JP3112086B2 - ブロー成形ボトル用遮光性樹脂組成物 - Google Patents

ブロー成形ボトル用遮光性樹脂組成物

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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、延伸ブロー成形によって製造されるボトル
の材料として用いられる遮光性樹脂組成物に関し、更に
詳しくは遮光性に優れたブロー成形ボトル用のポリエス
テル系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
乳飲料、乳酸飲料等の飲料類の中には、長時間光にさ
らされると変質するものが多い。従って、製造から消費
までの間、変質を防止して品質保証するために、それら
を遮光性の容器に封入するのが望ましい。
【0003】 そのような遮光性の容器として、例えば着色ガラスの
ボトルや、あるいはそのボトルの胴部にさらに紙を巻い
たもの等がある。しかし、それらはデザインが極端に制
約され、外観上見劣りするものが多い。また重いので取
扱いが不便である。
【0004】 一方、プラスチック材料を、例えば特開昭57−117929
号に開示されている方法で、二軸延伸ブロー成形してボ
トルを製造することが一般的に行われていて、それによ
って軽量で強度の高いボトルが得られている。そのよう
なブロー成形ボトル用の材料として、ポリスチレンにチ
タンホワイト(TiO2)を分散させた樹脂が比較的遮光性
に優れていて、一部で用いられている。しかし、その樹
脂は紫外線に対する遮光性は高いけれども、可視光が多
く透過してしまうため、内容物が変質しやすく、賞味期
間が十分に長くはなかった。
【0005】 従って本発明の目的は、ブロー成形ボトル用の材料と
して、遮光性に優れた樹脂組成物を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、ポリエ
ステルに光反射性顔料と光吸収性顔料を同時に含有させ
ることによって、遮光性の優れた樹脂が得られることを
発見し、本発明を完成した。
【0007】 すなわち本発明のブロー成形用遮光性樹脂組成物は、
ポリエステル100重量部に対して、光反射性顔料2.5〜6.
0重量部と、光吸収性顔料0.005〜0.015重量部とを含有
することを特徴とする。
【0008】 ポリエステルを主体とする本発明の樹脂組成物に光が
入射すると、光反射性顔料の粒子が光を散乱する。その
散乱光は光吸収性顔料の粒子によって吸収されるので、
樹脂を光が透過しない。特に780nm以下の波長の可視光
と紫外線がカットされる。光反射性顔料としてチタンホ
ワイトを用い、光吸収性顔料としてはカーボンブラック
を用いるのが好ましい。また上記組成物にさらに酸化鉄
0.05〜0.1重量部を添加するのが好ましい。酸化鉄を添
加すると光吸収顔料の発色が抑えられ、樹脂の色合いを
良好に保つことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[1]樹脂組成物 (a)ポリエステル樹脂 本発明の遮光性樹脂組成物を構成するポリエステル樹
脂としては、飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールと
からなる熱可塑性樹脂が使用できる。飽和ジカルボン酸
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナ
フタレン−1,4−又は2,6−ジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸類、ジフェノキシエタンジエタンジカルボン酸類等の
芳香族ジカルボン酸類、アジピン酸、セバチン酸、アゼ
ライン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカ
ルボン酸等を使用することができる。また飽和二価アル
コールとしては、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコ
ール類、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコ
ール、2,2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、その他の芳香族ジオール類等を使用す
ることができる。好ましいポリエステルは、テレフタル
酸とエチレングリコールとからなるポリエチレンテレフ
タレートである。
【0010】 上記ポリエステル樹脂は、固有粘度が0.5〜1.5、好ま
しくは0.55〜0.85の範囲の値を有する。またこのような
ポリエステルは、溶融重合で製造され、180〜250℃の温
度下で減圧処理または不活性ガス雰囲気で熱処理された
もの、または固相重合して低分子量重合物であるオリゴ
マーやアセトアルデヒドの含有量を低減させたものが好
適である。
【0011】 (b)光反射性顔料 上記ポリエステ100重量部に対して、光反射性顔料を
2.5〜6.0重量部添加する。光反射性顔としては、チタン
ホワイト(TiO2)、アルミニウム粉、マイカ粉、硫化亜
鉛亜鉛華等の白色顔料が好ましく、特にルチル型のチタ
ンホワイトを用いるのがましい。樹脂に光が入射する
と、光反射性顔料の粒子によって光が散乱される。2.5
重量部未満では光の散乱効果が十分に得られず、6.0重
量部を超えるとそれ以上添加しても効果の著しい向上が
なく、また樹脂の成形性が悪くなる。光反射性顔料の好
ましい含有量は4〜5.3重量部である。
【0012】 (c)光吸収性顔料 光吸収性顔料は0.005〜0.015重量部添加する。光吸収
性顔料としては、カーボンブラック、セラミックブラッ
ク、ボーンブラック等の有色顔料が好ましく、特に黒色
顔料であるカーボンブラックを用いるのが好ましい。光
反射性顔料の粒子によって散乱された光は、光吸収性顔
料の粒子によって吸収されるので、樹脂を光が透過しな
い。光吸収性顔料が0.005重量部未満では光の吸収効果
が十分に得られず、0.015重量部を超えるとそれ以上添
加しても効果の著しい向上がなく、また樹脂の色が黒ず
んで、外観が損なわれる。光吸収性顔料の好ましい含有
量は0.009〜0.012重量部である。
【0013】 (d)その他 さらに本発明の遮光性樹脂組成物においては、上記光
吸収性顔料を隠蔽し、その発色を抑えるために、一般に
ベンガラと称される酸化鉄(Fe2O3)を0.05〜0.1重量部
添加するのが好ましい。0.05重量部未満では上記の効果
が得られず、0.1重量部を超えると酸化鉄による着色が
著しくなり、外観が損なわれる。酸化鉄の好ましい含有
量は0.07〜0.09重量部である。
【0014】 さらに、ポリエステル中に、本発明の目的を損なわな
い範囲で滑剤、安定剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫
外線劣化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤等の添加剤やその
他の樹脂を適量加えることができる。
【0015】 [2]ボトル 本発明の遮光性樹脂組成物を用いて製造されるボトル
を、第1図に例示する。ボトル10は、口部1と、肩部2
と、それらの間に設けられたサポートリング5と、胴部
3と、底部4とからなる。この実施例では、ボルト10
は、本発明の樹脂組成物としての顔料含有ポリエステル
層7と、耐熱性樹脂層9とからなる多層構造を有する。
すなわち、口部1とサポートリング5は3層の耐熱性樹
脂層9と2層のポリエステル層7からなる5層構造を有
し、胴部3と底部4は、1層の顔料含有ポリエステル層
7からなる。
【0016】 上記耐熱性樹脂としては、ポリアリレート、ポリカー
ボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセター
ル、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェ
ニレンサルファイド、及びこれらの樹脂とポリエチレン
テレフタレートとのブレンドポリマー、及び上記耐熱性
樹脂間のブレンドポリマー、さらには上記耐熱性樹脂の
2種以上の樹脂とポリエチレンテレフタレートとのブレ
ンドポリマー、Uポリマー(ユニチカ製、ポリアリレー
トとポリエチレンテレフタレートのブレンドポリマ
ー)、ポリアリレートとポリカーボネート及びポリエチ
レンテレフタレートのポリマーアロイ等を使用し得る。
【0017】 またポリエステル層7と耐熱性樹脂層9に加えて、酸
素、炭酸ガス、水蒸気等のガスバリヤー性に優れた樹脂
の層を設けてもよい。
【0018】 多層ボトル10は、例えば特開平1−146707号に例示さ
れた共射出成形法によって予備成形体を製造し、その予
備成形体を二軸延伸ブロー成形することによって製造す
る。その場合、樹脂を射出するホットランナーノズル内
の樹脂流路の数や共射出開始、停止のタイミングを変更
することによって、完成後の各部位の層の数を適宜変更
することができる。
【0019】 本発明の樹脂組成物が十分な遮光性を有するのは、以
下の理由によるものと考えられる。すなわち、第2図に
示すように、樹脂中に分散した光反射性顔料の粒子20に
より、入射した光は散乱され、樹脂層を通過する際の光
路は著しく長くなる。また樹脂組成物中には光吸収性顔
料の粒子30も存在するので、散乱光は光吸収性顔料の粒
子30に当たり、吸収される確率が高くなる。このため、
光吸収性顔料が比較的少なくても、全体として吸光率は
十分に高くなる。このような原理により、多量の光吸収
性顔料を使用しなくても、十分な遮光性が得られる。
【0020】
【実施例】
本発明を以下の具体的実施例により、さらに詳細に説
明する。
【0021】 実施例1 ポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ(株)製
NEH−2050)100重量部に対して、チタンホワイト5.29重
量部、カーボンブラック0.01重量部、酸化鉄0.07重量部
と、さらに滑剤としてアルキレンビス脂肪酸アマイド0.
1重量部及び高級脂肪酸塩0.16重量部を添加して、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂組成物を調製した。また耐
熱性樹脂として、ポリエチレンテレフタレートとポリア
リレートのブレンドポリマー(Uポリマー8400、ユニチ
カ(株)製)を使用した。上記ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂組成物と耐熱性樹脂を用い、共射出成形により
予備成形体を成形した。
【0022】 この予備成形体を二軸延伸ブロー成形することによっ
て、約0.3mmのほぼ均一な肉厚を有し、容量925mlの乳白
色を呈するボトル製造した。このボトルは第1図に示す
ような、口部は5層からなる多層構造を有していた。
【0023】 このボトルの胴部の光透過度を、分光光度計を用いて
測定したところ、600nm以下の波長の光を100%カット
し、優れた遮光性を有することが確認された。またこの
ボトルに乳酸飲料を加熱充填し、一年間保管した後、官
能テストを行った結果、良好な味を示し、十分に長い賞
味期間が保証されることが確認された。
【0024】 実施例2及び比較例1〜3 ポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ(株)製
NEH−2050)100重量部に対して、チタンホワイト5.0重
量部とカーボンブラック0.009重量部を添加した樹脂を
調製した。この樹脂を射出成形し、次いで二軸延伸ブロ
ー成形して、厚さ約0.3mmのボトルを成形した(実施例
2)。
【0025】 チタンホワイトを添加したポリスチレン樹脂による厚
さ約0.5mmの他社製ボトルを準備した(比較例1)。
【0026】 ポリエチレンテレフタレート樹脂(NEH−2050)100重
量部に対して、チタンホワイト2.5重量部を添加した樹
脂を調製した。この樹脂を用い、実施例2と同様にし
て、厚さ約0.3mmのボトルを成形した(比較例2)。
【0027】 ポリエチレンテレフタレート樹脂(NEH−2050)100重
量部に対して、チタンホワイト5.0重量部を添加した樹
脂を調製した。次いで、この樹脂を用い、実施例2と同
様にして、厚さ約0.3mmのボトルを成形した(比較例
3)。
【0028】 上記実施例2及び比較例1〜3のボトルを用い、分光
光度計によって光透過度を測定した。その結果を第2図
に示す。実施例2のボトルは800nm以下の波長の光をほ
とんど透過させず、優れた遮光性を示した。
【0029】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の遮光性樹脂組成物に光が
入射すると、光反射性顔料の粒子が光を散乱し、樹脂中
の光路が長くなる。そのため散乱光は光吸収性顔料の粒
子によって吸収される確率が高くなり、樹脂の遮光性が
向上する。特に780nm以下の波長の可視光と紫外線がカ
ットされるので、遮光性に優れたブロー成形ボトルが得
られる。従って、内容物の賞味期間を著しく長くするこ
とができる。本発明の遮光性樹脂組成物にさらに酸化鉄
を添加すると光吸収性顔料の発色が抑えられ、樹脂の色
合いを良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の樹脂組成物を用いて製造されるボト
ルの一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の樹脂組成物の遮光性作用を説明する
拡大断面図である。
【図3】 樹脂の遮光性を吸光光度計を用いて測定した
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1……口部 2……肩部 3……胴部 4……底部 5……サポートリング 7……ポリエステル層 9……耐熱性樹脂層 10……ボトル 20……光反射性顔料の粒子 30……光吸収性顔料の粒子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル100重量部に対して、光反射
    性顔料2.5〜6.0重量部と、光吸収性顔料0.005〜0.015重
    量部とを含有することを特徴とするブロー成形ボトル用
    遮光性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のブロー成形ボトル用樹脂
    組成物において、さらに酸化鉄0.05〜0.1重量部を含有
    することを特徴とする遮光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のブロー成形ボトル
    用樹脂組成物において、前記光反射性顔料はチタンホワ
    イトであり、前記光吸収性顔料はカーボンブラックであ
    ることを特徴とする遮光性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項3のいずれかに記載のブロー成形ボ
    トル用樹脂組成物において、600nm以下の波長の光を透
    過しないことを特徴とする遮光性樹脂組成物。
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