JP3112337U - 芳香分子の遊離促進装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 芳香分子を、その分子構造を維持したまま、長時間に亘って安定した量で拡散させることができる芳香分子の遊離促進装置を提供すること。
【解決手段】 熱伝導性が高く、開口部510を有する容器5と、容器5内に収納された芳香発散体30と、容器5を加熱する加熱装置6とを備え、芳香発散体30は、芳香分子を含む芳香物質31,32を、芳香分子31,32と親和性がある無臭の熱溶解性蝋質材4に混入して成り、加熱装置6の加熱温度が、蝋質材4の揮発温度よりも低く、且つ、芳香分子が蝋質材4から遊離を開始する温度よりも高く設定されている。
【選択図】 図5

Description

本考案は、安全な一定温度で、高揮発点の媒介材を介し、間接的に芳香分子を交換誘導し、芳香分子の分子構造を完全に維持しながら遊離させて放出する芳香分子の遊離促進装置に関する。
従来、室内の香りの調製は、香水をスプレーしたり、ハーブに含まれる香りの成分を燃焼によって引きだし、室内空間に充満させていた。
また、最近では、アロマキャンドルを燃焼させたり、ハーブ等の精油を熱して揮発させる方法が流行しているが、これらは全て、芳香分子を室内に放出させて、室内を好適な香りで満たし、さらには、芳香分子の化学的作用により室内を殺菌したり、人体の交感神経を整えることを目的としている。
図1に示すように、アロマキャンドル1の内部には芳香物質10が含まれ、芯11を燃やして炎12が形成されると、炎12の温度でアロマキャンドル1が溶け、同時に炎12で芳香物質10の芳香成分が酸化されて、室内に拡散される。
しかし、この方法では、芳香成分が炎12の酸化作用によって破壊されるので、拡散する香りが変質しやすく、化学物質の不快な臭いがすることもあり、また、炎12の燃焼によって、一酸化炭素や二酸化炭素が発生して室内の空気が汚れたり、湿度が上がる心配もある。
精油を用いた方法では、図2に示すように、支持体21に載せたポット2の内部に水22を容れ、水22の表面に精油膜20を形成し、支持体21内部で燃やした火24によって水22を煮沸し、その熱エネルギーで精油膜20に含まれる芳香成分を外部へ拡散させる。
この方法では、精油膜20の周縁部230がポット2の熱によってその内面23に付着してしまう。また、水22が蒸発して液面が下降し、ポット2の内面23の温度が非常に高くなるため、精油膜20が高温で反応を起こし、香りが変化したり、焦げ付くことがある。
さらに、水22の表面に形成された薄い精油膜20を急速に揮発させるので、短時間しか香りが持続せず、精油を追加すると、水22が蒸発しきっていて空焼きを起こすことが往々にしてあり、焦げ臭い臭いが発生する。
本考案が解決しようとする課題は、芳香分子を、その分子構造を維持したまま、長時間に亘って安定した量で拡散させることができる芳香分子の遊離促進装置を提供することにある。
本考案の芳香分子の遊離促進装置は、熱伝導性が高く、開口部を有する容器と、該容器内に収納された芳香発散体と、前記容器を加熱する加熱装置とを備え、前記芳香発散体は、芳香分子を含む芳香物質を、該芳香物質と親和性がある無臭の熱溶解性蝋質材に混入して成り、前記加熱装置の加熱温度は、前記蝋質材の揮発温度よりも低く、且つ、前記芳香分子が前記蝋質材から遊離を開始する温度よりも高く設定されている。
前記容器の内面を、蝋質材が付着し難い滑面とし、前記加熱装置を、正温度係数セラミック抵抗発熱体を有する恒温加熱装置とすることがある。
この場合、前記容器の内面を断面弧状に湾曲した滑面にすると良い。
また、前記恒温加熱装置の出力電力を変更して温度調節を行うための温度調節部を設けても良い。
前記芳香物質として、ハーブの精油を用いることができる。
この時、容器の上方に精油補給装置を設けると良い。
前記芳香物質として、ハーブを用いることもできる。
ハーブは生の花又は草でも良いし、乾燥処理を施した花又は草でも良い。
容器の内部に、フィルタを介してハーブを取り出し可能に設置することもある。
本考案によれば、加熱装置の加熱温度が蝋質材の揮発温度よりも低い一定範囲内に保たれるので、芳香分子が長時間に亘って一定量拡散され、芳香分子の分子構造が破壊されて香りが変質する心配もなく、温度が上昇しすぎたり、蝋質材が揮発により減少して焦げ付くなどの事故を防止できて安全性が高い。
芳香分子を含む芳香物質を無臭の熱溶解性蝋質材に混入して成る芳香発散体を容器に収納し、この容器を加熱装置で加熱して、芳香発散体に含有された芳香分子を遊離し、外気へ拡散させる。加熱装置の加熱温度は、蝋質材の揮発温度よりも低く、且つ、芳香分子が蝋質材から遊離を開始する温度よりも高く設定されている。
以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図3及び図4は、本考案の実施例1を示す。
芳香分子の遊離促進装置は、図3に示すように、熱伝導性が高く、上面に開口部を有する容器5と、容器5内に収納された芳香発散体30と、容器5を加熱する図示しない加熱装置とを備える。
芳香発散体30は、芳香分子を含む芳香物質を、芳香物質と親和性のある無臭の熱溶解性蝋質材4に混入して成る。
蝋質材4は、約60℃程度の温度で溶解するので、容器5内に容れた蝋質材4が加熱装置から受けた熱波50で溶解したら、芳香物質を投入すれば良い。芳香物質としては、花や草より成るハーブ31、ハーブの精油32、或いは木質の植物を用いる。
蝋質材4の揮発温度は約130℃であり、加熱装置の加熱温度は、これより低い80℃〜100℃に設定されている。
従って、加熱装置で加熱されても、蝋質材4は液状になるだけであって、構造が変化することはないが、蝋質材4の熱によって芳香物質の芳香分子が放出され、液状の蝋質材4にとけ込む。
また、溶解した蝋質材4を加熱すると、温度の不均衡により下から上へ向かう流れが生じ、この流れによって蝋質材4にとけ込んだ芳香分子が上面に運ばれる。そして、芳香分子は、蝋質材4の上面から外気へ順次緩やかに拡散され、一定量の拡散を長時間継続する。
蝋質材4の温度は80℃〜100℃であるため、芳香物質から放出された芳香分子の分子構造は変質せず、香りの質は変化しない。なお、香りの質及び強さは、人間の嗅覚による実験では、時間経過によって変わらなかった。
なお、溶解した蝋質材4にハーブ31、精油32等の芳香物質を混入して、常温で固化させ、図4に示すような塊状の芳香発散体30を形成しておけば、包装や保存に便利である。塊状の芳香発散体30の形状は、動物や立体形状などの任意形状とすることができる。
図5〜図9は、実施例2を示す。
図5に示すように、芳香発散体30が収納された容器5を、加熱装置6を設置した支持体60の上に載置する。
容器5は熱伝導性の良好な素材より成り、その内面53は、蝋質材4が付着するのを防ぐために、油脂を剥がしやすい滑面としてある。また、容器5の上面には開閉可能な保護蓋51を設け、保護蓋51に芳香分子を外部へ拡散させるための開口部510を形成してある。
加熱装置6は、正温度係数セラミック抵抗発熱体63の両面に電極片61,62を設け、その外面に絶縁を施して、熱伝導カバー64で被覆した恒温加熱装置より成る。
電極片61,62から正温度係数セラミック抵抗発熱体63に通電して発熱させると、この熱が熱伝導カバー64を通して容器5へ伝達され、容器5内の芳香発散体30を加熱する。
すると、芳香発散体30の蝋質材4が溶解して、ハーブ31、精油32等の芳香物質に含まれる芳香分子が、攪拌されながら蝋質材4の表面から緩やかに拡散する。
支持体60には、加熱装置6の出力電力を変更して温度調節を行うための温度調節部65が設けられる。温度調節部65を操作することにより、芳香発散体30に含有される芳香物質の種類に応じて、加熱装置6の加熱温度を変えることができる。
例えば、精油32はハーブ31よりも芳香分子を放出しやすいので、芳香物質として精油32を用いたときは温度を低くし、ハーブ31を用いたときはこれより高温にする。また、木質の植物は、木材繊維内の芳香分子を放出させなければならないので、ハーブ31よりも高温に加熱する。
なお、いずれの場合にも、加熱温度は蝋質材4の揮発温度よりも低く抑えなければならない。
正温度係数セラミック抵抗発熱体63は、自ら温度制御を行い、一定温度の熱を発生するので、蝋質材4は常に一定温度で加熱され、芳香物質に対する作用も安定した状態が保たれ、この結果、芳香分子の放出量が非常に安定すると共に、加熱温度のバラツキによる反応不良を確実に防ぐことができる。
図6は、本考案の実施例3を示す。
芳香物質としてハーブ31を用い、フィルタ52内にハーブ31を容れると共に、このフィルタ52を容器5に掛け渡してハーブ31を蝋質材4に浸してある。
このようにすると、ハーブ31から芳香分子が放出されなくなったら、新しいハーブ31と交換することができる。
取り出した古いハーブ31は、表面に蝋質材4がコーティングされているので、そのまま装飾品として長期間保存することもでき、燃料として使用することもできる。
その他の構成は、実施例1又は2とほぼ同様である。
図7は、本考案の実施例4を示す。
芳香物質として精油32を用い、容器5の上方に精油補給装置7を設置して、芳香発散体30へ新しい精油32を補給するようになっている。
精油補給装置7は、雫状の精油32がしたたり落ちるようにするか、電気的な制御方法によって間欠的に一定量の精油32を落下させる。
補給された精油32は、ほぼ一定量に維持される溶解した蝋質材4に混入し、芳香分子が熱により外気に拡散する。
このように精油補給装置7を設置したものは、長期間に亘って芳香の発生を持続する必要があるトイレや浴室で使用するのに便利である。
その他の構成は、実施例1又は2とほぼ同様である。
なお、実施例1乃至実施例4において、図8に示すように、容器5の上面を開口部とし、上端に近付くに従って面積が拡大する錐形に形成すると、固化した芳香発散体30を容器5から取り出しやすい。
また、図9に示すように、容器5の上面を開口部とし、容器5の内面を断面弧状に湾曲した滑面にすると、芳香発散体30が固化した後、その表面の縁部へ押圧力Fを加えるだけで、芳香発散体30を水平面に対して角度θとなるよう傾斜させて、他端側を容器5の上方へ押し出し、簡単に取り出すことができる。
なお、容器5の内面を滑面とするには、釉薬を塗布するか、テフロン(登録商標)加工を施せばよい。
従来のアロマキャンドルの側面図。 従来の芳香発生装置の断面図。 実施例1を示す芳香分子の遊離促進装置の断面図。 芳香発散体の斜視図。 実施例2を示す芳香分子の遊離促進装置の断面図。 実施例3を示す芳香分子の遊離促進装置の断面図。 実施例4を示す芳香分子の遊離促進装置の断面図。 容器の一態様を示す断面図。 容器の他の態様を示す断面図。
符号の説明
1 アロマキャンドル
10 芳香物質
11 芯
12 炎
2 ポット
20 精油膜
21 支持体
22 水
23 内面
230 周縁部
24 火
30 芳香発散体
31 ハーブ
32 精油
4 蝋質材
5 容器
51 保護蓋
510 開口部
52 フィルタ
53 内面
6 加熱装置
60 支持体
61,62 電極片
63 正温度係数セラミック発熱体
64 熱伝導カバー
65 温度調節部
7 精油補給装置

Claims (10)

  1. 熱伝導性が高く、開口部を有する容器と、該容器内に収納された芳香発散体と、前記容器を加熱する加熱装置とを備え、前記芳香発散体は、芳香分子を含む芳香物質を、該芳香物質と親和性がある無臭の熱溶解性蝋質材に混入して成り、前記加熱装置の加熱温度は、前記蝋質材の揮発温度よりも低く、且つ、前記芳香分子が前記蝋質材から遊離を開始する温度よりも高く設定されていることを特徴とする芳香分子の遊離促進装置。
  2. 前記容器の内面を、蝋質材が付着し難い滑面とし、前記加熱装置が、正温度係数セラミック抵抗発熱体を有する恒温加熱装置である請求項1に記載された芳香分子の遊離促進装置。
  3. 前記容器の内面を断面弧状に湾曲した滑面としてある請求項2に記載された芳香分子の遊離促進装置。
  4. 前記恒温加熱装置の出力電力を変更して温度調節を行うための温度調節部を設けた請求項2又は3に記載された芳香分子の遊離促進装置。
  5. 前記芳香物質がハーブの精油である請求項1乃至4のいずれかに記載された芳香分子の遊離促進装置。
  6. 前記容器の上方に精油補給装置を設けた請求項5に記載された芳香分子の遊離促進装置。
  7. 前記芳香物質がハーブである請求項1乃至4のいずれかに記載された芳香分子の遊離促進装置。
  8. 前記ハーブが生の花又は草である請求項7に記載された芳香分子の遊離促進装置。
  9. 前記ハーブが乾燥処理を施した花又は草である請求項7に記載された芳香分子の遊離促進装置。
  10. 前記容器の内部に、フィルタを介して前記ハーブを取り出し可能に設置してある請求項7乃至9のいずれかに記載された芳香分子の遊離促進装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06238881A (ja) * 1993-02-16 1994-08-30 Nippon Baldwin Kk シリンダ洗浄装置用パット
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TWI770666B (zh) * 2020-03-31 2022-07-11 愛烙達股份有限公司 能夠散發香味的燃燒裝置

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