JP3112402B2 - プッシュアップ工法用の水平変位計測法 - Google Patents

プッシュアップ工法用の水平変位計測法

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JP3112402B2 JP07280888A JP28088895A JP3112402B2 JP 3112402 B2 JP3112402 B2 JP 3112402B2 JP 07280888 A JP07280888 A JP 07280888A JP 28088895 A JP28088895 A JP 28088895A JP 3112402 B2 JP3112402 B2 JP 3112402B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プッシュアップ工法用
の水平変位計測法に関し、とくにCCDカメラ等のカメ
ラによる鉛直レーザ光の位置計測を利用したプッシュア
ップ工法用の水平変位計測法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、多層階建物の新しい建築生産工法
としてプッシュアップ工法が注目されている。図2を参
照するにこの工法では、まず多層階建物1の建築位置の
地盤Gに基礎20を作り、これにジャッキ21を取付ける。
このジャッキ21の上で最上階建物構造2tを構築した後こ
れを矢印Uのように上向きにジャッキ21で押上げ、その
下に次の階の各階建物構造2を構築してこれを最上階建
物構造2tと共に押上げ、さらに各階建物構造2を順次構
築しては押上げ、最後に地上階建物構造2bを構築して建
物構造の施工を終える。ジャッキ21における下層階の各
階建物構造2の構築と並行して、既に押上げた上層階構
造に対する壁の取付け工事や電気・空調その他の設備工
事を同時に行なうことができる。地上階の構造及び設備
の施工が終わった後、完成直前に多層階建物1に対する
塗装その他の外装工事を行なう。
【0003】各階の建物構造を押上げるには、各種要因
の管理が必要である。その中で各階建物構造2、2t、2b
の水平変位の管理は最も重要なものの一つである。従来
の高層建物建築方法では、下の階から順次施工する際
に、建物の鉛直性を管理することが行なわれている。そ
の方法としては、柱や梁を建て込んだ後、一方ではセオ
ドライト・鉛直器等により人間が肉眼で監視しながら、
他方でチェーンブロック等で所要の鉛直位置からのずれ
を直している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図2の各階建
物構造2、2t、2bのような大きな構造物の水平変位を上
記従来の鉛直性管理方法における手法で計測するには、
時間がかかり、熟練した測量技術者が現場に必要であ
り、プッシュアップ工法が目標とする自動化範囲の拡大
が困難である等の問題点がある。
【0005】従って、本発明の目的は、プッシュアップ
工法における簡便な水平変位計測法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、レーザ鉛直
器等における鉛直レーザ光と画像処理技術との組合わせ
に注目して本発明を完成した。図1を参照するに、本発
明のプッシュアップ工法用の水平変位計測法によれば、
地上の一定位置で1つの各階建物構造2を構築してこれ
を押上げた後、その下に次の各階建物構造2を構築しこ
れを押上げて多層階建物1を構築する際に、多層階建物
1について定められた地上の固定位置に鉛直上向きレー
ザ光4を設け、構築した各階建物構造2上の前記地上の
固定位置と対向する部位にターゲット板5及び該ターゲ
ット板5を鉛直上方から臨むターゲット板撮影用カメラ
6を固定し、ターゲット板5上におけるレーザ光4の受
光域7(図4参照)を発光させ、地上で構築した各階建
物構造2上のターゲット板5を前記地上の固定位置の鉛
直上方に位置決めした時にカメラ6の撮影画面9(図3
参照)上の受光域7の画像10(図3参照)の位置を画面
9の基準点R(図4参照)とし、その各階建物構造2の
押上げ時の水平移動に伴う画面9の基準点Rに対する受
光域7の画像10の変位(X、Y)によりその各階建物構
造2の水平変位(x、y)(図示せず)を計測してなる
ものである。
【0007】
【発明の実施の形態】図1の実施例において、鉛直上向
きのレーザ光4は地盤Gに固定されたレーザ鉛直器3に
より発生されているが、レーザ光4は地上の固定位置か
らの鉛直上向きであれば足り、レーザ鉛直器3のものに
限定されない。またカメラ8をCCDカメラとし、カメ
ラ8の画面9をモニタ27で直視できるようにしている
が、本発明は、カメラ画面9の監視が可能であれば足
り、CCDカメラの使用に限定されない。
【0008】計測対象の各階建物構造2上のターゲット
板5が初期位置、例えば高層建物1について定められた
地盤Gに対する所定位置の鉛直上方にある時に、レーザ
光4がターゲット板5に入射した部分が受光域7とな
り、ターゲット板5の受光域7が発光する。例えば、タ
ーゲット板5をすりガラス板とすれば、受光域7でレー
ザ光4が散乱して受光域7が実質上発光する。この時の
ターゲット板5上の受光域7の位置は、カメラ6による
ターゲット板5の画面9上に、例えば図3の受光域画像
10のように現れる。この時の画面9上の受光域画像10の
位置を基準点R(図4(B)参照)として画面9上に記録
することができる。カメラ6の結像面に曇板ガラス(図
示せず)をおいた場合には、曇板ガラス上にこのような
基準点Rを書込むことが可能である。図1の実施例では
CCDカメラに接続された画像処理装置25により基準点
Rの座標を記憶することが可能である。
【0009】図4(A)を参照するに、ターゲット板5及
びカメラ6は計測対象の各階建物構造2に固定されてい
るので、その各階建物構造2が水平移動すると、カメラ
6の結像位置15も同様に水平移動する。図中、符号15a
は各階建物構造2が初期位置にある時の結像位置(実線
位置)を示し、符号15bは各階建物構造2が水平移動し
た後の結像位置(破線位置)を示す。レーザ光4は地盤
Gに対し固定されているので、地盤Gに対する受光域7
の位置は、ターゲット板5が各階建物構造2と共に水平
移動した後も変らない。しかし、カメラ6の結像位置15
は実線位置15aから破線位置15bへ移動しているので、カ
メラ6の画面9上の受光域画像10の位置は、移動する。
図4(B)は、水平移動後の画面9上の受光域画像10の位
置を示す。この画面9上の基準点Rから受光域画像10ま
での変位X、Yは、カメラ6が各階建物構造2に固定さ
れているので、各階建物構造2の変位x、y(図示せ
ず)と1対1で対応する。またこの変位X、Yは、カメ
ラ6の結像面における曇板ガラスの場合には物差で計測
可能であり、画像処理装置25の場合には基準点Rと受光
域画像10との間の画素の数として電子的に計測可能であ
る。よって、カメラ画像9上の受光域画像10の変位を計
測することにより各階建物構造2の水平変位を計測する
ことができる。
【0010】こうして、本発明の目的である「プッシュ
アップ工法における簡便な水平変位計測法の提供」を達
成することができる。
【0011】
【実施例】図1の実施例では、カメラ6をCCDカメラ
としそれにレーザ光4のみを透過するフィルタ8を取付
け、そのCCDカメラの出力を、パソコン等の計算機26
のもとで機能する画像処理装置25に加え、その出力をC
RT等のモニタ27で監視する。画像処理装置25でカメラ
出力を2値処理した場合には、図3における受光域画像
10を白色、その背景を黒色に表示して受光域画像10の輪
郭を強調することができる。
【0012】受光域画像10が計測可能な面積をもつ場合
には、図3に示すようにその受光域画像10の面積の重心
11の位置を画像処理により求め、求めた重心11の位置を
受光域画像10の位置とすることができる。
【0013】さらに、前記CCDカメラの撮影画面9に
おける基準点Rに対する受光域画像10の変位は、基準点
Rと受光域画像10との間の画素の数として電子的に求め
ることが可能である。各画素に対応する各階建物構造2
の変位の大きさとの対応は、次のようにして求めること
ができる。CCDカメラの光軸とターゲット板5との交
点を中心として半径r(mm)の円をターゲット板5上に描
き、CCDカメラによるその円に対する円画像の半径を
画素数ρであるとする。円画像内の画素数Sはπρ2
与えられる。画像処理装置25によって円画像内の画素数
Sを計測した場合、その半径ρはρ=(S/π)1/2とな
る。画素数ρと変位r(半径、mm)との換算係数をkとす
ると(r=kρ)、その換算係数はk=(r/ρ)=r/
(S/π) 1/2で与えられる。換算係数kが一旦求まれ
ば、計測された画素数ρを変位(mm)に簡単に換算でき
る。
【0014】撮影画面9の画素数が多いCCDカメラを
用いれば変位計測の精度を挙げられることは明らかであ
る。なお、撮影画面9上の一定の画素群に対する重心の
算出、異なる画素間の画素数の計数等の画像処理の手法
は公知であり、それらの手法の中には計算機26に搭載で
きるボードに組込んで市販されているものもある。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明のプッシュア
ップ工法用の水平変位計測法は、レーザ光と画像処理と
を組合わせて使用するので、次の顕著な効果を奏する。
【0016】(イ)プッシュアップ工法において、多層
階建物について定められた地上の固定位置に対する各階
建物構造の押上げ時の水平変位を簡便にしかも迅速に計
測することができる。 (ロ)画素数が多いCCDカメラの利用により水平変位
計測の精度を挙げることができる。 (ハ)各階建物構造の水平位置の調節の自動化に資する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例の図式的ブロック図であ
る。
【図2】は、プッシュアップ工法の概要の説明図であ
る。
【図3】は、受光域の画像を含むカメラ画面を示す図で
ある。
【図4】は、受光域画像の位置による水平変位計測方法
の説明図である。
【符号の説明】
1 多層階建物 2 各階建物構造 3 レーザ鉛直器 4 レーザ光 5 ターゲット板 6 カメラ 7 受光域 8 フィルタ 9 画面 10 受光域画像 11 重心 15 カメラ結像面位置 20 基礎 21 ジャッキ 25 画像処理装置 26 計算機 27 モニタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−110235(JP,A) 特開 平7−19869(JP,A) 特開 昭62−282220(JP,A) 特開 平3−31715(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 15/00 E04G 21/18 G06T 7/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地上の一定位置で1の各階建物構造を構築
    し押上げた後その下に次の各階建物構造を構築し押上げ
    て多層階建物を構築する際に、前記多層階建物について
    定められた地上の固定位置に鉛直上向きレーザ光を設
    け、前記構築した各階建物構造上の前記地上の固定位置
    対向する部位にターゲット板及び該ターゲット板を鉛
    直上方から臨むターゲット板撮影用カメラを固定し、前
    記ターゲット板上におけるレーザ光の受光域を発光さ
    せ、地上で構築した各階建物構造上のターゲット板を前
    記地上の固定位置の鉛直上方に位置決めした時に前記カ
    メラの撮影画面上の前記受光域画像の位置を前記画面の
    基準点とし、各階建物構造の押上げ時の水平移動に伴う
    前記基準点に対する前記受光域画像の変位により各階建
    物構造の水平変位を計測してなるプッシュアップ工法用
    の水平変位計測法。
  2. 【請求項2】請求項1の水平変位計測法において、前記
    初期位置を前記地上の一定位置としてなるプッシュアッ
    プ工法用の水平変位計測法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の水平変位計測法におい
    て、前記受光域の画像が計測可能な面積をもつ場合に、
    その受光域画像面積の重心位置を画像処理により求め、
    求めた重心位置を受光域位置としてなるプッシュアップ
    工法用の水平変位計測法。
  4. 【請求項4】請求項1、2、又は3の水平変位計測法に
    おいて、前記カメラをCCDカメラとし、前記CCDカ
    メラの撮影画面を2値化して前記受光域の画像を黒色背
    景中の白色域として識別を容易にしてなるプッシュアッ
    プ工法用の水平変位計測法。
  5. 【請求項5】請求項4の水平変位計測法において、前記
    各階建物構造の水平移動後の前記CCDカメラの撮影画
    面における基準点に対する前記受光域の変位を、前記基
    準点と受光域との間の画素の数として求め、各画素に対
    応する各階建物構造変位の大きさと求めた画素の数とに
    よって水平変位を計測してなるプッシュアップ工法用の
    水平変位計測法。
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