JP3112649B2 - コーティング種子を用いた緑化工法 - Google Patents

コーティング種子を用いた緑化工法

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JP3112649B2
JP3112649B2 JP08071362A JP7136296A JP3112649B2 JP 3112649 B2 JP3112649 B2 JP 3112649B2 JP 08071362 A JP08071362 A JP 08071362A JP 7136296 A JP7136296 A JP 7136296A JP 3112649 B2 JP3112649 B2 JP 3112649B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、航空実播工に適
用されるコーティング種子を用いた緑化工法に関する。
特に、木本植物を効率よく導入することを目的とす
る。
【0002】
【従来の技術】緑化は多種多様な場所で必要とされる。
現場までのルートが確保され人の手が入り易い場所で
は、対象地盤の土壌条件や形状等に対応し、生育基盤の
吹付工等の適切な施工をすることが可能である。また、
施工後も必要に応じて維持管理することもできる。一
方、遠隔地や急峻地などの人が近づくのが困難な場所
や、施工対象地盤が広大である場合には、施工条件が限
定され手間のかかる工法は困難であり、ヘリコプターに
よる空中散布を行う航空実播工が施される。従来の航空
実播工は、生育基盤材(バーク堆肥、黒ボク土など)と
肥料と種子と侵食防止材等とを水に混ぜた資材をヘリコ
プター等により空中から対象地盤へ散布する。スラリー
方式と湿式方式があるが、いずれも水分を多く含み、資
材の重量はかなりのものとなる。
【0003】一方、近年緑化は、草本植物を主体とする
ものから、地面の安定化、生態系の早期回復、周辺景観
との調和等において優れた機能を有する木本植物を主体
としたものへと移行しつつある。草本植物は、その発芽
・生育が旺盛であり、ある程度の土壌条件が確保されれ
ば、良好な生育が可能である。一方、木本植物の中に
は、発芽・生育条件が制限されるものがあり、且つ種類
ごとでも、適する土壌条件が異なる。例えば、植生遷移
過程の初期段階で優占する先駆樹種は、比較的肥料分の
少ない痩せ地を好み、植生遷移過程の最終段階で優占す
る極相構成樹種は、肥沃な土地を好む。これら発芽・生
育条件が各々異なる植物種を同一地盤に導入するには、
大変な手間と努力が必要であり、それ故に施工条件が厳
しい航空実播工対象地においてはなおさら難しい問題と
なっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のような水分を多
く含む資材による航空実播工では、作業能率が非常に悪
かった。例えば、バケット等の散布容器に充填される資
材のうち、およそ1/2〜2/3が水分であり、一度に
ヘリコプターで輸送できる有効資材量が非常に少なく、
施工が完了するまで遠隔地にある対象地まで何度も行き
来しなければならなかった。
【0005】また、航空実播工が余儀なくされているこ
とから、対象地の土壌は緑化に適した施工は何ら施され
ていない場合が多く、痩せ地であることが多いであろ
う。従って播種された種子は同時に散布される資材によ
りある程度の環境を保たれるものの、通常の緑化工に比
べて、栄養面、水分面等で非常に過酷な状況下に置かれ
ることとなり、その良好・確実な定着には、実播後も最
小限2〜3年の期間、追播、追肥が必要であった。
【0006】 本発明は、前記コーティング種子を利用
し、発芽・生育条件が各々異なる草本植物及び木本植物
の導入を可能とする緑化工法を提供する。特に、発芽・
生育条件が厳しい木本植物の導入を容易ならしめること
を目的とする。
【0007】
【0008】
【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成する
ために、本願出願人は、植物の発芽・生育に適した環境
を保持する各種材料にて種子をコーティングし、更にこ
れを乾燥及び造形加工することにより航空実播工に適し
た形態とさせたコーティング種子を用いた緑化工法を
明した。前記コーティング種子は、以下に示す方法によ
り製造される。また、前記コーティング種子は、以下に
示すような緑化工法に適用される。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】 本発明における第1の態様は、緑化工法
において、スラリー基材をあらかじめ対象地盤に散布
し、その後植物の発芽・生育に適した環境を保持する各
種材料にてコーティングした、いわゆるコーティング種
子の航空実播工を行うことを特徴とする。
【0022】本発明における第2の態様は、緑化工法に
おいて、草本植物種子を混入させたスラリー基材を対象
地盤に散布し、まず草本植物を導入し、該草本植物の衰
退期に、上記第1の態様のコーティング種子であり且つ
混合された種子が木本植物種子のみであるコーティング
種子の航空実播工を行うことを特徴とする。
【0023】 本発明における第3の態様は、緑化工法
において、スラリー基材に、上記第1の態様のコーティ
ング種子であり且つ混合された種子が草本植物種子のみ
であるコーティング種子と、上記第1の態様のコーティ
ング種子であり且つ混合された種子が発芽抑制処理を施
した木本植物種子のみであるコーティング種子とを混入
し、これを航空実播工することを特徴とする。
【0024】本発明における第4の態様は、緑化工法に
おいて、有機質を主材料とする緑化資材をあらかじめ対
象地盤に散布し、その後上記第1の態様のコーティング
種子の航空実播工を行うことを特徴とする。
【0025】本発明における第5の態様は、緑化工法に
おいて、有機質を主材料とする緑化資材に、極相構成樹
種種子と、上記第1の態様のコーティング種子であり且
つ混合された種子が先駆樹種種子のみであるコーティン
グ種子とを混入し、これを航空実播工することを特徴と
する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0027】緑化工において航空実播工に適用されるコ
ーティング種子の製造方法を以下に示す。種子、生育基
盤材、肥料、高分子粘着剤、保水剤、侵食防止剤、及び
繊維資材を少なくとも材料として、該材料を湿潤状態で
混練してコーティング種子粘材を作製し、該コーティン
グ種子粘材を造形加工及び乾燥させ、コーティング種子
の完成品とする。
【0028】以下にコーティング種子の一製造例を示
す。表1の配合表に従って、各材料を準備する。種子も
適量用意する。
【0029】
【表1】 コーティング種子の配合表(出来高 1リットル当たり) 材料 規格 数量 生育基盤材 関東ローム土 556g(絶乾) 〃 バーク堆肥 115g(絶乾) 〃 ベントナイト 35g 緩効性肥料 ツリーキーパー(TM) 70g (N:P:K:Mg=6−36−6−18) 土壌活性剤 バーディオール(TM) 11g 生育促進剤 フランキア 66g 高分子粘着剤 ポリビニルアルコール ※1 保水剤 イゲタゲルーFS(TM)(高吸水性ポリマー)※1 侵食防止剤 エスフィックス(TM)(高分子樹脂剤) ※2 繊維資材 グリーンファイバー(TM) ※2
【0030】まず、高分子粘着剤・保水剤混合液を以下
の要領で調製する(※1)。水1リットルに対し、高分
子粘着剤であるポリビニルアルコールを10g(8〜1
2gの範囲内で可)混合し、1%液を調製する。該1%
高分子粘着剤液1リットルに対し、2.5g(2〜3g
の範囲内で可)の保水剤であるイゲタゲル−FS(T
M)(高吸水性ポリマー)を混合し、高分子粘着剤・保
水剤混合液を調製する。
【0031】また一方で、侵食防止剤・繊維資材混合液
を以下の要領で調製する(※2)。水1リットルに対
し、侵食防止剤であるエスフィックス(TM)(高分子
樹脂剤)を20ml(15〜25mlの範囲内で可)混
合する。該侵食防止剤液1リットルに対し、繊維資材で
あるグリーンファイバー(TM)を8g(6〜10gの
範囲内で可)混入させる。混入の際には繊維資材を確実
に混ぜ込むために、ミキサー等を使用し充分撹拌する。
これを侵食防止剤・繊維資材混合液とする。
【0032】また上記とは別に、表1の配合量に従っ
て、絶乾させてから2mm以下の篩にかけた関東ローム
土と、同じく絶乾させてから5mm以下の篩にかけたバ
ーク堆肥と、ベントナイトとをよくかき混ぜ、その中に
種子、緩効性肥料、土壌活性剤、生育促進剤を加え更に
よく混ぜる。
【0033】続いてこれに、上記別途調製した高分子粘
着剤・保水剤混合液と侵食防止剤・繊維資材混合液を加
えて練り混ぜ、コーティング種子粘材を作製する。該2
液の混入量は、双方が同量となるようにし、且つ1.2
〜1.5リットルの範囲内とし、そのときの練り上がり
の硬さによって微調整する。目安としては手で握りしめ
たとき、手の隙間からコーティング種子粘材が出る程度
で、且つ水分がにじみ出ない程度とする。
【0034】上記混ぜ上がったコーティング種子粘材
を、手のひらに入る程度の団子状にし、円形の目の直径
が15mmのミートチョッパーにかける。この際、ミー
トチョッパーの口から押し出される前記粘材がとぎれな
いよう注意する。
【0035】押し出されたコーティング種子粘材は、直
径15mmの数本の麺状となっているが、それらが互い
に重ならないよう広げ、天日干しする。重ねてしまう
と、麺状の形状がつぶれたり、あるいは複数の麺状コー
ティング種子粘材が互いに張りついてしまったりと、そ
の後の造形加工が難しくなってしまうので、必ず重なら
ないように注意する。また、このことは乾燥を速めるた
めにも効果的である。
【0036】 基本的には3日間天日干しし、麺状コー
ティング種子粘材を風乾状態にするが、乾燥の具合によ
って、適宜干す時間を調整する。このように風乾状態と
することで、完成されるコーティング種子の軽量化が図
られ、且つ長期保存が可能となる。
【0037】 麺状コーティング種子粘材の風乾後、長
手軸方向に2〜5cm間隔で切断し、最終的に円形面直
径aが15mm、長手軸長(2つの円形面に挟まれ部分
の長さ)bが2〜5cmの円柱に造形されたコーティン
グ種子が完成される。該コーティング種子の形状を図1
に示す。尚、前記円形面直径aは15〜20mmの範囲
内で好適である。該形状は、円柱の長手軸が地面と平行
するよう着地されるので、地面接触面が広く確保され、
安定性や地面からの水分吸水の面で、球状等の他の形状
に比し有利である。また、コーティング種子内に均一に
配合される種子間での配合位置による条件の差が比較的
少なく、安定した発芽が得られる。更に、上記ミートチ
ョッパーにより容易に造形可能という利点もある。但
し、必要に応じ、適宜その他の形状とすることも無論可
能である。
【0038】以上、本発明におけるコーティング種子の
製造方法の一例であるが、各種材料については、同等の
効果をもたらすものであれば、適宜他の規格(製品)を
用いることが可能である。しかし、上記配合量は、あく
までも上記製造例で使用した材料の規格において好適な
量である。従って、各材料について他の規格を使用する
場合には、その好適な配合量が異なる場合もある。
【0039】生育基盤材には少なくとも土壌が含まれる
ことが望ましく、該土壌として、粘性土、ベントナイ
ト、浄水発生土のうち1種以上を少なくとも用いるのが
よい。上記製造例において関東ローム土の代わりに浄水
発生土を用いることも可能である。広大な面積を対象と
した場合、関東ローム土を多量に使用するのは大きな問
題となる。浄水発生土を使用しても、バーク堆肥や肥料
により養分不足となることはない。
【0040】生育基盤材として用いたバーク堆肥と肥料
とにより養分が充分確保される。但し、バーク堆肥は窒
素分を多く含むため、従来の高度化成を併用するとコー
ティング種子自体が高窒素状態となりダンピング・オフ
を招くおそれがある。このため肥料には上記製造例のよ
うに窒素成分比率の低い緩効性肥料を用いるのがよい。
尚、緩効性肥料は成分比N:P:K=6:36〜38:
6のものが好適である。また、使用する緩効性肥料のサ
イズはS品(φ1.6×3.5mm)が好適で、これに
よりコーティング種子の完成品の型くずれを防ぐことが
できる。
【0041】上記フランキアの代わりにVA菌根菌等の
有用土壌菌を使用しても良好な生育促進効果が得られ
る。生育促進剤や土壌活性剤は必要不可欠なものではな
いが、使用することが望ましい。フランキアやVA菌根
菌等、微生物資材の生育促進剤を混合することにより、
植物の生育は促進され、早期樹林化の手助けとなる。こ
れに土壌活性剤を併用することにより、フランキアの効
果は更に促進される。土壌活性剤としては、例えばアル
ギン酸ソーダ系のもの使用するとよい。
【0042】保水剤として使用した高吸水性ポリマーは
水分を保持すると共に、吸水作用や結露作用を有し、地
盤上に播かれたコーティング種子の直下に水分を集める
効果を持つ。しかし規格によりその吸水能力等が異なる
ので、混合量に注意が必要である。多すぎるとコーティ
ング種子が膨らみ固化しなくなってしまい、逆に少なす
ぎると保水効果が充分得られず耐乾燥性が低下してしま
う。
【0043】繊維資材は、バーク堆肥との作用によりコ
ーティング種子の絡みを増す効果があり、これにより耐
久性が高まる。紙のほか天然資材等が利用可能である
が、やはりそれら材質によって効果が異なるので、配合
量に注意が必要である。多すぎると発芽阻害を起こすお
それがあり、逆に少なすぎるとコーティング種子の強度
が低下し、雨滴等により形状が崩れてしまう。
【0044】高分子粘着剤はコーティング種子の強度を
高める効果を有し、これにより耐久性が高まる。上記製
造例ではポリビニルアルコールを使用したが、他のもの
を使用する場合はその好適な配合量が異なる場合もあ
る。本剤も多すぎるとコーティング強度が高くなり、発
芽阻害が起こるおそれがあるので配合量に注意する。
【0045】以上のように、コーティング種子の強度
を、発芽・生育を阻害しない程度で且つ空中散布や雨滴
に対しても崩れない程度に調製するためには、各種材料
の配合量が非常に重要となってくるが、これは上記製造
例中の材料、並び配合量により完璧に達成される。ま
た、コーティング種子の強度に大きく影響を及ぼす材料
について、あらかじめ好適な濃度に調整した混合液とし
ておくことで、好適な強度を持つコーティング種子の製
造が容易且つ安定して行える。
【0046】以上の方法により製造されたコーティング
種子は、水分を加えずに暗低温で保存すれば、1年間の
保存期間を確保できた。表2に、1年間保存による発芽
率へ影響を調べた試験結果を示す。
【0047】
【表2】 発芽率(%) 樹種名 加工前 加工後1年後 WLG 75.3 72.8 コスモス 66.7 60.5 メドハギ 67.0 63.9 イタチハギ 77.3 73.0 コマツナギ 30.3 24.9 ヤシャブシ 51.0 46.2 ヤマハギ 33.7 30.1
【0048】表2のように、購入時(加工前)の発芽率
と比較しても、本コーティング種子加工(製造)後1年
の発芽率は平均して4%低下にすぎず、長期保存が可能
であることが明らかとなった。
【0049】1つのコーティング種子に対し配合される
種子の種類は、1種類でも複数種でもよい。また、草本
植物種子或いは木本植物種子のいずれかを、1つのコー
ティング種子に配合してもよいし、あるいは両者を混ぜ
た状態で配合してもよい。
【0050】次に、上記方法で製造されたコーティング
種子の航空実播工による緑化工法を示す。
【0051】航空実播工には一般的に使用される機種の
ヘリコプターを用いる。バケット等の散布容器にコーテ
ィング種子のみを充填し、前記ヘリコプターに該散布容
器を取り付け、対象地盤へコーティング種子を空中散布
する。コーティング種子は乾燥状態であり軽量であると
共に、従来のように水を必要としないため、一度に運搬
可能な有効資材の量が飛躍的に増し、作業の能率化が図
れた。加えて、一般的に使用されるヘリコプター機種で
の有効散布幅は、これまでのスラリー方式では4〜6m
であったのに対し、本工法では、コーティング種子が粒
状であるため、約20mと5倍になり、一度の飛行で広
範囲の散布が可能となった。
【0052】航空実播工されたコーティング種子は、そ
の中に配合される生育基盤材、繊維資材、高分子粘着
剤、及び侵食防止剤等による強度により耐久性が高ま
り、高所からの落下にも崩れることなく、対象地盤上に
播種される。その後も、コーティング種子は降雨等によ
る打撃にも耐え、更に、保水剤による水分の確保及び緩
効性肥料による養分の確保等、種子の回りは適切な発芽
・生育環境が保たれ、良好且つ安定した発芽・生育が得
られる。生育促進剤としてフランキアを用いることによ
り生育は促進され、土壌活性剤を併用すれば、更にその
効果は高まる。また、フランキアの代わりにVA菌根菌
を使用しても良好な生育が期待できる。尚、コーティン
グ種子は、上記のように耐久性があり、種子の発芽及び
発芽直後の苗を保護することが可能な一方で、発芽・生
育自体を阻害しない程度の強度であり、その形状も植物
の成育状況に応じて徐々に壊れていく。
【0053】以上のように、コーティング種子は自身が
好適な発芽・生育環境を有するため、生育基盤造成工等
の基礎工がなされていない痩せ地や砂地へも、良好に植
物を導入することが可能である。
【0054】本発明のコーティング種子は植物の生育に
適した施工が何ら施されていない地盤へも適用可能であ
り、且つ水分を含まず、作業効率の良い航空実播工を提
供することが大きな特徴ではあるが、他方で、従来のス
ラリー基材や緑化資材の散布との併用も可能である。こ
のような併用により総和以上の効果を得ることも可能で
あり、特に、発芽・生育条件や植生遷移過程での優占時
期の異なる草本植物と木本植物とを各々適切に導入する
ためには有効である。
【0055】例えば、スラリー基材をあらかじめ対象地
盤に散布し、その後コーティング種子の散布を行うこと
も可能である。スラリー基材としては、従来用いられて
いる一般的なものを用いる。また、肥沃な有機質を主材
料とする緑化資材をあらかじめ対象地盤に散布し、その
後コーティング種子の散布を行うことも可能である。上
記コーティング種子としては、草本植物と木本植物とが
各々別にコーティングされた種子を用いてもよいし、ま
た、これらの混合物が1つのコーティング種子に配合さ
れたものを使用してもよい。但し、早期な自然樹林化を
目指す上では、草本植物と木本植物とをうまく使い分け
て、航空実播工するのが好適といえる。以下に、いくつ
かの施工例を示す。
【0056】〔施工例1〕スラリー基材に草本植物種子
を混入させ散布し、あらかじめ対象地盤に発芽・生育が
旺盛な草本植物を導入する。その後約半年から1年経過
し、前記草本植物により対象地盤がある程度土壌改良さ
れ、且つ草本植物自体は衰退期にある時期を見計らっ
て、先駆植物等の木本植物コーティング種子の航空実播
工を行う。これによれば、木本植物は草本植物に被圧さ
れることなく、効率よく導入することが可能である。特
に先駆樹種の導入に有効である。
【0057】〔施工例2〕スラリー基材に、草本植物コ
ーティング種子と、発芽抑制処理を施した木本植物コー
ティング種子とを混入させ、これを空中散布する。この
工法によれば、木本植物種子の発芽抑制処理により、草
本植物と木本植物の発芽・生育のピークの時期をずらす
ことが可能となり、従って、先に発芽した草本植物によ
る土壌改良が行われたのちに、木本植物が発芽し繁殖す
ることとなる。即ち、施工例1と同様の効果を、一度の
施工で得ることができる。
【0058】〔施工例3〕有機質を主材料とする緑化資
材をあらかじめ対象地盤に散布し、その後極相構成樹種
コーティング種子を航空実播工する。有機質を主材料と
する緑化資材の併用により、肥沃な土地を好む極相構成
樹種の旺盛な発芽・生育が期待できる。
【0059】〔施工例4〕有機質を主材料とする緑化資
材に、極相構成樹種種子と、先駆樹種コーティング種子
とを混入させ、これを航空実播工する。先駆樹種は肥沃
な有機質中ではかえって発芽及び幼苗の生育が抑制され
ることがあるが、本例では、先駆樹種は主にコーティン
グ種子内環境により良好に発芽・生育する。他方、極相
構成樹種は有機質により良好に発芽・生育することとな
る。
【0060】以上の施工例によれば、草本植物及び、木
本植物(先駆樹種、極相構成樹種)は、それぞれ異なる
発芽・生育条件や樹林化過程の中での発芽・生育適正時
期等が、各々好適に調整され、早期樹林化が達成され
る。特に、その発芽・生育条件が制限される木本植物の
導入において、コーティング種子を用いることは非常に
効果的である。
【0061】無論、上記施工例に限らず、本コーティン
グ種子の航空実播工は、吹付け造成された有機質基盤を
対象としてもよいし、その他の様々な緑化工との併用が
可能であり、且つ使用する種子の種類を様々に組み合わ
せることにより、対象地盤条件に対応した、好適な緑化
工を選択し行うことが可能である。
【0062】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、航空実播
工に適したコーティング種子が製造される。
【0063】コーティング種子は、乾燥状態であるため
非常に軽量であり、また水を必要としないため、ヘリコ
プターによる運搬が容易であり、且つ粒状であるため、
一回の飛行で多くの面積に実播可能となり、従来の水分
を多く含むスラリー方式に比し、飛躍的に作業の効率化
が図れる。特に、広大な地盤と対象とする緑化工に適し
ている。更に、あらかじめ、コーティング種子を製造
し、製品としておくことが可能であり、従来の様な現場
配合の手間がなく、作業能率は更に向上する。
【0064】また、コーティング種子は乾燥状態である
ので、製造後において使用するまでの長期保存が可能で
ある。該効果は播種後にもあてはまり、例えば航空実播
工後に日照りが続く場合には、その間コーティング種子
は発芽を待機(保存状態にある)する。その後雨が降り
充分水分を吸収し発芽可能となった時点で、良好に発芽
を行うことが可能である。このことにより、一度の航空
実播工による植物の定着率が高まり確実性が増すため、
無駄な播種を繰り返し行うことが防げる。
【0065】コーティング種子には生育基盤材に加え
て、繊維資材、高分子粘着剤、侵食防止剤が配合されて
いるため、航空実播工において高所から空中散布しても
充分耐え得る強度を持つ。また、雨滴の打撃にも強く、
発芽前に形状が崩れることはない。例えば春施工(4月
頃)に航空実播工を行った場合でも、雨期(6月頃)に
形状を乱すことはない。他方、強度を増したからといっ
て、発芽阻害が起きることはなく、高吸水性ポリマーの
吸水作用によりコーティング種子は膨張し、発芽しやす
い状態ができあがる。更に、発芽後、苗が大きく生長す
るにしたがって、コーティング種子は順次崩壊してゆ
く。この物理的衝撃に対する耐久性と、植物の発芽・生
育に適した柔軟性は相反するものであるが、本発明にお
いて示される材料配合により、コーティング種子の強度
は好適に調整される。
【0066】加えて、コーティング種子には保水剤が配
合されているため、砂地や降雨の少ない乾燥地において
も適用でき、植物の発芽・生育が確実に行えるようにな
った。高吸水性ポリマーの持つ吸水作用や結露効果によ
って、コーティング種子の直下地面には、水分が集まり
やすく、発芽・生育に適した水分環境が保たれることに
よる。
【0067】生育基盤材として窒素分を多く含むバーク
堆肥と肥料とにより、養分の確保がなされる。更にこれ
に対し、高度化成ではなく窒素成分の低い緩効性肥料を
組み合わせることにより、コーティング種子の高窒素含
有状態が緩和され、植物の初期定着がより確実となっ
た。更にはリン補給を行うことによって、草本群落で使
用しても、草本植物の生育には影響がなく、導入した木
本植物が被圧されることなく、良好に生育することがで
きる。
【0068】更に、微生物資材等の生育促進剤と土壌活
性剤とを併用することにより、より良好な植物の生育が
促進され、早期樹林化の手助けとなる。
【0069】以上のように本発明では、コーティング種
子自身が良好な環境を保持するため、礫地や砂地等にお
いても、良好な緑化が行える。更に山頂部の無土壌地や
岩盤裸出斜面、粘土分の多い土砂漠等の緑化困難地へお
いても、その定着率の低下はやむを得ないものの、適用
可能である。
【0070】本発明によるコーティング種子の航空実播
工による緑化工法は非常に簡便で作業効率がよい。ま
た、他の緑化工と併用することにより総和以上の効果が
得られる。その発芽・生育条件や植生遷移過程での適正
時期が各々異なる草本植物と木本植物(極相構成樹種、
先駆樹種)について、それぞれを好適な状態で導入する
ことが可能となった。特に、その発芽・生育条件が厳し
い木本植物の導入には多大な効果をもたらし、広大な面
積の自然樹林化を早期に達成する上で、大きく貢献する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコーティング種子の形状を示す外
観図である。
【符号の説明】
10 コーティング種子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−258201(JP,A) 特開 昭58−16604(JP,A) 特開 昭58−16603(JP,A) 特開 平3−22905(JP,A) 特開 平6−62668(JP,A) 特開 平7−33569(JP,A) 実開 昭47−37540(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 1/06 A01C 7/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航空緑化工において、スラリー基材をあ
    らかじめ対象地盤に散布し、その後、種子、生育基盤
    材、肥料、高分子粘着材、浸食防止材、及び繊維資材を
    少なくとも材料として、該材料を湿潤状態で混練してコ
    ーティング種子粘材を作成し、該コーティング種子粘材
    を造形加工及び乾燥させてなるコーティング種子の航空
    実播工を行うことを特徴とする緑化工法。
  2. 【請求項2】 航空緑化工において、草本植物種子を混
    入させたスラリー基材を対象地盤に散布しまず草本植物
    を導入し、該草本植物の衰退期に、請求項1記載のコー
    ティング種子であり且つ混合された種子が木本植物種子
    のみであるコーティング種子の航空実播工を行うことを
    特徴とする緑化工法。
  3. 【請求項3】 航空緑化工において、スラリー基材に、
    請求項1記載のコーティング種子であり且つ混合された
    種子が草本植物種子のみであるコーティング種子と、
    求項1記載のコーティング種子であり且つ混合された種
    子が木本植物種子のみであるコーティング種子を混入
    し、これを航空実播工を行うことを特徴とする緑化工
    法。
  4. 【請求項4】 航空緑化工において、有機質を主材料と
    する緑化資材をあらかじめ対象地盤に散布し、その後、
    請求項1記載のコーティング種子の航空実播工を行うこ
    とを特徴とする緑化工法。
  5. 【請求項5】 航空緑化工において、有機質を主材料と
    する緑化資材に、極相構成樹種種子と、請求項1記載の
    コーティング種子であり且つ混合された種子が先駆樹種
    種子のみであるコーティング種子とを混入し、これを航
    空実播工を行うことを特徴とする緑化工法。
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