JP3120337B2 - 組織培養幼植物体の育成方法と育成装置 - Google Patents

組織培養幼植物体の育成方法と育成装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は組織培養幼植物体(以下「培養植物」とい
う)の育成促進と、育成期間の短縮が図れる組織培養幼
植物体の育成方法とその装置に関する。
〈従来の技術〉 近時、培養植物の研究開発が盛んに行われている。
組織培養由来の脆弱な幼植物を効率よく育成するに
は、光量、温度、湿度、炭酸ガス量等の諸条件を厳密に
管理することが重要である。
特に、培養植物は気孔の開閉が未熟でクチクラワック
ス層が未発達であり、育成する初期の湿度条件は、ほぼ
100%に近い高湿度に保つことが常識とされている。
そのために従来は第3、4図に示すように、容器Cの
開口部をアルミフォイルFで被覆して接着テープTで密
閉する方式、あるいは蓋Bをねじ止めして外周をテープ
Tで密閉する方式などが採用されている。
こうして培養した幼植物が成長すると、培養植物を外
部の自然環境に移して栽培する際、急激な環境変化によ
る培養植物への影響を緩和する方法として、培養植物に
特殊カバーを被せて乾燥やその他のショックから防護し
て段階的に順化する方法も提案されている。
〈本発明が解決しようとする問題点〉 前述した従来の培養植物の育成技術には次のような問
題点がある。
〈イ〉 高湿度環境が長期間維持されるため、培養植物
の蒸散が行われ難い。
蒸散の低下に比例して、養分を含んだ水分の吸収性が
低下する。
しかも培養植物の育成に欠かせない高湿度環境は、ク
チクラワックス層や気孔の開閉機構の発達も遅らせてい
る。
このような理由から、培養植物の種類により多少差も
あるが前述した環境下において培養植物の平均的な培養
期間は、約二週間乃至数ケ月、長い場合には1年と長く
かかる。
〈ロ〉 培養初期の培養植物は光合成能力が低いため、
育成栄養源として炭素源(ショウ糖等)を供給する必要
がある。
そのため、炭素源の供給に起因してコンタミネーショ
ン(汚染)の問題が発生する。
特に培養期間が長期化するほどコンタミネーションの
問題が深刻となり、コンタミネーション対策のための設
備上及び作業上多大の配慮が必要である。
〈ハ〉 培養植物が自然環境に適応できるように、培養
植物を時間をかけて段階的に順化させる必要がある。
〈本発明の目的〉 本発明は以上の問題点を解決するために成されたもの
で、次の組織培養幼植物体の育成方法と装置を提供する
ことを目的とする。
〈イ〉 培養植物の育成を促進できる、組織培養幼植物
体の育成方法とその装置。
〈ロ〉 培養期間を大幅に短縮できる、組織培養幼植物
体の育成方法とその装置。
〈ハ〉 コンタミネーションの機会の低減を図れる、組
織培養幼植物体の育成方法とその装置 〈ニ〉 順化のステップを省略できる、組織培養幼植物
体の育成方法とその装置。
〈問題点を解決するための手段〉 即ち、本発明は低湿度の環境条件で培養植物を育成す
ることを特徴とする組織培養幼植物体の育成方法とその
装置である。
育成の初期における湿度が85%以下であり、育成の終
期における湿度が60%以下であるように調節して行うこ
とを特徴とする組織培養幼植物体の育成方法である。
さらに本発明は、育成室と、その内部に収納する育成
ボックスよりなり、育成ボックスにはフィルターを備え
た開口部を設け、育成室には湿度発生機と、この湿度を
時間と共に変化させる湿度調整機とを設けたことを特徴
とする組織培養幼植物体の育成装置である。
〈本発明の説明〉 以下、図面を参照しながら本発明について説明する。
〈イ〉湿度条件 一般に培養植物の育成に欠かせない湿度条件は高湿度
であるとされており、前記したように完全に密封して育
成するために、その湿度はほぼ100%を維持することが
不可欠の条件であるとされていた。
本発明はこのような常識を打ち破るもので、少なくと
も湿度条件については従来とまったく反対に培養植物の
育成初期から低湿度の環境下で育成する。
培養植物を低湿度の環境下で育成すると、培養植物の
生育が著しく促進されることが確認された。
このように培養植物の生育が著しく促進されるのは、
概ね次の理由によるものと考えられる。
即ち、低湿度の環境においては、培養植物の蒸散が促
進される。
蒸散の活発化に伴い根から吸い上げられる水分の吸収
量が増す。
養分を含んだ水分の吸収量が増し、育成が促進される
と、自ずとクチクラワックス層や気孔の開閉機構の発達
も促進されるためであると考えられる。
尚、低湿度といっても絶乾を意味するものではなくあ
くまでも従来の高湿度に対し相対的に低い湿度という意
味である。
また、育生初期とは、培養植物を育生ボックス20内に
収納した初めからを言い、育生終期とは、育生ボックス
20から出す時期を言う。
培養植物の育生ボックス20内への収納は、例えば、不
定胚等から発芽した状態や、葉を含む節に切り分けられ
た外植体の状態で行なう。
培養植物を育生ボックス20から出す時期は、低湿度に
対する耐性を有し、培地中の糖類が無くとも光合成によ
り独立栄養成長が可能な状態になった時などである。
以下に、このような育成が可能な育成施設の一例につ
いて説明する。
〈ロ〉育成施設 第1図に育成施設を示す。
育成施設は密封された準無菌環境の育成室10と、育成
室10内に置かれ、培養植物を収容する育成ボックス20と
よりなる。
育成室10内の育成環境は、照明ランプ11により光量
を、空調設備12により室温及び湿度を夫々調整可能に構
成されている。
この場合に湿度調整装置に後述するセンサとタイマー
を組み込み、時間とともに湿度を設定通りに変化させて
行くことができる。
育成ボックス20内は無菌状態が維持され、その両側部
に除菌用のフィルタ21、22が装備されている。
育成ボックス20内の環境は、育成室10内の環境を介し
て制御される。
育成ボックス20内の環境条件を制御するには、例えば
育成ボックス20に光量、温度、湿度を計測する各種セン
サを設け、これらのセンサで育成ボックス20内の環境条
件を計測し、計測データを基に先の諸機器を連動させて
育成環境条件に維持する方法が好適である。
また予め育成室10内の湿度など環境条件と、育成ボッ
クス20内の湿度などの環境条件との関係が判明している
場合は、育成室10内のみに湿度センサなどの各種センサ
を設けて制御することも可能である。
〈実施例〉 〈イ〉湿度制御例と生育量の実測例 下記する試験条件で湿度の異なる環境下における培養
植物の生育量の変化を実験した。
[試験材料] ・供試培養植物:組織培養由来のバレイショの小葉1枚
を含む節(生体重60〜70mg)に切り分けた外植体 ・培地;基礎成分=MS、寒天濃度=8g・l-1、ショウ糖
濃度=20g・1、pH=5.8分注量=125ml・vessel-1、植
物成長調整物質=無添加。
・培養器:円柱型プラスチック培養器 (容積750ml、内径9.9cm) ・培養室棚面上光量子束:120μmol・m-2・s-1 ・培養室内温度:23℃ ・明暗終期:24h(明期16h・d-1) [試験方法] 培養器の上面四箇所に直径10mmの穴を開け、そこに通
気性を有する除菌フィルタを設けたものと、フィルタの
ない二種類の培養器を準備する。
そして、フィルタ付きの培養器内に培養植物を植え付
けたものを試験体Aとし、これを湿度管理可能な環境下
に置いておく。
一方、フィルタがなく、容器の開口部をアルミフォイ
ルで閉塞し、その周囲を接着テープで密閉した培養器内
に培養植物を植え付けたものを試験体Bとする。
そして両試験体A、Bを同一条件(照度、温度)にな
るように置いた。
すなわち、試験体Aは本発明の環境条件である培養機
内を低湿度にする目的でフィルタを取り付けたものであ
り、一方、試験体Bは従来の方法と同様に密閉して、水
蒸気の漏出を抑え、培養器内を高湿度にするためのもの
である。
そして、両試験体A、Bの各培養器の内外部に夫々温
湿度センサを取り付け、各培養器の内外の相対湿度を、
第2図に示すように管理した。
試験体Aは培養器の内外の相対湿度を制御することな
く高湿度の環境下においた。
また、試験体Bについては、育成の初期に85%とし、
それ以降の育成終期の25日目に60%となるように漸減さ
せた。
そして、育成開始日から25日を経過した時点における
生体重、乾物重、葉面積を夫々計測した。
[試験結果] 25日目の両試験体A、Bの各培養植物の生体重、乾物
重、葉面積の計測結果を表−1に示す。
[考察] 育成度について 培養器内の相対湿度は以下の通りであった。試験体A
については、初期の5日間は85%を維持し、その後徐々
に低下させ、終期の25日には60%の湿度を維持した。
一方、試験体Bについてはほぼ湿度100%を維持し
た。
その結果、培養植物の育成に大きな差が見られた。
表−1によると、低湿度の環境下で培養した試験体A
の培養植物は、高湿度の環境下で培養した試験体Aの培
養植物に対し、生体重、乾物重及び葉面積の何れを比較
しても3倍程度の成長差を生じていたことが確認でき
た。
〈本発明の効果〉 本発明は以上説明したように、低湿度の環境条件下で
培養植物を育成することで次のような効果を得ることが
できる。
〈イ〉 高湿度の環境条件で育成する場合に比べて、培
養植物の生育を著しく促進できる。
〈ロ〉 培養植物の生育が早いので培養期間を大幅に短
縮できる。
〈ハ〉 培養期間を短縮化できた分だけ、コンタミネー
ションの機会が減る。
〈ニ〉 表面のワックス層の正常な発達、および気孔開
閉機構の早期発育によって、直接自然環境へ出すことが
できる。
そのため順化のステップを省略できる。
〈ホ〉 培養する培養植物の乾燥限界を踏まえた限界湿
度制御を行うことで、培養植物の生育をより以上に促進
させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図:本発明の育成環境を示す概念図 第2図:湿度条件の説明図 第3、4図:従来の育成方法の一例の説明図

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屋外環境で育成する前工程においてボック
    ス内で育成する組織培養幼植物体の育成方法において、 ボックス内育成期間の初めから湿度が85%以下であり、
    ボックス内育成期間の終期における湿度が60%以下であ
    るように調節して行うことを特徴とする、 組織培養幼植物体の育成方法。
  2. 【請求項2】屋外環境で育成する前工程において組織培
    養幼植物体をボックス内で育成する装置において、 育成室とその内部の育成ボックスよりなる二重密封構造
    であり、 育成ボックスにはフィルターを備えた開口部を設け、 育成室には湿度発生機と、 ボックス内育成期間の初めから湿度が85%以下であり、
    ボックス内育成期間の終期における湿度が60%以下であ
    るように湿度を調節する湿度調整機とを設けたことを特
    徴とする、 組織培養幼植物体の育成装置。
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