JP3120772B2 - 心電図由来雑波の除去機能を有する脳波計とその除去機能のためプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

心電図由来雑波の除去機能を有する脳波計とその除去機能のためプログラムを記録した記録媒体

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JP3120772B2
JP3120772B2 JP8527198A JP8527198A JP3120772B2 JP 3120772 B2 JP3120772 B2 JP 3120772B2 JP 8527198 A JP8527198 A JP 8527198A JP 8527198 A JP8527198 A JP 8527198A JP 3120772 B2 JP3120772 B2 JP 3120772B2
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waveform
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脳波計に関し、特
に心電図由来雑波の除去機能を有する脳波計とその除去
機能のためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】脳の機能状態を示し、脳障害の標識とな
るものとして脳波が使用されているが、この脳波は脳か
ら生ずる不規則変動の2電極間の脳電位を記録したもの
であり、非常に微弱な信号を増幅して記録するため、こ
れに比して大きな生体信号である心電図(心電図波形と
も言う)が混入しやすく、この心電図を除去することが
求められる。
【0003】従来の心電図除去法の一例が特開昭62−
47340号公報に記載されている。この公報に記載さ
れた心電図除去法は、脳波とは別に導出した心電図から
トリガ信号を生成する手段と、これに同期させてトリガ
発生時の前後の一定期間の脳波を個々のセグメントに分
割する手段と、各セグメントを逐次加算平均して雑波の
推定波形を求める手段と、導出した脳波からこの推定波
形を差し引いて実脳波を抽出する手段とから構成されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た心電図除去方法には次のような問題点がある。
【0005】第1の問題点は、しばしばトリガの検出に
失敗し、該当セグメントの脳波は心電図によるノイズが
除去されないまま出力されてしまうことである。
【0006】その理由は、前述した心電図除去法では、
心電図波形が、あるリファレンス電圧に下方からクロス
した時点の立ち上がりを捉えて、トリガ信号を発生させ
ているため、リファレンス電圧の設定が悪かったり心電
図全体にうねりがのっていたりすると、リファレンス電
圧を超えない期間が続くことがあり、トリガがかからな
いからである。また、このような状況を回避するために
心電図波形の連続する2サンプリング点での大小を比較
してトリガ信号を発生させるようにすると、心電図に小
さなノイズがのっている場合には全く意味のない時点で
トリガ信号が発生してしまい、更に状況は悪くなる。
【0007】第2の問題点は、不整脈などの心電図の乱
れが発生すると、著しく精度が落ちることである。
【0008】その理由は、心電図がほぼ一定の形状であ
るということを前提にしているためである。突然特異な
形状の心電図が入ってきても、その脳波への影響は、1
セグメントの、逐次加算平均への寄与に相当する割合で
しか効いてこない。しかも、この特異なセグメントも他
と同じく逐次加算平均の対象とされるため、しばらくの
間、以降のセグメントにも影響を与え続けることになっ
てしまう。
【0009】第3の問題点は、てんかんの患者に見られ
る棘波のように診断上重要な情報が失われる可能性があ
ることである。
【0010】その理由は、棘波のように瞬間的に激しく
変動する脳波がセグメント内に存在した場合、これも心
電図による影響として扱われてしい、その形状を鈍らせ
てしまうからである。
【0011】第4の問題点は、特に、脳波に大きなうね
りがのっている場合等に、心電図起因の雑波を除去した
結果の脳波に階段状の不連続が発生することである。
【0012】その理由は、逐次加算平均されて求められ
た心電図由来雑波の振幅の推定値は、波形の両端部分で
の推定値が厳密にゼロにはならず、導出した脳波からこ
の推定波形を差し引いているためである。またこの階段
状の不連続が発生するという状況は、脳波に大きなうね
りがのっている場合には更に顕著になる。
【0013】第5の問題点は、セグメントの幅の設定の
手間がかかることである。
【0014】その理由は、心拍数や心電図波形の形状は
個人差があるため、全ての人に対して有効な値は存在し
ないからである。ゆえに被験者が変わる度に心電図の特
徴を見て、セグメントの幅を設定し直す必要がある。
【0015】本発明の目的は、脳波に混在する心電図由
来の雑波を精度よく除去することができる脳波計、およ
びその雑波を精度良く除去するための処理を実行させる
プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、脳波に不整脈などに
よる特異な波形の心電図が入ってきても、心電図由来の
雑波を精度よく除去することができる脳波計及び記録媒
体を提供することにある。
【0017】本発明の他の目的は、棘波のように診断上
重要な情報が失われる可能性を防止した脳波計及び記録
媒体を提供することにある。
【0018】さらに、本発明の目的は、脳波にうねりが
のっている場合にもその影響を受けることなく精度の良
い脳波計を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の脳波計は、脳波
発生手段である脳波入力装置(図1の1)と、心電図発
生手段である心電図入力装置(図1の2)と、脳波波形
および心電図波形の振幅を1サンプリングごとに逐次加
算平均する逐次加算平均手段(図1の3)と、心電図波
形が脳波波形に与える影響を示す係数(影響係数)を算
出する影響係数算出手段(図1の4)と、脳波から心電
図由来の雑波を減じて除去する心電図除去手段(図1の
6)とを有することを特徴としている。
【0020】脳波波形は実脳波と心電図由来の雑波との
和として捉えることができる。また、心電図由来の雑波
は心電図の振幅の大きさに比例するとして扱うことがで
き、結局脳波波形は、実脳波と、心電図波形にある比例
定数を乗じた値との和として表すことができる。
【0021】心電図波形は、極性を持っているので、そ
のサンプリング値を平均すれば非ゼロの値が得られる。
一方実脳波は不規則であるため、平均すればゼロとな
る。よって、脳波波形の振幅の平均値は心電図波形の振
幅の平均値に比例定数(影響係数)を乗じたものに他な
らない。よって、影響係数は、脳波波形の振幅の平均値
を、心電図波形の振幅の平均値で除した値として求める
ことができ、脳波波形の振幅から、心電図波形の振幅に
影響係数を乗じた値を減ずることにより、実脳波の振幅
を求めることができる。
【0022】本発明による記録媒体は、コンピュータ
に、脳波波形の振幅および心電図波形の振幅それぞれの
平均値を逐次算出する処理と、これらの平均値から、心
電図波形が脳波波形に与える影響を示す影響係数を算出
する処理と、前記影響係数と前記心電図波形の振幅か
ら、心電図由来の雑波の振幅を算出し、脳波波形の振幅
から減じる処理とを実行させるためのプログラムを記録
したものである。
【0023】さらに、本発明による記録媒体は、コンピ
ュータに、脳波波形の振幅および心電図波形の振幅それ
ぞれの平均値を逐次算出する第1の処理と、これらの平
均値から、心電図波形が脳波波形に与える影響を示す影
響係数を算出する第2の処理と、前記脳波波形の振幅及
び前記心電図波形の振幅が一定レベル以下の場合に、前
記平均値の算出と前記影響係数の算出をスキップし、1
算出サイクル前の影響係数を発生する第3の処理と、前
記第2または第3の処理で発生した影響係数と前記心電
図波形の振幅から、心電図由来の雑波の振幅を算出し、
脳波波形の振幅から減じる処理と、を実行させるための
プログラムを記録したものである。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0025】図1を参照すると、本発明の第1の実施の
形態は、脳波入力装置1と、心電図入力装置2と、逐次
加算平均手段3と、影響係数算出手段4と、一時記憶装
置5と、心電図除去手段6と、出力装置7とを含む。一
時記憶装置5は加算平均結果記憶部8と、影響係数記憶
部9とを備えている。
【0026】脳波入力装置1は、被験者の頭部に設定し
た電極から脳波を導出し、増幅した後、A/D変換して
デジタル信号に変換する。心電図入力装置2は、脳波入
力装置1と同期して被験者の体から心電図を導出し、脳
波のデジタル変換と同期してA/D変換してデジタル信
号に変換する。したがって、それぞれデジタル信号の心
電図と脳波は、同じタイミングで発生する。
【0027】逐次加算平均手段3は、脳波および心電図
のデジタル信号(振幅を表す)を独立に逐次加算平均
し、それぞれの結果をRAM、ディスクメモリなどの一
時記憶装置5の加算平均結果記憶部8に記憶する。逐次
加算平均の詳細については、後述する。
【0028】影響係数算出手段4は、逐次加算平均手段
によって算出された、脳波波形の振幅の平均値を心電図
波形の振幅の平均値で除して、心電図波形が脳波波形に
混入する割合を算出し、これを影響係数として一時記憶
装置5の影響係数記憶部9に記憶する。
【0029】心電図除去手段6は、心電図入力装置2か
らの心電図波形に影響係数を乗じた値を脳波入力装置1
からの脳波波形から減ずることにより、心電図由来の雑
波を除去する。そして心電図由来の雑波が除去された実
脳波、および心電図波形が出力装置7に出力される。
【0030】次ぎに、図1の第1の実施の形態の脳波計
の動作について説明する。
【0031】脳波入力装置1は、被験者から発せられる
脳波を捕らえ、A/D変換してデジタル信号の脳波波形
に変換する。これと同期して、別途心電図入力装置2で
被験者の心電図を捕らえ、A/D変換してデジタル信号
の心電図波形に変換する。それぞれのデジタル信号は、
脳波及び心電図を1〜2kHzでサンプリングした値の
デジタル信号である。これにより、通常、約1Hzで繰
り返し発生する心電図の1周期に対し、約1000〜2
000個のサンプリングデータが得られる。ここで、脳
波と心電図のサンプリングされたデジタル信号は、互い
に同期して出力される。
【0032】デジタル信号の脳波と心電図は、それぞれ
個別に1サンプリングデータずつ逐次加算平均手段3に
送られ、これらの値(振幅)と加算平均結果記憶部8に
記憶されている、これまでの平均値とから、両波形の振
幅のそれぞれの平均値が計算され、加算平均結果記憶部
8の内容を計算結果で更新し、その値を影響係数算出手
段4に送る。
【0033】ここで、脳波の逐次加算平均はつぎのよう
にして行われる。加算平均結果記憶部8に記憶される更
新値をAi、更新前に記憶されていた平均値をA0、現
脳波のデジタル信号の値をA1とすると、近似的につぎ
の式で与えられる。
【0034】 Ai=α・A0+(1−α)・A1 … (1) ここで、αは定数で、0.8≦α<1の値である。
【0035】(1)式は、心電図の逐次加算平均の場合
も同様である。加算平均結果記憶部8に記憶される心電
図の平均値の更新値をBiとする。
【0036】影響係数算出手段4は、脳波波形の振幅の
平均値Aiを心電図波形の振幅の平均値Biで除して影
響係数(Ai/Bi)を算出し、影響係数記憶部9に記
憶し、その値を心電図除去手段6に送る。この時、初期
段階で、心電図波形の振幅の平均値が安定していない場
合等に、ゼロによる除算が起こりうるが、そのような場
合、影響計数算出手段4は除算を行わず、影響係数記憶
部9に記憶されていた、1サイクル前の値を算出結果と
して用い、心電図除去手段6に送る。
【0037】心電図除去手段6では、脳波入力装置1か
ら送出される値(デジタル値X)から、心電図入力装置
2から送出される値(デジタル値Y)に影響係数を乗じ
た値を差し引き、出力装置7に送る。すなわち、つぎの
出力Zを送る。
【0038】 Z=X−(Ai/Bi)・Y … (2) 出力装置7はこの値Zと共に、心電図入力装置1から送
出された心電図の値Xを出力する。
【0039】ここで、逐次加算平均手段3が脳波と心電
図のデジタル信号を入力してから影響係数算出手段4が
影響計数を発生するまでの演算は、脳波入力装置1及び
心電図入力装置2のサンプリング時間より高速に行われ
る。したがって、脳波入力装置1及び心電図入力装置2
から送出される値X、Yは、逐次加算平均手段3へのデ
ジタル信号、すなわち、(1)式の現脳波、心電図のデ
ジタル信号の値をA1、B1と同一となり、現脳波に含
まれる心電図の影響が実時間で除去される。
【0040】上述した第1の実施の形態によれば、脳波
と同じタイミングで抽出した心電図に影響係数を乗じる
ことにより心電図由来雑波を算出し、実時間の脳波から
その雑波を差し引いているので、棘波のように診断上重
要な情報が失われる可能性を防止できる。
【0041】また、脳波と同じタイミングで抽出した心
電図に影響係数を乗じることにより心電図由来雑波を算
出するので、直接、別の時点での心電図の振幅値に依存
することはなく、また別の時点に直接に影響を与えるこ
ともない。よって、脳波に不整脈などによる心電図の乱
れが入ってきても、心電図由来の雑波を精度を落とすこ
となく除去することができる。
【0042】さらに、影響係数において心電図に現れる
乱れの影響は、除算によって小さくなり、その乱れによ
って影響係数が急激に変化することはない。したがっ
て、心電図の乱れによって脳波が急激に変化することが
防止される。
【0043】次に、本発明の第2の実施の形態について
図面を参照して詳細に説明する。図2を参照すると、本
発明の第2の実施の形態は、図1に示された第1の実施
の形態の構成に加えて、低周波遮断フィルタ10を有す
る点で異なる。
【0044】心電図には、しばしば被験者の体動等に起
因する低周波のうねりがのる場合がある。この場合に
も、心電図入力装置2から入力された心電図を低周波遮
断フィルタ10に通すことによって、うねりを取り除く
ことができ、以降第1の実施の形態と同様に機能させる
ことができる。なお、低周波遮断フィルタ10は、帯域
可変信号Cによって、低周波遮断帯域を可変可能なフィ
ルタである。帯域可変信号Cは、うねりの周波数に応じ
て設定される。
【0045】次に、本発明の第3の実施の形態について
図面を参照して詳細に説明する。図3を参照すると、本
発明の第3の実施の形態は、図2に示された第2の実施
の形態の構成に加えて、低レベル遮断手段11を有する
点で異なる。
【0046】低レベル遮断手段11は、入力された心電
図波形の振幅が一定のレベル以下の場合には、逐次加算
平均手段3、および影響係数算出手段4をスキップし、
影響係数記憶部8に記憶されている、1サイクル前の影
響係数を心電図除去手段6に送る。その結果、心電図の
パルス付近に相当するデータのみが逐次加算平均の対象
となり、影響係数算出に寄与することになり、より正確
な値を算出することができる。なお心電図波形に振幅と
比較されるレベルは、レベル可変信号Dによって自由に
設定することができる。
【0047】次に、本発明の第4の実施の形態について
図面を参照して詳細に説明する。図4を参照すると、本
発明の第4の実施の形態は、脳波入力装置1、心電図入
力装置2、RAM(ランダムアクセスメモリ)30、R
OM(リードオンリメモリ)40及び出力装置7がコン
ピュータの中央処理装置であるCPU20の制御バス及
びデータバスに接続されている。
【0048】図4において、RAM30は、図1の一次
記憶装置5に相当し、ROM40には、CPU20によ
って実行される制御プログラムが格納されてる。その制
御プログラムは、脳波入力装置1及び心電図入力装置2
からの脳波及び心電図のデジタル信号から、図1の逐次
加算平均手段3、影響係数算出手段4および心電図除去
手段6と同じ演算をCPU20に実行させるためのもの
である。演算途中で発生する脳波、心電図の平均値A
i、Biは、それぞれRAM30に一時格納され更新さ
れ、また影響係数(Ai/Bi)もRAM30に一時格
納される。
【0049】次ぎにROM40に格納されたプログラム
に基づくCPU20による演算動作を説明する。
【0050】デジタル信号の脳波と心電図は、それぞれ
個別に1サンプリングデータずつCPU20に送られ、
これらの値とRAM30に記憶されている、これまでの
平均値とから、両波形の振幅のそれぞれの平均値が計算
され、RAM30の内容を計算結果で更新する。脳波、
心電図の逐次加算平均は、前述した(1)式に基づいて
実行される。
【0051】次ぎに、CPU20は、脳波波形の振幅の
平均値Aiを心電図波形の振幅の平均値Biで除して影
響係数(Ai/Bi)を算出し、RAM30に記憶す
る。この時、初期段階で、心電図波形の振幅の平均値が
安定していない場合等に、ゼロによる除算が起こりうる
が、そのような場合、CPU20は除算を行わず、RA
M30に記憶されていた、1サイクル前の値を算出結果
として用いる。
【0052】さらに、CPU20は、脳波入力装置1か
ら送出される値(デジタル値X)から、心電図入力装置
2から送出される値(デジタル値Y)に影響係数を乗じ
た値を差し引き、出力装置7に前述した(2)式の出力
Zを送る。
【0053】出力装置7はこの値Zと共に、心電図入力
装置1から送出された心電図の値Xを出力する。
【0054】本発明は、以上説明した実施の形態に限定
されるものではなく、様々な変形例が考えられる。たと
えば、出力装置7は、ディスプレイだけでなく、ホスト
センターにデータを送出するためのインタフェースを有
する通信手段であっても良い。また、出力手段は、前に
心電図由来雑波の影響を除去した脳波の値Zを一旦メモ
リに記憶させてから出力するものでもよい。
【0055】また、図3において、低周波遮断フィルタ
10が無くても良い。
【0056】さらに、図4において、RAM30のかわ
りにレジスタを使用しても良い。また、ROM40の代
わりにハードディスクなどの電源をオフにしてもプログ
ラムが消えない記録媒体であれば良い。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明の脳波計の効
果はつぎのとおりである。
【0058】第1の効果は、心電図由来雑波を除去しそ
こなうことがないということである。その理由は、トリ
ガ検出のような処理が必要ないからである。
【0059】第2の効果は、不整脈などの心電図の乱れ
が発生しても、精度が落ちることはないということであ
る。その理由は、心電図由来雑波の算出は、同じタイミ
ングでの心電図に影響係数を乗じることによって行って
いるため、直接、別の時点での心電図の振幅値に依存す
ることはなく、また別の時点に直接の影響を与えること
もないからである。しかも影響係数を算出する手順から
見ても明らかなように、心電図の乱れと心電図由来の雑
波の乱れは基本的に比例関係にあり、影響係数が急激に
変化することはない。
【0060】第3の効果は、てんかんの患者に見られる
棘波のように、診断上重要な情報が失われることはない
ということである。その理由は、第2の効果の理由と同
様である。
【0061】第4の効果は、最終的に抽出した実脳波が
階段状の不連続のような不正な形状を含むことはないと
いうことである。その理由は、脳波波形から減じられる
心電図由来の雑波は、心電図に影響係数を乗じた、不連
続のない波形として算出されるからである。
【0062】第5の効果は、セグメント分割のための幅
を設定するような手間がかからないことである。その理
由は、本発明では波形をセグメント単位で扱うことは一
切ないからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示すブロック図で
ある。
【符号の説明】
1 脳波入力装置 2 心電図入力装置 3 逐次加算平均手段 4 影響係数算出手段 5 一時記憶装置 6 心電図除去手段 7 出力装置 8 加算平均結果記憶部 9 影響係数記憶部 10 低周波遮断フィルタ 11 低レベル遮断手段

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脳波波形の振幅値を発生する脳波発生手
    段と、 前記脳波波形の振幅値の発生と同期して心電図波形の振
    幅値を発生する心電図発生手段と、 前記脳波発生手段からの脳波波形の振幅値および前記心
    電図発生手段からの心電図波形の振幅値それぞれの平均
    値を逐次算出する逐次加算平均手段と、 これらの平均値から、心電図波形が脳波波形に与える影
    響を示す影響係数を算出する影響係数算出手段と、 前記影響係数と前記心電図波形の振幅値から、心電図由
    来の雑波の振幅を算出し、脳波波形の振幅値から減じる
    心電図除去手段と、 を含む脳波計。
  2. 【請求項2】 前記脳波発生手段及び前記心電図発生手
    段は、脳波波形と心電図波形を被験者から導出し、デジ
    タル信号に変換した脳波波形の振幅値及び心電図波形の
    振幅値を発生することを特徴とする請求項1に記載され
    た脳波計。
  3. 【請求項3】 前記影響係数算出手段は、前記脳波波形
    の振幅値の平均値を前記心電図波形の振幅値の平均値で
    除算した値を前記影響係数として算出し、 前記心電図除去手段は、前記心電図由来の雑波の振幅を
    前記心電図波形の振幅値と前記影響係数との積として算
    出し、その積を脳波波形の振幅値から減じることを特徴
    とする請求項1または2に記載された脳波計。
  4. 【請求項4】 前記心電図発生手段は、前記心電図波形
    に含まれるうねりを除去するフィルタを有し、そのフィ
    ルタを通した波形の振幅値を発生することを特徴とする
    請求項1、2、または3に記載された脳波計。
  5. 【請求項5】 前記脳波計は、さらに前記脳波発生手段
    及び前記心電図発生手段からの脳波波形の振幅値及び心
    電図波形の振幅値が一定レベル以下の場合に、前記逐次
    加算平均手段および前記影響係数算出手段による前記平
    均値の算出と前記影響係数の算出をスキップし、1算出
    サイクル前の影響係数を前記心電図除去手段に送る手段
    を有することを特徴とする請求項1、2、または3に記
    載された脳波計。
  6. 【請求項6】 前記影響係数算出手段は、前記脳波波形
    の振幅値の平均値を前記心電図波形の振幅値の平均値で
    除算した前記影響係数がゼロの場合、1算出サイクル前
    の影響係数を前記心電図除去手段に送ることを特徴とす
    る請求項1、2、または3に記載された脳波計。
  7. 【請求項7】 脳波波形の振幅値を発生する脳波発生手
    段と、 前記脳波波形の振幅値の発生と同期して心電図波形の振
    幅値を発生する心電図発生手段と、 前記脳波発生手段からの脳波波形の振幅値および前記心
    電図発生手段からの心電図波形の振幅値それぞれの平均
    値を算出する逐次加算平均手段と、 これらの平均値から、心電図波形が脳波波形に与える影
    響を示す影響係数を算出する影響係数算出手段と、 前記影響係数と前記心電図波形の振幅値から、心電図由
    来の雑波の振幅を算出し、脳波波形の振幅値から減じる
    心電図除去手段と、 前記心電図除去手段の出力と前記心電図波形の振幅値と
    が供給され、出力する出力装置と、 を含む脳波計。
  8. 【請求項8】 プログラムに基づいて処理を実行するコ
    ンピュータに、 脳波波形の振幅および心電図波形の振幅それぞれの平均
    値を逐次算出する処理と、 これらの平均値から、心電図波形が脳波波形に与える影
    響を示す影響係数を算出する処理と、 前記影響係数と前記心電図波形の振幅から、心電図由来
    の雑波の振幅を算出し、脳波波形の振幅から減じる処理
    とを実行させるためのプログラムを記録した記録媒体。
  9. 【請求項9】 プログラムに基づいて処理を実行するコ
    ンピュータに、 脳波波形の振幅および心電図波形の振幅それぞれの平均
    値を逐次算出する第1の処理と、 これらの平均値から、心電図波形が脳波波形に与える影
    響を示す影響係数を算出する第2の処理と、 前記脳波波形の振幅及び前記心電図波形の振幅が一定レ
    ベル以下の場合に、前記平均値の算出と前記影響係数の
    算出をスキップし、1算出サイクル前の影響係数を発生
    する第3の処理と、 前記第2または第3の処理で発生した影響係数と前記心
    電図波形の振幅から、心電図由来の雑波の振幅を算出
    し、脳波波形の振幅から減じる処理と、を実行させるた
    めのプログラムを記録した記録媒体。
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JP5419157B2 (ja) * 2009-11-30 2014-02-19 株式会社心電技術研究所 脳波測定装置および脳波測定方法
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