前記ピッチ予測フィルタの出力をダウンサンプ
    リングして記憶する記憶手段と、前記ダウンサンプリン
    グした線形予測残差信号及び前記記憶手段に記憶された
    ダウンサンプリングしたピッチ予測フィルタの出力が最
    も相似となる第1の最適ラグを求める手段と、前記第1
    の最適ラグに対応するダウンサンプリング前のラグ及び
    当該ラグの隣接ラグの間で前記ダウンサンプリング前の
    線形予測残差信号及び前記記憶手段に記憶されたダウン
    サンプリングしたピッチ予測フィルタの出力が最も相似
    となる第2の最適ラグを求める手段とを備えており、該
    第2の最適ラグをピッチとすることを特徴とするピッチ
    検出装置。
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